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特許7659711光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250402BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024576543
(86)(22)【出願日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2024015341
(87)【国際公開番号】W WO2024225147
(87)【国際公開日】2024-10-31
【審査請求日】2024-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2023070595
(32)【優先日】2023-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】川口 潤也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 峻英
(72)【発明者】
【氏名】西澤 正泰
(72)【発明者】
【氏名】関 寛和
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-530497(JP,A)
【文献】特開2001-357998(JP,A)
【文献】特開2021-043361(JP,A)
【文献】特表2018-500601(JP,A)
【文献】特開2022-174163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーであって、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側に配置された前記光路カバーと、
前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置され、前記EUV光を透過させるフィルタと、
を備え、
前記光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気され
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する、
光源装置。
【請求項2】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
前記レーザ光を透過させる透過部材と、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に前記透過部材を配置させた前記レーザ光路カバーと、
を備え、
前記レーザ光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気され
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する、
光源装置。
【請求項3】
前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離する、
請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーであって、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側に配置された前記光路カバーと、
前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置され、前記EUV光を透過させるフィルタと、
を備え、
前記光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気されるように構成され、
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する光源装置を準備するステップと、
前記光路カバーに形成された導入口からパージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させるステップと、
前記ターゲット材に前記レーザ光を照射することにより前記EUV光を生成するステップと、
を備えた照明方法。
【請求項5】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
前記レーザ光を透過させる透過部材と、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に前記透過部材を配置させた前記レーザ光路カバーと、
を備え、
前記光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気されるように構成され、
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する光源装置を準備するステップと、
前記レーザ光路カバーに形成された導入口からパージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させるステップと、
前記ターゲット材に前記レーザ光を照射することにより前記EUV光を生成するステップと、
を備えた照明方法。
【請求項6】
前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離する、
請求項4または5に記載の照明方法。
【請求項7】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
を含む光源を準備するステップと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に外側カバーを配置させ、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じるように排気口を形成することにより排気ケースを配置させるステップと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーを、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側になるように配置させるステップと、
前記EUV光を透過させるフィルタを前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置させるステップと、
前記光路カバーにパージガスが導入される導入口を形成するステップと、
を備え
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する、
光源装置の製造方法。
【請求項8】
中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボと、
前記ルツボの内周面に拡げられ、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
前記ルツボの前記一端を覆い、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
を含む光源を準備するステップと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に外側カバーを配置させ、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じるように排気口を形成することにより排気ケースを配置させるステップと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーを、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端が前記レーザ光を通すにように配置させるステップと、
前記レーザ光が透過する透過部材を前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に配置させるステップと、
前記レーザ光路カバーにパージガスが導入される導入口を形成するステップと、
