(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】煙監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20250402BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/00 520D
(21)【出願番号】P 2021049056
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 拓海
(72)【発明者】
【氏名】藤田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-066469(JP,A)
【文献】特開平09-288779(JP,A)
【文献】特開昭52-116196(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112447018(CN,A)
【文献】特開2019-074837(JP,A)
【文献】特開2006-202080(JP,A)
【文献】中国実用新案第206672312(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置と、前記監視装置に接続されている煙警報盤と、前記煙警報盤に接続されている煙センサとを備え、
前記監視装置は、時間によって異なる閾値
のうち現在時刻が属する時間帯の閾値を前記煙警報盤を介して前記煙センサに送信し、
前記煙センサは、
記憶部と、
前記監視装置から前記煙警報盤を介して前記閾値を取得する取得部と、
前記取得部により前記閾値が新たに取得されると、前記記憶部に記憶された既存の閾値を前記新たに取得された閾値に変更する変更部と、
煙の濃度を測定する測定部と、
前記煙の濃度と前記記憶部に記憶された前記変更後の閾値とを比較した結果を示す前記煙の検出結果を前記煙警報盤に送信する送信部とを有し、
前記煙警報盤は、前記煙センサから受信した前記煙の検出結果に応じた警報を出力する
煙監視システム。
【請求項2】
監視装置と、前記監視装置に接続されている煙センサとを備え、
前記監視装置は、時間によって異なる閾値
のうち現在時刻が属する時間帯の閾値を前記煙センサに送信し、
前記煙センサは、
記憶部と、
前記監視装置から前記閾値を取得する取得部と、
前記取得部により前記閾値が新たに取得されると、前記記憶部に記憶された既存の閾値を前記新たに取得された閾値に変更する変更部と、
煙の濃度を測定する測定部と、
前記煙の濃度と前記記憶部に記憶された前記変更後の閾値とを比較した結果に応じた警報を出力する出力部とを有する
煙監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災センサの感度を変更する技術がある(例えば特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6378042号公報
【文献】特許第4718844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載の技術では、いずれも、火災センサが他の装置によらず単独で感度を変更している。そのため、火災センサは、変更前の閾値と変更後の閾値とを両方とも記憶し、これらの閾値の中から現在時刻において使用すべき閾値を選択する等、変更前後の閾値を管理する必要がある。
【0005】
本発明は、煙センサが変更前後の閾値を管理しなくても、煙センサの感度を時間によって変更できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、監視装置と、前記監視装置に接続されている煙警報盤と、前記煙警報盤に接続されている煙センサとを備え、前記監視装置は、時間によって異なる閾値を前記煙警報盤を介して前記煙センサに送信し、前記煙センサは、記憶部と、前記監視装置から前記煙警報盤を介して前記閾値を取得する取得部と、前記取得部により前記閾値が新たに取得されると、前記記憶部に記憶された既存の閾値を前記新たに取得された閾値に変更する変更部と、煙の濃度を測定する測定部と、前記煙の濃度と前記記憶部に記憶された前記変更後の閾値とを比較した結果を示す前記煙の検出結果を前記煙警報盤に送信する送信部とを有し、前記煙警報盤は、前記煙センサから受信した前記煙の検出結果に応じた警報を出力する煙監視システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、煙センサが変更前後の閾値を管理しなくても、煙センサの感度を時間によって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る煙監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】従属型煙センサの構成の一例を示す図である。
【
図5】独立型煙センサの構成の一例を示す図である。
【
図6】警報レベルの閾値を設定する動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図9】警報レベルの閾値を変更する動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図10】警報レベルの閾値を変更する動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
構成
図1は、実施形態に係る煙監視システム10の構成の一例を示す図である。煙監視システム10は、サーバー室、データセンター、クリーンルーム等の防火対象物に設置される。煙監視システム10は、防火対象物の環境空気の状態を監視することにより火災の予兆を検知する。このように、火災の予兆を検知することにより、初期段階で迅速に対処することが可能となる。
【0010】
煙監視システム10は、監視装置100と、複数の煙警報盤200と、複数の従属型煙センサ300と、複数の独立型煙センサ400とを備える。監視装置100と複数の煙警報盤200と複数の独立型煙センサ400とは、LAN(Local Area Network)等の第1信号線11を介して接続されている。各煙警報盤200には、第2信号線12を介して複数の従属型煙センサ300が接続されている。
【0011】
