(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】樹脂組成物の製造方法、ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 7/58 20060101AFI20250402BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20250402BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20250402BHJP
B29B 13/10 20060101ALI20250402BHJP
B01J 2/20 20060101ALI20250402BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
B29B7/58
B29B9/06
B29B7/42
B29B13/10
B01J2/20
B01D35/02 L
(21)【出願番号】P 2024206226
(22)【出願日】2024-11-27
【審査請求日】2024-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】清水 太一
(72)【発明者】
【氏名】小田 充宏
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-273163(JP,A)
【文献】特開2022-103131(JP,A)
【文献】実開昭54-162981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/58
B29B 9/06
B29B 7/42
B29B 13/10
B01J 2/20
B01D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含み、
前記ろ過装置は、前記混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備え、
前記ろ過工程は、前記混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を前記一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含み、
前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、前記供給口から前記ろ過面に向かって流路が拡大されてい
て、
前記ろ過装置において、前記供給口から前記ろ過面までの空間の体積をV、前記ろ過面の面積をS、前記供給口の面積をAとしたとき、
前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、V/Sが1cm未満であり、かつ、S/Aが20以上である、樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物の原料が、プロピレン系重合体を含む、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂組成物の原料が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含む、請求項
2に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記ろ過工程において、前記一次ろ過工程を行うろ過装置と前記二次ろ過工程を行うろ過装置との間に昇圧ポンプを設ける、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記一次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが70μm以上であり、
前記二次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが10μm以上60μm以下である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つにおいて、前記混練物の供給量に対する前記ろ過面の面積の比が、0.1cm
2・hr/kg以上0.4cm
2・hr/kg以下である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
樹脂組成物の原料が、破砕材である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
樹脂組成物の原料が、バージンプロピレン系重合体をさらに含む、請求項
7に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
樹脂組成物の原料が、エチレン-α-オレフィン共重合体をさらに含む、請求項
7に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
樹脂組成物の原料が、エチレン-α-オレフィン共重合体としてリサイクルエチレン-α-オレフィン共重合体を含む、請求項
9に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物を押出機により押し出してペレットを得るペレタイズ工程を含む、ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物の製造方法、ペレットの製造方法、および、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン等の樹脂組成物を含む成形体は、自動車部品、電気部品等の工業部品、日用品、雑貨用品等に利用されている。このような成形体は、ペレットを原料とし、該ペレットを押出成形装置等に供給して溶融混練した後、押出成形することにより得られる。
【0003】
従来、ペレットを製造する際には、樹脂組成物の原料を溶融混練した後、溶融状態の原料をろ過することで、原料に含まれる異物を除去している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法により製造されるペレットは、得られる成形体の面衝撃強度が低いという問題がある。この問題は、特に、寒冷地において成形体が使用される場合に顕著であり、改善が望まれている。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、面衝撃強度に比較的優れた成形体を得ることが可能な樹脂組成物の製造方法、ペレットの製造方法、および、樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含み、前記ろ過装置は、前記混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備え、前記ろ過工程は、前記混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を前記一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含み、前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、前記供給口から前記ろ過面に向かって流路が拡大されている。
【0008】
本発明に係るペレットの製造方法は、上述の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物を押出機により押し出してペレットを得るペレタイズ工程を含む。
【0009】
本発明に係る樹脂組成物は、上述の樹脂組成物の製造方法により得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、面衝撃強度に比較的優れた成形体を得ることが可能な樹脂組成物の製造方法、ペレットの製造方法、および、樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含む。
【0013】
<溶融混練工程>
樹脂組成物の原料は、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を含む。樹脂組成物の原料は、成形体の剛性および耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは、プロピレン系重合体を含む。
