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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20250402BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20250402BHJP
   G06F 3/043 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
H04R17/00 330B
H04R17/00 332Y
G06F3/041 400
G06F3/043
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023580186
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2023003025
(87)【国際公開番号】W WO2023153271
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022018689
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6776481(JP,B1)
【文献】特開2006-166985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
G06F 3/041
G06F 3/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する複数の超音波変換素子を含む検出装置であって、
可撓性基板と、
複数の第1電極及び少なくとも1つの第2電極を含み、かつ前記可撓性基板に積層された回路層と、
前記回路層に積層された圧電層と、
を含む積層体と、
前記積層体の第1面及び前記第1面の反対側の第2面の少なくとも1つの面に積層するフレーム層と、を含み、
1つの前記超音波変換素子は、
前記圧電層に接する少なくとも1つの前記第1電極と、
前記圧電層に接する少なくとも1つの前記第2電極と、を含み、
前記フレーム層には、平面視して前記第1電極と重なる位置に、キャビティがある、
検出装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記第1電極が接する前記圧電層の面と反対側の前記圧電層の面に接しており、前記圧電層は、前記第1電極と前記第2電極とに挟まれる、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2電極は、複数の前記超音波変換素子に跨がって設けられている、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記超音波変換素子にそれぞれ設けられている、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2電極は、前記超音波変換素子にそれぞれ設けられ、
前記第2電極は、前記第1電極が接する前記圧電層の面と同じ側の面に接している、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第2電極は、前記超音波変換素子にそれぞれ設けられ、
前記第1電極は、環状であり、
前記第2電極は、前記第1電極に囲まれている、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第2電極は、前記超音波変換素子にそれぞれ設けられ、
前記第1電極と、前記第2電極とは、隣接して配置されている、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第2電極に電位を供給する基準電位配線をさらに含み、
前記基準電位配線は、前記超音波変換素子に引き回され、
平面視で前記キャビティに重ならない位置において、前記第2電極と前記基準電位配線とが電気的に接続されている、
請求項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記超音波変換素子は、第1スイッチング素子を含み、
平面視で前記キャビティに重ならない位置において、前記第1スイッチング素子と、前記第1電極とが電気的に接続されている、
請求項に記載の検出装置。
【請求項10】
複数の送信信号線及び複数の受信信号線をさらに含み、
前記超音波変換素子は、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、を含み、
前記第1電極は、前記第1スイッチング素子を介して1つの前記送信信号線に接続され、かつ前記第2スイッチング素子を介して、1つの前記受信信号線に接続されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項11】
前記第2電極は、前記超音波変換素子にそれぞれ設けられており、
前記超音波変換素子は、第3スイッチング素子をさらに含み、
前記第1電極は、前記第1スイッチング素子を介して、複数の前記送信信号線のうち第1送信信号線に接続され、
前記第2電極は、前記第3スイッチング素子を介して、前記第1送信信号線とは逆相の発振パルスが伝送される第2送信信号線に接続されている、請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記第2電極に電位を供給する基準電位配線をさらに含み、
前記超音波変換素子は、第4スイッチング素子をさらに含み、
前記第2電極は、前記第4スイッチング素子を介して、前記基準電位配線に接続されている、請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
1つの前記超音波変換素子は、
前記圧電層に接する2つの前記第1電極を含み、
前記フレーム層には、平面視して一方の第1電極と重なる位置に、第1キャビティがあり、他方の第1電極と重なる位置に、第2キャビティがある、請求項1に記載の検出装置。
【請求項14】
前記一方の第1電極は、超音波送信用の電極であり、
前記他方の第1電極は、超音波受信用の電極である、
請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記フレーム層は、前記可撓性基板に接合されている、
