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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】基板処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/48 20060101AFI20250401BHJP
【FI】
C23C16/48
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022529430
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 FI2020050793
(87)【国際公開番号】W WO2021105560
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】20196029
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3, FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハ-オヤラ ティモ
(72)【発明者】
【氏名】キルピ ヴァイノ
(72)【発明者】
【氏名】ホルム ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】マリネン ティモ
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-021381(JP,A)
【文献】特開平01-240665(JP,A)
【文献】特表平01-502149(JP,A)
【文献】特表2016-506013(JP,A)
【文献】特開平06-235068(JP,A)
【文献】特開昭61-054041(JP,A)
【文献】特開2000-309885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
巻出・巻取可能な基板、又は基板支持部に支持された基板を処理するための反応室と;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給する光子源と;
前記反応室に反応性化学物質を供給する化学物質インレットと;
前記反応室からガスを排出するための化学物質アウトレットと;
を備え、前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離しており、前記装置は更に、
前記光子源と前記反応室との間に配されて前記光子が通過することが可能なウィンドウを備え、前記ウィンドウの前記反応室の側をパージするパージ流を供給するように構成され、
前記化学物質インレットは、前記化学物質アウトレットと、前記パージ流が前記反応室に導入される場所との間に配置される、
装置。
【請求項2】
前記パージ流を前記ウィンドウの横の複数箇所から供給するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応室を囲み中間空間を画定する外室と;
前記中間空間にガス流を供給する中間空間インレットと;
を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記中間空間インレットから前記化学物質アウトレットへのガス経路を提供する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記基板支持部は前記基板を前記反応室を通るように水平方向に動かすように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記基板支持部は前記基板の垂直方向の位置を調整するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記基板の表面上への光子の接近を制御又は変更するシャッターを備える、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記光子源と前記ウィンドウとの間の凹部に保護化学物質流を供給する保護化学物質インレットを備える、請求項から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記凹部に行き渡っている圧力は、周囲環境圧力より大きい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ウィンドウとウィンドウ固定カラーとの間にパッド部を備える、請求項から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記反応室の排気ラインにターボ分子ポンプを備えると共に、前記反応室に発する並行ラインに前記ターボ分子ポンプをバイパスする流量調節デバイスを備え、前記並行ラインは前記ターボ分子ポンプの下流で合流する、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記基板は前記反応室から前記化学物質アウトレットを超えて前記周囲空間へと延びており、前記基板は移動可能な基板ウェブ又は基板ホイルのような巻出・巻取可能な基板であり、
前記装置は前記基板を前記反応室で区切られた領域内でのみ化学反応を遂行させるように構成される、
装置。
【請求項13】
方法であって、
巻出・巻取可能な基板又は基板支持部で支持された基板を反応室に供給することと;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給することと;