【0014】
プロピレン系重合体は、プロピレンに由来する単量体単位を50質量%以上含む重合体である。プロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体、ヘテロファジックプロピレン重合材料等が挙げられる。樹脂組成物の原料は、成形体の剛性および耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは、プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含む。樹脂組成物の原料は、プロピレン系重合体を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
【0015】
プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.961以上であり、より好ましくは0.965以上であり、さらに好ましくは0.968以上である。また、プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは1.000以下であり、より好ましくは0.995以下である。
【0016】
なお、アイソタクチックペンタッド分率とは、ペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位でみたときに、プロピレンに由来する単量体単位が5個連続してメソ結合した構造の含有割合を示す。なお、対象の成分が共重合体である場合には、プロピレンに由来する単量体単位の連鎖について測定される値をいう。
【0017】
アイソタクチックペンタッド分率は、13C-NMRスペクトルで測定される値である。具体的には、13C-NMRスペクトルによって得られるメチル炭素領域の全吸収ピークの面積に対するmmmmピークの面積の比を、アイソタクチックペンタッド分率とする。なお、13C-NMRスペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率の測定方法は、例えば、A.ZambelliらによるMacromolecules,6,925(1973)に記載されている。ただし、13C-スペクトルによって得られる吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)の記載に基づくものとする。
【0018】
プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、触媒、ドナー、重合条件等を適切に選択することにより、上記の範囲に調整することができる。また、市販品から、適宜、所望のアイソタクチックペンタッド分率を有するプロピレン系重合体を入手することもできる。
【0019】
プロピレン系重合体の含有量は、樹脂組成物の原料の全質量100質量%に対して、40質量%以上99質量%以下であってもよく、50質量%以上95質量%以下であってもよい。
【0020】
(プロピレン単独重合体)
プロピレン単独重合体は、極限粘度数([η])が、樹脂組成物の溶融時の流動性および成形体の靭性を向上させる観点から、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、さらに好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
【0021】
なお、本明細書において、極限粘度数(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
【0022】
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dLおよび0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法により、極限粘度数を求める。外挿法による極限粘度数の計算方法は、例えば、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載されている。
【0023】
プロピレン単独重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。プロピレン単独重合体の分子量分布は、好ましくは15.0以下であり、より好ましくは10.0以下である。プロピレン単独重合体の分子量分布は、好ましくは3.0以上15.0以下であり、より好ましくは4.0以上10.0以下である。
【0024】
なお、本明細書において、分子量分布は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を用いて算出される、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)を意味する。
装置:東ソー株式会社製 HLC-8121 GPC/HT
分離カラム:東ソー株式会社製 GMHHR-H(S)HT 3本
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
試料濃度:約1mg/mL
試料注入量:400μL
検出器:示差屈折
検量線作成方法:標準ポリスチレンを使用
【0025】
プロピレン単独重合体は、例えば、重合触媒を用いてプロピレンを重合する重合工程を行うことにより製造できる。
【0026】
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒;チーグラー・ナッタ型触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物およびアルキルアルミノキサンを含む触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して、変性させた触媒等が挙げられる。
【0027】
前記重合触媒としては、例えば、特開昭61-218606号公報、特開平5-194685号公報、特開平7-216017号公報、特開平9-316147号公報、特開平10-212319号公報、特開2004-182981号公報、特開2010-168545号公報、特開2011-246699号公報等に記載の触媒等が挙げられる。
【0028】
また、前記重合触媒の存在下でプロピレンを予備重合させて得られた重合体を、重合触媒として用いることもできる。
【0029】
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、気相重合等が挙げられる。ここで、バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいう。溶液重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また、気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
【0030】
重合方式としては、例えば、バッチ式、連続式およびこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式であってもよい。
【0031】
重合方法は、工業的および経済的に優れる観点から、好ましくは、連続式の気相重合法、または、バルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク-気相重合法である。
【0032】
重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、単量体濃度、触媒投入量、重合時間等の重合条件)は、目的とする重合体の分子構造に応じて、適宜決定すればよい。
【0033】
プロピレン単独重合体の製造方法では、重合工程の前または後に他の工程が実施されてもよい。例えば、重合工程の後、重合体中に含まれる残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて重合体を、重合体が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号公報、特許第2565753号公報等に記載の方法等が挙げられる。
【0034】
(プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体)
