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特許7659277ホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子
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  • 特許-ホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図1
  • 特許-ホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】ホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20250402BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250402BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20250402BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
C09K11/06 660
H10K50/12
H10K85/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022557578
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2021038721
(87)【国際公開番号】W WO2022085714
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2024-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2020178474
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】安田 琢麿
(72)【発明者】
【氏名】楊 旻朗
(72)【発明者】
【氏名】朴 仁燮
(72)【発明者】
【氏名】天野倉 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】芝田 大幹
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/240080(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111574544(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0270278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
【化1】
式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数であり、
YはN-R7、OまたはSであり、
ZはN-R8、OまたはSであり、
7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり、
7が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA1環と繋がって縮合環を形成してもよく、
8が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA2環と繋がって縮合環を形成してもよい。
【請求項2】
式(II)で表される、請求項1に記載の化合物。
【化2】
式(II)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R9およびR10はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数である。
【請求項3】
式(I)中のR7およびR8における、置換もしくは無置換のアリール基が、置換もしくは無置換のフェニル基または置換もしくは無置換のナフチル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)及び(II)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のC1~6アルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物を含む発光材料。
【請求項6】
請求項5に記載の発光材料を含有する発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子に関する。より詳細に、本発明は、発光特性に優れるホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光材料として、例えば、特許文献1は、次のようなホウ素含有化合物を提案している。
【0003】
【化1】
【0004】
【化2】
【0005】
【化3】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US2020/0270278A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、発光特性に優れる新規なホウ素含有化合物、発光材料およびそれを用いた発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
〔1〕 式(I)で表される化合物。
【0010】
【化4】
【0011】
式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数であり、
YはN-R7、OまたはSであり、
ZはN-R8、OまたはSであり、
7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり、
7が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA1環と繋がって縮合環を形成してもよく、且つ
8が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA2環と繋がって縮合環を形成してもよい。
【0012】
〔2〕 式(II)で表される、〔1〕に記載の化合物。
【0013】
【化5】
【0014】
式(II)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R9およびR10はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、且つ
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数である。
【0015】
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載の化合物を含む発光材料。
【0016】
〔4〕 〔3〕に記載の発光材料を含有する発光素子。
【発明の効果】
【0017】
本発明のホウ素含有化合物は、発光材料として有用である。本発明に係る発光材料には、遅延蛍光を放射するものがある。本発明に係る発光材料を含有する発光素子は、優れた発光効率を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の発光材料のPLスペクトルの一例を示す図である。
図2】本発明の発光素子の電流密度-外部量子効率特性の一例を示す図である。
図3】本発明の発光素子の電圧-電流密度特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のホウ素含有化合物は、式(I)で表される化合物、好ましくは式(II)で表される化合物である。
【0020】
【化6】
【0021】
式(I)中、
1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数であり、
YはN-R7、OまたはSであり、
ZはN-R8、OまたはSであり、
7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり、
7が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA1環と繋がって縮合環を形成してもよく、且つ
8が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA2環と繋がって縮合環を形成してもよい。
【0022】
【化7】
【0023】
式(II)中、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R9およびR10はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基であり、
mはそれぞれ独立して0~4のいずれかの整数であり、且つ
nはそれぞれ独立して0~3のいずれかの整数である。
【0024】
本発明において、「無置換」の用語は、母核となる基のみであることを意味する。「置換」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」の意味である。
一方、「置換」の用語は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一または異なる構造の基(置換基)で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
「C1~6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1~6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0025】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。以下に「置換基」となり得る基を例示する。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基などのC2~6アルケニル基;
