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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20250402BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20250402BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
H04B1/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020170996
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022062840
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 龍司
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/114224(WO,A1)
【文献】特開2013-098687(JP,A)
【文献】特開2015-033065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187872(WO,A1)
【文献】特開2014-168250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/30- 5/42
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して外部装置とデータ通信を行う通信部と、
振動子と、
前記振動子による振動の周期に応じた発振周波数で電気信号を出力する発振回路と、
前記振動子の周囲の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記発振周波数を補正する補正部と、が基板上に設けられ、
前記基板を構成する複数の層は、前記振動子と前記温度検出部の存在する位置に対応する位置を含む第1領域から前記第1領域と異なる第2領域に延びる配線が設けられた第1の層と、前記第1領域から前記第2領域に延びる配線を有さない1つ以上の第2の層とを含み、1つ以上の前記第2の層において、前記第1領域の内側に配置された第1の導体パターンが前記第1領域の外側に配置された第2の導体パターンから独立して配置されている、通信モジュール。
【請求項2】
前記第2の導体パターンは、第3の導体パターンを含み、
1つ以上の前記第2の層において、前記第1領域が前記第3の導体パターンで囲まれている、請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項3】
前記第1領域にはベタグランドが配置されていない、請求項1または請求項2に記載の通信モジュール。
【請求項4】
前記振動子と前記温度検出部はモールド成型によって一体に構成されている、請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項5】
前記振動子と前記温度検出部の近傍に発熱体が設けられている、請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項6】
前記振動子は、水晶振動子である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項7】
前記温度検出部は、サーミスタである、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の通信機器は、外部装置とデータ通信を行うための通信モジュールを備えている。通信モジュールは、水晶振動子等の所定の振動子による振動の周期に応じた発振周波数で電気信号を出力する発振回路を備えている。
【0003】
また、一般に、振動子は、振動の周期が温度によって変化するという温度特性を有している。また、そのような振動子の温度特性に基づく温度補償機能を有する発振回路が存在するが、高価であるという短所がある。
【0004】
一方、温度補償機能のない発振回路であっても、サーミスタ等の温度検出部による温度検出結果を用いることで、振動子に温度変化があっても発振回路の発振周波数を安定させることができる技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、温度補償機能のない発振回路を用いた場合に、温度検出部による温度検出結果が振動子の温度と異なることがあるので、発振回路の発振周波数の精度の点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、温度補償機能のない発振回路を用いた場合でも高精度な発振周波数を実現できる通信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の通信モジュールは、アンテナを介して外部装置とデータ通信を行う通信部と、振動子と、振動