監視装置100は、煙警報盤200及び従属型煙センサ300を一括して監視するのに用いられる。また、監視装置100は、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400が警報レベルの判定に用いる閾値を管理及び制御する。
【0012】
煙警報盤200は、従属型煙センサ300により判定された該当する警報レベルに応じた警報を出力する装置である。
【0013】
従属型煙センサ300は、通信タイプの煙センサとも呼ばれ、煙警報盤200に従属する煙センサである。ここでいう「従属」とは、煙警報機能の一部を煙警報盤200が担うことをいう。従属型煙センサ300は、周囲の煙の濃度を測定し、測定した煙の濃度と警報レベルの閾値との比較により該当する警報レベルを判定する。
【0014】
独立型煙センサ400は、スタンドアローンタイプの煙センサとも呼ばれ、煙警報盤200を要さずに独立して動作する煙センサである。ここでいう「独立して動作」とは、他の装置によらず煙警報機能を実現し得ることをいう。独立型煙センサ400は、周囲の煙の濃度を測定し、測定した煙の濃度と警報レベルの閾値との比較により該当する警報レベルを判定し、判定した警報レベルに応じた警報を出力する。
【0015】
図2は、監視装置100の構成の一例を示す図である。監視装置100には、例えば汎用のコンピュータが用いられる。監視装置100は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、操作部104と、表示部105とを備える。監視装置100の各部は、バスを介して接続されている。
【0016】
制御部101は、自装置の各部の制御及び各種の処理を行うプロセッサである。制御部101には、例えばCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶部102は、自装置の機能を実現するためのプログラム及び各種のデータを記憶するメモリである。記憶部102に記憶されるデータには、データベース121が含まれる。記憶部102には、例えばROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)のうち少なくとも一つが含まれる。通信部103は、自装置を第1信号線11に接続するための通信インターフェースである。通信部103は、第1信号線11を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。操作部104は、自装置の操作に用いられる。操作部104には、例えばマウスとキーボードとが含まれる。表示部105は、各種の情報を表示する。表示部105には、例えば液晶ディスプレイが含まれる。
【0017】
制御部101は、計時部111と、送信部112として機能する。これらの機能は、制御部101が記憶部102に記憶されたプログラムを実行して、制御部101が演算を行い又は監視装置100の各部を制御することにより実現される。或いは、計時部111は、物理タイマーにより実現されてもよい。
【0018】
計時部111は、時間を計測する。送信部112は、警報レベルの判定に用いられる閾値を煙警報盤200を介して従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に送信する。送信部112から送信される閾値は、時間によって異なる。また、送信部112から送信される閾値は、時間及び曜日によって異なってもよい。複数の警報レベルは、煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す。
【0019】
図3は、煙警報盤200の構成の一例を示す図である。煙警報盤200は、制御部201と、記憶部202と、第1通信部203と、第2通信部204と、操作部205と、表示部206と、音出力部207と、移報回路208とを備える。煙警報盤200の各部は、バスを介して接続されている。
【0020】
制御部201、記憶部202、第1通信部203、操作部205、及び表示部206は、それぞれ、基本的には監視装置100の制御部101、記憶部102、通信部103、操作部104、及び表示部105と同様である。ただし、操作部205には、例えば操作ボタンが含まれる。表示部206には、例えば7セグメントディスプレイとLED(Light Emitting Diode)とが含まれる。第2通信部204は、自装置を第2信号線12に接続するための通信インターフェースである。第2通信部204は、第2信号線12を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。音出力部207は、音を出力する。音出力部207には、例えばスピーカーが含まれる。
【0021】
移報回路208は、警報が発生したときに外部設備(図示せず)に移報を行う。移報回路208には、複数のリレーが含まれる。各リレーには、接点が含まれる。一の例において、移報回路208には、第1リレー~第3リレーが含まれる。第1リレー~第3リレーには、それぞれ、第1接点~第3接点が含まれる。第1接点~第3接点には、例えば移報の契機として「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルが割り当てられている。
【0022】
制御部201は、転送部211と、受信部212と、出力部213として機能する。これらの機能は、制御部201が記憶部202に記憶されたプログラムを実行して、制御部201が演算を行い又は煙警報盤200の各部を制御することにより実現される。
【0023】
転送部211は、監視装置100と従属型煙センサ300との間でデータを転送する。受信部212は、従属型煙センサ300から煙の検出結果を受信する。出力部213は、受信部212にて受信した煙の検出結果に応じた警報を出力する。この警報の出力には、表示部206の表示、音出力部207からの音の出力、及び移報回路208からの移報のうち少なくともいずれかが含まれる。
【0024】
図4は、従属型煙センサ300の構成の一例を示す図である。従属型煙センサ300は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、煙検出部304とを備える。従属型煙センサ300の各部は、バスを介して接続されている。
【0025】
