(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】ESD保護素子を有するシリコン基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20250402BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20250402BHJP
H01L 23/60 20060101ALI20250402BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20250402BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250402BHJP
H10D 89/60 20250101ALI20250402BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/14 S
H01L23/56 B
H01L23/12 B
H01L23/12 E
H01L23/00 B
H01L23/00 C
H10D84/80 101A
H10D84/80 102Z
H10D89/60
(21)【出願番号】P 2023528627
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2021081681
(87)【国際公開番号】W WO2022101473
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】102020130194.4
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファイヒティンガー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エントラー, シュテファン
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-277895(JP,A)
【文献】特開2014-53497(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086517(WO,A1)
【文献】特開平8-148652(JP,A)
【文献】特開平11-163277(JP,A)
【文献】特開2013-206986(JP,A)
【文献】特表2019-508884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0296697(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0121425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0089542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035114(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
H01L 23/12―23/14
H01L 23/552
H01L 23/58
H01L 23/60
H10D 84/80
H10D 89/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板(1)であって、第1の表面(11)上の集積回路と、前記第1の表面(11)とは反対側の第2の表面(12)と、第1のビア(3)と、ESD保護素子(2)と、を備え、
前記ESD保護素子(2)は、完全に前記シリコン基板に一体化されており、
前記ESD保護素子(2)は、空間的に前記第1のビア(3)から隔てられており、
前記ESD保護素子(2)は、第1の再配線(4)によって前記ビアに接続されており、
前記ESD保護素子(2)は、サプレッサーダイオード、トランジスタ及びサイリスタを含む群から選択された少なくとも1つの構成要素を含
み、
前記ESD保護素子(2)は、更にEMI保護構造を有し、前記EMI保護構造は、前記ESD保護素子と共に前記シリコン基板内に埋め込まれている、シリコン基板(1)。
【請求項2】
前記ESD保護素子(2)は、システムレベルでのESD保護を保証する、請求項1に記載のシリコン基板(1)。
【請求項3】
前記ESD保護素子は、多数の電子構成要素又は集積回路のためのシステムレベルでの入力信号対出力信号保護を保証する、請求項1又は2に記載のシリコン基板(1)。
【請求項4】
幾つかの電子構成要素又は集積回路は、システムレベルでのESD保護に加えて、それぞれオンチップ構造内に配置された個々のESD保護を有する、請求項2又は3に記載のシリコン基板(1)。
【請求項5】
前記EMI保護構造は、コイル構造、薄膜抵抗、及び/又は、キャパシタンスによって形成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項6】
前記ESD保護素子(2)は、サイリスタと、前記サイリスタの一部ではないダイオード構造との組み合わせから成る、埋め込み構造を有する、請求項1
から5のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項7】
前記ESD保護素子(2)は、前記シリコン基板(1)の前記第1の表面(11)上に形成された第1のパッシベーション層(5)と接触している、請求項1