を備え
前記排気ケースの前記外側カバーは、矩形状であり、前記ルツボ側の端が開口して前記デブリシールドと接続する、
光源装置の製造方法。
【請求項9】
前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離するように配置された、
請求項7または8に記載の光源装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1~非特許文献3には、回転するドラムの表面に形成させたキセノンを含むターゲット材にレーザ光を照射し、発生したプラズマからEUV光を生成する光源が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「Progress towards Actinic Patterned Mask Inspection」、Oleg Khodykin、Workshop Proceedings、2015 International Workshop on EUV Lithography、2015年6月15日、[2023年3月6日検索]、インターネット<https://www.euvlitho.com/2015/P51.pdf>
【文献】「Bright and reliable Xe-based EUV source for metrology and inspection applications」、Oleg Khodykin、Workshop Proceedings、2015 International Workshop on EUV and Soft X-Ray Sources、2015年11月9日、[2023年3月6日検索]、インターネット<https://www.euvlitho.com/2015/S31.pdf>
【文献】「Status of Actinic Patterned Mask Inspection at KLA-Tencor」、Oleg Khodykin、Workshop Proceedings、2016 International Workshop on EUV and Soft X-Ray Sources、2016年11月7日、[2023年3月6日検索]、インターネット<https://www.euvlitho.com/2016/S19.pdf>
【発明の概要】
【0004】
EUV光を生成する方法として、上述した非特許文献1~非特許文献3の他に、スズを含む液体状の溶融金属をルツボ等の容器に入れて回転させ、レーザ光を溶融金属に照射して発生させたプラズマからEUV光を生成する方法もある。いずれの方法においても、プラズマ発生時にキセノン、スズ、リチウム等のターゲット材から形成されたデブリによって、ミラー等の光学素子が劣化する。このことは、EUV光源における深刻な問題となっている。
【0005】
これまで、レーザ光の光路やミラー近傍に不活性ガスを流してデブリを抑制する方法が提案されてきた。しかし、拡散した不活性ガスやガス化したターゲット材により、EUV光が吸収されること、及び、デブリの形成を十分に抑制されずに光学素子の汚染が依然として発生することにより、EUV光の光量が低下することが課題となっている。
【0006】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、EUV光の光量の低下を抑制することができる光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法を提供する。
【0007】
本実施形態の一態様に係る光源装置は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーであって、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりもコレクターミラー側に配置された前記光路カバーと、前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置され、前記EUV光を透過させるフィルタと、を備え、前記光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気される。
【0008】
本実施形態の一態様に係る光源装置は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、前記レーザ光を透過させる透過部材と、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に前記透過部材を配置させた前記レーザ光路カバーと、をさらに備え、前記レーザ光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気される。
【0009】
上記の光源装置では、前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離してもよい。
【0010】
上記の光源装置では、中心軸を回転軸として回転する円筒状のドラムであって、表面に前記ターゲット材が固化されるように冷却された前記ドラムと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したハウジング、及び、前記ハウジングよりも前記ターゲット材側に形成された供給空間に通じる供給口を有する供給ケースと、をさらに備え、前記供給口から供給された前記ターゲット材のガスは、前記ドラムの表面で固化されることにより、前記ターゲット材が形成されてもよい。
【0011】
上記の光源装置では、中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボであって、内面で前記ターゲット材が溶融するように加熱された前記ルツボと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、をさらに備え、液体の前記ターゲット材を前記ルツボの内周面に拡げることにより、前記ターゲット材が形成されてもよい。
【0012】
本実施形態の一態様に係る照明方法は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーであって、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりもコレクターミラー側に配置された前記光路カバーと、前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置され、前記EUV光を透過させるフィルタと、を含む光源装置を準備するステップと、前記光路カバーに形成された導入口からパージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させるステップと、前記ターゲット材に前記レーザ光を照射することにより前記EUV光を生成するステップと、を備える。
【0013】
本実施形態の一態様に係る照明方法は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、前記レーザ光を透過させる透過部材と、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に前記透過部材を配置させた前記レーザ光路カバーと、を含む光源装置を準備するステップと、前記レーザ光路カバーに形成された導入口からパージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させるステップと、前記ターゲット材に前記レーザ光を照射することにより前記EUV光を生成するステップと、を備える。
【0014】
上記の照明方法では、前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離してもよい。
【0015】