前記反応室に反応性化学物質を供給することと;
化学物質アウトレットを通じて前記反応室からガスを排出することと;
を含み、前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離しており、前記方法は更に、
光子源と前記反応室との間のウィンドウを通じて光子が通過することを可能にすることと;
前記ウィンドウの前記反応室の側をパージ流によってパージすることと;
を含み、前記反応性化学物質は、前記化学物質アウトレットと、前記パージ流が導入される場所との間から供給される、方法。
【請求項14】
前記パージ流は前記ウィンドウの横の複数箇所から供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
中間空間を画定するべく前記反応室を囲む外室を提供することと;
前記中間空間にガス流を供給することと;
を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記中間空間にガス流を供給する中間空間インレットから前記化学物質アウトレットへのガス経路を提供することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板支持部によって前記基板を前記反応室を通るように動かすことを含む、請求項13から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記基板支持部によって前記基板の垂直方向の位置を調節することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
シャッターによって、前記基板の表面への光子の接近を制御又は変更することを含む、請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記光子源と前記ウィンドウとの間の凹部に保護化学物質流を供給することを含む、請求項13から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ターボ分子ポンプを通って前記反応室から排気部へ繋がる第1のルートと、前記ターボ分子ポンプをバイパスする並行ライン中の流量調節デバイス通って前記反応室から排気部へ繋がる第2のルートとを提供することを含む、請求項13から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ガス排気のために前記第1のルートと前記第2のルートとのいずれかを選択することによって前記反応室の真空レベルを調節することを含む、請求項21に記載の方法であって、方法。
【請求項23】
移動可能な基板ウェブ又は基板ホイルのような前記巻出・巻取可能な基板であって、前記反応室から前記化学物質アウトレットを超えて前記周囲空間へと延びる基板を提供することと;
前記反応室で区切られた領域内でのみ化学反応を遂行することと;
を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して基板処理方法及び基板処理装置に関する。より詳細には、本発明は光強化型原子層堆積(Photon-Enhanced Atomic Layer Deposition,光ALDとも称される)装置に関する。ただしそれに限られない。
【発明の背景】
【0002】
このセクションは、有用な背景情報を説明するが、ここで説明されている技術が技術水準を示していることを認めている訳ではないことに注意されたい。
【0003】
原子層堆積(ALD)のような化学堆積方法において、表面反応のために必要な追加のエネルギーを提供するために光を使用することができる。しかし、光源を使用することは、堆積反応装置にある要求事項や特定の課題を生じうる。例えば、ウィンドウを通じて反応室内に光が供給される反応装置において、ウィンドウは容易に汚れてしまう。
【摘要】
【0004】
本発明のある実施形態の課題は、前述の問題若しくは他の1つ又は複数の問題に対処することであり、又は、既存技術に対する代替的なソリューションを提供することである。
【0005】
本発明の第1の例示的態様によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
巻出・巻取可能な基板、又は基板支持部に支持された基板を処理するための反応室と;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給する光子源と;
前記反応室に反応性化学物質を供給する化学物質インレットと;
前記反応室からガスを排出するための化学物質アウトレットと;
を備える。前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離している。
【0006】
実施例によっては、前記化学物質アウトレットはそれ自体で前記反応室を周囲空間から分離する。実施例によっては、前記化学物質アウトレットは前記反応室を周囲空間から分離する構造又は面を有する。実施例によっては、前記化学物質アウトレットは前記反応室と前記中間空間との間に隙間を有する。
【0007】
実施例によっては、前記装置は、前記光子源(又は前記光子源に備えられる光子放射要素)と前記反応室との間にウィンドウを有する。
【0008】
実施例によっては、前記装置は、前記光子源と前記反応室との間に配されて前記光子が通過することが可能なウィンドウを備え、前記ウィンドウの前記反応室の側をパージするパージ流を供給するように構成される。
【0009】
