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特許7659722電気装置と、押付部材と、押付部材を保持するための部品とを備える組立体
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  • 特許-電気装置と、押付部材と、押付部材を保持するための部品とを備える組立体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】電気装置と、押付部材と、押付部材を保持するための部品とを備える組立体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20250403BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20250403BHJP
【FI】
H05K7/12 N
H02M7/48 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019229975
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2020102625
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】1873808
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518100258
【氏名又は名称】ヴァレオ シーメンス イーオートモーティブ フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ルジャンドル
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン プイィ
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-186446(JP,A)
【文献】特開2006-186045(JP,A)
【文献】特開2014-166115(JP,A)
【文献】特開2009-070999(JP,A)
【文献】特開2015-128138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H05K 7/20
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性ブロックとして構成されており、冷却回路(17)の表面(3)に対して押し付けられるための第一面(2)を備える、少なくとも1つの電気装置(1)と、
‐前記電気装置(1)の、前記第一面(2)とは反対側の第二面(5)に配置される、少なくとも1つの押付部材(4)であって、前記押付部材(4)は、前記電気装置(1)を前記表面(3)に押し付けることに関与するよう構成され、少なくとも1つのバネ板を備える、押付部材(4)と、
‐前記電気装置(1)の周縁部(7)において前記押付部材(4)の周囲に取り付けられることによって、前記電気装置(1)の前記第二面(5)に前記押付部材(4)を保持し、電気的絶縁材料からなる、少なくとも1つの保持部品(6)と、
を備える組立体。
【請求項2】
前記保持部品(6)の縁(8)は、前記保持部品(6)と前記電気装置(1)との間に前記押付部材(4)を囲うように、前記電気装置(1)の前記周縁部(7)に対して配置される、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記保持部品(6)は、底(9)を形成する壁と、前記底(9)から延びる側壁(10)とを備え、
前記壁(9)および前記側壁(10)は、前記保持部品(6)の前記縁(8)を構成する、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記保持部品(6)は、前記電気装置(1)が前記表面(3)に対して押し付けられる時に、前記保持部品(6)および前記第二面(5)を介して保持することによって、前記押付部材(4)に第一荷重を伝達するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記保持部品(6)が、前記電気装置の前記第二面(5)に対して作用するような外部応力を受けていない時に、前記保持部品(6)は、前記第一荷重より小さい第二荷重を前記押付部材(4)に作用させ、前記電気装置(1)の前記第二面(5)に対して前記押付部材(4)を保持する、請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
