(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】脱油アスファルトを水素化処理するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C10G 65/12 20060101AFI20250402BHJP
C10G 69/06 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
C10G65/12
C10G69/06
(21)【出願番号】P 2022525048
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2020125109
(87)【国際公開番号】W WO2021083305
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】201911054710.1
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911054142.5
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911053430.9
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911053414.X
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911054170.7
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911053706.3
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】楊清河
(72)【発明者】
【氏名】孫淑玲
(72)【発明者】
【氏名】胡大為
(72)【発明者】
【氏名】牛傳峰
(72)【発明者】
【氏名】賈燕子
(72)【発明者】
【氏名】戴立順
(72)【発明者】
【氏名】王振
(72)【発明者】
【氏名】戸安鵬
(72)【発明者】
【氏名】任亮
(72)【発明者】
【氏名】李大東
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104920(JP,A)
【文献】特表2017-511828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053189(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102311799(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103102980(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0022433(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1654603(CN,A)
【文献】特表2018-526492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱油アスファルトを水素化処理するための方法であって、
重油供給原料を溶媒脱アスファルトユニットに導入し、溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供する工程(1)と;
前記脱油アスファル
トおよび芳香族含有
流を混合することによって得られた混合供給原
料を、第1の反応ユニッ
トに導入し、水素化反応させる工程であって、ここで、前記脱油アスファルトおよび前記芳香族含有流の組成および比率は、前記混合供給原
料が400℃以下の温度で液体状態である組成および比率である、工程(2)と;
前記脱アスファルト油を第3の水素化ユニットに導入し、水素化反応させ、前記第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をDCCユニットに導入し、反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供する工程(11)と;
前記第1の反応ユニットからの液相生成物を、第1の軽質成
分および第1の重質成
分に分離する工程であって、ここで、前記第1の軽質成分および前記第1の重質成分は240~450℃のカットポイントを有し、前記分離
は分留によって行われる、工程(21)と;
前記第1の軽質成
分を第2の反応ユニッ
トに導入し、反応させ、ガソリン成
分、ディーゼル成
分およびBTX供給原料成
分からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供する工程であって、ここで、前記第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニットおよびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、工程(31)と;
前記第1の重質成
分をディレードコーキングユニッ
トに導入し、反応させ、コーカーガソリ
ン、コーカーディーゼ
ル、コーカーワックス
油および低硫黄石油コーク
スからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供する;または、前記第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油成分として使用する、工程(32)と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程(2)において、前記脱油アスファルトおよび前記芳香族含有流は、前記脱油アスファルトおよび前記芳香族含有流から形成される前記混合供給原料が100℃で400mm
2/s以
下の粘度を有する比率で、使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(2)において、前記芳香族含有流は、芳香族リッチ分留油および/または芳香族化合物で
ある、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記芳香族リッチ分留油は、200~540℃の終留点を有し、20重量%以上の芳香族炭化水素含有量を有し;前記芳香族リッチ分留油は、LCO、HCO、エチレンタール、コールタール、コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油からなる群から選択される少なくとも1つであり;及び/又は
前記芳香族
化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、少なくとも1つのC
1~6アルキル基で置換されたナフタレン、三環式またはそれ以上の芳香族炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(2)において、前記芳香族含有流は芳香族リッチ分留油であり、前記脱油アスファルトおよび前記芳香族含有流は1:10~50:1
0の重量比率で使用される、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
工程(2)において、前記芳香族含有流は芳香族
化合物であり、前記脱油アスファルトおよび前記芳香族
化合物は1:10~50:1
0の重量比率で使用される、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(2)において、前記脱油アスファルトは、重油供給原料を溶媒脱アスファルトユニットにおける溶媒脱アスファルト処理に供することによって得られる脱油アスファルトであり;
前記溶媒脱アスファルトユニットにおいて、前記脱油アスファルトは、50重量%以
下の収率で得られる、
請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記芳香族含有流の少なくとも一部として、工程(32)で得られた前記コーカーディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を工程(2)に戻し、再利用する工程をさらに含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(2)において、前記第1の反応ユニットは、反応温度280~450℃、反応圧力8.0~20.0MPa、油に対する水素の体積比率400~2000、および液空間速度0.05~1.2h
-1、の条件下で運転さ
れる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(31)において、前記第2の反応ユニットは水素化分解ユニットであり、
ここで、前記水素化分解ユニットは、反応温度330~420℃、反応圧力5.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率500~2000、および液空間速度0.3~3.0h
-1、の条件下で運転され;
及び/又は前記水素化分解ユニットは、少なくとも1つの水素化処理触媒、および少なくとも1つの水素化分解触媒が装填されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(31)において、前記第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、前記接触分解ユニットは、流動接触分解ユニットであり;
ここで、前記流動接触分解ユニットは、反応温度500~600℃、触媒対油の比率3~12、および保持時間1~10
秒の条件下で運転さ
れる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(31)において、前記第2の反応ユニットはディーゼル水素化アップグレードユニットであり、
ここで、前記ディーゼル水素化アップグレードユニットは、反応温度330~420℃、反応圧力5.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率500~2000、および液空間速度0.3~3.0h
-1、の条件下で運転され;
及び/又は前記ディーゼル水素化アップグレードユニットは、少なくとも1つのディーゼル水素化アップグレード触媒が装填されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(32)において、前記第1の重質成分は、ディレードコーキングユニットに供給され、反応し、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供し、前記ディレードコーキングユニットは、反応温度440~520℃、および保持時間0.1~4時間の、条件下で運転され;
及び/又は
工程(32)において、前記第1の重質成分は1.8重量%以下の硫黄含有量を有し、前記第1の重質成分は、ディレードコーキングユニットに供給され、反応し、低硫黄石油コークス
であって、3重量%以下の硫黄含有量を有する前記低硫黄石油コークスを提供する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(32)において、前記第1の重質成分は低硫黄船舶燃料油成分として有用であり、前記低硫黄船舶燃料油成分は0.5重量%以下の硫黄含有量を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の反応ユニットは、固定床水素化ユニット、移動床-固定床水素化複合ユニット、または移動床水素化ユニットである、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の反応ユニットは、ミネラルリッチ前駆体材料および/または水素化触媒を含み、前記水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができ、前記ミネラルリッチ前駆体材料は、V、Ni、Fe、CaおよびMgから選択される少なくとも1つの金属を吸着することができる材料である、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程(2)において、前記ミネラルリッチ前駆体材料は、担体、および前記担体上に装填された活性成分元素を含み、前記担体は、水酸化アルミニウム、アルミナおよびシリカからなる群から選択される少なくとも1つであり、前記活性成分元素は、第VIB族および第VIII族から選択される少なくとも1つの金属元素である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(2)において、前記ミネラルリッチ前駆体材料は、3重量%以上の強熱減量、80m
2/g以上の比表面積、および0.9g/g以上の吸水率を有し;
ここで、工程(2)において、反応物の流れ方向に従って、第1の反応ユニットは、第1のミネラルリッチ前駆体材料および第2のミネラルリッチ前駆体材料が連続的に装填されており、前記第2のミネラルリッチ前駆体材料は、前記第1のミネラルリッチ前駆体材料以上の強熱減量を有する、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
工程(2)において、前記第1のミネラルリッチ前駆体材料は3~15重量%の強熱減量を有し、前記第2のミネラルリッチ前駆体材料は15重量%以上の強熱減量を有し;
及び/又は
前記第1のミネラルリッチ前駆体材料および前記第2のミネラルリッチ前駆体材料は、5:95~95:5の体積比率で装填されている、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(2)において、前記第1の反応ユニットは移動床-固定床水素化複合ユニットであり、移動床はミネラルリッチ前駆体材料が装填されており、固定床はミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒が連続的に装填されているか、または、固定床は水素化触媒が装填されており;
移動床に装填されている前記ミネラルリッチ前駆体材料の体積の、固定床に装填されている前記ミネラルリッチ前駆体材料および前記水素化触媒の体積の合計に対する比率は、10:90~60:4
0である、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、
5~20日間ごとに、移動床に装填されている前記ミネラルリッチ前駆体材料を、新しいミネラルリッチ前駆体材料で置換する工程であって、ここで、置換割合は、移動床に装填されている前記ミネラルリッチ前駆体材料の総量の5~20重量
%を占める、工程をさらに含
む、
請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記芳香族含有流は、芳香族リッチ分留油をさらに含み、前記芳香族リッチ分留油は、DCCユニットにおいて得られたLCOおよび/またはHCOを
含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項23】
前記第3の水素化ユニットは固定床水素化ユニットであ
る、請求項
1に記載の方法。
【請求項24】
工程(11)において、前記DCCユニットの運転条件は、LCOおよび/またはHCOの芳香族含有量が60重量%以上となるように、制御される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項25】
工程(11)において、前記第3の水素化ユニットは、反応温度280~400℃、反応圧力6.0~14.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.3~2.0h
-1、の条件下で運転される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項26】
工程(11)において、前記第3の水素化ユニットは、少なくとも2つの水素化触媒が装填されており;
ここで、前記水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒であり;
及び/又は
前記水素化触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素と、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素と、を含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項27】
工程(2)において、前記
第1の反応ユニットは固定床水素化ユニットであり、前記
第1の反応ユニットは少なくとも2つの水素化処理触媒が装填されており;
ここで、前記水素化処理触媒は、アスファルテン転換反応、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒であり;
及び/又は
前記水素化処理触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素も含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項28】
工程(2)において、前記
第1の反応ユニットは移動床水素化ユニットであり、前記
第1の反応ユニットは少なくとも1つの移動床水素化処理触媒が装填されており;
ここで、前記移動床水素化処理触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素をさらに含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項29】
前記DCCユニットにおいて得られたスラリー油を第4の水素化ユニットに導入し、脱金属反応させ、脱金属スラリー油を提供する工程(13)と;
前記DCCユニットにおいて得られた前記スラリー
油および/または前記第4の水素化ユニットにおいて得られた前記脱金属スラリー
油が、工程(2)において前記芳香族含有
流に組み込まれる
、工程と、
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、前記芳香族含有流の少なくとも一部として、工程(32)で得られた前記コーカーディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を工程(
2)に戻し、再利用する工程をさらに含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項31】
工程(13)において、前記第4の水素化ユニットは固定床水素化ユニットであり、前記第4の水素化ユニットは、反応温度200~280℃、反応圧力3.0~6.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.5~2.5h
-1、の条件下で運転される、
請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記DCCユニットにおいて得られた前記LCOおよび/または前記HCOを、工程(2)において前記芳香族含有
流に組み込む工程をさらに含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、前記DCCユニットにおいて得られた前記スラリー油を前記溶媒脱アスファルトユニットに戻し、循環させ、溶媒脱アスファルトを行う工程をさらに含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
工程(16):芳香族リッチ分留油を第5の反応ユニットに導入し、水素飽和させ、次いで分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供する工程であって、ここで、前記第2の軽質成分および前記第2の重質成分は100~250℃のカットポイントを有し、前記第2の重質成分における芳香族含有量は20重量%以上である、工程と;
工程(2)において、前記第2の重質成分を前記芳香族含有
流に組み込む工程と、
をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
工程(2)において、前記芳香族含有流は、芳香族炭化水素および/または芳香族油をさらに含み、前記芳香族油は、LCO、HCO、FGO、エチレンタール、コールタール、コーカーディーゼル、およびコーカーワックス油からなる群から選択される少なくとも1つである、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記芳香族リッチ分留油における芳香族炭化水素含有量は、20重量%以
上である、
請求項34に記載の方法。
【請求項37】
工程(16)において、前記第5の反応ユニットは、固定床反応器、移動床反応器、および沸騰床反応器のうちの少なくとも1つであり;
ここで、前記第5の反応ユニットは、反応温度200~420℃、反応圧力2~18MPa、液空間速度0.3~10h
-1、および油に対する水素の体積比率50~5000、の条件下で運転さ
れる、
請求項34に記載の方法。
【請求項38】
重
油供給原料を前記溶媒脱アスファルトユニットに導入し、溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供する工程(1)と;