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、プロピレンに由来する単量体単位とプロピレン以外の単量体に由来する単量体単位とを含有する。前記ランダム共重合体は、該共重合体の全質量100質量%に対して、好ましくは、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を0.01質量%以上20質量%以下含有する。
【0035】
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン、炭素原子数4~12のα-オレフィン等が挙げられる。本明細書において、α-オレフィンは、α位に炭素-炭素不飽和二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素である。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
【0036】
プロピレン以外の単量体は、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種であり、さらに好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0037】
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
【0038】
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、極限粘度数([η])が、プロピレン樹脂組成物の溶融時の流動性を向上させる観点から、好ましくは、0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、さらに好ましくは、0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
【0039】
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム重合体の分子量分布は、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは7.0以下である。プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム重合体の分子量分布は、好ましくは3.0以上10.0以下であり、より好ましくは4.0以上7.0以下である。
【0040】
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、例えば、上述のプロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式、および、重合条件に従って、プロピレンおよびプロピレン以外の単量体を重合することにより製造できる。
【0041】
(ヘテロファジックプロピレン重合材料)
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する重合体I(ただし、該重合体Iの全質量を100質量%とする。)と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体IIと、を含む混合物である。
【0042】
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、例えば、重合体Iを重合する第1の重合工程と、重合体IIを重合する第2の重合工程を実施することにより製造することができる。これらの重合工程は、上述のプロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式、および、重合条件に従って実施することができる。
【0043】
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれる重合体Iと重合体IIとの合計が100質量%であってもよい。
【0044】
上述したように、重合体Iは、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する(ただし、重合体Iの全質量を100質量%とする)。重合体Iは、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。重合体Iが、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、重合体Iの全質量100質量%に対して、例えば、0.01質量%以上20質量%未満であってもよい。
【0045】
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレンおよび炭素原子数4以上のα-オレフィンが挙げられる。炭素原子数4以上のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
【0046】
プロピレン以外の単量体は、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種であり、さらに好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0047】
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む重合体Iとしては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体等が挙げられる。
【0048】
重合体Iは、成形体の寸法安定性を良好にする観点から、好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、または、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であり、より好ましくは、プロピレン単独重合体である。
【0049】
重合体Iのアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは1.000以下であり、例えば、0.998以下であってもよく、0.995以下であってもよく、0.990以下であってもよく、0.985以下であってもよい。アイソタクチックペンタッド分率の下限は特に限定されないが、例えば、0.900以上であってもよく、0.925以上であってもよく、0.930以上であってもよく、0.961以上であってもよく、0.965以上であってもよく、0.968以上であってもよい。
【0050】
重合体Iの含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上95質量%以下である。
【0051】
上述したように、重合体IIは、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
【0052】
重合体IIは、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位を30質量%以上含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する(ただし、重合体IIの全質量を100質量%とする)。
【0053】
重合体IIにおいて、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、30質量%以上70質量%以下であってもよく、35質量%以上60質量%以下であってもよい(ただし、重合体IIの全質量を100質量%とする)。
【0054】
重合体IIにおいて、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンは、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンからなる群より選択される少なくとも一種であり、さらに好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0055】
重合体IIとしては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-1-デセン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、重合体IIは、好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、または、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であり、より好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体である。
