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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】実装装置及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20250402BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023525315
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021385
(87)【国際公開番号】W WO2022254696
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴紘
(72)【発明者】
【氏名】横井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】西田 賢志郎
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-096116(JP,A)
【文献】国際公開第2017/216950(WO,A1)
【文献】特開2002-175528(JP,A)
【文献】国際公開第2017/042929(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/019609(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/126025(WO,A1)
【文献】特開2019-153810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部が複数の前記撮像画像の各々について前記圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の前記圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成部と、
を備えた実装装置。
【請求項2】
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部が複数の前記撮像画像の各々について前記圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の前記圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成部と、
を備えた実装装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定する、
請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
を備え
前記撮像部は、異なる2以上の撮像位置の各々に位置する前記保持体を撮像し、
前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定し、
前記対応関係には、前記対象領域に関する情報として、前記異なる2以上の撮像位置のうちのいずれを対象とするかに関する情報と、対象となる前記撮像位置のうちのどの程度の範囲を対象とするかに関する情報とが含まれる、
実装装置。
【請求項5】
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
を備え
前記撮像部は、異なる2以上の撮像位置の各々に位置する前記保持体を撮像し、
前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定し、
前記対応関係には、前記対象領域に関する情報として、前記異なる2以上の撮像位置のうちのいずれを対象とするかに関する情報と、対象となる前記撮像位置のうちのどの程度の範囲を対象とするかに関する情報とが含まれる、
実装装置。
【請求項6】
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部
前記画像処理部が複数の前記撮像画像の各々について前記圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の前記圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項7】
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部
前記画像処理部が複数の前記撮像画像の各々について前記圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の前記圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項8】
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部、
を備え
前記撮像画像に含まれる前記複数の前記保持体のうちの2以上は、異なる2以上の撮像位置の各々に位置するものであり、
前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定し、
前記対応関係には、前記対象領域に関する情報として、前記異なる2以上の撮像位置のうちのいずれを対象とするかに関する情報と、対象となる前記撮像位置のうちのどの程度の範囲を対象とするかに関する情報とが含まれる、
画像処理装置。
【請求項9】
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部、
を備え
前記撮像画像に含まれる前記複数の前記保持体のうちの2以上は、異なる2以上の撮像位置の各々に位置するものであり、
前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定し、
前記対応関係には、前記対象領域に関する情報として、前記異なる2以上の撮像位置のうちのいずれを対象とするかに関する情報と、対象となる前記撮像位置のうちのどの程度の範囲を対象とするかに関する情報とが含まれる、
画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、実装装置及び画像処理装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する実装装置として、複数のノズル及びそのノズルに保持された部品を撮像する撮像部を備えたものが知られている。例えば、特許文献1に記載の実装装置の側面カメラは、複数のノズル位置の各々に位置するノズル及び部品を側方から撮像して、得られた複数の像が画像中で左右方向に配置された1つの画像を表す画像データを取得する。これにより、この側面カメラは、複数のノズル位置に位置するノズル及び部品を同時に側方から撮像できる。撮像された画像は、例えば実装処理中に部品がノズルに正しく保持されたか否かなどの判定に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/179365号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像により得られた画像は、例えば実装装置で生じた異常の解析に事後的に使用できるように、記憶装置に保存しておく場合がある。しかし、特許文献1のように複数のノズル位置の物体を撮像した画像データを得る場合、画像には常に複数のノズル位置の像が含まれるから、画像データのデータ量が膨大になり記憶装置の容量を圧迫する場合があった。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、画像データのデータ量を削減することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の第1の実装装置は、
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
を備えたものである。
【0008】
この第1の実装装置では、撮像部が、複数の保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する。そして、画像処理部は、撮像画像のうち少なくとも1つの保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、撮像画像のうち対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う。こうして生成された圧縮後画像は、対象領域以外の部分が同じ色の画素に置換された画像を圧縮したものであるからから、置換を行わずに画像を圧縮した場合と比べて圧縮率が向上している。したがって、画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装装置10を含む実装システム1の概略構成を示す構成図。
図2】実装ヘッド40の概略構成を示す説明図。
図3】ノズル44の配置及び側面カメラ80の概略構成を示す平面図。
図4】制御装置90の電気的な接続関係を示す説明図。
図5】HDD93に記憶された対応関係情報93aの一例を示す説明図。
図6】実装処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図7】実装処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図8】ノズル交換後に撮像された画像及びその画像に対する圧縮後画像生成処理の一例を示す説明図。
図9】部品採取後に撮像された画像及びその画像に対する圧縮後画像生成処理の一例を示す説明図。
図10】変形例の圧縮後画像生成処理の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実装装置及び画像処理装置の実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は本実施形態の実装装置10を含む実装システム1の概略構成を示す構成図、図2は実装ヘッド40の概略構成を示す説明図、図3はノズル44の配置及び側面カメラ80の概略構成を示す平面図、図4は制御装置90の電気的な接続関係を示す説明図である。なお、図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0011】
