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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20250401BHJP
【FI】
B60Q1/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022098568
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2017164429の分割
【原出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2022113902
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 直樹
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055851(JP,A)
【文献】特開2013-047034(JP,A)
【文献】実開平05-094905(JP,U)
【文献】実公昭47-040110(JP,Y2)
【文献】実開昭53-133915(JP,U)
【文献】実開昭55-104727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップカバーを固定する固定部を有するブラケットと、
前記トップカバーの下方に位置し前記ブラケットに取り付けられるヘッドライトと、
ラジエータと、
メッシュ状の通気口を有し、前記ラジエータを覆う保護部材と、を備え、
前記トップカバーが燃料タンクの左右の壁部の少なくとも一部を覆
前記ブラケットは、シリンダブロックの上面と前側面との2面に突き合わされた状態で前記シリンダブロックに取り付けられる、
エンジン。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記固定部より下方に位置し、前記シリンダブロックに固定される取付部を更に有する、
請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記ヘッドライトは、前記燃料タンクの前部側に配置される、
請求項1又は2に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型のディーゼルエンジン等において、エンジンの小型化、利便性を考慮して、エンジン本体の上面に燃料を貯留する燃料タンクやエンジンの冷却水を冷却するラジエータ等を隣接して配設する構成が知られている。具体的には、例えば、シリンダヘッド、シリンダブロック、及びクランクケースにより構成されるエンジン本体を横方向に配設する横型の水冷エンジンが知られており(例えば、特許文献1を参照。)、エンジン本体の上方に燃料タンクを配設し、この燃料タンクに隣接して冷却水を冷却するラジエータが配設される。このような小型のエンジンはコンパクトで使い勝手が良いことから、種々の用途に使用されている。
【0003】
上記したような小型のエンジンは、様々な状況において使用されることが想定され、エンジン本体の前部に、前方を照らすヘッドライトを配設する場合がある(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-083780号公報
【文献】国際公開第2013/042558号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した小型のエンジンにおいては、エンジン本体の上部に、大型の部品である燃料タンク、及びラジエータ等が配設されることから、エンジン本体上部におけるスペースが限られている。よってエンジン本体にヘッドライトを取り付けるためのランプブラケットを配設する場合、このランプブラケットを有効活用して他の部材を効率よく取り付けることが望まれる。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、エンジンの先端上部にヘッドライトを固定するためのランプブラケットにおいて、ヘッドライト及び周辺部材をエンジン本体に効率よく取り付けることができるランプブラケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係るエンジンは、トップカバーを固定する固定部を有するブラケットと、前記トップカバーの下方に位置し前記ブラケットに取り付けられるヘッドライトと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
ヘッドライト及び周辺部材をエンジン本体に効率よく取り付けることができるランプブラケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に基づき構成された横型エンジンの実施形態の全体斜視図である。
図2】本発明のランプブラケットに対する各構成部品の組み付け状態を説明するための分解斜視図である。
図3図2に示すランプブラケットの詳細を説明するための全体斜視図である。