【0056】
重合体IIの含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
【0057】
ヘテロファジックプロピレン重合材料において、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、0.3質量%以上35質量%以下であってよく、0.7質量%以上24質量%以下であってもよい(ただし、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を100質量%とする)。
【0058】
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン不溶成分(CXIS成分)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上95質量%以下である。
【0059】
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン可溶成分(CXS成分)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
【0060】
なお、本明細書において、キシレン不溶成分(CXIS成分)は、重合体に含まれるp-キシレンに不溶な成分であって、下記方法により得られる固形物を意味する:
重合体約2gを、沸騰しているp-キシレン中で2時間溶解して溶液を得、次いで、該溶液を20℃まで冷却することにより、固形物を析出させる方法。
【0061】
また、本明細書において、キシレン可溶成分(CXS成分)は、重合体中の「CXIS成分」以外の成分を意味する。
【0062】
本実施形態において、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分は、主として重合体Iから構成され、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXS成分は、主として重合体IIから構成されると考えられる。
【0063】
ヘテロファジックプロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料等が挙げられる。
【0064】
ここで、「(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料」との記載は、「重合体Iがプロピレン単独重合体であり、重合体IIがプロピレン-エチレン共重合体であるヘテロファジックプロピレン重合材料」を意味する。他の類似の表現においても同様である。
【0065】
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、好ましくは、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、または、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料であり、より好ましくは、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料である。
【0066】
重合体Iの極限粘度数([η]I)は、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、さらに好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
【0067】
重合体IIの極限粘度数([η]II)は、好ましくは1.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、より好ましくは2.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、さらに好ましくは2.00dL/g以上9.00dL/g以下である。
【0068】
また、重合体Iの極限粘度数([η]I)に対する重合体IIの極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下である。
【0069】
重合体Iの極限粘度数([η]I)の測定方法としては、例えば、重合体Iを重合する反応器から重合された重合体Iを抜き出し、当該重合体の極限粘度数を測定する方法が挙げられる。
【0070】
重合体IIの極限粘度数([η]II)は、例えば、ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数([η]Total)、重合体Iの極限粘度数([η]I)、並びに、重合体IIおよび重合体Iの含有量を用いて、下記式(i)により算出できる。
【0071】
[η]II=([η]Total-[η]I×XI)/XII ・・・(i)
[η]Total:ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数(dL/g)
[η]I:重合体Iの極限粘度数(dL/g)
XI:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体Iの質量の比(重合体Iの質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
XII:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体IIの質量の比(重合体IIの質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
【0072】
ここで、XIおよびXIIは、重合時の物質収支から求めることができる。
【0073】
なお、XIIは、重合体Iの融解熱量およびヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量を測定し、下記式を用いて算出してもよい。
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量(J/g)
(ΔHf)P:重合体Iの融解熱量(J/g)
【0074】
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)は、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、さらに好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
【0075】
CXS成分の極限粘度数([η]CXS)は、好ましくは1.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、より好ましくは2.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、さらに好ましくは2.00dL/g以上9.00dL/g以下である。
【0076】
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)に対するCXS成分の極限粘度数([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)は、好ましくは1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下である。
【0077】
重合体Iの分子量分布(Mw(I)/Mn(I))は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。
【0078】
CXIS成分の分子量分布(Mw(CXIS)/Mn(CXIS))は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。
【0079】
プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の成形加工性を良好にする観点から、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは1g/10分以上300g/10分以下である。プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上100g/10分以下であってもよく、10g/10分以上50g/10分以下であってもよい。