制御部301、記憶部302、及び通信部303は、それぞれ、基本的には監視装置100の制御部101、記憶部102、及び煙警報盤200の第2通信部204と同様である。
【0026】
煙検出部304は、周囲の空気を吸引して煙の濃度を測定する。これにより、煙検出部304は、周囲の空気中に存在する煙を検出する。煙検出部304が測定し得る煙濃度の範囲は、例えば0.0001%/mから20.0%/mである。煙の検出には、例えば総散乱光方式や二受光方式が用いられる。ただし、煙を検出する方法はこれらの方式に限定されず、他の方式であってもよい。煙検出部304は、本発明に係る「測定部」の一例である。
【0027】
制御部301は、取得部311と、変更部312と、判定部313と、送信部314として機能する。これらの機能は、制御部301が記憶部302に記憶されたプログラムを実行して、制御部301が演算を行い又は従属型煙センサ300の各部を制御することにより実現される。
【0028】
取得部311は、監視装置100から煙警報盤200を介して警報レベルの判定に用いる閾値を取得する。変更部312は、取得部311により閾値が新たに取得されると、記憶部302に記憶された既存の閾値を新たに取得された閾値に変更する。判定部313は、煙検出部304により測定された煙の濃度と記憶部302に記憶されている閾値との比較により、複数の警報レベルの中から該当する警報レベルを判定する。一の例において、複数の警報レベルは、「アラーム1」~「アラーム3」という三段階の警報レベルである。「アラーム1」は最も低い警報レベルである。「アラーム2」は2番目に低い警報レベルである。「アラーム3」は最も高い警報レベルである。判定部313は、煙の濃度が「アラーム1」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定する。判定部313は、煙の濃度が「アラーム2」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム2」という警報レベルに該当すると判定する。判定部313は、煙の濃度が「アラーム3」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム3」という警報レベルに該当すると判定する。送信部314は、判定部313の判定結果を示す煙の検出結果を煙警報盤200に送信する。
【0029】
図5は、独立型煙センサ400の構成の一例を示す図である。独立型煙センサ400は、制御部401と、記憶部402と、通信部403と、煙検出部404と、操作部405と、表示部406と、音出力部407と、移報回路408とを備える。独立型煙センサ400の各部は、バスを介して接続されている。
【0030】
制御部401、記憶部402、通信部403、煙検出部404、操作部405、表示部406、音出力部407、及び移報回路408は、それぞれ、基本的には監視装置100の制御部101、記憶部102、通信部103、従属型煙センサ300の煙検出部304、煙警報盤200の操作部205、表示部206、音出力部207、及び移報回路208と同様である。
【0031】
制御部401は、取得部411と、変更部412と、判定部413と、出力部414として機能する。これらの機能は、制御部401が記憶部402に記憶されたプログラムを実行して、制御部401が演算を行い又は独立型煙センサ400の各部を制御することにより実現される。
【0032】
取得部411は、監視装置100から警報レベルの判定に用いる閾値を取得する。変更部412は、従属型煙センサ300の変更部312と同様に、取得部411により閾値が新たに取得されると、記憶部402に記憶された既存の閾値を新たに取得された閾値に変更する。判定部413は、従属型煙センサ300の判定部313と同様に、煙検出部404により測定された煙の濃度と記憶部402に記憶されている閾値との比較により、複数の警報レベルの中から該当する警報レベルを判定する。出力部414は、判定部413の判定結果に応じた警報を出力する。この警報の出力には、表示部406の表示、音出力部407からの音の出力、及び移報回路408からの移報のうち少なくともいずれかが含まれる。
【0033】
動作
初期設定
図6は、警報レベルの閾値を設定する動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、例えば煙監視システム10の利用を開始する前に行われる。
【0034】
ステップS11において、作業員は、監視装置100の操作部104を用いて、複数の警報レベルの閾値を設定する操作を行う。
【0035】
図7は、設定画面150の一例を示す図である。設定画面150は、複数の従属型煙センサ300及び複数の独立型煙センサ400のそれぞれについて、昼の時間帯に用いられる「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値(以下、「昼の閾値」ともいう。)と、夜の時間帯に用いられる「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値(以下、「夜の閾値」ともいう。)とを設定する操作を受け付ける。これらの閾値は、0.01~20.0%/mの範囲で設定し得る。なお、図中の網掛け部分は、グレーアウトを示す。グレーアウトで表示された項目に対しては入力操作ができない。
【0036】
例えば従属型煙センサ300Aが用いる「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値をそれぞれ0.08%/m、0.14%/m、0.18%/mに設定する場合、作業員は、
図7に示されるように、従属型煙センサ300Aに対応する「昼1」~「昼3」という入力領域151にこれらの閾値を入力する。
【0037】
また、昼の時間帯と夜の時間帯とで従属型煙センサ300Aが用いる閾値が異なってもよい。例えば昼の時間帯は夜の時間帯に比べて人が多いため、埃等の人に起因する煙が発生し易い。そのため、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を上げると煙の誤検出が生じやすくなる。そこで、昼の時間帯においては従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を下げるべく、昼の閾値は夜の閾値より大きくしてもよい。一方、夜の時間帯は昼の時間帯に比べて人が少ないため、埃等の人に起因する煙が発生し難い。そのため、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を上げても煙の誤検出が生じにくい。そこで、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を上げるべく、夜の閾値は昼の閾値より小さくしてもよい。