前記保持部品(6)は、前記電気装置(1)に関して固定具(13,15)を備え、前記固定具(13,15)はクリアランスを有し、これによって、
‐前記電気装置(1)の前記第二面(5)に対して前記保持部品(6)に外部応力が作用しない時に、前記保持部品(6)の遠位位置が達成され、
‐前記保持部品(6)および前記第二面(5)を介して保持されることにより前記電気装置(1)が前記表面(3)に押し付けられる時に、前記保持部品(6)の近位位置が達成される、請求項4または請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記電気装置(1)は、前記電気装置(1)を接続可能にする少なくとも1つの導電体(14)を備え、
前記導電体(14)は、少なくとも前記電気装置(1)の前記第二面(5)に延在し、 前記保持部品(6)は、少なくとも1つの第一取付部材(13)を含み、
前記導電体は、少なくとも1つの第二取付部材(15)を含み、
前記第二取付部材(15)は、前記第一取付部材(13)と協働して前記電気装置(1)に前記保持部品(6)を保持する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項8】
前記電気装置(1)はケーシング(16)を備え、
前記ケーシング(16)の面は、少なくとも前記電気装置(1)の前記第二面(5)において延び、
前記保持部品(6)は、少なくとも1つの第一取付部材(13)を含み、
前記ケーシング(16)は、少なくとも1つの第二取付部材(15)を含み、
前記第二取付部材(15)は、前記第一取付部材(13)と協働して前記電気装置(1)に前記保持部品(6)を保持する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項9】
前記電気装置(1)は、前記電気装置(1)を接続可能にする少なくとも1つの導電体(14)を備え、
前記導電体(14)は、前記電気装置(1)の少なくとも前記第二面(5)に延在し、 前記保持部品(6)は少なくとも1つの第一取付部材(13)を含み、
前記導電体(14)は、少なくとも1つの第2固定具(15)を含み、
前記第二取付部材(15)は、前記第一取付部材(13)と協働して前記電気装置(1)に前記保持部品(6)を保持し、
前記押付部材(4)は導電性であり、
前記押付部材(4)は前記導電体(14)と直接的に接触し、
前記保持部品(6)は、前記押付部材(4)を、前記電気装置(1)の前記第二面(5)とは反対側において、電気的に絶縁するよう構成される、請求項7または8に記載の組立体。
【請求項10】
前記組立体は、電気機器内に取り付けられるものであり、
前記組立体は、前記電気機器のシャーシ第一部品と前記電気機器のシャーシ第二部品との間で、前記押付部材(4)および前記第二面(5)を介して加圧されるよう構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項11】
前記保持部品(6)の縁(8)は、前記保持部品(6)と前記電気装置(1)の間に前記押付部材(4)を囲うように、前記電気装置(1)の周縁部(7)に接触し、
前記保持部品(6)は、底(9)を形成する壁と、前記底(9)から延びる側壁(10)と、を備え、前記底(9)と前記側壁(10)は前記保持部品(6)の縁(8)を構成し、
前記組立体は、前記電気機器のシャーシ第一部品と前記電気機器のシャーシ第二部品との間で、前記押付部材と、前記第二面と、前記保持部品(6)の前記底(9)とを介して加圧される、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
‐第二部品(19)に固定された第一部品(18)を含むシャーシと、
‐請求項1~1のいずれか一項に記載の組立体と、
を備える電気機器(11)であって、
前記組立体は、前記電気機器(11)のシャーシ第一部品(18)と前記電気機器(11)のシャーシ第二部品(19)との間で、前記押付部材(4)および前記第二面(5)を介して加圧される、電気機器(11)。
【請求項13】
請求項1記載の組立体と、