子による振動の周期に応じた発振周波数で電気信号を出力する発振回路と、前記振動子の周囲の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記発振周波数を補正する補正部と、が基板上に設けられ、前記基板を構成する複数の層のうち、1つ以上の層において、前記振動子と前記温度検出部の存在する位置に対応する位置を含む領域の導体パターンが他の導体パターンから独立して配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度補償機能のない発振回路を用いた場合でも高精度な発振周波数を実現できる通信モジュールを提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の通信モジュールの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、水晶振動子の温度特性を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の通信モジュールにおける、水晶振動子およびサーミスタを用いて電気信号を生成する回路群の構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の通信モジュールの実装状態を示す図である。
図5図5は、図4の通信モジュールの第1層を示す図である。
図6図6は、図4の通信モジュールの第2層を示す図である。
図7図7は、図4の通信モジュールの第3層を示す図である。
図8図8は、図4の通信モジュールの第4層を示す図である。
図9図9は、図4の通信モジュールの第5層を示す図である。
図10図10は、図4の通信モジュールの第6層を示す図である。
図11図11は、第2実施形態の通信モジュールの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施形態の通信モジュールについて説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、実施形態の通信モジュールの理解を容易にするために、従来技術についてあらためて説明する。現在、IoT(Internet of Things)向けの無線通信技術として、LTE(Long Term Evolution) Cat-M1、Cat-NB1等の開発が進められている。つまり、既存の携帯電話のLTEインフラを活用したIoTへの応用が進められている。
【0012】
例えば、ガスメータ、水道メータ等の検針については、従来、人による検針作業であったものを、自動検針し、検針データを通信によって通知する、いわゆるスマート化が進められている。
【0013】
このような、ガスメータや水道メータのスマート化が進む中、これまで、人による検針であった経緯などから、装置に電気配線がなされておらず、スマート化を進める上での障害となっており、電気配線不要なバッテリーによる長期運用の実現が求められる。
【0014】
したがって、上述のLTE Cat-M1やCat-NB1の規格では、その待ち受け動作を従来の携帯電話の1.28秒から長期化するe-DRXが3GPP(Generation Partnership Project)によって規格化されている。そして、現状、43分までの長期待ち受けが、仕様上可能となっている。
【0015】
しかしながら、その長期待ち受けを実現する場合、待ち受け中は、端末装置が独立でタイマー動作するため、その精度が着信待ち受けの精度と直結する。したがって、タイマー動作の精度が悪い場合、待ち受け動作を基地局と同期するためには、待ち受け動作を長期化する必要があり、消費電力の増加につながってしまう。
【0016】
つまり、端末装置の消費電力を低減させるための要因の1つとして、タイマー動作の精度向上が重要となる。そして、タイマー動作の精度向上のためには、発振回路による高精度な発振周波数が必要となる。
【0017】
また、上述のように、温度補償機能を有する発振回路は高価であるので、温度補償機能のない発振回路を用いるニーズが大きい。そのために、端末装置の通信モジュールにおいて、温度補償機能のない発振回路を用いた場合でも高精度な発振周波数を実現することが求められている。以下、そのような通信モジュールについて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の通信モジュール1について説明する。図1は、第1実施形態の通信モジュール1の構成を模式的に示す図である。通信モジュール1は、携帯電話等の通信機器に備えられ、外部装置とデータ通信を行う。
【0019】
通信モジュール1は、主な構成として、メモリIC(Integrated Circuit)2と、通信用IC3と、RF(Radio Frequency)回路4と、電源用チップ部品群5と、高周波発振回路6と、水晶振動子7と、サーミスタ8と、モジュール基板10と、を備える。メモリIC2と、通信用IC3と、RF回路4と、電源用チップ部品群5と、高周波発振回路6と、水晶振動子7と、サーミスタ8と、はモジュール基板10上に実装されている。
