(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】天井埋め込み装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0047 20190101AFI20250403BHJP
【FI】
F24F1/0047
(21)【出願番号】P 2021170334
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2024-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】漆原 慎
(72)【発明者】
【氏名】田里 香織
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-229470(JP,A)
【文献】特開昭49-23443(JP,A)
【文献】特開2017-146012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井板により形成される天井と、
前記天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に埋め込まれる天井埋め込み装置と、
下方が解放された箱形状であり、上板と側板とで前記天井埋め込み装置を囲う断熱ボックスと、
前記天井埋め込み装置の側面下端から水平方向に突出するフランジと、
躯体に支持される受け材に固定されて鉛直方向に吊り下がる吊り部と、
前記吊り部と前記フランジとを連結する枠状の連結枠と、
を備え、
前記天井板は強化石膏ボードであり、
前記断熱ボックスは、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層され、
前記断熱ボックスは、前記側板が前記天井埋め込み装置の側面と前記吊り部との間に配置され、前記連結枠の下端に形成される水平部に載置されており、
前記吊り部は、前記連結枠を上下方向に調整可能に吊り下げており、
前記断熱ボックスは、側板の前記吊り部に近接する位置に、作業口が設けられるとともに、当該作業口に塞ぎ板が嵌合され、
前記塞ぎ板は、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層されることを特徴とする天井埋め込み装置の取付構造。
【請求項2】
前記断熱ボックスは、前記作業口が設けられる側板と異なる側板に、当該側板の一部が切り欠かれた開口部が形成されており、
当該開口部には、開口塞ぎ板が嵌合され、
前記開口塞ぎ板は、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層されるものであり、ダクトを挿入可能な挿入孔が形成されることを特徴とする
請求項1に記載の天井埋め込み装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルトイン空気調和機や換気扇などの天井埋め込み装置を天井裏に吊り下げて固定する天井埋め込み装置の取付構造に関し、特に、装置を断熱ボックスで囲んだ天井埋め込み装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より空気調和機や換気扇の中には、天井に埋め込まれる天井埋め込み式のものが種々知られている。このような天井埋め込み装置が建物に支持される方法としては、天井裏の建物躯体に支持される吊りボルトに天井埋め込み装置から突出する吊り金具が固定されて、天井埋め込み装置が吊り下げられるように支持されるものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
上述のような天井埋め込み装置の取付構造は、天井埋め込み装置に、吊り金具や吊りボルトが設けられており、これらの吊り金具や吊りボルトが邪魔になるので、断熱材料のマットで被覆する場合に、天井埋め込み装置に巻き付けにくく、また、隙間なく巻き付けることが困難であった。また、断熱材料のボードで被覆する場合にも、吊り金具や吊りボルトとの干渉を避けることは困難であり、切欠きなどの現場加工作業を必要とするため施工手間がかかっていた。
【0004】
そこで、本願の出願人は、断熱被覆の施工を容易にすることができるとともに、一定の断熱性能を確実に確保するために、下方に開口する断熱ボックスを、躯体から吊り下げて、断熱ボックス内に天井埋め込み装置を固定した天井埋め込み装置の取付構造を提案した(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-320888号公報