実施例によっては、前記反応室と前記光子源との間に位置する前記ウィンドウは少なくとも1つのコーティングを有する。このコーティングは、前記光子源から放射された光のスペクトル範囲の少なくとも一部をフィルタリングする。実施例によっては、前記ウィンドウには少なくとも1つの別体のフィルタ要素が提供される。これは、フィルタリングするスペクトル範囲を調整するためである。実施例によっては、フィルタリング後に前記反応室に到達する光子スペクトル範囲は、少なくとも1つの狭スペクトル範囲を有する。そのような「狭スペクトル範囲」とは、例えば、100nm又は150-170nmの範囲中の波長に含まれる、伝達された放射エネルギーの90%の範囲のような範囲である。実施例によっては、フィルタリング後の光子のスペクトルは、区別可能な複数のスペクトル範囲を有する。実施例によっては、区別可能な複数のスペクトル範囲は、プロセスケミカルや基板の好ましい化学的性質により規定される。
【0010】
実施例によっては、前記装置は、前記反応室を(少なくとも部分的に)囲み中間空間を画定する外室と;前記中間空間にガス流を供給する中間空間インレットと;を備える。
【0011】
実施例によっては、前記中間空間が前記反応室を囲む空間を形成する。
【0012】
実施例によっては、前記装置は、前記中間空間インレットから前記化学物質アウトレットへのガス経路を提供する。従って、前記化学物質アウトレットは、前記反応室と前記中間空間の両方から化学物質を吸引する。実施例によっては、前記化学物質アウトレットは、前記隙間を通じて、前記反応室と前記中間空間の両方から化学物質を吸引する。
【0013】
実施例によっては、前記基板支持部は前記基板を前記反応室を通って水平方向に移動するように構成される。
【0014】
実施例によっては、前記基板支持部は前記基板の垂直方向の位置を調節するように構成される。
【0015】
実施例によっては、前記装置は前記基板の表面上への光子の接近を制御又は変更するシャッターを備える。
【0016】
実施例によっては、前記装置は、前記光子源と前記ウィンドウとの間の凹部に保護化学物質流を供給する保護化学物質インレットを備える。
【0017】
実施例によっては、前記凹部に行き渡っている圧力は、周囲環境圧力より大きい。
【0018】
実施例によっては、前記装置は、前記ウィンドウとウィンドウ固定カラーとの間にパッド部を備える。
【0019】
実施例によっては、前記ウィンドウは、両側からパージされる。すなわち、反応室側(又は下側)と、周囲環境圧力側(又は低圧側又は上側)の両方において、パージされる。
【0020】
実施例によっては、前記装置は前記反応室の排気ラインにターボ分子ポンプを備えると共に、前記反応室に発する並行ラインに前記ターボ分子ポンプをバイパスする流量調節デバイスを備える。前記並行ラインは前記ターボ分子ポンプの下流で合流する。
【0021】
実施例によっては、前記基板は前記反応室から前記化学物質アウトレットを超えて前記中間空間へと延びており、前記基板は移動可能な基板ウェブ又は基板ホイルのような巻出・巻取可能な基板(ロールツーロール基板)であり、前記装置は前記基板を前記反応室で区切られた領域内でのみ化学反応を遂行させるように構成される。
【0022】
本発明の第2の例示的側面によれば、次のような方法が提供される。この方法は、
巻出・巻取可能な基板又は基板支持部で支持された基板を反応室に供給することと;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給することと;
前記反応室に反応性化学物質を供給することと;
化学物質アウトレットを通じて前記反応室からガスを排出することと;
を含む。前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離している。
【0023】
実施例によっては、前記化学物質アウトレットは、前記反応室が前記化学物質アウトレットの第1の側にあり、前記中間空間は他の又は反対側にあるように、前記周囲空間から前記反応室を分離している。
【0024】
実施例によっては、前記方法は、前記光子源と前記反応室との間のウィンドウを通じて光子が通過することを可能にすることと、前記ウィンドウの前記反応室の側をパージ流によってパージすることとを含む。
【0025】
実施例によっては、前記方法は、中間空間を画定するべく前記反応室を少なくとも部分的に囲む外室を提供することと、前記中間空間にガス流を供給することとを含む。
【0026】
実施例によっては、前記方法は、前記中間空間インレットから前記化学物質アウトレットへのガス経路を提供することを含む。
【0027】
実施例によっては、前記方法は、前記基板支持部によって前記基板を前記反応室を通るように動かすことを含む。
【0028】
実施例によっては、前記方法は、前記基板支持部によって前記基板の垂直方向の位置を調節することを含む。
【0029】
実施例によっては、前記方法は、シャッターによって、前記基板の表面への光子の接近を制御又は変更することを含む。
【0030】
実施例によっては、前記方法は、前記光子源と前記ウィンドウとの間の凹部に保護化学物質流を供給することを含む。
【0031】
実施例によっては、前記方法は、ターボ分子ポンプを通って前記反応室から排気部へ繋がる第1のルートと、前記ターボ分子ポンプをバイパスする並行ライン中の流量調節デバイス通って前記反応室から排気部へ繋がる第2のルートとを提供することを含む。
【0032】
実施例によっては、前記方法は、ガス排気のために前記第1のルートと前記第2のルートとのいずれかを選択することによって前記反応室の真空レベルを調節することを含む。
【0033】
