IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タツノの特許一覧

<>
  • 特許-ガス充填装置 図1
  • 特許-ガス充填装置 図2
  • 特許-ガス充填装置 図3
  • 特許-ガス充填装置 図4
  • 特許-ガス充填装置 図5
  • 特許-ガス充填装置 図6
  • 特許-ガス充填装置 図7
  • 特許-ガス充填装置 図8
  • 特許-ガス充填装置 図9
  • 特許-ガス充填装置 図10
  • 特許-ガス充填装置 図11
  • 特許-ガス充填装置 図12
  • 特許-ガス充填装置 図13
  • 特許-ガス充填装置 図14
  • 特許-ガス充填装置 図15
  • 特許-ガス充填装置 図16
  • 特許-ガス充填装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】ガス充填装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20250403BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20250403BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20250403BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20250403BHJP
   B60L 50/70 20190101ALN20250403BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
H01M8/04 J
H01M8/0606
F17C5/06
B60L50/70
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022184631
(22)【出願日】2022-11-18
(65)【公開番号】P2024073756
(43)【公開日】2024-05-30
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】永井 克海
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109350(JP,A)
【文献】特開2005-240921(JP,A)
【文献】特開2019-190636(JP,A)
【文献】特開2015-155732(JP,A)
【文献】実開平06-022227(JP,U)
【文献】特開2001-317698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0024892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
H01M 8/04
H01M 8/0606
F17C 5/06
B60L 50/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレーム上に熱交換器を収容した下部ユニットと、
該下部ユニットの上方に位置し表示器を備えた中間ユニットと、
該中間ユニットの上方に位置し流量計を収容した頂部ユニットと、
前記下部ユニット及び前記中間ユニットの両側に位置し先端に充填ノズルを有する充填ホースを収容した側面ユニットを含み、
前記ユニットの各々における各ユニットの重なりあう箇所に形成された位置決め孔と、前記位置決め孔に挿入されるロケートピンが設けられていることを特徴とするガス充填装置。
【請求項2】
前記位置決め孔は、前記ロケートピンが抜き取り可能に構成されている請求項のガス充填装置。
【請求項3】
最下部にベースフレームが設けられており、当該ベースフレームには切欠きが形成されている請求項1、2の何れかのガス充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水素ガスの様な気体燃料を車両(FCV)等に充填するガス充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は化石燃料に乏しく海外から輸入することに頼っており国際情勢の影響を受けやすいなど、近年ではさまざまな資源から作ることができる水素が環境にやさしく、エネルギー安全保障に役立つことから注目を集めている
この環境問題に対する車輌として水素を燃料とした燃料電池自動車が提案されている。そして、燃料電池自動車に搭載される車載タンクに対して安定して効率良くガス燃料を充填する装置について本出願人も提案している(特許文献1参照)。
係る従来技術(特許文献1)は有効であるが、前記ガス充填装置を組み立てる場合、フレーム全体を組み立てた後に流量計、バルブ、配管、ガス管路冷却部等の機器をフレームに設置、結合していた。
【0003】
しかし、前記フレームにおけるボルト締結用の孔は、その位置やサイズがルーズなので、組み立て誤差によりフレーム構造の歪みの原因となるおそれがあった。
