(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】デッキプレート受材
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20250401BHJP
E04B 5/40 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
E04G21/32 A
E04B5/40 E
(21)【出願番号】P 2024182177
(22)【出願日】2024-10-17
【審査請求日】2024-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100193390
【氏名又は名称】藤田 祐作
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】奥原 陽平
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実公平7-6375(JP,Y2)
【文献】特開平10-131510(JP,A)
【文献】国際公開第2019/069246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04B 5/40
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、
前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、
を有し、
前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有
し、
前記デッキプレート載置部は、断面がL字状のアングル材であり、
前記取付材はJ字状の鋼棒であり、直線部の下端から前記引掛部を連続させた構成を有し、
前記直線部の上部が前記デッキプレート載置部の前記鉛直部に溶接されたことを特徴とするデッキプレート受材。
【請求項2】
プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、
前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、
を有し、
前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有
し、
前記取付材はJ字状の鋼棒であり、直線部の下端から前記引掛部を連続させた構成を有し、
前記直線部の上部が前記デッキプレート載置部の前記鉛直部に溶接され、
前記直線部の上端が、前記デッキプレート載置部の前記水平部に突き当てられたことを特徴とするデッキプレート受材。
【請求項3】
プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、
前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、
を有し、
前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有
し、
前記取付材が、前記デッキプレート載置部に固定された取付治具に、着脱可能に取り付けられ、
前記取付治具は、前記取付材を通して配置するものであり、
前記取付材は、前記取付治具からの脱落を防止するための抜け止め部を有することを特徴とするデッキプレート受材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキプレートを敷くためのデッキプレート受材に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のプレキャスト梁の間にデッキプレートを敷き、その上にコンクリートを打設してデッキスラブを構築することがある。この場合、各プレキャスト梁の側面にデッキプレート受材を固定し、これらのデッキプレート受材にデッキプレートの両側の縁部を載置する。これにより、一対のプレキャスト梁の間にデッキプレートを架け渡す。
【0003】
デッキプレートを敷き詰めて作業足場を完成させるまでは、作業者の墜落や資材の落下を防止するため、一対のプレキャスト梁の間で、デッキプレートよりも下方に水平ネットを張る必要がある。プレキャスト梁には、水平ネットを取り付けるための取付材として吊り金具が設けられる。水平ネットは、吊り金具のフックに引っ掛けて保持される。
【0004】
特許文献1、2には、このような吊り金具の例が記載されている。特許文献1の吊り金具は、ネジによって梁の側面等に固定するものであり、特許文献2の吊り金具は、鉄骨梁のフランジを挟み込んで締付けボルトで固定するものである。その他、吊り金具としては、RCネットハンガー(登録商標)など、プレキャスト梁の側面に仕込んだインサートにねじ込んで固定するものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3247889号公報