実装システム1は、図1に示すように、実装装置10と、実装装置10を管理する管理装置100と、を備える。実装システム1は、部品Pを基板12に実装する複数台の実装装置10が基板12の搬送方向(X軸方向)に沿って配置された実装ラインを備えている。図1では、説明の便宜のため実装ライン中の実装装置10を1台のみ示している。なお、実装システム1は、実装装置10と同じ実装ライン上にはんだ印刷機や検査機、リフロー炉などを備えていてもよい。
【0012】
実装装置10は、図1に示すように、部品供給装置20と、基板搬送装置25と、XYロボット30と、実装ヘッド40と、ノズルストッカ24と、パーツカメラ28と、マークカメラ29と、側面カメラ80と、制御装置90(図4参照)とを備えている。
【0013】
部品供給装置20は、実装装置10の前側に、左右方向(X軸方向)に並ぶように複数設けられている。この部品供給装置20は、所定間隔毎に部品Pが収容されたテープ22(図3参照)をリール21から引き出して所定のピッチで送るテープフィーダとして構成されている。テープ22に収容された部品Pは、テープ22の表面を覆うフィルムによって保護されている。予め定められた部品供給位置に至った部品Pは、フィルムが剥がされて露出した状態になっている。
【0014】
基板搬送装置25は、図1に示すように、前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルト26,26(図1では一方のみ図示)を有している。基板12はこのコンベアベルト26,26により搬送されて所定の取込位置に到達すると、裏面側に多数立設された支持ピン27によって支持される。
【0015】
XYロボット30は、図1に示すように、前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール33,33と、左右一対のY軸ガイドレール33,33に架け渡されたY軸スライダ34とを備えている。また、XYロボット30は、Y軸スライダ34の前面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられたX軸ガイドレール31,31と、X軸ガイドレール31,31に取り付けられたX軸スライダ32とを備えている。X軸スライダ32は、X軸モータ36(図4参照)の駆動によってX軸方向に移動可能であり、Y軸スライダ34は、Y軸モータ38(図4参照)の駆動によってY軸方向に移動可能である。X軸スライダ32には実装ヘッド40,マークカメラ29及び側面カメラ80が取り付けられている。実装ヘッド40,マークカメラ29及び側面カメラ80は、XYロボット30が移動することにより、XY平面上の任意の位置に移動される。
【0016】
実装ヘッド40は、図2に示すように、ヘッド本体41と、ノズルホルダ42と、ノズル44とを備えている。ヘッド本体41は、円盤状の回転体である。ヘッド本体41の下面中央には、光を反射可能な円筒状の反射体41aが取り付けられている(図3参照)。ノズルホルダ42はヘッド本体41の円周方向に所定間隔で複数設けられており、これにより実装ヘッド40はロータリーヘッドとして構成されている。ノズル44は、各ノズルホルダ42の先端部に交換可能に取り付けられている。ノズル44は、ノズルホルダ42を介してヘッド本体41に取り付けられており、ヘッド本体41の周方向に沿って配置されている。なお、図2ではノズルホルダ42を見やすくするために、反射体41aの図示を省略しノズルホルダ42及びノズル44をそれぞれ8本図示しているが、本実施形態では図3に示すようにノズル44の数は12本とした。そのため、ノズルホルダ42の数も同じく12本である。図3に示すように、12本のノズル44を、図3の8時の位置にあるノズル44から順に左回りにノズル44A~44Lと称する。また、実装ヘッド40は、R軸駆動装置50と、Q軸駆動装置60と、Z軸駆動装置70,70とを備えている。なお、図2では、説明の便宜上、Z軸駆動装置70,70と係合する位置にある2つのノズルホルダ42を実線で示し、それ以外のノズルホルダ42を一点鎖線で示した。
【0017】
R軸駆動装置50は、ヘッド本体41を回転させることで複数のノズル44を公転させる機構である。このR軸駆動装置50は、R軸51と、R軸モータ54と、R軸位置センサ55(図4参照)とを備えている。R軸51は、上下方向に延び、下端がヘッド本体41の中心軸に取り付けられている。R軸モータ54は、R軸51の上端に設けられたR軸ギヤ52に噛み合うギヤ53を回転駆動する。R軸位置センサ55は、R軸モータ54の回転位置を検知する。R軸駆動装置50は、R軸モータ54によりギヤ53,R軸ギヤ52を介してR軸51を回転駆動することにより、ヘッド本体41が回転する。ヘッド本体41が回転することにより、ヘッド本体41と共に複数のノズルホルダ42及び複数のノズル44が円周方向に旋回(公転)する。すなわち、R軸駆動装置50が駆動することで、複数のノズル44はヘッド本体41の回転軸を中心とした公転軌跡に沿って公転する。なお、R軸駆動装置50は、所定角度(例えば30度)ずつヘッド本体41を間欠回転させることにより、ノズル44を所定角度ずつ間欠的に公転させることができる。
【0018】
ここで、ノズル44の公転軌跡上には、ノズル44が部品供給装置20から部品Pを採取したりノズル44に採取された部品Pを基板12に実装したりするための作業位置が1以上存在する。本実施形態では、図3に示すノズル位置N2,N5の2箇所が作業位置である。作業位置では、ノズル44の交換及びノズル44に採取された部品Pの廃棄などの作業も行うことができる。ノズル位置N2,N5は、互いにノズル44の公転軌跡の中心軸を挟んで左右に対向する位置にある。ノズル位置N2はノズル44の公転軌跡上の左端の位置(図3の9時の位置)であり、ノズル位置N5はノズル44の公転軌跡上の右端の位置(図3の3時の位置)である。図3では、ノズル44Lがノズル位置N2に位置し、ノズル44Fがノズル位置N5に位置している。また、ノズル44の公転軌跡上でノズル44がノズル位置N2に位置するときの、そのノズル44の1つ前のノズル44(図3ではノズル44A)の位置をノズル位置N1と称し、1つ後のノズル44(図3ではノズル44K)の位置を、ノズル位置N3と称する。同様に、ノズル位置N5に位置するノズル44(図3ではノズル44F)の1つ前のノズル44(図3ではノズル44G)の位置を、ノズル位置N4と称し、1つ後のノズル44(図3ではノズル44E)の位置を、ノズル位置N6と称する。ノズル位置N1,N4は、ノズル44の公転軌跡上で作業位置(ノズル位置N2,N5)の1つ前(直前)の位置であるため、直前位置とも称する。また、ノズル位置N3,N6は、ノズル44の公転軌跡上で作業位置(ノズル位置N2,N5)の1つ後(直後)の位置であるため、直後位置とも称する。ノズル位置N1,N3,N4,N6は、側面カメラ80がノズル44とノズル44に保持された部品Pとの少なくとも一方を撮像するための位置であり、撮像位置とも称する。本実施形態では、上記の通り撮像位置は作業位置とは異なる位置であり、直前位置及び直後位置が撮像位置となっている。
【0019】
Q軸駆動装置60は、複数のノズル44を同期して回転(自転)させる機構である。このQ軸駆動装置60は、上下2段のQ軸ギヤ61,62と、ギヤ63,64と、Q軸モータ65と、Q軸位置センサ66(図4参照)とを備えている。上下2段のQ軸ギヤ61,62は、R軸51に対して同軸かつ相対回転可能に挿通されている。ギヤ63は、各ノズルホルダ42の上部に設けられ、下段のQ軸ギヤ61と上下方向にスライド可能に噛み合っている。Q軸モータ65は、上段のQ軸ギヤ62に噛み合うギヤ64を回転駆動する。Q軸位置センサ66は、Q軸モータ65の回転位置を検知する。Q軸駆動装置60は、Q軸モータ65によりQ軸ギヤ61,62を回転駆動することにより、Q軸ギヤ61と噛み合うギヤ63を回転させて、各ノズルホルダ42をその中心軸回りに同一回転方向に同一回転量(回転角度)だけ回転させる。これに伴い、複数のノズル44も互いに同期して自転する。
【0020】
Z軸駆動装置70,70は、ノズルホルダ42の旋回(公転)軌道上の2箇所に設けられ、2箇所においてノズルホルダ42を個別に昇降可能に構成されている。本実施形態では、Z軸駆動装置70,70は、ヘッド本体41の中心を挟んで左右に対向するように設けられている。Z軸駆動装置70による昇降が可能になるノズルホルダ42の位置を昇降位置と称する。昇降位置は、上面視でノズル44の作業位置と同じ位置、すなわちノズル位置N2,N5である。Z軸駆動装置70は、Z軸スライダ71と、Z軸モータ73と、Z軸位置センサ74(図4参照)とを備えている。Z軸スライダ71は、上下方向に延びるボールネジ72に昇降可能に取り付けられている。Z軸スライダ71は、ノズルホルダ42から横向きに延び出した係合片42aを挟み込む挟持部71aを備えている。Z軸モータ73は、ボールネジ72を回転させることによりZ軸スライダ71を昇降させる。Z軸位置センサ74は、Z軸スライダ71の上下方向の位置を検知する。Z軸駆動装置70は、Z軸モータ73を駆動してZ軸スライダ71をボールネジ72に沿って昇降させることにより、Z軸スライダ71と一体化されたノズルホルダ42及びノズル44を昇降させる。なお、ノズルホルダ42がヘッド本体41と共に公転してZ軸駆動装置70の配置された昇降位置に停止すると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の挟持部71aに挟み込まれる。そのため、Z軸駆動装置70は、昇降位置にあるノズルホルダ42及びノズル44を昇降させる。なお、ノズルホルダ42が公転して昇降位置から移動すると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の挟持部71aから抜け出る。
【0021】
ノズル44は、部品Pを部品供給装置20から採取して保持する部材である。ノズル44は、圧力調整弁46(図4参照)を介して負圧が供給されると部品Pをノズル44の先端(下端)に吸着して保持し、大気圧又は正圧が供給されると部品Pを放す。
【0022】
ノズルストッカ24は、図1に示すように、部品供給装置20と基板搬送装置25との間に設けられている。ノズルストッカ24には、複数種類のノズル44がストック可能である。ノズルストッカ24と実装ヘッド40との間でノズル44を交換することで、実装する部品Pのサイズに適したノズル44を実装ヘッド40に取り付けることができる。
【0023】
パーツカメラ28は、図1に示すように、部品供給装置20と基板搬送装置25との間に設けられている。パーツカメラ28は、ノズル44に吸着された部品Pの姿勢を下方から撮像する。