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基などのC2~6アルキニル基;
【0026】
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3~6シクロアルキル基;
フェニル基、ナフチル基;
3~6員のヘテロシクリル基;
【0027】
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6~10アリールオキシ基;
チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などの5~6員のヘテロアリールオキシ基;
【0028】
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などのC1~6アルコキシカルボニル基;
【0029】
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;
クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基、パーフルオロ-n-ペンチル基などのC1~6ハロアルキル基;
トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;
【0030】
ホルミルアミノ基;
アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基などのC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基などのC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N-フェニル-N-メチルアミノカルボニル基などの無置換もしくは置換基を有するアミノカルボニル基;
【0031】
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基;
トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基などのC1~6ハロアルキルチオ基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基;
トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基などのC1~6ハロアルキルスルホニル基;
【0032】
シアノ基;ニトロ基;
【0033】
また、これらの「置換基」は、当該置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。その場合の置換基としては、C1~6アルキル基、C1~6ハロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルコキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基などを挙げることができる。
【0034】
また、上記の「3~6員のヘテロシクリル基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環の構成原子として含むものである。ヘテロシクリル基は、単環および多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環または芳香環のいずれであってもよい。「3~6員のヘテロシクリル基」としては、3~6員の飽和ヘテロシクリル基、5~6員のヘテロアリール基、5~6員の部分不飽和ヘテロシクリル基などを挙げることができる。
3~6員の飽和ヘテロシクリル基としては、アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、チアゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などを挙げることができる。
5員のヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員のヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0035】
式(I)または(II)中の、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10における、アルキル基は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。構成炭素数は1~6個であることが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
【0036】
「アルキル基」上の置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; フェニル基; 4-クロロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基などの、ハロゲノ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基で置換されたフェニル基; またはシアノ基;を挙げることができる。
【0037】
式(I)中の、R7およびR8における、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
「フェニル基」または「ナフチル基」上の置換基として、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基; メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基; クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基などのC1~6ハロアルキル基; 水酸基; メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基; 2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基; またはシアノ基; を挙げることができる。
【0038】
7が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA1環と繋がって縮合環を形成してもよい。
8が置換もしくは無置換のアリール基であるとき、該アリール基はA2環と繋がって縮合環を形成してもよい。
【0039】
本発明のホウ素含有化合物の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。但し、これらは単なる例示であり、本発明は例示した化合物に限定されない。
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
本発明のホウ素含有化合物は、公知の合成反応(例えば、カップリング反応、置換反応など)を組み合わせて行うことによって得ることができる。
【0045】
例えば、式(I)で表される化合物の一つであるBBCz-Rは、例えば、つぎのようにして得ることができる。
【0046】
(例1)
【化12】
【0047】
300mLのシュレンクフラスコに、t-BuOK(2.24g,20.0mmol)、脱水DMF(180ml)、および3,6-ジt-ブチル-カルバゾール(5.58g,20.0mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。これに2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼン(5.78g,30.0mmol)を加え、24時間還流した。得られた液を水に注加し、次いでジクロロメタンを加えて抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、次いでろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/クロロホルム=4/1)で分離精製して、BCz-Brの白色固形物4.51g(収率50%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ): 8.13 (d, J = 1.4 Hz, 2H), 7.48-7.45 (m, 1H), 7.43 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 2H), 7.31-7.26 (m, 2H), 6.99-6.94 (m, 2H), 1.45 (s, 18H)
【0048】
300mLのシュレンクフラスコに、t-BuOK(2.81g,25.0mmol)、脱水DMF(180ml)、および2,8-ジt-ブチル-5,11-ジヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾール(3.69g,10.0mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。これにBCz-Br(11.30g,25.0mmol)を加え、24時間還流した。得られた液を水に注加し、次いでジクロロメタンを加えて抽出を行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、次いでろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/クロロホルム=3/1)で分離精製して、2BCz-INCz-Brの白色固形物4.82g(収率39%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ): 8.21-8.18 (m, 6H), 7.85 (s, 2H), 7.78-7.70 (m, 6H), 7.59-7.53 (m, 6H), 7.32 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.20 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 4H), 1.52 (s, 19H), 1.49 (d, J = 2.0 Hz, 36H).