【文献】特開2001-235177号公報
【文献】特開2017-146012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3の断熱ボックスは、グラスウールボード又はロックウールボードで構成されており、1時間準耐火構造で求められる強化石膏ボード15mm相当の耐火性能を確保することはできない。したがって、天井埋め込み装置を配置しつつ、1時間準耐火構造で設計するためには、天井及び天井埋め込み装置よりも上に、強化石膏ボード15mmを敷き詰めた防火ラインを形成し、当該防火ラインの下に天井を形成する石膏ボード及び天井埋め込み装置を吊り下げる二重の天井構造とする必要がある。
【0007】
しかし、二重の天井構造とする場合、天井が低くなる設計の自由度が低下し、居住性が低下するおそれがある。また、防火ラインのための強化石膏ボードの施工、及び天井の石こうボードの施工の2重の作業が必要となるので施工手間が大きくなる問題がある。さらに、天井埋め込み装置を吊り下げる部材が防火ラインを形成する強化石膏ボードを貫通することとなるので、施工の難易度が上がるとともに、防火ラインを保つために、貫通部に耐火パテを処理するなどの施工手間が加わる。
【0008】
そこで本発明は、天井を大きく下げることなく所定の耐火基準を充たすことができ、断熱被覆の施工を容易にすることができる天井埋め込み装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造は、天井板により形成される天井と、前記天井に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に埋め込まれる天井埋め込み装置と、下方が解放された箱形状であり、上板と側板とで前記天井埋め込み装置を囲う断熱ボックスと、前記天井埋め込み装置の側面下端から水平方向に突出するフランジと、躯体に支持される受け材に固定されて鉛直方向に吊り下がる吊り部と、前記吊り部と前記フランジとを連結する枠状の連結枠と、を備え、前記天井板は強化石膏ボードであり、前記断熱ボックスは、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層され、前記断熱ボックスは、前記側板が前記天井埋め込み装置の側面と前記吊り部との間に配置され、前記連結枠の下端に形成される水平部に載置されており、前記吊り部は、前記連結枠を上下方向に調整可能に吊り下げており、前記断熱ボックスは、側板の前記吊り部に近接する位置に、作業口が設けられるとともに、当該作業口に塞ぎ板が嵌合され、前記塞ぎ板は、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層されることを特徴としている。
【0012】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造は、前記断熱ボックスは、前記作業口が設けられる側板と異なる側板に、当該側板の一部が切り欠かれた開口部が形成されており、当該開口部には、開口塞ぎ板が嵌合され、前記開口塞ぎ板は、板状の断熱材からなる断熱層と、前記天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層と、が積層されるものであり、ダクトを挿入可能な挿入孔が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造によると、天井板が所定の耐火基準を充たすとともに、断熱ボックスが天井板と同じ所定の耐火基準を充たすので、天井板と断熱ボックスとで防火ラインを形成することができ、天井及び天井埋め込み装置よりも上に別途防火ラインを形成した二重天井とする必要がないので、天井を低くする必要がなく、設計の自由度を高めることができ、また、二重天井でないことから施工手間を減らすことができる。
【0014】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造によると、断熱ボックスが、断熱層及び天井板と同じ厚さの強化石膏ボード層が積層されて形成されているので、天井板と同じ所定の耐火基準を確実に充たすことができるととともに、所望の断熱性能を確保することができる。