また、前記ガス管路冷却部は本体ハウジングのフレーム内に設置できるぎりぎりの大きさであり、且つ、約200kg前後の重量が大きい機器であるため、複数人で移動させながらフレーム内に設置して配管接続を行う必要があった。前記配管も1次側配管と2次側配管とがあり、ガス管路冷却部との間にあるメタルシール部を損傷する(傷付ける)ことなく、それぞれを正確に連結するのは熟練を要する作業であった。仮に、メタルシール部を損傷すると、当該損傷部から水素ガスが漏れ出し、爆発等の災害の要因となる可能性が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-109350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ハウジング本体をユニット化して組立ての簡素化と共に総組立ての工数の削減を図ることが出来て、生産効率を向上することが出来るガス充填装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス充填装置(100)は、
ベースフレーム(1)上に熱交換器(13)を収容した下部ユニット(10)と、
該下部ユニット(10)の上方に位置し表示器を備えた中間ユニット(20)と、
該中間ユニット(20)の上方に位置し流量計(33)を収容した頂部ユニット(30)と、
前記下部ユニット(10)及び前記中間ユニット(20)の両側に位置し先端に充填ノズルを有する充填ホースを収容した側面ユニット(40)を含み、
前記ユニットの各々における各ユニットの重なりあう箇所に形成された位置決め孔(LH)と、前記位置決め孔に挿入されるロケートピン(LP)が設けられていることを特徴としている。
【0008】
また本発明において、最下部(基礎部)にベースフレーム(1)が設けられており、当該ベースフレーム(1)には切欠き(1A)が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成を具備する本発明によれば、各機器をユニット毎に予め配設することが出来るので、総組立工数の削減をはかることができる。
また、ユニット同士が組み立てられて構成されたガス充填装置(100)の枠体内に機器を固定する作業に比較して、個々のユニットに機器を固定する作業は容易であり、作業の労力が極めて軽減される。
【0010】
本発明において、各ユニットは位置決め孔を設けており、各ユニットの重なりあう箇所に形成される位置決め孔(LH)がピン(LP)を挿入可能である機能を有していれば、各ユニット同士をボルト結合で強固に締結する以前の段階で、位置決め孔(LH)にピン(LP)を挿入して仮止め(仮組)して、その後、ボルト等で締結することにより、ユニットが組み立てられた状態における組み立て誤差を小さくして、フレーム構造の歪みを減少することが出来る。
例えば熱交換器(13)の様に重量が大きい機器をユニット内に予め設けることで設置する作業が容易となり、また、熱交換器(13)と配管を介して接続するべき他の機器も位置決め孔で正確に設置できるので、熟練者ではなくても、例えば1次側配管と2次側配管のそれぞれを正確にガス管路冷却部との間にあるメタルシール部を損傷する(傷付ける)こと無く連結することが出来る。そのため、メタルシール部損傷による水素ガスの漏出が防止できて、爆発等の災害を抑制することが出来る。
そして、ユニット同士或いはユニットと機器を結合した(例えばボルト締結した)後に、挿入したピンを抜き取ることが出来る。
さらに前記位置決め孔(LH)には、必要に応じて、結束バンドを挿入することが出来るので、例えば配線を前記結束バンドにより束ねることが出来る。
【0011】
本発明において、最下部(基礎部)にベースフレーム(1)が設けられており、当該ベースフレーム(1)には切欠き(1A)が形成されていれば、ベースフレーム設置時にアンカーボルト(AB)を締め付ける作業に際して、前記切欠き(1A)から、作業者が手や工具(例えばレンチ)をベースフレーム(1)に近接する様に入れることが可能になる。
従来の充填装置の様にベースフレームに切欠きが設けられていない場合に比較して、ベースフレーム(1)に形成された切欠き(1A)から作業者が手を挿入し、或いは、作業者が使用する工具(例えばレンチ)を介して作業するべき場所に近接或いは到達するので、アンカーボルト締結が容易になり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】充填装置を構成する各ユニットを示す分解斜視図である。
図2図1で示すユニットが組み立てられた状態を示す斜視図である。
図3】各ユニット内に収容或いは取り付けられている各種機器を示す正面図である。
図4】図示の実施形態において、各種パネルを開放した状態を示す斜視図である。
図5】ベースフレームとサイドユニットを結合する態様を示す拡大説明斜視図である。
図6】充填装置の正面図である。
図7図6のA部を拡大して示す説明図である。
図8】実施形態で用いられる脱圧弁を示す斜視図である。
図9】脱圧弁のリミットスイッチの感知部及び可動部を示す部分拡大図であり、感知部と可動部が接触している状態を示している。
図10図9と同様な部分拡大図であって、感知部と可動部が離隔した状態を示している。
図11】実施形態において、感知部と可動部が接触した状態の作用効果を示す説明図である。
図12】脱圧弁のリミットスイッチで用いられるスペーサーを示す斜視図である。