図4図1に示す横型エンジンの前部にランプブラケットを介して燃料タンクを組み付けた状態を右斜め前方から見た斜視図である。
図5図4に示すエンジン本体の前部にトップカバー、及びランプガードを取り付ける構造を示す斜視図である。
図6】横型エンジンの前部にヘッドライトを組み付けた状態を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に基づいて構成されたランプブラケットの実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すエンジン1は、単気筒の水冷式の横型ディーゼルエンジン(以下「横型エンジン」と称する。)である。この横型エンジンの説明にあたっては、図1の矢印Xで示すエンジンの長手方向を前後方向とし、矢印Yで示すエンジンの幅方向を左右方向とし、矢印Zで示すエンジンの高さ方向を上下方向とする。また、本発明において「水平」とは、横型エンジン1を水平な面に対して設置した場合の設置面に平行な方向を示す。
【0012】
横型エンジン1は、図1に示すように、シリンダブロック2の後方にシリンダヘッド3を配設したエンジン本体4が構成されている。シリンダブロック2の前方上部には、横型エンジン1に燃料を供給する燃料タンク20が配設される。この燃料タンク20の上面は、タンクカバー21により構成される。燃料タンク20の後方側のシリンダブロック2の上面には、上面がラジエータカバー8に覆われたラジエータ(図示は省略する)が配設されている。
【0013】
燃料タンク20の前部側にはヘッドライト30が配設され、燃料タンク20の左右両側には、第一の保護部材(サイドカバー)7が配設されている。また、図に示すように、燃料タンク20のタンクカバー21の前端とヘッドライト30の上端との間には、後述する燃料タンク20の前部側の取付構造を覆うトップカバー40が配設される。また、ヘッドライト30の下方には、おって詳述するランプガード35が取付けられている。
【0014】
ラジエータは、上記したラジエータカバー8と、左右のサイドカバー7の後端に連続して配設されメッシュ状の通気口13が形成された左右の第二の保護部材(スクリーン)9とにより覆われている。
【0015】
燃料タンク20を構成するタンクカバー21の上面中央には燃料キャップ10が配設されている。ラジエータカバー8の中央部には、ラジエータキャップ11が配設され、ラジエータキャップ11の前方には、重心位置でこの横型エンジン1を吊上げるための吊りボルト12が突設される。
【0016】
エンジン本体4の後方には、横型エンジン1のシリンダヘッド3内に形成された燃焼室(図示は省略する。)に吸気を供給するエアクリーナ15及び前記燃焼室から排出される排気を外部に放出するマフラ16が左右に配置されている。
【0017】
シリンダブロック2の内部には図示しないクランク軸が左右方向に沿う姿勢で回転自在に配設されており、このクランク軸の左方端部には、フライホイール19が取付けられている(図2を参照。)。フライホイール19は、始動時に回転させられてエンジン始動を容易にすると共に、横型エンジン1が始動した後は、クランク軸の回転変動を抑制するように作用する。
【0018】
図2~4を参照しながら、本実施形態のランプブラケット50を含む横型エンジン1の前部支持構造について説明する。
【0019】
図2は、ランプブラケット50に対する各構成部品の組み付け構造を説明するための分解斜視図である。図2に示されているランプブラケット50について、図2、3に基づき詳細に説明する。ランプブラケット50には、ヘッドライト30を構成する椀状のランプハウジング32が前方側から入り込み配置可能な開口部51を備えた略横長矩形状の環状枠部52が備えられている。この環状枠部52は、下横枠部52A、上横枠部52B、左右枠部52C、52Cにより構成されている。下横枠部52Aの背面側には、上述したシリンダブロック2の前端上部の角部2A(図6を参照。)に上面から当接する水平取付板部53と、前記角部2Aに前面から当接する鉛直取付板部54が一体形成されている。
【0020】
環状枠部52の上横枠部52Bには、燃料タンク20の前側のフランジ23を載置保持する水平な載置支持面52bが形成されている。上横枠部52Bの左右方向両端部と左右方向中央部の各々には、燃料タンク20の前側のフランジ23に対するタンク取付部62が構成されている。各タンク取付部62は。環状枠部52の上横枠部52Bの他の部分よりも厚肉に構成され、各タンク取付部62には、燃料タンク20のフランジ23を螺合固定するためのボルト69に対するねじ孔63が形成されている。
【0021】
また、図3に示すように、上横枠部52Bの前面側には、トップカバー40を取り付けるための固定部58が形成される。固定部58は、トップカバー40の位置合わせを行うための突起部58Aが前方に向けて立設されている。この突起部58Aに隣接した位置にはトップカバー40をランプブラケット50に固定する際に固定用のボルトが螺合される取付孔58Bが形成されている。取付孔58Bは、ランプブラケット50をエンジン本体4へ取り付けた状態における前後方向、すなわち水平方向に前方側から穿たれており、内側部には、ねじ山が形成されている。
【0022】