【0015】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造によると、断熱ボックスの側板が天井埋め込み装置の側面と吊り部との間に配置されて、連結枠の下端に形成される水平部に載置されているので、断熱ボックスを不要な欠損なく保持することができる。そして、断熱ボックスは、側板の吊り部に近接する位置に作業口が設けられているので、吊り部を操作して連結枠を上下方向に調整することで、断熱ボックスの高さを調整することができ、高さ調整後に作業口を断熱層及び強化石膏ボード層が積層される塞ぎ板で塞ぐことで、施工を容易にしつつ、所定の耐火基準を充たすことができる。
【0016】
本発明の天井埋め込み装置の取付構造によると、断熱ボックスは、作業口が設けられる側板と異なる側板に開口部が形成されており、当該開口部には、開口塞ぎ板が嵌合されるものであり、開口塞ぎ板はダクトを挿入する挿入孔が形成されるものであり、断熱層及び強化石膏ボード層が積層されるものであるので、施工性の低下を防ぎつつ耐火ラインの欠損を小さくし、挿入孔とダクトとの間隙、及びダクトに耐火被覆材を巻き付けることで、ダクト付きの天井埋め込み装置を取り付ける取付構造であっても所定の耐火基準を充たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】天井埋め込み装置の取付構造の全体構成を説明する断面図。
【
図2】天井埋め込み装置の取付構造の全体構成を説明する別の断面図。
【
図3】連結枠及び連結枠に固定されている吊り金具を説明する斜視図。
【
図4】断熱ボックスを斜め上方から見た分解斜視図。
【
図5】断熱ボックスを斜め下方から見た分解斜視図。
【
図6】断熱ボックスの強化石膏ボード層、断熱層、及び補強鉄板を説明する断面図。
【
図7】連結枠の内側に断熱ボックスを挿入して載置した状態を説明する側面図。
【
図8】連結枠の内側に断熱ボックスを挿入して載置した状態を説明する斜視図。
【
図9】断熱ボックスを載置した連結枠に固定されている吊り金具の上端を吊りボルトに固定する状態を説明する図。
【
図10】断熱ボックスを載置した連結枠を吊り金具を介して吊りボルトに固定し、高さ調整後に、作業口を塞ぎ板で閉じる状態を説明する図。
【
図11】装置本体が断熱ボックス内に収納されるように持ち上げて、フランジを連結枠の水平部に固定する作業を説明する図。
【
図12】断熱ボックスの開口部に開口塞ぎ板を嵌め込む状態を説明する図。
【
図13】天井埋め込み装置にダクト及び配線を接続する状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る天井埋め込み装置の取付構造2の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、天井埋め込み装置の取付構造2は、図示しない建物躯体に支持される天井野縁20に天井板21により形成される天井22と、天井22に設けられた開口に下面を露出させつつ、天井裏に埋め込まれる天井埋め込み装置1と、天井埋め込み装置1を天井裏に設けられた吊り木受材23に吊り下げて固定する吊り部3と、吊り部3を天井埋め込み装置1に連結する連結枠4と、天井埋め込み装置1を囲う断熱ボックス5とを備えている。
【0019】
天井22は厚さ15mmの強化石膏ボード製の天井板21を天井野縁20に固定して形成される。天井板21は1時間準耐火構造で求められる不燃性能を有している。天井22には、天井埋め込み装置1の下面を露出させることができる開口が設けられている。天井埋め込み装置1は、例えばビルトイン空気調和機、浴室乾燥機、又は換気扇のように、大半が天井裏に埋め込まれつつ下面が天井22に設けられた開口から露出する装置である。天井埋め込み装置1は、天井22に設けられた開口に下面を露出させつつ天井裏に埋め込まれる装置本体10と、装置本体10の側面下端から水平方向に突出するフランジ11と、装置本体10の下面に取り付けられるルーバー12とを備えている。天井埋め込み装置1の装置本体10には、
図2に示すように、側面に換気用のダクト14を取り付け可能なアダプター13が設けられている。なお、本発明の天井埋め込み装置1は、ダクト14を取り付けることがない形状のものであってもよい。また、本実施形態の天井埋め込み装置の取付構造2は、天井埋め込み装置1を取り付ける構造が要点であるので、天井埋め込み装置1自体の機能及び内部構成については説明を省略する。
【0020】