上記の照明方法では、前記光源装置は、中心軸を回転軸として回転する円筒状のドラムであって、表面に前記ターゲット材が固化されるように冷却された前記ドラムと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したハウジング、及び、前記ハウジングよりも前記ターゲット材側に形成された供給空間に通じる供給口を有する供給ケースと、をさらに含み、前記光源装置を準備するステップにおいて、前記供給口から前記ターゲット材の気体を前記供給空間に供給し、供給した前記ターゲット材の気体を前記ドラムの表面で固化させることにより、前記ターゲット材を形成してもよい。
【0016】
上記の照明方法では、前記光源装置は、中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボであって、内面で前記ターゲット材が溶融するように加熱された前記ルツボと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、をさらに含み、前記光源装置を準備するステップにおいて、液体状の前記ターゲット材を前記ルツボの内周面に拡げることにより前記ターゲット材を形成してもよい。
【0017】
本実施形態の一態様に係る光源装置の製造方法は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、を含む光源を準備するステップと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に外側カバーを配置させ、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じるように排気口を形成することにより排気ケースを配置させるステップと、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状の光路カバーを、前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりもコレクターミラー側になるように配置させるステップと、前記EUV光を透過させるフィルタを前記光路カバーの前記他端または前記光路カバー内に配置させるステップと、前記光路カバーにパージガスが導入される導入口を形成するステップと、を備える。
【0018】
本実施形態の一態様に係る光源装置の製造方法は、レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、を含む光源を準備するステップと、前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に外側カバーを配置させ、前記外側カバーよりもターゲット材側に形成された排気空間に通じるように排気口を形成することにより排気ケースを配置させるステップと、開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きい筒状のレーザ光路カバーを、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端が前記レーザ光を通すにように配置させるステップと、前記レーザ光が透過する透過部材を前記レーザ光路カバーの前記他端または前記レーザ光路カバー内に配置させるステップと、前記レーザ光路カバーにパージガスが導入される導入口を形成するステップと、を備える。
【0019】
上記の光源装置の製造方法では、前記外側カバーは、前記ターゲット材が配置された前記排気空間と前記コレクターミラーが配置された光路空間とを分離するように配置されてもよい。
【0020】
上記の光源装置の製造方法では、前記光源は、中心軸を回転軸として回転する円筒状のドラムであって、表面に前記ターゲット材が固化されるように冷却された前記ドラムと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したハウジング、及び、前記ハウジングよりも前記ターゲット材側に形成された供給空間に通じる供給口を有する供給ケースと、をさらに含み、前記供給口から前記ターゲット材の気体を前記供給空間に供給し、供給した前記ターゲット材の気体を前記ドラムの表面で固化させることにより、前記ターゲット材を形成するステップをさらに備えてもよい。
【0021】
上記の光源装置の製造方法では、前記光源は、中心軸を回転軸として回転し、開口した一端及び閉じた他端を有する円筒状のルツボであって、内面で前記ターゲット材が溶融するように加熱された前記ルツボと、前記レーザ光の照射位置に対向した部分が開口したデブリシールドと、をさらに含み、液体状の前記ターゲット材を前記ルツボの内周面に拡げることにより、前記ターゲット材を形成するステップをさらに備えてもよい。
【0022】
本開示によれば、EUV光の光量の低下を抑制することができる光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】比較例に係る光源を例示した斜視図である。
図2】比較例に係る光源を例示した断面図であり、図1のII-II線による断面を模式的に示したものである。
図3】比較例に係る光源を例示した断面図であり、図1のIII-III線による断面を模式的に示したものである。
図4】比較例に係る光源を例示した断面図である。
図5】実施形態1に係る光源装置を例示した断面図である。
図6】実施形態1に係る光源装置を使用した照明方法を例示したフローチャート図である。
図7】実施形態1に係る光源装置の製造方法を例示したフローチャート図である。
図8】比較例に係る光源において、パージガスの流れを例示した図である。
図9】比較例に係る光源において、パージガスの流れを例示した図である。
図10】比較例に係る光源において、パージガスの流れを例示した図である。
図11】比較例に係る光源において、パージガスの流れを例示した図である。
図12】実施形態2に係る光源装置を例示した断面図である。
図13】実施形態3に係る光源装置を例示した断面図である。
図14】実施形態4に係る光源装置を例示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0025】
実施形態の光源装置を説明する前に、<比較例>において、比較例の光源を説明する。その後、<発明者が見出した課題>において、比較例に係る光源に対して発明者が見出した課題を説明する。そして、<実施形態1>及び<実施形態2>において、本実施形態の光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法を説明する。
【0026】
<比較例>
図1は、比較例に係る光源101を例示した斜視図である。図2は、比較例に係る光源101を例示した断面図であり、図1のII-II線による断面を模式的に示したものである。図3は、比較例に係る光源101を例示した断面図であり、図1のIII-III線による断面を模式的に示したものである。なお、図が煩雑にならないように、いくつかの符号及びいくつかのハッチングを省略している。
【0027】
図1図3に示すように、比較例の光源101は、ドラム10、ターゲット材11、供給ケース20を備えている。供給ケース20は、ハウジング21及び供給口22を有している。また、供給ケース20は、ワイパー25、真空シール26、注入口27及び窓28をさらに有してもよい。
【0028】
ドラム10は、中心軸Cを有する円筒状である。ドラム10は、中心軸Cを回転軸として回転する。また、ドラム10は、中心軸C方向に移動してもよい。
【0029】
ここで、光源101の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。ドラム10の中心軸Cが延びる方向をZ軸方向とする。ドラム10の中心軸Cに直交する面をXY面とする。例えば、+Z軸方向を上方とし、-Z軸方向を下方とする。なお、上方及び下方は、光源101の説明の便宜のためのものであり、実際の光源101が配置される方向を示すものではない。
【0030】
ドラム10は、材料として、例えば、銅を含んでいる。ドラム10の内部には、液体窒素等の冷却材12が供給されている。よって、ドラム10は、表面にターゲット材11が固化されるように冷却されている。なお、ドラム10の材料は、ドラム10の表面の温度をターゲット材11の凝固点以下にすることができれば、銅に限らず、他の材料を含んでもよい。