から6のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの付加的な再配線(7)を備え、
前記付加的な再配線(7)は、前記第1のビア(3)を電気的
にUBM接触パッド(61)に接続し、
前記付加的な再配線(7)は、適合素子を含み、
前記適合素子は、キャパシタンス、インダクタンス又は遅延素子を含む、請求項1
から7のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項9】
第2のビア(31)が、前記第1の表面(11)から前記第2の表面(12)まで前記シリコン基板を貫通し、
前記ESD保護素子(2)は、空間的に前記第2のビア(31)から隔てられており、
前記ESD保護素子(2)は、第2の再配線(41)を介して前記第2のビア(31)に接続されており、
そのように結合された前記ESD保護素子(2)、前記第1のビア(31)、前記第1の再配線(4)、前記第2のビア(31)及び前記第2の再配線(41)は、共にESD回路を形成する、請求項1
から8のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項10】
複数のESD回路を備える、請求項
9に記載のシリコン基板(1)。
【請求項11】
前記第1のビアは、絶縁層(30)によって前記シリコン基板から絶縁されている、請求項1
から10のいずれか1項に記載のシリコン基板(1)。
【請求項12】
前記
電子構成要素又は集積回路は、MEMSマイクロフォンを含む、請求項
3または4に記載のシリコン基板(1)。
【請求項13】
シリコン基板(1)内のESD保護素子(2)を製造するための方法であって、
前記シリコン基板(1)内の前記ESD保護素子(2)の埋め込み構造が、CMOSプロセスによって製造され、
前記ESD保護素子(2)の埋め込み構造は、EMI保護構造を含み、
前記ESD保護素子(2)の前記埋め込み構造は、サプレッサーダイオード、トランジスタ及びサイリスタから成る群から選択された少なくとも1つを備え、
第1のUBM接触パッド(6,61)が、前記シリコン基板(1)の第1の表面(11)上に生成され、
前記シリコン基板(1)の第1の表面(11)と第2の表面(12)との間のビア(3,31)のための開口が、レーザ又は深掘り反応性イオンエッチングによって生成され、
前記開口は、前記ESD保護素子(2)の前記埋め込み構造から空間的に分離されており、
前記開口の内壁は不動態化され、
ビア(3,31)が、不動態化された前記開口を第1の金属で充填することによって生成され、
第2の金属から成る再配線(4,41)が、前記ビア(3,31)と前記ESD保護素子(2)の前記埋め込み構造との間に生成される、方法。
【請求項14】
前記第1の金属はCuであり、
前記ビア(3,31)が、電気的なプロセスによって前記開口を充填することによって生成され、
前記第2の金属はCu又はAlである、請求項
13に記載のシリコン基板(1)内のESD保護素子(2)を製造するための方法。
【請求項15】
前記第1の表面(11)上及び前記第2の表面(12)上にパッシベーション層(5,5’)が生成される、請求項
13又は
14に記載のシリコン基板(1)内のESD保護素子(2)を製造するための方法。
【請求項16】
第1の表面(11)上の集積回路と、前記第1の表面(11)とは反対側の第2の表面(12)と、第1のビア(3)と、ESD保護素子(2)と、を備えるシリコン基板(1)であって、
前記ESD保護素子(2)は、完全に前記シリコン基板に一体化されており、
前記ESD保護素子(2)は、空間的に前記第1のビア(3)から隔てられており、
前記ESD保護素子(2)は、第1の再配線(4)によって前記ビアに接続されており、
前記ESD保護素子(2)は、サプレッサーダイオード、トランジスタ及びサイリスタを含む群から選択された少なくとも1つの構成要素を含み、
前記ESD保護素子(2)は、システムレベルでのESD保護を保証する、シリコン基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ESD保護素子を有するシリコン基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子SIP(「System in a Package」)モジュールにおいて、又は、例えばMEMSマイクロフォン若しくはモバイル用途に適した他のモジュールにおいては、特定用途向け集積回路(「Application Specific Integrated Circuits」;ASIC)が使用される。これらの集積回路は、通常、オンチップESD保護構造(過電圧保護構造)によって保護される。本願において、オンチップESD保護構造は、通常は基板上に実装され得る集積回路のチップの直接的な部分であるESD保護構造を意味すると理解される。このようなオンチップESD保護構造の一例が
図7に示されており、これは、本発明の先行技術を表す。
図7に示されているように、ASIC50は基板1’の上に配置されることができ、当該基板1’自体も回路基板52の上に配置されている。オンチップESD保護構造(2’)は、利用可能なチップ領域又は基板領域の3分の1より多くを占めることができる。これは、現在及び将来の用途が、その横方向のサイズにおいてますます小型化されなければならないという要件に反する。