【0049】
300mlシュレンクフラスコに、2BCz-INCz-Br(1.11g,0.90mmol)、および脱水t-ブチルベンゼン(120ml)を加えた。次いで、窒素置換を行った。これに、0℃でn-ブチルリチウム(1.7ml,1.6M,2.70mmol)を少しずつ加え、室温で4時間攪拌した。これに、0℃で三臭化ホウ素(0.30mL,2.70mol)を少しずつ加え、室温で一晩撹拌した。続いて、これに0℃でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.70mL,4.05mmol)を加え、170℃で24時間攪拌した。得られた液を室温に戻し、水に注加した。その後、クロロホルムを加えて抽出を行った。得られた有機層をろ過した。ろ液を水洗した。その後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/クロロホルム=9/1)で分離精製して、BBCz-Rの黒色結晶0.054g(収率5%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ): 8.67 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 8.46 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.43-8.31 (m, 12H), 8.10 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 7.74 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 2H), 7.51 (dd, J = 8.5, 1.8 Hz, 2H), 1.58 (s, 18H), 1.32 (s, 18H), 1.09 (s, 18H)
【0050】
合成された化合物の精製は、カラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法などによって行うことができる。化合物の同定は、NMR分析などによって行なうことができる。
【0051】
本発明のホウ素含有化合物は発光材料として用いることができる。本発明の発光材料は、有機フォトルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子などの発光素子を提供することができる。本発明のホウ素含有化合物は、他の発光材料(ホスト材料)の発光をアシストする機能を有するので、他の発光材料にドープして用いることができる。
【0052】
本発明の有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に本発明の発光材料を含有する発光層を設けてなるものである。発光層は、スピンコートなどのような塗布法、インクジェット印刷法などのような印刷法、蒸着法などによって得ることができる。
【0053】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は陽極と陰極との間に有機層を設けてなるものである。本発明における「有機層」とは、陽極と陰極の間に位置する、実質的に有機物からなる層を意味し、これらの層は本発明の発光素子の性能を損なわない範囲で無機物を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一実施形態における構造としては、基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極からなるもの、また、電子輸送層と陰極の間にさらに電子注入層を有するものを挙げることができる。これらの多層構造においては有機層を何層か省略することが可能であり、例えば、基板上に順次に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極とすることや、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極とすることもできる。本発明の発光材料は、発光層のみならず、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層、または電子注入層にドープさせてもよい。
【0055】
基板は発光素子の支持体となるものであり、シリコン板、石英板、ガラス板、金属板、金属箔、樹脂フィルム、樹脂シートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が低すぎると、基板を通過する外気により発光素子が劣化することがある。このため、合成樹脂基板のどちらか片側もしくは両側に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保することが好ましい。
【0056】
基板上には陽極が設けられる。陽極には仕事関数の大きい材料が一般に用いられる。陽極用材料として、例えば、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム酸化物、スズ酸化物、ITO、酸化亜鉛、In23-ZnO、IGZOなどの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或は、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。陽極の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成したりすることもできる。
【0057】
陽極は異なる2種以上の物質を積層して形成することも可能である。陽極の厚さは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常、10~1000nm、好ましくは10~200nmである。不透明でよい場合、陽極は基板の厚みと同程度でもよい。陽極のシート抵抗は数百Ω/□以上であることが好ましい。
【0058】
必要に応じて設けられる正孔注入層として、銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物のほか、ナフタレンジアミン誘導体、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、分子中にトリフェニルアミン構造を3個以上、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物などのトリフェニルアミン3量体および4量体、ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0059】
必要に応じて設けられる正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができることが好ましい。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が高いことが好ましい。従って、Tgとして70℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0060】
必要に応じて設けられる正孔輸送層として、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマーなどを挙げることができる。より具体的に、m-カルバゾリルフェニル基を含有する化合物、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)-ベンジジン(以後、TPDと略称する)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(α-ナフチル)-ベンジジン(以後、NPDと略称する)、N,N,N’,N’-テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(以後、TAPCと略称する)、種々のトリフェニルアミン3量体および4量体やカルバゾール誘導体などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。正孔輸送層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。また、正孔の注入・輸送層として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(以後、PEDOTと略称する)/ポリ(スチレンスルフォネート)(以後、PSSと略称する)などの塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0061】
