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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】食品の処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23B 2/53 20250101AFI20250403BHJP
   A23B 2/20 20250101ALI20250403BHJP
【FI】
A23B2/53
A23B2/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021042073
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142076
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】田内 亮彦
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/204627(WO,A1)
【文献】特開2017-153456(JP,A)
【文献】実開平01-026041(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線領域の光を透過可能な収納部の内部に収納された食品に、前記紫外線領域の光を照射する食品の処理装置であって、
前記紫外線領域の光を照射する第1の発光素子を有し、前記収納部の内部に収納された食品の一方の側である上方に前記紫外線領域の光を照射する第1の照射部と;
前記紫外線領域の光を照射する第2の発光素子を有し、前記収納部の内部に収納された食品の他方の側である下方に前記紫外線領域の光を照射する第2の照射部と;
前記第1の照射部および前記第2の照射部と、前記収納部の内部に収納された食品と、の相対的な位置を移動させる第1の移動部と;
を具備し、
前記第1の移動部による移動方向において、前記第2の照射部は、前記第1の照射部と離隔し、前記第1の移動部の排出端の近傍であって、前記紫外線領域の光が、前記食品が収納されている前記収納部の下方に直接入射する位置に設けられている処理装置。
【請求項2】
前記第1の発光素子、および前記第2の発光素子は、ピーク波長が、260nm以上、300nm以下の光を照射する請求項1記載の食品の処理装置。
【請求項3】
前記第1の移動部による移動方向において、前記第1の移動部の排出端との間に隙間を介して設けられ、前記収納部の内部に収納された食品を移動させる第2の移動部と;
をさらに具備し、
前記第2の照射部は、前記隙間に設けられている請求項1または2に記載の食品の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、食品の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品市場においては、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)などへの対応により食品に対する安全意識が高まっている。また、食品市場には、腐敗などによるフードロスなどの問題もある。
【0003】
この場合、食品に保存料を添加したり、食品を加熱殺菌したりすれば、食品の消費期限を延ばすことができる。しかしながら、この様にすると、健康に対するリスクが生じたり、食品の旨味や風味が損なわれたりするという新たな問題が生じる。
そこで、食品の表面に紫外光を照射して、食品の表面に付着している細菌や微生物などを殺菌する技術が提案されている。
【0004】
しかしながら、単に、食品の表面に紫外光を照射しても、食品の表面に付着した細菌や微生物などを殺菌しきれない場合が生じ得る。また、食品の表面に紫外光を照射した際に、食品が変質したり、色が変わったり、旨味や風味が悪くなったりする場合がある。
そのため、食品の鮮度維持と品質維持に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6716291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、食品の鮮度維持と品質維持の向上を図ることができる食品の処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る食品の処理装置は、紫外線領域の光を透過可能な収納部の内部に収納された食品に、前記紫外線領域の光を照射する食品の処理装置である。食品の処理装置は、前記紫外線領域の光を照射する第1の発光素子を有し、前記収納部の内部に収納された食品の一方の側である上方に前記紫外線領域の光を照射する第1の照射部と;前記紫外線領域の光を照射する第2の発光素子を有し、前記収納部の内部に収納された食品の他方の側である下方に前記紫外線領域の光を照射する第2の照射部と;前記第1の照射部および前記第2の照射部と、前記収納部の内部に収納された食品と、の相対的な位置を移動させる第1の移動部と;を具備している。