【0020】
メモリIC2は、データ記憶用のICであり、各種データを記憶する。メモリIC2は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を用いて実現される。
【0021】
通信用IC3は、外部装置との通信用の処理を行うためのICであり、計時用のタイマー回路31を備える。通信用IC3は、高周波発振回路6から出力される電気信号に基づいてRF回路4を制御することで、外部装置との通信を行う。
【0022】
RF回路4は、通信用IC3からの指令に基づき、アンテナ100を介して外部装置との通信を行う。RF回路4は、1以上のICを含んでいてもよいし、ICを含んでいなくてもよい。なお、通信用IC3およびRF回路4は、アンテナ100を介して外部装置とデータ通信を行う通信部の一例である。
【0023】
高周波発振回路6は、高周波の発振周波数で電気信号を出力する回路である。高周波発振回路6は、例えば、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)によって実現される。TCXOは、水晶振動子の持つ温度特性と正反対の特性を持つ温度補償回路を内蔵し、広い温度範囲にわたって良好な温度特性が得られる水晶発振器である。
【0024】
電源用チップ部品群5は、入力電力から必要とされる出力電力を生成するチップ部品の群である。
【0025】
水晶振動子7は、水晶の圧電効果によって所定周期で振動する振動子である。水晶振動子7は、高周波発振回路6と比較して、発振周波数の低いものが選択される。水晶振動子7の発振周波数は、例えば、32.768kHzである。なお、水晶振動子7は、振動子の一例である。
【0026】
ここで、図2は、水晶振動子7の温度特性を示す図である。図2では、発振周波数が32.768kHzの音叉型の水晶振動子7の温度特性を示している。図2において、横軸は水晶振動子7の温度で、縦軸は周波数偏差(20℃における周波数を基準としたときの周波数の変化の度合い)を示す。図2に示す例によれば、水晶振動子7の発振周波数は、水晶振動子7の温度が20℃から低くなるほど小さくなり、水晶振動子7の温度が20℃から高くなるほど小さくなることが読み取れる。なお、図2に示された水晶振動子7の温度特性は一例である。水晶振動子7の温度特性は、図2に示す例に限定されない。
【0027】
サーミスタ8は、水晶振動子7の近傍に配置され、水晶振動子7の周囲の温度に応じた検出信号を出力する。なお、サーミスタ8は振動子の周囲の温度を検出する温度検出部の一例である。
【0028】
水晶振動子7およびサーミスタ8を用いて電気信号を生成する回路群は、水晶振動子7およびサーミスタ8の配置位置から離間した位置に設けられている。ここでは一例として、水晶振動子7およびサーミスタ8を用いて電気信号を生成する回路群は、RF回路4に含まれていることとする。図3は、第1実施形態の通信モジュール1における、水晶振動子7およびサーミスタ8を用いて電気信号を生成する回路群の構成の一例を示す図である。図3に示すように、RF回路4は、温度検出回路41と、記憶素子42と、補償信号発生回路43と、発振回路44と、可変容量ダイオード45と、キャパシタ46と、を備える。
【0029】
発振回路44は、水晶振動子7による発振周波数に応じた周波数の電気信号を発生させる。発振回路44が発生させた電気信号は、キャパシタ46を介して出力端子Pから出力される。
【0030】
可変容量ダイオード45の2つの端子のうちの1つ、より正確にはカソード端子は、発振回路44に電気的に接続されている。可変容量ダイオード45の容量が変化すると、発振回路44の共振周波数が変化し、これによって発振回路44が出力する電気信号の周波数が調整される。補償信号発生回路43は、発振回路44が出力する電気信号の周波数が一定になるように、サーミスタ8、温度検出回路41、および記憶素子42を用いて、可変容量ダイオード45の容量を制御する。
【0031】
より具体的には、温度検出回路41は、サーミスタ8からの検出信号に基づいて温度を検出し、温度信号を出力する。記憶素子42は、例えばPROM(Programmable Read Only Memory)から構成され、温度補償情報を記憶する。記憶素子42は、温度検出回路41から入力した温度信号と、記憶している温度補償情報に基づいて、温度に応じた信号を出力する。補償信号発生回路43は、記憶素子42から入力された信号に応じた電圧を補償信号として発生させ、発生させた電圧を可変容量ダイオード45の2つの端子間に印加する。ここで、温度補償情報は、可変容量ダイオード45の容量を図2に例示したような水晶振動子7の周波数偏差の補償に要する容量に維持するための電圧値を示す。よって、補償信号発生回路43は、発振回路44が出力する電気信号の周波数が温度によらず一定になるように、可変容量ダイオード45の容量を制御することができる。なお、補償信号発生回路43は、温度検出回路41によって検出された温度に基づいて発振周波数を補正する補正部の一例である。