【0024】
マークカメラ29は、X軸スライダ32の下面に設けられている。マークカメラ29は、部品供給装置20が有する基準マークを撮像したり、基板12に設けられた基準マークを撮像したりする。制御装置90は、撮像された画像中の基準マークの位置に基づいて、テープ22に収納された部品Pの位置を特定したり、基板12の位置を特定したりする。
【0025】
側面カメラ80は、複数のノズル44のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する装置である。本実施形態では、側面カメラ80は、上述した4箇所の撮像位置(ノズル位置N1,N3,N4,N6)の各々に位置する物体を側方から撮像する。側面カメラ80は、撮像位置に位置するノズル44とそのノズル44に保持された部品Pとの少なくとも一方を撮像する。側面カメラ80は、撮像位置に位置するノズル44に保持された部品Pを撮像する。側面カメラ80は、図3に示すように、ノズル44の後方に設けられたカメラ本体82と、カメラ本体82への光路を形成する光学系ユニットを有する筐体84とにより構成されている。筐体84は、複数のノズル44の左右及び後方を囲むように配置されている。筐体84には、ヘッド本体41の左前方,左後方,右後方,及び右前方の位置に第1~第4入射口86a~86dが形成されている。第1~第4入射口86a~86dは、それぞれノズル位置N1,N3,N4,N6に1対1に対向している。また、筐体84は、複数のノズル44側の外周面に、ヘッド本体41に取り付けられた反射体41aに向けて光を発光するLEDなどの発光体87が複数(図3では左右に4個ずつ)設けられている。筐体84は、その内部に、光を反射する複数のミラー88a~88kを備えている。なお、筐体84は、ミラー88a~88kのうち1以上に代えて又は加えて、光を屈折させるプリズムなどの他の光学系を備えていてもよい。ミラー88a~88eは、筐体84のうち左側に配置され、図の破線で示す光路を形成して第1,第2入射口86a,86bから入射した光をカメラ本体82の前方のミラー88kまで導く。例えば、第1入射口86aから入射した光は、ミラー88a,88c,88d,88eにこの順で反射されてミラー88kに到達する。ミラー88f~88jは、筐体84のうち右側に配置され、図の破線で示す光路を形成して第3,第4入射口86c,86dから入射した光をミラー88kまで導く。ミラー88kは、第1~第4入射口86a~86dから到達したそれぞれの光を反射してカメラ本体82に導く。
【0026】
側面カメラ80は、上記のように第1~第4入射口86a~86d,発光体87,及びミラー88a~88kを有する光学系ユニットを備えている。これにより、ノズル位置N1,N3,N4,N6の各々の位置からの光が、カメラ本体82の撮像素子の互いに異なる領域に到達して結像する。そのため、カメラ本体82は、1回の撮像動作で、ノズル位置N1,N3,N4,N6に位置する物体をそれぞれ撮像して、得られた像が1つの画像中に配置された撮像画像を取得することができる。したがって、カメラ本体82は、ノズル位置N1,N3,N4,N6に位置するノズル44及び部品Pを同時に側方から撮像できる。本実施形態では、カメラ本体82は、後述する図8の上段及び図9の上段に示すように、ノズル位置N3,N1,N6,N4に位置する物体が左から右に向かってこの順で配置された1つの撮像画像を表す画像データを取得する。なお、第1~第4入射口86a~86d及びミラー88a~88kは、カメラ本体82が各々の撮像位置を撮像する向きが、ノズル44の公転軌跡の径方向に沿った向き、すなわちノズル44の公転軌跡の中心に向かう向きになるように、配置及び形状が調整されている。また、カメラ本体82は、発光体87から発光されて反射体41aで反射した光を受光する。そのため、撮像された画像では、光を遮るノズル44及び部品Pが黒い影として写し出される。
【0027】
制御装置90は、図4に示すように、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU91の他に、ROM92やHDD93、RAM94、入出力インタフェース95などを備える。これらはバス96を介して接続されている。制御装置90には、XYロボット30からの検知信号、実装ヘッド40(R軸位置センサ55やQ軸位置センサ66、Z軸位置センサ74,74)からの検知信号、パーツカメラ28からの画像信号、マークカメラ29からの画像信号、及び側面カメラ80からの画像信号などが入出力インタフェース95を介して入力される。また、制御装置90からは、部品供給装置20、基板搬送装置25、XYロボット30(X軸モータ36及びY軸モータ38)、実装ヘッド40(R軸モータ54、Q軸モータ65、及びZ軸モータ73,73)、圧力調整弁46、パーツカメラ28、マークカメラ29、及び側面カメラ80への制御信号などが入出力インタフェース95を介して出力される。また、制御装置90は、管理装置100と双方向通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
【0028】
HDD93は、電源オフ時も情報が保持される不揮発性メモリの一例であり、図5に示すように、対応関係情報93aが記憶されている。対応関係情報93aは、側面カメラ80が取得した撮像画像に関して、撮像タイミングと対象領域との対応関係を表す情報である。例えば、図5に示した対応関係情報93aでは、撮像タイミングとして、ノズル交換後、ノズル異常時、部品採取後、採取異常時、部品廃棄前、部品廃棄後、部品実装前、部品実装後、が含まれており、これらの各々のタイミングに対して対象領域に関する情報が対応付けられている。対象領域は、後述する圧縮後画像生成処理を行って撮像画像を加工する際に画像として残すべき対象となる領域である。対象領域は、撮像画像のうち少なくとも1つのノズル44の先端周辺を含む領域として定められている。また、対象領域は、撮像画像のうち後述する実装処理ルーチン中の各種の異常判定に用いられる領域(撮像画像のうち異常判定の対象となる領域)を含むように設定されている。例えば、図5に示した対応関係情報93aでは、対象領域として、対象ノズル位置に関する情報、対象範囲に関する情報、が含まれている。対象ノズル位置に関する情報は、撮像位置(ここではノズル位置N1,N3,N4,N6)のうちのいずれを対象領域とするかに関する情報である。本実施形態では、撮像タイミングの各々に対して複数の撮像位置のうちの1以上を含むように設定されている。対象範囲に関する情報は、対象ノズル位置のうちのどの程度の範囲を対象領域とするかに関する情報である。本実施形態では、撮像タイミングの各々に対して、「全体」,「ノズル先端周辺」のいずれかが設定されている。例えば、図5に示す対応関係情報93aでは、「ノズル交換後」の撮像タイミングに対して、対象領域として「撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像の全体」が対応付けられている。また、「部品実装前」の撮像タイミングに対して、対象領域として「撮像画像のうちノズル位置N1,N4の各々の画像内のノズル44の先端周辺」が対応付けられている。
【0029】
管理装置100は、実装システム1全体を管理する装置である。管理装置100は、図4に示すように、CPU101と、ROM102と、HDD103と、RAM104と、入出力インタフェース105と、を備える。これらはバス106を介して電気的に接続されている。また、管理装置100は、キーボードやマウスなどの入力デバイス107と、LCDなどのディスプレイ108とを備える。この管理装置100には、入力デバイス107から入力信号が入出力インタフェース105を介して入力される。また、管理装置100からは、ディスプレイ108への画像信号が入出力インタフェース105を介して出力される。管理装置100は、入出力インタフェース105を介して実装装置10の制御装置90と情報の送受信を行う。管理装置100のHDD103は、電源オフ時も情報が保持される不揮発性メモリの一例であり、基板12の生産プログラムや、実装システム1中の複数の実装装置10から送信される各種データなどが記憶されている。基板12の生産プログラムには、実装システム1中の複数の実装装置10の各々について、実装装置10がどの基板12のどの位置にどの順序でどの部品Pを実装するかの情報、及びそのように実装した基板12を何枚作製するかの情報などを含んでいる。また、生産プログラムには、部品Pの高さ(厚さ)に関する情報も含まれている。
【0030】
次に、こうして構成された実装システム1の動作、特に実装装置10の動作についての詳細を説明する。図6及び図7は、制御装置90のCPU91により実行される実装処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この処理は、制御装置90が管理装置100から生産プログラムを受信し、生産開始が指示されたときに実行される。
【0031】
実装処理ルーチンが開始されると、制御装置90のCPU91は、まず、基板搬送装置25を制御し、基板12を搬送して支持ピン27によって基板12を支持する基板搬送処理を行う(S100)。続いて、CPU91は、実装ヘッド40に取り付けられているノズル44を適切な種類のノズル44に交換するためのノズル交換関連処理(S110~S170)を行う。CPU91は、実装ヘッド40にノズル44が取り付けられていない場合や、管理装置100から受信した生産プログラムに基づいて1以上のノズル44の交換が必要と判定した場合に、このノズル交換関連処理を行う。ノズル44の交換が不要な場合には、CPU91はノズル交換関連処理をスキップして部品採取関連処理(S210~S270)を行う。
【0032】
以下では、実装ヘッド40に取り付けられた全てのノズル44を交換する場合のノズル交換関連処理について説明する。ノズル交換関連処理では、CPU91は、まず、XYロボット30を制御してノズルストッカ24上に実装ヘッド40を移動させる(S110)。続いて、CPU91は、ノズル交換処理と、交換後撮像処理と、を並列的に行う(S120)。ノズル交換処理は、作業位置(ノズル位置N2,N5)に位置するノズル44を交換するように実装ヘッド40を制御する処理である。ノズル交換処理では、CPU91は、XYロボット30及びZ軸モータ73を制御して、作業位置に位置するノズル44をノズルストッカ24内の空き領域に収納させて取り外してから、ノズルストッカ24内の適切なノズル44をノズルホルダ42に取り付ける。CPU91は、ノズル位置N2,N5に位置するノズル44の交換を同時に行ってもよいし、順番に行ってもよい。また、作業位置のノズルホルダ42にノズル44が取り付けられていない場合は、CPU91はノズル44の取り外し動作を省略してノズル44の取り付け動作を行う。交換後撮像処理では、CPU91は、前回のS120でノズル交換処理が行われた後のノズル44を直後位置(ノズル位置N3,N6)において撮像するよう側面カメラ80を制御する。そのため、CPU91は、ノズル交換関連処理を開始してから初めて実行されるS120では、交換後撮像処理を行わずノズル交換処理のみを行う。