前記脱アスファルト油を第6の水素化ユニットに導入し、水素化反応させ、前記第6の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をDCCユニットに導入し、反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供する工程であって、ここで、前記第6の水素化ユニットは固定床水素化ユニットである、工程(14)と;
前記DCCユニットからのLCOおよび/またはHCOが、工程(16)において前記芳香族リッチ分留油に組み込まれるか、または工程(16)において前記芳香族リッチ分留油として使用される、工程と、
をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記DCCユニットは、反応温度500~650℃、触媒対油の比率3~12、および保持時間0.6~6秒、の条件下で運転される、
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、工程(32)において得られた前記コーカーディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を前記
第5の反応ユニットに戻し、水素飽和させ、再利用する工程をさらに含む、
請求項38に記載の方法。
【請求項41】
工程(14)において、前記第6の水素化ユニットは、反応温度280~400℃、反応圧力6.0~14.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.3~2.0h
-1、の条件下で運転され;
ここで、工程(14)において、前記第6の水素化ユニットは、少なくとも2つの水素化触媒が装填されており;
前記水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒であり;
及び/又は前記水素化触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、前記水素化触媒は、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素をさらに含む、
請求項38に記載の方法。
【請求項42】
重
油供給原料を処理するためのシステムであって、
前記重
油供給原料をその中で溶媒脱アスファルト処理に供し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットと;
前記溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している第3の水素化ユニットであって、前記第3の水素化ユニットは、前記溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルト油をその中で水素化反応に供するための固定床水素化ユニットである、第3の水素化ユニットと;
前記第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をその中で反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供するための、前記第3の水素化ユニットと流体連通しているDCCユニットと;
固定床水素化ユニットまたは移動床水素化ユニットのいずれかである
第1の反応ユニットであって、前記
第1の反応ユニットは、前記DCCユニットからのLCOおよび/またはHCOと前記溶媒脱アスファルトユニットからの前記
脱油アスファルトとの転換反応をその中で実施するために、前記DCCユニットおよび前記溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している、
第1の反応ユニットと;
第1の軽質成分及び第1の重質成分を得るために、前記
第1の反応ユニットからの液相流出物をその中で分留するための、前記
第1の反応ユニットおよび前記DCCユニットそれぞれと流体連通している分離ユニットであって、前記分離ユニットにおいて得られた前記第1の軽質成分を前記DCCユニットに戻し、再利用することができる、分離ユニットと;
前記分離ユニットにおいて得られた前記第1の軽質成分をその中で反応させ、ガソリン留分、ディーゼル留分、およびBTX供給原料成分からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、前記分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットと;
前記分離ユニットから得られた前記第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、前記分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと、
を含む、システム。
【請求項43】
前記ディレードコーキングユニットは、前記ディレードコーキングユニットにおいて得られた前記コーカー
ディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を、前記第1の反応ユニットに戻し、再利用するために、前記第1の反応ユニットと流体連通している、
請求項4
2に記載のシステム。
【請求項44】
前記DCCユニットにおいて得られた前記スラリー油をその中で脱金属反応に供し、脱金属スラリー
油を提供するための、前記DCCユニットと流体連通している第4の水素化ユニット
を含み;
ここで、前記
第1の反応ユニットは、前記第4の水素化ユニットからの前記脱金属スラリー油および/または前記DCCユニットからの前記スラリー油と前記溶媒脱アスファルトユニットからの前記脱油アスファルトとの転換反応をその中で実施するために、前記DCCユニット、前記第4の水素化ユニット、および前記溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している、
第1の反応ユニットであり;
前記第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、
請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記DCCユニットは、前記DCCユニットから得られたスラリー油を前記溶媒脱アスファルトユニットに戻し、再利用して、溶媒脱アスファルトするために、前記溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している、
請求項
44に記載のシステム。
【請求項46】
芳香族リッチ分留油を処理するためのシステムであって、
前記芳香族リッチ分留油を水素飽和および分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供するための、第5の反応ユニットと;
脱油アスファルトおよび前記第5の反応ユニットからの前記第2の重質成分を含む
芳香族含有流をその中で水素化反応させるための、前記第5の反応ユニットと流体連通している固定床水素化ユニットである第1の反応ユニットと;
第1の軽質成分及び第1の重質成分を得るために、前記第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、前記第1の反応ユニットと流体連通している分離ユニットと;
前記分離ユニットにおいて得られた前記第1の軽質成分をその中で反応させるための、前記分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、前記第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
前記分離ユニットから得られた前記第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、前記分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと、
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項47】
前記ディレードコーキングユニットは、前記ディレードコーキングユニットにおいて得られた前記コーカーディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を、前記芳香族含有流の少なくとも一部として、前記第1の反応ユニットに戻し、再利用するために、前記第1の反応ユニットと流体連通している、
請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の反応ユニットと流体連通しており、その中にある
重油供給原料を溶媒脱アスファルトし
て脱油アスファルト及び脱アスファルト油を得て、溶媒脱アスファルト後に得られた前記脱油アスファルトを前記第1の反応ユニットに導入するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットをさらに含む、
請求項4
6に記載のシステム。
【請求項49】
重
油供給原料および芳香族リッチ分留油を処理するためのシステムであって、
溶媒脱アスファルトユニット中の重
油供給原料を溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットと;
前記溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している第6の水素化ユニットであって、前記第6の水素化ユニットは、前記溶媒脱アスファルトユニットからの前記脱アスファルト油をその中で水素化反応させるための固定床水素化ユニットである、第6の水素化ユニットと;
前記第6の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をその中で反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供するための、前記第6の水素化ユニットと流体連通しているDCCユニットと;
LCOおよび/またはHCOを含む芳香族リッチ分留油をその中で水素飽和および分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供するための、前記DCCユニットと流体連通している
第5の反応ユニットと;
前記溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルトピッチ、および前記
第5の反応ユニットからの前記第2の重質成分を含む芳香族含有流を水素化反応させるための、前記
第5の反応ユニットおよび前記溶媒脱アスファルトユニットそれぞれと流体連通している固定床水素化ユニットである、第1の反応ユニットと;
第1の軽質成分及び第1の重質成分を得るために、分離ユニットにおいて得られた前記第1の軽質成分を前記DCCユニットに戻し、再利用することができる、前記第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、前記第1の反応ユニットおよび前記DCCユニットそれぞれと流体連通している分離ユニットと;
前記分離ユニットにおいて得られた前記第1の軽質成分をその中で反応させるための、前記分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、前記第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
前記分離ユニットから得られた前記第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、前記分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと、
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項50】
前記ディレードコーキングユニットは、前記ディレードコーキングユニットにおいて得られた前記コーカーディーゼルおよび/または前記コーカーワックス油を、前記
第5の反応ユニットに戻し、再利用するために、前記第1の反応ユニットと流体連通している、
請求項
49に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、炭化水素油処理の分野に関し、特に、脱油アスファルトを水素化処理するための方法および脱油アスファルトを水素化処理するためのシステムに関する。
【0002】
〔背景〕
残油の高効率転換は、石油精製企業の中核である。固定床上での残油水素化は、残油の高効率転換のための重要な技術であり、良好な生成物品質、熟成処理などの特徴を有する。
【0003】
しかしながら、残油における高い含有量のアスファルテンおよび金属は、固定床上での残油水素化の運転期間を制限する因子である。
【0004】
この課題を解決するために、SINOPEC石油加工研究所(RIPP)によって開発された残油の溶媒脱アスファルト(脱金属)、水素化処理-接触分解複合処理技術(SHF)は、低価値の真空残油からクリーンな車両用燃料を最大限に製造する、運転期間を延長する革新的な技術である。しかしながら、脱油アスファルテン(DOA)は軟化点が高いため、輸送および利用が困難であり、SHF技術の普及が限定されている。
【0005】
残油の水素化-深接触分解(DCC)によってプロピレンリッチな生成物を製造する新しい複合処理もまた、残油中のアスファルテンおよび金属の影響によって、制限されている。水素化された残油の水素含有量は低く、残油水素化の運転期間は短く、DCCからのプロピレンの収率は低く、複合技術の経済的利益は限定されている。
【0006】
加えて、2020年には、硫黄分0.5重量%以下の新しい低硫黄船舶燃料規格、および硫黄分3.0重量%以下の低硫黄石油コークス規格が導入される予定である。低硫黄船舶燃料(低硫黄石油コークス)を低コストで製造する技術もまた、現在緊急に解決すべき課題である。
【0007】
したがって、DOAの、低硫黄船舶燃料または低硫黄石油コークス生産のための材料への転換は、取り組む必要がある技術的課題である。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、DOAの高価値利用を実現することができる、脱油アスファルトを水素化処理するための方法およびシステムを提供することである。
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、脱油アスファルトを水素化処理するための方法であって、
脱油アスファルトおよび芳香族含有流を第1の反応ユニットに導入し、水素化反応させる工程であって、ここで、第1の反応ユニットは、ミネラルリッチ前駆体材料および/または水素化触媒を含み、水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができ、第1の反応ユニットは、固定床水素化ユニットであり、脱油アスファルトおよび芳香族含有流は、脱油アスファルトおよび芳香族含有流から形成される混合供給原料が400℃以下の温度で液体状態である量比率で使用され、ミネラルリッチ前駆体材料は、V、Ni、Fe、CaおよびMgから選択される少なくとも1つの金属を吸着することができる材料である、工程(2)と;
第1の反応ユニットからの液相生成物を分留し、第1の軽質成分および第1の重質成分を提供する工程であって、ここで、第1の軽質成分および第1の重質成分のカットポイントは240~450℃である、工程(21)と;
第1の軽質成分を第2の反応ユニットに導入し、反応させ、ガソリン成分、ディーゼル成分およびBTX供給原料成分から選択される少なくとも1つの生成物を提供する工程であって、ここで、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニットおよびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、工程(31)と;
第1の重質成分をディレードコーキングユニットに導入し、反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供する;または、第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油の成分として使用する、工程(32)と、
を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、第1の態様の方法の変形例にも関する。
【0011】
本発明の第2の態様は、脱油アスファルトを水素化処理するためのシステムであって、
固定床水素化ユニットであり、脱油アスファルトおよび芳香族含有流の水素化反応をその中で実施するために使用される、第1の反応ユニットと;
第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、第1の反応ユニットと流体連通している分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む、システムを提供する。
【0012】
本発明はまた、第2の態様のシステムの変形例にも関する。
【0013】
本発明によれば、DOAおよび芳香族含有流を共に固定床による水素化処理(水素脱硫など)に供し、水素化された第1の軽質成分を、水素化分解(RLGまたはRLA)に供してBTXおよびディーゼル留分を生成するか、または接触分解(LTAG)に供しガソリン留分(および液化ガス)を生成し;水素化された第1の重質成分によって低硫黄石油コークスまたは重質低硫黄船舶燃料を生成する。
【0014】
本発明によって提供される処理方法は、高価値のDOA利用を実現することができる。
【0015】
〔図面の説明〕
図1は、本発明の第1の態様の第1の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0016】
図2は、本発明の第1の態様の第2の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0017】
図3は、本発明の第1の態様の第3の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0018】
図4は、本発明の第1の態様の第4の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0019】
図5は、本発明の第1の態様の第5の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0020】
図6は、本発明の第1の態様の第6の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【0021】
【0022】
〔実施形態〕
本明細書中に開示される範囲の終点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されない一方、これらの範囲または値は、これらの範囲または値に近い値を包含するものと理解されるべきである。数値範囲については、その終点と個々の点の値との間の範囲それぞれ、および個々の点の値それぞれを互いに組み合わせ、1つ以上の新しい数値範囲をもたらすことができ、このような新しい数値範囲は、本明細書中で具体的に開示されているように解釈されるべきである。
【0023】
なお、本発明において、工程を示す(1)、(2)、(3)、(31)などのコード番号、様々な実施形態/変形例を示す第1、第2などのコード番号、および図面のそれぞれの符号は、主に互いを区別するために付されたものであり、特に断らない限り、方法における工程の順序または各部の組み合わせの順序として解釈されるべきではない。さらに、(水素化)反応ユニットに言及する場合、本発明の反応ユニットのいくつかの例示的な実施形態は、水素化反応によって実施され、したがって、便宜上、本発明が第1、第2などの反応ユニットという用語に向けられる場合、これらの用語は、特定の実施形態に係る第1、第2などの水素化ユニットという用語と交換可能に使用され得る。当業者は、これらが、この特定の実施形態における同じ物体を指すことを理解する。
【0024】
上述したように、本発明の第1の態様は、脱油アスファルトを水素化処理するための方法を提供する。第1の態様の方法は一般に、
脱油アスファルトおよび芳香族含有流を第1の反応ユニットに導入し、水素化反応させる工程であって、ここで、脱油アスファルトおよび芳香族含有流は、脱油アスファルトおよび芳香族含有流から形成される混合供給原料が400℃以下の温度で液体状態である量比率で使用される、工程(2)と;
第1の反応ユニットからの液相生成物を分留し、第1の軽質成分および第1の重質成分を提供する工程であって、ここで、第1の軽質成分および第1の重質成分のカットポイントは240~450℃である、工程(21)と;
第1の軽質成分を第2の反応ユニットに導入し、反応させ、ガソリン成分、ディーゼル成分およびBTX供給原料成分から選択される少なくとも1つの生成物を提供する工程であって、ここで、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニットおよびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、工程(31)と;
第1の重質成分をディレードコーキングユニットに導入し、反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供する;または、第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油の成分として使用する、工程(32)と、
を含む。