【0031】
ターゲット材11は、レーザ光13を照射することにより、プラズマ14とともにEUV光15を生成する。ターゲット材11は、ドラム10の表面に形成されている。ターゲット材11は、例えば、キセノン(Xe)を含む。なお、ターゲット材11は、レーザ光13を照射することによって、プラズマ14とともにEUV光15を生成するものであれば、キセノンに限らず、スズ(Sn)、リチウム(Li)等を含んでもよい。
【0032】
供給ケース20は、ハウジング21及び供給口22を有する。ハウジング21は、ドラム10を覆っている。ハウジング21は、例えば、内部が空洞の円筒状である。ドラム10は、ハウジング21の内部に配置されている。ドラム10は、ハウジング21の内部で回転する。ハウジング21は、レーザ光13の照射位置17に対向した部分が開口している。したがって、ハウジング21は、レーザ光13の照射位置17以外のターゲット材11を覆ってもよい。ハウジング21は、ハウジング21よりもターゲット材11側に空間を形成している。ハウジング21よりもターゲット材11側に形成された空間を供給空間23と呼ぶ。
【0033】
供給口22は、供給空間23に通じている。また、供給口22は、ターゲット材11のガス16の供給部24につながっている。供給部24は、供給口22を介して供給空間23にターゲット材11のガス16を供給する。供給口22より供給されたターゲット材11のガス16は、ドラム10の表面で固化されることにより、ターゲット材11が形成される。
【0034】
レーザ光13は、ドラム10の表面で固化されたターゲット材11を照射する。これにより、ターゲット材11からプラズマ14が発生する。よって、発生したプラズマ14からEUV光15を生成することができる。ドラム10は、中心軸Cの周りで回転しつつ、中心軸C方向に移動する。よって、レーザ光13の照射位置17は、常に、レーザ光13の未照射のターゲット材11となっている。
【0035】
レーザ光13は、集光レンズ等の透過部材70及び窓28を介してターゲット材11を照射してもよい。ワイパー25は、ドラム10の表面で固化したターゲット材11を成形してもよい。真空シール26は、光源101の内部をシールする。注入口27は、ドラム10の内部に通じている。注入口27を介してドラム10の内部に液体窒素を注入する。
【0036】
<発明者が見出した課題>
図4は、比較例に係る光源101を例示した断面図である。図4に示すように、比較例の光源101において、レーザ光13を照射することにより生成されたEUV光15は、コレクターミラー30によって反射され、光源101の外部に取り出される。EUV光15の生成時に、プラズマ14の発生に伴って、ターゲット材11のデブリ18が発生する場合がある。発生したデブリ18は、コレクターミラー30等の光学素子に付着し、光学素子におけるEUV光15の反射光及び透過光の光量を低減させる。
【0037】
そこで、光学素子へのデブリ18の付着を抑制するために、レーザ光13の光路及び光学素子の近傍に不活性ガス等を含むパージガス44を流して、デブリ18の付着を抑制する場合がある。パージガス44は、例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)及び水素(H)の少なくともいずれかを含んでもよいし、これら以外のガスを含んでもよい。しかしながら、拡散したパージガス44、及び、ガス化したターゲット材11のガス16により、EUV光15が吸収され、EUV光15の光量が低減するという課題がある。また、発生したデブリ18が十分に抑制されずに依然として、光学素子が劣化し、EUV光15の光量が低減するという課題がある。
【0038】
<実施形態1>
次に、実施形態1に係る光源装置を説明する。本実施形態に係る光源装置は、パージガス44及びターゲット材11のガス16の拡散範囲を限定することにより、EUV光15の光路を高真空に保ち、パージガス44等によるEUV光15の吸収を抑制しつつ、デブリ18の除去効果を向上させる。
【0039】
図5は、実施形態1に係る光源装置1を例示した断面図である。図5に示すように、本実施形態の光源装置1は、ドラム10、ターゲット材11、供給ケース20、コレクターミラー30、排気ケース40、光路カバー50、フィルタ60、透過部材70、及び、光路カバー80を備えている。光源装置1におけるドラム10、ターゲット材11及び供給ケース20の構成は、比較例の光源101における構成と同様である。
【0040】
コレクターミラー30は、ターゲット材11にレーザ光13を照射することにより生成されたEUV光15を反射させる。コレクターミラー30は、例えば、EUV光15を検査装置の照明光学系に反射する。これにより、検査装置は、EUV光15を検査光に用いることができる。なお、コレクターミラー30は、検査装置に限らず、露光装置等の他の光学装置にEUV光15を反射させてもよい。
【0041】
排気ケース40は、外側カバー41及び排気口42を有する。外側カバー41は、ターゲット材11とコレクターミラー30との間に配置されている。具体的には、外側カバー41は、ターゲット材11とコレクターミラー30との間に配置された部分を含む。外側カバー41は、供給ケース20を覆ってもよい。本実施形態では、外側カバー41は、内部が空洞の円筒状である。供給ケース20は、外側カバー41の内部に配置されている。外側カバー41は、外側カバー41よりもターゲット材11側に空間を形成している。外側カバー41よりもターゲット材11側に形成された空間を排気空間43と呼ぶ。
【0042】
排気口42は、排気空間43に通じている。また、排気口42は、排気ポンプに接続されてもよい。これにより、排気口42を介して排気空間43を排気することができる。
【0043】
光路カバー50は、ターゲット材11と、コレクターミラー30と、の間に配置されている。光路カバー50は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状を有している。具体的には、光路カバー50は、開口した一端51及び開口した他端52を有する筒状であるが、一端51の開口径よりも他端52の開口径の方が大きく、一端51の開口から他端52の開口に向かって、径が大きくなった筒状である。光路カバー50の一端51は、外側カバー41よりもターゲット材11側においてターゲット材11に対向する。光路カバー50の他端52は、外側カバー41よりもコレクターミラー30側においてコレクターミラー30に対向するように配置されている。
【0044】
光路カバー50は、外側カバー41を貫通して配置されている。すなわち、光路カバー50の一端51は、外側カバー41よりもターゲット材11側の排気空間43に突出している。光路カバー50の他端52は、外側カバー41よりもコレクターミラー30側の空間に突出している。外側カバー41よりもコレクターミラー30側の空間を光路空間46と呼ぶ。ターゲット材11が配置された排気空間43とコレクターミラー30が配置された光路空間46とは、光路カバー50によって接続されている。外側カバー41は、ターゲット材11が配置された排気空間43とコレクターミラー30が配置された光路空間46とを分離する。光路空間46は、真空ポンプ等の排気ポンプによって、高真空状態に保たれることが望ましい。
【0045】
フィルタ60は、光路カバー50の他端52を塞ぐように配置されている。フィルタ60は、EUV光15を透過させる。光路カバー50にはパージガス44を導入するための導入口53が形成されている。例えば、導入口53は、光路カバー50において外側カバー41よりもコレクターミラー30側に形成されている。導入口53から導入されたパージガス44は、光路カバー50の一端51からターゲット材11に向けて噴出され、排気空間43を通って排気口42から排気される。
【0046】
透過部材70は、レーザ光13を透過させる。透過部材70は、例えば、レーザ光13を集光する集光レンズ70bでもよいし、ガラス板70aでもよい。なお、透過部材70は、レーザ光13を透過させることができれば、集光レンズ70b及びガラス板70aに限らず、他の光学部材でもよい。
