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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】グローブ
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20250402BHJP
【FI】
A41D19/00 L
A41D19/00 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023194857
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】523433963
【氏名又は名称】株式会社プロモーションジャム
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】神 正人
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-069814(JP,U)
【文献】実開昭57-069818(JP,U)
【文献】実開昭49-076813(JP,U)
【文献】実開昭63-115018(JP,U)
【文献】登録実用新案第3179955(JP,U)
【文献】特開2010-013767(JP,A)
【文献】特開2021-191909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0107476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0146373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に着用されるグローブであって、
手首から手の甲及び手の平までを覆うグローブ本体と、指を覆う筒状体で基端部がグローブ本体に接続される指本体と、から構成され、
指本体は、先端部が閉塞された一乃至複数の閉塞指部と、所定箇所で切断され先端部が開放された少なくとも親指及び人差し指を含む複数の開放指部と、から成り、
少なくとも一の該開放指部に、開放端からグローブ本体へ向け一乃至複数のスリットが形成されて成ることを特徴とするグローブ。
【請求項2】
前記開放指部が、中指に備えられて成ることを特徴とする請求項1に記載のグローブ。
【請求項3】
前記開放指部の開放端が、指の第一関節近傍に位置するよう形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載のグローブ。
【請求項4】
前記閉塞指部の先端を伸縮素材で形成し、間隙から指先を突出可能であることを特徴とする請求項1に記載のグローブ。
【請求項5】
前記グローブ本体に、腕部の所定箇所まで延伸する日焼け防止カバーが備えられて成ることを特徴とする請求項1に記載のグローブ。
【請求項6】
前記グローブ本体または/及び指本体の掌側に、滑り止め加工が施されて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のグローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手に着用するグローブに関し、詳しくは、郵便の仕分けなど各種作業に有用なグローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば郵便の配達業務において、自転車やバイクの運転などで手の保護を目的とし、グローブを着用することが多い。しかしながら、大量の手紙や封筒等の仕分けといった細かい作業を行う際は、指先を露出若しくは指先に指サックを装着するため、グローブを外す必要があった。また、指の部分が露出した指なしグローブを着用した場合は、初めから指先が露出されているため、指サック等の装着は容易であるものの、通常のグローブと比較し、グリップ力の低下や指部分の保護が難しいなどの問題があった
そこで、手指の露出部分を少なくしつつ、必要に応じて指先の露出が容易なグローブが求められていた。
【0003】
上記問題を解決すべく、従来、実用登録第3178845号公報(特許文献1)や、特許第6474009号公報(特許文献2)に記載の技術提案がなされている。すなわち、特許文献1では、指通しの部分に取外用部材を接続させた指先開放型の手袋の技術提案がなされている。また、特許文献2では、伸縮性のある素材で親指と親指以外の指を覆うことが可能な手袋の技術提案がなされている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術提案によれば、夫々の指通しの部分に接続される取外用部材は、手から手袋を取り外すために接続されたものであり、指サックの装着や手指の露出を抑える効果が発揮されず、上記問題を解決するものではなかった。