【0025】
さらに、本発明は、第1の態様の複数の実施形態および変形例を提供する。本発明の第1、第2、または他の態様の実施形態および変形例が同じ目的のために記載されている本発明の文脈において、採用される様々な特徴のための説明および/または定義は、その態様またはその特定の実施形態もしくは変形例のために、異なる、またはより具体的な説明および/または定義が提供されない限り、本発明の態様それぞれ、ならびにその実施形態および変形例それぞれに適用されてもよい。
【0026】
好ましくは、脱油アスファルトおよび芳香族含有流は、脱油アスファルトおよび芳香族含有流から形成される混合供給原料が280℃以下の温度で液体状態である量比率で使用される。脱油アスファルトおよび芳香族含有流は、脱油アスファルトおよび芳香族含有流から形成される混合供給原料が100℃以下の温度で液体状態である比率で使用されることがさらに好ましい。
【0027】
特に好ましくは、第1の軽質成分および第1の重質成分は、350℃のカットポイントを有する。
【0028】
一実施形態において、工程(2)において、第1の反応ユニットにおける水素化反応は、水素化触媒の存在下で行われる。
【0029】
好ましくは、工程(2)において、脱油アスファルトおよび芳香族含有流は、脱油アスファルトおよび芳香族含有流から形成される混合供給原料の100℃での粘度が400mm2/s以下、より好ましくは200mm2/s以下、さらに好ましくは100mm2/s以下である比率で、使用される。
【0030】
好ましくは、工程(2)において、芳香族含有流は、芳香族リッチ分留油および/または芳香族炭化水素化合物である。
【0031】
好ましくは、芳香族リッチ分留油は、200℃~540℃の終留点を有し、20重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上の芳香族含有量を有する。
【0032】
好ましくは、芳香族リッチ分留油は、LCO、HCO、エチレンタール、コールタール、コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油から選択される少なくとも1つである。本発明に係る芳香族リッチ分留油は、本発明に係る方法外の別の方法から得られてもよく、または本発明に係る方法から得られてもよい。
【0033】
好ましくは、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、多分岐ナフタレンおよび2つ以上の環を有する芳香族炭化水素から選択される1つ以上であり、好ましくは3つ以下の環を有する多環式芳香族炭化水素またはこれらの混合物から選択される1つ以上である。特に好ましくは、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、少なくとも1つのC1~6アルキル基で置換されたナフタレン、および三環式またはそれ以上の芳香族炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0034】
好ましい実施形態によれば、工程(2)において、芳香族含有流は芳香族リッチ分留油であり、脱油アスファルトの量の芳香族含有流の量に対する重量比率は1:10~50:10、より好ましくは3:10~30:10である。
【0035】
別の好ましい実施形態によれば、工程(2)において、芳香族含有流は芳香族炭化水素であり、脱油アスファルトの芳香族炭化水素に対する重量比率は1:10~50:10;より好ましくは3:10~20:10である。
【0036】
好ましくは、工程(2)において、脱油アスファルトは、重油供給原料を溶媒脱アスファルトユニットにおける溶媒脱アスファルト処理に供することによって得られる。
【0037】
好ましくは、溶媒脱アスファルトユニットにおいて、脱油アスファルトの収率は、50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下である。
【0038】
好ましくは、本発明の方法は、芳香族含有流の少なくとも一部として、工程(32)で得られたコーカーディーゼルおよび/またはコーカーワックス油を工程(2)に戻し、再利用することをさらに含む。
【0039】
好ましくは、工程(2)において、第1の反応ユニットは、反応温度280~450℃、反応圧力8.0~20.0MPa、油に対する水素の体積比率400~2000、および液空間速度0.05~1.2h-1、の条件下で運転される。より好ましくは、第1の反応ユニットは、反応温度330~420℃、反応圧力10.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.10~0.8h-1、の条件下で運転される。液空間速度および反応圧力は、処理される材料の特性、ならびに所望の転換率および精製深度に応じて、選択される。
【0040】
特に明記しない限り、本明細書中に記載される圧力はすべて、ゲージ圧として表される。
【0041】
本発明の水素化触媒は異なる触媒の等級的な組み合わせであってもよく、好ましくは、水素化触媒は少なくとも水素脱金属および水素脱硫反応を触媒することができる。
【0042】
本発明によれば、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応を触媒することができる特定のタイプの触媒は、特に限定されず、従来から用いられている前記反応を触媒することができる触媒を用いてもよい。
【0043】
本発明の水素化触媒は、例えば、担体として多孔質耐熱性無機酸化物、活性成分として第VIB族および/または第VIII族の金属の酸化物または硫化物、ならびに、任意に助剤を加えて、使用することができる。
【0044】
一実施形態において、第1の反応ユニットは、固定床水素化ユニット、移動床-固定床水素化複合ユニット、または移動床水素化ユニットである。
【0045】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第1の変形例を提供する。
【0046】
第1の変形例において、第1の反応ユニットは、ミネラルリッチ前駆体材料、および/または、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる水素化触媒を含み、ミネラルリッチ前駆体材料は、V、Ni、Fe、CaおよびMgから選択される少なくとも1つの金属を吸着することができる材料である。
【0047】
一実施形態において、第1の反応ユニットは、固定床水素化ユニットである。
【0048】
好ましくは、工程(2)において、ミネラルリッチ前駆体材料は、担体、および担体上に装填された活性成分元素を含み、担体は、水酸化アルミニウム、アルミナおよびシリカからなる群から選択される少なくとも1つであり、活性成分元素は、第VIB族および第VIII族からなる群からから選択される少なくとも1つの金属元素である。より好ましくは、ミネラルリッチ前駆体材料中の活性成分は、第VIB族および第VIII族から選択される金属元素の酸化物および/または硫化物である。
【0049】
より好ましくは、工程(2)において、ミネラルリッチ前駆体材料は、3重量%以上の強熱減量、80m2/g以上の比表面積、および0.9g/g以上の吸水率を有する。強熱減量とは、焼成前の重量と比較した、600℃/2時間の焼成処理後のミネラルリッチ前駆体材料の減少した重量の割合を指し;吸水率とは、浸漬前の重量と比較した、室温(例えば25℃)で30分間水に浸漬した後のミネラルリッチ前駆体材料の増加した重量の割合を指す。
【0050】
好ましい実施形態によれば、工程(2)において、第1の反応ユニットは、反応物の流れ方向に続いて、第1のミネラルリッチ前駆体材料および第2のミネラルリッチ前駆体材料が連続的に装填されており、第2のミネラルリッチ前駆体材料は、第1のミネラルリッチ前駆体材料以上の強熱減量を有する。
【0051】
前記の好ましい実施形態によれば、第1のミネラルリッチ前駆体材料は3~15重量%の強熱減量を有し、第2のミネラルリッチ前駆体材料は15重量%以上の強熱減量を有することがさらに好ましい。
【0052】
前記の好ましい実施形態によれば、第1のミネラルリッチ前駆体材料および第2のミネラルリッチ前駆体材料は、5:95~95:5の体積比率で装填されていることがさらに好ましい。
【0053】
好ましくは、本発明の第1の反応ユニットを長期間運転した後、ミネラルリッチ前駆体材料をバナジウムリッチ材料に交換し、バナジウムリッチ材料中のバナジウム含有量は10重量%以上である。
【0054】
本発明の第1の反応ユニットについて、好ましい実施形態を以下に示す。
【0055】
本発明の第1の反応ユニットに含まれる供給原料を水素化処理するための技術は、固定床水素化処理技術であり、一例として、重油および残油のための従来の固定床水素化処理技術を挙げる。反応器または反応床層は少なくともミネラルリッチ前駆体材料および/または水素化触媒を含み、ミネラルリッチ前駆体材料は2つの部分:油中のバナジウム含有有機化合物を吸着する強力な能力を有する担体、および水素化活性機能を有する活性成分、によって主に構成されている。担体は主に、シリカ、水酸化アルミニウム、または水酸化アルミニウム/アルミナの混合物を押し出し、成形し、乾燥させることによって、得られる。担体の表面は、OHリッチである。担体は、油中のバナジウム含有有機化合物に対する強い吸着能力を有する。担体は、600℃で2時間焼成した後の強熱減量が5%以上である。活性成分は主に、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族の金属の酸化物または硫化物を含む。
【0056】
前述の好ましい実施形態に関与する水素化触媒は一般に重残油水素化触媒である。重残油水素化触媒とは、重残油水素脱金属、水素脱硫、水素脱炭などの機能を有する複合触媒を指す。これらの触媒には一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒としては、RIPPによって開発されたRDM、RCS系重残油水素脱金属触媒および脱硫触媒などがある。現在、固定床残油水素化技術では、複数の触媒が一緒に使用されることが多い。本発明において、ミネラルリッチ前駆体材料、水素脱金属脱硫触媒および水素脱硫触媒が好ましく使用され、これらは一般に、供給原料がミネラルリッチ前駆体材料、水素脱金属脱硫および水素脱硫触媒と順に接触するような順番で装填されている。もちろん、これらの触媒の混合物を装填する技術が存在する。
【0057】
好ましくは、工程(31)において、第2の反応ユニットは水素化分解ユニットであり、反応温度330~420℃、反応圧力5.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率500~2000、および液空間速度0.3~3.0h-1、の条件下で運転される。
【0058】
好ましくは、水素化分解ユニットは、少なくとも1つの水素化処理触媒、および少なくとも1つの水素化分解触媒が装填されている。
【0059】
好ましくは、水素化分解ユニットは、固定床水素化分解ユニットである。
【0060】
本発明の第2の反応ユニットにおける好ましい実施形態を以下に示す。
【0061】
工程(31)において、固定床水素化分解技術を用いて、第1の軽質成分を第2の反応ユニットに導入し、反応させる。一例として、工業的な固定床によるワックス油の水素化分解の従来技術を挙げると、反応器または反応床層は、少なくとも2つの水素化分解触媒、すなわち前処理触媒および水素化分解触媒を含む。固定床水素化処理とそれに続く分留から得られる材料は、金属、硫黄および窒素の含有量が高く、炭素残留値が高いため、その後の水素化分解触媒の活性を確保するために、前処理触媒は脱金属活性が強く、脱硫および脱窒活性が良好であることが好ましい。水素化分解触媒は、良好な水素化分解活性を有することが好ましい。これらの触媒には一般に、アルミナまたはモレキュラーシーブなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒には、RIPPによって開発されたRS系前処理触媒およびRHC系水素化分解触媒などがある。RS系触媒はNiW触媒であり、RHC系触媒はNiMoモレキュラーシーブ触媒である。
【0062】
好ましくは、工程(31)において、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは流動接触分解(FCC)ユニットである。
【0063】
好ましくは、第1の軽質成分を接触分解するために使用される技術は、FCC技術、好ましくはRIPPによって開発されたLTAG技術であり、主にガソリン留分および液化ガスを生成する。
【0064】
好ましくは、流動接触分解ユニットは、反応温度500~600℃、触媒対油の比率3~12、および保持時間1~10秒、の条件下で運転される。より好ましくは、流動接触分解ユニットは、反応温度520~580℃、触媒対油の比率4~10、および保持時間2~5秒、の条件下で運転される。
【0065】
本発明の、触媒対油の比率は、触媒対油の重量比率を示す。
【0066】
好ましくは、工程(31)において、第2の反応ユニットはディーゼル水素化アップグレードユニットであり、反応温度330~420℃、反応圧力5.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率500~2000、および液空間速度0.3~3.0h-1、の条件下で運転される。
【0067】
好ましくは、ディーゼル水素化アップグレードユニットは、少なくとも1つのディーゼル水素化アップグレード触媒が装填されている。
【0068】
ディーゼル水素化アップグレード触媒は、ディーゼル水素脱硫、水素脱窒などの機能を有する複合触媒であってもよい。これらの触媒には一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒としては、RIPPによって開発された、RS系ディーゼル油水素脱金属触媒および脱硫触媒などがある。
【0069】
好ましくは、工程(32)において、第1の重質成分は、ディレードコーキングユニットに導入され、反応し、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油および低硫黄石油コークスから選択される少なくとも1つの生成物を提供し、ディレードコーキングユニットは、反応温度440~520℃、および保持時間0.1~4時間の、条件下で運転される。
【0070】
好ましくは、工程(32)において、第1の重質成分の硫黄含有量は1.8重量%以下であり、第1の重質成分は、ディレードコーキングユニットに導入され、反応し、低硫黄石油コークスを提供する。より好ましくは、ディレードコーキングユニットの状態は、低硫黄石油コークスの硫黄含有量が3重量%以下であるように制御される。
【0071】
好ましくは、工程(32)において、第1の重質成分は低硫黄船舶燃料油成分として使用され、低硫黄船舶燃料油成分の硫黄含有量は0.5重量%以下である。
【0072】
本発明によれば、溶媒脱アスファルト処理の具体的な操作は特に限定されず、従来の溶媒脱アスファルト処理を用いることができる。溶媒脱アスファルト処理の操作パラメータは本発明の実施例において例示されているが、これは、本発明を限定するものとして当業者に理解されるべきではない。
【0073】
本発明の方法は、常圧残渣および真空残渣の水素化転換、特に、高含有量の金属(Ni+Vが150μg/g超、特にNi+Vが200μg/g超)、高含有量の炭素残渣(炭素残渣の重量分率が17%超、特に炭素残渣の重量分率が20%超)および高含有量の縮合環物質を有する貧残油の水素化変換に適している。
【0074】
一実施形態において、水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができ、ミネラルリッチ前駆体材料は、V、Ni、Fe、CaおよびMgからなる群から選択される少なくとも1つの金属を吸着することができる材料である。
【0075】
第1の態様の技術的解決手段の第1の変形例の例示的な実施形態は、
図1に見ることができる。
【0076】
第1の変形例の、脱油アスファルトを水素化処理するための方法は、
図1を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0077】
図1に示すように、重油供給原料1は、溶媒脱アスファルトユニット2に供給され、溶媒脱アスファルト処理によって脱油アスファルト4および脱アスファルト油3を提供し;脱油アスファルト4および芳香族含有流5は混合され、混合供給原料6を形成し、これは第1の反応ユニット7に供給され、水素化反応し、ここで、第1の反応ユニットはミネラルリッチ前駆体材料および/または水素化触媒を含み、第1の反応ユニットは固定床水素化ユニットであり;第1の反応ユニット7からの液相生成物は、分離ユニット19に供給され、分留され、第1の軽質成分8および第1の重質成分9を提供し;第1の軽質成分8は、第2の反応ユニット10に供給され、反応し、ガソリン成分13、BTX供給原料成分12およびディーゼル成分14から選択される少なくとも1つの生成物を提供し;第1の重質成分9は、ディレードコーキングユニット11に供給され、反応し、コーカーガソリン15、コーカーディーゼル16、コーカーワックス油17および低硫黄石油コークス18からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供する;または、第1の重質成分9は、低硫黄船舶燃料油成分として使用される。
【0078】
第1の態様の技術的解決手段の第1の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第1の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第1の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第1の変形例において使用されてもよい。
【0079】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第2の変形例を提供する。
【0080】
この第2の変形例において、本発明の第1の反応ユニットは、移動床-固定床水素化複合ユニットまたは移動床水素化ユニットである。第1の好ましい場合において、第1の反応ユニットは移動床-固定床水素化複合ユニットであり、第2の好ましい態様において、第1の反応ユニットは移動床水素化ユニットである。
【0081】
本発明によれば、第1の反応ユニットは、特に好ましくは移動床-固定床水素化複合ユニットである。
【0082】
好ましい実施形態によれば、工程(2)において、第1の反応ユニットは移動床-固定床水素化複合ユニットであり、移動床はミネラルリッチ前駆体材料が装填されており;固定床はミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒が連続的に装填されているか、または、固定床は水素化触媒が装填されている。
【0083】
好ましくは、工程(2)において、第1の反応ユニットは移動床-固定床水素化複合ユニットであり、移動床はミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒が連続的に装填されており;固定床はミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒が連続的に装填されているか、または、固定床は水素化触媒が装填されている。
【0084】
前記の好ましい実施形態において、より好ましくは、移動床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料の体積の、固定床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒の体積の合計に対する比率は、10:90~60:40、好ましくは20:80~40:60である。なお、水素化触媒のみが固定床に装填されている場合、前記の装填体積比率は、移動床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料の体積の、固定床に装填されている水素化触媒の体積に対する比率を表す。
【0085】
好ましくは、本発明の方法は、それぞれの期間ごとに、移動床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料を、新しいミネラルリッチ前駆体材料で置換する工程であって、ここで、置換割合は、移動床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料の総量に対して5~20重量%、より好ましくは10~15重量%を占める、工程をさらに含む。
【0086】
好ましくは、期間は、5~20日間、好ましくは10~15日間である。
【0087】
本発明のミネラルリッチ前駆体材料は、円筒形および/または球形であり得、好ましくは球形であり得る。
【0088】
好ましくは、ミネラルリッチ前駆体材料は、0.1~6mm、より好ましくは0.3~4mm、さらにより好ましくは0.5~1.5mmの平均粒径を有する。
【0089】
移動床に装填されているミネラルリッチ前駆体材料を置換するために使用される新しいミネラルリッチ前駆体材料は、酸化状態または加硫状態であり、好ましくは加硫状態である。
【0090】