前記保持部品(6)の縁(8)は、前記保持部品(6)と前記電気装置(1)の間に前記押付部材(4)を囲うように、前記電気装置(1)の周縁部(7)に接触し、
前記保持部品(6)は、底(9)を形成する壁と、前記底(9)から延びる側壁(10)と、を備え、前記底(9)と前記側壁(10)は前記保持部品(6)の縁(8)を構成し、
前記組立体は、前記電気機器のシャーシ第一部品と前記電気機器のシャーシ第二部品との間で、前記押付部材(4)と、前記第二面(5)と、前記保持部品(1)の前記底(9)とを介して加圧される、電気機器(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野および本発明の目的]
本発明は、電気装置と、押付部材と、押付部材を保持するための部品とを備える組立体に関する。また、本発明は、そのような組立体を備える電気機器に関する。そのような電気機器は、パワーインバータ、変圧器またはバッテリの充電器とすることができ、具体的には、電気自動車またはハイブリッド自動車に取り付けられるよう構成される。
【背景技術】
【0002】
電気車両またはハイブリッド車両の用途では、電圧が高く、たとえば200V~800Vの間である。この場合、ジュール効果による発熱が大きくなる可能性があり、車両の電気機器の各部品を損傷するリスクを伴う。
【0003】
熱による劣化を回避するために、一般的に電気機器は冷却系を備える。電気装置の冷却を改善するために、電気機器の電気装置を冷却系の表面に対して押し付けるための押付部材を用いることが知られている。たとえば、電気車両またはハイブリッド車両に取り付けられたパワーインバータでは、電気装置(容量性ブロック等)が知られている。容量性ブロックは、正導電体および負導電体によって接続された1つ以上のコンデンサを備える。典型的には、容量性ブロックは、パワーインバータの冷却系に対して押し付けられるべく、パワーインバータのシャーシに固定される。容量性ブロックの、冷却系とは反対側の面において、容量性ブロックに押付部材が保持され、これを冷却系に対して押し付ける。一般的に、押付部材はまずシャーシ第一部品に取り付けられ、容量性ブロックは、冷却系を備えるシャーシ第二部品に取り付けられる。その後、シャーシの双方の部品が組み立てられて、押付部材が容量性ブロックに対して配置され、容量性ブロックを冷却系に押し付ける。
【0004】
しかしながら、押付部材と容量性ブロックとの間には位置ズレリスクがあり、これによって容量性ブロックの押付効率が下がる可能性がある。ガイドピンが、一方では押付部材とシャーシ第一部品との間に、他方では容量性ブロックとシャーシ第二部品との間に、そしてシャーシ第一部品とシャーシ第二部品との間に、使用可能である。しかしながら、パワーインバータは、それぞれ独自の位置決め要件を持ついくつかの他の電気装置を備えるため、この解決策は製造するのが複雑である。パワーインバータ(より一般的には電気機器)の製造において、これらの位置合わせが要件となる。
【0005】
このように、電気装置に対して、電気機器内でその電気装置を押し付ける押付部材の位置合わせを容易にすることが必要である。
【0006】
[発明の概説]
この目的のために、本発明は、
‐表面に対して押し付けられるための第一面を備える、少なくとも1つの電気装置と、
‐前記電気装置の、前記第一面とは反対側の第二面に配置される少なくとも1つの押付部材であって、前記押付部材は前記表面に前記電気装置を押し付けることに関与するよう構成される、押付部材と、
‐前記電気装置の周縁部において前記押付部材の周囲に取り付けられることによって、前記押付部材を前記電気装置の前記第二面に保持する、少なくとも1つの保持部品と、
を含む組立体に関する。
【0007】
保持部品の使用により、押付部材は電気装置の面に一体化される。したがって、押付部材は、電気機器のシャーシに取り付けられる前に電気装置に組み立てられる。したがって、電気装置を電気機器のシャーシに取り付ける際に位置ズレ問題が回避される。このように、押付部材は、組み立てを取り扱う際に、電子装置に対して適切な位置に保持される。したがって、たとえば、保持部品により、組立体が組み立てられる場所と、組立体が電気機器に取り付けられる他の場所との間で、押付部材を保持できるようになる。
【0008】