前記第1の移動部による移動方向において、前記第2の照射部は、前記第1の照射部と離隔し、前記第1の移動部の排出端の近傍であって、前記紫外線領域の光が、前記食品が収納されている前記収納部の下方に直接入射する位置に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、食品の鮮度維持と品質維持の向上を図ることができる食品の処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る食品の処理装置を例示するための模式図である。
図2】照射部を例示するための模式断面図である。
図3図2における照射部をA-A線方向から見た模式平面図である。
図4】他の実施形態に係る処理装置を例示するための模式図である。
図5】他の実施形態に係る処理装置を例示するための模式図である。
図6】処理物の収納部の材料と、紫外線の透過率との関係を例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る食品の処理装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、食品の処理装置1(以下、単に、処理装置1と称する)は、例えば、供給部10、移動部20(第1の移動部の一例に相当する)、移動部120(第2の移動部の一例に相当する)、照射部30(第1の照射部の一例に相当する)、照射部130(第2の照射部の一例に相当する)、収容部40、およびコントローラ50を有する。
【0012】
供給部10は、移動部20の搬入側の端部の近傍に設けることができる。供給部10は、処理対象となる処理物100を内部に複数収容し、収容されている処理物100を移動部20に1つずつ供給する。例えば、供給部10は、複数の処理物100を積層状に収納したホッパと、内部に収容されている処理物100を取り出して移動部20に供給する供給装置とを有することができる。
なお、供給部10の構成は例示をしたものに限定されるわけではない。供給部10は、処理物100同士が重ならないようにして、処理物100を移動部20に供給することができるものであればよい。
【0013】
また、供給部10は、必ずしも必要ではなく省くこともできる。供給部10を省く場合には、例えば、作業者が、処理物100を移動部20に供給すればよい。
【0014】
ここで、処理物100は、紫外線領域の光を透過可能な収納部の内部に収納された食品とすることができる。すなわち、処理装置1は、紫外線領域の光を透過可能な収納部の内部に収納された食品に、紫外線領域の光を照射する。
収納部は、紫外線領域の光を透過可能な包装フィルム、トレー、容器などとすることができる。
食品は、例えば、農産物、精肉素材、鮮魚素材、加工食品などである。
なお、「農産物」は、例えば、人為的に栽培され収穫される植物、あるいは、自然界において生育し収穫される植物とすることができる。「農産物」は、栽培植物を計画的に栽培し収穫する農耕、自然界で自生している植物の採取(野生植物の採取)、栽培と野生の中間的な状態で生育し収穫するいわゆる半栽培などにより得られたものであってもよい。「農産物」の用途には特に限定がなく、例えば、食用、薬用、観賞用などの様々な用途が考えられる。
「加工食品」は、例えば、総菜、弁当、サラダなどである。
【0015】
また、食品は、例示をしたものに限定されるわけではなく、例えば、消費期限を有するものであればよい。
【0016】
移動部20は、収納部の内部に収納された食品を移動させる。例えば、移動部20は、処理物100の供給位置から、照射部130による紫外線領域の光の照射位置まで処理物100を移動する。移動部20は、例えば、ベルトコンベアやローラコンベアなどとすることができる。
【0017】
移動部120は、収納部の内部に収納された食品を移動させる。例えば、移動部120は、照射部130による紫外線領域の光の照射位置から、収容部40への排出位置まで処理物100を移動する。移動部120は、例えば、移動部20と同様の構成を有する。この場合、移動部120の長さや形状は、移動部20の長さや形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
また、移動部20、120が、処理物100を水平方向に移動させる場合を例示したが、移動部20、120が、水平に対して傾斜した方向に処理物100を移動させてもよい。
また、図1に示すように、移動部20の排出側の端部と、移動部120の搬入側の端部との間には隙間が設けられている。処理物100の移動方向における隙間の寸法は、移動部20から移動部120に処理物100を受け渡すことができ、且つ、照射部130から処理物100に紫外線領域の光を照射できるのであれば特に限定はない。