【0038】
昼の時間帯と夜の時間帯とで従属型煙センサ300Aが用いる警報レベルの閾値を異ならせる場合、まず作業員は、
図7に示されるように、例えば従属型煙センサ300Aに対応する「夜設定」というチェックボックス152をオンにすることにより、従属型煙センサ300Aが用いる夜の閾値を設定することを選択する。続いて、9時から昼の閾値の使用を開始し、17時から夜の閾値の使用を開始する場合、作業員は、「昼開始」という入力領域153に昼の閾値への変更時刻(以下、「昼の変更時刻」ともいう。)である「9:00」を入力し、「夜開始」という入力領域153に夜の閾値への変更時刻(以下、「夜の変更時刻」ともいう。)である「17:00」を入力する。そして、従属型煙センサ300Aが用いる「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値をそれぞれ0.06%/m、0.12%/m、0.16%/mに設定する場合、作業員は、従属型煙センサ300Aに対応する「夜1」~「夜3」という入力領域151にこれらの閾値を入力する。
【0039】
作業員は、他の従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400についてもそれぞれ閾値を設定する操作を行う。従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400は、その設置場所によって周囲に居る人の数や周囲に人が居る時間帯が異なる。従って、昼の閾値、夜の閾値、昼の変更時刻、及び夜の変更時刻は、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400毎に異なってもよい。
【0040】
さらに、特定の曜日については、昼の閾値は用いずに、常時夜の閾値を用いる設定が行われてもよい。例えば防火対象物が一般公開されている文化財であり、特定の曜日が休館日になっている場合、特定の曜日は人が少ない。そこで、特定の曜日には常時夜の閾値が用いられてもよい。例えば土曜日と日曜日には常時夜の閾値を用いる場合には、「土曜日」というチェックボックス154と「日曜日」というチェックボックス154とをオンにすることにより、土曜日と日曜日とを選択する。
【0041】
図6に戻り、ステップS12において、監視装置100は、ステップS11において行われた操作に応じた設定情報をデータベース121に格納する。
【0042】
図8は、データベース121の一例を示す図である。データベース121には、データベース121a及び121bが含まれる。データベース121aには、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の識別子と、時間帯と、変更時刻と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値とが含まれる。例えば従属型煙センサ300Aについて夜の閾値の設定が行われた場合において、昼の変更時刻が9時、夜の変更時刻が17時、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値がそれぞれ0.08%/m、0.14%/m、0.18%/m、夜の閾値がそれぞれ0.06%/m、0.12%/m、0.16%/mである場合を想定する。この場合、データベース121aには、従属型煙センサ300Aの識別子と関連付けて、昼の変更時刻「9:00」と、夜の変更時刻「17:00」とが格納される。昼の変更時刻「9:00」には、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が関連付けて格納される。夜の変更時刻「17:00」には、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.06」、「0.12」、及び「0.16」が関連付けて格納される。
【0043】
なお、夜の閾値の設定が行われなかった場合には、昼の閾値だけが格納され、昼の変更時刻、夜の変更時刻、及び夜の閾値は格納されない。
【0044】
データベース121bには、常時夜の閾値を用いる設定の対象となる曜日に関連付けて、その曜日において用いられる昼の変更時刻と夜の変更時刻とが格納される。例えば常時夜の閾値を用いる設定の対象となる曜日が土曜日と日曜日とである場合、データベース121bには、「土曜日」及び「日曜日」という曜日が格納される。また、データベース121bには、昼の変更時刻を「無効」にする情報と、「0:00」という夜の変更時刻とが格納される。これは、データベース121bに格納された曜日においては、データベース121aに格納された昼の変更時刻は無効になり、夜の変更時刻は全て午前0時0分に変更されることを示す。
【0045】
図6に戻り、ステップS13において、監視装置100の送信部112は、煙警報盤200を介して各従属型煙センサ300に設定された閾値を送信する。具体的には、監視装置100の送信部112は、従属型煙センサ300が接続されている煙警報盤200に従属型煙センサ300の識別子と設定された閾値とを送信する。煙警報盤200の転送部211は、監視装置100から識別子と閾値とを受信すると、この識別子により識別される従属型煙センサ300に閾値を送信する。従属型煙センサ300は、煙警報盤200から閾値を受信する。
【0046】
このとき、夜の閾値が設定されていない場合には、昼の閾値が送信される。一方、夜の閾値が設定されている場合には、現在時刻が属する時間帯の閾値が送信される。例えば
図8に示されるように、従属型煙センサ300Aには昼の閾値と夜の閾値とが設定されている。この場合、計時部111により計測された現在時刻が昼の時間帯に属する場合には、昼の閾値が送信される。一方、計時部111により計測された現在時刻が夜の時間帯に属する場合には、夜の閾値が送信される。
【0047】
ステップS14において、各従属型煙センサ300は、受信した閾値を記憶部302に記憶させる。