請求項1から14のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項16】
前記フレーム層は、前記積層体の前記可撓性基板がある側とは反対側に接合されている、
請求項1から14のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項17】
2つ前記フレーム層は、前記積層体を挟み、
一方の前記フレーム層のキャビティと、他方の前記フレーム層のキャビティとが平面視で重なる位置にある、
請求項1から14のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波を利用した超音波変換素子及びそれを用いた検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波変換素子が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/089453号
【文献】米国特許出願公開第2015/0165479号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波変換素子は、圧電層に接するキャビティをアンカー構造体やガラスやシリコンなどの基板に形成する必要がある。アンカー構造体にキャビティを設けると、圧電層とアンカー構造体とが接合する、貼り合わせ面が振動するので、強度が不足する可能性がある。また、基板の裏面を裏面エッチングしてキャビティを製造するには、コストがかかる可能性がある。
【0005】
本開示は、低コストで、信頼性の高い超音波変換素子を有する検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の検出装置は、超音波を送受信する複数の超音波変換素子を含む検出装置であって、可撓性基板と、複数の第1電極及び少なくとも1つの第2電極を含み、かつ前記可撓性基板に積層された回路層と、前記回路層に積層された圧電層と、を含む積層体と、前記積層体の第1面及び前記第1面の反対側の第2面の少なくとも1つの面に積層するフレーム層と、を含み、1つの前記超音波変換素子は、前記圧電層に接する少なくとも1つの前記第1電極と、前記圧電層に接する少なくとも1つの前記第2電極と、を含み、前記フレーム層には、平面視して前記第1電極と重なる位置に、キャビティがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1の超音波素子を備える検出装置の概略構成を示す平面図である。
図2図2は、実施形態1の検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の検出装置の概略断面構成を示す模式図である。
図4図4は、検出領域上の空間における被検出体と検出装置との関係を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1の複数の検出領域のうち1つの検出領域を示す回路図である。
図6図6は、実施形態1の検出領域を示す平面図である。
図7図7は、実施形態1において、1つの超音波変換素子の動作を示すタイミングチャートである。
図8図8は、実施形態1の検出領域及び額縁領域を示す断面図である。
図9図9は、実施形態2の検出領域を示す断面図である。
図10図10は、実施形態3の検出領域を示す断面図である。
図11図11は、実施形態4の検出領域を示す断面図である。
図12図12は、実施形態5の検出領域を示す断面図である。
図13図13は、実施形態5の複数の検出領域のうち1つの検出領域を示す回路図である。
図14図14は、実施形態6の検出領域を示す断面図である。
図15図15は、実施形態6の第1電極及び第2電極を示す平面図である。
図16図16は、実施形態6の変形例1に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。
図17図17は、実施形態6の変形例2に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。
図18図18は、実施形態6の変形例3に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。
図19図19は、実施形態6の変形例4に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。
図20図20は、実施形態7の検出領域を示す平面図である。
図21図21は、実施形態7の検出領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の超音波素子を備える検出装置の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、検出装置1は、超音波変換アレイ10と、制御部20と、を備える。
【0010】
超音波変換アレイ10は、可撓性基板51と、可撓性基板51の検出領域AAに設けられる複数の超音波変換素子SEと、を有する。実施形態1では、1つの超音波変換素子SEについて、1つの第1電極12が配置されている。可撓性基板51は、検出領域AAの外側に額縁領域GAを有している。額縁領域GAには、信号線選択回路16と、走査回路17とが配置されている。制御部20は、制御基板43と、制御基板43に実装された、超音波処理回路40と、電源回路41と、インターフェース回路42と、を有する。
【0011】
可撓性基板51には、配線基板31を介して制御基板43が電気的に接続される。配線基板31は、例えばフレキシブルプリント基板である。制御基板43は、例えばリジット基板である。
【0012】
電源回路41は、外部から供給された電力を基に、インターフェース回路42及び超音波処理回路40に電力供給を行う。電源回路41は、外部から供給された電力を基に、配線基板31を介して信号線選択回路16、走査回路17、超音波処理回路40、超音波変換素子SEに必要な電力を供給する。電源回路41は、信号線選択回路16、走査回路17、超音波変換素子SE、インターフェース回路42及び超音波処理回路40に必要な電力の電力管理を行う回路である。
【0013】
インターフェース回路42は、例えばUSBコントローラICであり、A/D変換回路23と検出システムが搭載されるホストデバイスのホストコントローラ(不図示)との間の通信制御を行う。インターフェース回路42を介して、外部から供給された電力が電源回路41へ供給される。