また、正孔注入層あるいは正孔輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモンをPドーピングしたものや、PDの構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いることができる。正孔注入・輸送性のホスト材料として、CBPやTCTA、mCPなどのカルバゾール誘導体などを用いることができる。
【0062】
正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物(hi1)~(hi7)を以下に挙げる。
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
【化19】
【0070】
正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物(ht1)~(ht38)を以下に挙げる。
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】
【化29】
【0081】
【化30】
【0082】
【化31】
【0083】
【化32】
【0084】
【化33】
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】
【化37】
【0089】
【化38】
【0090】
【化39】
【0091】
【化40】
【0092】
【化41】
【0093】
【化42】
【0094】
【化43】
【0095】
【化44】
【0096】
【化45】
【0097】
【化46】
【0098】
【化47】
【0099】
【化48】
【0100】
【化49】
【0101】
【化50】
【0102】
【化51】
【0103】
【化52】
【0104】
【化53】
【0105】
【化54】
【0106】
【化55】
【0107】
【化56】
【0108】
【化57】
【0109】
必要に応じて設けられる電子阻止層として、4,4’,4”-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(以後、TCTAと略称する)、9,9-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]フルオレン、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(以後、mCPと略称する)、2,2-ビス(4-カルバゾール-9-イルフェニル)アダマンタン(以後、Ad-Czと略称する)などのカルバゾール誘導体、9-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-9-[4-(トリフェニルシリル)フェニル]-9H-フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物などの電子阻止作用を有する化合物を用いることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。電子阻止層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0110】
電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物(es1)~(es5)を以下に挙げる。
【0111】
【化58】
【0112】
【化59】
【0113】
【化60】
【0114】
【化61】
【0115】
【化62】
【0116】
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入される正孔および電子が再結合することにより励起子が生成して、発光する機能を有する層である。発光層は本発明の発光材料単独で形成してもよいし、ホスト材料に本発明の発光材料をドープして形成してもよい。ホスト材料の例としては、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以後、Alq3と略称する)などのキノリノール誘導体の金属錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ビピリジル基とオルトターフェニル構造を有する化合物、mCP、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体などを挙げることができる。発光層には公知のドーパントが含まれていてもよい。ドーパントとしては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、アントラセン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体などを挙げることができる。また、Ir(ppy)3などの緑色の燐光発光体、FIrpic、FIr6などの青色の燐光発光体、Btp2Ir(acac)などの赤色の燐光発光体などの燐光性の発光体を用いてもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。発光層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
ホスト材料を用いた場合、発光層に含有させることができる本発明の発光材料の量は、下限が、好ましくは0.1質量%、より好ましくは1質量%であり、上限が、好ましくは50質量%、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは10質量%である。
【0117】
発光層のホスト材料として用いることができる好ましい化合物(el1)~(el40)を以下に挙げる。
【0118】
【化63】
【0119】
【化64】
【0120】
【化65】
【0121】
【化66】
【0122】
【化67】
【0123】
【化68】
【0124】
【化69】
【0125】
【化70】
【0126】
【化71】
【0127】
【化72】
【0128】
【化73】
【0129】
【化74】
【0130】
【化75】
【0131】
【化76】
【0132】
【化77】
【0133】
【化78】
【0134】
【化79】
【0135】
【化80】
【0136】
【化81】
【0137】
【化82】
【0138】
【化83】
【0139】
【化84】
【0140】
【化85】
【0141】
【化86】
【0142】
【化87】
【0143】
【化88】
【0144】
【化89】
【0145】
【化90】
【0146】
【化91】
【0147】
【化92】
【0148】
【化93】
【0149】
【化94】
【0150】
【化95】
【0151】
【化96】
【0152】
【化97】
【0153】
【化98】
【0154】
【化99】
【0155】
【化100】
【0156】
【化101】
【0157】
【化102】
【0158】
必要に応じて設けられる正孔阻止層として、ビピリジル基とオルトターフェニル構造を有する化合物、バソクプロイン(以後、BCPと略称する)などのフェナントロリン誘導体や、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナート)-4-フェニルフェノレート(以後、BAlqと略称する)などのキノリノール誘導体の金属錯体、各種の希土類錯体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体など、正孔阻止作用を有する化合物を挙げることができる。これらの材料は電子輸送層の材料を兼ねてもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。正孔阻止層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0159】