好ましい実施形態によれば、工程(2)において、反応物の流れ方向に関して、第1の反応ユニットは、第1のミネラルリッチ前駆体材料および第2のミネラルリッチ前駆体材料が連続的に装填されており、第2のミネラルリッチ前駆体材料は、第1のミネラルリッチ前駆体材料以上の強熱減量を有する。本発明によれば、第1および第2のミネラルリッチ前駆体材料の具体的な装填位置は、それらが、第2のミネラルリッチ前駆体材料に対して、反応材料が、第1のミネラルリッチ前駆体材料と最初に接触し、次いで、第2のミネラルリッチ前駆体材料と接触することを達成することができる限り、特に限定されない。
【0091】
この第2の変形例において、本発明の第1の反応ユニットに含まれる供給原料水素化処理技術は、移動床-固定床水素化処理技術または移動床水素化処理技術である。移動床反応器は、0.1~6mmの平均粒径を有する球状のミネラルリッチ前駆体材料が装填されている。固定床反応床層は少なくともミネラルリッチ前駆体材料および/または水素化触媒を含み、ミネラルリッチ前駆体材料は2つの部分:一部は油中のバナジウム含有有機化合物を吸着する強力な能力を有する担体、もう一部は水素化活性機能を有する活性成分、を主に含む。反応器または反応床層は少なくともミネラルリッチ前駆体材料および水素化触媒を含み、ミネラルリッチ前駆体材料は2つの部分:一部は油中のバナジウム含有有機化合物を吸着する強力な能力を有する担体、もう一部は水素化活性機能を有する活性成分、を主に含む。
【0092】
第1の態様の第2の変形例の例示的な実施形態は、
図2に見ることができる。
【0093】
第1の態様の技術的解決手段の第2の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第2の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第2の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第2の変形例において使用されてもよい。
【0094】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第3の変形例を提供する。
【0095】
この第3の変形例によれば、本発明の方法は、
重質原油を溶媒脱アスファルトユニットに導入し、溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供する工程(1)と;
脱アスファルト油を第3の水素化ユニットに導入し、水素化反応させ、第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をDCCユニットに導入し、反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供する工程であって、ここで、第3の水素化ユニットは固定床水素化ユニットである、工程(11)と;
DCCユニットにおいて得られたスラリー油を第4の水素化ユニットに導入し、脱金属反応させ、脱金属スラリー油を提供する工程(13)と;
DCCユニットにおいて得られたスラリーおよび/または第4の水素化ユニットにおいて得られた脱金属スラリーを含む芳香族含有流を、第1の変形例または第2の変形例、好ましくは第1の変形例において、工程(2)における芳香族含有流(5)として使用する、工程と、
をさらに含む。
【0096】
なお、DCCユニットにおいて得られたスラリー油および溶媒脱アスファルトユニットにおて得られた脱油アスファルトを、第1の水素化ユニットに導入し、転換反応させるときには、スラリー油を濾過に供してもよく、供さなくともよく、固形分が10ppm以下に制御されるように、濾過に供することが好ましい。
【0097】
好ましくは、前記芳香族含有流は、芳香族リッチ分留油も含み、前記芳香族リッチ分留油は、DCCユニットにおいて得られたLCOおよび/またはHCOを含む。
【0098】
好ましくは、工程(11)において、DCCユニットの運転条件は、LCOおよび/またはHCOの芳香族含有量が60重量%以上となるように、制御される。
【0099】
好ましくは、LCOおよびHCOのカットポイントは180~205℃であり;好ましくは、HCOおよびスラリー油のカットポイントは330~360℃である。
【0100】
〔この第3の変形例は、溶媒脱アスファルトユニットに関する、以下の好ましい実施形態を提供する〕
好ましくは、工程(1)において、溶媒脱アスファルトユニットからの脱油アスファルトは、50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下の収率を有する。
【0101】
好ましくは、工程(1)において、重質原油は、残油および/または重油である。
【0102】
第3の変形例によれば、溶媒脱アスファルト処理の具体的な操作は特に限定されず、当技術分野で公知の溶媒脱アスファルト処理によって実施することができる。この第3の変形例は、溶媒脱アスファルト処理のための特定の操作パラメータを列挙するものではなく、当業者は、この第3の変形例に対する限定として理解されるべきではない。
【0103】
〔この第3の変形例は、第3の水素化ユニットに関する、以下の好ましい実施形態を提供する〕
好ましくは、工程(11)において、第3の水素化ユニットは、反応温度280~400℃、反応圧力6.0~14.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.3~2.0h-1、の条件下で運転される。
【0104】
好ましくは、工程(11)において、第3の水素化ユニットは、少なくとも2つの水素化触媒が装填されている。より好ましくは、工程(11)において、水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒である。水素化触媒は一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物上に担持されている。特に好ましくは、工程(11)において、水素化触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素も含む。水素化触媒において、第VIB族および第VIII族からの金属元素は例えば、W、Mo、Co、Niなどであり得る。水素化触媒において、活性成分は、前記の活性成分元素の酸化物および/または硫化物であり得る。
【0105】
この第3の変形例の第3の水素化ユニットに関する好ましい実施形態を以下に示す。
【0106】
水素の存在下での脱アスファルト油(DAO)のための第3の水素化ユニットの状態は一般に、以下の通りである:DAOの水素化処理技術は、固定床水素化処理技術である。現代の工業的な固定床重残油水素化技術を一例に挙げると、反応器または反応床層は少なくとも2つの水素化触媒を含み、重残油水素化触媒とは、重油および残油の両方について水素脱金属、水素脱硫、水素脱窒、水素脱炭などの機能を有する複合触媒を指す。これらの触媒には一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒としては、RIPPによって開発されたRDM、RCS系重残油水素脱金属触媒および脱硫触媒などがある。現在、固定床残油水素化技術では、複数の触媒が一緒に使用されることが多い。原油が水素脱金属触媒、水素脱硫触媒および水素脱窒触媒と連続的に接触するような一般的な装填順序で、水素脱金属触媒、水素脱硫触媒および水素脱窒触媒が使用される。場合によっては、1つまたは2つの触媒は存在しないことがある。例えば、水素脱金属触媒および水素脱硫触媒のみが装填されているが、水素脱窒触媒は装填されていない。もちろん、これらの触媒を混合物として装填する技術が存在する。液空間速度および反応圧力は一般に、処理される材料の性質、ならびに所望の転換率および精製の深度に応じて、選択される。
【0107】
〔この第3の変形例は、第2の反応ユニットに関する、以下の好ましい実施形態を提供する〕
好ましくは、工程(31)において、第2の反応ユニットは固定床水素化分解ユニットであり;好ましくは、固定床水素化分解ユニットは、少なくとも2つの触媒が装填されており;触媒は一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物を担体として含み;好ましくは、固定床水素化分解ユニットに装填されている触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、触媒は任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素をさらに含む。触媒中の第VIB族および第VIII族からの金属元素は例えば、W、Mo、Co、Niなどであり得る。また、触媒において、活性成分は、前記の活性成分元素の酸化物および/または硫化物であり得る。特に好ましくは、工程(31)において、第2の反応ユニットは、反応物の流れ方向において前処理触媒および水素化分解触媒が連続的に装填されている。
【0108】
好ましくは、第2の反応ユニットは固定床水素化分解ユニットであり、第2の反応ユニットは、反応温度330~420℃、反応圧力5.0~18.0MPa、油に対する水素の体積比率500~2000、および液空間速度0.3~3.0h-1、の条件下で運転される。より好ましくは、第2の反応ユニットは、反応物の流れ方向において前処理触媒および水素化分解触媒が連続的に装填されている。
【0109】
好ましい実施形態によれば、工程(31)において、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは、流動接触分解ユニットである。
【0110】
〔この第3の変形例は、第4の水素化ユニットに関する、以下の好ましい実施形態を提供する〕
好ましくは、工程(13)において、第4の水素化ユニットは固定床水素化ユニットであり、第4の水素化ユニットは、反応温度200~280℃、反応圧力3.0~6.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.5~2.5h-1、の条件下で運転される。
【0111】
好ましくは、工程(13)において、第4の水素化ユニットは、少なくとも2つの水素化触媒が装填されており;より好ましくは、工程(13)において、水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒であり;水素化触媒は一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物を単体として含み;特に好ましくは、工程(13)において、水素化触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素とを含み、水素化触媒は、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素をさらに含む。工程(13)において、水素化触媒において、第VIB族および第VIII族からの金属元素は例えば、W、Mo、Co、Niなどであり得る。水素化触媒において、活性成分は、前記の活性成分元素の酸化物および/または硫化物であり得る。
【0112】
この第3の変形例の第4の水素化ユニットに関する好ましい実施形態を以下に示す。
【0113】
スラリー油の水素化処理技術は、低圧固定床水素化処理技術である。現代の工業的な固定床重残油水素化技術を一例に挙げると、反応器または反応床層は少なくとも2つの水素化触媒を含み、重残油水素化触媒とは、重残油のアスファルテン転換、ならびに重油および残油の両方について水素脱金属、水素脱硫、水素脱窒、水素脱炭などの機能を有する複合触媒を指す。これらの触媒には一般に、アルミナなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒としては、RIPPによって開発されたRDM、RCS系重残油水素脱金属触媒および脱硫触媒などがある。現在、固定床残油水素化技術では、複数の触媒が一緒に使用されることが多い。原油が水素脱金属触媒、水素脱硫触媒および水素脱窒触媒と連続的に接触するような一般的な装填順序で、水素脱金属触媒、水素脱硫触媒および水素脱窒触媒が使用される。場合によっては、1つまたは2つの触媒は存在しないことがある。例えば、水素脱金属触媒および水素脱硫触媒のみが装填されているが、水素脱窒触媒は装填されていない。もちろん、これらの触媒の混合物を装填する技術が存在する。液空間速度および反応圧力は一般に、処理される材料の性質、ならびに所望の転換率および精製の深度に応じて、選択される。
【0114】
第3の変形例の重油供給原料を処理する方法は、
図3を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0115】
図1に示すように、重油供給原料1は、溶媒脱アスファルトユニット2に供給され、溶媒脱アスファルト処理され、溶媒脱アスファルト処理によって脱油アスファルト4および脱アスファルト油3を提供し;脱アスファルト油3は、第3の水素化ユニット29に供給され、水素化反応し、第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物20は、DCCユニット21に供給され、反応し、プロピレン22、LCO23、HCO24およびスラリー油25を提供し、ここで、第3の水素化ユニットは固定床水素化ユニットであり;DCCユニット21において得られたスラリー油25は、第4の水素化ユニット26に供給され、脱金属反応し、脱金属スラリー油27を提供し;芳香族含有流と、溶媒脱アスファルトユニット2において得られた脱油アスファルト4とから形成された混合供給原料6は、第1の水素化ユニット7に供給され、転換反応し、ここで、芳香族含有流は、DCCユニット21において得られたLCO23、DCCユニット21において得られたHCO24、第4の水素化ユニット26において得られた脱金属スラリー27、および外部からの芳香族化合物5からなる群から選択される少なくとも1つを含み、第1の水素化ユニットは、固定床水素化ユニットまたは移動床水素化ユニットであり;第1の水素化ユニット7において得られた液相流出物は分離され、分離によって得られた第1の軽質成分8は、第2の反応ユニット10に供給され、反応し、ガソリン成分13、ディーゼル成分14およびBTX供給原料成分12からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか、または第1の軽質成分8の少なくとも一部はDCCユニット21に戻され、再利用され;分離によって得られた第1の重質成分9は、ディレードコーキングユニット11に供給され、反応し、コーカーガソリン15、コーカーディーゼル16、コーカーワックス油17および低硫黄石油コークス18からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか、または第1の重質成分9は低硫黄船舶燃料油成分として使用される。
【0116】
第1の態様の技術的解決手段の第3の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第3の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第3の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第3の変形例において使用されてもよい。
【0117】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第4の変形例を提供する。
【0118】
第4の変形例は、第3の変形例と本質的には類似するが、主な違いは、DCCユニットにおいて得られたLCOおよび/またはHCOが、工程(2)における芳香族含有流(5)に組み込まれ、スラリー油(25)が工程(13)における第4の水素化ユニットに供されず、溶媒脱アスファルトのために溶媒脱アスファルトユニットに再利用される点である。
【0119】
第1の軽質成分をDCCユニットに戻し再利用する場合、再利用比は0.1~0.5:1であることが好ましい。
【0120】
本発明の重油供給原料を処理するための方法は、
図4を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0121】
図4に示すように、重質原油1は、溶媒脱アスファルトユニット2に供給され、溶媒脱アスファルト処理によって脱油アスファルト4および脱アスファルト油3を提供し;脱アスファルト油3は、第3の水素化ユニット29に供給され、水素化反応し、第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物20は、DCCユニット21に供給され、反応し、プロピレン22、LCO23、HCO24およびスラリー油25を提供し、ここで、第3の水素化ユニットは固定床水素化ユニットであり;DCCユニット21において得られたLCO23および/またはHCO24、ならびに溶媒脱アスファルトユニット2において得られた脱アスファルトピッチ4は、混合され、混合供給原料6を形成し、第1の水素化ユニット7に供給され、転換反応し、ここで、芳香族含有流は、DCCユニット21からのLCO23、DCCユニット21からのHCO24、および外部からの芳香族炭化水素5からなる群から選択される少なくとも1つであり、第1の水素化ユニット7は、固定床水素化ユニットまたは移動床水素化ユニットであり;第1の水素化ユニット7において得られた液相流出物は分離され、分離によって得られた第1の軽質成分8は、第2の反応ユニット10に供給され、反応し、ガソリン成分13、ディーゼル成分14およびBTX供給原料成分12からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか、または第1の軽質成分8の少なくとも一部はDCCユニット21に戻され、再利用され;第1の重質成分9は、ディレードコーキングユニット11に供給され、反応し、コーカーガソリン15、コーカーディーゼル16、コーカーワックス油17および低硫黄石油コークス18からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか、または第1の重質成分9は低硫黄船舶燃料油成分として使用される。
【0122】
第1の態様の技術的解決手段の第4の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第4の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第4の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第4の変形例において使用されてもよい。
【0123】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第5の変形例を提供する。
【0124】
第5の変形例は、
工程(16):芳香族リッチ分留油を第5の反応ユニットに導入し、水素飽和させ、次いで分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供する工程であって、ここで、第2の軽質成分および第2の重質成分は100~250℃のカットポイントを有し、第2の重質成分における芳香族含有量は20重量%以上である、工程と;
第1~第4の変形例のいずれか1つ、好ましくは第1の変形例の工程(2)において、第2の重質成分を芳香族含有流(5)に組み込む工程と、
を含む。
【0125】
好ましくは、第5の変形例の第5の反応ユニットにおいて実施される水素飽和反応は、部分水素飽和であり、特に好ましくは第2の軽質成分および第2の重質成分は、180℃のカットポイントを有する。
【0126】
第2の軽質成分は、好ましくは接触分解ユニットに供給され、低級オレフィンを生成する。
【0127】
好ましくは、工程(16)において、第5の反応ユニットは、固定床反応器、移動床反応器、および沸騰床反応器のうちの少なくとも1つの反応器である。
【0128】
好ましくは、第5の反応ユニットは、反応温度200~420℃、反応圧力2~18MPa、液空間速度0.3~10h-1、および油に対する水素の体積比率50~5000、の条件下で運転される。より好ましくは、第5の反応ユニットは、反応温度220~400℃、反応圧力2~15MPa、液空間速度0.3~5h-1、および油に対する水素の体積比率50~4000、の条件下で運転される。
【0129】
この第5の変形例の第5の反応ユニットに関する好ましい実施形態を以下に示す。
【0130】
水素の存在下での芳香族リッチ分留油の部分水素飽和は一般に、芳香族リッチ分留油の部分水素飽和技術が固定床/沸騰床/移動床水素化処理技術である条件下で運転される。現代の工業的な固定床ディーゼルまたはワックス油水素化技術を一例に挙げると、反応器または反応床層は少なくとも水素化精製触媒を含む。芳香族リッチ分留油の部分水素飽和において使用される水素化生成触媒は好ましくは、良好かつ適度な水素飽和活性を有する。これにより、テトラリン様構造が、水素供与能力がより低いデカヒドロナフタレンまたはシクロアルカン構造へとさらに飽和されることを回避する。これらの触媒には一般に、アルミナまたはモレキュラーシーブなどの多孔質耐熱性無機酸化物が担体として使用され、W、Mo、Co、Niなどの第VIB族および/または第VIII族からの金属の酸化物または硫化物が活性成分として使用され、元素P、Si、F、Bなどの他の様々な助剤が任意に添加される。このような触媒には、RIPPによって開発されたRS系前処理触媒などがある。RS系触媒はNiMo触媒である。
【0131】
第5の変形例のための第1の反応ユニットは、好ましくは中/低圧固定床水素化ユニットである。
【0132】