【0033】
次に、CPU91は、交換後撮像処理で取得された画像に基づいてデータ量を減らした圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行い(S130)、圧縮後画像に基づいて交換後のノズル44の異常の有無を判定するノズル異常判定処理を行う(S140)。なお、ノズル交換関連処理を開始してからS120を1回実行した状態では、交換後撮像処理は行われていないから、CPU91はここではS130及びS140の処理を省略し、ノズル44に異常がないと判定する。
【0034】
S140で異常がない場合、CPU91は、全てのノズル44の交換及びノズル異常判定処理が終了したか否かを判定し(S150)、終了していないときにはノズル44を公転させるようR軸駆動装置50を制御する保持体公転処理を行う(S160)。保持体公転処理では、CPU91は、ノズル1個分(ノズル44の1ピッチ分)だけノズル44を公転させる。すなわち本実施形態では、ノズル44を上面視で右回りに30°(=360°/ノズル数12)公転させる。これにより、S120でノズル交換処理が行われたノズル44が作業位置から直後位置に移動する。また、直前位置に位置していたノズルホルダ42が作業位置に移動する。
【0035】
S160の処理を行った後、CPU91は、S120以降の処理を実行する。そのため、CPU91は、2回目のS120を実行する。2回目のS120では、CPU91は、作業位置に位置するノズル44に対してノズル交換処理を実行し、直後位置に位置するノズル44(1回目のS120でノズル交換処理が行われたノズル44)に対して交換後撮像処理を実行する。例えば、1回目のS120でノズル44A,44Gが作業位置に位置していた場合は、1回目のS120でこのノズル44A,44Gについてノズル交換処理が行われ、2回目のS120では作業位置に位置するノズル44B,44Hに対してノズル交換処理が行われると共に直後位置に位置するノズル44A,44Gに対して交換後撮像処理が実行される。そのため、この時の交換後撮像処理では、図8の上段に示す画像、すなわち、ノズル位置N3,N6の画像として交換後のノズル44A,44Gを含み、ノズル位置N1,N4の画像として交換前のノズル44C,44Iを含む、1つの画像が撮像される。
【0036】
続いて、CPU91は、S130の圧縮後画像生成処理を行う。圧縮後画像生成処理では、CPU91は、今回処理する撮像画像の撮像タイミングと、HDD93に記憶された対応関係情報93aと、に基づいて、撮像画像中の対象領域を特定する。S130の圧縮後画像生成処理は、S120の交換後撮像処理で撮像された画像、すなわちノズル交換後の撮像タイミングで撮像された画像に対して行われる。そのため、CPU91は、対応関係情報93aを参照して、ノズル交換後の撮像タイミングに対応する対象領域、すなわち撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像の全体を対象領域として特定する。なお、撮像画像のうちノズル位置N3,N1,N6,N4の各々の画像が配置される領域を特定可能な情報(例えば撮像画像内の各画像のXY座標など)は、予めHDD93に記憶されている。次に、CPU91は、撮像画像のうち特定した対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換する。本実施形態では、対象領域以外の画素を黒色の画素(例えばカラー画像の画素であればRGB階調値が(0,0,0)の画素、グレースケール画像の画素であれば階調値が(0)の画素)に置換する。例えば、今回処理する撮像画像が図8の上段の撮像画像であった場合、CPU91はこの撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像の全体を対象領域とし、それ以外の画素を黒色の画素に置換して、撮像画像を図8の下段に示す画像に変更する。なお、黒色に限らず同じ色の画素に置換すればよく、例えば白色の画素に置換したり、グレー(階調の中間値)の画素に置換したりしてもよい。そして、CPU91は、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成して、HDD93に記憶する。本実施形態では、圧縮形式はJPEGとした。JPEGでは同じ色の画素が連続していると圧縮率が高まる。そのため、上記のように生成された圧縮後画像は、対象領域以外の部分が同じ色の画素に置換された画像を圧縮したものであるから、置換を行わずに画像を圧縮した場合と比べて圧縮率が向上しており、データ量が小さくなる。なお、圧縮形式はJPEGに限らず、対象領域以外を同じ色の画素に置換することで圧縮率が高まるような圧縮形式であればよい。例えば圧縮形式はPNG又はGIFとしてもよい。ここで、上述したように、交換後撮像処理はノズル交換が行われた後のノズル44を直後位置で撮像する処理であるから、撮像画像のうち直前位置(ノズル位置N1,N4)の画像は不要である。そのため、直前位置(ノズル位置N1,N4)の画像を対象領域に含めず同じ色の画素に置換することで、必要な領域(対象領域)の画像を残しつつ、圧縮率を向上させて画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくしている。
【0037】
次に、CPU91は、圧縮後画像に基づいてS140のノズル異常判定処理を行う。ノズル異常判定処理では、CPU91は、例えば圧縮後画像に基づいてノズル位置N3,N6の各々の画像中のノズル44の先端の位置やノズル44の太さなどのノズル44の形状に関する情報を取得する。そして、CPU91は、取得した情報に基づいてノズル位置N3,N6の各々に正しいノズル44が存在するか否かによって、ノズル異常の有無を判定する。
【0038】
S140でノズル位置N3,N6のいずれにもノズル44の異常がないと判定すると、CPU91は、S150では全てのノズル44についてノズル44の交換及びノズル異常判定処理が終了していないと判定して、S160以降の処理を実行する。すなわち、CPU91は、S160及びS120~S140を繰り返し行う。そして、CPU91は、S150で全てのノズル44についてノズル44の交換及びノズル異常判定処理が終了したと判定すると、ノズル交換関連処理を終了して部品採取関連処理(S210~S270)を開始する。なお、本実施形態では、ノズル交換関連処理を開始してから1回目のS120ではノズル交換処理のみが行われ、2~6回目のS120ではノズル交換処理及び交換後撮像処理が行われ、7回目のS120では交換後撮像処理のみが行われて、全てのノズル44についてノズル44の交換と交換後撮像処理とが終了することになる。このようにノズル交換関連処理が実行されることで、ノズル44A~44Lの各々が適切なノズル44に交換されると共に、交換後のノズル44A~44LについてS130で生成された圧縮後画像(ここでは6つの圧縮後画像)のファイルがHDD93に記憶される。
【0039】
なお、CPU91は、S140でノズル位置N3,N6のいずれかにノズル44の異常があると判定すると、異常があると判定したノズル44を正しいノズル44に交換する処理を含むノズル異常時処理を行う(S170)。ノズル異常時処理では、CPU91は、例えば、ノズル44の異常があると判定されたノズル44が作業位置に位置するようノズル44を公転させる。そして、CPU91は、そのノズル44に対して上述したノズル交換処理、保持体公転処理、交換後撮像処理、圧縮後画像生成処理、ノズル異常判定処理、をこの順にもう一度行う。そして、ノズル44の異常がないと判定した場合は、S150以降の処理を実行する。なお、ノズル異常時処理を行ってもノズル44の異常があると判定された場合には、CPU91は、ノズル交換異常が発生した旨の情報を管理装置100に報知して本ルーチンを終了してもよい。このノズル異常時処理では、S140で異常があると判定されたノズル44のみが処理対象となる。そのため、図5に示すように、対応関係情報93aでは「ノズル異常時」の撮像タイミングに対して、対象領域として「ノズル位置N3,N6のうち異常ノズルのみ」,対象範囲として「全体」が対応付けられている。そのため、CPU91は、例えばS140でノズル位置N3のノズル44のみが異常と判定した場合に行われるノズル異常時処理中の圧縮後画像生成処理では、上述したS130とは異なり、ノズル位置N3の画像の全体のみを対象領域とする。したがって、CPU91は、撮像画像のうちノズル位置N1,N4の画像だけでなくノズル位置N6の画像も黒色の画素に置換した圧縮後画像を生成して、HDD93に記憶する。
【0040】