実施例によっては、前記方法は、移動可能な基板ウェブ又は基板ホイルのような前記巻出・巻取可能な基板(ロールツーロール基板)であって、前記反応室から前記化学物質アウトレットを超えて前記中間空間へと延びる基板を提供することと;
【0034】
前記反応室で区切られた領域内でのみ化学反応を遂行することと;
を含む。
【0035】
実施例によっては、前記方法は、前記反応室内の基板表面に連続自己飽和表面反応を遂行することを含む。
【0036】
本発明の更なる例示的側面によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
基板を処理する反応室と;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給する光子源と;
前記基板を支持する基板支持部と;
前記反応室に反応性化学物質を供給する化学物質インレットと;
前記反応室からガスを排出するための化学物質アウトレットと;
を備える。前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離している。
【0037】
本発明の更なる例示的側面によれば、次のような方法が提供される。この方法は、
反応室内に基板を支持することと;
前記反応室の上側から前記反応室に光子を供給することと;
前記反応室に反応性化学物質を供給することと;
化学物質アウトレットを通じて前記反応室からガスを排出することと;
を含む。前記化学物質アウトレットは周囲空間から前記反応室を分離している。
【0038】
様々な捉え方や実施形態を紹介してきたが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。上述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられたに過ぎない。実施例によっては、特定の例示的側面を参照してのみ提示されるかもしれない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。該実施形態は適宜組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明を、単なる例示を用いて、かつ添付図面を参照して、以下に説明する。
図1】ある実施形態に従う装置の略断面図である。
図2】ある実施形態に従うウィンドウ保護流を示す。
図3】ある実施例に従う装置の一部の透視図を示す。
図4】ある実施形態に従うパージ流の方向を示す。
図5】ある実施形態に従う反応室の略断面図である。
図6】ある実施形態に従う装置の別の略断面図である。
図7】ある実施形態に従う排気ライン構造の概略図である。
【詳細説明】
【0040】
以下の説明において、一例として、原子層堆積(ALD)技術が用いられる。
【0041】
ALD成長メカニズムの基本は当業者の知るところである。ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。基本的なALD堆積サイクルは4つの逐次的工程、すなわち、パルスA、パージA、パルスB、及びパージB、から構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気から構成され、パルスBは別の前駆体蒸気から構成される。パージAおよびパージBでは、反応空間から気体の反応副産物や残留反応物分子をパージ(除去)するために、不活性ガスと真空ポンプが用いられる。堆積シーケンスは少なくとも1回の堆積サイクルにより構成される。所望の厚さの薄膜またはコーティングが生成されるまで堆積サイクルが繰り返されるように、堆積シーケンスが組まれる。堆積サイクルは、簡単にすることも、さらに複雑にすることもできる。例えば、堆積サイクルは、パージステップによって区切られた3回以上の反応物蒸気パルスを含むことができる。また、パージステップのいくつかは省略することもできる。PEALD(Plasma-Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD) のようなプラズマアシスト型ALDや、本明細書で説明される光アシスト型ALD(Photon-Assisted ALD)においては、1つ又は複数の堆積ステップが、表面反応のために必要な追加のエネルギーをプラズマの供給を通じて提供することによって補助される。または、反応前駆体のいずれかがエネルギー(例えば単なる光)によって代替されることができ、単一前駆体によるALDプロセスに繋がる。従って、パルスシーケンス及びパージシーケンスは個々のケースに応じて異なりうる。これらの堆積サイクルは、論理演算装置またはマイクロプロセッサによって制御される、時間的な堆積シーケンスを形成するものである。ALDによって成長した薄膜は緻密でピンホールがなく、かつ均一の厚さを有する。
【0042】
基板処理工程に関して述べると、通常少なくとも1枚の基板が、時間的に離間した複数の前駆体パルスに反応器(又は反応室)内で曝される。それによって、連続自己飽和表面反応で材料が基板表面に堆積される。本出願の記述において、ALDという用語は、全ての適用可能はALDベース技術や、例えば次のALDの亜類型のような、等価又は密接に関連したあらゆる技術を含むものとする。MLD(Molecular Layer Deposition,分子層堆積)、例えばPEALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD)のようなプラズマアシスト型ALD(plasma-assisted ALD)、フラッシュ改良型ALD(flash enhanced ALD)又は光ALDとして知られる光アシスト型ALD(Photon-Assisted ALD))又は光改良型ALD(photon-enhanced ALD)。