【0019】
処理物100の移動方向(収納部の内部に収納された食品の移動方向)に交差する方向において、照射部30は、収納部の内部に収納された食品の一方の側に設けられている。照射部30は、例えば、移動部20の上方に設けることができる。処理物100の移動方向において、照射部30は、例えば、供給部10と、照射部130との間に設けられている。
【0020】
照射部30は、移動部20により移動されてきた処理物100の一方の側に紫外線領域の光を照射する。例えば、図1に示すように、照射部30は、処理物100の上方の側に紫外線領域の光を照射する。
【0021】
図2は、照射部30を例示するための模式断面図である。
図3は、図2における照射部30をA-A線方向から見た模式平面図である。
図2に示すように、照射部30は、例えば、発光モジュール31、冷却部32、回路基板33、および筐体34を有する。
【0022】
図2および図3に示すように、発光モジュール31は、複数設けることができる。複数の発光モジュール31は、例えば、処理物100の移動方向に交差する方向に並べて設けることができる。複数の発光モジュール31は、筐体34の内部に設けることができる。なお、発光モジュール31の数は、処理物100の大きさに応じて適宜変更することができる。すなわち、発光モジュール31は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0023】
この場合、所定の大きさの発光モジュール31が複数設けられるようにすれば、異なる大きさの処理装置1に対して、同じ発光モジュール31を用いることが可能となる。また、発光素子31b(第1の発光素子の一例に相当する)が故障などした際に、故障などが発生した発光素子31bが設けられている発光モジュール31のみを交換することができる。そのため、製造コストの低減、在庫管理の容易化、メンテナンス性の向上、メンテナンス費用の低減などを図ることができる。また、発光モジュール31の大きさが過度に大きくなることがないので、発光モジュール31の製造が容易となったり、発光モジュール31の取り扱いが容易となったりする。
【0024】
発光モジュール31は、例えば、基板31a、および複数の発光素子31bを有する。 基板31aは、板状を呈している。基板31aの平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基板31aの材料は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料、金属板の表面を絶縁材料で被覆したメタルコア基板などとすることができる。この場合、発光素子31bにおいて発生した熱の放熱を考慮すると、基板31aは、熱伝導率の高い材料を用いて形成することが好ましい。例えば、基板31aは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などから形成することができる。なお、高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)やナイロンなどの樹脂に、酸化アルミニウムなどを含むフィラーを混合させたものである。
【0025】
図3に示すように、基板31aは、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、放熱部32aに取り付けることができる。この場合、基板31aと放熱部32aとの間に、弾性を有する伝熱シートを設けたり、シリコーングリスからなる層などを設けたりすることができる。弾性を有する伝熱シートや、シリコーングリスからなる層などを設ければ、基板31aと放熱部32aとの間に隙間が生じるのを抑制することができる。そのため、発光素子31bにおいて発生した熱が放熱部32aに伝わり易くなるので、発光素子31bの温度が最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0026】
発光素子31bは、高圧水銀ランプなどに比べて寿命が長いが、経時的に光量が減少する。また、発光素子31bが故障することも考えられる。締結部材により、基板31aが放熱部32aに着脱自在に設けられていれば、発光モジュール31の交換などが容易となる。
【0027】
また、基板31aは、例えば、熱伝導率の高い接着剤などを用いて、放熱部32aに接着することもできる。熱伝導率の高い接着剤を用いて、基板31aが放熱部32aに接着されていれば、基板31aとベースとの間に隙間が生じるのを抑制することができるので、発光素子31bにおいて発生した熱が放熱部32aに伝わり易くなる。また、発光モジュール31の構成が簡易化なものとなる。
【0028】