部品採取関連処理(S210~S270)について説明する。部品採取関連処理は、ノズル44A~44Lの各々に対して部品Pの採取及び保持を行わせるための処理であり、上述したノズル交換関連処理と同様に、作業位置での作業(ここでは部品Pの採取)と直後位置での撮像とが並列的に行われる。部品採取関連処理では、CPU91は、まず、XYロボット30を制御して部品供給装置20の部品供給位置上にノズル44を移動させる(S210)。CPU91は、図3に示すように、作業位置(ノズル位置N2,N5)に位置するノズル44が部品供給位置にある部品Pの直上に位置するように、XYロボット30を制御して実装ヘッド40を移動させる。続いて、CPU91は、部品採取処理と、採取後撮像処理と、を並列的に行う(S220)。部品採取処理では、CPU91は、作業位置に位置するノズル44を下降させ、ノズル44の先端面の吸引口に負圧を作用させて、部品供給装置20の部品供給位置にある部品Pを先端面に吸着させ、その後にノズル44を上昇させる。CPU91は、ノズル位置N2のノズル44での部品Pの採取と、ノズル位置N5のノズル44での部品Pの採取とを同時に行ってもよいし、順番に行ってもよい。採取後撮像処理では、CPU91は、前回のS220で部品採取処理が行われた後のノズル44及び部品Pを直後位置(ノズル位置N3,N6)において撮像するよう側面カメラ80を制御する。次に、CPU91は、採取後撮像処理で取得された画像に基づいて圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行い(S230)、圧縮後画像に基づいて採取後の部品Pの異常の有無を判定する採取異常判定処理を行う(S240)。S240で異常がない場合、CPU91は、全てのノズル44における部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したか否かを判定し(S250)、終了していないときにはノズル44の1ピッチ分だけノズル44を公転させる保持体公転処理を行って(S260)、S220以降の処理を実行する。そして、CPU91は、S250で全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したと判定すると、部品採取関連処理を終了する。このように部品採取関連処理が行われることによって、部品採取関連処理を開始してから1回目のS220では部品採取処理のみが行われ、2~6回目のS220では部品採取処理及び採取後撮像処理が行われ、7回目のS220では採取後撮像処理のみが行われて、全てのノズル44について部品Pの採取と採取後撮像処理とが終了することになる。
【0041】
この部品採取関連処理におけるS230の圧縮後画像生成処理では、CPU91は、対応関係情報93aを参照して、部品採取後の撮像タイミングに対応する対象領域、すなわち撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像のノズル44の先端周辺を対象領域として特定する。画像中の対象領域(ノズル44の先端周辺)の位置及び大きさは予め定められていてもよいが、本実施形態では、撮像画像中の各画素の情報に基づいてCPU91が対象領域を特定する。例えば、CPU91は、まず、撮像画像中の画素の特徴点(例えば画素の輝度値のエッジ部分)を検出することにより画像中のノズル44の輪郭及び部品Pの輪郭を検出して、ノズル44の先端(ノズル44と部品Pとの境界)を特定する。次に、CPU91は、特定したノズル44の先端と生産プログラムに含まれる部品Pの高さ(厚さ)に関する情報とに基づいて、ノズル44の先端と部品P全体とを含むような大きさ及び位置の領域として、画像中の対象領域を設定する。そして、CPU91は、S130と同様に、対象領域以外の画素を黒色の画素に置換した圧縮後画像を生成してHDD93に記憶する。例えば、今回処理する撮像画像が図9の上段の撮像画像であった場合、CPU91はこの撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像に基づいて各々の画像中のノズル44の先端周辺の領域A3,A6を特定し、この領域A3,A6を対象領域に設定する。そして、CPU91は領域A3,A6以外の画素を黒色の画素に置換することで撮像画像を図9の下段に示す画像に変更してから、変更後の画像を圧縮した圧縮後画像を生成する。
【0042】
部品採取関連処理におけるS240の採取異常判定処理では、CPU91は、圧縮後画像に基づいてノズル位置N3,N6の各々の画像中の対象領域内の部品Pの異常の有無を判定する。例えば、CPU91は、圧縮後画像に基づいて部品Pの位置(例えば部品Pの下端位置)を認識し、認識された位置が生産プログラムに含まれる部品Pの形状に関する情報(例えば部品Pの厚さ)に基づく許容範囲内の位置であるか否かを判定し、許容範囲内であれば採取異常はないと判定する。これにより、CPU91は、例えば部品Pがそもそもノズル44に保持されていない場合や、正しい部品Pとは異なる種類の部品Pが誤って保持されている場合などには、採取異常があると判定することができる。
【0043】
このように、S240の採取異常判定処理では、部品採取処理でノズル44に採取及び保持された部品Pに関する異常判定を行うから、S220の採取後撮像処理で取得される撮像画像のうち直後位置のノズル44の先端周辺の画像(採取された部品Pを含むはずの画像)があればよい。そのため、S230の圧縮後画像生成処理では直後位置(ノズル位置N3,N6)のうち特にノズル44の先端周辺の領域を対象領域としてそれ以外の領域を同じ色の画素に置換することで、必要な領域(対象領域)の画像を残しつつ、圧縮率を向上させて画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくしている。
【0044】
なお、CPU91は、S240でノズル位置N3,N6のいずれかのノズル44に採取異常があると判定すると、異常があると判定したノズル44に正しい部品Pを採取させる処理を含む採取異常時処理を行う(S270)。採取異常時処理では、CPU91は、例えば、採取異常があると判定されたノズル44が作業位置に位置するようノズル44を公転させる。そして、CPU91は、そのノズル44に対して上述した部品採取処理、保持体公転処理、採取後撮像処理、圧縮後画像生成処理、採取異常判定処理、をこの順にもう一度行う。そして、採取異常がないと判定した場合は、S250以降の処理を実行する。なお、採取異常時処理を行っても採取異常があると判定された場合には、CPU91は、採取異常が発生した旨の情報を管理装置100に報知して本ルーチンを終了してもよい。また、CPU91は、S240でノズル位置N3,N6の少なくともいずれかのノズル44に正しい部品Pとは異なる種類の部品Pが誤って保持されていると判定した場合には、そのノズル44について後述する廃棄関連処理を行ってノズル44に保持された部品Pを廃棄してからS270の採取異常時処理を行ってもよい。S270の採取異常時処理では、S240で異常があると判定されたノズル44のみが処理対象となる。そのため、図5に示すように、対応関係情報93aでは「採取異常時」の撮像タイミングに対して、対象領域として「ノズル位置N3,N6のうち異常ノズルのみ」,対象範囲として「ノズル先端周辺」が対応付けられている。したがって、CPU91は、例えばS240でノズル位置N3のノズル44のみが異常と判定した場合に行われる採取異常時処理中の圧縮後画像生成処理では、上述したS230とは異なり、ノズル位置N3の画像のノズル44の先端周辺の領域(図9上段の例では領域A3)のみを対象領域とする。
【0045】
S250で全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したと判定すると、CPU91は、実装ヘッド40をパーツカメラ28の上方に移動し各ノズル44に吸着された部品Pをパーツカメラ28で下方から撮像する(S300)。そして、パーツカメラ28が撮像した撮像画像に基づいて部品Pの姿勢を認識し、部品Pの各々の姿勢に異常があるか否かを判定する部品異常判定処理を行う(S305)。S305で複数のノズル44に保持された部品Pのうち1以上の姿勢に異常があると判定した場合は、CPU91は、異常がある部品Pを廃棄するための廃棄関連処理(S310~S380)を行う。
【0046】
廃棄関連処理では、CPU91は、まず、図示しない廃棄位置に実装ヘッド40を移動させる(S310)。続いて、CPU91は、廃棄対象の部品Pを保持しているノズル44を直前位置(ノズル位置N1,N4のいずれか)に移動させて、その部品Pを撮像するよう側面カメラ80を制御する廃棄前撮像処理を行い(S320)、撮像された画像に基づいて圧縮後画像を生成してHDD93に記憶する圧縮後画像生成処理を行う(S330)。次に、CPU91は、廃棄対象の部品Pを保持しているノズル44を作業位置に移動させノズル44による部品Pの保持を解除して部品Pを廃棄する廃棄処理を行う(S340)。その後、CPU91は、廃棄対象の部品Pを保持していたノズル44を直後位置(ノズル位置N3,N6のいずれか)に移動させて、廃棄処理後のノズル44を撮像するよう側面カメラ80を制御する廃棄後撮像処理を行い(S350)、撮像された画像に基づいて圧縮後画像を生成してHDD93に記憶する圧縮後画像生成処理を行う(S360)。そして、CPU91は、S330及びS360で生成した廃棄前の圧縮後画像及び廃棄後の圧縮後画像に基づいて、廃棄異常の有無(廃棄が正常に行われたか否か)を判定する廃棄異常判定処理を行い(S370)、廃棄異常がなければ廃棄関連処理を終了する。なお、廃棄対象の部品Pが複数存在する場合には、廃棄関連処理を複数回繰り返してもよい。
【0047】
この廃棄関連処理では、廃棄対象の部品Pを保持しているノズル44のみが処理対象となる。そのため、図5に示すように、対応関係情報93aでは「部品廃棄前」の撮像タイミングに対して、対象領域として「直前位置(ノズル位置N1,N4)のうち廃棄対象ノズルのみ」,対象範囲として「ノズル先端周辺」が対応付けられている。また、「部品廃棄後」の撮像タイミングに対して、対象領域として「直後位置(ノズル位置N3,N6)のうち廃棄対象ノズルのみ」,対象範囲として「ノズル先端周辺」が対応付けられている。そのため、CPU91は、S330及びS360の圧縮後画像生成処理では、これらの対応関係情報93aに基づいて、廃棄対象ノズルのノズル44の先端周辺を対象領域として特定して、対象領域以外の画素を黒色に置換して圧縮後画像を生成する。例えば、ノズル44Aが廃棄対象ノズルであった場合は、CPU91は、S330では撮像画像のうちノズル44Aが存在する直前位置(ノズル位置N1又はノズル位置N4)の画像のノズル44(ノズル44A)の先端周辺を対象領域として特定し、S360では撮像画像のうちノズル44Aが存在する直後位置(ノズル位置N3又はノズル位置N6)の画像のノズル44(ノズル44A)の先端周辺を対象領域として特定する。CPU91は、S330における画像中のノズル44の先端周辺の対象領域の特定を、S230と同様に、画像に基づいて特定したノズル44の先端と、生産プログラムに含まれる部品P(廃棄対象のノズル44が本来保持しているべき正しい部品P)の高さに関する情報と、に基づいて行ってもよい。あるいは、CPU91は、撮像画像中の画素の特徴点(例えば画素の輝度値のエッジ部分)を検出することにより画像中のノズル44の輪郭及び部品Pの輪郭を検出して、画像中の部品P全体(及びノズル44の先端)を含むような領域として対象領域を特定してもよい。また、CPU91は、S360における画像中のノズル44の先端周辺の対象領域を、S330の対象領域と同じ領域を含むように設定することが好ましい。例えば、CPU91は、S360において画像中のノズル44の先端の位置を特定し、この先端の位置を基準として、S330で特定した対象領域と同じ位置及び大きさの領域を、S360における対象領域として特定してもよい。これにより、廃棄前の画像と廃棄後の画像とでノズル44の先端の位置を基準として同じ位置及び大きさの対象領域を設定することができる。そのため、廃棄異常判定処理における廃棄前後の圧縮後画像を用いた異常の判定が行いやすくなる。