好ましくは、工程(2)において、第1の反応ユニットは、反応温度260~500℃、反応圧力2.0~20.0MPa、好ましくは2~12MPa、油に対する水素の体積比率100~1200、および液空間速度0.1~1.5h-1、の条件下で運転される。液空間速度および反応圧力は、処理される材料の性質、ならびに所望の転換率および精製深度に応じて、選択される。
【0133】
本発明に係る芳香族リッチ分留油を処理する方法は、
図5を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0134】
図5に示すように、芳香族リッチ分留油30は、第5の反応ユニット31に供給され、水素飽和され、続いて分留され、第2の軽質成分および第2の重質成分32を提供し;重油供給原料1は、溶媒脱アスファルトユニット2に供給され、溶媒脱アスファルト処理され、脱油アスファルト4および脱アスファルト油3を提供し;脱油アスファルト4と第2の重質成分32を含む芳香族含有流とが混合され、混合供給原料6を形成し、第1の反応ユニット7に供給され、水素化反応し、ここで、芳香族含有流は好ましくは外部からの芳香族炭化水素5も含み、第1の反応ユニットは、ミネラルリッチ前駆体材料と、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる水素化触媒とを含み、第1の反応ユニットは固定床水素化ユニットであり;第1の反応ユニット7からの液相生成物は、分離ユニット19に供給され、分留され、第1の軽質成分8および第1の重質成分9を提供し、ここで、第1の軽質成分および第1の重質成分は240~450℃のカットポイントを有し;第1の軽質成分8は、第2の反応ユニット10に供給され、反応し、ガソリン成分13、BTX供給原料成分12およびディーゼル成分14から選択される少なくとも1つの生成物を提供し、ここで、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニットおよびディーゼル水素化アップグレードユニットから選択される少なくとも1つであり;第1の重質成分9は、ディレードコーキングユニット11に供給され、反応し、コーカーガソリン15、コーカーディーゼル16、コーカーワックス油17および低硫黄石油コークス18からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか;または第1の重質成分9は、低硫黄船舶燃料油成分として使用される。
【0135】
第1の態様の技術的解決手段の第5の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第5の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第5の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第5の変形例において使用されてもよい。
【0136】
本発明はさらに、以下に記載される、第1の態様の技術的解決手段の第6の変形例を提供する。
【0137】
この第6の変形例は、
重質原油を溶媒脱アスファルトユニットに導入し、溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供する工程(1)と;
脱アスファルト油を第6の水素化ユニットに導入し、水素化反応させ、第6の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をDCCユニットに導入し、反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供する工程であって、ここで、第6の水素化ユニットは固定床水素化ユニットである、工程(14)と;
DCCユニットからのLCOおよび/またはHCOを、工程(16)において芳香族リッチ分留油に組み込むか、またLCOおよび/またはHCOを、第5の変形例の工程(16)において芳香族リッチ分留油として使用する、工程と、
を含む。
【0138】
すなわち、一実施形態において、第6の変形例の工程(1)は、第3の変形例の工程(1)について説明したものと実質的に同一の特徴を含む。
【0139】
さらに、一実施形態において、第6の変形例の工程(14)は、第3の変形例の工程(11)について説明したものと実質的に同一の特徴を含む。
【0140】
好ましくは、第6の変形例のDCCユニットは、反応温度500~650℃、触媒対油の比率3~12、および保持時間0.6~6秒、の条件下で運転される。
【0141】
一実施形態において、第6の変形例では、LCOおよび前記HCOは300~400℃のカットポイントを有し;HCOおよびスラリー油は400~500℃のカットポイントを有することが好ましい。
【0142】
一実施形態において、第6の変形例は、工程(32)において得られたコーカーディーゼルおよび/またはコーカーワックス油を第5の水素化ユニットに再利用し、水素飽和させる工程をさらに含む。
【0143】
一実施形態において、この第6の変形例の工程(14)において、第6の水素化ユニットは、反応温度280~400℃、反応圧力6.0~14.0MPa、油に対する水素の体積比率600~1200、および液空間速度0.3~2.0h-1、の条件下で運転される。
【0144】
一実施形態において、この第6の変形例の工程(14)において、第6の水素化ユニットは、少なくとも2つの水素化触媒が装填されている。
【0145】
一実施形態において、この第6の変形例の工程(14)において、水素化触媒は、水素脱金属反応、水素脱硫反応、および水素脱炭反応からなる群から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる触媒である。
【0146】
一実施形態において、この第6の変形例の工程(14)において、水素化触媒は、担体としてアルミナと、活性成分元素として第VIB族および/または第VIII族からの金属元素と、任意にP、Si、FおよびBから選択される少なくとも1つの補助元素とを含む。
【0147】
第6の変形例に係る重質原油および芳香族リッチ分留油を処理するための方法は、
図6を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0148】
図1に示すように、重油供給原料1は、溶媒脱アスファルトユニット2に供給され、溶媒脱アスファルト処理され、脱油アスファルト4および脱アスファルト油3を提供し;脱アスファルト油3は、第6の水素化ユニット24に供給され、水素化反応し、第6の水素化ユニット24において得られた液相流出物は、DCCユニット35に供給され、反応し、プロピレン36、LCO37、HCO38およびスラリー油33を提供し;LCO37および/またはHCO38を含む芳香族リッチ分留油30は、第5の水素化ユニット31に供給され、水素飽和され、続いて分留され、第2の重質成分32および第2の軽質成分を提供し;脱油アスファルト4と第2の重質成分32を含む芳香族含有流とから形成された混合供給原料6は、第1の反応ユニット7に供給され、水素化反応し、芳香族含有流は好ましくは外部からの芳香族炭化水素5も含み、ここで、第1の反応ユニット7は、ミネラルリッチ前駆体材料と、水素脱金属反応、水素脱硫反応、水素脱アスファルト反応および水素脱炭反応から選択される少なくとも1つの反応を触媒することができる水素化触媒とを含み;第1の反応ユニット7からの液相生成物は、分離ユニット19に供給され、分留され、第1の軽質成分8および第1の重質成分9を提供し;第1の軽質成分8は、第2の反応ユニット10に供給され、反応し、ガソリン成分13、BTX供給原料成分12、ディーゼル成分14からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか、第1の軽質成分8の少なくとも一部は、DCCユニット35に戻され、再利用され;第1の重質成分9は、ディレードコーキングユニット11に供給され、反応し、コーカーガソリン15、コーカーディーゼル16、コーカーワックス油17および低硫黄石油コークス18からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するか;または第1の重質成分9は、低硫黄船舶燃料油成分として使用される。
【0149】
第1の態様の技術的解決手段の第6の変形例における特徴の説明および/または定義は、他の態様またはその様々な変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、本発明の第1の態様の様々な変形例、ならびに他の態様およびその様々な変形例に適用されてもよい。同様に、本発明の第1の態様の様々な変形例の様々な特徴、ならびに他の様々な態様およびその様々な変形例の様々な特徴(特に、この第6の変形例において具体的に説明および/または定義されていない特徴)の説明および/または定義は、第1の態様の第6の変形例において異なる、またはより具体的な説明および/または定義がない限り、第1の態様の第6の変形例において使用されてもよい。
【0150】
前述したように、本発明の第2の態様は、脱油アスファルトを水素化処理するためのシステムを提供し、第2の態様の第1の変形例のシステムは、
固定床水素化ユニットであり、脱油アスファルトおよび芳香族含有流の水素化反応をその中で実施するために使用される、第1の反応ユニットと;
第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、第1の反応ユニットと流体連通している分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む。
【0151】
好ましくは、ディレードコーキングユニットは、ディレードコーキングユニットにおいて得られたコーカーワックス油および/またはコーカーワックス油を、第1の反応ユニットに戻し、再利用するために、第1の反応ユニットと流体連通している。
【0152】
好ましくは、本システムは溶媒脱アスファルトユニットをさらに含み、本システムは、その中にある重油供給原料の溶媒脱アスファルト処理後に得られた脱油アスファルトを第1の反応ユニットに導入するために使用される、第1の反応ユニットと流体連通している溶媒脱アスファルトユニットをさらに含む。
【0153】
好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは水素化分解ユニットである。
【0154】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは流動接触分解ユニットである。
【0155】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは、ディーゼル水素化アップグレードユニットである。
【0156】
本発明はさらに、以下の第2の態様の第2の変形例を提供する:
この第2の変形例において、システムは、
移動床-固定床水素化複合ユニットまたは移動床水素化ユニットであり、脱油アスファルトおよび芳香族含有流の水素化反応を実施するための、第1の反応ユニットと;
第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、第1の反応ユニットと流体連通している分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む。
【0157】
好ましくは、ディレードコーキングユニットは、ディレードコーキングユニットにおいて得られたコーカーワックス油および/またはコーカーワックス油を、第1の反応ユニットに戻し、再利用するために、第1の反応ユニットと流体連通している。
【0158】
好ましくは、本システムは、その中にある重油供給原料の溶媒脱アスファルト処理後に得られた脱油アスファルトを第1の反応ユニットに導入するために使用される、第1の反応ユニットと流体連通している溶媒脱アスファルトユニットをさらに含む。
【0159】
好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは水素化分解ユニットである。
【0160】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは流動接触分解ユニットである。
【0161】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは、ディーゼル水素化アップグレードユニットである。
【0162】
本発明はさらに、以下に記載される、第2の態様の第3の変形例を提供する。
【0163】
第3の変形例において、溶媒脱アスファルトユニットは、重質原油をその中で溶媒脱アスファルト処理に供し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供するために使用され;
溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している第3の水素化ユニットであって、第3の水素化ユニットは、溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルト油をその中で水素化反応に供するための固定床水素化ユニットである、第3の水素化ユニットと;
第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をその中で反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供するための、第3の水素化ユニットと流体連通しているDCCユニットと;
DCCユニットにおいて得られたスラリー油をその中で脱金属反応に供し、脱金属スラリーを提供するための、DCCユニットと流体連通している第4の水素化ユニットと;
固定床水素化ユニットまたは移動床水素化ユニットのいずれかである第1の水素化ユニットであって、第1の水素化ユニットは、第4の水素化ユニットからの脱金属スラリー油および/またはDCCユニットからのスラリー油と溶媒脱アスファルトユニットからの脱油アスファルトとの転換反応をその中で実施するために、DCCユニット、第4の水素化ユニット、および溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している、第1の水素化ユニットと;
第1の水素化ユニットからの液相流出物をその中で分留するための、第1の水素化ユニットおよびDCCユニットそれぞれと流体連通している分離ユニットであって、分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をDCCユニットに戻し、再利用することができる、分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と。
【0164】
好ましくは、ディレードコーキングユニットは、ディレードコーキングユニットにおいて得られたコーカーディーゼルおよび/またはコーカーワックス油を、第1の水素化ユニットに戻し、再利用するために、第1の水素化ユニットと流体連通している。
【0165】
本発明はさらに、以下に記載される、第2の態様の技術的解決手段の第4の変形例を提供する。
【0166】
この第4の変形例において、システムは、
溶媒脱アスファルトユニット中の重質原油を溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットと;
溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している第3の水素化ユニットであって、第3の水素化ユニットは、溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルト油をその中で水素化反応させるための固定床水素化ユニットである、第3の水素化ユニットと;
第3の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をその中で反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供するための、第3の水素化ユニットと流体連通しているDCCユニットと;
固定床水素化ユニットまたは移動床水素化ユニットのいずれかである第1の水素化ユニットであって、第1の水素化ユニットは、DCCユニットからのLCOおよび/またはHCOと溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルトピッチとの転換反応をその中で実施するために、DCCユニットおよび溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している、第1の水素化ユニットと;
第1の水素化ユニットからの液相流出物をその中で分留するための、第1の水素化ユニットおよびDCCユニットそれぞれと流体連通している分離ユニットであって、分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をDCCユニットに戻し、再利用することができる、分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させ、ガソリン留分、ディーゼル留分、およびBTX供給原料成分からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む。
【0167】
好ましくは、DCCユニットは、DCCユニットから得られたスラリーを溶媒脱アスファルトユニットに戻し、再利用して、溶媒脱アスファルトするために、溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している。
【0168】
本発明はさらに、以下に記載される、第2の態様の技術的解決手段の第5の変形例を提供する。
【0169】
この第5の変形例において、システムは、
芳香族リッチ分留油を水素飽和および分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供するための、第5の反応ユニットと;
脱油アスファルトおよび第5の反応ユニットからの第2の重質成分を含む芳香族含有流をその中で水素化反応させるための、第5の反応ユニットと流体連通している固定床水素化ユニットである第1の反応ユニットと;
第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、第1の反応ユニットと流体連通している分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む。
【0170】
好ましくは、ディレードコーキングユニットは、ディレードコーキングユニットにおいて得られたコーカーディーゼルおよび/またはコーカーワックス油を、芳香族含有流の少なくとも一部として、第1の反応ユニットに戻し、再利用するために、第1の反応ユニットと流体連通している。
【0171】
好ましくは、システムは、第1の反応ユニットと流体連通しており、その中にある重油供給原料を溶媒脱アスファルトし、溶媒脱アスファルト後に得られた脱油アスファルトを第1の反応ユニットに導入するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットをさらに含む。
【0172】
好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは水素化分解ユニットである。
【0173】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは流動接触分解ユニットである。
【0174】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは、ディーゼル水素化アップグレードユニットである。
【0175】
本発明はさらに、以下に記載される、第2の態様の技術的解決手段の第6の変形例を提供する。
【0176】
この第6の変形例において、システムは、
溶媒脱アスファルトユニット中の重質原油を溶媒脱アスファルト処理し、脱油アスファルトおよび脱アスファルト油を提供するために使用される、溶媒脱アスファルトユニットと;
溶媒脱アスファルトユニットと流体連通している第6の水素化ユニットであって、第6の水素化ユニットは、溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルト油をその中で水素化反応させるための固定床水素化ユニットである、第6の水素化ユニットと;
第6の水素化ユニットにおいて得られた液相流出物をその中で反応させ、プロピレン、LCO、HCOおよびスラリー油を提供するための、第6の水素化ユニットと流体連通しているDCCユニットと;
LCOおよび/またはHCOを含む芳香族リッチ分留油をその中で水素飽和および分留し、第2の軽質成分および第2の重質成分を提供するための、DCCユニットと流体連通している第5の水素ユニットと;
溶媒脱アスファルトユニットからの脱アスファルトピッチ、および第5の水素化ユニットからの第2の重質成分を含む芳香族含有流を水素化反応させるための、第5の水素化ユニットおよび溶媒脱アスファルトユニットそれぞれと流体連通している固定床水素化ユニットである、第1の反応ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をDCCユニットに戻し、再利用することができる、第1の反応ユニットからの液相生成物をその中で分留するための、第1の反応ユニットおよびDCCユニットそれぞれと流体連通している分離ユニットと;