【0047】
光路カバー80は、ターゲット材11と、透過部材70と、の間に配置されている。光路カバー80をレーザ光路部材とも呼ぶ。光路カバー80は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状を有している。具体的には、光路カバー80は、開口した一端81及び開口した他端82を有する筒状であるが、一端81の開口径よりも他端82の開口径の方が大きく、一端81の開口から他端82の開口に向かって、径が大きくなった筒状である。光路カバー80の一端81は、ターゲット材11に対向し、他端82は、透過部材70に対向するように配置されている。
【0048】
光路カバー80は、外側カバー41を貫通して配置されてもよい。すなわち、光路カバー80の一端81は、外側カバー41よりもターゲット材11側の排気空間43に突出している。光路カバー80の他端82は、外側カバー41よりも透過部材70側の空間に突出している。外側カバー41よりも透過部材70側の空間は、光路空間46につながっていてもよい。ターゲット材11が配置された排気空間43と透過部材70が配置された空間とは、光路カバー80によって接続されている。外側カバー41は、ターゲット材11が配置された排気空間43と透過部材70が配置された光路空間46とを分離する。
【0049】
透過部材70は、光路カバー80の他端82を塞ぐように配置されている。光路カバー80には、パージガス44を導入するための導入口83が形成されている。例えば、導入口83は、光路カバー80において外側カバー41よりも透過部材70側に形成されている。導入口83から導入されたパージガス44は、光路カバー80の一端81からターゲット材11に向けて噴出され、排気空間43を通って排気口42から排気される。
【0050】
このように、本実施形態の光源装置1は、ターゲット材11の周囲を排気ケース40で囲うとともに、EUV光15及びレーザ光13が配置された光路空間46と、ターゲット材11が配置された排気空間43とを分離する。また、光路カバー50の他端52をフィルタ60でシールし、光路カバー80の他端82を透過部材70でシールする。このような構成とすることにより、レーザ光13の入射口である光路カバー80の一端81及びEUV光15の出射口である光路カバー50の一端51から排気口42へ向かう不活性ガス(Ar、He、N及びH)等のパージガス44の流れを形成する。よって、パージガス44等のガス圧の高い範囲を限定して、デブリ18の除去効果を向上させることができる。
【0051】
さらに、光路カバー50及び光路カバー80を、それぞれ、一端51及び一端81に向かうほど径が絞られるコーン形状とすることで、一端51及び一端81におけるガス圧及びガス流速を効率的に上昇させることができ、デブリ18の除去効果を向上させることができる。
【0052】
次に、本実施形態の動作として、光源装置1を用いた照明方法を説明する。図6は、実施形態1に係る光源装置1を用いた照明方法を例示したフローチャート図である。図6に示すように、照明方法は、光源装置1を準備するステップ(S11)、パージガス44を噴出させるステップ(S12)及びEUV光15を生成するステップ(S13)を備えている。
【0053】
まず、ステップS11に示すように、光源装置1を準備する。光源装置1は、ターゲット材11、コレクターミラー30、排気ケース40、光路カバー50及びフィルタ60を備えている。また、光源装置1は、さらに、ドラム10、供給ケース20、透過部材70及び光路カバー80を備えてもよい。
【0054】
ステップS11において、供給口22からターゲット材11のガス16を供給空間23に供給し、供給したターゲット材11のガス16をドラム10の表面で固化させることにより、ターゲット材11を形成してもよい。
【0055】
次に、ステップS12に示すように、パージガス44を噴出させる。具体的には、光路カバー50に形成された導入口53からパージガス44を導入し、導入したパージガス44を、光路カバー50の一端51からターゲット材11に向けて噴出させる。そして、パージガス44を、排気空間43を通って排気口42から排気させる。
【0056】
ステップS12において、光路カバー80に形成された導入口83からパージガス44を導入し、導入したパージガス44を、光路カバー80の一端81からターゲット材11に向けて噴出させてもよい。そして、パージガス44を、排気空間43を通って排気口42から排気させてもよい。
【0057】
次に、ステップS13に示すように、EUV光15を生成する。具体的には、ターゲット材11にレーザ光13を照射することにより、EUV光15を生成する。このようにして、EUV光15を含む照明光を生成することにより、検査装置等における照明光を形成することができる。
【0058】
次に、本実施形態の光源装置1の製造方法を説明する。本実施形態の光源装置1の製造方法は、例えば、比較例の光源101から光源装置1を製造する。図7は、実施形態1に係る光源装置1の製造方法を例示したフローチャート図である。図7に示すように、光源装置1の製造方法は、光源101を準備するステップ(S21)、排気ケース40を配置するステップ(S22)、光路カバー50を配置するステップ(S23)、フィルタ60を配置するステップ(S24)、パージガス44の導入口53を形成するステップ(S25)を備えている。なお、ステップS22~S25の順序は、この順序に限らず、他の順序で製造してもよいし、いずれかの順序を並列に行ってもよい。
【0059】
ステップS21に示すように、光源101を準備する。光源101は、ターゲット材11及びコレクターミラー30を備えている。また、光源101は、さらに、ドラム10及び供給ケース20を備えてもよい。
【0060】
次に、ステップS22に示すように、排気ケース40を配置させる。具体的には、ターゲット材11とコレクターミラー30との間に外側カバー41を配置させる。そして、外側カバー41よりもターゲット材11側に形成された排気空間43に通じるように排気口42を形成する。ターゲット材11を囲むように外側カバー41を配置させてもよい。このようにして、排気ケース40を配置させる。外側カバー41は、ターゲット材11が配置された排気空間43とコレクターミラー30が配置された光路空間46とを分離するように配置されることが好ましい。これにより、パージガス44及びターゲット材11のガス16でEUV光15の光量が低減することを抑制することができる。
【0061】
次に、ステップS23に示すように、光路カバー50を配置させる。具体的には、光路カバー50を、一端51が外側カバー41よりもターゲット材11側においてターゲット材11に対向し、他端52が外側カバー41よりもコレクターミラー30側においてコレクターミラー30に対向するように、外側カバー41を貫通させて配置させる。
【0062】
次に、ステップS24に示すように、フィルタ60を配置させる。具体的には、EUV光15を透過させるフィルタ60で光路カバー50の他端52を塞ぐようにフィルタ60を配置させる。
【0063】
次に、ステップS25に示すように、光路カバー50にパージガス44が導入される導入口53を形成する。このようにして、光源装置1を製造することができる。なお、以下に示すように、光路カバー80を配置させるステップ、透過部材70を配置させるステップ、導入口83を形成するステップ、及び、ターゲット材11を形成するステップをさらに備えてもよい。
【0064】
光路カバー80を配置させるステップにおいて、光路カバー80を、一端81がターゲット材11に対向し、他端82がレーザ光13を通すにように配置させる。透過部材70を配置させるステップにおいて、レーザ光13が透過する透過部材70で光路カバー80の他端82を塞ぐように透過部材70を配置させる。導入口83を形成するステップにおいて、光路カバー80にパージガス44の導入口83を形成する。ターゲット材11を形成するステップにおいて、供給口22からターゲット材11のガス16を供給空間23に供給し、供給したターゲット材11のガス16をドラム10の表面で固化させることにより、ターゲット材11を形成する。