環状枠部52の左右に形成された両縦枠部52Cには、上下に貫通するようにボルトガイド孔56が形成された箱型の柱状リブ55が形成されている。柱状リブ55の上側面には、ヘッドライト30の裏面側に配設されるランプ取付部材34の先端部が載置される載置面55aが形成されている。柱状リブ55の前方側の上下方向中央には、ランプブラケット50をエンジン本体4に取り付けた状態で内部のボルトガイド孔56に挿入される取付ボルト37を確認できる開口部57が形成されている。ヘッドライトの取付構造については、おって説明する。
【0023】
水平取付板部53には、シリンダブロック2の上記した角部2Aの上面に形成されているねじ孔(図示は省略する。)に鉛直方向の上方からボルトで締結するボルト挿通孔が形成されている(図示は省略する。)。また、鉛直取付板部54には、図2に示すように、シリンダブロック2の前側の側面に形成されるねじ孔に水平方向の前方側からボルト59で締結するボルト挿通孔60が形成されている。なお、ボルト挿通孔60は、上下方向に沿うやや長孔状に形成されている。
【0024】
また、環状枠部52のうち、下横枠部52Aと、左右の縦枠部52Cとで形成される両角部の各々には、左右方向の外方下方に向かって延出されるアーム部70が形成されている。両アーム部70の中間部の上方側には、後述するヘッドライトを取り付ける際の位置決めとして機能する位置決めピン33が係合される係合孔71が穿設されている。また、係合孔71の下方には、後述するランプガード35を取り付ける際にボルトにより螺合固定するための取付孔72が形成されている。
【0025】
ランプブラケット50は、強靭で耐久性に優れたアルミダイキャストからなり、シリンダブロック2の上面と前側面との2面に亘って取付けられるため、ランプブラケット50に係る応力の集中を低減して耐久性に貢献する。しかも、シリンダブロック2の上面と前側とにより形成される角部2Aは加工精度が高いため、ランプブラケット50に取り付けられる各構成部品のシリンダブロック2に対する取付精度を確保することができる。
【0026】
次に、燃料タンク20の前部の取付構造について説明する。燃料タンク20は、図2、4、に示すように、下方に開口する上側部分を構成する板金製のタンクカバー21と、上方に開口する下側部分を構成する板金製のタンク本体22とによって構成される。タンクカバー21の下側開口周縁から外方に一体的に突出形成されている環状のフランジと、タンク本体22の上側開口周縁から外方に一体的に突出形成されているフランジとが重ね合されてシーム溶接により溶着する。このシーム溶接により一体化された燃料タンク20の外周には、水平方向で一周するフランジ23が形成される。
【0027】
燃料タンク20の前部をエンジン本体4に取り付ける場合、まず、図2に示すように、シリンダブロック2に予め固定されたランプブラケット50の載置支持面52bに防振ゴム65を介して燃料タンク20の前部に位置するフランジ23を載置し、燃料タンク20のフランジ23の上面に、防振ゴム66を介して押え板67を当てる。この状態で、燃料タンク20のフランジ23におけるボルト挿通孔68の内面とボルト69の外面との間で、且つ、ランプブラケット50の上横枠部52Bの上面と押え板67の下面との間には、金属製の筒状の位置決め用カラー73が嵌合装着され、押え板67のボルト挿通孔67aに挿通されたボルト69を貫通させて、ランプブラケット50の上横枠部52Bのねじ孔63に螺合固定する。このようにして、燃料タンク20をエンジン本体4に対して、振動の少ない状態で頑丈に取り付けることができる。
【0028】
次に、ランプブラケット50によるトップカバー40の取付構造について説明する。
【0029】
図1、2、5に示すように、トップカバー40は、燃料タンク20のタンクカバー21の前端21Aに対面する中央カバー部40Aと、タンクカバー21の左右の傾斜壁部21Bに対面する両傾斜カバー40Bとからなる。中央カバー部40Aの下端縁の左右方向の両側には、図2、5に示すように、中央カバー部40Aの下端縁からやや後方に下がった位置から垂下する取付片42が配設されている。この取付片42には、上記したランプブラケット50の固定部58に配設された位置決め用の突起部58Aに係合させるための段差部42bが形成される。段差部42bは、突起部58Aの上面に当接することで上下方向が位置決めされる水平部と、突起部58Aの垂直側面部に当接することで左右方向の位置決めを行うための垂直部により構成される。さらに、取付片42には、ボルト41を挿通することができる挿通孔42aが形成されている。この挿通孔42aは、ボルト41の径よりも若干大きく形成されており、ランプブラケット50の突起部58Aとトップカバー40の取付片42の段差部42bとが係合することによる位置決め状態を保持したまま、トップカバー40をランプブラケット50に対してボルト41を用いて螺合固定することが可能になっている。
【0030】