分離ユニットにおいて得られた第1の軽質成分をその中で反応させるための、分離ユニットと流体連通している第2の反応ユニットであって、第2の反応ユニットは、水素化分解ユニット、接触分解ユニット、およびディーゼル水素化アップグレードユニットからなる群から選択される少なくとも1つである、第2の反応ユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分をその中で反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼル、コーカーワックス油、および低硫黄石油コークスからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を提供するための、分離ユニットと流体連通しているディレードコーキングユニットと;
分離ユニットから得られた第1の重質成分を低硫黄船舶燃料油留分としてシステムから排出するための、分離ユニットと流体連通している排出口と、
を含む。
【0177】
好ましくは、ディレードコーキングユニットは、ディレードコーキングユニットにおいて得られたコーカーディーゼルおよび/またはコーカーワックス油を、第5の水素化ユニットに戻し、再利用するために、第1の反応ユニットと流体連通している。
【0178】
好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは水素化分解ユニットである。
【0179】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは接触分解ユニットであり、接触分解ユニットは流動接触分解ユニットである。
【0180】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のシステムにおいて、第2の反応ユニットは、ディーゼル水素化アップグレードユニットである。
【0181】
本発明の好ましい実施形態を使用すると、従来技術と比較して、本発明は、溶媒脱アスファルト、重油水素化、水素化分解もしくは接触分解またはコーキングなどの方法の有効な組み合わせを採用し、その結果、軽質石油留分が高効率で利用されるだけでなく、低い値を有するDOAが、環境保護要件を満たす低硫黄船舶燃料成分および低硫黄石油コークス供給原料に転換され、それによって、重質石油資源の高効率、環境保護的かつ包括的な利用を実現する。
【0182】
以下、本発明を実施例して詳細に説明する。以下の実施例は特に断らない限り、
図1に示す工程の流れを用いて行った。
【0183】
以下の実施例の表2の結果は特に断らない限り、装置を100時間連続で運転したときの、25時間毎の試料採取試験から得られた結果の平均値であった。
【0184】
接触分解触媒MLC-500、RS-2100水素化精製触媒、RHC-131水素化分解触媒、RG-30B、RDM-33BおよびRCS-31はすべて、SINOPEC CATALYST CO.,LTD. CHANGLING DIVISION製の触媒であった。
【0185】
それぞれの実施例で使用した芳香族リッチ分留油の特性を表6に示した。
【0186】
下記における常温とは、25±3℃であった。
【0187】
〔実施例I-A〕
ミネラルリッチ前駆体材料1の調製:SINOPEC CATALYST CO.,LTD. CHANGLING DIVISION製のRPB110擬ベーマイト2000gを使用し、うち1000gを550℃で2時間処理してアルミナ約700gを得て、アルミナ約700gと残りの擬ベーマイト1000gとをよく混合した。次いでセスバニア粉末40g、クエン酸約20gを加え、脱イオン水2200gを加え、混合物を混練してストリップ状に押出成形し、300℃で3時間乾燥して約1730gの担体を得て、これにMoとNiとを含む溶液2100mLを加えて飽和含浸させた。ここで、溶液中のMo含有量はMoO3として計算して5.5重量%であり、Ni含有量はNiOとして計算して1.5重量%であり、30分含浸後、180℃で4時間処理して、ミネラルリッチ前駆体材料1を得た。特性を表I-5に示す。
【0188】
ミネラルリッチ前駆体材料2の調製:SINOPEC CATALYST CO.,LTD. CHANGLING DIVISION製のRPB110擬ベーマイト2000gを使用し、セスバニア粉末30g、クエン酸30gを加え、脱イオン水2400gを加え、混合物を混練してストリップ状に押出成形し、120℃で5時間乾燥して約2040gの担体を得て、これにMoとNiとを含む溶液2200mLを加えて飽和含浸させた。ここで、溶液中のMo含有量はMoO3として計算して7.5重量%、Ni含有量はNiOとして計算して1.7重量%であり、30分含浸後、200℃で3時間処理して、ミネラルリッチ前駆体材料2を得た。特性を表I-5に示す。
【0189】
ミネラルリッチ前駆体材料3の調製:市販のシリカ2000gを使用し、セスバニア粉末30g、水酸化ナトリウム30gを加え、脱イオン水2400gを加え、混合物を混練してストリップ状に押出成形し、120℃で5時間乾燥して担体を得て、これにMoとNiとを含む溶液2200mLを加えて飽和含浸させた。ここで、溶液中のMo含有量はMoO3として計算して4.5重量%、Ni含有量はNiOとして計算して1.0重量%であり、30分含浸後、200℃で3時間処理して、ミネラルリッチ前駆体材料3を得た。特性を表I-5に示す。
【0190】
〔実施例I-B〕
溶媒脱アスファルトは供給原料として中東産の真空残渣を使用することによって実施され、溶媒はブタン(75重量%のブタン含有量)を主に含み、少量のプロパンおよびペンタンを含む炭化水素混合物であり、溶媒脱アスファルトは120℃で実施され、溶媒:真空残渣=1.5:1(重量比率)であり、収率68.1重量%で脱アスファルト油(DAO)が生じ、収率31.9重量%で脱油アスファルト(DOA)が生じた。
【0191】
〔実施例I-1〕
供給原料:実施例I-BのDOAを1:10の重量比率でLCOと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0192】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料1、ミネラルリッチ前駆体材料2、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、以下の体積比で第1の反応ユニットの反応器に連続的に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:ミネラルリッチ前駆体材料2:RDM-33B:RCS-31=6:30:30:14:20。固定床重油水素化処理は、温度380℃、反応圧力16MPa、液空間速度0.18h-1、水素/油比(体積比)1000:1の条件下で行った。混合供給原料を固定床水素化処理した後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0193】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0194】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、固定床水素化分解装置で335℃未満の温度で水素化分解試験を実施した。触媒の装填比は以下の通りであった:RS-2100:RHC-131=40:60(V/V)。水素化分解処理は、精製部温度370℃、分解部温度385℃、反応圧力7MPa、液空間速度2.0h-1、水素/油の体積比1200:1の条件下で行った。得られた水素化分解ガソリン生成物の特性を表I-4に示した。
【0195】
〔実施例I-2〕
供給原料:実施例I-BのDOAを5:10の重量比率でHCOと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0196】
触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0197】
分離:固定床残油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、378℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0198】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、378℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0199】
〔実施例I-3〕
供給原料:実施例I-BのDOAを10:10の重量比率でLCOと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0200】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0201】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0202】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、350℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0203】
〔実施例I-4〕
供給原料:実施例I-BのDOAを10:15の重量比率でコールタールと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0204】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0205】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、355℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0206】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、355℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0207】
〔実施例I-5〕
以下の点を除き、実施例I-3と同様の方法を使用した:
第1の反応ユニット:本実施例では、固定床重油水素化処理の温度は395℃であった。反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料1、およびRCS-31脱硫触媒を、以下の体積比で第1の反応ユニットの反応器に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:RCS-31=7:65:28。
【0208】
他の条件は実施例I-3と同一であった。
【0209】
得られた第1の重質成分の350℃超での主な物理化学的特性を表I-3に示した。
【0210】
〔実施例I-6〕
実施例I-BのDOAを10:10の重量比率でLCOと混合し、ここで、混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0211】
触媒の装填および固定床重油水素化処理の条件は、実施例I-3と同様とした。
【0212】
30日毎に固定床の反応温度を3℃上昇させ、水素化試験の運転300日後に運転を停止した。水素化によって生成した油は、0.46~0.50%の硫黄の重量分率および10~15μg/gのバナジウムの含有量を有していた。
【0213】
反応器に最初に装填されたミネラルリッチ前駆体材料1およびミネラルリッチ前駆体材料2は反応後、Vリッチ材料1およびVリッチ材料2となった。Vリッチ材料1およびVリッチ材料2は、焼成分析後にそれぞれ55重量%および45重量%のV含有量を有した。したがって、これらは、高価値のV2O5を調製するための高品質材料であった。
【0214】
〔実施例I-7〕
実施例I-3からの350℃以上の温度での第1の重質成分をコーキング処理のためのディレードコーキングユニットに供給し、このディレードコーキングユニットを反応温度490℃および保持時間1.5時間の条件で運転した。
【0215】
低硫黄石油コークスを28.7重量%の収率で得て、石油コークス中の硫黄の重量分率は2.7%であった。
【0216】
〔実施例I-8〕
触媒が接触分解触媒MLC-500である小規模接触分解固定流動床試験装置において、実施例I-3からの350℃未満の温度での第1の軽質成分について接触分解試験を実施し、流動触媒ユニットを、反応温度540℃、触媒対油の比率6、および保持時間3秒の条件で運転した。
【0217】
その結果、収率55.2重量%で生成物のガソリンが得られ、そのRONオクタン価は95.8であった。
【0218】
〔実施例I-9〕
供給原料:混合供給原料は実施例I-3と同一であった。
【0219】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-3と同様である。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:ミネラルリッチ前駆体材料2=5:60:35(V/V)を連続的に装填した。固定床重油水素化処理の条件は、実施例I-3と同一であった。
【0220】
30日毎に固定床の反応温度を3℃上昇させ、水素化試験の運転330日後に運転を停止した。水素化によって生成した油は、硫黄の重量分率が0.55~0.65%、バナジウムの含有量が4~7μg/gであった。
【0221】
反応器に最初に装填されたミネラルリッチ前駆体材料1およびミネラルリッチ前駆体材料2は反応後、Vリッチ材料1およびVリッチ材料2となった。Vリッチ材料1およびVリッチ材料2は、焼成分析後にそれぞれ58重量%および47重量%のV含有量を有した。したがって、これらは、高価値のV2O5を調製するための高品質材料であった。
【0222】
〔実施例I-10〕
供給原料:混合供給原料は実施例I-3と同一であった。
【0223】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-3と同様である。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:=10:90(V/V)を連続的に装填した。固定床重油水素化処理の条件は、実施例I-3と同一であった。
【0224】
30日毎に固定床の反応温度を3℃上昇させ、水素化試験の運転300日後に運転を停止した。水素化によって生成した油は、硫黄の重量分率が0.56~0.68%、バナジウムの含有量が2~4μg/gであった。
【0225】
最初に反応器に装填されたミネラルリッチ前駆体材料1は焼成分析後に61重量%のV含有量を有するVリッチ材料1となり、したがって、高価値のV2O5を調製するための高品質材料であった。
【0226】
〔実施例I-11〕
供給原料:実施例I-BのDOAをLCOおよびコールタールII(実施例I-7から入手)と15:5:5の重量比率で混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0227】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0228】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、355℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0229】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、355℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0230】
〔実施例I-12〕
供給原料:実施例I-BのDOAを、1:10の重量比率でQY1と混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0231】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0232】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0233】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、350℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0234】
〔実施例I-13〕
供給原料:実施例I-BのDOAを、2:10の重量比率でQY2と混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0235】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例I-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表I-2に示した。
【0236】
分離:固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0237】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、335℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例I-1における335℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表I-4に示した。
【0238】
〔実施例I-14〕
供給原料:混合供給原料は実施例I-1と同一であった。
【0239】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-1と同様である。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料1、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、以下の体積比で第1の反応ユニットの反応器に連続的に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:RDM-33B:RCS-31=6:60:14:20。
【0240】
他の条件は実施例I-1と同一であった。
【0241】
混合供給原料を固定床水素化処理した後、生成物の特性を表I-2に示した。
【0242】
固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0243】
〔実施例I-15〕
供給原料:混合供給原料は、実施例I-1と同一であった。
【0244】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-1と同様であった。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、第1の反応ユニットの反応器に、最初にミネラルリッチ前駆体材料2を装填し、続いて、ミネラルリッチ前駆体材料1を装填した。
【0245】
反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料2、ミネラルリッチ前駆体材料1、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、以下の体積比で、第1の反応ユニットの反応器に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料2:ミネラルリッチ前駆体材料1:RDM-33B:RCS-31=6:30:30:14:20。
【0246】
他の条件は実施例I-1と同一であった。
【0247】
混合供給原料を固定床水素化処理した後、生成物の特性を表I-2に示した。
【0248】
固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0249】
〔実施例I-16〕
供給原料:混合供給原料は、実施例I-1と同一であった。
【0250】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-1と同様である。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、RG-30B:RDM-33B:RCS-31=10:40:50の体積比で、第1の反応ユニットの反応器に連続的に装填した。
【0251】
他の条件は実施例I-1と同一であった。
【0252】
混合供給原料を固定床水素化処理した後、生成物の特性を表I-2に示した。
【0253】
固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0254】
〔実施例I-17〕
供給原料:混合供給原料は、実施例I-1と同一であった。
【0255】
第1の反応ユニット:触媒の装填が異なったことを除いて、実施例I-1と同様である。本実施例では、反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料3、ミネラルリッチ前駆体材料2、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、以下の体積比で、第1の反応ユニットの反応器に連続的に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料3:ミネラルリッチ前駆体材料2:RDM-33B:RCS-31=6:30:30:14:20。
【0256】
他の条件は実施例I-1と同一であった。
【0257】
