(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】被取り付け部の取り付け構造、およびホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
F16L 23/036 20060101AFI20250402BHJP
F16L 33/18 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
F16L23/036
F16L33/18
(21)【出願番号】P 2021116947
(22)【出願日】2021-07-15
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 耕一
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-017926(JP,A)
【文献】特開昭49-081912(JP,A)
【文献】米国特許第04570983(US,A)
【文献】特開2003-341302(JP,A)
【文献】特開2012-107720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/00-25/14
F16L 29/00-35/00
F16L 37/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト挿通孔が貫通形成され被取り付け部の外周面に当接可能な第1当接面を有する本体部と、前記第1当接面の上部の前記本体部の箇所から突出して設けられ前記被取り付け部の上面に当接可能な第2当接面を有する突出部とを備える取り付け部材が設けられ、前記第1当接面を前記被取り付け部の外周面に当接し、前記第2当接面を前記被取り付け部の上面に当接した状態で、前記ボルト挿通孔に挿通したボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで前記被取り付け部を前記取り付け面に圧接して取り付ける取り付け構造であって、
前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトの頭部の少なくとも一部が前記本体部と前記突出部との境目より前記突出部側に位置するように前記取り付け面の法線に対して傾斜している、
ことを特徴とする被取り付け部の取り付け構造。
【請求項2】
前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトがその下部が上部よりも前記被取り付け部から離れる方向に変位するように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1記載の被取り付け部の取り付け構造。
【請求項3】
前記取り付け部材の上面で前記ボルト挿通孔の周囲の箇所に、前記ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在し前記ボルトの頭部下面の当接を可能とした座面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の被取り付け部の取り付け構造。
【請求項4】
ホース配管の端部のフランジヘッドを構成する環板部の両側に配置され、それぞれボルト挿通孔が貫通形成された一対のクランプを備え、
前記各クランプは、前記環板部の外周面に沿って延在し、その延在方向の両端に前記ボルト挿通孔が設けられ前記環板部の外周面に当接可能な第1当接面を有する本体部と、前記第1当接面の上部の前記本体部の箇所から突出して設けられ前記環板部の上面に当接可能な第2当接面を有する突出部とを備え、
前記第1当接面を前記環板部の外周面に当接し、前記第2当接面を前記環板部の上面に当接した状態で、前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで前記環板部を前記取り付け面に圧接して取り付けるホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造であって、
前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトの頭部の少なくとも一部が前記本体部と前記突出部との境目より前記突出部側に位置するように前記取り付け面の法線に対して傾斜している、
ことを特徴とするホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造。
【請求項5】
前記フランジヘッドは、前記環板部から突設され前記環板部より径の小さい第1小径部を備え、
前記突出部は、前記第1小径部の外周面に当接可能な第3当接面を有している、
ことを特徴とする
請求項4記載のホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造。
【請求項6】
前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトがその下部が上部よりも前記フランジヘッドから離れる方向に変位するように傾斜している、
ことを特徴とする請求項4または5記載の
ホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造。
【請求項7】
前記クランプの上面で前記ボルト挿通孔の周囲の箇所に、前記ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在し前記ボルトの頭部下面の当接を可能とした座面が設けられている、
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項記載のホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取り付け部の取り付け構造、およびホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設機械では、油圧ポンプに接続されたコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブからホース配管を介して走行用油圧モータや旋回用油圧モータ、各種の作業用油圧アクチュエータに油圧が供給されている(特許文献1、特許文献2)。