【0043】
しかし、本発明はALD技術に限定されない。本発明は広く様々な基板処理装置に生かすことができ、例えば、化学蒸着(CVD)反応装置や、原子層エッチング(ALE)反応装置のようなエッチング装置に利用することもできる。
【0044】
図1は、ある実施形態に従う装置100の略断面図である。装置100は基板処理装置であり、例えば光アシスト型ALDリアクターであることができる。実施例によっては、装置100は反応室130と、光子源105と、基板支持部(又は基板ホルダ)115と、少なくとも1つの化学物質インレット141a、141bと、少なくとも1つの化学物質アウトレット140a、140bとを備える。
【0045】
基板110は基板支持部15によって支持される。実施例によっては、基板支持部115は基板110を、図1において両矢印で示されているように、水平方向に移動するように構成される。この移動は、基板を装填したり取り出したりする際の移動や、基板処理中に反応室130内で基板を移動することであることがある。実施例によっては、基板110は平たい基板やウェーハである。実施例によっては、基板支持部115は基板110を垂直方向に移動するように構成される。実施例によっては、基板支持部115は基板110を水平方向及び垂直方向に移動するように構成される。
【0046】
化学物質インレット141aは、反応室130に反応性化学物質を供給する。実施例によっては、化学物質インレット141aは管又はチューブ状の構造を有する。実施例によっては、化学物質インレット141aは、反応室130内で水平方向に延びる部分を有する。実施例によっては、化学物質インレット141aは、反応性化学物質に暴露される基板110の面の上方において、反応室130内で水平方向に走る部分を有する。実施例によっては、化学物質インレットは、基板表面を目指すように向いた1つ又は複数の開口部を有する。基板表面を目指すように向くために、斜めの角度がつけられている場合がある。実施例によっては、化学物質インレット141aは、反応室の壁面から離間している。
【0047】
化学物質アウトレット140aは、反応室130から化学物質を排出することを可能にする。実施例によっては、化学物質アウトレット140aは管又はチューブ状の構造を有する。実施例によっては、化学物質アウトレット140aは、反応室130内の横側で水平方向に走る部分を有する。実施例によっては、化学物質アウトレット140aは、反応室130を周囲空間から分離する面を有する。実施例によっては、化学物質アウトレット140aの表面は、完全な反応室側壁を形成するか、反応室側壁の一部を形成する。反応室130の前記周囲空間は、反応室130と、反応室130を囲んでいる真空室120の壁との間に形成された中間空160であってもよい。実施例によっては、基板処理の間、中間空間160内は、反応室130の圧力よりも高い圧力を有する。
【0048】
実施例によっては、装置100は、化学物質アウトレット140aと基板支持部115との間に隙間を有する。または、化学物質アウトレット140aの下側において化学物質アウトレット140aと対向する別の面、例えば基板110との間に隙間を有する。実施例によっては、基板支持部115は、前記隙間を一定に保つことを可能にするように、基板110の形状に適合する凹みを有する。言い換えれば、実施例によっては、基板110が前記凹み内におかれているとき、基板支持部115の上面と基板110の上面の高さは同様となる。実施例によっては、前記隙間は水平方向の広がりを有する。このため反応室130の横(又は横の角)で、水平方向のスリットを形成する。化学物質アウトレット140aは、前記隙間に向いた開口部又は複数の開口部のセットを有する。実施例によっては、前記開口部は、化学物質アウトレット140aの底面に位置する。実施例によっては、前記隙間の(水平方向の)全長に亘って複数の前記開口部が分布する。実施例によっては、前記開口部は、少なくとも部分的に、前記基板の方向とは異なる方向に配されている。実施例によっては、化学物質アウトレット140aに接続されるポンプが、反応室130と前記隙間の他の側(すなわち周囲空間(または中間空間160))の両方から、前記隙間を通じて化学物質アウトレット140aへと化学物質を吸引する。図1には、後者の流れが矢印161によって示されている。反応室130と周囲空間との間の圧力差のため、反応室130からの化学物質が周囲空間に入り込むことは防がれている。つまり、周囲空間の圧力は、反応室130から化学物質が漏れ出ることを防ぐ対向圧力を提供する。及び/又は、周囲空間から前記隙間への流れは、反応室130から化学物質が漏れ出ることを防ぐ対向流を提供する。
【0049】
実施例によっては、装置100は複数の化学物質インレットを備える。例えば図1に描かれるように、化学物質インレット141aと、それに対応する化学物質インレット141bを備える。化学物質インレット141bは、化学物質インレット141a及び反応室130に対して対称的に位置してもよい。図1において、インレット141bはインレット141aの反対側に位置している。インレット141aは反応室130に第1の反応性化学物質を供給し、インレット141bは別の反応性化学物質を供給してもよい。
【0050】
同様に、実施例によっては、装置100は複数の化学物質アウトレットを備える。例えば図1に描かれるように、化学物質アウトレット140aと、それに対応する化学物質アウトレット40bを備える。アウトレット140a及び140bは、それぞれ反応室130の反対側の端部に配されてもよい。