混合供給原料を固定床水素化処理した後、生成物の特性を表I-2に示した。
【0258】
固定床重油水素化処理から得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表I-3に示した。
【0259】
〔比較例I-1〕
供給原料:実施例I-BのDOAをQY3と3:10の重量比率で混合したところ、DOAは100℃で完全には溶解できず、すなわち得られた混合物は非液体であり、混合供給原料の特性を表I-1に示した。
【0260】
混合供給原料は大量の固体を含んでいたので、次の実験は実施できなかった。
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
〔実施例II-1〕
供給原料:実施例I-BのDOAを1:10の重量比率でLCOと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表II-1に示した。
【0268】
第1の反応ユニット:混合供給原料を、中規模移動床-固定床重油水素化処理装置で試験した。移動流動床反応器にミネラルリッチ前駆体材料1を装填し、反応物の流れ方向に従って、固定流動床反応器にミネラルリッチ前駆体材料2、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を装填し、体積比は以下の通りであった:ミネラルリッチ前駆体材料1:ミネラルリッチ前駆体材料2:RDM-33B:RCS-31=30:36:14:20。水素化処理は圧力16MPa、液空間速度0.18h-1、および水素/油比(体積比)1000:1の条件下で運転し、ここで、移動流動床反応器の水素化は温度385℃で反応させ、固定流動床反応器の水素化は温度370℃で反応させた。混合供給原料に固定床水素化処理を行った後、生成物の特性を表II-2に示した。
【0269】
分離:水素化処理で得られた液相生成物を分留し、335℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表II-3に示した。
【0270】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、固定床水素化分解装置で335℃未満の温度で水素化分解試験を実施し、触媒の装填比は以下の通りであった:RS-2100:RHC-131=40:60(V/V)。水素化分解処理は、精製部温度370℃、分解部温度385℃、反応圧力7MPa、液空間速度2.0h-1、水素/油の体積比率1200:1の条件下で運転した。得られた水素化分解ガソリン生成物の特性を表II-4に示した。
【0271】
〔実施例II-2〕
供給原料:実施例I-BのDOAを5:10の重量比率でHCOと混合し、ここで混合供給原料は室温で液体であり、混合供給原料の特性を表II-1に示した。
【0272】
第1の反応ユニット:混合供給原料を中規模移動床-固定床重油水素化処理装置で試験した。触媒の装填および処理条件は実施例II-1の固定床重油水素化処理と同様であり、水素化処理後の生成物の特性を表II-2に示した。
【0273】
分離:水素化処理で得られた液相生成物を分留し、378℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表II-3に示した。
【0274】
第2の反応ユニット:第1の軽質成分について、378℃未満の温度で、固定床水素化分解装置で試験を行った。触媒および試験条件は、実施例II-1における378℃未満での第1の軽質成分の水素化分解試験と同様であり、水素化分解生成物を得て、その特性を表II-4に示した。
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
〔実施例III-A〕
溶媒脱アスファルトは供給原料として中東産の真空残渣を使用することによって実施され、溶媒はブタンを主に含み(ブタン含有量75重量%)、少量のプロパンおよびペンタンを含む炭化水素混合物であり、溶媒脱アスファルトは120℃で実施され、溶媒:真空残渣=4:1(重量比率)であり、72.4重量%の収率で脱アスファルト油(DAO)を生じ、27.2重量%の収率で脱油アスファルト(DOA)を生じた。
【0280】
〔実施例III-1〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAの両方は実施例III-A由来のものであり、DAOおよびDOAの特性を表III-1に示した。
【0281】
第3の水素化ユニットに供したDAOから得られた液相生成物の特性を表III-1に示した。
【0282】
DCCユニットは、反応温度410℃、触媒対油の比率3、および保持時間5秒の条件下で運転され、DCCユニットはLCO1(特性については表III-6を参照)、HCO1、およびスラリー油1を生じた。
【0283】
DCCユニットで得られたスラリー油1を第4の水素化ユニット(固定床残油水素化ユニット)に供して脱金属スラリー油1を得て、その特性を表III-1に示した。
【0284】
DOAと脱金属スラリー油1とを重量比率1:10で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0285】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0286】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0287】
〔実施例III-2〕
実施例に使用したDAOおよびDOAは、実施例III-1と同一であった。
【0288】
第3の水素化ユニットに供したDAOから得られた液相生成物の特性は、実施例III-1と同一であった。
【0289】
DCCユニットは反応温度420℃、触媒対油の比率3、および保持時間5秒の条件下で運転され、DCCユニットはLCO2、HCO2、およびスラリー油2を生じた。
【0290】
DCCユニットで得られたスラリー油2を第4の水素化ユニット(固定床残油水素化ユニット)に供して脱金属スラリー油2を得て、その特性を表III-1に示した。
【0291】
DOAと脱金属スラリー油2とを重量比率5:10で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0292】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0293】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0294】
〔実施例III-3〕
実施例に使用したDAOおよびDOAは、実施例III-1と同一であった。
【0295】
第3の水素化ユニットに供したDAOから得られた液相生成物の特性は、実施例III-1と同一であった。
【0296】
DCCユニットは、反応温度440℃、触媒対油の比率3、および保持時間5秒の条件下で運転され、DCCユニットはLCO3、HCO3、およびスラリー油3を生じた。
【0297】
DCCユニットにより得られたスラリー油3を第4の水素化ユニット(固定床残油水素化ユニット)に供して脱金属スラリー油3を得て、その特性を表III-1に示した。
【0298】
DOAと脱金属スラリー油3とを10:10の重量比率で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0299】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0300】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0301】
〔実施例III-4〕
DOA(実施例III-Aから)および脱金属スラリー油1を15:10の重量比率で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2を参照)を第1の水素化ユニット(移動床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0302】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0303】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0304】
〔実施例III-5〕
DOA(実施例III-Aから)とLCO1、HCO1および脱金属スラリー油1とを1:3:3:4の重量比率で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0305】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0306】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0307】
〔実施例III-6〕
実施例III-1で得られた第1の重質成分をディレードコーキングユニットに供給して反応させ、コーカーガソリンを得た。
【0308】
ディレードコーキングユニットは、反応温度490℃および保持時間1.5時間の条件下で運転した。
【0309】
その結果、コーカーガソリンは29.7重量%の収率で得られ、石油コークス中の硫黄の重量分率は2.7%であった。
【0310】
〔実施例III-7〕
得られた第1の重質成分をディレードコーキングユニットに供給して反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油を得たことを除いて、手順は実施例III-1と同様であった。
【0311】
ディレードコーキングユニットは、反応温度500℃および保持時間1.2時間の条件下で運転した。
【0312】
その結果、コーカーガソリンは30.8重量%の収率で得られ、石油コークス中の硫黄の重量分率は2.5%であった。
【0313】
コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油は、水素化処理のために第1の水素化ユニット(固定床残油水素化ユニット)に再利用され、ここで、混合供給原料(その特性は表III-2に示された)は、DOA:脱金属スラリー1:コーカーディーゼル:コーカーワックス油が1:5:3:2の重量比率により構成された。水素化処理後、生成物の特性を表III-3に示した。
【0314】
本実施例の第1の水素化ユニットは、実施例III-1と同様の条件下で運転した。
【0315】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0316】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0317】
〔実施例III-8〕
実施例III-1から得た350℃未満での第1の軽質成分について、固定床水素化分解装置で試験を行った。ディーゼル成分を得た。
【0318】
使用した触媒は、SINOPEC CATALYST CO.,LTD. CHANGLING DIVISION製のRS-2100水素化精製触媒およびRHC-131水素化分解触媒であった。触媒間の装填比率は、RS-2100:RHC-131=40:60(V/V)であった。水素化分解処理は、精製部温度370℃、分解部温度385℃、反応圧力7MPa、液空間速度2.0h-1、水素/油の体積比1200:1の条件下で行った。得られた水素化分解ガソリン生成物の特性を表III-4に示した。
【0319】
〔実施例III-9〕
実施例III-1と同じ混合供給原料を第1の水素化ユニット(移動床残油水素化処理ユニット)で水素化処理して生成物を得たが、その特性は表III-3に示す通りであった。
【0320】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0321】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0322】
〔実施例III-10〕
実施例で使用したDOA(実施例III-Aより)を、製油所軽油QY1および脱金属スラリー油1と1:5:5の重量比率で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0323】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0324】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0325】
〔実施例III-11〕
実施例で使用したDOA(実施例III-Aより)を製油所軽油QY2および脱金属スラリー油1と2:5:5の重量比率で混合し、その混合供給原料(特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0326】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0327】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0328】
〔実施例III-12〕
実施例で使用したDOA(実施例III-Aより)に濾過スラリー油1(固形分5μg/g)を重量比率1:10で混合し、その混合供給原料(特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0329】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表III-4に示した。
【0330】
得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0331】
〔実施例III-13〕
本実施例において350℃未満の第1の軽質成分を0.1の再利用比率でDCCユニットに再利用したことを除いて、本実施例は実施例III-1と同様の方法で実施した。
【0332】
DCCユニットは、LCO13、HCO13、およびスラリー油13を生じた。
【0333】
DCCユニットにより得られたスラリー油13を第4の水素化ユニット(固定床残油水素化ユニット)に供して脱金属スラリー油13を得て、その特性を表III-1に示した。
【0334】
DOAと脱金属スラリー油13とを重量比率1:10で混合し、混合供給原料(その特性については表III-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表III-3に示した。
【0335】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表III-5に示した。
【0336】
〔比較例III-1〕
触媒および装置は実施例III-1と同一であった。
【0337】
DOAを軽油QY3および脱金属スラリー油1と3:5:5の重量比率で混合し、DOAは100℃で完全には溶解しなかった。
【0338】
混合供給原料は大量の固体を含んでいたので、次の実験は実施できなかった。
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
【0344】
【0345】
【0346】
表III-4から、本発明の技術は、DOAから高品質の低硫黄船舶燃料または低硫黄コークス生成物供給原料を製造することができたことが分かった。
【0347】
表III-5より、本発明の技術は、オレフィン含有量が少なく、国家V規格を満たす、良質なガソリン生成物をDOAから製造できたことがわかった。
【0348】
〔実施例IV-1〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAの両方は実施例IV-A由来のものであり、DAOおよびDOAの特性を表IV-1に示した。
【0349】
第3の水素化ユニットに供したDAOから得られた液相生成物の特性を表IV-1に示した。
【0350】
DCCユニットは反応温度410℃、触媒対油の比率3.0、および保持時間3秒の条件下で運転され、DCCユニットはLCO1(特性については表IV-6を参照)、HCO1(特性については表IV-6を参照)、およびスラリー油1を生じた。
【0351】
DOAとLCO1とを重量比率1:10で混合し、混合供給原料(その特性については表IV-2参照)を第2の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表IV-3に示した。
【0352】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表IV-4に示した。
【0353】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表IV-5に示した。
【0354】
〔実施例IV-2〕
実施例に使用したDAOおよびDOAは、実施例IV-1と同一であった。
【0355】
第3の水素化ユニットに供したDAOから得られた液相生成物の特性は、実施例IV-1と同一であった。
【0356】
DCCユニットは反応温度420℃、触媒対油の比率3.0、および保持時間3秒の条件下で運転され、DCCユニットはLCO2(特性については表IV-6を参照)、HCO2、およびスラリー油2を生じた。
【0357】
DOAとLCO2とを5:10の重量比率で混合し、混合供給原料(その特性については表IV-2参照)を第1の水素化ユニット(固定床残油水素化処理ユニット)による水素化処理に供した。生成物の特性を表IV-3に示した。
【0358】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留し、350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表IV-4に示した。
【0359】
固定床水素化分解装置で350℃未満の温度で第1の軽質成分について試験を行った。得られた水素化分解生成物の特性を表IV-5に示した。
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
〔実施例V-1〕
第5の反応ユニット:芳香族リッチ分留油の供給原料はLCO1(特性を表V-1に示す)であり、SINOPEC YANGZI PETROCHEMICAL CO., LTDの接触分解装置由来であった。第5の反応ユニットを、反応温度290℃、反応圧力4MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1、の条件下で運転した。
【0366】
第1の分留:第2の軽質成分および第2の重質成分1(特性を表V-1に示す)のカットポイントは180℃であった;
第1の反応ユニット:供給原料DOA(イラン産重油の真空残渣由来)および第2の重質成分1を1:10の重量比率で混合した。その特性を表V-2に示した。200mLの全反応器容積を有する中規模固定床残油水素化処理装置を使用した。反応物の流れ方向に従って、RG-30B保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料1、ミネラルリッチ前駆体材料2、RDM-33B残油脱金属および脱硫遷移触媒、ならびにRCS-31脱硫触媒を、以下の装填堆積比で第1の反応ユニットに連続的に装填した:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料V-1:ミネラルリッチ前駆体材料V-2:RDM-33B:RCS-31=6:30:30:14:20(V/V)。運転条件は、以下の通りであった:反応温度360℃、反応圧力8MPa、液空間速度0.3h-1、および油に対する水素の体積比率800:1。水素化後の混合供給原料の特性を表V-3に示した。
【0367】
第2の分留:第1の反応ユニットの処理によって得られた液相生成物を分留し、350℃未満の温度で第1の軽質成分と、350℃以上の温度で第1の重質成分とを得た。第1の重質成分の特性を表V-4に示した。
【0368】
第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験した。
【0369】
第2の反応ユニット:RS-2100:RHC-131=40:60(V/V)で連続的に装填された固定床水素化分解装置が、精製部の反応温度370℃、分解部の反応温度385℃、反応圧力10MPa、液空間速度2.0h-1、および水素/油体積比1200:1の条件下で運転された。得られた水素化分解生成物の特性を表V-5に示した。
【0370】
〔実施例V-2〕
第5の反応ユニット:芳香族リッチ分留油の供給原料はHCO2(特性を表V-1に示す)であり、SINOPEC ZHENHAI REFINNING & CHEMICAL COMPANYの接触分解装置由来であった。第5の反応ユニットを、反応温度330℃、反応圧力6MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1、の条件下で運転した。
【0371】
第1の分留:第2の軽質成分および第2の重質成分2(特性を表V-1に示す)のカットポイントは190℃であった;
第1の反応ユニット:供給原料DOA(イラン産重油の真空残渣由来)および第2の重質成分2を5:10の重量比率で混合した。その特性を表V-2に示した。処理装置および触媒の装填は実施例V-1と同一であった。運転条件は、以下の通りであった:反応温度380℃、反応圧力10MPa、液空間速度0.3h-1、および油に対する水素の体積比率800:1。水素化後の混合供給原料の特性を表V-3に示した。
【0372】
第2の分留:第1の反応ユニットの処理によって得られた液相生成物を分留し、350℃未満の温度で第1の軽質成分と、350℃以上の温度で第1の重質成分とを得た。第1の重質成分の特性を表V-4に示した。