【0032】
出力端子Pから出力された電気信号は、例えば、通信用IC3におけるタイマー回路31で用いられる。これにより、通信用IC3におけるタイマー回路31において、高周波発振回路6に基づく電気信号を使う場合と比較して、低周波の水晶振動子7に基づく電気信号を使うことで、省エネルギーを実現できる。
【0033】
なお、従来の通常の設計では、サーミスタと水晶振動子の温度差を極力無くすために、水晶振動子の極力近傍にサーミスタを配置する手段が用いられる。また、サーミスタでの温度検出結果に対し、図2に示す水晶振動子の温度特性を踏まえて補償信号発生回路で逆関数となる周波数補正を行うことで発振周波数の安定化を図っている。
【0034】
また、従来の通常の設計では、通信モジュールのモジュール基板について、表層及び内層の設計のときに、信号干渉等を考慮し、他の信号配線とのシールド性を考慮した配線及びGND(グランド)パターンの配置等はなされる。しかしながら、サーミスタと水晶振動子の温度差を極力無くすために、水晶振動子とサーミスタを含む領域を熱的に独立させたり、そのような領域に熱容量を意図的に持たせたりするように、モジュール基板上の導体パターンを配置するような設計は、なされていない。
【0035】
そこで、第1実施形態の通信モジュール1では、水晶振動子7とサーミスタ8を含む領域を熱的に独立させて、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差が発生しにくいように、モジュール基板10を構成する複数の層のうち、1つ以上の層において、水晶振動子7とサーミスタ8の存在する位置に対応する位置を含む領域の導体パターンが他の導体パターンから独立しているようにする。以下、この点について、図4図10を用いて詳述する。
【0036】
図4は、第1実施形態の通信モジュール1の実装状態を示す図である。図5図10は、図4の通信モジュール1の第1層~第6層を示す図である。なお、図5図9では、領域ARは、水晶振動子7とサーミスタ8とが配置される領域を示している。換言すると、領域ARは、水晶振動子7とサーミスタ8の存在する位置に対応する位置を含む領域を示している。
【0037】
図4に示すように、水晶振動子7とサーミスタ8とは互いに近接した位置に配置される。さらに、図6図9に示すように、領域ARの導体パターンが他の導体パターンから独立するように、モジュール基板10上の導体パターンが配置されている。他の導体パターンとは、例えば、メモリIC2に関する導体パターン、通信用IC3に関する導体パターン、RF回路4に関する導体パターン、電源用チップ部品群5に関する導体パターン、および高周波発振回路6に関する導体パターンなどである。
【0038】
例えば、図5に示すように、モジュール基板第1層10-1の領域ARには、水晶振動子実装端子71およびサーミスタ実装端子81が配置されている。メモリIC2、通信用IC3、RF回路4、電源用チップ部品群5、および高周波発振回路6は、モジュール基板第1層10-1の領域ARを除く領域に配置される。メモリIC2、通信用IC3、RF回路4、電源用チップ部品群5、および高周波発振回路6が配置される領域を、他回路領域20と表記する。他回路領域20には、メモリIC2、通信用IC3、RF回路4、電源用チップ部品群5、および高周波発振回路6が実装される端子が適宜、配置される。
【0039】
図6に示すモジュール基板第2層10-2には、領域ARには、領域ARの導体パターンとして、水晶振動子配線72とサーミスタ配線82とが設けられている。そして、メモリIC2に関する導体パターン、通信用IC3に関する導体パターン、RF回路4に関する導体パターン、電源用チップ部品群5に関する導体パターン、および高周波発振回路6に関する導体パターンは、他回路領域20内に配置される。領域ARには、メモリIC2に関する導体パターン、通信用IC3に関する導体パターン、RF回路4に関する導体パターン、電源用チップ部品群5に関する導体パターン、および高周波発振回路6に関する導体パターンのいずれも配置されない。つまり、モジュール基板第2層10-2では、領域ARの導体パターンが他の導体パターンから独立するように配置されている。図7に示すモジュール基板第3層10-3、図8に示すモジュール基板第4層10-4、および図9に示すモジュール基板第5層10-5においても同様に、領域ARの導体パターンが他の導体パターンから独立するように配置されている。
【0040】
なお、図9に示すモジュール基板第6層10-6には、通信モジュール1を他の装置に接続するための端子である1以上の外部接続端子30が複数、配置されている。図9に示す例では、5行×6列の合計30個の外部接続端子30が配置されている。
【0041】