【0003】
これまでのところ、ESD保護構造が他の構造から明確に分離され、そのサイズの点で基板に柔軟に一体化され得るコンセプトは、知られていない。ESD構造が基板内にある従来のシステムは、その適用の可能性において著しく制限されており、以下に記載されるように、本発明によって克服される様々な欠点を有する。
【0004】
特許文献1には、シリコン基板を貫通するビア(「シリコン貫通ビア」)におけるESD保護としてのダイオード構造が記載される。ダイオードは、ビアの直近におけるシリコン基板の適切なドーピングによって得られる。
【0005】
しかしながら、この直接的な結合は、例えばトランジスタ又はサイリスタをも含み得る、より複雑なESD保護構造が基板内に実装されることを可能としない。
【0006】
特許文献2には、回路基板(「Printed Circuit Board」、PCB)上の中間部品(「Interposer」)内に配置されたESD保護素子の更なる構成が記載されている。ここでは、ESD保護素子が、中間部品の内部のビアを介して接続され得ることが記載されている。
【0007】
特許文献3には、シリコン太陽電池のための単純なESD保護構造が示されており、これは、単純なダイオードシステムをベースとしており、再配線に類似の構造を介して基板内のビアに接続され得る。
【0008】
特許文献4には、この場合トランジスタ及び単純なダイオードをも含み得るESD保護構造が、シリコン基板内の界面の近くに実装され得ることが記載されている。
【0009】
シリコン基板内にビアが実装されると、通常、シリコン基板内に生成される開口部の側壁は、不動態化される。特許文献5には、そのような不動態化が生成され得る可能性が記載されている。
【0010】
特許文献6は、ごく一般的にのみ、過電圧保護構造(ESD保護構造)がセラミック基板、特にバリスタ基板に一体化され得ることを開示している。
【0011】
特許文献7は、ESD保護が統合された積層構造を開示している。
【0012】
特許文献8は、ESD保護素子として、サイリスタを有する集積回路を開示している。
【0013】
特許文献9は、その内部でフィードスルー及びpnダイオードが実装され得る発光素子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第8164113号明細書
【文献】米国特許第9412708号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0048497号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0296697号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/0161244号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018118016号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0079912号明細書
【文献】国際公開第2017/091155号
【文献】米国特許出願公開第2013/0240922号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、シリコン基板が提供される。シリコン基板の第1の表面上には、集積回路が配置されている。基板は更に、第1のビア及びESD保護素子を含む。この場合、好ましくは、第1のビアは、第1の表面から第2の表面までシリコン基板を貫通する。その場合、第2の表面は、第1の表面の反対側にある。更に、ESD保護素子は、シリコン基板に一体化されている。即ち、ESD保護素子は、シリコン基板内に埋没しており、すなわち完全に基板の容積内にある。更に、ESD保護素子は、第1のビアから空間的に隔てられている。隔たりは、好ましくは、シリコン基板が延びる方向、すなわち、例えば第1の表面に対して平行な方向に沿っている。更に、ESD保護素子は、第1の再配線によってビアに接続される。更に、ESD保護素子は、サプレッサーダイオード、トランジスタ及びサイリスタから成る群から選択された少なくとも1つを備える。
【0016】
シリコン基板は、例えばアモルファス・シリコン又は多結晶シリコンのようなシリコンから成る、任意のタイプの基板であり得る。しかしながら、好ましくは、シリコン基板は、例えば単結晶シリコンウエハのようなウエハである。
【0017】
本発明の第1の態様によるこの設計は、例えば特定用途向けの集積回路(ASIC)のような集積回路素子にカスタマイズして適合され得る、オフチップESD構造を提供することを可能にする。この場合、これらの集積回路素子は、好ましくは、シリコン基板の第1の表面の上又はその上方にある。オフチップESD構造は、オンチップESD構造とは対照的に、保護されるべきチップ自体の上にあるのではなく、それとは別にシリコン基板内に埋め込まれている。それにより、本発明に従って必要とされるように、チップサイズを縮小することが可能になる。なぜなら、オフチップ設計におけるESD保護は、チップの一部である必要がないからである。
【0018】