吊り部3は、吊り木受材23から吊り下げられる吊りボルト30と、連結枠4にネジ固定されて当該連結枠4から上方に突出する吊り金具31と、吊りボルト30と吊り金具31とを固定するナット32と、を有している。吊り木受材23は、図示しない梁などの建物躯体に水平に架設される長手材であり、天井野縁20を支持する図示しない吊り木を支持する部材である。吊りボルト30は、上端が吊り木受材23に固定されて、吊り木受材23から下方に吊り下がっている。
【0021】
吊り金具31は、
図1及び
図3に示すように、連結枠4の上端に設けられた固定片40にネジ固定される部材である。吊り金具31の上端は装置本体10から離反する方向に折れ曲がっており、側方から見た場合に逆L字状となるように形成されている。吊り金具31の上端は吊りボルト30を挿入可能な切欠き33が形成されており、吊りボルト30をこの切欠き33に挿入し、吊りボルト30に螺合している上下のナット32で吊り金具31の上端を挟み込んで吊りボルト30と吊り金具31とを固定している。吊り金具31は上下のナット32を吊りボルト30に対して締め緩めすることで、高さ調整が可能である。
【0022】
連結枠4は、吊り金具31に接合するように上方に突出する4片の固定片40と、矩形枠状であり、装置本体10の側面と間隔をあけて平行に配置され、上端が固定片40に接合され吊り金具31から垂下する鉛直部41と、鉛直部41の下端から装置本体10側に突出し天井埋め込み装置1のフランジ11を下側に固定する水平部42と、を有している。連結枠4の鉛直部41の上端のうち、対向する2つの辺に固定片40が上方に突出するように設けられており、この固定片40に吊り金具31はネジ固定されている。
【0023】
断熱ボックス5は、
図4及び
図5に示すように、1つの上板50と4つの側板51からなる中空の直方体形状である。断熱ボックス5は、下面が開放されており下方から装置本体10を挿入可能な形状である。断熱ボックス5の4つの側板51のうち対向する2つの側板51に、作業口52が設けられている。作業口52は、断熱ボックス5の側板51を下端から所定高さまでを切り欠いて、当該側板51の吊り部3に近接する位置が四角く開口するように形成されており、当該作業口52には塞ぎ板53が嵌合されている。塞ぎ板53は作業口52を完全に閉じる矩形に形成されている。また、断熱ボックス5には、作業口52が設けられていない2つの側板51に円形の配線用スリーブ54が設けられている。配線用スリーブ54は、それぞれの側板51に2箇所ずつ並べて形成されている。配線用スリーブ54には当該配線用スリーブ54に嵌合する塞ぎピース55が設けられており、配線24の引き込みに使用しない配線用スリーブ54を閉じることができる。
【0024】
また、作業口52が設けられていない側板51のうち、片方の側板51には、当該側板51の一部が切り欠かれた開口部56が形成されている。開口部56は、側板51の下端から所定高さまで切り欠かれて四角く開口して形成されている。開口部56には開口塞ぎ板57が嵌合されている。開口塞ぎ板57は、開口部56と整合する矩形に形成されており、下端の一部に天井埋め込み装置1との干渉を避ける切り欠き58が形成されており、当該開口塞ぎ板57のほぼ中央にはダクト14を挿入可能な挿入孔59が形成されている。
【0025】
断熱ボックス5は、
図6に示すように、内側に厚さ15mmの強化石膏ボード層60が設けられており、当該強化石膏ボード層60の外側に、密度が64Kのマイクログラスウール製で厚さ25mmの断熱層61が設けられている。そして、断熱層61の外側には形状を保つ補強鉄板62が設けられている。なお、本実施形態においては、内側から強化石膏ボード層60、断熱層61、補強鉄板62の順に設けられているが、これらの層の順序はこれに限定されるものではない。
【0026】
作業口52に嵌合される塞ぎ板53は、断熱ボックス5の本体と同じ厚さ15mmの強化石膏ボード層60と、厚さ25mmのマイクログラスウール(64K)の断熱層61と、補強鉄板62とが積層されて形成されている。また、開口部56に嵌合される開口塞ぎ板57も同様に、断熱ボックス5の本体と同じ厚さ15mmの強化石膏ボード層60と、厚さ25mmのマイクログラスウール(64K)の断熱層61と、補強鉄板62とが積層されて形成されている。そして、配線用スリーブ54を塞ぐ塞ぎピース55についても同様の構造であることが好ましい。
【0027】
次に、以上のように構成される天井埋め込み装置の取付構造2の施工方法を説明する。天井埋め込み装置の取付構造2は、まず、