【0065】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の光源装置1は、排気ケース40、光路カバー50、フィルタ60を用いてパージガス44及びターゲット材11のガス16の拡散範囲を限定している。これにより、EUV光15が通る光路を高真空状態に維持することができ、パージガス44及びターゲット材11のガス16によるEUV光15の吸収を抑制することができる。よって、EUV光15の光量の低下を抑制することができる。
【0066】
他端52の開口から一端51の開口に向かって、径が絞られるコーン形状の光路カバー50を通してパージガス44を噴出させるので、ターゲット材11近傍に噴出されるガスの流速を大きくすることができる。その結果、デブリを押し出す力を増加させ、コレクターミラー30等の光学部材の汚染を抑制することができる。光路カバー80についても同様である。
【0067】
図8図11は、比較例に係る光源101において、パージガス44の流れを例示した図である。図8図11に示すように、比較例の光源101においては、レーザ光13及びEUV光15の光路にパージガス44が分布し、EUV光15の光量が低減している。比較例の光源101では、コレクターミラー30の位置関係、パージガス44の流れ系統及びパージガス44の圧力の各条件を変化させても、EUV光15が通る光路を高真空状態に維持することができない。これに対して、本実施形態の光源装置1は、パージガス44が流れる排気空間43とEUV光15が通る光路空間46とを分離することができるので、EUV光15が通る光路を高真空状態に維持することができる。
【0068】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る光源装置を説明する。本実施形態の光源装置において、ターゲット材11は、ドラム10の表面に固化される代わりに、ルツボの内部に配置される。図12は、実施形態2に係る光源装置2を例示した断面図である。図12に示すように、光源装置2は、ルツボ90、デブリシールド93、ターゲット材11a、コレクターミラー30、排気ケース240、光路カバー50、フィルタ60、透過部材70及び光路カバー80を備えている。実施形態2の光源装置2におけるコレクターミラー30、光路カバー50、フィルタ60、透過部材70及び光路カバー80の構成は、実施形態1の光源装置1における構成と同様である。
【0069】
ルツボ90は、中心軸Cを有する。ルツボ90は、中心軸Cを回転軸として回転する。ルツボ90は、開口した一端91及び閉じた他端92を有する円筒状である。ルツボ90は、内面でターゲット材11aが溶融するように加熱されている。
【0070】
ターゲット材11aは、液体であり、ルツボ90の内部に配置されている。ターゲット材11aは、ルツボ90の回転の遠心力により、ルツボ90の内周面に拡がっている。このように、液体のターゲット材11aをルツボ90の内面に拡げることにより、ターゲット材11aが形成されている。
【0071】
ルツボ90の開口した一端91は、デブリシールド93で覆われている。ルツボ90の一端91と、デブリシールド93とは、ルツボ90の回転に影響を与えないように分離されている。ルツボ90の一端91と、デブリシールド93とは、パージガス44が漏れないようなわずかな隙間となっているが、これに限らない。すなわちルツボ90の一端91とデブリシールド93との間からパージガス44が排出されるようにしてもよく、この場合、排気ケース240は、ルツボ90の円筒部分の外側に設けた外側カバー241を含み、外側カバー241はルツボ90の円筒部分と対向する位置(例えば、ルツボ90から、パージガス44が漏れ出す隙間の位置に対向する位置)に、少なくとも1つの排気口242を有してもよい。デブリシールド93は、ターゲット材11aにおけるレーザ光13の照射位置17に対向した部分が開口している。
【0072】
排気ケース240は、外側カバー241及び排気口242を有する。外側カバー241は、ターゲット材11aとコレクターミラー30との間に配置されている。外側カバー241は、デブリシールド93を覆ってもよい。本実施形態では、外側カバー241は、下方が開口した矩形状である。外側カバー241の下端は、デブリシールド93に接続してもよい。排気口242は、外側カバー241よりもターゲット材11a側に形成された排気空間243に通じている。
【0073】
光路カバー50は、ターゲット材11aと、コレクターミラー30と、の間に配置されている。光路カバー50の一端51は、ターゲット材11aに対向し、他端52は、コレクターミラー30に対向するように配置されている。光路カバー50は、外側カバー241を貫通して配置されている。すなわち、光路カバー50の一端51は、外側カバー241よりもターゲット材11a側の空間に突出している。光路カバー50の他端52は、外側カバー241よりもコレクターミラー30側の空間に突出している。外側カバー241及びデブリシールド93は、ターゲット材11aが配置された排気空間243とコレクターミラー30が配置された光路空間46とを分離する。
【0074】
光路カバー50の導入口53は、光路カバー50において外側カバー241よりもコレクターミラー30側に形成されている。導入口53から導入されたパージガス44は、光路カバー50の一端51からターゲット材11aに向けて噴出され、排気空間243を通って排気口242から排気される。
【0075】
光路カバー80は、ターゲット材11aと、透過部材70と、の間に配置されている。光路カバー80の一端81は、ターゲット材11aに対向し、他端82は、透過部材70に対向するように配置されている。光路カバー80は、デブリシールド93を貫通して配置されている。光路カバー80の一端81は、デブリシールド93よりもターゲット材11a側の空間に位置している。光路カバー80の他端82は、デブリシールド93よりも透過部材70側の空間に突出する。外側カバー241及びデブリシールド93は、ターゲット材11aが配置された排気空間243と透過部材70が配置された光路空間46とを分離する。
【0076】
光路カバー80の導入口83は、光路カバー80においてデブリシールド93よりも透過部材70側に形成されている。導入口83から導入されたパージガス44は、光路カバー80の一端81からターゲット材11aに向けて噴出され、排気空間243を通って排気口242から排気される。
【0077】
本実施形態の光源装置2を用いた照明方法は、光源装置2を準備するステップS11において、液体状のターゲット材11aをルツボ90の内周面に拡げることにより、ターゲット材11aを形成する。また、本実施形態の光源装置2の製造方法は、液体状のターゲット材11aをルツボ90の内周面に拡げることにより、ターゲット材11aを形成するステップをさらに備える。
【0078】
本実施形態によれば、光源装置2は、ルツボ90内における液体金属をターゲット材11aに使用することができるので、ターゲット材11aの選択肢を広げることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0079】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る光源装置を説明する。本実施形態の光源装置は、実施形態1の光源装置1に比べて、光路カバー50の一端51及び他端52の位置が異なっている。また、光路カバー80の一端81及び他端82の位置が異なっている。
【0080】
図13は、実施形態に係る光源装置3を例示した断面図である。図13に示すように、光源装置3において、光路カバー50は、コレクターミラー30及びフィルタ60を内部に含むように配置されている。光路カバー50は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状の部分を有しているが、これに限らない。例えば、光路カバー50は、径が一端51の開口から他端52の開口に向かって、徐々に大きくならない部分を含んでもよい。具体的には、光路カバー50は、開口した一端51及び開口した他端52を有する筒状であり、一端51の開口径よりも他端52の開口径の方が大きい筒状であれば、コーン形状及び円錐台形状以外の部分を含んでもよい。