【0048】
S370の廃棄異常判定処理では、CPU91は、S330で生成された廃棄前の様子を含む圧縮後画像と、S360で生成された廃棄後の様子を含む圧縮後画像とに基づいて、部品Pの廃棄が正常に行われたか否かを判定する。例えば、CPU91は、廃棄前後の圧縮後画像の各画素の値の差に基づいて、廃棄前に対象領域内に存在していた部品Pが廃棄後に存在しなくなっている場合には、廃棄が正常に行われており廃棄異常がないと判定する。一方、CPU91は、廃棄後も部品Pが存在している場合には、廃棄異常があると判定して、廃棄異常が発生した旨の情報を管理装置100に報知するエラー発生時処理を行って(S380)、本ルーチンを終了する。
【0049】
S370で廃棄異常がないと判定した場合は、CPU91は、廃棄対象のノズル44に正しい部品Pを採取させる廃棄後採取処理を行う(S400)。本実施形態では、廃棄後採取処理は、廃棄対象のノズル44について上述したS270の採取異常時処理と同じ処理を行う。これにより、廃棄対象のノズル44に正しい部品Pが採取及び保持される。また、この廃棄後採取処理において生成された圧縮後画像もHDD93に記憶される。
【0050】
S305で複数のノズル44に保持された部品Pのいずれの姿勢にも異常がないと判定した場合、又はS400の廃棄後採取処理のあと、CPU91は、ノズル44A~44Lの各々に保持された部品Pを基板12に実装するための実装関連処理(S420~S470)を行う。
【0051】
実装関連処理では、CPU91は、まず、実装前撮像処理,部品実装処理,及び実装後撮像処理を並列的に行う(S420)。実装前撮像処理では、CPU91は、部品Pを実装する前の部品Pを保持した状態のノズル44を直前位置(ノズル位置N1,N4)において撮像するよう側面カメラ80を制御する。部品実装処理は、前回のS420で実装前撮像処理が行われ且つ作業位置(ノズル位置N2,N5)に位置するノズル44に対して行われる。部品実装処理では、CPU91は、作業位置のノズル44が基板12上の部品Pの実装位置の真上に位置するように実装ヘッド40を移動させ、ノズル44を下降させて部品Pの保持を解除して部品Pを基板12上に実装(装着)し、ノズル44を上昇させる。CPU91は、ノズル位置N2のノズル44に保持された部品Pの実装と、ノズル位置N5のノズル44に保持された部品Pの実装とを同時に行ってもよいし、順番に行ってもよい。実装後撮像処理では、CPU91は、前回のS420で部品実装処理が行われた後のノズル44を直後位置(ノズル位置N3,N6)において撮像するよう側面カメラ80を制御する。なお、上述したように側面カメラ80はノズル位置N1,N3,N4,N6を同時に撮像するため、側面カメラ80はS420の実装前撮像処理と実装後撮像処理とを1回の撮像で同時に行って1つの撮像画像を取得することができる。次に、CPU91は、実装前撮像処理及び実装後撮像処理で取得された画像に基づいて圧縮後画像を生成してHDD93に記憶する圧縮後画像生成処理を行い(S430)、圧縮後画像に基づいて実装時の異常の有無を判定する実装異常判定処理を行う(S440)。S440で異常がない場合、CPU91は、全てのノズル44における部品実装処理及び実装異常判定処理が終了したか否かを判定し(S450)、終了していないときにはノズル44の1ピッチ分だけノズル44を公転させる保持体公転処理を行って(S460)、S420以降の処理を実行する。そして、CPU91は、S450で全てのノズル44について部品実装処理及び実装異常判定処理が終了したと判定すると、実装関連処理を終了する。このように実装関連処理が行われることによって、実装関連処理を開始してから1回目のS420では実装前撮像処理のみが行われ、2回目のS420では実装前撮像処理及び部品実装処理が行われ、3~6回目のS420では実装前撮像処理,部品実装処理,及び実装後撮像処理が行われ、7回目のS420では部品実装処理及び実装後撮像処理が行われ、8回目のS420では実装後撮像処理のみが行われる。これにより、複数のノズル44の各々に対して実装前撮像処理,部品実装処理,実装後撮像処理,及び実装異常判定処理がこの順に行われる。
【0052】
この実装関連処理におけるS430の圧縮後画像生成処理では、CPU91は、対応関係情報93aを参照して、部品実装前と部品実装後との少なくとも一方の撮像タイミングに対応する対象領域を特定し、S420における撮像画像のうち対象領域外の画素を黒色に置換して圧縮後画像を生成する。例えば、実装関連処理を開始してから1,2回目のS420では、実装前撮像処理が行われ実装後撮像処理は行われないから、1,2回目のS430では、部品実装前の撮像タイミングに対応する対象領域、すなわち撮像画像のうちノズル位置N1,N4の画像のノズル44の先端周辺を対象領域として特定する。実装関連処理を開始してから3~6回目のS420では、実装前撮像処理と実装後撮像処理とが共に行われるから、3~6回目のS430では、対応関係情報93aにおいて部品実装前及び部品実装後の撮像タイミングに対応づけられた対象領域、すなわち撮像画像のうちノズル位置N1,N4,N3,N6の画像のノズル44の先端周辺を対象領域として特定する。実装関連処理を開始してから7,8回目のS420では、実装前撮像処理は行われず実装後撮像処理が行われるから、7,8回目のS430では、部品実装後の撮像タイミングに対応する対象領域、すなわち撮像画像のうちノズル位置N3,N6の画像のノズル44の先端周辺を対象領域として特定する。
【0053】
部品実装前の撮像タイミングに対応する対象領域(ここではノズル位置N1,N4の画像のノズル44の先端周辺)は、ノズル44の先端及びノズル44に保持された部品Pを含む領域として特定されることが好ましい。この対象領域の特定は、上述したS230又はS330の圧縮後画像作成処理と同様にして行うことができる。部品実装後の撮像タイミングに対応する対象領域(ここではノズル位置N3,N6の画像のノズル44の先端周辺)の特定は、例えばS360の圧縮後画像作成処理と同様にして行うことができる。CPU91は、部品実装後の撮像タイミングに対応する対象領域を、その対象領域に含まれるノズル44と同じノズル44について部品実装前の撮像タイミングの画像で設定された対象領域と同じ領域を含むように設定することが好ましい。例えば、1回目のS420でノズル44Aがノズル位置N1に位置しておりノズル44Aを含む画像が撮像された場合、1回目のS430では、部品実装前の撮像タイミングに対応する対象領域として、ノズル位置N1に位置するノズル44Aの先端周辺の領域が特定される。そして、3回目のS420では、ノズル44Aがノズル位置N3に位置してノズル44Aを含む画像が撮像される。この場合、CPU91は、3回目のS430において、3回目のS420で撮像された画像に基づいてノズル位置N3の画像中のノズル44(ノズル44A)の先端の位置を特定し、この先端の位置を基準として、1回目のS430のノズル位置N1の画像で特定した対象領域と同じ位置及び大きさの領域を、3回目のS430におけるノズル位置N3の画像中の対象領域として特定する。こうすることで、同じノズル44(例えばノズル44A)に関して、部品実装前の画像と部品実装後の画像とでノズル44Aの先端の位置を基準として同じ位置及び大きさの対象領域を設定することができる。そのため、実装異常判定処理における実装前後の圧縮後画像の比較がしやすくなり、異常の判定が行いやすくなる。
【0054】
S440の実装異常判定処理では、CPU91は、S430で生成された部品実装後のノズル44の様子を含む圧縮後画像と、同じノズル44についてS430で生成された部品実装前のノズル44の様子を含む圧縮後画像とに基づいて、そのノズル44に保持されていた部品Pの実装が正常に行われたか否かを判定する。例えば、1回目のS420でノズル44A,44Gがノズル位置N1,N4に位置しており3回目のS420でノズル44A,44Gがノズル位置N3,N6に位置していた場合を考える。この場合、CPU91は、3回目のS440において、3回目のS430で生成された圧縮後画像におけるノズル位置N3の画像(すなわちノズル44Aの部品実装後の画像)と、1回目のS430で生成された圧縮後画像におけるノズル位置N1の画像(すなわちノズル44Aの部品実装前の画像)と、に基づいて、ノズル44Aに保持された部品Pの実装が正常に行われたか否かを判定する。例えば、CPU91は、実装前後の圧縮後画像の各画素の値の差に基づいて、実装前に対象領域内に存在していたノズル44Aに保持された部品Pが実装後に存在しなくなっている場合には、実装が正常に行われており実装異常がないと判定する。一方、CPU91は、実装後も部品Pが存在している場合には、実装時の部品Pの持ち帰りが生じており実装異常があると判定する。同様に、CPU91は、3回目のS440において、3回目のS430で生成された圧縮後画像におけるノズル位置N6の画像(すなわちノズル44Gの部品実装後の画像)と、1回目のS430で生成された圧縮後画像におけるノズル位置N4の画像(すなわちノズル44Gの部品実装前の画像)と、に基づいて、ノズル44Gに保持された部品Pの実装が正常に行われたか否かを判定する。
【0055】
なお、上記のように本実施形態では、部品実装後のノズル44の様子を含む圧縮後画像が生成されたS430の2回前に実行されたS430において、同じノズル44の部品実装前の圧縮後画像が生成される。そのため、1,2回目のS440では、部品実装前の圧縮後画像と部品実装後の圧縮後画像とが共に生成されたノズル44はまだ存在しないから、CPU91は、1,2回目のS440では圧縮後画像に基づく判定は省略して実装異常がないと判定する。3回目以降のS440では、CPU91は上述したように部品実装前後のノズル44の圧縮後画像を用いて実装異常の有無を判定する。
【0056】
S440において異常を判定したノズル44(ノズル位置N3,N6に位置するノズル44)の少なくともいずれかに実装異常(ここでは部品Pの持ち帰り)があると判定した場合は、CPU91は、上述した廃棄関連処理(S310~S380)と同じ処理を行って持ち帰りの生じた部品Pを廃棄し(S470)、S450以降の処理を実行する。