【0051】
実施例によっては、光子源105は、反応室130の上側から光子を反応室130に供給する。光子源105は、光子を放射する光子放射要素15を備える。使用される電磁放射は光であってよく、紫外線(UV)や、その他の波長の放射線であることができる。使用される電磁放射に対応して、例えばUVランプ等の適切な光子放射要素15が選択される。
【0052】
実施例によっては、光子放射要素15から放射される光子はウィンドウ150を通って進む。実施例によっては、光子放射要素15はウィンドウ150の周囲環境圧力側に位置する。ここでウィンドウ150の別の側には真空条件が支配している。
【0053】
実施例によっては、反応室130と光子源105との間に位置するウィンドウ150は少なくとも1つのコーティングを有する。このコーティングは図示されていないが、光子源105から放射された光のスペクトル範囲の少なくとも一部をフィルタリングする。実施例によっては、ウィンドウ150には少なくとも1つの別体のフィルタ要素が提供される(図示されていない)。これは、フィルタリングするスペクトル範囲を調整するためである。実施例によっては、フィルタリング後に反応室130に到達する光子スペクトル範囲は、少なくとも1つの狭スペクトル範囲を有する。そのような「狭スペクトル範囲」とは、例えば、100nm又は150-170nmの範囲中の波長に含まれる、伝達された放射エネルギーの90%の範囲のような範囲である。従って実施例によっては、装置100は反応室130に、少なくとも1つの狭スペクトル範囲の光子を供給するように構成される。実施例によっては、フィルタリング後の光子のスペクトルは、区別可能な複数のスペクトル範囲を有する。そのような実施例においては、装置100は反応室130に、少なくとも1つの狭スペクトル範囲の光子を供給するように構成される。実施例によっては、区別可能な複数のスペクトル範囲は、プロセスケミカルや基板110の好ましい化学的性質により規定される。
【0054】
実施例によっては、ウィンドウ150と基板110の間にシャッター155が配される。シャッター155は放射される光子を浴びる基板表面の範囲を制御するために用いられる。実施例によっては、シャッター155は縦方向のチャネル内に位置する。実施例によっては、前記縦方向のチャネルは真空室120の上部の壁を通っている。実施例によっては、シャッター155は、光子源105から放射されたスペクトルの少なくとも一部をブロックするように構成される。
【0055】
実施例によっては、ウィンドウ150の反応室側はパージ流によってパージされる。このため装置は、基板処理中に、ウィンドウ150の反応室側をパージするためのパージ流を提供するように構成される。実施例によっては、このパージ流は、図1の矢印151で描かれる側からウィンドウ150の反応室側に入る。そしてパージ流の流れ方向は基板110へ向かうように下向きに方向を変える。パージ流は、前述の隙間を通って反応室を出て、化学物質アウトレット140a,140bへと入る。
【0056】
基板処理中、基板110は、例えばALDのような望まれた方法で、反応室130内で処理される。例えば、基板は次の物質等に交互に晒されてもよい。
・ 第1の反応性化学物質及び第2の(別の)反応性化学物質;
・ 第1の反応性化学物質及び光子暴露に補完される第2の反応性化学物質;
・ 第1の反応性化学物質及び光子暴露(単一前駆体プロセス)。
【0057】
処理中、基板110は完全に反応室130内に位置していてもよい。しかし実施例によっては、図1に示されているように、前述の隙間を超えて基板110が存在してもよい。後者の場合、化学反応(例えば堆積)は、その時間において反応室130の範囲内に存在する領域内においてのみ生じてもよい。このような例示的構成の1つに、ロール・ツー・ロール堆積装置がある(図示されていない)。ロール・ツー・ロール堆積装置は、反応室130の両端にロールを有する。すなわち、巻き出しロール(unwind roll)及び巻き取りロール(rewind roll)である。このようなシステムや、前述の隙間を超えて基板110が存在する他のシステムにおいて、図1図5に示される部分115は実際は巻き出し・巻き取り可能な基板を表すことがある。例えば可動基板ウェブ又は可動基板ホイルを表すことがある。
【0058】
実施例によっては、反応室130(及び実施例によっては真空室120)は、図示されない適切な加熱又は冷却装置によって加熱又は冷却される。実施例によっては、このような加熱又は冷却手段は、加熱又は冷却手段と加熱又は冷却される空間の外部との間に断熱手段を有する。
【0059】
図2は、ある実施形態に従うウィンドウ保護流(前述のパージ流)を示す。前述のように、実施例によっては、装置100は、光子放射要素15と基板110(又は反応室130)との間にウィンドウ150を備える。実際的な実施形態において、ウィンドウ150は、装置100の真空圧側を周囲環境圧力側から隔離する。ウィンドウ150は、フレーム部148によりその上部がシール面に対して押し付けられることで固定されている。実施例によっては、前記シール面は、ウィンドウ150において前記押し付けられている面の反対側(又は真空圧側)に位置する対向部(主部等)147によって提供される。実施例によっては、対向部147は溝と、前記溝内のシール(例えばOリングシール)152とを有する。実施例によっては、装置100は保護流ガイド部146を備える。保護流ガイド部146はウィンドウ150の下側(又はウィンドウ150の真空圧側)に位置する。実施例によっては、保護流ガイド部146は、ウィンドウ150の反応室側の面上にパージ流を案内する。実施例によっては、部品146-148は金属で作られる。