一実施形態によれば、保持部品の縁は、保持部品と電気装置との間に押付部材を囲うように、電気装置の周縁に対して配置される。具体的に、保持部品は電気装置専用であり、電気装置に押付部材を保持することにのみ関与する。
【0009】
一代替例によれば、保持部品は、底を形成する壁と、前記底から延びる側壁とを備え、前記底および前記側壁は保持部品の縁を構成する。したがって、保持部品の底は、組立体を輸送および/または組み立てる際に、押付部材を保護する。
【0010】
一実施形態によれば、保持部品は、保持部品の底と、電気装置の第二面との間に内部空間を画定する。押付部材は、保持部品と、電気装置の周縁部との協働によって、この内部空間内に保持される。
【0011】
一実施形態によれば、押付部材には固定具がなく、前記押付部材の周囲に配置される保持部品によってのみ、電気装置に対して保持される。押付部材の周囲に保持部品を取り付けることにより、押付部材の固定具を回避でき、したがって押付部材の設計の自由度をより大きくできる。
【0012】
一実施形態によれば、保持部品は、前記電気装置が前記保持部品および前記第二面を介して保持することによって、前記表面に対して押し付けられる時に、前記押付部材に第一荷重を伝達するように構成される。この実施形態による組立体を備える電気機器では、この第一荷重は、たとえば電気機器のシャーシ第一部品と、電気機器のシャーシ第二部品との間に、組立体を押圧することによって達成される。シャーシ第一部品は、電気装置の第一面に対して配置され、シャーシ第二部品は、保持部品に対して配置される。たとえば、これが電気機器内に取り付けられると、電気装置は表面に押し付けられ、これは具体的には冷却回路の表面を形成する。これによって、電気装置と、冷却回路の表面との間の安定した接触が確保できる。具体的には、この第一荷重を押付部材に伝達するために、保持部品は移動するか変形する。
【0013】
一代替例によれば、電気装置の前記第二面に対して保持部品に外部応力が作用しない時に、押付部材を電気装置の第二面に対して保持するように、押付部材に第一荷重より低い第二荷重を作用させるように、保持部品が構成される。たとえば、この変形例による組立体を輸送および/または取り扱う各時点において、電気機器内に取り付ける前に、押付部材に作用するこの第二荷重により、押付部材が動かないということが保証される。この第二荷重は、比較的軽いものであってよいが、押付部材を適切な位置に維持するのに十分であることが好ましい。
【0014】
特定の代替例によれば、保持部品は電気装置に関して固定具を備える。固定具はクリアランスを有し、これによって、電気装置の前記第二面に対して保持部品に外部応力が作用しない時に、保持部品の遠位位置が達成され、前記保持部品および前記第二面を介して保持されることにより電気装置が表面に押し付けられる時に、保持部品の近位位置が達成されるようになる。固定具のクリアランスにより、保持部品が、遠位位置または近位位置を占めるのに十分に移動可能となることを保証できる。
【0015】
一実施形態によれば、電気装置は少なくとも1つの導電体を備える。導電体により、電気装置は、とくに他の電気的要素に接続することができる。導電体は、少なくとも電気装置の第二面において延びる。保持部品は、少なくとも1つの第一取付部材を含み、導電体は少なくとも1つの第二取付部材を含む。第二取付部材は、第一取付部材と協働して、保持部品を電気装置に保持する。言い換えると、第二取付部材は導電体に一体化される。結果として、電気装置に部品を固定する必要がなく、製造が容易になる。たとえば、第二取付部材は、導電体に一体化されたアイレットである。たとえば、第一取付部材は、その端部に、このアイレットと協働するフックを含む。
【0016】
一代替例では、電気装置はケーシングを備えてもよく、ケーシングの面は少なくとも電気装置の第二面において延びる。保持部品は少なくとも1つの第一取付部材を備え、ケーシングは少なくとも1つの第二取付部材を備え、この第二取付部材が第一取付部材と協働して保持部品を電気装置に保持する。第二取付部材はケーシングに一体化される。結果として、電気装置に部品を固定する必要がなく、製造が容易になる。たとえば、第二取付部材は、ケーシングに一体化されたアイレットである。たとえば、第一取付部材は、その端部に、このアイレットと協働するフックを含む。
【0017】
特定の代替例によれば、第一取付部材は保持部品の一縁にあり、第二取付部材は電気装置の第二面の一縁にあり、または、第二取付部材は電気装置の第二面の周囲にある。