【0080】
なお、本明細書において、プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。
【0081】
樹脂組成物の原料は、破砕材であってもよい。破砕材とは、成形体を粉砕して得られるものである。成形体は、市場から回収されたものであってもよい。回収される破砕材の原料としては、例えば、自動車用部品、包装容器(食品用レトルトパウチ、詰め替え用パウチ、洗剤ボトル等)、家庭用電気製品の筐体、事務用品(トレー等)、家庭用日用品(コンタクトレンズケース等)が挙げられる。自動車用部品としては、例えば、自動車の内装部品(インスツルメントパネル、ドアトリム等)、自動車の外装部品(バンパー、ピラー等)、その他の自動車用部品(バッテリーケース等)が挙げられる。
【0082】
樹脂組成物の原料が破砕材である場合、樹脂組成物の原料は、成形体の剛性および耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは、バージンプロピレン系重合体をさらに含む。バージンプロピレン系重合体は、重合工程を含むプロセスによるプロピレン系重合体の製造後、自動車等の製品またはその部品に成形されておらず、かつ、何らかの最終用途に使用されていない、プロピレン系重合体を意味する。
【0083】
バージンプロピレン系重合体の含有量は、樹脂組成物の原料の全質量100質量%に対して、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。バージンプロピレン系重合体の含有量は、樹脂組成物の原料の全質量100質量%に対して、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下である。
【0084】
また、樹脂組成物の原料が破砕材である場合、樹脂組成物の原料は、耐衝撃性を高める観点から、好ましくは、エチレン-α-オレフィン共重合体をさらに含む。樹脂組成物の原料は、エチレン-α-オレフィン共重合体としてリサイクルエチレン-α-オレフィン共重合体を含んでいてもよい。リサイクルエチレン-α-オレフィン共重合体は、一旦、成形等の加工が施された後に、あるいは何らかの最終用途に使用された後に、回収工程を経て、再使用されるエチレン-α-オレフィン共重合体を意味する。
【0085】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体であってもよい。なお、エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位と、を含有する共重合体であり、プロピレンに由来する単量体単位を実質的に含まないものを意味する。
【0086】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、該共重合体の全質量100質量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量、および、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量の合計が100質量%であってもよい。
【0087】
炭素原子数4以上のα-オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4~12のα-オレフィンが挙げられる。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。炭素原子数4~12のα-オレフィンは、好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン、または、1-オクテンである。炭素原子数4~12のα-オレフィンは、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン等の環状構造を有するα-オレフィンであってもよい。
【0088】
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0089】
エチレン-α-オレフィン共重合体において、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、エチレン-α-オレフィン共重合体の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上49質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以上49質量%以下である。
【0090】
エチレン-α-オレフィン共重合体の密度は、成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは0.850g/cm3以上0.890g/cm3以下であり、より好ましくは0.850g/cm3以上0.880g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.850g/cm3以上0.870g/cm3以下である。
【0091】
エチレン-α-オレフィン共重合体の温度190℃、荷重2.16kgでのメルトフローレートは、好ましくは、0.1g/10分以上80g/10分以下である。エチレン-α-オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定することができる。
【0092】
エチレン-α-オレフィン共重合体の含有量は、樹脂組成物の原料の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、エチレン-α-オレフィン共重合体の含有量は、樹脂組成物の原料の全質量100質量%に対して、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
【0093】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、重合触媒を用いて、エチレンおよび炭素原子数4以上のα-オレフィンを重合することにより製造できる。
【0094】
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒、チーグラー・ナッタ型触媒等が挙げられる。
【0095】
均一系触媒としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物およびアルキルアルミノキサンを含む触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して変性させた触媒等が挙げられる。
【0096】
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒等が挙げられる。
【0097】
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、市販品を用いてもよい。市販のエチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
【0098】
樹脂組成物の原料は、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。
【0099】
溶融混練工程において、溶融混練時の温度は、180℃以上であってもよく、180℃以上300℃以下であってもよく、180℃以上250℃以下であってもよい。
【0100】
溶融混練には、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等を使用することができる。樹脂組成物の原料は、例えば、ホッパーから投入され、計量部で計量された後、フィーダーを介して押出機等に送られる。樹脂組成物の原料が破砕材である場合、カッターコンパクター等の粉砕装置を使って破砕した破砕材をホッパーへ投入する機構を備えていてもよいし、別の場所で破砕した破砕材をホッパーへ投入してもよい。破砕材は、例えば、15mm以下に破砕される。
【0101】
各原料成分の混練順序は、特に限定されるものではない。例えば、全成分を一括に混練してもよく、一部の成分を混練した後、得られた混練物と他の成分とを混練してもよい。