【0057】
S450で全てのノズル44について部品実装処理及び実装異常判定処理が終了したと判定すると、CPU91は、実装処理ルーチンでこれまで実行した圧縮後画像生成処理(S130,S230,S330,S360,S430)で作成した複数の圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成処理と、生成した集合ファイルを管理装置100に送信する集合ファイル送信処理と、を行う(S500)。本実施形態では、S130,S230の圧縮後画像生成処理がそれぞれ6回,S430の圧縮後画像生成処理が8回行われて、計20個の圧縮後画像がHDD93に記憶される。また、S170のノズル異常時処理,S270の採取異常時処理,S310~S380の廃棄関連処理,S470の廃棄関連処理などが行われる場合には、さらに多くの圧縮後画像がHDD93に記憶される。集合ファイル生成処理において、CPU91は、これらの複数の圧縮後画像を組み合わせて、複数の圧縮後画像を並べて配置(例えば撮像順に左上から右下に向かって並べるなど)して1つの画像とした画像ファイルとして、集合ファイルを生成する。集合ファイルは、圧縮後画像と同様に所定の圧縮形式で圧縮された画像ファイルであり、本実施形態ではJPEG形式のファイルとした。これにより、HDD93には複数の圧縮後画像の代わりに1つの集合ファイルが記憶される。集合ファイル送信処理では、CPU91は、作成した集合ファイルを管理装置100に送信する。これにより、管理装置100のHDD103に集合ファイルが記憶される。CPU91は、集合ファイル送信処理の後にHDD93から集合ファイルを削除してもよい。なお、CPU91は、集合ファイル生成処理において、集合ファイル中の複数の圧縮後画像の各々を識別できるような識別情報を集合ファイルに付加してもよい。例えば、集合ファイル中の複数の圧縮後画像の各々の領域(画像)内に、識別情報を画像として貼り付けてもよい。識別情報としては、例えば撮像日時,撮像タイミング,何枚目の撮像画像かを示す撮像番号,及び対象領域がいずれのノズル位置であるかを表す位置情報などが挙げられ、識別情報にはこれらのうち1以上が含まれていてもよい。
【0058】
S500で集合ファイルの生成及び送信を行うと、CPU91は、現基板12の実装処理が完了したか否かを判定し(S510)、完了していないときには、S110以降の処理を実行する。すなわち、CPU91は、必要に応じてノズル交換関連処理を行ったあと、部品採取関連処理や実装関連処理などを行って部品Pを基板12に実装していく。一方、S510で現基板12の実装処理が完了したときには、CPU91は、実装完了した基板12を基板搬送装置25に排出させて(S520)、本ルーチンを終了する。CPU91は、次に実装処理を行うべき基板12が存在する場合は、再び実装処理ルーチンをS100から実行する。
【0059】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装装置10が本開示の実装装置及び画像処理装置に相当し、実装ヘッド40が実装ヘッドに相当し、側面カメラ80が撮像部に相当し、図6及び図7に示した実装処理ルーチンのS130,S230,S330,S360,S430の処理を実行する制御装置90が画像処理部に相当する。また、図7に示した実装処理ルーチンのS500の処理を実行する制御装置90が集合ファイル生成部に相当する。
【0060】
以上詳述した実装装置10では、側面カメラ80が、複数のノズル44(44A~44L)のうちの2以上(ここではノズル位置N1,N3,N4,N6に位置する4個のノズル44)を含む撮像画像(例えば図8上段及び図9上段の画像)を撮像する。そして、制御装置90は、撮像画像のうち少なくとも1つのノズル44の先端周辺を含む領域を対象領域として、撮像画像のうち対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像(例えば図8下段及び図9下段の画像)を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う。こうして生成された圧縮後画像は、撮像画像のうち対象領域以外の部分が同じ色の画素に置換された画像を圧縮したものであるからから、置換を行わずに画像を圧縮した場合と比べて圧縮率が向上している。したがって、この実装装置10では、画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。これにより、例えばHDD93中の画像データの記憶に用いられる領域を小さくすることもできる。
【0061】
また、制御装置90は、圧縮後画像生成処理において、撮像画像の撮像タイミングと、撮像タイミングと対象領域との所定の対応関係(ここでは対応関係情報93a)と、に基づいて、撮像画像中の対象領域を特定する。これにより、撮像タイミングに基づいて制御装置90が適切に対象領域を特定できる。
【0062】
さらに、制御装置90は、複数の撮像画像の各々について圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成処理を行う。これにより、複数の圧縮後画像が1つの集合ファイルにまとめられるため、複数の圧縮後画像をそのまま別々のファイルとしておく場合と比べてファイル数を削減することができる。また、本実施形態では複数の圧縮後画像を並べて1つの画像ファイルの形式で集合ファイルを生成するため、ファイルのヘッダー情報を削減することもできる。例えば、複数の圧縮後画像をそのまま別々のファイルとしておく場合は、これらのファイルの各々についてヘッダー情報が存在することになる。これに対し本実施形態では1つの集合ファイルのヘッダー情報のみが存在することになり、ヘッダー情報のデータ量を削減することができる。これによっても、画像データのデータ量を小さくすることができる。
【0063】
さらにまた、制御装置90は、生成した集合ファイルを管理装置100に送信する集合ファイル送信処理を行う。ここで、上述したとおり実装システム1には複数の実装装置10が含まれており、複数の実装装置10の各々から送信された多数の集合ファイルが管理装置100のHDD103に記憶されていく。このような場合でも、集合ファイル中の画像が上述したように撮像画像中の対象領域以外の画素を同じ色に置換することで圧縮率が向上してデータ量が削減されているから、HDD103中の画像データ(集合ファイル)の記憶に用いられる領域を小さくすることができる。また、データ量が削減されていることにより画像データがHDD103の記憶容量を圧迫しにくいから、多数の画像データを長期間保存(記憶)しやすくなる。そのため、例えば実装装置10で生じた異常の解析に過去の画像データを利用しやすくなり、異常の原因究明や解決がしやすくなる。さらに、実装装置10は複数の圧縮後画像を別々の画像データとして管理装置100に送信せず1つの集合ファイルにまとめてから管理装置100に送信するため、HDD103に記憶される画像データのファイル数を少なくすることができる。これにより、HDD103の断片化を抑制できる。実装装置10のHDD93においても同様の効果が得られるが、HDD103には複数の実装装置10から画像データが送信されるため、HDD103に記憶される画像データに関して、データ量を削減したりファイル数を削減したりする意義が高い。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、CPU91は、圧縮後画像生成処理において、撮像画像のうち対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成したが、他の手法で圧縮後画像を生成してもよい。図10は、変形例の圧縮後画像生成処理の一例を示す説明図である。図10は、図8と同様にノズル位置N3,N6の画像の全体が対象領域である場合の例である。CPU91は、今回処理する撮像画像が図10の上段の撮像画像であった場合、この撮像画像のうち対象領域すなわちノズル位置N3,N6の画像の全体を切り出して並べることで、撮像画像を図10の下段に示す新たな画像を生成し、その画像を圧縮した圧縮後画像を生成する。このように圧縮後画像生成処理を行う場合も、新たな画像は切り出す前の画像と比べて画素数が少なくなるから、切り出しを行わずに撮像画像をそのまま圧縮した場合と比べて画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。なお、CPU91は、図10の下段のように新たな画像を生成した場合には、図10の上段の撮像画像のデータは削除してもよい。
【0066】
上述した実施形態では、CPU91は、S500の集合ファイル生成処理において、複数の圧縮後画像を組み合わせて1つの画像ファイルを集合ファイルとして生成したが、これに限られない。例えば、CPU91は、複数の圧縮後画像を1つの画像にはせずに複数の圧縮後画像としての状態を保ったまま1つのファイルとしてまとめたものを集合ファイルとして生成してもよい。例えば、CPU91は、複数の圧縮後画像を1つのファイルにまとめたMNG形式の集合ファイルを生成してもよい。この場合、上述した実施形態の集合ファイルのようにヘッダー情報のデータ量を削減することはできないが、ファイル数を削減することはできる。
【0067】
上述した実施形態では、CPU91は、S500において、実装処理ルーチンでこれまで実行した圧縮後画像生成処理(S130,S230,S330,S360,S430)で作成した複数の圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成したが、集合ファイルを生成するタイミングや1つの集合ファイルに含める圧縮後画像のまとまりの単位は、適宜変更することができる。例えば、CPU91は、ノズル交換関連処理,部品採取関連処理,廃棄関連処理,及び実装関連処理の各々について、各処理の終了時に各処理中に生成された圧縮後画像をそれぞれ1つの集合ファイルにまとめてもよい。CPU91は、ノズル交換後や部品廃棄前などの撮像タイミングが互いに同じである複数の圧縮後画像を1つの集合ファイルにまとめてもよい。CPU91は、1つの基板12に対する処理中に生成された複数の圧縮後画像を1つの集合ファイルにまとめてもよい。例えば、CPU91は、S510で現基板12の実装処理が完了したと判定した場合に、実装処理ルーチンでこれまで作成された複数の圧縮後画像を1つの集合ファイルにまとめてもよい。また、CPU91が集合ファイルを管理装置100に送信するタイミングも、上述した実施形態に限られない。例えばCPU91は複数の集合ファイルが生成された後でそれらをまとめて管理装置100に送信してもよい。また、CPU91は集合ファイルを管理装置100に送信せずHDD93に記憶し続けてもよい。