ホース配管の端部には、第1流路が貫通されホースの端部が結合されるフランジヘッドが設けられている。このフランジヘッドの先端には環板部が設けられ、環板部には第1流路の第1開口が位置している。
また、コントロールバルブには、ホース配管の端部を取り付けるための取り付け面が設けられ、取り付け面には内部の流路に接続する複数の第2流路の第2開口が位置し、第2開口の周囲には雌ねじが形成されている。
そして、ホース配管の端部を取り付け面に取り付けるに際してクランプ金具が用いられている。
クランプ金具は、それぞれボルト挿通孔が貫通形成された一対のクランプから構成されており、この一対のクランプをフランジヘッドの両側に当接させて位置決めを行いながら配置し、ボルト挿通孔に挿通されたボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることでボルトの締付力によりフランジヘッドを取り付け面に圧接して取り付け、第1流路と第2流路を連通させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-215006号公報
【文献】特開2002-188175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のクランプ金具を構成する一対のクランプはそれぞれ、ボルト挿通孔が設けられた本体部と、本体部から突出して設けられた突出部とを備えて構成されており、ホース配管の端部を取り付け面に取り付ける場合、本体部を環板部の外周面に当接させ、突出部を環板部の上面に当接させた状態で、本体部のボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されるボルトを取り付け面に対して垂直に取り付けている。
そして、本体部のボルト挿通孔に挿通されたボルトを締め付けると、ボルトの頭部がクランプの本体部を押し付けることで、突出部が取り付け面に対して垂直方向に環板部を押し付けている。
そのため、突出部は片持ち梁のような状態となり、本体部との境目の箇所である突出部の基部に応力が集中し、突出部に破損や変形が生じ易く、クランプの耐久性を高める上で不利があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ボルトの頭部の少なくとも一部を本体部と突出部との境目より突出部側に位置させることで、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、取り付け部材の耐久性を向上させ長寿命化を図る被取り付け部の取り付け構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、ボルトの頭部の少なくとも一部が本体部と突出部との境目より突出部側に位置させることで本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプの耐久性を向上させ長寿命化を図るホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の一実施形態は、ボルト挿通孔が貫通形成され被取り付け部の外周面に当接可能な第1当接面を有する本体部と、前記第1当接面の上部の前記本体部の箇所から突出して設けられ前記被取り付け部の上面に当接可能な第2当接面を有する突出部とを備える取り付け部材が設けられ、前記第1当接面を前記被取り付け部の外周面に当接し、前記第2当接面を前記被取り付け部の上面に当接した状態で、前記ボルト挿通孔に挿通したボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで前記被取り付け部を前記取り付け面に圧接して取り付ける取り付け構造であって、前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトの頭部の少なくとも一部が前記本体部と前記突出部との境目より前記突出部側に位置するように前記取り付け面の法線に対して傾斜していることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトがその下部が上部よりも前記被取り付け部から離れる方向に変位するように傾斜していることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記取り付け部材の上面で前記ボルト挿通孔の周囲の箇所に、前記ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在し前記ボルトの頭部下面の当接を可能とした座面が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、ホース配管の端部のフランジヘッドを構成する環板部の両側に配置され、それぞれボルト挿通孔が貫通形成された一対のクランプを備え、前記各クランプは、前記環板部の外周面に沿って延在し、その延在方向の両端に前記ボルト挿通孔が設けられ前記環板部の外周面に当接可能な第1当接面を有する本体部と、前記第1当接面の上部の前記本体部の箇所から突出して設けられ前記環板部の上面に当接可能な第2当接面を有する突出部とを備え、前記第1当接面を前記環板部の外周面に当接し、前記第2当接面を前記環板部の上面に当接した状態で、前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで前記環板部を前記取り付け面に圧接して取り付けるホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造であって、前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトの頭部の少なくとも一部が前記本体部と前記突出部との境目より前記突出部側に位置するように前記取り付け面の法線に対して傾斜していることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記フランジヘッドは、前記環板部から突設され前記環板部より径の小さい第1小径部を備え、前記突出部は、前記第1小径部の外周面に当接可能な第3当接面を有していることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記ボルト挿通孔および前記雌ねじの軸心は、前記ボルト挿通孔に挿通され前記雌ねじに螺合される前記ボルトがその下部が上部よりも前記フランジヘッドから離れる方向に変位するように傾斜していることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態は、前記クランプの上面で前記ボルト挿通孔の周囲の箇所に、前記ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在し前記ボルトの頭部下面の当接を可能とした座面が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ボルト挿通孔に挿通したボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで被取り付け部を取り付け面に圧接して取り付ける取り付け構造において、ボルトの頭部の少なくとも一部が本体部と突出部との境目より突出部側に位置しているため、境目に生じる剪断力を、境目より突出部側に位置しているボルトの頭部の箇所で受けることができ、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、取り付け部材の耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
また、ボルト挿通孔および雌ねじの軸心を、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されるボルトがその下部が上部よりも被取り付け部から離れる方向に変位するように傾斜している構成にすると、ボルトの頭部の一部を本体部と突出部との境目より突出部側に確実に位置させる上で有利となり、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、取り付け部材の耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
また、取り付け部材の上面でボルト挿通孔の周囲の箇所に、ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在しボルトの頭部下面の当接を可能とした座面を設けた構成とすると、ボルト挿通孔および雌ねじが設けられた方向に向けて確実にボルトを取り付ける上で有利となり、第1当接面を被取り付け部の外周面に確実に当接し、第2当接面を被取り付け部の上面に確実に当接させる上で有利となる。
また、本発明の一実施形態によれば、ボルト挿通孔に挿通されたボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで環板部を取り付け面に圧接して取り付けるホース配管の端部のフランジヘッドの取り付け構造において、ボルトの頭部の少なくとも一部が本体部と突出部との境目より突出部側に位置しているため、境目に生じる剪断力を、境目より突出部側に位置しているボルトの頭部の箇所で受けることができ、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプAの耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
また、フランジヘッドが環板部から突設され環板部より径の小さい第1小径部を備え、突出部が第1小径部の外周面に当接可能な第3当接面を有する構成とすると、環板部の両側に配置した一対のクランプの位置決めを行う上で有利となる。
また、ボルト挿通孔および雌ねじの軸心を、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されるボルトがその下部が上部よりもフランジヘッドから離れる方向に変位するように傾斜している構成にすると、ボルトの頭部の一部を本体部と突出部との境目より突出部側に確実に位置させる上で有利となり、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプの耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
また、クランプの上面でボルト挿通孔の周囲の箇所に、ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在しボルトの頭部下面の当接を可能とした座面を設けた構成とすると、ボルト挿通孔および雌ねじが設けられた方向に向けて確実にボルトを取り付ける上で有利となり、第1当接面を環板部の外周面に確実に当接し、第2当接面を環板部の上面に確実に当接し、第3当接面を第1小径部の外周面に確実に当接させる上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ホース配管の端部がクランプ金具によりコントロールバルブの取り付け面に取り付けられた状態の斜視図である。
【
図2】フランジヘッドの軸心と2本のボルトの軸心とを結んだ
図1のA―A線断面図である。
【
図3】コントロールバルブの取り付け面にボルト、クランプ金具、Oリングを介してフランジヘッドを取り付ける状態を説明する斜視図である。
【
図4】コントロールバルブの取り付け面にボルト、クランプ金具、Oリングを介してフランジヘッドを取り付ける状態を説明する側面図である。
【