【0102】
<ろ過工程>
ろ過工程は、混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含む。
【0103】
ろ過工程に用いられるろ過装置は、混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備える。より詳しくは、供給口は、ろ過面に対して対向する位置に設けられていて、該供給口からろ過面までの間には空間が設けられている。
【0104】
二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、供給口からろ過面に向かって流路が拡大されている。斯かる構成により、混練物に含まれる繊維状の異物は、その多くがろ過面に対して斜めに進入するため、フィルターを通過しにくくなる。その結果、混練物に含まれる繊維状の異物を多く取り除くことができるため、面衝撃強度に優れた成形体を得ることができる。なお、二次ろ過工程を行うろ過装置は複数あってもよく、そのうち少なくとも一つのろ過装置において、供給口からろ過面に向かって流路が拡大されていればよい。
【0105】
二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、好ましくは、V/Sが1cm未満であり、かつ、S/Aが20以上である。二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、V/Sが1cm未満、かつ、S/Aが20以上となるように流路が拡大されていることにより、混練物に含まれる繊維状の異物をより多く取り除くことができるため、面衝撃強度により優れた成形体を得ることができる。V/Sは、より好ましくは、0.01cm以上0.7cm以下であり、さらに好ましくは、0.1cm以上0.5cm以下である。また、S/Aは、より好ましくは、22以上150以下であり、さらに好ましくは、25以上100以下である。
【0106】
ここで、Vは、供給口からろ過面までの空間の体積であり、例えば、10cm3以上40000cm3以下とすることができる。Sは、ろ過面の面積であり、例えば、10cm2以上2000cm2以下とすることができる。Aは、供給口の面積であり、すなわち、供給口のろ過面と平行な面に投影した面積であり、例えば、10cm2以上2000cm2以下とすることができる。
【0107】
二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つにおいて、混練物の供給量に対するろ過面の面積の比は、好ましくは、0.1cm2・hr/kg以上0.4cm2・hr/kg以下であり、より好ましくは、0.2cm2・hr/kg以上0.3cm2・hr/kg以下である。
【0108】
二次ろ過工程を行うろ過装置は、例えば、1つ以上5つ以下とすることができ、好ましくは、1つ以上2つ以下とする。
【0109】
一次ろ過工程を行うろ過装置は、一次ろ過工程を行うろ過装置のS/Aが、好ましくは、1以上10以下であり、より好ましくは、1である。すなわち、一次ろ過工程を行うろ過装置は、より好ましくは、供給口からろ過面に向かって流路が拡大されていない。一次ろ過工程を行うろ過装置は、斯かる構成により、比較的大きな異物を取り除くことができるため、その後の二次ろ過工程を行うろ過装置において、効率よく繊維状の異物を除去することができる。
【0110】
一次ろ過工程を行うろ過装置では、例えば、Vを50cm3以上40000cm3以下、Sを10cm2以上2000cm2以下、Aを10cm2以上2000cm2以下とすることができる。
【0111】
一次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きは、好ましくは、70μm以上であり、より好ましくは、80μm以上200μm以下である。二次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きは、好ましくは、10μm以上60μm以下であり、より好ましくは、20μm以上40μm以下である。本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、一態様において、面衝撃強度に優れた成形体を得るから、一次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが70μm以上であり、二次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが10μm以上60μm以下である。
【0112】
フィルターの材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス、銅、ニッケル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
【0113】
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、ろ過工程において、一次ろ過工程を行うろ過装置と二次ろ過工程を行うろ過装置との間に昇圧ポンプを設けてもよい。前記樹脂組成物の製造方法は、斯かる構成により、一次ろ過工程と二次ろ過工程とを連続して効率よく行うことができる。
【0114】
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含み、前記ろ過装置は、前記混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備え、前記ろ過工程は、前記混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を前記一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含み、前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、前記供給口から前記ろ過面に向かって流路が拡大されていることにより、面衝撃強度に比較的優れた成形体を得ることができる。
【0115】
[ペレットの製造方法]
本実施形態に係るペレットの製造方法は、上述の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物を押出機により押し出してペレットを得るペレタイズ工程を含む。より詳しくは、前記ペレットの製造方法では、上述の樹脂組成物を押出機のダイス孔より押し出して、ストランドを押出成形してもよい。また、得られたストランドを冷却水槽に導き、冷却してもよい。さらに、冷却したストランドを、ストランドカッターでカッティングすることによりペレットを得てもよい。
【0116】
前記ペレットの製造方法は、上述の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物を押出機により押し出してペレットを得るペレタイズ工程を含むことにより、得られたペレットを用いて、面衝撃強度に優れた成形体を得ることができる。
【0117】
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述の樹脂組成物の製造方法により得られる。前記樹脂組成物は、上述の樹脂組成物の製造方法により得ることで、該樹脂組成物を用いて、面衝撃強度に優れた成形体を得ることができる。
【0118】
上述の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物は、例えば、射出成形法により成形して、成形体を得ることができる。
【0119】
射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等が挙げられる。射出成形体の形状は、特に限定されるものではない。射出成形体は、例えば、自動車材料用途、家電材料用途、コンテナー用途等に用いることができ、好ましくは、自動車内外装用途に用いることができる。
【0120】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含み、
前記ろ過装置は、前記混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備え、