【0048】
ステップS15において、監視装置100の送信部112は、各独立型煙センサ400に設定された閾値を送信する。このとき、上述したステップS13と同様に、夜の閾値が設定されていない場合には、昼の閾値が送信される。一方、夜の閾値が設定されている場合には、現在時刻が属する時間帯の閾値が送信される。独立型煙センサ400の取得部411は監視装置100から閾値を受信する。
【0049】
ステップS16において、各独立型煙センサ400は受信した閾値を記憶部402に記憶させる。
【0050】
なお、上述したステップS13の処理とステップS15の処理とは、並行して行われてもよいし、ステップS15の処理がステップS13の処理より先に行われてもよい。
【0051】
閾値変更動作
図9及び
図10は、警報レベルの閾値を変更する動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の少なくともいずれかに設定された変更時刻が到来したことを契機として開始される。
【0052】
ステップS21において、監視装置100の送信部112は、記憶部102のデータベース121を参照して、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の少なくともいずれかに設定された変更時刻が到来したか否かを判定する。例えば計時部111により計測された現在時刻が
図8に示されるデータベース121に含まれるいずれの変更時刻にも該当しない場合には、いずれの変更時刻も到来していないことを示す(ステップS21の判定がNO)。この場合、変更時刻が到来するまで、ステップS21の判定を繰り返す。
【0053】
一方、例えば計時部111により計測された現在時刻が17時になると、
図8に示されるデータベース121に含まれる従属型煙センサ300Aの夜の変更時刻が到来したと判定され(ステップS21の判定がYES)、処理はステップS22に進む。
【0054】
ステップS22において、監視装置100の送信部112は、閾値の変更対象が従属型煙センサ300であるか独立型煙センサ400であるかを判定する。例えば従属型煙センサ300Aの夜の変更時刻が到来した場合には、閾値の変更対象は従属型煙センサ300であると判定される(ステップS22の判定が「従属型煙センサ」)。この場合、処理はステップS23に進む。
【0055】
ステップS23において、監視装置100の送信部112は、煙警報盤200を介して対象となる従属型煙センサ300に変更後の閾値を送信する。具体的には、監視装置100の送信部112は、対象となる従属型煙センサ300が接続されている煙警報盤200に従属型煙センサ300の識別子と変更後の閾値とを送信する。煙警報盤200の転送部211は、監視装置100から識別子と変更後の閾値とを受信すると、この識別子により識別される従属型煙センサ300に変更後の閾値を送信する。従属型煙センサ300の取得部311は、煙警報盤200から変更後の閾値を受信する。
図8に示される例では、17時になると、従属型煙センサ300Aに「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.06」、「0.12」、「0.16」が送信される。
【0056】
ステップS24において、従属型煙センサ300の変更部312は、記憶部302に記憶されている閾値を新たに受信した変更後の閾値に変更する。例えば従属型煙センサ300Aの記憶部302には、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が記憶されている。これらの閾値が「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.06」、「0.12」、「0.16」に書き換えられる。これにより、従属型煙センサ300Aの記憶部302から「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値が削除され、従属型煙センサ300Aの記憶部302には「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値だけが記憶される。
【0057】
別の例において、計時部111により計測された現在時刻が18時になると、上述したステップS21において、
図8に示されるデータベース121に含まれる独立型煙センサ400Aの夜の変更時刻が到来したと判定される(ステップS21の判定がYES)。この場合、続くステップS22では、閾値の変更対象は独立型煙センサ400であると判定される(ステップS22の判定が「独立型煙センサ」)。この場合、処理は
図10に示されるステップS31に進む。
【0058】
ステップS31において、監視装置100の送信部112は、対象となる独立型煙センサ400に変更後の閾値を送信する。独立型煙センサ400の取得部411は、監視装置100から変更後の閾値を受信する。
図8に示される例では、18時になると、独立型煙センサ400Aに「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.05」、「0.11」、「0.15」が送信される。
【0059】
ステップS32において、独立型煙センサ400の変更部412は、記憶部402に記憶されている閾値を新たに受信した変更後の閾値に変更する。例えば独立型煙センサ400Aの記憶部402には、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が記憶されている。これらの閾値が、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.05」、「0.11」、「0.15」に書き換えられる。これにより、独立型煙センサ400Aの記憶部402から「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値が削除され、独立型煙センサ400Aの記憶部402には「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値だけが記憶される。
【0060】
このようにして、データベース121aに格納された変更時刻が到来する度に、上述した処理が行われる。