【0060】
実施例によっては、ウィンドウ150とフレーム部(又はカラー部)148との間にパッド部149が配される。実施例によっては、パッド部149は柔らかい及び/又は弾性を有する金属部品であり、例えば軟質金属合金部品である。パッド部149として適切な素材は、例えばEN-AW1050アルミニウムである。これは非常に柔らかい合金である。パッド部149の目的は、ウィンドウ150が被るストレスを軽減することである。
【0061】
ウィンドウ150の周囲環境圧力側において、フレーム部148は、適切なシール方法によって次の部分(例えば上部ボディ部)に対してシールされる。例えばフレーム部148は、内部にシール153が配された溝を有してもよい。
【0062】
実施例によっては、ウィンドウ150と光子放射要素15との間に凹部が形成されてもよい(図2には要素15は図示されていない)。凹部154はウィンドウ150の周囲環境圧力側にあり、その下部はウィンドウ150の上側で画定される。
【0063】
凹部154は図3,4に更に示される。例えば窒素のような不活性ガスが第1のフィッティング181からチャネル(第1のチャネル)に供給される。第1のチャネルはフレーム部148を通過する。このチャネルは凹部154で終端する。実施例によっては、前記チャネル内の流量は(例えば調節可能なオリフィス)のような調節デバイス156によって調節される。調節デバイス156は前記チャネルに取り付けられてもよいし、前記チャネルによって構成されてもよい。不活性ガスは、凹部入口から凹部154を横切って凹部出口へと流れ、その過程でウィンドウ150の周囲環境圧力側をパージする。実施例によっては、凹部154を横切る不活性ガスの流れは、矢印171で図示されるように、凹部の対角方向に生じる。前記凹部出口から第2のチャネルが始まる。第2のチャネルはフレーム部148を貫通する。第2のチャネルは第2のフィッティングから光子源105を退出する。実施例によっては、第2のチャネル内の流量は(例えば調節可能なオリフィス)のような調節デバイス157によって調節される。調節デバイス157は第2のチャネルに取り付けられてもよいし、第2のチャネルによって構成されてもよい。
【0064】
実施例によっては、凹部154内の圧力は、周囲環境圧力(室内圧力)に比べて高いレベルに維持される。これは、周囲の空気が空洞154に漏れ入ることを防ぐためである。実施例によっては、凹部154の圧力は調節デバイス156,157によって調節される。例えば、実施例によっては、凹部154内の圧力の上昇は、凹部154から出ていく不活性ガスに比べて多くの量の不活性ガスを凹部154に入り込ませることにより達成される。
【0065】
図5は、ある実施形態に従う、図1に描いたタイプの装置の反応室領域の拡大図である。装置の一般的な構造及び動作については図1の説明を参照されたい。
【0066】
化学物質インレット141a,141bは、基板110の表面を目指すように向いた1つ又は複数の開口部を有する。これらの開口部は方向性を有する孔によって実装されてもよい。実施例によっては、化学物質インレット141a,141bは、基板表面を指す開口部の角度を調節するために、回転可能である。図5は、更なる化学物質インレット142a,142bを描いている。これら追加の化学物質インレット142a,142bの構造及び機能は化学物質インレット141a,141bと基本的に同じである。実施例によっては、図5に描かれるように、追加の化学物質インレット142a,142bは、反応室130の角に向けて不活性ガスを流すための開口部又は方向性を有する孔を備える。これは、当該角をパージするためである。化学物質アウトレット140a,140bは、反応室130と中間空間160の両方から化学物質を吸引する。到来する光子は矢印502によって示されている。
【0067】
図6は、ある実施形態に従う装置100の別の略断面図である。装置100は、台車(carriage)の形態の基板支持部115を有する。基板110は基板支持部15の上側で支持される。実施例によっては、基板支持部115は、基板支持部115及び基板110を水平方向に移動させるための、車輪のような移動要素635を少なくとも1つ備える。
【0068】
実施例によっては、基板支持部115は高さ調節機構を有する。この高さ調節機構は、例えば基板支持構造の内部に設けられた1つ又は複数のスクリューであってもよい。図6においてこの高さ調節機構は縦方向の両矢印で描かれている。実施例によっては、化学物質アウトレット140aと基板支持部115との間に隙間の高さが、前記高さ調節機構によって調節される。
【0069】
実施例によっては、基板支持部115は、(矢印で描かれるように)不活性ガスを中間空間160へ流れ込ませるための中間空間インレット690を備える。この不活性ガスは、前記隙間を通じて中間空間160を退出し、化学物質アウトレット140a,140bに吸い込まれる。実施例によっては、中間空間インレット690は追加的又は代替的に別の場所に設けられる。例えば、真空室120の壁に設けられる。
【0070】
実施例によっては、1つ又は複数の基板110は、真空室120の壁に設けられるポート631を通じて、中間空間160又は反応室130内に装填される。1つ又は複数の基板110は、ポート631を通じて基板支持部上に装填されてもよい。又は基板を支持した台車が基板と共にポート631を通じて装填されてもよい。基板の取り出しは、同じポート631を通じて行われる場合や、別のポート(例えばポート632)を通じて行われる場合がある。ポート632は、真空室120においてポート631とは反対側の壁に設けられてもよい。ロール・ツー・ロールの堆積反応装置の場合、巻き出し・巻き取りされることが可能な基板は、ポート631と632との間を移動してもよい。