特に、ESD保護素子は、システムレベルでのESD保護(システムレベルESD保護)であることができ、または、ESD保護素子は、システムレベルでのESD保護を保証することができる。これは、単一の回路又は回路の一部だけではなく、全ての集積回路が共に保護されることを意味する。システムレベルでのESD保護は、例えば、入力信号対出力信号保護、すなわち、入力信号導線と出力信号導線との間に取り付けられた全ての電子構成要素又は集積回路を過電圧に対して系統的に保護するESD保護であり得る。
【0019】
ESD保護素子によって提供されるシステムレベルでのESD保護に加えて、更なるESD保護構造が、特定用途向けの集積回路に実装され得る。これらの更なるESD保護構造は、ここでは、例えばオンチップ保護構造であり得る。ここで、特定用途向けの集積回路において、ESD保護素子と更なるESD保護構造との間のカスタマイズされた調整を提供することが有利であり、本発明により可能になる。したがって、本発明の更なる態様は、本発明によるオフチップESD保護素子とオンチップ保護素子とのカスタマイズされた調整を可能にすることにある。
【0020】
ESD保護素子のビアからの隔たり及び再配線を介した接続は、非常に有利である。なぜなら、それにより、ESD保護構造のインピーダンス及びESD保護素子の開始時間の両方が影響を受ける可能性があり、したがって、それぞれの用途に対してカスタマイズして調整され得るからである。
【0021】
更なる態様として、ESD保護素子は、更にEMI保護構造(電磁干渉保護構造)を備えることができる。その場合、電磁干渉保護(EMI保護)を、直接的にESD保護と共に実装することが有利である。特に、高周波データ導線の場合、ESD保護要件と、結果として生じるキャパシタンス及びインダクタンス又は寄生キャパシタンスと、の両方を、並行してカスタマイズして調整することができる。
【0022】
その場合、EMI保護構造は、コイル構造、薄膜抵抗及び/又はキャパシタンスによって形成される。すなわち、コイル構造、薄膜抵抗若しくはキャパシタンス、あるいは、そのような構成要素の任意の組み合わせのいずれかが、使用され得る。
【0023】
これらの構成要素の選択は、それぞれの用途に対してカスタマイズして行われる。
【0024】
更なる態様によれば、シリコン基板は、サイリスタとダイオード構造から成る組み合わせを含む、シリコン基板内に埋め込まれた構造から構築されたESD保護素子を含むことができる。この場合、ダイオード構造は、ダイオード機能を有する半導体構造であり得る。ダイオード構造は、ここではサイリスタ構造の一部ではない。
【0025】
オンチップESD保護デバイスにおいて、サイリスタとダイオード構造から成る組み合わせは、既に慣用されている。本発明によれば、これらの構成要素は、シリコン基板内に埋没されるか又はシリコン基板に一体化されることができ、それにより、オフチップESD保護が提供され得る。
【0026】
好ましくは、また、シリコン基板の第1の表面上に、パッシベーション層が形成されている。更に、ESD保護素子が、その上にパッシベーション層がある第1の表面と直接接触していることが有利である。すなわち、ESD保護素子は、好ましくは、この第1の表面上でパッシベーション層と直接的に接触している。
【0027】
更なる態様によれば、シリコン基板は、少なくとも1つの付加的な再配線を備えることができる。この場合、付加的な再配線は、第1のビアをUBM(Under-Bump-Metallisierung)接触パッドに、電気的に接続することができる。例えば、そのような場合、再配線は、前述したパッシベーション層内で延びることができる。そして、好ましくは、UBM接触パッドは、例えばはんだバンプを介して更なる電子素子に接触するのに適した態様で、パッシベーション層の表面上に又は表面内に配置されている。この場合、付加的な再配線(7)が適合素子を含み得ることが特に好ましい。これらの適合素子は、キャパシタンス、インダクタンス、又は遅延素子を含む。したがって、これらは、一体化されたESD保護素子のインピーダンスを、このように接続されたUBM接触パッドに接続されたASICのような付加的な電子部品に整合させることに寄与し得る。更に、開始時間は、ESD事象の際に適合され得る。
【0028】
この任意の付加的な再配線は、好ましくは、第1の再配線とは異なっている。
【0029】
更なる態様によれば、シリコン基板は、付加的に、当該シリコン基板を第1の表面から第2の表面まで貫通する第2のビアを含む。更に、このシリコン基板では、ESD保護素子は、第1のビアからと同様に第2のビアからも、空間的に隔てられている。更に、ESD保護素子は、この場合、第2の再配線を介して第2のビアに接続されている。ここに記載した、ESD保護素子、第1及び第2のビア、並びに、第1及び第2の再配線から成る接続を、ここ及び以下では、ESD回路と呼ぶ。
【0030】
例えば、ESD回路は対称であることができ、すなわち、ESD保護素子は、2つの再配線とビアとの間に対称的に配置され得る。第1及び第2の再配線、又は、第1及び第2のビアは、互いに非常に類似しているか、又は、同一であり得る。
【0031】
更なる態様によれば、上述したESD回路の複数を上述したように備えるシリコン基板が提示される。この場合、複数のESD回路が、共通のシリコン基板内に、互いに隣接して形成される。すなわち、それぞれ第1及び第2の再配線によって第1及び第2のビアに接続された複数のESD保護素子が、シリコン基板内に含まれ得る。
【0032】