複数の発光素子31bは、基板31aの、放熱部32a側とは反対側の面に設けられている。複数の発光素子31bは、基板31aの表面に設けられた配線パターンに電気的に接続されている。複数の発光素子31bの光の出射面は、筐体34に設けられた窓34eに向けられている。複数の発光素子31bから出射した紫外線領域の光は、窓34eを介して照射部30の外部に照射される。
【0029】
複数の発光素子31bは、並べて設けられている。例えば、図3に示すように、複数の発光素子31bは、マトリクス状に並べて設けることができる。複数の発光素子31bの配設形態や数は、図3に例示をしたものに限定されるわけではなく、処理物100の種類、大きさ、平面形状などに応じて適宜変更することができる。
【0030】
発光素子31b(第1の発光素子)は、ピーク波長が、260nm以上、300nm以下の光を照射可能なものであれば特に限定はない。例えば、発光素子31bは、ピーク波長が、260nm以上、300nm以下の光を照射可能な発光ダイオードや、レーザダイオードなどとすることができる。
すなわち、照射部30は、紫外線領域の光を照射する発光素子31bを有し、収納部の内部に収納された食品の一方の側に紫外線領域の光を照射することができる。
【0031】
複数の発光素子31bは、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。この場合、複数の発光素子31bは、COB(Chip On Board)により、基板31aに設けられた配線パターンに実装することができる。また、複数の発光素子31bを覆う封止部を設けることができる。
【0032】
複数の発光素子31bは、例えば、表面実装型の発光素子とすることもできる。複数の発光素子31bは、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。
ただし、複数の発光素子31bがチップ状の発光素子であれば、狭い領域に多くの発光素子31bを設けることができる。そのため、発光モジュール31の小型化、ひいては照射部30の小型化を図ることができる。
【0033】
冷却部32は、例えば、放熱部32a、および送風部32bを有する。
図3に示す様に、放熱部32aは、例えば、複数設けることができる。複数の放熱部32aが設けられる場合には、例えば、複数の放熱部32aを処理物100の移動方向に交差する方向に並べて設けることができる。
【0034】
なお、複数の放熱部32aが設けられる場合を例示したが、1つの放熱部32aを設けるようにしてもよい。すなわち、放熱部32aは、少なくとも1つ設けることができる。 ただし、所定の大きさの放熱部32aが複数設けられるようにすれば、異なる大きさの処理装置1に対して、同じ放熱部32aを用いることが可能となる。そのため、製造コストの低減や在庫管理の容易化などを図ることができる。また、放熱部32aの大きさが過度に大きくなることがないので、放熱部32aの製造が容易となったり、放熱部32aの取り扱いが容易となったりする。
【0035】
放熱部32aは、例えば、発光モジュール31が取り付けられるブロック状のベースと、複数のフィンを有する。放熱部32aは、例えば、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料から形成することができる。
【0036】
送風部32bは、放熱部32aに設けられた複数のフィンに気体Gを供給する。気体Gは、例えば、処理装置1が設置された雰囲気に含まれている気体Gとすることができる。気体Gは、例えば、空気などである。
【0037】
図2に示すように、送風部32bは、筐体34の内部に設けられている。送風部32bは、例えば、ブラケットを介して、筐体34の内壁に取り付けることができる。送風部32bは、放熱部32aの、発光モジュール31側とは反対側に設けられている。
【0038】
なお、送風部32bは、例えば、筐体34の外部に設けることもできる。ただし、送風部32bが筐体34の内部に設けられていれば、送風部32bと放熱部32aとの間の距離を短くすることができるので、冷却効率を向上させることができる。また、送風部32bから排出された気体Gを、筐体34の内壁により放熱部32aに導くことができる。すなわち、送風部32bから排出された気体Gが拡散するのを抑制することができる。そのため、送風部32bから排出された気体Gを、放熱部32aに設けられた複数のフィンに効率よく供給することができる。
【0039】
送風部32bには、特に限定はないが、例えば、軸流ファンとすることができる。送風部32bが軸流ファンであれば、気体Gの供給量を多くすることができるので、冷却効率を向上させることができる。
【0040】
送風部32bは、例えば、1つの放熱部32aに対して少なくとも1つ設けることができる。送風部32bの数は、放熱部32aの大きさや、発光モジュール31における発熱量などに応じて適宜変更することができる。
【0041】