【文献】実公平6-36170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、水平ネットの配置には多くの吊り治具を要する。これらの吊り治具を梁に固定して設置することは、現場での作業手間を増加させ、工程を遅延させる要因となっていた。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、水平ネット等を取り付ける取付材の設置手間を軽減できるデッキプレート受材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための第1の発明は、プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、を有し、前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有し、前記デッキプレート載置部は、断面がL字状のアングル材であり、前記取付材はJ字状の鋼棒であり、直線部の下端から前記引掛部を連続させた構成を有し、前記直線部の上部が前記デッキプレート載置部の前記鉛直部に溶接されたことを特徴とするデッキプレート受材である。
【0009】
本発明のデッキプレート受材では、水平ネットなど落下防止用の面材を引掛けて保持する取付材が、デッキプレートの縁部を載置するデッキプレート載置部に設けられる。そのため、デッキプレート載置部をプレキャスト梁の側面に固定すると同時に取付材の設置が完了し、取付材の設置手間を軽減できる。また引掛部は、デッキプレートから下方に十分離れた位置となるので、引掛部に引掛けた面材が、デッキプレート上で行われる溶接作業時の溶接火花等により焦げたりするのを防止することができる。
【0010】
前記取付材は、前記デッキプレート載置部に固定され、着脱不可である。
デッキスラブの構築後に取付材を天井内に残置する場合や、取付材を容易に切断して撤去できる場合には、取付材をデッキプレート載置部に対して着脱不可となるように固定することで、デッキプレート受材の製作費を低減できる。
【0011】
第2の発明は、プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、を有し、前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有し、前記取付材はJ字状の鋼棒であり、直線部の下端から前記引掛部を連続させた構成を有し、前記直線部の上部が前記デッキプレート載置部の前記鉛直部に溶接され、前記直線部の上端が、前記デッキプレート載置部の前記水平部に突き当てられたことを特徴とするデッキプレート受材である。
取付材は、上記の直線部と引掛部とを有するJ字状の鋼棒とすることで、取付材の製作やデッキプレート載置部への固定が容易になる。また直線部の上端をデッキプレート載置部の水平部に突き当てて配置することで、引掛部の鉛直方向の位置管理が容易になる。
【0012】
第3の発明は、プレキャスト梁の側面に固定される鉛直部と、デッキプレートの縁部を載置する水平部と、を有するデッキプレート載置部と、前記デッキプレート載置部に設けられる、落下防止用の面材を取り付けるための取付材と、を有し、前記取付材は、前記面材を引掛けるための引掛部を、前記デッキプレート載置部よりも下方に有し、前記取付材が、前記デッキプレート載置部に固定された取付治具に、着脱可能に取り付けられ、前記取付治具は、前記取付材を通して配置するものであり、前記取付材は、前記取付治具からの脱落を防止するための抜け止め部を有することを特徴とするデッキプレート受材である。
デッキスラブの構築後に取付材を撤去したい場合は、取付材を、デッキプレート載置部に固定された取付治具に対して着脱可能とすることもできる。撤去した取付材は他の現場で転用可能である。また上記の抜け止め部を設けることで、取付材が取付治具から脱落するのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水平ネット等を取り付ける取付材の設置手間を軽減できるデッキプレート受材等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】水平ネット5を取付材3の引掛部32に引っ掛けた状態を示す図。
【
図4】引掛部32の先端を直線部31側に傾斜させた例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデッキプレート受材1の概略を示す図である。デッキプレート受材1は、一対のコンクリート製のプレキャスト梁100の間にデッキプレート200を敷き、その上にコンクリートを打設してデッキスラブを構築する際に、プレキャスト梁100に固定して用いられる。