【0018】
一実施形態によれば、保持部品は電気的絶縁材料からなる。
【0019】
一代替例によれば、押付部材は導電性であり、導電体と直接的に接触する。保持部品は、押付部材を、電気装置の第二面とは反対側において、電気的に絶縁するよう構成される。保持部品により、押付部材の側において、外部環境に対して電気装置を絶縁することができる。
【0020】
一実施形態によれば、組立体は電気機器に取り付けられるものである。組立体は、電気機器のシャーシ第一部品と、電気機器のシャーシ第二部品との間で、押付部材および第二面を介して加圧される。
【0021】
一代替例によれば、組立体は、電気機器のシャーシ第一部品と、電気機器のシャーシ第二部品との間で、押付部材と、第二面と、保持部品の底とを介して加圧される。
【0022】
一実施形態によれば、電気装置は容量性ブロックである。
【0023】
また、本発明は、第二部品に固定された第一部品を含むシャーシと、本発明による組立体とを備える電気機器にも関する。組立体はシャーシ第一部品とシャーシ第二部品との間で、押付部材および第二面を介して加圧される。
【0024】
一代替例によれば、組立体は、シャーシ第一部品と、シャーシ第二部品との間で、押付部材と、第二面と、保持部品の底とを介して加圧される。したがって、押付部材と反対側の底の面は、シャーシ第二部品の壁に対して配置される。
【0025】
一代替例によれば、シャーシ第一部品は冷却回路を備える。
【0026】
以下の、添付図面を参照する非限定的な例による記載を読むことによって、本発明がよりよく理解され、本発明のさらなる詳細、特徴および利益が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の例示的一実施形態による、電気装置および押付部材を備える電気機器の分解斜視図。
図2】本発明の例示的一実施形態による、電気装置および押付部材を備える電気機器の断面図。
図3】本発明の例示的一実施形態による、保持部品を備える電気機器の斜視図。
図4】本発明の例示的一実施形態による、単一ピースとしての押付部材の上面図。
図5】本発明の例示的一実施形態による保持部品の斜視図。
図6】本発明の例示的一実施形態による別の保持部品の斜視図。
図7】本発明の例示的一実施形態による、押付部材に組み付けられた電気装置の詳細図。
図8】本発明の例示的一実施形態による、保持部品のない電気装置の斜視図。
図9】本発明の例示的一実施形態による、ケーシングを備える電気装置の斜視図。
【0028】
これらの図面は本発明による例を実施するためにさらに詳細に説明するということに留意すべきである。当然ながら、必要であれば、図面は本発明をよりよく定義するために用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面によって示される例において、電気装置は容量性ブロックである。しかしながら、電気装置は、とりわけ、誘導性ブロックまたは抵抗性ブロックであってもよい。
【0030】
図1は、電気機器11の一部(たとえばパワーインバータの一部)を分解図として示す。本発明は、冷却回路と、この冷却回路に押し付けられなければならない電気装置とを備える電気機器の他の各ピースにも適用可能であるということに留意すべきである。また、本発明は、たとえば充電器またはDC-DC変圧器の場合にも適用可能である。
【0031】
図1および図2に表されるように、押付部材4(ここでは2つの部品)が、電気装置1(ここでは容量性ブロック)と保持部品6との間に配置される。組立体は、シャーシ第一部品18およびシャーシ第二部品19によって加圧される。シャーシ第一部品18は、具体的には、一体化された冷却回路17を備える。冷却回路17の一部のみが表される。
【0032】
容量性ブロック1は、1つ以上のコンデンサ20を備えることができる。これらのコンデンサ20は、たとえば軸周りにコイル形状に巻回されたシートである。図1に示す例では、いくつかのコンデンサ20が、巻回軸が平行となるようにまとめられている。容量性ブロック1を電気的に接続できるように、各コンデンサ20に導電体14が(具体的には溶接によって)取り付けられる。各導電体14は、コンデンサの端子(コンデンサの巻回軸に沿って反対側)に配置される。各導電体14およびコンデンサ20は、電気装置1の面2,5を構成する。コンデンサ20および導電体14の発熱は、大きくなる可能性がある。様々な構成要素(したがって組立体)のオーバーヒートを防止するために、装置1の第一面2が冷却回路17に押し付けられる。冷却回路17は、電気装置1の面2に対して配置される表面3を含む。冷却回路17は、電気装置1およびその導電体14のオーバーヒートを防止する。電気装置の全面2から延びる安定した接触が好ましい。シャーシ両部品18,19を組み立てることにより、電気装置1の加圧荷重が冷却回路17に印加される。