また、上記特許文献2の技術提案によれば、親指以外がまとめて覆われているため、人差し指や中指を使用する作業時は親指以外の指も同時に露出されることとなり、手指の露出を抑える効果を発揮することができず、やはり上記問題の解決には至っていない。
【0005】
本出願人は、グローブの着用時において、指先の露出や指サックの装着が可能なグローブができないものか、との着想のもと、指の部分を露出させた指なしグローブに着目し、指先の露出が必要な指と不要な指とで被覆箇所を選択的に分離したグローブを開発し、本発明にかかる「グローブ」の提案に至ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用登録第3178845号公報
【文献】特許第6474009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、指先の露出部分を減少させつつ、着用中でも指サックの装着が可能なグローブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、手に着用されるグローブであって、手首から手の甲及び手の平までを覆うグローブ本体と、指を覆う筒状体で基端部がグローブ本体に接続される指本体と、から構成され、指本体は、先端部が閉塞された一乃至複数の閉塞指部と、所定箇所で切断され先端部が開放された少なくとも親指及び人差し指を含む複数の開放指部と、から成る手段を採る。
【0009】
また、本発明は、前記開放指部が、中指に備えられて成る手段を採る。
【0010】
さらに、本発明は、前記開放指部に、開放端からグローブ本体へ向け一乃至複数のスリットが形成されて成る手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、前記開放指部の開放端が、指の第一関節近傍に位置するよう形成されて成る手段を採る。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記閉塞指部の先端を伸縮素材で形成し、間隙から指先が突出可能である手段を採る。
【0013】
またさらに、本発明は、前記グローブ本体に、腕部の所定箇所まで延伸する日焼け防止カバーが備えられて成る手段を採る。
【0014】
そしてまた、本発明は、前記グローブ本体または/及び指本体の掌側に、滑り止め加工が施されて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるグローブによれば、指本体にて、所定箇所で切断され先端部が開放された少なくとも親指及び人差し指を含む複数の開放指部が備えられることにより、閉塞指部にて被覆された指と比べ指先に素手同様の感覚を実現できると共に、指サック等の装着が可能となり、書類の仕分けや小物を摘む等といった精密動作(以下、単に「精密動作」という。)に資することとなる。
尚、親指と人差し指に加え、中指にも開放指部を備えることにより、精密動作を行う際に把持力の強化が見込めると共に、三点で把持することで安定感が増す、といった優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明にかかるグローブによれば、開放指部の開放端からグローブ本体へ向け一乃至複数のスリットが形成されていることにより、指サックを着用した際に開放指部の先端部分が巻き込まれるのを防ぐと共に、該指サックの基端部に開放指部の先端部分を重ね被せることで、指肌の露出を抑えることも可能となる。
【0017】
さらに、本発明にかかるグローブによれば、開放指部の開放端が、指の第一関節近傍に位置するよう形成されることで、不要な露出を避けつつ、指先のみの少ない露出部分であっても必要とする感触・動作を可能にして、必要な可動域を確保でき、また、指サックを装着した際には、開放指部の先端部分が指サックの外側を被覆することも可能となる。
【0018】
またさらに、本発明にかかるグローブによれば、閉塞指部の先端が伸縮素材で形成されることで、必要に応じて開放可能な構成態様を採用することにより、普段は閉塞されている指先を必要に応じて開放させ露出させることができるため、開放指部の指先同様の感覚や使用態様を実現し得る。
【0019】
さらにまた、本発明にかかるグローブによれば、グローブ本体に、上腕部や前腕部など腕部の所定箇所まで延伸する日焼け防止カバーが備えられていることにより、グローブの基端部である手首部分から腕部の肌の露出を防ぎ、紫外線・日焼け防止にも資する。
【0020】
そしてまた、本発明にかかるグローブによれば、グローブ本体や指本体の掌部に滑り止め加工が施されていることにより、精密動作時及びバイクの運転時における把持力の向上および素手感覚の補完に資することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明にかかるグローブの実施形態を示す説明図である。
図2】本発明にかかるグローブの実施形態を示す説明図である。