図1は、デッキプレート受材1について、プレキャスト梁100の梁軸方向と直交する断面を示したものである。プレキャスト梁100の梁軸方向は、
図1の紙面法線方向に対応する。
【0017】
デッキプレート受材1は一対のプレキャスト梁100のそれぞれに固定され、デッキプレート200が、両プレキャスト梁100に固定したデッキプレート受材1の間に架け渡される。
図1では、一対のプレキャスト梁100のうち一方のプレキャスト梁100と、当該プレキャスト梁100に固定されるデッキプレート受材1とを示しているが、他方のプレキャスト梁100および当該プレキャスト梁100に固定されるデッキプレート受材1も、同様の構成を有する。
【0018】
図1に示すように、デッキプレート受材1は、デッキプレート載置部2と取付材3とを有する。
【0019】
デッキプレート載置部2は、デッキプレート200の縁部を載置するための部材である。デッキプレート載置部2は、プレキャスト梁100の梁軸方向の側面101に固定される鉛直部21と、デッキプレート200の縁部を載置する水平部22と、を有する。
【0020】
本実施形態では、デッキプレート載置部2としてアングル材が用いられる。アングル材は長尺の鋼材であり、長手方向をプレキャスト梁100の梁軸方向に合わせて配置される。アングル材の長手方向と直交する断面はL字状であり、その一辺が上記の鉛直部21となり、別の一辺が上記の水平部22となる。デッキプレート200の縁部は、水平部22に溶接して固定される。
【0021】
図2は、
図1の線A-Aによる断面を示したものである。デッキプレート載置部2の鉛直部21は、固定具4によってプレキャスト梁100の梁軸方向の側面101に固定される。固定具4は例えば頭付きのボルトであり、その軸部を鉛直部21の孔(不図示)に通し、プレキャスト梁100の側面101に埋設したインサート(不図示)に螺合する。これにより、デッキプレート載置部2をプレキャスト梁100の側面101に締め付けて固定することができる。プレキャスト梁100の梁軸方向における固定具4の間隔は、デッキプレート200に作用するコンクリート打設時の荷重などから決定される。
【0022】
取付材3は、水平ネット5を取り付けるためのものである。
図1に示すように、取付材3は、鉄筋等の鋼棒をJ字状に折り曲げたものであり、直線部31の下端から引掛部32を連続させた構成を有する。引掛部32は、鋼棒の端部をフック状に折り返した部分であり、水平ネット5を引っ掛けて保持するために用いられる。取付材3は、鋼棒に対し一般的な曲げ加工を行うことで容易に製作できる。
【0023】
直線部31は鉛直方向に延び、その上部がデッキプレート載置部2の鉛直部21に溶接される。これにより、取付材3がデッキプレート載置部2に対して着脱不可となるように固定される。
図2に示すように、取付材3は、プレキャスト梁100の梁軸方向に間隔を空けて複数固定される。
【0024】
直線部31の溶接作業は、例えば、プレキャスト梁100を用いた建物の施工現場の敷地内の加工場で実施される。デッキプレート載置部2のプレキャスト梁100への固定も同じく現場敷地内の加工場で行われ、デッキプレート受材1(デッキプレート載置部2と取付材3)を固定した状態のプレキャスト梁100が、クレーン等で揚重されて目的の箇所に架設される。しかしながら、作業手順はこれに限らない。例えば、現場外の工場でデッキプレート載置部2に取付材3の直線部31を予め溶接しておいてもよい。
【0025】
直線部31の上端は、デッキプレート載置部2の水平部22に下から突き当てられる。これにより、直線部31の溶接作業時に直線部31の位置決めが可能となり、引掛部32の鉛直方向の位置管理が容易になる。
【0026】
引掛部32は、デッキプレート載置部2よりも下方に位置する。引掛部32の鉛直方向の長さL1は、引掛部32に引掛けた水平ネット5が簡単に抜けるのを防ぐように設定される。また直線部31の長さL2は例えば250mm程度であり、引掛部32を、デッキプレート載置部2の水平部22より250mm程度低い位置で直線部31から連続させる。しかしながら、長さL2は上記に限ることはなく、引掛部32がデッキプレート載置部2よりも下方に位置する限りにおいて、様々に定めることができる。
【0027】
水平ネット5は、作業者の墜落や資材の落下を防止するための落下防止用の面材であり、樹脂等による線材を網状に組み合わせたものである。水平ネット5は、一対のプレキャスト梁100を目的の箇所に架設した後、デッキプレート200の設置作業を開始する前に設けられる。