【0071】
実施例によっては、基板支持部は反応室130の外側に位置する。実施例によっては、基板支持部115は、反応室130内の底面のみを形成する。中間空間160内における基板支持部115の水平移動によって、基板110は反応室130内を水平方向に移動する。
【0072】
実施例によっては、光子源105は装置または真空室(蓋)構造に着脱可能に取り付けられている。実施例によっては、装置100又は光子源105は、取り付け部621と固定手段622(例えばスクリュー又はボルト)を備える。実施例によっては、光子源105は、整備のために、縦方向(上方向)に着脱可能である。
【0073】
図7は、ある実施形態に従う排気ライン構造の概略図である。排気ラインシステムは、反応室130及び中間空間160から化学物質を排出する。排気ラインシステムは、化学物質アウトレット140a,140bの形態で、反応室130及び中間空間160から始まり、また別のオプション的なアウトレット791から始まる。実施例によっては、アウトレット140a,140bは、ポンプチューブのような種類の構造を意味する。化学物質は、そのようなポンプチューブに沿って、反応室130及び中間空間160から流出する。実施例によっては、排気ラインシステムは2つの並行的なライン744,745に分けられる。反応室130からの化学物質アウトレット140a,140bは、第1のブランチ744へとつながっていく。実施例によっては、オプションのアウトレット791は第2のブランチ745へとつながっていく。ブランチ744は真空ポンプを有し、好ましくはターボ分子ポンプ71である。ブランチ755は並行に配された2つのバルブ(バルブ74及び75)を有する。実施例によっては、ブランチ744と745は、(何らかのポンプの前で、又はポンプ71の前で、)バルブ73によって隔てられている。実施例によっては、要求に沿ってブランチ745を開閉するために、バルブ74と75が用いられる。実施例によっては、バルブ74には制限手段が組み込まれているか(restricted)、又は少なくとも部分的に制限する手段が組み込まれている。バルブ74に制限手段が組み込まれているため、実施例によっては、様々な圧力領域で動作しているとき、反応室130及び中間空間160の排出が、一つのバルブのみを用いるよりも、より均一となる。実施例によっては、ライン744は、ゲートバルブのような、流量調節デバイス72を備える。実施例によっては、流量調節デバイス72はポンプ71の上流に配される。要素71-75の下流においてブランチ744及び745は合流し、実施例によっては真空ラインへと繋がっていく。実施例によっては、真空ラインの先にポンプ又は真空ポンプが設けられる。実施例によっては、バルブ73は、(閉弁することにより)化学物質の逆流を防ぐために用いられる。実施例によっては、バルブ73は、(開弁することにより)、(ターボ分子)ポンプ71がオンにされる前に、アウトレット140a,140b及びオプションで791を用いて(素早く)排出するために用いられる。そのとき、ブランチ744を通じた流れは、流量調節デバイス72によって制限されるか又は閉じられる。
【0074】
実施例によっては、反応室130から真空ラインへの第1のルートは(ターボ分子)ポンプ71を通じて提供され、反応室130から真空ラインへの第2のルートは、ターボ分子ポンプ71をバイパスする並行ライン中の流量調節デバイス又はバルブである要素74及び/又は75を通じて提供される。実施例によっては、反応室130内の真空レベルは上述のルートの選択によって調節される。実施例によっては、(ターボ分子)ポンプ71を始動するにあたり、ゲートバルブ72が開き、バルブ73,74,75は閉じる。
【0075】
本件において開示される1つ又は複数の実施例の技術的効果のあるものを以下に示す。ただし、これらの効果は特許請求の範囲および解釈を制限するものではない。技術的効果の1つは、低圧下でALD反応を提供することである。別の技術的効果の1つは、光子源と反応室との間のウィンドウを保護すること、又は、光子源からの光子が反応室への経路が、溶かすようなガス(deglaciating gases)に暴露されることから保護することである。別の技術的効果の1つは、ポンプラインに接続されるポイントで、中間空間と反応室との境界を定めることにより、移動する基板上に反応空間を形成することである。実施例によっては、ポンプラインは、光ALDプロセスで必要とされる反応室の排気を可能とするターボ分子ポンプラインである。別の技術的効果の1つは、化学物質インレットからの化学物質の流れを異なる方向に調整し、化学物質の流れが基板に向かうように、しかし前記ウィンドウからは遠ざかるようにすることで、光ALDプロセスを最適化することである。別の技術的効果の1つは、前記ウィンドウの両側をパージすることで、前記ウィンドウの両側を保護することである。
【0076】
以上の説明により、本発明の特定の実装および実施形態の非限定例を用いて、発明者によって現在考えられている、本発明を実施するための最良の形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。
【0077】
さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。よって、本発明の範囲は添付の特許請求のみによって制限されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7