図3】本発明にかかるグローブの実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明にかかるグローブ1は、精密動作を行う指を開放指部5に通すことで該指の先端部を露出させると共に、他の指は閉塞指部4にて全体を被覆することで、手指の露出を抑えつつグローブ1を着用したまま精密動作が可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるグローブ1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0023】
尚、本発明にかかるグローブ1は、以下に述べる実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮し得る形状や寸法、材質等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0024】
図1は、本発明にかかるグローブ1の基本的な実施形態を示す全体説明図であり、(a)は全体概要図、(b)は使用態様を示している。
図2は、本発明にかかるグローブ1の他の実施形態を示す説明図であり、(a)は中指を被覆する閉塞指部4に伸縮部7を備えた態様、(b)は親指及び人差し指を被覆する開放指部5にスリット6を備えた態様を示している。
図3は、本発明にかかるグローブ1の他の実施形態を示す説明図であり、詳しくは、日焼け防止カバー8を備えた態様を示している。
本発明にかかるグローブ1は、全体として既存のグローブ・手袋様の外観形状を有しており、主にグローブ本体2と指本体3を備えて構成されている。
【0025】
グローブ本体2は、使用者の手首から手の甲及び手の平までを覆うものである。
グローブ本体2は、手首部分の開口部から手指を侵入させて着用されるグローブ1の指部分を除く部分であり、構成態様は従来公知の技術が用いられる。なお、開口部は、グローブ本体2の脱落防止のため手全体を侵入させた後に手首部分と密着させる態様が望ましく、伸縮素材や面ファスナーを用いる構成が好適である。また、グローブ本体2の素材は特に限定はなく、従来公知の素材である天然皮革や化学繊維等を使用すれば良い。
グローブ本体2の上端部には、使用者の指が被覆可能な指本体3が夫々備えられることとなる。
【0026】
指本体3は、使用者の五指を夫々覆う筒状体であり、グローブ本体2の上端部に所定間隔を開けて備えられる。
グローブ本体2と指本体3の接続間隔については、従来公知の技術を使用した一般的なグローブと同様の間隔を有していればよく、特に限定はしない。また、グローブ本体2の大きさやグローブ全体のサイズ等によって、指本体3の接続間隔や長さ、太さは適宜決定されることとなる。
指本体3の先端部には、先端が閉塞された閉塞指部4と、先端が所定箇所(望ましくは第一関節近傍)で切断され開放された開放指部5のいずれかが設けられるが、少なくとも、親指と人差し指には開放指部5が備えられる。
【0027】
閉塞指部4は、基端がグローブ本体2に接続されると共に、先端が閉塞された指本体3であり、親指と人差し指以外のいずれかの指に一乃至複数備えられる。
閉塞指部4は、通常使用時に指先まで被覆するように備えられるものである。
また、図2(a)に図示したように、閉塞指部4の閉塞部分には、基端側へ引っ張ることで先端部分の間隙が拡開されて指先が突出し露出されるよう、伸縮素材にて構成した伸縮部7が設けられる態様も好適である。かかる態様を採ることにより、指先の使用時には、閉塞指部4の先端を基端側へ引っ張り若しくはまくり上げることで指先を露出させ、指先を使用しない時には、基端側へ引っ張られ若しくはまくり上げられた閉塞指部4の先端を、指先全体を被覆するように先端側へ戻し閉塞させる、といった、閉塞状態と開放状態を使い分けることが可能となる。
【0028】
開放指部5は、基端がグローブ本体2に接続されると共に、先端が開放された開放端を成す指本体3であり、少なくとも親指及び人差し指に設けられる。
開放指部5は、親指及び人差し指のみ、もしくは、他の指にも備えられることとなるが、他の指では特に中指に備える態様が好適である。かかる態様を採ることにより、精密動作、特に物品の把持を行う際に、親指と人差し指と中指の三点で把持することが可能となり、親指と人差し指のみの二点で把持する場合と比較して、安定感が増加することとなる。また、人差し指と中指で書類等を挟み込み、親指でめくることで枚数を数える、といった動作も可能となる。
開放指部5の先端部分は、指部分の所定箇所にて切断されるが、覆われる指の第一関節近傍位置で切断される態様が好適である。かかる態様を採ることにより、指先の露出部分を少なくした状態であっても、指先の感触を必要とする動作を可能にしつつ、指先の動作にて必要な可動域を確保することが容易となる。また、開放指部5の先端部分を伸縮素材で構成させることで、指サック10装着時に該指サック10の基端部の上に開放指部5の先端部分を被せ、指サック10とグローブ1との隙間を無くしつつ、指サック10のズレを防ぐことも可能となる。
【0029】