更なる態様によれば、上述したシリコン基板は、MEMSマイクロフォン(Micromechanical System Microphone)のために使用され得る。すなわち、MEMSマイクロフォンは、上述したようにシリコン基板上に構築され得る。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、先述したように、シリコン基板内にESD保護素子を製造するための方法が提示される。
【0034】
この場合、先ず、CMOS(「Complementary Metal-Oxide-Semiconductor」)プロセスを用いて、シリコン基板内にESD保護素子の埋め込み構造が製造される。ESD保護素子の埋め込み構造は、サプレッサーダイオード、トランジスタ及びサイリスタから成る群から選択された少なくとも1つを備える。ESD保護素子構造が形成された後、第1の接触パッドが、シリコン基板の表面のうちの1つの上に生成される。
【0035】
続いて、シリコン基板の第1の表面と第2の表面との間のビアのための開口が、シリコン基板内に生成される。開口は、レーザ又は深掘り反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching、DRIE)によって生成され得る。開口は、特にESD保護素子の埋め込み構造から空間的に隔てられるように形成される。その場合、隔たりは、シリコン基板が延びる方向に配向されている。
【0036】
続いて、開口の内壁が不動態化される。次いで、ビアを生成するために、開口が第1の金属で充填される。更に、ESD保護素子のビアと集積回路との間に、第2の金属から成る再配線が生成される。すなわち、再配線は、ビアをESD保護素子に電気的に接続する。
【0037】
ここに記載された方法では、上述したようなESD保護素子、又は、上述した基板が、製作され得る。
【0038】
これは、製造方法の後のステップにおいて、例えばASICのような集積回路が、シリコン基板の第1の表面上に生成又は配置され得ることを意味する。
【0039】
これらの集積回路は、例えば、上記の例によれば、例えば制御電子機器のようなMEMSマイクロフォンの一部であることができる。
【0040】
シリコン基板内にESD保護素子を製造するための方法の更なる態様によれば、第1の金属は銅(Cu)であり得る。この場合、ビアは、開口を電気的なプロセスによって充填することによって行われ得る。
【0041】
更に、再配線は、アルミニウム(Al)又はCuから成ることができる。
【0042】
更に、開口の内壁の不動態化は、ビアを形成する前に、すなわち、例えば原子層堆積(ALDプロセス)によって、又は、プラズマエッチングプロセス(連続ドライエッチング及び不動態化)によって、第1の金属を充填する前に、不動態化され得る。プラズマエッチングプロセスによるこの不動態化は、DRIEエッチング中に行われ得る。したがって、プラズマエッチングプロセスは、DRIEプロセスの一部であり得る。
【0043】
本方法の更なる態様によれば、更なるステップにおいて、好ましくは例えばASICのような集積回路が第1の表面の上又は上方に生成される前に、パッシベーションが、第1の表面上及び第2の表面上にも生成され得る。
【0044】
ここで提供されるパッシベーションは、基板について上述したパッシベーションに対応する。それは、例えば、酸化ケイ素、好ましくはポリマーベースのパッシベーション層を、含むか又はそれから成ることができる。
【0045】
対応するパッシベーション層の中又は上には、UBM接触パッドが実装されており、それは、第1の表面の上方の集積回路の素子と、接触することができる。より薄いパッシベーション層の場合、UBM接触パッドは、パッシベーション層を貫いて厚さ方向に延び、したがって、ビアとの直接的な電気的接触を可能にすることができる。しかしながら、UBM接触パッドは、ビアと間接的に接触することもできる。厚いパッシベーション層の場合、上述したように、ビアに間接的に接続されたUBM接触パッドへの付加的な再配線が、製造され得る。
【0046】
以下において、本発明が、例示的な実施形態に基づいて、詳細に説明される。これらの例示的な実施形態は、以下の図面に示されており、これらの図面は、縮尺どおりではない。したがって、寸法並びに相対的及び絶対的な大きさを、図面から読み取ることはできない。本発明は、また、以下の記述に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】シリコン基板の第1の実施例を、概略的な断面図で示している。
【
図2】シリコン基板の第2の実施例を、概略的な断面図で示している。
【
図3】シリコン基板の第3の実施例を、概略的な断面図で示している。
【
図4】シリコン基板の第4の実施例を、概略的な断面図で示している。
【
図5】MEMSマイクロフォンを、概略的な断面図で示している。
【
図6】回路基板上の本発明による基板上のASICの概略的な断面図を示す。
【
図7】回路基板上の、本発明の前の先行技術による基板上のASICの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1には、本発明によるシリコン基板1の第1の実施例が、概略的な断面図で示されている。
【0049】
ここで、シリコン基板1は、シリコンウエハである。しかしながら、基本的に、シリコン基板1としては、シリコンから成る他の任意の基板のいずれも適している。シリコン基板1は、第1の表面11と、これとは反対側の第2の表面12とを有する。好ましくは、第2の表面12は、第1の表面に対して平行に配向されている。ここで、シリコン基板1が延びる方向は、第1の表面11に対して平行な方向である。