【0014】
可撓性基板51の検出領域AAは、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)にマトリクス状に並ぶ複数の超音波変換素子SEが設けられた領域である。可撓性基板51は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPCFlexible Printed Circuits)である。
【0015】
本開示において、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)は、交差しており、直交している。また、本開示では、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)に直交する方向をDz方向(第3方向)としている。
【0016】
図1に示すように、Dx方向に5つの超音波変換素子SEが並び、Dy方向に4つの超音波変換素子SEが並ぶ、5×4(=20)の超音波変換素子SEが可撓性基板51の検出領域AAに、設けられている。複数の超音波変換素子SEは、超音波変換アレイである。なお、複数の超音波変換素子SEは、千鳥配置で並べられていてもよい。また、可撓性基板51の検出領域AAに設けられる超音波変換素子SEの数は、実施形態に限定されない。
【0017】
図2は、実施形態1の検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、超音波処理回路40は、信号送出回路21、信号検出回路22と、A/D変換回路23と、信号処理回路24と、座標抽出回路25と、記憶回路26と、を備える。超音波処理回路40は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)である。
【0018】
信号送出回路21は、信号処理回路24からの信号に基づいて、発振パルスSet(n)(nは、1からNまでの自然数、Nは、検出領域AA内の電極数)を超音波変換素子SEの第1電極12(図1参照)へ送出する。
【0019】
信号検出回路22は、例えばアナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)ICである。信号検出回路22は、超音波変換アレイ10から出力される検出信号Det(n)(nは、1からNまでの自然数、Nは、検出領域AA内の電極に割り当てられた番号であり、最大値は、電極数となる。)に基づき、各第1電極12の検出値S(n)を生成する。A/D変換回路23は、各第1電極12の検出値S(n)をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する。
【0020】
信号処理回路24は、A/D変換回路23からの検出値S(n)に対し、所定の信号処理を行う。具体的に、信号処理回路24は、検出値S(n)の比較演算処理を行う。
【0021】
座標抽出回路25は、信号処理回路24の比較演算処理結果に基づき、被検出体が存在する位置の空間座標を抽出する。座標抽出回路25は、信号処理回路24によって処理された各第1電極12の検出値S(n)を用いて、図4に示す検出領域AA上の空間における被検出体Fの位置を示す空間座標R(Rx,Ry,Rz)を抽出する。空間座標R(Rx,Ry,Rz)の情報は、インターフェース回路42(図1参照)を介して外部装置へ出力される。
【0022】
記憶回路26は、座標抽出回路25において抽出された空間座標R(Rx,Ry,Rz)の情報を記憶する機能を有している。
【0023】
図3は、実施形態1の検出装置の概略断面構成を示す模式図である。実施形態1の検出装置1は、表示パネル200に対向配置される。平面視において超音波変換アレイ10の検出領域AA(図1参照)と表示パネル200の表示領域DAとがDz方向(第3方向)に重なるように配置される。なお、図示した例では、超音波変換アレイ10の検出領域AAと表示パネル200の表示領域DAが全体的に重なるように配置されているが、超音波変換アレイ10は、表示パネル200の一部分のみと重なるように配置されていてもよい。
【0024】
表示パネル200は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)が例示される。表示パネル200は、例えば、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。
【0025】
実施形態1において、超音波変換アレイ10は、可撓性基板51と、フレーム層52と、回路層53と、圧電層54と、保護層55と、を備える。超音波変換アレイ10は、表示パネル200の反対側から、フレーム層52、可撓性基板51、回路層53、圧電層54及び保護層55の順に積層される。
【0026】
図4は、検出領域上の空間における被検出体と検出装置との関係を示す模式図である。超音波変換素子SEは、発振パルスSet(n)を変換して超音波Tuを生成し、超音波Tuが送出される。超音波変換素子SEは、被検出体F(例えば、操作者の手指等)に反射した超音波Ruを受けて、検出信号Det(n)に変換する。座標抽出回路25(図2参照)は、検出信号Det(n)から生成した検出値S(n)に基づき、検出領域AA上において被検出体F(例えば、操作者の手指等)が存在する位置を示す空間座標を生成する。また、超音波変換素子SEは、被検出体F(例えば、操作者の手指等)に反射した超音波Ruを受けるまでの時間に基づき、被検出体F(例えば、操作者の手指等)との距離を測定することもできる。
【0027】
図5は、実施形態1の複数の検出領域のうち1つの検出領域を示す回路図である。図6は、実施形態1の検出領域を示す平面図である。
【0028】
図1に示す走査回路17は、各種制御信号に基づいて、図5及び図6に示す複数の走査線61Tx、走査線61Rxを駆動する回路である。走査回路17は、複数の超音波変換素子SEの走査線61Txを走査する駆動回路と、複数の超音波変換素子SEの走査線61Rxを走査する駆動回路と、を兼ねる。走査回路17は、複数の走査線61Tx、走査線61Rxを順次選択し、選択された走査線61Tx、走査線61Rxにゲート駆動信号を供給する。これにより、走査回路17は、走査線61Tx、走査線61Rxに接続された複数の超音波変換素子SEを選択する。なお、走査線61Tx、走査線61Rxは、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。