【0081】
光路カバー50の一端51は、ターゲット材11に対向する。光路カバー50の一端51は、外側カバー41に接続している。このように、本実施形態において、光路カバー50は、外側カバー41を貫通しなくてもよい。光路カバー50の他端52は、外側カバー41よりもコレクターミラー30側に配置されている。光路カバー50の他端52は、コレクターミラー30よりもターゲット材11から離れる方向に位置している。つまり、コレクターミラー30及びフィルタ60は、光路カバー50の内部に配置され、一端51と他端52との間に配置されている。なお、光路カバー50は、コレクターミラー30で反射した反射光が通る部分に開口を有してもよいし、反射光が通る部分に反射光を透過する透過部材が嵌めこまれてもよい。
【0082】
フィルタ60は、光路カバー50の内部におけるコレクターミラー30よりもターゲット材11側に配置されている。このように、本実施形態のフィルタ60は、光路カバー50の他端52を塞ぐように配置されなくてもよい。
【0083】
なお、前述の実施形態1における光路カバー50の一端51及び他端52の位置と、本実施形態における光路カバー50の一端51及び他端52の位置とを適宜組み合わせてもよい。つまり、光路カバー50の一端51は、外側カバー41を貫通するように、外側カバー41よりもターゲット材11側に配置されてもよいし、外側カバー41に接続されてもよい。一端51のそれぞれの場合において、他端52は、フィルタ60によって塞がれるように、フィルタ60に接続されてもよいし、コレクターミラー30よりもターゲット材11から離れるように配置されてもよい。
【0084】
光路カバー80は、透過部材70(例えば、ガラス板70a及び集光レンズ70bの少なくともいずれか)を内部に含むように配置されている。光路カバー80は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状の部分を有しているが、これに限らない。例えば、光路カバー80は、径が一端81の開口から他端82の開口に向かって、徐々に大きくならない部分を含んでもよい。具体的には、光路カバー80は、開口した一端81及び開口した他端82を有する筒状であり、一端81の開口径よりも他端82の開口径の方が大きい筒状であれば、コーン形状及び円錐台形状以外の部分を含んでもよい。
【0085】
光路カバー80の一端81は、ターゲット材11に対向する。光路カバー80の一端81は、外側カバー41に接続している。このように、本実施形態において、光路カバー80は、外側カバー41を貫通しなくてもよい。光路カバー80の他端82は、外側カバー41よりも透過部材70側に配置されている。光路カバー80の他端82は、透過部材70よりもターゲット材11から離れる方向に位置している。つまり、透過部材70は、光路カバー80の内部に配置され、一端81と他端82との間に配置されている。
【0086】
ガラス板70aは、光路カバー80の内部における集光レンズ70bよりもターゲット材11側に配置されている。このように、本実施形態のガラス板70a等の透過部材70は、光路カバー80の他端82を塞ぐように配置されなくてもよい。
【0087】
なお、前述の実施形態1における光路カバー80の一端81及び他端82の位置と、本実施形態における光路カバー80の一端81及び他端82の位置とを適宜組み合わせてもよい。つまり、光路カバー80の一端81は、外側カバー41を貫通するように、外側カバー41よりもターゲット材11側に配置されてもよいし、外側カバー41に接続されてもよい。一端81のそれぞれの場合において、他端82は、ガラス板70a等の透過部材70によって塞がれるように、透過部材70に接続されてもよいし、透過部材70よりもターゲット材11から離れるように配置されてもよい。
【0088】
また、光路カバー50の一端51及び他端52の位置と、光路カバー80の一端81及び他端82の位置とを適宜組み合わせてもよい。
【0089】
実施形態3における上述した構成以外の構成、上述した構成以外を含む光源装置3を用いた照明方法、及び、上述した構成以外を含む光源装置3の製造方法は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0090】
<実施形態4>
次に、実施形態4に係る光源装置を説明する。本実施形態の光源装置は、実施形態2の光源装置2に比べて、光路カバー50の一端51及び他端52の位置が異なっている。また、光路カバー80の一端81及び他端82の位置が異なっている。
【0091】
図14は、実施形態4に係る光源装置4を例示した断面図である。図14に示すように、光源装置4において、光路カバー50は、コレクターミラー30及びフィルタ60を内部に含むように配置されている。光路カバー50は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状の部分を有しているが、これに限らない。例えば、光路カバー50は、径が一端51の開口から他端52の開口に向かって、徐々に大きくならない部分を含んでもよい。具体的には、光路カバー50は、開口した一端51及び開口した他端52を有する筒状であり、一端51の開口径よりも他端52の開口径の方が大きい筒状であれば、コーン形状及び円錐台形状以外の部分を含んでもよい。
【0092】
光路カバー50の一端51は、ターゲット材11aに対向する。光路カバー50の一端51は、外側カバー241に接続している。このように、本実施形態において、光路カバー50は、外側カバー241を貫通しなくてもよい。光路カバー50の他端52は、外側カバー241よりもコレクターミラー30側に配置されている。光路カバー50の他端52は、コレクターミラー30よりもターゲット材11aから離れる方向に位置している。つまり、コレクターミラー30及びフィルタ60は、光路カバー50の内部に配置され、一端51と他端52との間に配置されている。なお、光路カバー50は、コレクターミラー30で反射した反射光が通る部分に開口を有してもよいし、反射光が通る部分に反射光を透過する透過部材が嵌めこまれてもよい。
【0093】
フィルタ60は、光路カバー50の内部におけるコレクターミラー30よりもターゲット材11a側に配置されている。このように、本実施形態のフィルタ60は、光路カバー50の他端52を塞ぐように配置されなくてもよい。
【0094】
なお、前述の実施形態2における光路カバー50の一端51及び他端52の位置と、本実施形態における光路カバー50の一端51及び他端52の位置とを適宜組み合わせてもよい。つまり、光路カバー50の一端51は、外側カバー241を貫通するように、外側カバー241よりもターゲット材11a側に配置されてもよいし、外側カバー241に接続されてもよい。一端51のそれぞれの場合において、他端52は、フィルタ60によって塞がれるように、フィルタ60に接続されてもよいし、コレクターミラー30よりもターゲット材11aから離れるように配置されてもよい。
【0095】
光路カバー80は、透過部材70(例えば、ガラス板70a及び集光レンズ70bの少なくともいずれか)を内部に含むように配置されている。光路カバー80は、コーン形状または内部が空洞の円錐台形状の部分を有しているが、これに限らない。例えば、光路カバー80は、径が一端81の開口から他端82の開口に向かって、徐々に大きくならない部分を含んでもよい。具体的には、光路カバー80は、開口した一端81及び開口した他端82を有する筒状であり、一端81の開口径よりも他端82の開口径の方が大きい筒状であれば、コーン形状及び円錐台形状以外の部分を含んでもよい。
【0096】
光路カバー80の一端81は、ターゲット材11aに対向する。光路カバー80の一端81は、外側カバー241を貫通している。このように、本実施形態において、光路カバー80の一端81は、外側カバー241に接続しなくてもよい。光路カバー80の他端82は、外側カバー241よりも透過部材70側に配置されている。光路カバー80の他端82は、透過部材70よりもターゲット材11aから離れる方向に位置している。つまり、透過部材70は、光路カバー80の内部に配置され、一端81と他端82との間に配置されている。