正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物(hs1)~(hs11)を以下に挙げる。
【化103】
【0160】
【化104】
【0161】
【化105】
【0162】
【化106】
【0163】
【化107】
【0164】
【化108】
【0165】
【化109】
【0166】
【化110】
【0167】
【化111】
【0168】
【化112】
【0169】
【化113】
【0170】
必要に応じて設けられる電子輸送層として、Alq3、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。電子輸送層は、単層構造の膜であってもよいし、積層構造の膜であってもよい。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0171】
必要に応じて設けられる電子注入層として、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、酸化アルミニウムなどの__金属酸化物などを用いることができるが、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、これを省略することができる。
【0172】
電子注入層あるいは電子輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにセシウムなどの金属をNドーピングしたものを用いることができる。
【0173】
電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物(et1)~(et30)を以下に挙げる。
【0174】
【化114】
【0175】
【化115】
【0176】
【化116】
【0177】
【化117】
【0178】
【化118】
【0179】
【化119】
【0180】
【化120】
【0181】
【化121】
【0182】
【化122】
【0183】
【化123】
【0184】
【化124】
【0185】
【化125】
【0186】
【化126】
【0187】
【化127】
【0188】
【化128】
【0189】
【化129】
【0190】
【化130】
【0191】
【化131】
【0192】
【化132】
【0193】
【化133】
【0194】
【化134】
【0195】
【化135】
【0196】
【化136】
【0197】
【化137】
【0198】
【化138】
【0199】
【化139】
【0200】
【化140】
【0201】
【化141】
【0202】
【化142】
【0203】
【化143】
【0204】
電子注入材料として用いることができる好ましい化合物(ei1)~(ei4)を以下に挙げる。
【0205】
【化144】
【0206】
【化145】
【0207】
【化146】
【0208】
【化147】
【0209】
安定化材料として用いることができる好ましい化合物(st1)~(st5)を以下に挙げる。
【0210】
【化148】
【0211】
【化149】
【0212】
【化150】
【0213】
【化151】
【0214】
【化152】
【0215】
陰極には仕事関数の小さい材料が一般に用いられる。陰極用材料として、例えば、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、スズ、マグネシウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、リチウム/アルミニウム混合物、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金などが用いられる。透明導電性材料を用いることによって透明または半透明な陰極を得ることができる。陰極の厚さは、通常、10~5000nm、好ましくは50~200nmである。陰極のシート抵抗は数百Ω/□以上であることが好ましい。
【0216】
なお、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金等の、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性を増すため好ましい。また、陰極と、隣接する有機層(例えば電子輸送層や、電子注入層)とのコンタクトを向上させるために、両者の間に陰極界面層を設けてもよい。陰極界面層に用いられる材料としては、芳香族ジアミン化合物、キナクリドン化合物、ナフタセン誘導体、有機シリコン化合物、有機リン化合物、N-フェニルカルバゾール骨格を有する化合物、N-ビニルカルバゾール重合体などを挙げることができる。
【0217】
本発明の発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
【0218】
以下、本発明の実施の形態について、その効果を示す。
【0219】
発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、分光放射輝度計(コニカミノルタ社製:CS-2000)、分光蛍光光度計(日本分光社製:FP-8600)、および100mmΦ積分球(日本分光社製:ILF-835)を用いて行った。
【0220】
(例2)
窒素雰囲気のグローブボックス中で、BBCz-Rのトルエン溶液を調製した。この溶液についてPLスペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
【0221】
BBCz-R:
【化153】
【0222】
(例3)
インジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、10nm厚の2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(HAT―CN)膜、50nm厚の1,1-ビス[4-[N,N-ジ(p-トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン(TAPC)膜、10nm厚のmCBP膜、20nm厚の2重量%BBCz-R:mCBP膜、10nm厚の2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フラン(PPF)膜、40nm厚の1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(B3PyPB)膜をこの順で真空蒸着法(5.0×10-4Pa以下)によって積層させた。
【0223】
次いで、1nm厚の8-ヒドロキシキノリトリチウム膜、および100nm厚のアルミニウム膜をこの順で真空蒸着法にて積層させることにより陰極を形成させて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
有機エレクトロルミネッセンス素子の特性を測定した。表1に発光特性を示す。図2に電流密度-外部量子効率特性を示す。図3に電圧-電流密度特性を示す。
【0224】
【表1】
【0225】
BBCz-Rを用いた発光素子は、最大外部量子効率22%という高い値を示した。発光スペクトルの広がりを表すFWHM(Full Width at Half Maximum:半値全幅)が26nmという狭い値であった。国際照明委員会CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)xy色度図における色度座標は(0.67,0.33)であり、純赤色に近い色を示した。
【0226】
以上のとおり、式(I)で表される化合物からなる発光材料によって、高い発光特性が得られた。
図1
図2
図3