図7及び
図8に示すように、矩形の連結枠4の中に断熱ボックス5を配置する。すなわち連結枠4の水平部42に断熱ボックス5の側板51の下端が載置されるように配置する。このとき断熱ボックス5はその作業口52が、連結枠4の固定片40に固定されている吊り金具31に近接するように配置する。
【0028】
そして、次に
図9に示すように、断熱ボックス5が載置された状態のまま連結枠4に固定されている吊り金具31の上端に設けられている切欠き33を吊り木受材23から吊り下げられる吊りボルト30に外嵌させて、吊りボルト30に螺合されているナット32に引っ掛ける。そして、吊りボルト30に螺合しているナット32を締め緩めすることで、吊り金具31の上下方向の位置を調整し、連結枠4を水平部42の高さが天井22を構成する天井板21の上面の高さとほぼ等しい高さになる位置に固定する。
【0029】
高さ調整を終えると、
図10に示すように、塞ぎ板53を嵌合させて作業口52を閉じる。そして、
図11に示すように、配線用スリーブ54から電源配線及びリモコン配線などの配線24を引き込む。配線用スリーブ54のうち、配線24の引き込みに使用しなかった配線用スリーブ54には、塞ぎピース55を嵌合させて、当該配線用スリーブ54を閉じる。
【0030】
その後、
図11及び
図12に示すように、天井埋め込み装置1を装置本体10が断熱ボックス5内に収納されるように持ち上げつつ、電源配線やリモコン配線等の配線24を装置本体10に接続し、フランジ11を連結枠4の水平部42に例えばビスなどで固定し、その後、装置本体10の下面にルーバー12を固定する。このとき、天井埋め込み装置1はダクト14を固定するためのアダプター13が開口部56から露出するように配置される。そして、開口塞ぎ板57を開口部56にはめ込む。開口塞ぎ板57の挿入孔59からはアダプター13が露出するように配置される。
【0031】
そして、
図13に示すように、ダクト14を挿入孔59内でアダプター13に接続する。その後、図示しないが、ダクト14及び当該ダクト14と挿入孔59の間隙を例えば耐熱ロックウールなどの耐火被覆材で被覆する。その後、天井埋め込み装置1の周辺に天井板21を天井野縁20に固定し、天井22を形成する。
【0032】
このように、断熱ボックス5、当該断熱ボックス5の作業口52を塞ぐ塞ぎ板53、断熱ボックス5の開口部56に嵌合される開口塞ぎ板57、及び配線用スリーブ54を塞ぐ塞ぎピース55には、厚さ25mmのマイクログラスウール(64K)の断熱層61が形成されているので、天井22に開口を設けて天井埋め込み装置1を設置する場合であっても天井22の断熱性能を下げることがない。しかも断熱ボックス5は、その側板51が装置本体10の側面と鉛直部41との間に配置され、水平部42の上面に載置されるように装置本体10を囲んで配置されているので、断熱ボックス5の側面は連結枠4や吊り金具31と干渉することがなく、塞ぎ板53も簡単に着脱可能な構成とすることができ、他の部材との干渉による断熱性能の低下を防ぐことができる。
【0033】
そして、断熱ボックス5、当該断熱ボックス5の作業口52を塞ぐ塞ぎ板53、断熱ボックス5の開口部56に嵌合される開口塞ぎ板57、及び配線用スリーブ54を塞ぐ塞ぎピース55に、1時間準耐火構造に用いることができる厚さ15mmの強化石膏ボード層60が設けられており、天井22を形成する天井板21にも同様の厚さ15mmの強化石膏ボードが用いられているので、天井22及び断熱ボックス5で1時間準耐火構造の基準を充たす防火ラインを形成することができる。
【0034】
このように、天井22とは別に、天井懐内に防火ラインを設ける必要がないので、天井22が低くならず、施工手間を低減させることができるとともに、天井22の下の空間を居住性の高い空間とすることができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る天井埋め込み装置の取付構造2は、例えばビルトイン空気調和機のを取り付ける構造として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 天井埋め込み装置
2 天井埋め込み装置の取付構造
3 吊り部
4 連結枠
5 断熱ボックス
11 フランジ
14 ダクト
21 天井板
22 天井
42 水平部
51 側板
52 作業口
53 塞ぎ板
56 開口部
57 開口塞ぎ板
59 挿入孔
60 強化石膏ボード層
61 断熱層