図5】クランプの説明図で、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は背面図、(D)は側面図、(E)は底面図、(F)は(B)のF―F線断面図ある。
【
図6】ボルトの頭部がクランプを押圧する位置と突出部が環板部を押圧する位置との距離を説明する図である。
【
図7】クランプの説明図で、(A)は平面図、(B)は底面図、(C)は(A)のC-C線断面図である。
【
図8】クランプが取り付け面に取り付けられた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2において、符号10は、建設機械に搭載され油圧ポンプに接続されたコントロールバルブを示し、符号12は、コントロールバルブ10に設けられた複数の取り付け座のうちの1つの取り付け座を示している。
また、符号16は、ホース14の端部に結合されるフランジヘッドを示し、フランジヘッド16を含んでホース配管の端部が構成されている。
本実施の形態のクランプ金具32によりフランジヘッド16は、取り付け座12の取り付け面1202に取り付けられる。
【0009】
まず、被取り付け部としてのフランジヘッド16から説明する。
図2に示すように、フランジヘッド16には、ホース14の内部に連通する第1流路18が貫通形成されている。
図4に示すように、フランジヘッド16の外周部の長手方向の一部は、ホース14の端部が被せられる不図示のニップル部と、ニップル部の半径方向外側に設けられ半径方向内側に加締められることでホース14の端部をニップル部に固定するソケット20とを有するホース結合部22として形成され、フランジヘッド16の長手方向の残りの部分の先端に環板部24が形成されている。
また、フランジヘッド16は、環板部24から突設され環板部24より径の小さい第1小径部26を備え、さらに、第1小径部26から突設され第1小径部26より径の小さい第2小径部28を備えている。
ホース結合部22と環板部24とは、第1小径部26と第2小径部28を介して連結されている。
環板部24と第1小径部26とは共に外周が円形の輪郭に形成されているが、環板部24と第1小径部26の外周の輪郭は、多角形などの輪郭で形成されていてもよく円形の輪郭に限定されない。
【0010】
環板部24は、ホース14の端部のフランジヘッド16を構成し、取り付け面1202に載置されるものであって、下面2402と、上面2404と、外周面2406とを有している。
下面2402は、環板部24の厚さ方向の一方の面をなし、平坦面で形成され、下面2402の中心に第1流路18の第1開口18A(
図2参照)が位置している。
図2に示すように、下面2402には、第1開口18Aを中心として環状に延在する凹溝2408が設けられ、凹溝2408にはOリング2410が装着されている。
上面2404は、環板部24の厚さ方向の他方の面をなし、環状の平坦面で形成され、上面2404の内周部から第1小径部26が突設している。
外周面2406は、下面2402の外周と上面2404の外周を接続する円筒面で形成されている。
【0011】
図3に示すように、コントロールバルブ10には複数の第2流路30が設けられ、取り付け座12の取り付け面1202は平坦な面で形成され、取り付け面1202には第2流路30の第2開口30Aが位置している。
第2開口30Aの周囲の取り付け面1202の箇所に、雌ねじ1204が4つ設けられており、
図2に示すように、4つの雌ねじ1204はそれぞれ所定方向に傾斜している。
【0012】
図1、
図3に示すように、取り付け部材としてのクランプ金具32は、フランジヘッド16を構成する環板部24の両側に配置され、それぞれボルト挿通孔36が貫通形成された一対のクランプ34Aにより構成されている。一対のクランプ34Aは、同じ形状のクランプ34Aを対象に配置している。
図3、
図5に示すように、一対のクランプ34Aはそれぞれ、環板部24の外周面2406に沿って延在する本体部3402と突出部3404とを備えている。
本体部3402は、その延在方向の両端にボルト挿通孔36が設けられ、環板部24の外周面2406に当接可能な第1当接面3412を有している。
突出部3404は、第1当接面2312の上部の本体部3402の箇所から突出して設けられ、環板部24の上面2404に当接可能な第2当接面3414と、第1小径部26の外周面2602に当接可能な第3当接面3416とを有している。
【0013】
また、
図5に示すように、クランプ34Aは、その延在方向と直交する方向の厚さを有して半円弧状に延在しており、厚さ方向の一方の面である下面3418は、単一の平坦面で形成されている。
そして、
図5(F)に示すように、下面3418の内側の端部から鉛直方向上方に向けて第1当接面3412が延在し、第1当接面3412の上端から内側に向けて水平方向に第2当接面3414が延在し、第2当接面3414の端部から鉛直方向上方に向けて第3当接面3416が延在して設けられている。
【0014】
また、クランプ34Aの厚さ方向の他方の面である上面3420は、その延在方向の中央部が単一の平坦面で形成され、延在方向の両端に座面3422が設けられている。
座面3422は、クランプ34Aの上面3420でボルト挿通孔36の周囲の箇所に設けられ、ボルト挿通孔36の軸心と直交する平面上を延在しボルト44の頭部下面が当接可能となっている。
【0015】
図2、
図4、
図6に示すように、本体部3402に設けられたボルト挿通孔36および取り付け面1202に設けられた雌ねじ1204の軸心Tは、ボルト挿通孔36に挿通され雌ねじ1204に螺合されるボルト44の頭部4402の少なくとも一部が本体部3402と突出部3404との境目Bより突出部3404側に位置するように取り付け面1202の法線Lに対して傾斜している。
詳細には、取り付け面1202に直交しボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tと通る仮想平面と直交する方向から見ると、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tと、取り付け面1202の何れの箇所における法線Lとは、角度θ傾斜している。