【0050】
シリコン基板1には、ESD保護素子2が埋め込まれている。ESD保護素子2は、本実施例では、シリコン基板1の第1の表面11に直接的に接触している。更に、ESD保護素子2は、完全にシリコン基板内に埋め込まれている。
【0051】
ESD保護素子2は、第1のビア3から隔てられている。すなわち、ESD保護素子2と第1のビア3は、シリコン基板1が延びる方向において、通常、0よりも大きい距離を有している、すなわち空間的に互いに分離されているか又は隔てられている。
【0052】
ESD保護素子2の具体的な構造も、目的用途に依存し、これに合わせてカスタマイズされ得る。特に、低い制限電圧が達成されるべきである。ESD保護素子2の埋め込み構造は、シリコン基板内に埋め込まれた少なくとも1つのTVSダイオード(サプレッサーダイオード)である。それに加えて又は代替的に、トランジスタ又はサイリスタが使用され得る。多くの用途では、ESD保護素子2の埋め込み構造として、サイリスタとダイオード構造の組み合わせから成る集積回路が、好ましい。用途に応じて、延在方向の平面内におけるESD保護素子2の広がりは、50μm×50μm~300μm×300μmであることができ、形状は、ここでは長方形であり得るが、これに限定されない。基板は、延在方向の平面内において、円形であってもよい。サイズは、保護する必要があるESD事象の電圧に依存する。8kV~30kVの電圧ピークに対する通常のESD保護のために、延在方向において100μm×100μm~200μm×200μmのESD保護素子2の広がりが好ましく、ここでも形状は限定されない。
【0053】
更に、ESD保護素子2には、電磁干渉保護構造(EMI保護構造)も設けられ得る。そのようなものとして、コイル構造、薄膜抵抗及び/又はキャパシタンスが寄与し得る。しかしながら、特に、キャパシタンスは、ESD保護素子の埋め込み構造によって既に、本来的に導入されている。したがって、これらは用途に適合されなければならない。これは、特に高周波データ導線の場合に、重要な役割を演じる。
【0054】
第1ビア3は、TSV(Through Silicon Via)であり、第1の表面11と第2の表面12との間で延びる。好ましくは、第1のビア3は、例えば銅のような導電性の金属(第1の金属)から成る。
【0055】
図1に示されているように、第1のビア3は円錐形であることができ、例えば第1の表面11の側においてより厚く、第2の表面12の側においてより薄くすることができる。代替的に、円錐形状は逆の方向に延びることもでき、すなわち、第1の表面11の側でより薄く、第2の表面12の側でより厚くすることができる。更に、厚さは、ほぼ均一であり得る。基本的に、形状は、以下でも説明するように、使用される製造方法に依存し得る。例えば、第1の表面の側からのレーザによって、
図1による円錐形状が達成され得る。第2の表面の側からのレーザによって、それとは逆の円錐形状が達成され得る。DRIEプロセスが使用される場合、結果として第1のビア3のための形状が得られ、当該形状は、ほぼ円筒形であるが、例えばDRIEに典型的な窪みを有し得る。
【0056】
第1のビア3の導電性金属間の界面は、好ましくは、絶縁層30で不動態化され、すなわち電気的に絶縁されている。絶縁層30は、通常、第1のビア3とシリコン基板1との間の界面全体に沿って形成されている。
【0057】
ESD保護素子2と第1のビア3との間の電気的又は電子的な接続は、第1の再配線4を介して行われる。これは、例えば、第1の表面11に沿って延びることができる。この場合、第1の再配線4は、第1の表面3内に僅かに埋め込まれ得るか、又はその上を延び得る。第1の再配線4は、例えばアルミニウム又は銅のような任意の導電性の金属(第2の金属)から成ることができる。
【0058】
ESD保護素子2と第1のビア3との間の上述した距離との組み合わせで、回路のインピーダンス及びESD保護の応答時間は、第1の再配線4を介して影響を受け得る。
【0059】
第1の表面11上及び第2の表面12上には、それぞれ第1のパッシベーション5又は第2のパッシベーション5’が、すなわち、それぞれ1つの電気絶縁性でほぼ不活性な層が、配置されている。これは、基本的に、これらの条件を満たす任意の材料から作製され得る。本実施例では、それは、ポリマーパッシベーション層から成る。
【0060】
更に、第1の表面11上及び第2の表面12上には、UBM接触パッド6及び6’が取り付けられている。これらは、第1のビア3の直上及び直下に配置されており、例えば、第1のビア3又は第1の再配線4と同じ材料から成り得る。しかしながら、UBM接触パッド6及び6’は、更に、アルミニウム、チタン、銅、ニッケル、パラジウム、銀、金又はスズを含む以下の金属から成るか又はそれらを含み得る。例えば、これらの金属のうちの1つは、UBM接触パッド6又は6’の主体積を形成することができ、他の金属のうちの1つ又は複数は、薄層としてUBM接触パッド6又は6’の表面を形成することができる。接触パッド6及び6’は、それぞれ、上部パッシベーション層5又は下部パッシベーション層5’を通じて延びる。それらは、例えば、はんだ付けを介して第1の表面の上方に集積回路を取り付けるための、又は、例えば入力信号のための外部接触を保証するための、接触面として寄与する。すなわち、用途において、例えばASICのような集積回路が、シリコン基板の直上に又はその上方にある場合、これらは、はんだバンプを介して、UBM接触面6に、したがって再配線3に、電気的に接続され得る。