図2に示すように、回路基板33は、筐体34の内部に設けられている。回路基板33は、例えば、筐体34の内部の、発光モジュール31が設けられる側とは反対側の端部の近傍に設けることができる。回路基板33は、例えば、筐体34の内壁に取り付けることができる。
【0042】
回路基板33は、例えば、複数の発光素子31bの点灯と消灯とを切り替えたり、放熱部32aによる気体Gの供給と供給の停止とを切り替えたりする。
【0043】
筐体34は、箱状を呈し、内部に、例えば、発光モジュール31、冷却部32、および回路基板33を収納する空間を有する。筐体34の外観は、例えば、略直方体や、略立方体とすることができる。
【0044】
筐体34の側面には、複数の排気口34aを設けることができる。複数の排気口34aは、冷却部32と対峙する位置に設けることができる。
また、筐体34の、発光モジュール31が設けられる側とは反対側の端部には、コネクタ34b、コネクタ34c、およびフィルタ34dなどを設けることができる。
【0045】
コネクタ34bは、例えば、照射部30の外部に設けられた電源などと、回路基板33とを電気的に接続するために設けることができる。コネクタ34bは、例えば、電力用のコネクタなどとすることができる。
コネクタ34cは、例えば、照射部30の外部に設けられた制御装置などと、回路基板33とを電気的に接続するために設けることができる。コネクタ34cは、例えば、通信用のコネクタなどとすることができる。
【0046】
フィルタ34dは、少なくとも1つ設けることができる。送風部32bによる送風が行われると、筐体34の外部にある気体Gが、フィルタ34dを介して筐体34の内部に導入される。フィルタ34dが設けられていれば、照射部30が設置された雰囲気に含まれているゴミなどが、筐体34の内部に侵入するのを抑制することができる。また、筐体34の内部にゴミなどが侵入するのを抑制することができれば、照射部30からの排気にゴミなどが含まれるのを抑制することができる。そのため、ゴミなどが、処理物100に付着するのを抑制することができる。
【0047】
窓34eは、筐体34の、発光モジュール31が設けられる側の端部に設けられている。窓34eは、紫外線領域の光を透過し、紫外線領域の光に対する耐性を有する材料から形成される。透光部45bは、例えば、紫外線透過ガラス(ultraviolet transmitting glass)、アクリル樹脂などから形成することができる。
【0048】
移動部20、120による処理物100の移動方向において、照射部130は、照射部30と離隔した位置に設けられている。照射部130は、例えば、移動部20の排出側の端部と、移動部120の搬入側の端部との間の隙間の下方に設けることができる。照射部130は、移動部20から移動部120に受け渡される処理物100の他方の側に紫外線領域の光を照射する。例えば、図1に示すように、照射部130は、処理物100の下方の側に紫外線領域の光を照射する。
【0049】
処理物100の移動方向(収納部の内部に収納された食品の移動方向)に交差する方向において、照射部130は、収納部の内部に収納された食品の他方の側に設けられている。照射部130は、例えば、照射部30と同様の構成を有することができる。例えば、照射部130は、紫外線領域の光を照射する発光素子31b(第2の発光素子の一例に相当する)を有し、収納部の内部に収納された食品の他方の側に紫外線領域の光を照射することができる。
【0050】
発光素子31b(第2の発光素子)は、ピーク波長が、260nm以上、300nm以下の光を照射可能なものであれば特に限定はない。例えば、発光素子31bは、ピーク波長が、260nm以上、300nm以下の光を照射可能な発光ダイオードや、レーザダイオードなどとすることができる。
【0051】
ただし、照射部130は、上方にある処理物100に向けて紫外線領域の光を照射するため、照射部130に設けられた窓34eが上方を向くことになる。そのため、窓34eの上にゴミなどが付着し易くなる。窓34eの上にゴミなどが付着すると、複数の発光素子31bから照射された光がゴミなどに遮られて、処理物100に到達する光の強度が弱くなる。そのため、収納部の内部に収納された食品の下側の鮮度や品質が、食品の上側の鮮度や品質よりも悪くなるおそれがある。
【0052】
そのため、照射部130には、エアブロー装置131をさらに設けることもできる。例えば、エアブロー装置131は、コンプレッサなどで加圧した空気を、照射部130に設けられた窓34eに吹き付ける。この場合、エアブロー装置131は、所定のタイミングで空気を噴射してもよいし、処理装置1の稼働中に常時空気を噴射してもよい。
なお、エアブロー装置131は、照射部30にも設けることができる。
【0053】
また、処理物100の位置を検出するセンサ35をさらに設けることができる。センサ35は、例えば、照射部30、130による照射のタイミングを求めたり、照射の開始と照射の停止の切り替えを行ったりするために設けることができる。例えば、図1に示すように、センサ35は、照射部30の上流側であって、照射部30の近傍に設けることができる。