開放指部5には、図1図2(b)に図示したように、少なくとも一の開放指部5の先端部分からグローブ本体2へ向けたスリット6が形成される態様を採用する。かかる態様を採ることにより、開放指部5の先端部分を大きく開くことが可能となり、指サック10の装着時に開放指部5の先端部分を巻き込む可能性を低下させると共に、指サック10の一部を開放指部5の開放端にて被覆し、肌の露出部分を減少させることも可能であり、さらに、指サックを着用したままでもグローブ1の着脱を行うことができる、といった優れた効果を奏する。
スリット6の形成箇所や長さについて特に限定はしないが、精密動作時にスリット6の端部が下方へ垂れ下がることで動作に支障がでてしまうことを防ぐため、開放指部5の側面側に開放端から5~10mm程度の長さで形成する態様が好適である。また、スリット6を形成するにあたって、開放指部5の対向する両側面など、複数のスリット6を形成する態様も好適である。かかる態様を採ることにより、スリット6を介して開放指部5の開放端を容易にめくることが可能となり、指サック10内をスムーズに着用することが可能となる。
【0030】
図3に図示したように、グローブ本体2の開口部には、腕部の所定箇所まで延伸する日焼け防止カバー8が備えられる態様も好適である。かかる態様を採ることにより、使用者の衣服とグローブ1との間に存在する肌の露出部分を減少させ日焼けを防ぐことが可能となる。
グローブ本体2と日焼け防止カバー8との接続方法について限定はなく、ボタン11を使用した接続以外にも、ファスナーや面ファスナーを使用したり、グローブ本体2の開口部を直接延伸させた長手袋状で形成したりする態様等が考え得る。
また、日焼け防止カバー8の長さについても特に限定はなく、前腕部のみを被覆可能であったり、上腕部まで被覆し得る長さとする態様が考え得る。さらに、日焼け防止カバー8の形状についても特に限定はなく、日光が当たる腕部の外側のみを被覆する形状のほか、筒状形態として腕部全体を被覆し得る形状などが考え得る。
【0031】
グローブ本体2並びに指本体3の掌側には、必要に応じて、図3に図示したような滑り止め9が施されている態様が望ましい。また、滑り止め9は、従来公知の技術を用いて配設されることとなり、掌側の全体あるいは部分的に備えられる態様となる。かかる態様を採ることにより、掌部分の摩擦力を高め、精密動作時やバイク等の運転時、重量物の運搬等において、使用者の把持力向上を可能にし、且つ、素手感覚の補完に資することとなる。
【0032】
次に、本発明にかかるグローブ1の使用態様について、図1及び図2に基づき説明する。
親指と人差し指はスリット6を有した開放指部5であり、中指は伸縮部7を有した閉塞指部4であり、薬指と小指は閉塞指部4である。
通常時は、親指と人差し指が露出した状態であり、他の指は閉塞指部4によって被覆されている。
指サック10使用時は、図2(b)に図示したように、開放指部5の先端部分が指サック10の一部を被覆する。
中指の使用時は、図2(a)に図示したように、中指を被覆する閉塞指部4の先端部分を基端方向へまくり上げることで指先を露出させる。
【0033】
以上、本発明にかかるグローブ1の基本的構成態様、並びに、使用態様について説明したが、本発明は、上記実施形態や図面に示す構成態様に限定するものではない。例えば、グローブ本体2と日焼け防止カバー8を上腕に至るまで延伸させ、半袖を着用した使用者の腕の露出を防止させる態様等が考え得る。
【0034】
以上の通り、本発明にかかるグローブ1によれば、閉塞指部4及び開放指部5により夫々の指が被覆されると共に、精密動作等により指先を使用する場合においても、グローブ1を脱着させることなく動作を行うことが可能であるため、作業の効率化に資するものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明にかかるグローブは、着用したまま指先の感覚が必要な細かい作業が可能であると共に、指サックを着用することも可能であり、郵便の配達や仕分け作業、スマートフォンやタッチパネルの操作、指先を使用した精密機器の組立作業など、指先を使用するあらゆる分野における作業に利用可能である。したがって、本発明にかかる「グローブ」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0036】
1 グローブ
2 グローブ本体
3 指本体
4 閉塞指部
5 開放指部
6 スリット
7 伸縮部
8 日焼け防止カバー
9 滑り止め
10 指サック
11 ボタン
【要約】      (修正有)
【課題】指先の露出部分を減少させつつ、着用中でも指サックの装着が可能なグローブを提供する。
【解決手段】手に着用されるグローブであって、手首から手の甲及び手の平までを覆うグローブ本体と、指を覆う筒状体で基端部がグローブ本体に接続される指本体と、から構成され、指本体は、先端部が閉塞された一乃至複数の閉塞指部と、所定箇所で切断され先端部が開放された少なくとも親指及び人差し指を含む複数の開放指部と、から成る手段を採る。
【選択図】図1
図1
図2
図3