【0061】
第1のビア3と、それに接続されたUBM接触パッド6及び6’とは、例えば、ASICのような接続された電子部品の信号導線を形成することができる。
【0062】
接地としては、任意にシリコン基板に取り付けられた別の第2のUBM接触パッド62が寄与し得る。これは、UBM接触パッド6と同様に製造されることができ、任意の方法で接地線に接続される。
【0063】
構成要素は、基本的に、任意の適切な方法によって製造される。好ましくは、この場合、以下の方法が用いられる。シリコン基板1が、キャリア箔上に準備される。EMI保護構造を含むESD保護素子2の埋め込み構造が、CMOSプロセスによってシリコン基板内に導入され得る。次に、パッシベーション層5が、第1の再配線7と共に第1の表面11上に生成され得る。続いて、シリコン基板1の第1の表面11上の、例えばCuから成るUBM接触パッド6及び第2のUBM接触パッド62が、フォトリソグラフィプロセスによって生成される。続いて、シリコン基板1の第1の表面11と第2の表面12との間の第1のビア3のための開口が、レーザ又はDRIEによって生成される。第2の表面の側からレーザ照射される場合、第1のビア3は、
図1とは逆の円錐形状を有することができる。開口の内壁は、ALDプロセス又はプラズマエッチングプロセスのいずれかによって不動態化され、それにより、第1の再配線3の絶縁層30が生成される。プラズマエッチングプロセスは、DRIEプロセスの一部であり得る。続いて、開口は、電気的なプロセスによって、第1の金属、すなわちビア3の金属で充填される。続いて、シリコン基板は、第2の表面の側から薄く研磨され、続いて、第2のパッシベーション層5’が塗布され得る。更に、フォトリソグラフィ構造化の助けを借りて、第2の表面12上のUBM接触パッド6’が形成される。これはまた、電気化学析出によって、金層又はニッケル層を備えることができる。ここで、シリコン基板1は、例えばプラズマソーイングプロセスを用いて、正しい形状及びサイズに切断され得る。このようにして処理されたシリコン基板は、キャリア箔から剥離され得る。
【0064】
図2は、シリコン基板1の第2の実施例を、概略的な断面図で示している。
【0065】
シリコン基板1は、
図1に関連して説明したシリコン基板1にほぼ対応する。製造も同様に行うことができる。なお、第1のビア3の絶縁層は、明示はしていないが、形成されることが好ましい。
【0066】
図1に示された構成要素に加えて、第2の実施形態のシリコン基板1は、第2のビア31を有する。これは、好ましくは、第1のビア3と同様に製造される。この第2のビア31には、第1のビア3の接触パッド6及び6’と同様に、第1の表面11上又は第2の表面12上に接触パッド61及び61’も配置されている。特に、第2のビア31の接触パッド61は、
図1に示された接触パッド62に置換することができる。
【0067】
ESD保護素子2は、第1のビア3からと同様に、第2のビア31からも隔てられている。
【0068】
第2のビア31は、第2の再配線41を介して、ESD保護素子2に接続されている。第2の再配線41は、好ましくは、第1の再配線4に相応して製造されている。
【0069】
1つの用途では、好ましくは、第1のビア3又は第2のビア31のいずれかは、例えば入力信号又は出力信号のための信号導線である。他方のビアは、好ましくは、接地される。そのようにして、信号導線は、ESD保護素子を介してこの接地ビアから保護され得る。
【0070】
ESD保護素子2、第1のビア3、第1の再配線4、第2のビア31及び第2の再配線41から成る組み合わせは、ESD回路として定義される。
【0071】
図2に示されたシリコン基板1は、インターポーザとも呼ばれる中間部品として適しており、その表面上には、例えばASICが配置され得る。
【0072】
図3は、シリコン基板1の第3の実施例を、概略的な断面図で示している。シリコン基板1の第3の実施例は、
図2について定義されたように、2つのESD回路を含む。これらは、共通のシリコン基板1に一体化されている。したがって、構造は、ほぼ対応し得る。しかしながら、基本的には、特に2つのESD保護素子2は異なり得る。なぜなら、それらは、異なるESD保護要件を有する異なる電子構成要素を保護するからである。
【0073】
しかしながら、そのような設計では、個々の構成要素のESD保護も、2つのESD保護素子2のうちの一方によって行われることができ、システムレベルでのESD保護は、他方のESD保護素子2によって行われることができる。
【0074】
同様に、1つの基板内に任意の数のESD保護素子2を実装すること、すなわち、1つの基板内に多数のESD回路を集積することが、可能である。
【0075】
図4は、シリコン基板1の第4の実施例を示している。この場合、シリコン基板1の内部の全ての構造は、
図3に示されているように、モジュールの第1の実施例の構造に対応する。
【0076】
しかしながら、
図3に示された第1のモジュールとは異なり、第2のモジュールでは、付加的な再配線7又は7’が、第1のパッシベーション層5又は第2のパッシベーション層5’に埋め込まれている。
【0077】