【0029】
信号線選択回路16は、複数の送信信号線62Tx及び複数の受信信号線62Rxを順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、超音波処理回路40から供給される選択信号に基づいて、選択された送信信号線62Txと信号送出回路21とを接続する。信号線選択回路16は、超音波処理回路40から供給される選択信号に基づいて、選択された受信信号線62Rxと信号検出回路22とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、超音波変換素子SEの検出信号Det(n)を信号検出回路22に出力する。なお、送信信号線62Tx及び受信信号線62Rxは、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。
【0030】
各超音波変換素子SEは、それぞれ第1スイッチング素子Tr1、第2スイッチング素子Tr2及びメンブレン振動体UEを備えている。第1スイッチング素子Tr1は、送信信号線62Txとメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。第2スイッチング素子Tr2は、受信信号線62Rxとメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。
【0031】
メンブレン振動体UEの一端側の第1電極12は、第1スイッチング素子Tr1のドレイン及び第2スイッチング素子Tr2のドレインに接続され、メンブレン振動体UEの他端側の第2電極14は、基準電位GNDが供給される基準電位配線63に接続されている。図6に示すように、第1電極12は、接続配線12Wを介して、第1スイッチング素子Tr1のドレイン及び第2スイッチング素子Tr2のドレインに接続される。送信信号線62Txは、第1スイッチング素子Tr1のソースに接続されている。受信信号線62Rxは、第2スイッチング素子Tr2のソースに接続されている。そして、走査線61Txは、第1スイッチング素子Tr1のゲートに接続される。走査線61Rxは、第2スイッチング素子Tr2のゲートに接続される。なお、第1スイッチング素子Tr1及び第2スイッチング素子Tr2のドレインへの接続と、第1スイッチング素子Tr1及び第2スイッチング素子Tr2のソースへの接続は、互いに入れ替わっていてもよい。なお、基準電位配線63は、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。
【0032】
図5及び図6に示す回路には、他のトランジスタ、信号増幅回路、バンドパスフィルタ、容量などがさらに含まれてもよい。
【0033】
図7は、実施形態1において、1つの超音波変換素子の動作を示すタイミングチャートである。図7に示すように、超音波の送信と超音波の受信とは、時分割で処理される。超音波の送信では、走査回路17が選択した走査線61Txにゲート駆動信号が伝送され、信号線選択回路16は、選択した送信信号線62Txに信号送出回路21からの発振パルスSet(n)を伝送する。メンブレン振動体UEは、発振パルスSet(n)に基づいて振動し、超音波Tuを発生させる。超音波Tuの周波数は、例えば、1kHz以上1MHz以下である。
【0034】
次に、走査回路17が選択した走査線61Rxにゲート駆動信号が伝送され、信号線選択回路16は、選択した受信信号線62Rxと信号検出回路22とを接続する。超音波Ruを受けて、メンブレン振動体UEは、超音波Ruを電気信号の検出信号Det(n)に変換し、検出信号Det(n)が信号検出回路22へ伝送される。なお、図示した例では、走査線61Txにゲート駆動信号が伝送されるタイミングと、走査線61Rxにゲート駆動信号が伝送されるタイミングとがずれているが、走査線61Txと走査線61Rxとにゲート駆動信号が伝送されるタイミングは同時でもよい。同時にすることで、発振パルスSet(n)と検出信号Det(n)が混線するリスクはあるが、より近い物体の検知をすることができる。
【0035】
図8は、実施形態1の検出領域及び額縁領域を示す断面図である。図8では、額縁領域GAの断面とともに、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている可撓性基板51は、可撓性を有する樹脂基板で、例えば、ポリイミド樹脂が用いられる。可撓性基板51の厚みは、1μm以上100μm以下である。
【0036】
フレーム層52には、超音波変換素子SE毎に、キャビティFHが開けられている。キャビティFHと平面視で重なる領域が、メンブレン振動体UEとなる。図6に示すように、平面視で、キャビティFHが第1電極12を取り囲む。
【0037】
フレーム層52は、例えば、ポリイミド樹脂、金属フォイルである。フレーム層52の厚みは、1μm以上100μm以下である。フレーム層52は、可撓性基板51よりも曲げにくい。例えば、フレーム層52が可撓性基板51と同じ材料である場合は、フレーム層52が可撓性基板51よりも厚いことで、第1電極12とキャビティFHに平面視で重なる可撓性基板51とが共に振動し、メンブレン振動体UEとして機能する。フレーム層52が可撓性基板51と異なる材料である場合は、可撓性基板51よりも曲げにくいフレーム層52のヤング率と厚みが設定される。
【0038】
キャビティFHは、直径φDの円形である。これにより、メンブレン振動体UEも円形となる。直径φDは、図6に示す走査線61Tx、走査線61Rx、送信信号線62Tx及び受信信号線62Rxで囲まれる範囲よりも小さい。直径φDは、例えば、0.1mm以上5mm以下である。
【0039】
圧電層54は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、AlN(窒化アルミニウム)などの無機材料、ポリフッ化ビニリデン樹脂(ポリビニリデンジフロライド樹脂)などの有機材料で形成される。圧電層54の厚みは、例えば、10nm以上10000nm以下である。圧電層54には、必要に応じてバッファー層、結晶調整層、保護層、マッチング層、バッキング層などを含めてもよい。圧電層54は、検出領域AAの全体に形成されている。
【0040】