【0033】
電気装置1と冷却回路17との間の恒久的接触を保持するために、電気装置1の、装置1の第一面2とは反対側の第二面5上に、押付部材4が配置される。これによって、押付部材4は装置1を冷却回路17に対して押し付ける。
【0034】
押付部材4と電気装置1との位置ズレを回避するために、押付部材4上に保持部品6が配置される。たとえば、保持部品6は、底9を形成する壁と、側壁10を含む。側壁10は底9から延び、保持部品6の縁8を構成する。これによって保持部品6は、押付部材4を一面に沿って横から取り囲む。押付部材4は、その反対側の面において、電気装置1の上に配置される。底9および側壁10によって、前記押付部材4は完全に覆われ、したがって、組立体を取り扱う際に環境から保護される。
【0035】
電気装置1を押付部材に位置合わせして取り付けることを容易にするために、保持部品6の使用により、押付部材4は、予め装置1に事前組み立てされている(たとえば図3に示すように)。このようにすると、電気装置1上の押付部材4の位置合わせが確実になる。電気装置1は、最終的な組立作業中でも、使用中でも、望ましくない方向には移動できない。
【0036】
図4および図8に示すように、押付部材4は、さらにバネ板22を備えてもよい。バネ板22は、押付部材4の表面から離れるように延びる。バネ板22は、電気装置1の第二面5上に、押付部材4が及ぼす荷重を発生させ、これによって電気装置1を冷却回路17の表面3に押し付けることができる。したがって、押付部材4の表面は均一ではない。押付部材4の望ましくない変形を回避するために、保護が好ましい。
【0037】
電気装置1を最終的な組み立てのために輸送する際に、保持部品6が押付部材4を適切な位置に保持し、当面これを保護する。
【0038】
したがって、保持部品6は、いくつかの技術的要件を満たさねばならない。図5,6,7では、保持部品6は、全体的および詳細な図で示される。保持部品6は、底壁9と、底9から延びる側壁10とを備える。底9および側壁10は、保持部品6の縁8を構成する。底9から側壁10に沿ってスロート23が延び、縁8から突出する。スロート23は、実質的に三角形状を有し、底からテーパして離れる。スロート23の端部は、バンプを回避するために丸められる。これらが保持部品6の全周に配置されているので、ファンネル効果により、保持部品6を押付部材4および電気装置1に組み付ける際に、簡単かつ目標のある位置決めが可能になる。保持部品6の片側に配置されたスロート23は、保持部品6の反対側に配置されたスロート23と協働する。対称的な配置が不要である場合には、各側にそれぞれ少なくとも1つのスロート23が好ましい。しかしながら、各側に2つのスロート23があると配置が容易になる。第一固定具13(後述)もまたスロート23として使用可能である。
【0039】
押付部材4は、図4に示すように単一のバネプレート25から構成されてもよく、たとえば図8に示すようにいくつかのバネプレート25から構成されてもよい。
【0040】
図5に示す保持部品6は、単一バネプレート25の押付部材4を保護し取り囲むために提供される。この場合には、押付部材4は、電気装置1の第二面5全体に延びる。したがって、保持部品6の底9は滑らかであってもよく、したがって押付部材4の位置決めは、保持部品6の縁が押付部材4の縁26と整合することによって行われる。押付部材4と電気装置1の間に、絶縁層を配置してもよい。この絶縁層は、押付部材4と電気装置1との間(具体的には押付部材4と導電体14との間)の短絡を防止する。絶縁層は、絶縁材料のシートであってもよい。
【0041】