【0054】
また、センサ35は、照射部130の上流側であって、照射部130の近傍にさらに設けることができる。この場合、照射部30の上流側のみにセンサ35を設け、照射部30の上流側に設けられたセンサ35からの信号と、処理物100の移動速度と、照射部30と照射部130との間の距離とに基づいて、照射部130による照射を制御してもよい。
【0055】
センサ35の形式には特に限定がない。センサ35は、例えば、光センサ、超音波センサ、近接センサなどとすることができる。
【0056】
収容部40は、処理済みの処理物100aを収容する。収容部40は、例えば、移動部120の排出側の端部の近傍に設けられたコンテナなどとすることができる。また、収容部40には、移動部120からの処理物100aの排出を促進させるための振動装置などを設けることもできる。
【0057】
コントローラ50は、処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。コントローラ50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を有する。コントローラ50は、例えば、コンピュータである。記憶素子には、例えば、処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する制御プログラムなどを格納することができる。
【0058】
例えば、コントローラ50は、センサ35により、照射部30、130の照射領域に処理物100が搬入されたことが検出された場合には、照射部30、130から紫外線領域の光を照射させる。この際、コントローラ50は、移動部20、120を一時的に停止させたり、移動速度を一時的に低下させたりすることもできる。コントローラ50は、紫外線領域の光の照射が完了した際には、移動を再開させたり、移動速度を元に戻したりすることもできる。
【0059】
本実施の形態に係る処理装置1においては、照射部30から照射された紫外線領域の光が処理物100の一方の側(例えば、処理物100の上方の側)に照射され、照射部130から照射された紫外線領域の光が処理物100の他方の側(例えば、処理物100の下方の側)に照射される。そのため、処理物100のほぼ全領域、ひいては、収納部の内部に収納された食品のほぼ全領域に紫外線領域の光照射することができる。そのため、食品の鮮度維持の向上を図ることができる。
【0060】
この場合、1つの処理物100に対して複数の方向から同時に紫外線領域の光を照射することも考えられる。例えば、照射部30と照射部130を対向させることも考えられる。しかしながら、この様にすると、照射部30からの紫外線領域の光と、照射部130からの紫外線領域の光とが、同時に照射される領域が生じ得る。例えば、厚みの厚い食品の側面には、照射部30からの紫外線領域の光と、照射部130からの紫外線領域の光とが、同時に照射され易くなる。そのため、紫外線領域の光が、重複かつ同時に照射された領域において、食品が変質したり、色が変わったり、旨味や風味が悪くなったりするおそれがある。
【0061】
本実施の形態に係る処理装置1においては、照射部130は、処理物100の移動方向において、照射部30と離隔した位置に設けられている。そのため、紫外線領域の光が、重複して照射される領域が生じたとしても、食品が変質などするのを抑制することができる。そのため、食品の品質維持の向上を図ることができる。
【0062】
図4は、他の実施形態に係る処理装置1aを例示するための模式図である。
図4に示すように、処理装置1aは、例えば、供給部10、移動部20a、照射部30、照射部130、収容部40、およびコントローラ50を有する。
移動部20aは、例えば、処理物100の供給位置から、収容部40への排出位置まで処理物100を移動する。例えば、移動部20aは、前述した。移動部20と移動部120とを一体化したものとすることができる。
【0063】
移動部20aは、照射部130から照射された紫外線領域の光を透過させることができる。例えば、移動部20aは、紫外線領域の光を透過可能なベルトを有するベルトコンベアや、網状のベルトを有するベルトコンベアなどとすることができる。この場合、照射部130から照射された紫外線領域の光が減衰することが考えられるが、減衰量は予め求めることができる。そのため、照射部130から減衰量を考慮した紫外線領域の光が照射されるようにすればよい。
また、移動部20aがローラコンベアの場合には、照射部130から照射された紫外線領域の光が、ローラ同士の間を透過できる位置に照射部130を設ければよい。
【0064】
本実施形態に係る処理装置1aとすれば、処理装置1aの構成の簡易化、低コスト化、小型化などを図ることができる。