図13】実施形態において、中間ボックス内にIRボックスを収容した状態を示す正面図である。
図14図13で示す状態から、IRボックスを引き出して保持した状態を示す正面図である。
図15】実施形態で用いられるハーネス安全継手の斜視図である。
図16図15のハーネス安全継手の縦断面図である。
図17図16と同様な縦断面図であって、ハーネス安全継手が分離した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、充填装置100は、下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30(頂部ユニット)、両脇のサイドユニット40(側面ユニット)から構成されており、各々のユニットの内部には、水素等を充填するのに必要な機器が収容されている。
下部ユニット10の上方に中間ユニット20が位置し、中間ユニット20の上方にトップユニット30が位置している。そして、下部ユニット10及び中間ユニット20の両側にサイドユニット40が位置しており、下部ユニット10の下方にはベースフレーム1が位置している。
図1では中間ユニット20の図示が省略されており、破線の引き出し線と符号20で表示している。
図1では、下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30、両脇のサイドユニット40が組み立てられる(或いは、相互に締結される)以前の状態で示されている。下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30、両脇のサイドユニット40が組み立てられた状態は、図2で示されている。
図2において、表示パネル21は中間ユニット20の前面に取り付けられている。各ユニットの前面に取り付けられるパネルについては図4を参照して後述する。
【0014】
図1図2図6では、図示の簡略化のため、各ユニットを構成するフレームのみを図示しており、各ユニットに収容され或いは取り付けられる充填用の各種機器は、図示を省略されている。
図3には、各ユニット内に収容或いは取り付けられている充填用各種機器が示されている。図3において、トップユニット30には、例えば充填ホース(図示しない)を吊り下げ支持するためのサポートアーム32、サポートアーム回転機構32A、水素ガス流路を構成する流量計33、遮断弁34、出口側脱圧弁35、配管等が設けられている。
サイドユニット40には、例えば、充填ノズル(図示せず)に接続された充填ホースが設けられており、図3では充填ノズル及び充填ホース(図示の実施態様では2個の充填ノズルとそれに接続した充填ホース)がサイドユニット40に収容されている。
下部ユニット10には、例えば流量調整弁12、ガス管路冷却部(熱交換器13、配管、その他を含む)、入口側脱圧弁14等が設けられており、これ等の機器は水素ガス流路を構成している。
下部ユニット10の下方にはベースフレーム1が配置される。
また、中間ユニット20に関しては、図3では中間ユニット20の前面に取り付けられた表示パネル21のみが示されている。図示されていないが、充填量表示器(カウンター)及びそれに必要な電子機器等が、中間ユニット20に設けられている。
【0015】
図示の実施形態では、図1図2で示す各ユニット(下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30、サイドユニット40)の各々は、いわゆる「サブAssy」として構成されている。そして図示の実施形態では、充填用各種機器を各ユニット内の所定位置に配置して、取り付けた後、各ユニット同士を結合して(組み立てて)、ガス充填装置100を製造している。
そのため、ユニット(下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30、サイドユニット40)同士を組み立てる以前の段階で、水素充填に必要な各種機器を各ユニットに配設することが出来る。組み立てられたガス充填装置100内に各種機器を配置、固定する作業に比較して、個々のユニット毎に水素充填用の各種機器を固定する作業は容易であり、容易な分だけ作業効率が向上する。また、組み立て作業の労力が軽減される。
ただし、図示の実施形態において、ガス充填装置100の据付場所の条件によっては、各ユニット(下部ユニット10、中間ユニット20、トップユニット30、サイドユニット40)を充填用各種機器を取り付ける以前の段階で組み立て、その後、組み立てられた各ユニット内(フレーム内)に各種機器を設置することも可能である。
【0016】
ガス充填装置100の各ユニットに設けられた各種パネルが開いた状態を示す図4において、各ユニットにはそれぞれパネルは設けられている。すなわち、中間ユニット20には表示パネル21(フロントパネル)が設けられ、
トップユニット30にはフロントアッパーパネル31が設けられ、
サイドユニット40の下部にはフロントサイドロアーパネル41が設けられ、サイドユニット40の上部にはフロントサイドアッパーパネル42が設けられており、
下部ユニット10にはフロントロアーパネルが設けられている。図面の煩雑化を回避するため、フロントロアーパネルの図示は省略する。