なお、圧電層54が形成される領域は、平面視でキャビティFHの領域と同じ大きさで、平面視でキャビティFHの領域と重ねて設けられてもよい。また、圧電層54は、平面視でキャビティFHの領域と相似形であって、キャビティFHの領域の境界よりも大きくしてもよい。あるいは、圧電層54は、平面視でキャビティFHの領域と相似形であって、キャビティFHの領域よりも小さく、第1電極12よりも大きくしてもよい。
【0041】
回路層53及び圧電層54は、ガラス基板上で形成され、回路層53及び圧電層54がガラス基板から可撓性基板51に転写される。ガラス基板上では、圧電層54が形成される。圧電層54の上には、第1電極12が形成される。第1電極12上には、第1樹脂層71が形成される。第1電極12は、例えば、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。又は、第1電極12は、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料やこれらの金属材料の少なくとも2以上の積層体であってもよい。
【0042】
ガラス基板からみて、第1樹脂層71上には、ゲート電極82が形成される。ゲート電極82の上には第2樹脂層72が積層される。第2樹脂層72の上には、ソース電極83と、ドレイン電極84とが形成される。ドレイン電極84と、第1電極12とは、スルーホール85を介して電気的に接続されている。ソース電極83及びドレイン電極84の周りの第2樹脂層72の上は、第3樹脂層73で覆われている。ソース電極83及びドレイン電極84の上には、半導体層81が形成されており、半導体層81と、ソース電極83及びドレイン電極84のそれぞれが、接合される。半導体層81、ゲート電極82、ソース電極83及びドレイン電極84は、第1スイッチング素子Tr1として機能する。ゲート電極82、ソース電極83、ドレイン電極84及びスルーホール8は、例えば、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。又は、ゲート電極82、ソース電極83、ドレイン電極84及びスルーホール85は、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料やこれらの金属材料の少なくとも2以上の積層体であってもよい。第2スイッチング素子Tr2は、第1スイッチング素子Tr1と同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0043】
半導体層81は、酸化物半導体である。より好ましくは、半導体層81は、酸化物半導体のうち透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)である。半導体層81に酸化物半導体を用いることにより、リーク電流が抑制される。すなわち、第1スイッチング素子Tr1または、第2スイッチング素子Tr2のうち非選択のトランジスタからのリーク電流を低減できる。このため、検出装置1は、S/N比を向上させることができる。ただし、半導体層81は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。
【0044】
半導体層81と、第3樹脂層73の上には、第4樹脂層74が形成される。回路層53がガラス基板から可撓性基板51に転写されるので、可撓性基板51からみると、積層順は逆になる。
【0045】
第2樹脂層72は、窒化シリコンなどの無機絶縁膜である。第1樹脂層71、第3樹脂層73、第4樹脂層74は、無機絶縁膜でも有機絶縁膜でもよいが、例えば、アクリル樹脂などの有機絶縁膜である。第1樹脂層71、第3樹脂層73、第4樹脂層74は、有機絶縁膜であると、回路層53に亀裂が生じにくい。回路層53は、部分的に厚みを変えてもよく、例えば、第1樹脂層71、第3樹脂層73、第4樹脂層74の少なくとも1つの、平面視で重なるキャビティFHの領域の厚みを薄くしたり、除去したりしてもよい。
【0046】
第1電極12が形成される圧電層54の第1面とは反対側の第2面には、第2電極14が形成されている。第2電極14は、対向電極とも呼ばれ、額縁領域GAにある基準電位配線63と、スルーホール87を介して接続される。第2電極14は、例えば、アルミニウム(Al)、金、モリブデン、チタン等の金属材料が用いられる。又は、第2電極14は、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料やこれらの金属材料の少なくとも2以上の積層体であってもよい。
【0047】
第2電極14は、アクリル樹脂などの有機絶縁膜の保護層55で覆われる。第2電極14は、第1電極12が接する圧電層54の面と反対側の面に接しており、圧電層54は、第1電極12と第2電極14とに挟まれる。第2電極14は、複数の超音波変換素子SEに跨がって設けられて、複数の超音波変換素子SEに共通の第2電極14となっている。これにより、第2電極14の電気抵抗が小さくなる。
【0048】
可撓性基板51とフレーム層52とは、接着層56を介して接合されている。接着層56は、両面が粘着性を有しており、フレーム層52に接合された状態で、プレス加工などにより、キャビティFHが開けられている。
【0049】
なお、図8に示した例では転写によって超音波変換素子SEを形成しているが、その他の方法で形成されてもよい。例えば、ガラス基板上に可撓性基板51を形成し、その上に回路層53、圧電層54、第2電極14、保護層55を形成する。その後、ガラス基板から可撓性基板51を剥離し、可撓性基板51とフレーム層52とを接合してもよい。この場合、回路層53、圧電層54、第2電極14、保護層55が順次積層して形成されるため、可撓性基板51からみても積層順は逆にならない。
【0050】
第1スイッチング素子Tr1は、平面視でキャビティFHに重ならない位置に設けられ、平面視でキャビティFHに重ならない位置で、第1スイッチング素子Tr1と第1電極12とが電気的に接続されている。これにより、メンブレン振動体UEの振動により、第1スイッチング素子Tr1の劣化や第1スイッチング素子Tr1と第1電極12との接続が断線する可能性を抑制できる。
【0051】
フレーム層52は、キャビティFHの領域をフォトレジストで覆っておき、フォトレジストの周りを塗布や成膜し、その後、フォトレジストを除去することで形成してもよい。または、フレーム層52が3Dプリントで、可撓性基板51の表面に直接形成されてもよい。