また、前述した処理装置1と同様に、収納部の内部に収納された食品のほぼ全領域に紫外線領域の光照射することができる。そのため、食品の鮮度維持の向上を図ることができる。
また、紫外線領域の光が、重複して照射される領域が生じたとしても、食品が変質などするのを抑制することができる。そのため、食品の品質維持の向上を図ることができる。
【0065】
図5は、他の実施形態に係る処理装置1bを例示するための模式図である。
図5に示すように、処理装置1bは、例えば、供給部10、移動部20、移動部120、反転部220、照射部30、収容部40、およびコントローラ50を有する。
反転部220は、処理物100の移動方向において、移動部20と移動部120との間に設けられている。反転部220は、処理物100の移動方向(収納部の内部に収納された食品の移動方向)において、移動部20と、移動部120と、の間に設けられ、処理物100(収納部の内部に収納された食品)の位置を反転させる。反転部220は、移動部20から搬出された処理物100を受けとり、上下を反転させて移動部120に受け渡す。反転部220は、例えば、反転コンベアなどとすることができる。
【0066】
反転部220が設けられていれば、処理物100の移動方向(収納部の内部に収納された食品の移動方向)に交差する方向において、照射部30を、移動部20の一方の側に設け、照射部130を、移動部120の、照射部30が設けられる側に設けることができる。すなわち、移動部20の上方に照射部30を設け、移動部120の上方に照射部30を設けることができる。移動部20、120の上方に照射部30が設けられていれば、照射部30に設けられた窓34eの上にゴミなどが付着し難くなる。そのため、複数の発光素子31bから照射された光がゴミなどに遮られて、処理物100に到達する光の強度が弱くなるのを抑制することができる。
また、前述した処理装置1と同様に、収納部の内部に収納された食品のほぼ全領域に紫外線領域の光照射することができる。そのため、食品の鮮度維持の向上を図ることができる。
また、紫外線領域の光が、重複して照射される領域が生じたとしても、食品が変質などするのを抑制することができる。そのため、食品の品質維持の向上を図ることができる。
【0067】
なお、以上においては、移動部20、20a、120がコンベアの場合を例示したが、例えば、移動部は、水平方向に回転する円板などであってもよい。この場合、照射部130は、円板の回転方向(処理物100の移動方向)において、照射部30と離隔した位置に設けられていればよい。
【0068】
また、以上においては、上下方向に照射部30、130を配置する場合を例示したが、水平方向や、水平方向に対して傾斜した方向に照射部30、130を配置してもよい。
また、以上においては、処理物100を移動させる移動部20、20a、120を設ける場合を例示したが、照射部30、130を移動させる移動部を設けるようにしてもよい。すなわち、移動部は、例えば、照射部30および照射部130と、収納部の内部に収納された食品と、の相対的な位置を移動させるものであればよい。
【0069】
次に、照射部30に用いる発光素子31b(第1の発光素子)、および照射部130に用いる発光素子31b(第2の発光素子)から照射される紫外線のピーク波長について説明する。
図6は、処理物100の収納部の材料と、紫外線の透過率との関係を例示するためのグラフである。
図6から分かるように、収納部における紫外線の透過率は、透過する紫外線の波長に応じて変化する。紫外線の透過率が変化すると、食品の表面に到達する紫外線の強度が変化する。
収納部の材料(フィルムA~C)が変わると、収納部における紫外線の透過率が変化するが、一般的に、水銀ランプから照射されるピーク波長が254nmの紫外線の透過率に対して、長波長領域の紫外線の透過率は高くなる。
また、前述したように、照射部30に用いる発光素子31b、および照射部130に用いる発光素子31bから照射される紫外線のピーク波長は260nm以上、300nm以下である。この様な波長範囲においては、図6から分かるように、収納部の材料が変わっても、水銀ランプから照射されたピーク波長が254nmの紫外線に比べて、収納部における紫外線の透過率を高くできる。その結果、ピーク波長が260nm以上、300nm以下の紫外線を照射する発光素子31bとすれば、食品の表面に到達する紫外線の強度を高くできるため、食品の鮮度維持と品質維持の向上を図ることができる。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 処理装置、1a 処理装置、1b 処理装置、10 供給部、20 移動部、30 照射部、31 発光モジュール、31b 発光素子、40 収容部、50 コントローラ、100 処理物、120 移動部、130 照射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6