本実施の形態では、
図6に示すように、同時に、ボルト挿通孔36に挿通され雌ねじ1204に螺合されるボルト44がその下部44Bが上部44Aよりもフランジヘッド16から離れる方向に変位するように傾斜している。
本実施の形態では、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tの延長線と、フランジヘッド16の軸心とは交差しており、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tは、上方に向かうに連れてフランジヘッド16の軸心Tに近づくように傾斜して形成されているため、ボルト44は取り付けられることで下部44Bがフランジヘッド16の軸心から離れるように傾斜して配置される。
図2、
図4、
図6に示すように、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tが雌ねじ1204の開口の中心を通る取り付け面1202の法線Lに対して傾斜する角度θは、0度より大きく17.9度以下に設定されている(0<θ≦17.9°)。ここで、クランプ34AはSAE規格で寸法が定められており、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tが取り付け面1202の法線Lに対して傾斜する角度θを17.9度より大きくしてしまうと、ボルト44がクランプ34Aの本体部3402の外周面からはみ出してしまうため、本実施の形態では17.9度以下に設定している。
座面3422は、ボルト挿通孔36の軸心と直交する平面上を延在しているので、クランプ34Aの下面3418と上面3420に対して角度θ傾斜している。
【0016】
図2、
図3、
図4に示すように、フランジヘッド16をコントロールバルブ10に取り付ける場合、第1流路18の第1開口18Aと第2流路30の第2開口30Aが向かい合うように、フランジヘッド16の環板部24の下面2402を、取り付け座12の取り付け面1202に合わせ、環板部24に沿わせて一対のクランプ34Aを配置する。
そして、
図2に示すように、本体部3402の第1当接面3412を環板部24の外周面2406に当接し、突出部3404の第2当接面3414を環板部24の上面2404に当接し、突出部3404の第3当接面3416を第1小径部26の外周面2602に当接させた状態で、本体部3402のボルト挿通孔36にワッシャー42を介し、ボルト挿通孔36に挿通されたボルト44を取り付け面1202の雌ねじ1204に螺合させて締結することで、フランジヘッド16の環板部24を取り付け面1202に圧接して取り付ける。
【0017】
このように、ボルト44を締結することで第2当接面3414が環板部24の上面2404を押し付け、これにより環板部24の下面2402が取り付け座12の取り付け面1202に圧接され、環板部24の下面2402と取り付け面1202とがOリング2410を介して液密に結合される。
同時に、環板部24の両側から第1当接面3412が環板部24の外周面2406を押し付け、第3当接面3416が第1小径部26の外周面2602を押し付けるので、一対のクランプ34Aが位置決めされた状態で取り付け面1202に取り付けられる。
なお、第2当接面3414により環板部24の上面2404を確実に押し付けることができるように、第2当接面3414を環板部24の上面2404に当接した状態で、クランプ34Aの下面3418と取り付け面1202との間には隙間Sが確保されている。
【0018】
本実施の形態によれば、
図6に示すようにボルト44の頭部4402の一部が本体部3402と突出部3404との境目Bより突出部3404側に位置しているので、境目Bに生じる剪断力を、境目Bより突出部3404側に位置しているボルト44の頭部4402の箇所で受けることができ、本体部3402と突出部3404との境目Bへの応力集中を緩和させ、突出部3404に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプ34Aの耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
【0019】
また、突出部3404が第1小径部26の外周面2602に当接可能な第3当接面3416を有する構成としたため、環板部24の両側に配置した一対のクランプ34Aの位置決めを行なう上で有利となる。
また、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tが、ボルト挿通孔36に挿通され雌ねじ1204に螺合されるボルト44がその下部44Bが上部44Aよりもフランジヘッド16から離れる方向に変位するように取り付け面1202の法線Lに対して傾斜しているため、ボルト44の頭部4402の一部を本体部3402と突出部3404との境目Bより突出部3404側に確実に位置させる上で有利となり、本体部3402と突出部3404との境目Bへの応力集中を緩和させ、突出部3404に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプ34Aの耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
上述したように、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tが雌ねじ1204の開口の中心を通る取り付け面1202の法線Lに対して傾斜する角度θは、0度より大きく17.9度以下に設定されているが、その範囲内において角度θを大きくすればするほど、ボルト44の頭部4402の一部が境目Bより突出部3404側に位置させることができ、突出部3404に生じる破損や変形を抑制し、一対のクランプ34Aの耐久性を向上させ長寿命化を図る上でより有利となる。