図8に示される例では、「9:00」という昼の変更時刻が到来すると、監視装置100から煙警報盤200を介して従属型煙センサ300Aに「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が送信される。そして、従属型煙センサ300Aにおいて、記憶部302に記憶されている「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値が昼の閾値に書き換えられる。
【0061】
また、「10:00」という昼の変更時刻が到来すると、監視装置100から独立型煙センサ400Aに「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が送信される。そして、独立型煙センサ400Aにおいて、記憶部402に記憶されている「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値が昼の閾値に書き換えられる。
【0062】
次に、常時夜の閾値を用いる設定の対象となる曜日に行われる動作について説明する。
図8に示されるデータベース121bに格納された特定の曜日が到来すると、データベース121aに格納された昼の変更時刻は無効となり、夜の変更時刻が午前0時0分に変更される。
図8に示される例では、土曜日又は日曜日の午前0時0分が到来すると、
図9に示されるステップS21の判定がYESになり、ステップS22以降の処理が行われる。夜の閾値が設定されている従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400のそれぞれに、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値が送信される。そして、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400のそれぞれにおいて、記憶部302又は402に記憶されている閾値が夜の閾値に変更される。特定の曜日においては、昼の変更時刻が無効であるため、記憶部302又は402には一日中夜の閾値が記憶される。特定の曜日が終了すると、再びデータベース121aに格納された変更時刻に従って上述した閾値変更動作が行われる。
【0063】
警報動作
次に、従属型煙センサ300及び煙警報盤200の警報動作について説明する。従属型煙センサ300の煙検出部304は、所定の時間間隔で周囲の煙の濃度を測定する。判定部313は、煙検出部304により測定された煙の濃度と記憶部302に記憶されている閾値とを比較することにより、該当する警報レベルを判定する。
【0064】
ここで、記憶部302に記憶されている閾値は、上述した閾値変更動作により、昼の時間帯と夜の時間帯とで異なる場合がある。ここでは、従属型煙センサ300Aを例に挙げて説明する。例えば昼の時間帯においては、従属型煙センサ300Aの記憶部302には「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が記憶されている。一方、夜の時間帯においては、従属型煙センサ300Aの記憶部302には「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.06」、「0.12」、及び「0.16」が記憶されている。
【0065】
この例では、昼の時間帯においては、煙の濃度が0.08%/mに達すると「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定される。一方、夜の時間帯においては、煙の濃度が0.06%/mに達すると「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定される。そうすると、夜の時間帯には昼の時間帯よりも低い煙の濃度で「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定されることになるため、従属型煙センサ300Aの感度が高くなる。
【0066】
従属型煙センサ300の送信部314は、煙検出部304により測定された煙の濃度と該当する警報レベルを示すアラーム情報とを含む煙の検出結果を煙警報盤200に送信する。煙警報盤200の受信部212は、従属型煙センサ300から煙の検出結果を受信する。出力部213は、受信した煙の検出結果に応じて警報を出力する。例えば煙の検出結果にアラーム情報が含まれる場合には、このアラーム情報により示される警報レベルに応じた警報を表示部206に表示させ、音出力部207から警報音を出力させるとともに、移報回路208から外部設備に移報を行う。
【0067】
次に、独立型煙センサ400の警報動作について説明する。独立型煙センサ400の煙検出部404は、従属型煙センサ300の煙検出部304と同様に、所定の時間間隔で周囲の煙の濃度を測定する。判定部413は、従属型煙センサ300の判定部313と同様に、煙検出部404により測定された煙の濃度と記憶部402に記憶されている閾値とを比較することにより、該当する警報レベルを判定する。
【0068】
ここで、記憶部402に記憶されている閾値は、従属型煙センサ300の記憶部302に記憶されている閾値と同様に、上述した閾値変更動作により昼の時間帯と夜の時間帯とで異なる場合がある。ここでは、独立型煙センサ400Aを例に挙げて説明する。例えば昼の時間帯においては、独立型煙センサ400Aの記憶部402には「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値「0.08」、「0.14」、及び「0.18」が記憶されている。一方、夜の時間帯においては、独立型煙センサ400の記憶部402には、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値「0.05」、「0.11」、及び「0.15」が記憶されている。
【0069】
この例では、昼の時間帯においては、煙の濃度が0.08%/mに達すると「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定される。一方、夜の時間帯においては、煙の濃度が0.05%/mに達すると「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定される。そうすると、夜の時間帯には昼の時間帯よりも低い煙の濃度で「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定されることになるため、独立型煙センサ400Aの感度が高くなる。