【0068】
上述した実施形態では、CPU91はS500で集合ファイルを生成して管理装置100に送信したが、集合ファイルを生成せず複数の圧縮後画像のままで管理装置100に送信したり、送信せず複数の圧縮後画像をHDD93に記憶し続けたりしてもよい。この場合も、圧縮後画像は上述したようにデータ量が小さくなっているから、HDD93やHDD103における画像データの記憶に用いられる領域を小さくする効果は得られる。
【0069】
上述した実施形態では、CPU91は対応関係情報93aに基づいて対象領域を特定したが、対応関係情報93aは図5に示した例に限られない。対象領域は、撮像画像のうち必要とされる領域(例えばS120の交換後撮像処理で撮像された画像であればS140のノズル異常判定処理における異常判定に用いられる領域)を含むように設定されればよい。例えば、部品採取後の撮像タイミングに対応付けられた対象範囲はノズル先端周辺に限らず対象ノズル位置の全体としてもよい。また、ノズル異常時の撮像タイミングに対応付けられた対象ノズル位置は、異常ノズルのみとせず常にノズル位置N3,N6の両方としてもよい。
【0070】
上述した実施形態では、ノズル44の位置として作業位置が2箇所存在し、側面カメラ80の撮像位置が4箇所(直前位置及び直後位置)存在したが、これに限らず作業位置は1以上存在すればよい。また、撮像位置も2以上存在すればよい。
【0071】
上述した実施形態では、12個のノズル44が等間隔で円周上に配設されていたが、ノズル44の数は12個に限定されるものではなく、例えば8個,20個,又は24個などとしてもよい。また、ノズル44の数は偶数としてもよく、奇数としてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、側面カメラ80は図8上段のようにノズル位置N3,N1,N6,N4に位置する物体が左から右に向かってこの順で配置された1つの撮像画像を撮像したが、これに限られない。例えば、側面カメラ80は、ノズル位置N3,N1,N6,N4に位置する物体がそれぞれ左上,右上,左下,右下に配置された1つの撮像画像を撮像してもよい。側面カメラ80が備える光学系ユニットの光路を変更することで、撮像画像中の物体の位置は適宜変更することができる。
【0073】
上述した実施形態では、実装ヘッド40は負圧を利用して部品Pを吸着するノズル44を備えていたが、ノズル44に限らず部品を保持する保持体を備えていればよい。例えば、実装ヘッド40は、ノズル44に代えて部品Pを把持して保持するメカニカルチャックを備えていてもよい。
【0074】
上述した実施形態では、実装装置10が本開示の実装装置と画像処理装置とを兼ねていたが、これに限られない。例えば、実装装置10とは別の画像処理装置が、実装装置10から撮像画像を取得して、上述した圧縮後画像生成処理や集合ファイル生成処理を行ってもよい。例えば管理装置100が圧縮後画像生成処理や集合ファイル生成処理を行ってもよい。また、圧縮後画像生成処理や集合ファイル生成処理を複数の装置が協働して行ってもよい。例えば実装装置10と管理装置100とが協働してこれらの処理を行う場合、実装装置10及び管理装置100が本開示の画像処理装置に相当する。
【0075】
上述した実施形態では、HDD93やHDD103が圧縮後画像や集合ファイルを記憶したが、HDDに限らず画像を記憶する不揮発性の記憶部がこれらを記憶すればよい。
【0076】
本開示は、以下のように構成してもよい。
【0077】
本開示の第2の実装装置は、
部品を基板に実装する実装装置であって、
先端に前記部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッドと、
複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する撮像部と、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部と、
を備えたものである。
【0078】
この第2の実装装置では、撮像部が、複数の保持体のうちの2以上を含む撮像画像を撮像する。そして、画像処理部は、撮像画像のうち少なくとも1つの保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、撮像画像のうち対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う。こうすれば、新たな画像は切り出す前の画像と比べて画素数が少なくなるから、切り出しを行わずに撮像された画像をそのまま圧縮した場合と比べて画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。
【0079】
本開示の第1の実装装置又は第2の実装装置において、前記画像処理部は、前記圧縮後画像生成処理において、前記撮像画像の撮像タイミングと、該撮像タイミングと前記対象領域との所定の対応関係と、に基づいて、該撮像画像中の前記対象領域を特定してもよい。こうすれば、撮像タイミングに基づいて画像処理部が適切に対象領域を特定できる。ここで、撮像タイミングには、例えば、実装ヘッドが保持体を保持した後、保持体が部品を保持した後、保持体に保持された部品を実装する前、保持体に保持された部品を実装した後、保持体に保持された部品を廃棄する前、保持体に保持された部品を廃棄した後、のうちの1以上のタイミングが含まれていてもよい。撮像タイミングには、撮像順序が含まれていてもよい。また、撮像タイミングと対象領域との対応関係には、撮像タイミングと、撮像画像中の複数の保持体のうち対象領域に含める保持体を特定可能な情報と、の対応関係が含まれていてもよい。
【0080】
本開示の第1の実装装置又は第2の実装装置は、前記画像処理部が複数の前記撮像画像の各々について前記圧縮後画像生成処理を行って生成した複数の前記圧縮後画像を1つのファイルにまとめて集合ファイルを生成する集合ファイル生成部、を備えていてもよい。こうすれば、複数の圧縮後画像が1つの集合ファイルにまとめられるため、複数の圧縮後画像をそのまま別々のファイルとしておく場合と比べてファイル数を削減することができる。ここで、集合ファイルは、複数の圧縮後画像を組み合わせて生成された1つの画像ファイルとしてもよいし、複数の圧縮後画像を1つの画像にはせずに1つのファイルとしてまとめたものとしてもよい。
【0081】
本開示の第1の画像処理装置は、
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域以外の画素を同じ色の画素に置換し、置換後の画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部、
を備えたものである。
【0082】
この第1の画像処理装置では、画像処理部が、上述した本開示の第1の実装装置の画像処理部と同様の処理を行う。したがって、この画像処理装置は、画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。この第1の画像処理装置において、上述した本開示の実装装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した本開示の実装装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【0083】
本開示の第2の画像処理装置は、
先端に部品を保持する保持体を複数備えた実装ヘッド、を備え前記部品を基板に実装する実装装置における、複数の前記保持体のうちの2以上を含む撮像画像の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記撮像画像のうち少なくとも1つの前記保持体の先端周辺を含む領域を対象領域として、該撮像画像のうち該対象領域の画素を切り出して新たな画像とし、該新たな画像を所定の圧縮形式で圧縮した圧縮後画像を生成する圧縮後画像生成処理を行う画像処理部、
を備えたものである。
【0084】
この第2の画像処理装置では、画像処理部が、上述した本開示の第2の実装装置の画像処理部と同様の処理を行う。したがって、この画像処理装置は、画像データ(圧縮後画像)のデータ量を小さくすることができる。この第2の画像処理装置において、上述した本開示の実装装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した本開示の実装装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、部品を基板上に実装する作業を行う各種産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 実装システム、10 実装装置、12 基板、20 部品供給装置、21 リール、22 テープ、24 ノズルストッカ、25 基板搬送装置、26 コンベアベルト、27 支持ピン、28 パーツカメラ、29 マークカメラ、30 XYロボット、31 X軸ガイドレール、32 X軸スライダ、33 Y軸ガイドレール、34 Y軸スライダ、36 X軸モータ、38 Y軸モータ、40 実装ヘッド、41 ヘッド本体、41a 反射体、42 ノズルホルダ、42a 係合片、44,44A~44L ノズル、45 先端面、46 圧力調整弁、50 R軸駆動装置、51 R軸、52 R軸ギヤ、53 ギヤ、54 R軸モータ、55 R軸位置センサ、60 Q軸駆動装置、61 Q軸ギヤ、62 Q軸ギヤ、63,64 ギヤ、65 Q軸モータ、66 Q軸位置センサ、70 Z軸駆動装置、71 Z軸スライダ、71a 挟持部、72 ボールネジ、73 Z軸モータ、74 Z軸位置センサ、80 側面カメラ、82 カメラ本体、84 筐体、86a~86d 第1~第4入射口、87 発光体、88a~88k ミラー、90 制御装置、91 CPU、92 ROM、93 HDD、93a 対応関係情報、94 RAM、95 入出力インタフェース、96 バス、100 管理装置、101 CPU、102 ROM、103 HDD、104 RAM、105 入出力インタフェース、106 バス、107 入力デバイス、108 ディスプレイ、N1~N6 ノズル位置、P 部品。A3,A6 領域。
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