また、図6図9に示すように、モジュール基板第2層10-2~モジュール基板第5層10-5において、領域ARは、導体パターンDで囲まれている。これによって、領域ARの熱容量が増加しており、その結果として、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差の発生を回避することが可能になっている。なお、図9に示すように、モジュール基板第5層10-5では、導体パターンDは、水晶振動子配線72およびサーミスタ配線82が設けられた位置においては、水晶振動子配線72およびサーミスタ配線82の外周に沿って形成されている。これによって、導体パターンDが水晶振動子配線72およびサーミスタ配線82の何れともクロスしないように形成されている。また、図5および図10に示すように、モジュール基板第1層10-1およびモジュール基板第6層10-6においては、導体パターンDは設けられていない。
【0042】
また、水晶振動子7は、低周波の振動子なので、グランド接続が不要で、グランド端子が無い。したがって、図5図9に示すように、領域ARにベタグランドを配置する必要がなく配置されていない。これによって、領域ARがさらに熱的に独立となる。
【0043】
また、図9に示すように、水晶振動子配線72とサーミスタ配線82とを下層であるモジュール基板第5層10-5に配置したことで、領域ARがさらに熱的に独立となる。
【0044】
このように、第1実施形態の通信モジュール1によれば、水晶振動子7とサーミスタ8とを含む領域ARが熱的に独立するようにモジュール基板10上の導体パターンを配置したことで、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差の発生を回避し、温度補償機能のない発振回路44を用いた場合でも高精度な発振周波数を実現することができる。
【0045】
したがって、温度補償機能のある発振回路を用いる場合に比べて、通信モジュール1の製作コストを低減することができる。
【0046】
また、領域ARを導体パターンDで囲って熱容量を増加させることで、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差の発生をさらに回避できる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の通信モジュール1について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。図11は、第2実施形態の通信モジュール1の構成を模式的に示す図である。
【0048】
第2実施形態では、水晶振動子7とサーミスタ8は樹脂でのモールド成型によってモールド部材40として一体に構成されている。
【0049】
このように、第2実施形態の通信モジュール1によれば、水晶振動子7とサーミスタ8を樹脂でのモールド成型によってモールド部材40として一体に構成したことで、第1実施形態の場合と比べて、さらに、水晶振動子7とサーミスタ8を熱的に周囲から独立させるとともに、領域ARの熱容量を増加させることができる。
【0050】
したがって、モジュール基板10上の各部材の発熱に起因する温度変化だけでなく、外気の温度変化があったときでも、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差の発生をより回避することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の通信モジュール1について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。第3実施形態では、水晶振動子7とサーミスタ8の近傍にヒーター等の発熱体を設ける。
【0052】
そして、通信モジュール1の使用環境における温度の上限よりも高い温度に水晶振動子7とサーミスタ8の温度を保つようにする。
【0053】
このように、第3実施形態の通信モジュール1によれば、水晶振動子7とサーミスタ8の近傍に発熱体を設けることで、水晶振動子7とサーミスタ8の温度差の発生をより回避することができる。
【0054】
その場合、例えば、温度制御にサーミスタ8による検出結果を使用してもよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば、上述の各実施形態では、発振周波数を安定させる対象として、水晶振動子7の場合について説明したが、これに限定されず、温度補償機能がない場合の高周波発振回路6に対して本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…通信モジュール、2…メモリIC、3…通信用IC、4…RF回路、5…電源用チップ部品群、6…高周波発振回路、7…水晶振動子、8…サーミスタ、10…モジュール基板、20…他回路領域、30…外部接続端子、31…タイマー回路、40…モールド部材、41…温度検出回路、42…記憶素子、43…補償信号発生回路、44…発振回路、45…可変容量ダイオード、46…キャパシタ、71…水晶振動子実装端子、72…水晶振動子配線、81…サーミスタ実装端子、82…サーミスタ配線、100…アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11