【0052】
以上説明したように、実施形態1の検出装置1は、超音波を送受信する複数の超音波変換素子SEを含む。検出装置1は、積層体と、この積層体の第1面及び第1面の反対側の第2面のうち第1面に積層するフレーム層52と、を含む。そして、積層体は、可撓性基板51と、可撓性基板51に積層された回路層53と、回路層53に積層された圧電層54とを含む。具体的には、フレーム層52は、可撓性基板51に接合されている。超音波変換素子SEは、圧電層54に接する第1電極12と、圧電層54に接する第2電極14と、を含む。フレーム層52には、平面視して第1電極12と重なる位置に、キャビティFHがある。
【0053】
この構成により、ガラスやシリコンなどの基板よりも可撓性基板51の方が振動に応じて撓みやすいので、可撓性基板51、回路層53及び圧電層54の接合面の破壊が生じにくい。また、可撓性基板51と、キャビティFHがあるフレーム層52とを貼り合わせるだけで、メンブレン振動体UEを安価に製造することができる。
【0054】
(実施形態2)
図9は、実施形態2の検出領域を示す断面図である。実施形態2では、実施形態1と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図9では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0055】
実施形態1では、可撓性基板51の一面に、フレーム層52が接合されているが、実施形態2では、フレーム層52が回路層53及び圧電層54に対して、実施形態1の反対側にある。
【0056】
保護層55の一面に、フレーム層52が接着層56を介して接合されている。フレーム層52には、超音波変換素子SE毎に、キャビティFHが開けられている。
【0057】
以上説明したように、実施形態2の検出装置1は、超音波を送受信する複数の超音波変換素子SEを含む。検出装置1は、積層体と、この積層体の第1面及び第1面の反対側の第2面のうち第2面に積層するフレーム層52と、を含む。そして、積層体は、可撓性基板51と、可撓性基板51に積層された回路層53と、回路層53に積層された圧電層54とを含む。具体的には、フレーム層52は、積層体の可撓性基板51がある側とは反対側の保護層55に接合されている。超音波変換素子SEは、圧電層54に接する第1電極12と、圧電層54に接する第2電極14と、を含む。フレーム層52には、平面視して第1電極12と重なる位置に、キャビティFHがある。
【0058】
この構成により、ガラスやシリコンなどの基板よりも可撓性基板51の方が振動に応じて撓みやすいので、可撓性基板51、回路層53及び圧電層54の接合面の破壊が生じにくい。また、可撓性基板51と、キャビティFHがあるフレーム層52とを貼り合わせるだけで、メンブレン振動体UEを安価に製造することができる。
【0059】
また、フレーム層52が、実施形態1よりも回路層53及び圧電層54に近いので、1つの超音波変換素子SEの圧電層54の振動が隣接する超音波変換素子SEに伝搬するクロストークが抑制される。
【0060】
(実施形態3)
図10は、実施形態3の検出領域を示す断面図である。実施形態3では、実施形態1及び実施形態2と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図10では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0061】
可撓性基板51の一面に、フレーム層52Aが接着層56Aを介して接合されている。フレーム層52Aには、超音波変換素子SE毎に、キャビティFHAが開けられている。
【0062】
保護層55の一面に、フレーム層52Bが接着層56Bを介して接合されている。フレーム層52Bには、超音波変換素子SE毎に、キャビティFHBが開けられている。
【0063】
以上説明したように、実施形態3の検出装置1は、超音波を送受信する複数の超音波変換素子SEを含む。検出装置1は、積層体と、この積層体の第1面に積層するフレーム層52A及び第1面の反対側の第2面に積層するフレーム層52Bと、を含む。そして、積層体は、可撓性基板51と、可撓性基板51に積層された回路層53と、回路層53に積層された圧電層54とを含む。具体的には、回路層53及び圧電層54は、フレーム層52Aとフレーム層52Bとに挟まれている。超音波変換素子SEは、圧電層54に接する第1電極12と、圧電層54に接する第2電極14と、を含む。フレーム層52には、平面視して第1電極12と重なる位置に、キャビティFHA、キャビティFHBがある。そして、一方のフレーム層52AのキャビティFHAと、他方のフレーム層52BのキャビティFHBとが平面視で重なる位置にある。
【0064】
この構成により、ガラスやシリコンなどの基板よりも可撓性基板51の方が振動に応じて撓みやすいので、可撓性基板51、回路層53及び圧電層54の接合面の破壊が生じにくい。また、可撓性基板51と、キャビティFHがあるフレーム層52とを貼り合わせるだけで、メンブレン振動体UEを安価に製造することができる。
【0065】
回路層53及び圧電層54は、フレーム層52Aとフレーム層52Bとに挟まれているので、1つの超音波変換素子SEの圧電層54の振動が隣接する超音波変換素子SEに伝搬するクロストークが抑制される。
【0066】
(実施形態4)
図11は、実施形態4の検出領域を示す断面図である。実施形態4では、実施形態1から実施形態3と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図11では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0067】
図11に示すように、基準電位配線63が各超音波変換素子SEに引き回されている。基準電位配線63は、ソース電極83及びドレイン電極84とは異なる層に形成されており、例えば、半導体層81と同層に形成されている。
【0068】
第1電極12と同層の中継配線88は、基準電位配線63とスルーホール87Aを介して接続されている。第2電極14と、中継配線88とは、スルーホール89を介して接続されている。これにより、額縁領域GAが狭くできる。
【0069】