【0028】
図3に斜視図として示すように、水平ネット5は、その網目に引掛部32を通して引掛けられ、一対のプレキャスト梁100の間で、デッキプレート200の下方に当たる高さに配置される。
【0029】
このように、本実施形態のデッキプレート受材1では、水平ネット5を引掛けて保持する取付材3が、デッキプレート200の縁部を載置するデッキプレート載置部2に設けられる。そのため、デッキプレート載置部2をプレキャスト梁100の側面101に固定すると同時に取付材3の設置が完了し、取付材3の設置手間を軽減できる。また引掛部32は、デッキプレート200から下方に十分離れた位置となるので、引掛部32に引掛けた水平ネット5が、デッキプレート200上で行われる溶接作業時の溶接火花等により焦げたりするのを防止することができる。
【0030】
また取付材3は、直線部31と引掛部32とを有するJ字状の鋼棒とすることで、取付材3の製作やデッキプレート載置部2への固定が容易になる。また直線部31の上端をデッキプレート載置部2の水平部22に突き当てて配置することで、引掛部32の鉛直方向の位置管理が容易になる。
【0031】
しかしながら、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、取付材3の形状は
図1等に示したものに限らない。一例として、
図4に示すように、取付材3の引掛部32の先端を、直線部31側に近づくように傾斜させてもよい。これにより、引掛部32から水平ネット5が抜けにくくなる。
【0032】
またデッキプレート載置部2の形状も、プレキャスト梁100の側面101に固定する鉛直部21と、デッキプレート200の縁部を載置する水平部22とを有していれば、特に限定されない。
【0033】
また本実施形態では落下防止用の面材として網状の水平ネット5を設けているが、落下防止用の面材が水平ネット5に限ることはなく、作業者の墜落や資材の落下を防止する機能を有していればよい。
【0034】
また本実施形態では、取付材3をデッキプレート載置部2に固定し、デッキプレート載置部2に対し着脱不可としているが、取付材は、デッキプレート載置部2に対して着脱可能に取り付けても良い。以下、着脱可能な取付材の例を第2の実施形態として説明する。第2の実施形態は第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
【0035】
[第2の実施形態]
図5(a)は、本発明の第2の実施形態に係るデッキプレート受材10について、プレキャスト梁100の梁軸方向と直交する断面を示した図である。プレキャスト梁100の梁軸方向は、
図5(a)の紙面法線方向に対応する。
【0036】
図5(a)に示すように、デッキプレート受材10は、デッキプレート載置部2と取付材30とを有する。取付材30は、前記の直線部31と引掛部32に加え、直線部31の上端から水平方向に突出する突出部33を有する構成となっている。突出部33は、平面において、引掛部32の反対側に設けられる。
【0037】
図5(b)に示すように、突出部33は、デッキプレート載置部2の水平部22の下面に固定された取付治具23に通される。
図5(b)は
図5(a)の線B-Bによる断面を示したものである。取付治具23はU字状の断面を有し、その内部に取付材30の突出部33が通される。
【0038】
突出部33の先端は、取付治具23からプレキャスト梁100側に突出する。突出部33の先端には、取付材30の取付治具23からの脱落防止のため、抜け止め部34が設けられる。抜け止め部34は、突出部33の先端から下方に突出する板状の部材であり、取付治具23に引っ掛かることで取付材30の脱落を防止する。
【0039】
抜け止め部34は、突出部33の先端に通された軸331を中心として鉛直面内で回転可能である。取付材30の着脱時には、
図5(a)の符号34’で示すように抜け止め部34を回転させ、突出部33と同方向に延びるように配置する。これにより、突出部33および抜け止め部34の取付治具23への挿入と抜き取りを行い、取付材30の着脱を行うことができる。
【0040】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また取付材30を取付治具23に対して着脱可能に取り付けることで、デッキスラブの構築後に取付材30を撤去し、他の現場で転用することができる。また本実施形態では、上記の抜け止め部34を設けることで、取付材30が取付治具23から脱落するのを確実に防止できる。
【0041】