図6に示す保持部品6は、いくつかのバネプレート25(ここでは2つのバネプレート25)からなる押付部材4を保護し取り囲むために提供される。この場合には、バネプレート25は、共に電気装置1の第二面5を覆う。バネプレート25が重なる可能性を回避するために、保持部品6は、両バネプレート25の間に間隔27で配置される突起24を含む。突起24の範囲は、後述する固定具13,15のクリアランスに対応せねばならない。これによって、押付部材4の位置決めは、押付部材26の縁と協働する保持部品6の縁8によって、および、両バネプレート25の間の間隔27と協働する突起24によって確実になる。組立体には、押付部材4と電気装置1との間(具体的には押付部材4と導電体14との間)に電気的絶縁層がなくともよい。この場合には、保持部品6によって、環境に対する電気装置1の電気的絶縁を保証できる。したがって、保持部品6は誘電材料からなる。
【0042】
図示の例では、保持部品6は押付部材4を完全に覆う。しかしながら、保持部品6が押付部材を部分的にのみ覆うということも可能である。
【0043】
図3に示すように、保持部品6を電気装置1に取り付けるために、固定具13,15が使用される。固定具は、具体的には、第一取付部材13および第二取付部材15を備える。保持部品6を電気装置1に取り付けるために、第一取付部材13は保持部品6の1つの縁8に配置される。第二取付部材15は、電気装置1の周縁部7に(具体的には、電気装置1の第二面5の1つの縁に、または電気装置1の第二面5の周囲に)配置される。各図によって示される、本発明の例示的実施形態では、第一取付部材13は、具体的には、保持部品6の底9から側壁10に沿って延びる突起であり、フック形状のヒール28を伴う。第二取付部材15は、具体的には、アイレット形状29である。電気装置1に保持部品6を組み付ける際には、フック28がアイレット29内へとロックされる。図8に示すように、アイレット29は、導電体14に直接的に一体化することができる。しかしながら、図9に示すように電気装置1がケーシング16を含む場合には、アイレットはこのケーシング16に一体化することができる。具体的には、アイレット29は電気装置1の第二面5に含まれる。しかしながら、アイレット29は、電気装置1の側壁上で、第二面5に対してずれていてもよい。
【0044】
図7は、固定具13,15をさらに詳細に示す。フック28がアイレット29の片側を通して差し込まれ、保持部品6を電気装置1に取り付ける。これによってフック28がアイレット29内へとロックされる。フック28は、アイレット29の固定面30と対向する部分31を含む。この部分31と、アイレット29の固定面30とが協働して、フック28をアイレット29内に保持できるようになる。
【0045】
フックがアイレット29内に差し込まれると、保持部品6の縁8または底9からアイレット29まで距離ができる。したがって、固定具13,15はクリアランスを有する。このように、保持部品6は、印加される荷重の関数として、電気装置1までの近さが変化し得る。たとえば、第一位置では、保持部品6はその外面から応力を受けない。保持部品6は、押付部材4からの反作用を受け、これが保持部品6を押し戻す。フック28の部分31は、固定面30と接触し、保持部品6および押付部材4を電気装置1上で適切な位置に保持する。これによって、保持部品6は、電気装置1に対して遠位位置に配置される。
【0046】
組立体(電気装置1、押付部材4および保持部品6を含む)をシャーシ両部品18,19の間に取り付ける際には、電気装置1の第一面2を冷却回路17の表面3に押し付けるために、電気装置1に荷重が作用する。このために、シャーシ第二部品19は、保持部品6に(具体的には、保持部品6の、押付部材4とは反対側の外面に)保持される。保持部品6の底9は、電気装置1に近づく。スロート23は、具体的には、保持部品6を電気装置1の第二面5にガイドするように、電気装置1の周縁部7と協働するよう構成される。したがって、押付部材4は加圧され、これによって、装置1の第一面2をシャーシ第一部品18に押し付けることができる。フック28の部分31は、もはや固定面30とは接触しない。これによって、電気装置1に対する保持部品6の近位位置が達成される。図7は、保持部品6の近位位置を示す。
【0047】
しかしながら、具体的には、保持部品6は、その遠位位置において、押付部材4の横位置ズレを回避するために押付部材4に荷重を及ぼす。したがって、この荷重は、組立体がシャーシ両部品18,19の間に取り付けられる時に押付部材4に作用する荷重に比べて小さい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9