【0070】
独立型煙センサ400の出力部414は、該当する警報レベルに応じて警報を出力する。例えば出力部414は、いずれかの警報レベルに該当すると判定されると、その警報レベルに応じた警報を表示部406に表示させ、音出力部407から警報音を出力させるとともに、移報回路408から外部設備に移報を行う。
【0071】
上述した実施形態によれば、時間によって異なる閾値が監視装置100から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に送信され、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400においてこの閾値を用いて警報レベルが判定されるため、時間によって従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を変更することができる。これにより、時間に適した感度にすることができる。例えば人が多い昼の時間帯の閾値を大きくすることにより、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の警報レベルの誤判定を減らすことができる。
【0072】
また、時間及び曜日によって異なる閾値が監視装置100から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に送信され、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400においてこの閾値を用いて警報レベルが判定される場合には、時間及び曜日によって従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を変更することができる。これにより、時間及び曜日に適した感度にすることができる。例えば人が少ない曜日には、閾値を小さくすることにより、より少ない煙の濃度で警報を発生させることができる。
【0073】
さらに、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの判定に用いられる複数の閾値が監視装置100から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400にまとめて送信されるため、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400において「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの判定に用いられる複数の閾値をまとめて変更することができる。
【0074】
さらに、変更時刻になると監視装置100から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に変更後の閾値が送信され、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400においては現在使用する閾値だけが記憶されるため、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400が変更前後の閾値を管理しなくてもよい。従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400は、単に現在記憶されている閾値を用いて警報レベルの判定を行えばよく、変更時刻が到来したかを判定したり、夜の閾値と昼の閾値のうち現在時刻において使用すべき閾値を選択したりする処理を行わなくてもよいため、処理の負荷が軽減される。また、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400には現在使用する閾値だけが記憶されるため、昼の閾値と夜の閾値とを両方とも記憶する場合に比べて、記憶容量が削減される。さらに、複数の従属型煙センサ300及び複数の独立型煙センサ400において用いられる警報レベルの閾値を監視装置100でまとめて設定することができるため、これらの閾値を個々に設定する場合に比べて、設定の手間が軽減される。
【0075】
変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。実施形態と変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。同様に、以下の変形例は、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0076】
上述した実施形態において、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の警報レベルの判定に用いられる閾値は、気象又は季節によって異なってもよい。例えば朝靄や霧が発生する場合には、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400が警報レベルを誤判定するおそれがある。そこで、朝靄や霧が発生する場合には、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を下げるべく、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400が警報レベルの判定に用いる閾値が大きくなるように変更されてもよい。具体的には、監視装置100は、外部の天気サーバ装置から天気予報を取得する。この天気予報が特定の日付の特定の時間帯において朝靄や霧が発生することを示す場合、監視装置100は、この日付及び時間帯の開始時刻を昼の変更時刻として用いる。例えば天気予報が3月1日の朝5時から9時まで朝靄が発生することを示す場合には、夜の閾値が設定された全ての従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400について3月1日の昼の変更時刻が朝5時に変更される。そして、3月1日の変更後の昼の変更時刻である朝5時が到来すると、監視装置100は「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値をこれらの従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400に送信する。これにより、朝靄や霧が発生する可能性がある特定の日付及び特定の時間帯に用いられる閾値は、他の気象の場合に同時間帯に用いられる夜の閾値よりも大きくなる。