第1のパッシベーション層5内の付加的な再配線7は、2つの第2のビア31のうちのそれぞれ1つを、第1のパッシベーション層5の外面(上面)にあるUBM接触パッド61に接続する。
【0078】
付加的な再配線7の一方又は両方、特に接地された付加的な再配線7は、適合素子を含み得る。これらは、キャパシタンス、インダクタンス又は遅延素子を含み得る。すなわち、例えばコイル又はコンデンサは、付加的な再配線7の一部であり得る。遅延は、特に付加的な再配線7の長さによって決定される。すなわち、遅延素子は、付加的な再配線7の線長を増加させ、したがって、場合によってはあり得るESDパルスを遅延させることができる素子であり得る。
【0079】
基板の下面の第2のパッシベーション層5’では、付加的な再配線7’が、第2のビア31のうちの1つを、前述の例におけるUBM接触パッドと同様に他の第2のビア31に直接的に配置されたUBM接触パッド61’に、接続する。
【0080】
第2のパッシベーション層5’内の更なる再配線7’は、第1のビア3のうちの1つを更なるUBM接触パッド6’に接続する。
【0081】
前の例と同様に、例えば第1の又は第2のビアのいずれかを接地することができ、2つの他方がそれぞれ信号導線を形成するか又は信号導線に接続されることができる。
【0082】
図5は、本発明の可能な適用例としてのMEMSマイクロフォン100を示す。
【0083】
MEMSマイクロフォン100は、基板101を備える。基板101は、先に示された
図1~5に関して説明されたように、シリコン基板1に対応することができ、又は、シリコン基板1は、基板101の一部である。すなわち、ここでシリコン基板1としてマークされた領域に、例えば
図2に関して記載されたように、例えば1つ又は複数のESD回路が存在する。
【0084】
ESD回路に含まれる1つ又は複数のESD保護素子は、構成要素を保護し、及び/又は、基板101の上に又は基板101の上方に配置されたMEMSマイクロフォン100のASIC102のためのシステムレベルでESD保護を保証する。
【0085】
ASIC102は、例えば、前述の例で説明したように、はんだバンプを介して、UBM接触パッド(図示せず)又はそれに接続されたビアに、電子的に接続され得る。
【0086】
MEMSマイクロフォンの更なる構成要素は、例えば、基板101内の音開口103、膜104、背面プレート(静電コンデンサプレート)105、及び、MEMSマイクロフォンの背部容積を形成する後方チャンバ106を含む。
【0087】
好ましくは、構成要素の上に、ポリマーフィルムから成るラッピング107が装着されている。ラッピング107は、
図1に関して説明したパッシベーション層とは異なる。MEMS構成要素は、例えば、金属カバー108によって閉鎖され得る。
【0088】
本発明による基板1の更なる用途が、
図6に示されている。
【0089】
図6は、その上に複数の電子構成要素53が配置された、回路基板(Printed Circuit Board、PCB)52を示す。
【0090】
更に、回路基板52の上には、ここではインターポーザとしての機能の、本発明によるシリコン基板1が装着されている。シリコン基板1は、図示されているように、
図3のものに対応し得るが、代替的に、ここに記載された他の実施形態にも対応し得る。
【0091】
特に、複数のESD保護素子2がシリコン基板1に一体化されている。
【0092】
シリコン基板1の上には、ASIC50が装着されている。このASIC50は、例えば、それ自体の付加的なESD保護構造51を有する。これらは、好ましくは、ASICの1つ又は複数の構成要素の個々の保護構造である。
【0093】
そのようにして、ESD保護素子1のうちの1つは、これに適合する方法で、システムレベルでのESD保護を提供することができる。
【0094】
様々な構成要素間の接続は、UBM接触パッド上に装着されたはんだバンプ32によって、行われ得る。
【0095】
図7は、本発明の前の先行技術による回路基板52上のESD保護構成を示す。
【0096】
本発明によらないESD保護素子2’は、ここでは、本発明によらない基板1’上にオンボード構成で配置されている。したがって、ESD保護素子2’は、保護すべき構造(ASIC50)に加えて、付加的な空間を要求する。
【0097】
図6における本発明による図示との比較から明らかになるように、これは、回路基板上の構成要素の数、すなわち集積密度を低減する。換言すれば、本発明によって、より高い集積密度が可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1 シリコン基板
1’ 本発明によらない基板
2 ESD保護素子
2’ 本発明によらないオンボードESD保護素子
3 第1のビア
4 第1の再配線
5 第1のパッシベーション層
5’ 第2のパッシベーション層
6,6’ 第1のビアのUBM接触パッド
7,7’ 付加的な再配線
11 第1の表面
12 第2の表面
30 第1の再配線の絶縁層
31 第2のビア
32 はんだバンプ
41 第2の再配線
50 ASIC
51 ASICのESD保護構造
52 回路基板
61,61’ 第2のビアのUBM接触パッド
62 第2のUBM接触パッド
100 MEMSマイクロフォン
101 MEMSマイクロフォンの基板
102 MEMSマイクロフォンのASIC
103 音開口
104 膜
105 背面プレート
106 後方チャンバ
107 ラッピング
108 金属カバー