各超音波変換素子SEの第2電極14は、キャビティFHと平面視で重なる領域にそれぞれ設けられている。隣接する第2電極14は、互いに分離されているので、隣接する超音波変換素子SEが検出する超音波Ruのクロストークが低減する。
【0070】
平面視でキャビティFHに重ならない位置において、第2電極14と基準電位配線63とが電気的に接続されているので、基準電位配線63の断線の可能性が低くなる。
【0071】
(実施形態5)
図12は、実施形態5の検出領域を示す断面図である。図13は、実施形態5の複数の検出領域のうち1つの検出領域を示す回路図である。実施形態4では、実施形態1から実施形態4と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図12では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0072】
図12に示すように、第2電極14は、第3スイッチング素子Tr3に電気的に接続されている。第3スイッチング素子Tr3は、第1スイッチング素子Tr1と同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。第3スイッチング素子Tr3のドレイン電極84と、第2電極14とは、スルーホール85、中継配線88、スルーホール89を介して電気的に接続されている。
【0073】
各超音波変換素子SEは、それぞれ第1スイッチング素子Tr1、第2スイッチング素子Tr2、第3スイッチング素子Tr3、第4スイッチング素子Tr4及びメンブレン振動体UEを備えている。第1スイッチング素子Tr1は、送信信号線62Txとメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。第2スイッチング素子Tr2は、受信信号線62Rxとメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。第3スイッチング素子Tr3は、送信信号線62Txxとメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。第2スイッチング素子Tr2は、基準電位配線63とメンブレン振動体UEとの接続をスイッチング制御する。
【0074】
第2電極14は、第3スイッチング素子Tr3のドレインに接続されている。送信信号線62Txxは、第3スイッチング素子Tr3のソースに接続されている。送信信号線62Txx(第2送信信号線)には、送信信号線62Tx(第1送信信号線)の発振パルスSet(n)の逆相の信号が伝送される。また、第2電極14は、第4スイッチング素子Tr4のドレインに接続されている。基準電位配線63は、第4スイッチング素子Tr4のソースに接続されている。
【0075】
超音波送信時では、第1スイッチング素子Tr1及び第3スイッチング素子Tr3は、同時にオン動作し、第2スイッチング素子Tr2及び第4スイッチング素子Tr4は、同時にオフ動作する。送信信号線62Txが、第1スイッチング素子Tr1を介して第1電極12に、発振パルスSet(n)の信号を伝送し、送信信号線62Txxが、第3スイッチング素子Tr3を介して第2電極14に、発振パルスSet(n)の逆相の信号を伝送する。その結果、圧電層54に印加される信号の振幅が実施形態1の倍となり、超音波の出力が向上する。
【0076】
超音波受信時では、第1スイッチング素子Tr1及び第3スイッチング素子Tr3は、同時にオフ動作し、第2スイッチング素子Tr2及び第4スイッチング素子Tr4は、同時にオン動作する。受信信号線62Rxと第1電極12とが、第2スイッチング素子Tr2を介して接続され、基準電位配線63と第2電極14とが、第3スイッチング素子Tr3を介して接続される。その結果、超音波変換素子SEの検出信号Det(n)が信号検出回路22に出力される。
【0077】
各超音波変換素子SEの第2電極14は、キャビティFHと平面視で重なる領域にそれぞれ設けられている。隣接する第2電極14は、互いに分離されている。走査回路17が選択していない超音波変換素子SEでは、第2電極14が基準電位GNDとなり、走査回路17が選択していない超音波変換素子SEからのノイズが抑制される。
【0078】
走査回路17が選択している超音波変換素子SEでは、第2電極14に、発振パルスSet(n)の逆走の信号が伝送されるため、メンブレン振動体UEの振幅が大きくなる。走査回路17が選択していない超音波変換素子SEでは、第2電極14が基準電位GNDとなり、他の超音波変換素子SEの振動の影響を抑制できる。
【0079】
(実施形態6)
図14は、実施形態6の検出領域を示す断面図である。図15は、実施形態6の第1電極及び第2電極を示す平面図である。図14は、図15のXIV-XIV断面である。実施形態6では、実施形態1から実施形態5と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図14では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0080】
図14に示すように、基準電位配線63が各超音波変換素子SEに引き回されている。基準電位配線63は、ソース電極83及びドレイン電極84とは異なる層に形成されており、例えば、半導体層81と同層に形成されている。
【0081】
第1電極12と同層の第2電極14は、基準電位配線63とスルーホール87Bを介して接続されている。図15に示すように、第2電極14は、第1電極12が接する圧電層54の面と同じ側の面に接している。そして、第2電極14は、第2電極14の内側にある。これにより、額縁領域GAが狭くできる。
【0082】
各超音波変換素子SEの第2電極14は、キャビティFHと平面視で重なる領域にそれぞれ設けられている。隣接する第2電極14は、互いに分離されているので、隣接する超音波変換素子SEが検出する超音波Ruのクロストークが低減する。
【0083】
第2電極14が形成される領域は、平面視でキャビティFHの領域と相似形であって、キャビティFHの領域よりも小さい。第1電極12が形成される領域は、平面視で、キャビティFHの領域の境界と重なり、第1電極12は、円環状である。
【0084】
図16は、実施形態6の変形例1に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。図16に示すように、変形例1では、第2電極14が矩形であり、第1電極12の外径が矩形で、環状である。なお、第1電極12と第2電極14とは、実施形態6と同層である。