一方、第1の実施形態では、取付材3をデッキプレート載置部2に固定し、デッキプレート載置部2に対し着脱不可とすることで、上記の取付治具23が不要となるなど、固定に係る構成を簡易なものとできる。デッキスラブの構築後に取付材3を天井内に残置する場合や、取付材3を容易に切断して撤去できる場合には、取付材3をデッキプレート載置部2に対し着脱不可となるように固定することで、デッキプレート受材1の製作費を低減できる。取付材をデッキプレート載置部2に対し着脱不可とするか着脱可能とするかは、取付材およびその施工に係る費用、取付材を取り外す必要性、取付材の転用回数等を考慮して決定できる。
【0042】
なお、着脱可能な取付材は
図5(a)の例に限定されない。
図6(a)は、着脱可能な別の取付材30aを用いたデッキプレート受材10aを、プレキャスト梁100の梁軸方向と直交する断面において示したものである。取付材30aは、前記の取付材30と同様、直線部31の上下から突出部33と引掛部32とが連続する構成であるが、取付材30aの取付治具24からの脱落を防止するための抜け止め部として、突出部33と取付治具24とを貫通する頭付きのピン35が設けられる。
【0043】
図6(b)は
図6(a)の線C-Cによる断面を示したものである。取付治具24は、プレキャスト梁100の梁軸方向(
図6(b)の左右方向に対応する)に間隔を空けて突出部33の両側に配置される一対の板材であり、デッキプレート載置部2の水平部22の下面に固定される。抜け止め部であるピン35は、上記の取付治具24と、取付治具24の間に通される突出部33とを貫通するように設けられる。
【0044】
ピン35の先端には、取付治具24および突出部33からピン35が脱落するのを防止するため、クリップ等の脱落防止部材36が着脱可能に設けられる。脱落防止部材36は、取付治具24に引っ掛かることでピン35の脱落を防止する。取付材30aを取付治具24から取り外す時は、脱落防止部材36をピン35から取り外し、ピン35を取付治具24および突出部33から抜き取ればよい。
【0045】
図7は、着脱可能な取付材30bを用いたデッキプレート受材10bを、プレキャスト梁100の梁軸方向と直交する断面において示したものである。取付材30bは直線部31と引掛部32とを有するJ字状の鋼棒であるが、直線部31の上部に雄ネジを設け、当該雄ネジをデッキプレート載置部2の水平部22の下面に固定した取付治具27に螺合することで、取付治具27に対し着脱可能に取り付ける。
【0046】
取付治具27は長ナットであり、雄ネジの螺合時に水平面内で回転する引掛部32がプレキャスト梁100と干渉しないよう、水平部22のプレキャスト梁100から離れた位置に溶接される。引掛部32とプレキャスト梁100との干渉の問題が無ければ、取付治具27をデッキプレート載置部2の鉛直部21に固定することも可能である。
【0047】
図8は、着脱可能な取付材30cを用いたデッキプレート受材10cを示した斜視図である。デッキプレート受材10cでは、デッキプレート載置部2の鉛直部21に取付治具28が溶接等で固定される。取付治具28は筒状の鋼製部材であり、周方向の一部にスリット281を設けたC字状の断面を有する。
【0048】
取付材30cは、前記の取付材30、30aと同様、直線部31の上下から突出部33と引掛部32とが連続する構成であるが、突出部33は、平面において引掛部32と同じ側に設けられる。
【0049】
取付材30cは、スリット281から取付治具28内に挿入される。突出部33は、取付治具28に通した取付材30cが、取付治具28から脱落するのを防止する抜け止め部として用いられる。すなわち、取付治具28の上端には、周方向の一部の、スリット281を除く位置で凹状の切り欠き282が設けられており、取付材30cの突出部33を切り欠き282内に収容することで、取付材30cの取付治具28からの脱落が防止される。
【0050】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0051】
1、10、10a、10b、10c:デッキプレート受材
2:デッキプレート載置部
3、30、30a、30b、30c:取付材
4:固定具
5:水平ネット
21:鉛直部
22:水平部
23、24、27、28:取付治具
31:直線部
32:引掛部
33:突出部
34:抜け止め部
35:ピン
36:脱落防止部材
100:プレキャスト梁
101:側面
200:デッキプレート
【要約】
【課題】水平ネット等を取り付ける取付材の設置手間を軽減できるデッキプレート受材等を提供する。
【解決手段】デッキプレート受材1は、プレキャスト梁100の側面101に固定される鉛直部21と、デッキプレート200の縁部を載置する水平部22と、を有するデッキプレート載置部2と、デッキプレート載置部2に設けられる、水平ネット5を取り付けるための取付材3と、を有する。取付材3は、水平ネット5を引掛けるための引掛部32を、デッキプレート載置部2よりも下方に有する。
【選択図】
図1