【0373】
第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験した。
【0374】
第2の反応ユニット:実施例V-1と同様にして水素化分解生成物を得た。その特性を表V-5に示した。
【0375】
〔実施例V-3〕
第5の反応ユニット:芳香族リッチ分留油の供給原料はLCO1(特性を表V-1に示す)であり、SINOPEC YANGZI PETROCHEMICAL CO., LTD.の接触分解装置由来であった。第5の反応ユニットを、反応温度320℃、反応圧力6MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1、の条件下で運転した。
【0376】
第1の分留:第2の軽質成分および第2の重質成分3(特性を表V-1に示す)のカットポイントは190℃であった;
第1の反応ユニット:供給原料DOA(イラン産重油の真空残渣由来)および第2の重質成分3を10:10の重量比率で混合した。その特性を表V-2に示した。処理装置および触媒の装填は実施例V-1と同一であった。運転条件は、以下の通りであった:反応温度370℃、反応圧力6MPa、液空間速度0.3h-1、および油に対する水素の体積比率800:1。水素化後の混合供給原料の特性を表V-3に示した。
【0377】
第2の分留:第1の反応ユニットの処理によって得られた液相生成物を分留し、350℃未満の温度で第1の軽質成分と、350℃以上の温度で第1の重質成分とを得た。第1の重質成分の特性を表V-4に示した。
【0378】
第1の重質成分を反応温度500℃、保持時間0.5時間でコーキング反応に供し、硫黄含有量が2.7重量%である石油コークス(収率30重量%)を得た。
【0379】
第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験した。
【0380】
第2の反応ユニット:実施例V-1と同様にして水素化分解生成物を得た。その特性を表V-5に示した。
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
【0385】
【0386】
【0387】
〔実施例VI-B〕
溶媒脱アスファルトは供給原料として真空残渣を用いて行った。溶媒はブタンを含む炭化水素混合物(ブタン含有量75重量%)であり、溶媒脱アスファルトは120℃、溶媒:真空残渣=2:1(重量比率)で行われ、収率68重量%でDAOが得られ、収率32重量%でDOAが得られた。
【0388】
得られたDAOおよびDOAの特性を表VI-1に示した。
【0389】
〔実施例VI-1〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAは、実施例VI-B由来であった。
【0390】
第6の水素化ユニットにおける水素化反応に供されたDAOから得られた液相生成物の特性を表VI-1に示した。液体生成物をDCCユニットに供給して反応させ、LCO1(終留点350℃、芳香族含有量54%)およびHCO1を得た。
【0391】
LCO1を第5の水素化ユニットにおける水素飽和に供し、次いで分留して、180℃のカットポイントを有する第2の軽質成分1および第2の重質成分1を得た。第5の水素化ユニットは、反応温度290℃、反応圧力4MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。LCO1および第2の重質成分1の特性を表VI-2に示した。
【0392】
DOAと第2の重質成分1とを重量比率1:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0393】
第1の反応ユニットは、DOAと第2の重質成分1との混合供給原料について、反応温度360℃、反応圧力8MPa、液空間速度0.3h-1、油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0394】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0395】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0396】
〔実施例VI-2〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAは、実施例VI-B由来であった。
【0397】
第6の水素化ユニットにおける水素化反応に供されたDAOから得られた液相生成物の特性を表VI-1に示した。液相生成物をDCCユニットに供給して反応させ、LCO2およびHCO2を得た。
【0398】
HCO2を第5の水素ユニットにおける水素飽和に供し、次いで分留して、180℃のカットポイントを有する第2の軽質成分2および第2の重質成分2を得た。第5の水素化ユニットは、反応温度330℃、反応圧力6MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。HCO2および第2の重質成分2の特性を表VI-2に示した。
【0399】
DOAと第2の重質成分2とを重量比率5:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0400】
第1の反応ユニットは、DOAと第2の重質成分2との混合供給原料について、反応温度380℃、反応圧力10MPa、液空間速度0.3h-1、油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0401】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0402】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0403】
〔実施例VI-3〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAは、実施例VI-B由来であった。
【0404】
第6の水素化ユニットにおける水素化反応に供されたDAOから得られた液相生成物の特性を表VI-1に示した。液相生成物をDCCユニットに供給して反応させ、LCO1およびHCO1を得た。
【0405】
LCO1を第5の水素ユニットにおける水素飽和に供し、次いで分留して、180℃のカットポイントを有する第2の軽質成分3および第2の重質成分3を得た。第5の水素化ユニットは、反応温度320℃、反応圧力6MPa、液空間速度1h-1、および油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。LCO1および第2の重質成分3の特性を表VI-2に示した。
【0406】
DOAと第2の重質成分3とを重量比率10:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0407】
第1の反応ユニットは、DOAと第2の重質成分3との混合供給原料について、反応温度370℃、反応圧力6MPa、液空間速度0.3h-1、油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0408】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0409】
第1の重質成分を反応温度500℃、保持時間0.5時間でコーキング反応に供し、硫黄含有量が2.6重量%である石油コークス(収率31重量%)を得た。
【0410】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0411】
〔実施例VI-4〕
本実施例で使用したDAOおよびDOAは、実施例VI-B由来であった。
【0412】
第6の水素化ユニットにおける水素化反応に供されたDAOから得られた液相生成物の特性を表VI-1に示した。液相生成物をDCCユニットに供給して反応させ、LCO1およびHCO1を得た。
【0413】
本実施例で使用した芳香族リッチ分留油は、中国産のコールタールユニットからのコールタール(表VI-1に示す特性)およびLCO1であった。LCO1およびコールタールは重量比率1:1で使用した。芳香族リッチ分留油を第5の水素ユニットにおける水素飽和に供し、次いで分留して、180℃のカットポイントを有する第2の軽質成分4および第2の重質成分4を得た。第5の水素化ユニットは、反応温度300℃、反応圧力10MPa、液空間速度0.8h-1、および油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。芳香族リッチ分留油および第2の重質成分4の特性を表VI-2に示した。
【0414】
DOAと第2の重質成分4とを重量比率15:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0415】
第1の反応ユニットは、DOAと第2の重質成分4との混合供給原料について、反応温度350℃、反応圧力12MPa、液空間速度0.3h-1、油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0416】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0417】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0418】
〔実施例VI-5〕
以下の点を除き、実施例I-3と同様の方法を使用した:
本実施例では、第1の反応ユニットの水素化処理のための温度は395℃であった。
【0419】
他の条件は実施例VI-3と同一であった。
【0420】
水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0421】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0422】
〔実施例VI-6〕
触媒の装填および水素化処理の条件は実施例VI-3と同一であった。
【0423】
実施例VI-3と同一の混合供給原料を第1の反応ユニットにおいて水素化処理した後、30日毎に固定床の反応温度を3℃上昇させ、水素化試験の運転360日後に運転を停止した。
【0424】
反応器に最初に装填されたミネラルリッチ前駆体材料1およびミネラルリッチ前駆体材料2は反応後、Vリッチ材料1およびVリッチ材料2となった。Vリッチ材料1およびVリッチ材料2は、焼成分析後にそれぞれ56重量%および47重量%のV含有量を有し、天然鉱石のV含有量の10倍以上であり、したがって、これらは、高価値のV2O5を調製するための高品質材料であった。
【0425】
〔実施例VI-7〕
触媒がSINOPEC CATALYST CO.,LTD. CHANGLING DIVISION製の接触分解触媒MLC-500である小規模接触分解固定流動床試験装置において、実施例VI-3からの350℃未満の温度での第1の軽質成分について接触分解試験を実施し、反応温度540℃、触媒対油の比率5、および保持時間2秒の条件で運転する。
【0426】
その結果、収率43重量%の生成物ガソリンが得られ、そのRONオクタン価は92であった。
【0427】
〔実施例VI-8〕
得られた第1の重質成分をディレードコーキングユニットに供給して反応させ、コーカーガソリン、コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油を得たことを除いて、本実施例において手順は実施例VI-1と同様であった。
【0428】
コーカーディーゼルの硫黄含有量は0.16重量%であり、凝結点は-13℃であり、セタン価は49であった。
【0429】
ディレードコーキングユニットは、反応温度500℃および滞留時間0.5時間の条件下で運転した。
【0430】
コーカーワックス油の硫黄含有量は0.76重量%であり、凝結点は32℃であった。
【0431】
コーカーガソリンは、収率15%、硫黄含有量0.08重量%およびMON60で得られた。
【0432】
コーカーディーゼルおよびコーカーワックス油を第5の水素化ユニットに再利用し、LCO1と混合して水素飽和させ、次いで分留して、180℃のカットポイントを有する第2の軽質成分8および第2の重質成分8を得た。反応条件は、実施例VI-1と同一であった。コーカーディーゼル、コーカーワックス油およびLCO1の混合油の特性、ならびに第2の重質成分8の特性を表VI-2に示した。
【0433】
実施例VI-B由来ののDOAと第2の重質成分8とを1:10の重量比率で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0434】
第1の反応ユニットは、DOAと第2の重質成分8との混合供給原料について、反応温度360℃、反応圧力8MPa、液空間速度0.3h-1、油に対する水素の体積比率800:1の条件下で運転した。水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0435】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0436】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0437】
〔実施例VI-9〕
実施例VI-1から得た350℃未満の温度での第1の軽質成分について、ディーゼル水素化アップグレード装置で試験を行った。ディーゼル成分を得た。
【0438】
水素化アップグレード装置は、反応温度350℃、反応圧力7MPa、油に対する水素の体積比率800、および液空間速度1.0h-1の条件下で運転した。
【0439】
その結果、得られたディーゼル成分の硫黄含有量は9ppmであり、凝結点は-32℃であり、セタン価は51.9であった。
【0440】
〔実施例VI-10〕
第1の反応ユニットにおける触媒の装填が以下の通りであったことを除いて、本実施例において手順は実施例VI-1の手順と同様であった:
反応物の流れ方向に従って、水素化保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料1、水素脱金属および脱硫触媒、ならびに水素脱硫触媒を連続的に装填した。第1の反応ユニットにおいて、触媒間の装填比率は以下の通りであった:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料1:RDM-33B:RCS-31=6:60:14:20(V/V)。
【0441】
水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0442】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0443】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0444】
〔実施例VI-11〕
第1の反応ユニットにおける触媒の装填が以下の通りであったことを除いて、本実施例において手順は実施例VI-1の手順と同様であった:
反応物の流れ方向に従って、水素化保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料2、ミネラルリッチ前駆体材料1、水素脱金属および脱硫触媒、ならびに水素脱硫触媒を連続的に装填した。第1の反応ユニットにおいて、触媒間の装填比率は以下の通りであった:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料2:ミネラルリッチ前駆体材料1:RDM-33B:RCS-31=6:30:30:14:20(V/V)。
【0445】
水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0446】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0447】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0448】
〔実施例VI-12〕
第1の反応ユニットにおける触媒の装填が以下の通りであったことを除いて、本実施例において手順は実施例VI-1の手順と同様であった:
反応物の流れ方向に従って、水素化保護触媒、水素脱金属および脱硫触媒、ならびに水素脱硫触媒を連続的に装填した。第1の反応ユニットにおいて、触媒間の装填比率は以下の通りであった:RG-30B:RDM-33B:RCS-31=12:38:50(V/V)。
【0449】
水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0450】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0451】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0452】
〔実施例VI-13〕
第1の反応ユニットにおける触媒の装填が以下の通りであったことを除いて、本実施例において手順は実施例VI-1の手順と同様であった:
反応物の流れ方向に従って、水素化保護触媒、ミネラルリッチ前駆体材料3、水素脱金属および脱硫触媒、ならびに水素脱硫触媒を連続的に装填した。第1の反応ユニットにおいて、触媒間の装填比率は以下の通りであった:RG-30B:ミネラルリッチ前駆体材料3:RDM-33B:RCS-31=5:40:20:35(V/V)。
【0453】
水素化後、混合供給原料の特性を表VI-4に示した。
【0454】
第1の水素化ユニットから得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0455】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0456】
〔比較例VI-1〕
以下を除いて、触媒および装置は実施例VI-1と同様であった:
本比較例では、芳香族リッチ分留油QY(芳香族含有量20重量%)を、部分水素飽和ユニットを通さずにすぐにDOAと混合した。DOAとQYとを重量比率1:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0457】
第1の反応ユニットによる混合供給原料をの水素化処理の後、生成物の特性を表VI-4に示した。
【0458】
第1の水素化ユニットによる水素化処理から得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0459】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0460】
〔比較例VI-2〕
以下を除いて、触媒および装置は実施例VI-1と同様であった:
本比較例では、芳香族リッチ分留油QYを、部分水素飽和ユニットを通さずにすぐにDOAと混合した。DOAとQYとを重量比率2:10で混合した。混合供給原料の特性を表VI-3に示した。
【0461】
第1の反応ユニットによる混合供給原料をの水素化処理の後、生成物の特性を表VI-4に示した。
【0462】
第1の水素化ユニットによる水素化処理から得られた液相生成物を分留した。350℃以上の温度での第1の重質成分の特性を表VI-5に示した。
【0463】
350℃未満の温度での第1の軽質成分を第2の反応ユニットで試験し、水素化分解生成物を得た。その特性を表VI-6に示した。
【0464】
〔比較例VI-3〕
以下を除いて、触媒および装置は実施例VI-1と同様であった:
本比較例では、芳香族リッチ分留油QYを、部分水素飽和ユニットを通さずにすぐにDOAと混合した。DOAとQYとを重量比率3:10で混合した。混合供給原料は大量の固形分(100℃で)を含んでいたため、次の実験は実施できなかった。
【0465】
【0466】
【0467】
【0468】
【0469】
【0470】
【0471】
【0472】
【0473】
前記の結果から、本発明の技術は、DOAから低硫黄船舶燃料または低硫黄コークス生成物を製造するための高品質原料を可能にすることが分かる。
【0474】
さらに、本発明の技術は、国家V規格を満たす高品質のガソリン生成物を提供することができる。
【0475】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で、様々な技術的特徴が任意の他の適切な方法で組み合わされることを含めて、本発明の技術的解決手段に多くの単純な変形を行うことができる。これらの単純な修正および組み合わせもまた、本発明の開示とみなされるべきであり、すべてが本発明の範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0476】
【
図1】
図1は、本発明の第1の態様の第1の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の第1の態様の第2の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の第1の態様の第3の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の第1の態様の第4の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の第1の態様の第5の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第1の態様の第6の変形例の一実施形態に係る、脱油アスファルトを水素化処理するための方法のフローチャートである。