【0085】
図17は、実施形態6の変形例2に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。図17に示すように、変形例2では、第2電極14が形成される領域が、平面視でキャビティFHの領域と相似形であって、キャビティFHの領域よりも小さい。第1電極12が形成される領域は、平面視で、キャビティFHの領域の境界と重なり、第1電極12は、円環状である。なお、第1電極12と第2電極14とは、実施形態6と同様に同層である。
【0086】
第1電極12よりも外側の位置に、スルーホール87Bが配置されており、スルーホール87Bと第2電極14とが配線で接続されている。これにより、基準電位配線63が平面視でキャビティFHの領域と重なる領域と重ならなくなることから、基準電位配線63がメンブレン振動体UEの振動の影響を受けにくくなり、検出装置1の信頼性が向上する。
【0087】
図18は、実施形態6の変形例3に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。図18に示すように、変形例3では、第1電極12及び第2電極14が矩形であり、第1電極12及び第2電極14が互いに隣接する。なお、第1電極12と第2電極14とは、実施形態6と同様に同層である。
【0088】
平面視でキャビティFHの領域と重なる領域よりも外側の位置に、スルーホール87Bが配置されており、スルーホール87Bと第2電極14とが配線で接続されている。これにより、基準電位配線63が平面視でキャビティFHの領域と重なる領域と重ならなくなることから、基準電位配線63がメンブレン振動体UEの振動の影響を受けにくくなり、検出装置1の信頼性が向上する。
【0089】
図19は、実施形態6の変形例4に係る第1電極及び第2電極を示す平面図である。図19に示すように、変形例4では、第1電極12及び第2電極14が互いにかみ合う櫛歯電極である。なお、第1電極12と第2電極14とは、実施形態6と同様に同層である。
【0090】
平面視でキャビティFHの領域と重なる領域よりも外側の位置に、スルーホール87Bが配置されており、スルーホール87Bと第2電極14とが配線で接続されている。これにより、基準電位配線63が平面視でキャビティFHの領域と重なる領域と重ならなくなることから、基準電位配線63がメンブレン振動体UEの振動の影響を受けにくくなり、検出装置1の信頼性が向上する。
【0091】
(実施形態7)
図20は、実施形態7の検出領域を示す平面図である。図21は、実施形態7の検出領域を示す断面図である。図20は、図21のXX-XX’断面である。実施形態7では、実施形態1から実施形態6と同じ構成については同じ符号を付して、説明を省略することがある。図20では、検出領域AAの1つの超音波変換素子SEの断面が記載されている。
【0092】
実施形態7では、1つの超音波変換素子SEについて、第1電極12Txと第1電極12Rxとが配置されている。第1電極12Txは、超音波Tuを生成する超音波送信用の電極であり、第1電極12Rxは、超音波Ruを受ける超音波受信用の電極である。
【0093】
各超音波変換素子SEは、それぞれ第1スイッチング素子Tr1、第2スイッチング素子Tr2、メンブレン振動体UETx、及びメンブレン振動体UERxを備えている。第1スイッチング素子Tr1と、第1電極12Txとは、スルーホール85Txを介して電気的に接続されている。第1スイッチング素子Tr1は、送信信号線62Txとメンブレン振動体UETxとの接続をスイッチング制御する。第2スイッチング素子Tr2と、第1電極12Rxとは、スルーホール85Rxを介して電気的に接続されている。第2スイッチング素子Tr2は、受信信号線62Rxとメンブレン振動体UERxとの接続をスイッチング制御する。
【0094】
フレーム層52には、超音波変換素子SE毎に、第1キャビティFHTx、第2キャビティFHRxが開けられている。フレーム層52には、平面視して一方の第1電極12Txと重なる位置に、第1キャビティFHTxがあり、他方の第1電極12Rxと重なる位置に、第2キャビティFHRxがある。そして、第1キャビティFHTxと平面視で重なる領域が、メンブレン振動体UETxとなる。第2キャビティFHRxと平面視で重なる領域が、メンブレン振動体UERxとなる。
【0095】
超音波の送信と超音波の受信とは、時分割で処理される。実施形態7では、メンブレン振動体UETxと、メンブレン振動体UERxとを分けて動作させているので、超音波の送信から超音波の受信へ切り替える切り替え時間を短くしても、メンブレン振動体UETxからメンブレン振動体UERxが受ける影響が少ない。その結果、検出装置1は、検出サイクルが短くなり、検出精度が向上する。
【0096】
なお、第1列の超音波変換素子SEには、第1電極12Txが配置され、第2列の超音波変換素子SEには、第1電極12Rxが配置されていてもよい。
【0097】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示このような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、送受信兼用の超音波変換素子で記載しているが、送信専用もしくは受信専用の超音波変換素子にも適用できる。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0098】
1 検出装置
10 超音波変換アレイ
12、12Rx、12Tx 第1電極
12W 接続配線
14 第2電極
16 信号線選択回路
17 走査回路
20 制御部
21 信号送出回路
22 信号検出回路
51 可撓性基板
52、52A、52B フレーム層
53 回路層
54 圧電層
55 保護層
56、56A、56B 接着層
61Rx、61Tx 走査線
62Rx 受信信号線
62Tx、62Txx 送信信号線
63 基準電位配線
200 表示パネル
AA 検出領域
F 被検出体
FH、FHA、FHB キャビティ
FHTx 第1キャビティ
FHRx 第2キャビティ
GA 額縁領域
UE、UERx、UETx メンブレン振動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21