図2、4、5を参照しながら説明を続けると、エンジン本体4の前部に対してトップカバー40を取り付ける場合は、上記したランプブラケット50の突起部58Aに取付片42の段差部42bを左方側から係合させる。これにより、トップカバー40の上下方向と、左右方向の正確な位置決めがなされる。この取付片42の段差部42bをランプブラケット50の突起部58Aに突き当てた状態で、ボルト41を取付孔58Bに螺合し、トップカバー40を固定する。その後、トップカバー40の傾斜カバー40Bの端部を、燃料タンク20の左右側のフランジ23に溶接されたステー25にボルト45により螺合して固定する。
【0031】
ランプブラケット50の取付孔58Bは、水平方向で前後に伸びる方向に構成されており、前方側からボルト45を水平に挿入して螺合固定することが可能になっている。また、トップカバー40の取付片42の段差部42bと位置決めのために係合される突起部58Aが形成されていることから、取付片42の段差部42bをこの突起部58Aに当接させて位置決めされたことを確認しながらトップカバー40を取り付けることができ、トップカバー40の取付精度を高いレベルで確保することが可能になる。したがって、燃料タンク20のタンクカバー21の表面を構成する各面の稜線と、トップカバー40の表面を構成する各面の稜線とを容易に一致させることができ、外観性を損なうことがない。
【0032】
次に、ランプガード35の取付構造について説明する。ランプガード35は、板金製の板部材を折り曲げ加工により形成され、図1、2、5に示すように、平面視で後方側に開放部が構成される略コ字状の本体部35Aと、ランプブラケット50に固定するために端部が折り曲げられた取付部35Bにより構成されている。取付部35Bには、ランプガード35をランプブラケット50に取り付ける際にボルト36が挿通される挿通孔35bが形成されている。
【0033】
ランプガード35を取り付ける際には、ランプガード35の取付部35Bの挿通孔35bをランプブラケット50の取付孔72に位置付けて、ボルト36を前方側から挿入し、螺合して固定する。図1に示すように、ランプガード35をランプブラケット50に取り付けた状態では、ランプガード35の本体部35Aがヘッドライト30の下方側に位置付けられ、ランプガード35の前端部がヘッドライト30の下端部よりも前方側になるように形成される。なお、ランプガード35の形状は適宜変更することができ、本実施形態の形状に限定されるものではない。
【0034】
上記したように、ランプブラケット50は、強度が高い部材(アルミダイキャスト製)で構成され、シリンダブロック2の前端角部2Aに直接固定されており、障害物がヘッドライト付近に接近してランプガード35に接触しても、ランプガード35以外に衝撃が及ぶことを防止することができる。
【0035】
次に、図2、6に基づいて、ヘッドライト30の取付構造について説明する。図6は、ランプブラケット50の柱状リブ55の位置を前後に切った一部断面図であり、ヘッドライト30は、レンズ部31の周縁部分と、光源29を備えたランプハウジング32の周縁部分を水密状態に嵌合接合して構成されている。レンズ部31は側面視において前方に膨出した略く字状に屈曲する前面レンズ部31Aと、前面レンズ部31Aの左右方向側から後方外側に向けて延出される側面レンズ部31Bとから構成されている。ランプハウジング32は、光源29を収納する椀状の反射面構成部32Aと、反射面構成部32Aの左右方向両側からレンズ部31の両側面レンズ部31Bに沿って後方外側に延びる側面カバー部32Bから構成されている。
【0036】
図2に示すように、ヘッドライト30のランプハウジング32の背面で、且つレンズ部31とランプハウジング32との嵌合縁部よりも内側に偏倚した下部側の左右方向両側部には、後方側に向け水平に突出した位置決めピン33が設けられている。ランプハウジング32の背面で、且つレンズ部31とランプハウジング32との嵌合縁部よりも内側に偏倚した上部側の左右方向の両側部には、ランプブラケット50の柱状リブ55の載置面55aに載置される取付部材34が水平に延出されている。この取付部材34の先端部には、後述する固定用のボルト37を挿通するための挿通用切り欠き34aが形成されている。この両取付部材34の先端部の挿通用切欠き34aには、クリップナット34Bが取付けられる。
【0037】
ヘッドライト30をランプブラケット50に取り付ける際には、上記したランプハウジング32の両位置決めピン33の先端を、両位置決めピン33が前方側から係合する状態でランプブラケット50の両アーム部70に形成された位置決め係合孔71に挿入して係合する。さらに、位置決めピン33を位置決め係合孔71に係合すると共に、ランプハウジング32の両取付部材34の先端部に取り付けられたクリップナット34Bを柱状リブ55の載置面55aに載置して仮組する。
【0038】