【0097】
ガラス板70aは、光路カバー80の内部における集光レンズ70bよりもターゲット材11a側に配置されている。このように、本実施形態のガラス板70a等の透過部材70は、光路カバー80の他端82を塞ぐように配置されなくてもよい。
【0098】
なお、前述の実施形態1における光路カバー80の一端81及び他端82の位置と、本実施形態における光路カバー80の一端81及び他端82の位置とを適宜組み合わせてもよい。つまり、光路カバー80の一端81は、外側カバー241を貫通するように、外側カバー241よりもターゲット材11a側に配置されてもよいし、外側カバー241に接続されてもよい。一端81のそれぞれの場合において、他端82は、ガラス板70a等の透過部材70によって塞がれるように、透過部材70に接続されてもよいし、透過部材70よりもターゲット材11aから離れるように配置されてもよい。
【0099】
また、光路カバー50の一端51及び他端52の位置と、光路カバー80の一端81及び他端82の位置とを適宜組み合わせてもよい。
【0100】
実施形態4における上述した構成以外の構成、上述した構成以外を含む光源装置4を用いた照明方法、及び、上述した構成以外を含む光源装置4の製造方法は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0101】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。比較例、実施形態1及び2の各構成を組み合わせたものも本開示の技術思想に含まれる。
【0102】
また、以下の光源装置、照明方法及び光源装置の製造方法も本開示の技術思想に含まれる。
【0103】
(付記1)
レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状の光路カバーであって、前記一端が前記外側カバーよりも前記ターゲット材側において前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側において前記コレクターミラーに対向するように前記外側カバーを貫通して配置された前記光路カバーと、
前記光路カバーの前記他端を塞ぎ、前記EUV光を透過させるフィルタと、
を備え、
前記光路カバーに形成された導入口から導入されたパージガスは、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気される、
光源装置。
(付記2)
前記レーザ光を透過させる透過部材と、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端が前記透過部材に対向するように配置された前記レーザ光路カバーと、
をさらに備え、
前記透過部材は、前記レーザ光路カバーの前記他端を塞ぎ、
前記レーザ光路カバーに形成された導入口から導入された前記パージガスは、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出され、前記排気空間を通って前記排気口から排気される、
付記1に記載の光源装置。
(付記3)
レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に配置された外側カバー、及び、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じる排気口を有する排気ケースと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状の光路カバーであって、前記一端が前記外側カバーよりも前記ターゲット材側において前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側において前記コレクターミラーに対向するように前記外側カバーを貫通して配置された前記光路カバーと、
前記光路カバーの前記他端を塞ぎ、前記EUV光を透過させるフィルタと、
を含む光源装置を準備するステップと、
前記光路カバーに形成された導入口からパージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させるステップと、
前記ターゲット材に前記レーザ光を照射することにより前記EUV光を生成するステップと、
を備えた照明方法。
(付記4)
前記光源装置は、
前記レーザ光を透過させる透過部材と、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状のレーザ光路カバーであって、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端が前記透過部材に対向するように配置された前記レーザ光路カバーと、
をさらに含み、
前記排気口から排気させるステップにおいて、
前記レーザ光路カバーに形成された導入口から前記パージガスを導入し、導入した前記パージガスを、前記レーザ光路カバーの前記一端から前記ターゲット材に向けて噴出させ、前記排気空間を通って前記排気口から排気させる、
付記3に記載の照明方法。
(付記5)
レーザ光を照射することによりプラズマとともにEUV光を生成するターゲット材と、
生成された前記EUV光を反射させるコレクターミラーと、
を含む光源を準備するステップと、
前記ターゲット材と前記コレクターミラーとの間に外側カバーを配置させ、前記外側カバーよりも前記ターゲット材側に形成された排気空間に通じるように排気口を形成することにより排気ケースを配置させるステップと、
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状の光路カバーを、前記一端が前記外側カバーよりも前記ターゲット材側において前記ターゲット材に対向し、前記他端が前記外側カバーよりも前記コレクターミラー側において前記コレクターミラーに対向するように前記外側カバーを貫通させて配置させるステップと、
前記EUV光を透過させるフィルタで前記光路カバーの他端を塞ぐステップと、
前記光路カバーにパージガスが導入される導入口を形成するステップと、
を備えた光源装置の製造方法。
(付記6)
開口した一端及び開口した他端を有し、前記一端の開口径よりも前記他端の開口径の方が大きく、前記一端の開口から前記他端の開口に向かって、径が大きくなる筒状のレーザ光路カバーを、前記レーザ光路カバーの前記一端が前記ターゲット材に対向し、前記レーザ光路カバーの前記他端が前記レーザ光を通すにように配置させるステップと、
前記レーザ光が透過する前記透過部材で前記レーザ光路カバーの他端を塞ぐステップと、
前記レーザ光路カバーに前記パージガスが導入される導入口を形成するステップと、
を備えた、
付記5に記載の光源装置の製造方法。
【0104】
この出願は、2023年4月24日に出願された日本出願特願2023-070595を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0105】
1、2、3、4 光源装置
10 ドラム
11、11a ターゲット材
12 冷却材
13 レーザ光
14 プラズマ
15 EUV光
16 ガス
17 照射位置
18 デブリ
20 供給ケース
21 ハウジング
22 供給口
23 供給空間
24 供給部
25 ワイパー
26 真空シール
27 注入口
28 窓
30 コレクターミラー
40 排気ケース
41 外側カバー
42 排気口
43 排気空間
44 パージガス
46 光路空間
50 光路カバー
51 一端
52 他端
53 導入口
60 フィルタ
70 透過部材
70a ガラス板
70b 集光レンズ
80 光路カバー
81 一端
82 他端
83 導入口
90 ルツボ
91 一端
92 他端
93 デブリシールド
101 光源
240 排気ケース
241 外側カバー
242 排気口
243 排気空間
C 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14