【0077】
また、冬は夏に比べて朝靄や霧が発生する可能性が高い。そのため、冬の期間の特定の時間帯については、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の感度を下げるべく、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400が警報レベルの判定に用いる閾値が大きくなるように変更されてもよい。具体的には、監視装置100は、冬の期間においては、夜の閾値が設定された全ての従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400について昼の変更時刻を例えば朝5時に変更してもよい。この場合、冬の期間においては変更後の昼の変更時刻である朝5時が到来すると、監視装置100は「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの昼の閾値を従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400に送信する。これにより、冬の期間の特定の時間帯に用いられる閾値は、他の季節において同時間帯に用いられる夜の閾値よりも大きくなる。
【0078】
上述した実施形態において、一日を3つ以上の時間帯に分割して、閾値が変更されてもよい。例えば防災対象物が一般公開されている文化財である場合には、職員だけが居る第1時間帯と、職員と一般の人とが居る第2時間帯と、人が居ない第3時間帯とに一日を分け、それぞれの時間帯において異なる閾値が用いられるようにしてもよい。
【0079】
上述した実施形態において、祝日には常時夜の閾値が用いられてもよい。この変形例では、作業員は、
図7に示される設定画面150において、「祝日」というチェックボックス154をオンにするとともに、祝日の日付を指定する操作を行う。この操作に応じて、データベース121bには、昼の変更時刻を「無効」にする情報と、「0:00」という夜の変更時刻と関連付けて、指定された祝日の日付が格納される。これにより、指定された祝日の午前0時0分が到来すると、監視装置100から夜の閾値が設定されている従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400のそれぞれに、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの夜の閾値が送信される。そして、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400のそれぞれにおいて、記憶部302又は402に記憶されている閾値が夜の閾値に変更され、指定された祝日においては一日中夜の閾値が用いられる。
【0080】
上述した実施形態において、監視装置100は設定ツールとして使用されてもよい。この場合、監視装置100には、例えば作業員により持ち運ばれる携帯型のコンピュータが用いられてもよい。監視装置100は、煙警報盤200、従属型煙センサ300、又は独立型煙センサ400に、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の第3信号線を介して個別に接続される。第3信号線を介して接続先の装置に接続されると、監視装置100は、接続先の装置と第3信号線を介して各種のデータのやり取りを行う。
【0081】
上述した実施形態において、警報レベルの数は三つに限定されない。警報レベルの数は、二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0082】
上述した実施形態において、監視装置100に表示される設定画面150の構成は上述した例に限定されない。設定画面150は、閾値を設定する操作を受け付けるものであれば、どのような構成を有していてもよい。この構成には、色、配置、形状、構成要素、及び画面遷移が含まれる。例えば設定画面150は、上述した実施形態で説明した操作画像とは異なる操作画像を含むように構成されてもよいし、一部の操作画像を含まずに構成されてもよい。
【0083】
上述した実施形態において、煙監視システム10の構成は上述した例に限定されない。煙監視システム10は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。例えば煙監視システム10は、監視装置100、煙警報盤200、及び従属型煙センサ300だけを備えてもよい。或いは、煙監視システム10は、監視装置100及び独立型煙センサ400だけを備えていてもよい。また、煙監視システム10の機能を有する主体は、上述した例に限定されない。
【0084】
上述した実施形態において、煙監視システム10の動作は上述した例に限定されない。煙監視システム10の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、煙監視システム10の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0085】
本発明の別の形態は、煙監視システム10、監視装置100、煙警報盤200、従属型煙センサ300、及び独立型煙センサ400のうち少なくともいずれかにおいて行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、監視装置100、煙警報盤200、従属型煙センサ300、又は独立型煙センサ400において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10:煙監視システム、100:監視装置、111:計時部、112:送信部、200:煙警報盤、211:転送部、212:受信部、213:出力部、300:従属型煙センサ、302:記憶部、304:煙検出部、311:取得部、312:変更部、313:判定部、314:送信部、400:独立型煙センサ、402:記憶部、404:煙検出部、411:取得部、412:変更部、413:判定部、414:出力部