図6に示すように、ヘッドライト30をランプブラケット50に仮組した状態で、柱状リブ55に上下に貫通するように形成されたボルトガイド孔56の下方から、このボルトガイド孔56を貫通し、ランプハウジング32の両取付部材34の先端部に取り付けられたクリップナット34Bのナット部に達する固定ボルト37を挿通し、ヘッドライト30をランプブラケット50に螺合固定する。ヘッドライト30をランプブラケット50に取り付ける作業者は、まず、長尺の固定ボルト37をボルトガイド孔56の下方から挿入して、柱状リブ55の載置面55aに位置付けられたクリップナット34Bに対し手回しで固定ボルト37を仮止めすることができる。そして、その後、インパクトドライバー等により固定ボルト37を回転して強固に螺合固定することができる。ヘッドライト30の固定は、上記したように、トップカバー40を取り付けた後に行われるため、下方から固定ボルト37により螺合固定することになる。そこで、本実施形態では、上記したような構成、すなわち、ボルトガイド孔56を形成し、ボルトガイド孔56に沿って固定ボルト37を下方側から挿入し、クリップナット34Bに螺合して固定する取付構造を構成することにより、容易にヘッドライト30を固定することが可能となる。なお、ランプブラケット50にヘッドライト30を仮組する前に固定ボルト37をボルトガイド孔56に挿入する場合は、ボルトガイド孔56の内部が前方側から見えるように形成された開口部57から挿入状態を確認することができ、効率よく作業を実施することができる。
【0039】
本発明は、以上のように構成されていることにより、ランプブラケット50に対して、取付強度、取付精度を確保しながら、容易にトップカバー40を取り付けることができる。また、本発明のランプブラケット50は、トップカバー40のみならず、燃料タンク20、ランプガード35等も取付けられるように構成されていることから、小型のエンジン、特に構成部品の配設スペースが限定される横型エンジンにおいて、効率よく、各構成部品を配設することが可能になる。
【0040】
本発明は、上記した実施形態に限定されず。発明の技術的範囲に含まれる限り種々の変形例を想定することができる。たとえば、上記した実施形態では、柱状リブ55を箱型リブとして形成したが、本発明はこれに限定されず、円柱状のリブであってもよい。
【0041】
〔発明の付記〕
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、エンジン本体の先端上部に配設され、エンジンのトップカバーを固定する固定部を備えたランプブラケットであって、前記固定部には、前記トップカバーの先端部に形成された取付片を介して前記トップカバーを固定するための取付孔が形成されており、前記取付孔は、エンジン本体への取付状態における前後方向で水平に形成されている、ランプブラケットが提供される。
【0042】
前記固定部には、前記トップカバーの前記取付片と係合することにより前記トップカバーの配設位置を規定する位置決め用の突起が前方に向けて立設されていることが好ましい。
【0043】
前記ランプブラケットには、上下方向に貫通する空間を備えた柱状リブが形成され、前記空間は、ヘッドライトをランプブラケットに固定する固定ボルトを下方から挿通可能なボルトガイド孔として構成することが好ましい。
【0044】
前記ランプブラケットには、ヘッドライトを保護するためのランプガードを取り付けるランプガード取付孔が形成されていてもよい。
【0045】
本発明によれば、エンジン本体の先端上部に配設され、エンジンのトップカバーを固定する固定部を備えたランプブラケットであって、前記固定部には、前記トップカバーの先端部に形成された取付片を介して前記トップカバーを固定するための取付孔が形成されており、前記取付孔は、エンジン本体への取付状態における前後方向で水平に形成されているランプブラケットが提供される。これにより、ヘッドライトを取り付けるためのランプブラケットを用いてエンジン本体の上部を覆うトップカバーを容易に効率よく取り付けることができる。
【0046】
さらに、前記固定部に、前記トップカバーの前記取付片と係合することにより前記トップカバーの配設位置を規定する位置決め用の突起が前方に向けて立設することにより、トップカバーを取り付ける際に容易に位置決めしながら固定することができる。また、前記ランプブラケットに、上下方向に貫通する空間を備えた柱状リブを形成し、前記空間を、ヘッドライトをランプブラケットに固定する固定ボルトを下方から挿通可能なボルトガイド孔として構成することにより、ヘッドランプをランプブラケットに取り付け易い構造が実現される。さらに、前記ランプブラケットに、ヘッドライトを保護するためのランプガードを取り付けるランプガード取付孔を形成することにより、ランプガードを効率よくエンジン前部に配設することができ、ランプガードに障害物が衝突しても、他部に衝撃が及ぶことを抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1:横型エンジン
2:シリンダブロック
3:シリンダヘッド
4:エンジン本体
7:サイドカバー
8:ラジエータカバー
9:スクリーン
10:燃料キャップ
11:ラジエータキャップ
12:吊りボルト
15:エアクリーナ
16:マフラ
19:フライホイール
20:燃料タンク
21:タンクカバー
23:フランジ
30:ヘッドライト
35:ランプガード
37:取付ボルト
40:トップカバー
50:ランプブラケット
52:環状枠部
55:柱状リブ
58:固定部
56:ボルトガイド孔
57:開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6