前記ろ過工程は、前記混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を前記一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含み、
前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、前記供給口から前記ろ過面に向かって流路が拡大されている、樹脂組成物の製造方法。
[2]前記ろ過装置において、前記供給口から前記ろ過面までの空間の体積をV、前記ろ過面の面積をS、前記供給口の面積をAとしたとき、
前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、V/Sが1cm未満であり、かつ、S/Aが20以上である、[1]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[3]前記樹脂組成物の原料が、プロピレン系重合体を含む、[1]または[2]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[4]前記樹脂組成物の原料が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含む、[3]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[5]前記ろ過工程において、前記一次ろ過工程を行うろ過装置と前記二次ろ過工程を行うろ過装置との間に昇圧ポンプを設ける、[1]~[4]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法。
[6]前記一次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが70μm以上であり、前記二次ろ過工程を行うろ過装置におけるフィルターの目開きが10μm以上60μm以下である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法。
[7]前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つにおいて、前記混練物の供給量に対する前記ろ過面の面積の比が、0.1cm2・hr/kg以上0.4cm2・hr/kg以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法。
[8]樹脂組成物の原料が、破砕材である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法。
[9]樹脂組成物の原料が、バージンプロピレン系重合体をさらに含む、[8]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[10]樹脂組成物の原料が、エチレン-α-オレフィン共重合体をさらに含む、[8]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[11]樹脂組成物の原料が、エチレン-α-オレフィン共重合体としてリサイクルエチレン-α-オレフィン共重合体を含む、[10]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[12][1]~[11]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物を押出機により押し出してペレットを得るペレタイズ工程を含む、ペレットの製造方法。
[13][1]~[11]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の製造方法により得られる、樹脂組成物。
【実施例】
【0121】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0122】
実施例および比較例では、以下の原料を使用した。
試料1(実施例1,2、比較例1): 15mmアンダーに破砕された自動車ピラー材(プロピレン系重合体を含む樹脂組成物)
試料2(実施例3、4、比較例2): 15mmアンダーに破砕された自動車バンパー材(プロピレン系重合体を含む樹脂組成物)
【0123】
(実施例1,3,4)
試料を、トータル供給量450kg/hrで単軸押出機に供給し、シリンダ温度200℃で溶融した。次に、溶融した試料を、押出機の先端に接続した1段目フィルター(設定温度200℃)でろ過し(一次ろ過工程)、スクリューポンプを経て、2段目フィルターでろ過し(二次ろ過工程)、ダイバータバルブを経て、ダイバータバルブの下流に接続したダイから、アンダーウォーターカット方式の造粒ユニットを経て、粒子化および冷却固化した。
【0124】
各フィルターの詳細を以下に示す。なお、Sはろ過面の面積であり、Aは供給口の面積であり、Vは供給口からろ過面までの空間の体積である。
1段目フィルター:S=1200cm2、A=1200cm2、V=37000cm3、フィルター目開き80μm
2段目フィルター:S=1480cm2、A=19.6cm2、V=560cm3、フィルター目開き20または40μm
【0125】
(実施例2)
上述の1段目フィルター(一次ろ過工程)を使用してろ過した試料を、トータル供給量20kg/hrで35mmの単軸押出機に供給し、シリンダ温度200℃で溶融した。次に、溶融した試料を、押出機の先端に接続したフィルター(S=100cm2、A=4.9cm2、V=30cm3、フィルター目開き20μm)でろ過し(二次ろ過工程)、その後、ストランド状になった樹脂をストランドバスにて冷却し、ペレタイザーを用いて粒子化した。
【0126】
(比較例1,2)
試料を、トータル供給量10kg/hrで40mmの単軸押出機に供給し、シリンダ温度200℃で溶融した。次に、溶融した試料を、押出機の先端に接続したメッシュフィルター(S=12.5cm2、A=12.5cm2、V=50cm3、フィルター目開き80μm)で1回目のろ過を行い、ストランド状になった樹脂をストランドバスにて冷却し、ペレタイザーを用いて粒子化した。その後、上述のメッシュフィルターの目開きを10μmに変更して、2回目のろ過を行った。
【0127】
<パンクチャー衝撃試験評価用射出成形体の製造>
各実施例および各比較例で得られたペレット状の樹脂組成物をJIS K7152に記載されている範囲の以下の条件で射出成形して、パンクチャー衝撃試験評価用の射出成形体を製造した。射出成形機で溶融された樹脂組成物は、JIS K7139に記載されている小形角板タイプD12の金型を用いて、ゲートから金型キャビティ内へ射出成形機により供給された。
射出成形機:住友重機械工業株式会社製 SE130DU
シリンダ温度:197℃
金型温度:40℃
射出速度:13.5mm/秒
冷却時間:8秒
成形1サイクル:60秒
射出成形体:タイプD12平板(縦60mm×横60mm×厚み2mm)
【0128】
<パンクチャー衝撃試験の評価>
得られた平板状の成形体を島津サイエンス東日本株式会社製 HITS-P10を用いて、以下の条件でパンクチャーエネルギー(単位:J)を測定した。
ストラーカー径:1/2inch
ホルダー径:1.5inch
測定速度:2.8m/秒
測定温度:23℃、-30℃
測定値:N数=6の平均値を算出
【0129】
【0130】
表1の結果から分かるように、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例の製造方法により得られた成形体は、面衝撃強度に優れ、特に、寒冷地を想定した-30℃の環境下において面衝撃強度に優れる。
【要約】
【課題】面衝撃強度に比較的優れた成形体を得ることが可能な樹脂組成物の製造方法、ペレットの製造方法、および、樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物の原料を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練された混練物を、ろ過装置を用いてろ過するろ過工程と、を含み、前記ろ過装置は、前記混練物を供給する供給口と、ろ過面を有するフィルターと、を備え、前記ろ過工程は、前記混練物を最初にろ過する一次ろ過工程と、一次ろ過を経た混練物を前記一次ろ過工程よりも細かい目開きのフィルターを用いてろ過する二次ろ過工程と、を含み、前記二次ろ過工程を行うろ過装置の少なくとも一つは、前記供給口から前記ろ過面に向かって流路が拡大されている。
【選択図】 なし