また、クランプ34Aの上面3420でボルト挿通孔36の周囲の箇所に、ボルト挿通孔36の軸心と直交する平面上を延在しボルト44の頭部下面の当接を可能とした座面3422を設けたため、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204が設けられた方向に向けて確実にボルト44を取り付ける上で有利となり、第1当接面3412を環板部24の外周面2406に確実に当接し、第2当接面3414を環板部24の上面2404に確実に当接し、第3当接面3416を第1小径部26の外周面2602に確実に当接させる上で有利となる。
【0020】
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態のボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tの延長線と、フランジヘッド16の軸心とは交差していたのに対して、本変形例では、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tの延長線は、フランジヘッド16の軸心と交差していない点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
本変形例では、
図8に示すように、平面視した場合、本体部3402の長手方向の両端のボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tは同一直線上に位置しており、本変形例のクランプ34Bのボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tは、本体部3402の両端に設けられたボルト挿通孔36に挿通され雌ねじ1204に螺合される2本のボルト44の頭部44Aどうしが近づき、下部44Bどうしが離れるように、取り付け面1202の不図示の法線Lに対して傾斜している。
図7、
図8に示すように、2本のボルト44が、一対の本体部3402の長手方向の両端のボルト挿通孔36に挿通され、取り付け面1202の雌ねじ1204に螺合することで、第1の実施の形態と同様に
図6に示すように、第2当接面3414が環板部24の上面2404を押し付け、同時に、環板部24の両側から第1当接面3412が環板部24の外周面2406を押し付け、第3当接面3416が第1小径部26の外周面2602を押し付けるので、一対のクランプ34Aが位置決めされた状態で取り付け面1202に取り付けられる。
図7に示すように、クランプ34Bは円弧状に延在し、ボルト44は円弧状のクランプの両端に位置していることから、第1の実施の形態と同様に、ボルト44の頭部4402の一部が本体部3402と突出部3404との境目Bより突出部3404側に位置する。
したがって、本変形例においても第1の実施の形態と同様に、ボルト挿通孔36および雌ねじ1204の軸心Tは、ボルト44の頭部4402の一部が本体部3402と突出部3404との境目Bより突出部3404側に位置するように取り付け面1202の法線Lに対して傾斜しており、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0021】
なお、上述した実施の形態では、被取り付け部としてのホース配管の端部に設けられたフランジヘッド16の環板部24を、コントロールバルブ10の取り付け面1202に取り付けた場合について説明したが、本発明は、取り付け面の法線に対してボルトが傾斜している点に特徴があり、本発明はホース配管の端部の取り付け構造に限定されず本発明の用途は任意であり、本発明は従来公知の様々な部分の取り付け構造に適用可能である。
すなわち、本発明は、取り付け部材によって、被取り付け部を取り付け面に取り付ける取り付け構造に適用可能である。
取り付け部材は、例えば、ボルト挿通孔が貫通形成され被取り付け部の外周面に当接可能な第1当接面を有する本体部と、第1当接面の上部の本体部の箇所から突出して設けられ被取り付け部の上面に当接可能な第2当接面を有する突出部とを備えて構成されている。
そして、第1当接面を被取り付け部の外周面に当接し、第2当接面を被取り付け部の上面に当接した状態で、ボルト挿通孔に挿通したボルトを取り付け面の雌ねじに螺合させることで被取り付け部を取り付け面に圧接して取り付ける。
このとき、ボルト挿通孔および雌ねじの軸心は、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されるボルトの頭部の少なくとも一部が本体部と突出部との境目より突出部側に位置するように取り付け面の法線に対して傾斜して設けられているため、境目に生じる剪断力を、境目より突出部側に位置しているボルトの頭部の箇所で受けることができ、本体部と突出部との境目への応力集中を緩和させ、突出部に生じる破損や変形を抑制し、取り付け部材の耐久性を向上させ長寿命化を図る上で有利となる。
この場合、第1の実施の形態のように、ボルト挿通孔および雌ねじの軸心は、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されるボルトがその下部が上部よりも被取り付け部から離れる方向に変位するように傾斜させてもよい。
また、第1の実施の形態のように、取り付け部材の上面でボルト挿通孔の周囲の箇所に、ボルト挿通孔の軸心と直交する平面上を延在しボルトの頭部下面の当接を可能とした座面を設けてもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 コントロールバルブ
12 取り付け座
1202 取り付け面
1204 雌ねじ
16 フランジヘッド
24 環板部
2402 下面
2404 上面
2406 外周面
26 第1小径部
2602 外周面
28 第2小径部
32 クランプ金具
34 一対のクランプ
34A、34B クランプ
3402 本体部
3404 突出部
3412 第1当接面
3414 第2当接面
3416 第3当接面
3418 下面
3420 上面
3422 座面
36 ボルト挿通孔
44 ボルト
4402 頭部
44A 上部
44B 下部