図4では、表示パネル21、フロントサイドロアーパネル41、フロントサイドアッパーパネル42は側面方向に開放しており、フロントアッパーパネル31は上方に開放している状態が表示されている。
図4において、符号32は充填ノズル、充填ホースの操作をサポートするためのサポートアーム、符号36は安全装置としての放爆扉を示している。
図示の実施形態において、正面側はカウンター(表示部、充填量表示器)が付いている方である。例えば両面から車両の充填が可能な充填装置であれば、カウンター(表示部、充填量表示器)は両面に付いており、何れも正面となる。
【0017】
明確には図示されていないが、図示の実施形態ではガス充填装置100における各ユニット同士において、溶接個所は存在しない。従来、溶接で固定していたパネルは接着剤で貼付されている。
ここで、パネルをユニットに対して溶接で固定すると、パネルを取り付けたとしても溶接痕が目立ってしまい、見た目が悪い。そして、溶接痕を取るため、サンダーで研削するとメッキ被膜も除去してしまうので、耐食性が低下する。
図示の実施形態では溶接個所が無く、ユニットに対してパネルを接着しているため溶接痕は存在せず、見た目が良い。そして、係る意匠的な効果のみならず、サンダーにより溶接痕を研削する作業が不要になる。
さらに、溶接痕の研削除去によりメッキ被膜が除去されることがないため、耐食性が低下しない。
それに加えて、溶接箇所がないため凹凸がなくなり、各ユニットの対応するパネル(表示パネル21、フロントアッパーパネル31、フロントサイドロアーパネル41、フロントサイドアッパーパネル42)を設ける側が面一になるため、パネルの見栄えが向上する。
【0018】
再び図1図2において、各ユニットにおけるフレームには、多数の位置決め孔LHが穿孔(形成)されている。位置決め孔LHは、ユニット同士の結合箇所(重なりあう箇所)や、各ユニットにおける機器との接合箇所に対応して形成することが出来る。図1では煩雑さを回避するため、一部の位置決め孔LHのみ引き出し線で示している。
位置決め孔LHを加工することにより、各ユニットにおいて充填用各種機器を設置する場合や、各種機器を設置したユニット同士を組み立てる場合に、機器設置箇所やユニット同士の接合箇所を容易に決定することが出来る。そして当該機器設置箇所やユニット同士の接合箇所には、締結部材であるボルトを位置決め孔LHに挿入される。換言すれば、位置決め孔LHにボルトを挿入することにより結合作業が行われるので、機器設置作業やユニット同士の組立作業は容易であり、作業性も良好である。
また、機器設置箇所やユニット同士の接合箇所を容易且つ確実に決定することが出来て、機器同士の相対位置関係も正確に決定されるので、重量が大きいガス管路冷却部(熱交換器13、配管、その他を含む)の様な機器と、配管を介して結合している機器との相対位置も、位置決め孔LHにより正確に特定できる。そのため、熟練者でなくても、1次側配管と2次側配管のそれぞれを正確にガス管路冷却部との間にあるメタルシール部を損傷する(傷付ける)こと無く連結することが出来る。そのため、メタルシール部損傷による水素ガスの漏出が防止出来る。
各ユニットのフレームにおける位置決め孔LHを利用してユニット同士の結合、各ユニットにおける機器との接合を行う具体的な態様の一例については、図5を参照して後述する。
【0019】
図5では、下部ユニット10(図1図3)の下方に配置されたベースフレーム1と、サイドユニット40の下端部近傍を結合する態様が示されている。
図5において、ベースフレーム1の右端部近傍には切欠き1Aが形成されており、切欠き1Aはベースフレーム1の前面部1Fに形成されている。図5では明示されていないが、切欠き1Aはベースフレーム1の左右両端部近傍に形成されている。
ベースフレーム1におけるサイドユニット40側(図5では右上側)には位置決め孔LH1が形成されており、サイドユニット40には位置決め孔LH1と対応する位置に位置決め孔LH40が形成されている。図5では偏寄して示されているが、位置決め孔LH1、LH40は、ベースフレーム1とサイドユニット40を結合した場合に整合する位置(重なり合う位置)に形成されており、位置決め孔LH1、LH40には単一のロケートピンLPを挿入することが出来る。
位置決め孔LH1、LH40はロケートピンLPを挿入して仮止めするための位置決め孔として使用される。そして、ロケートピンLPによる仮止め後に、締結ボルトを挿入して締結を行うための孔として、締結孔LH2と、サイドユニット40側の締結孔LH41とが用いられる。換言すれば、ベースフレーム1とサイドユニット40の各々には、ロケートピンLPを挿入して位置決め(仮止め)する位置決め孔LH1、LH40と、位置決め後に締結ボルトを挿入して締結する締結孔LH2、LH41が、それぞれ形成されている。
【0020】
ベースフレーム1とサイドユニット40を結合(組み立て)するに際して、ロケートピンLPを切欠き1Aを経由してベースフレーム1側の位置決め孔LH1に挿入し、次いでサイドユニット40のフレーム側の位置決め孔LH40を貫通させて、ベースフレーム1とサイドユニット40を仮止めする。
そして、ロケートピンLPにより仮止めをした状態で、ベースフレーム1側の締結孔LH2と、サイドユニット40側の締結孔LH41にユニット同士を締結するためのボルト(図示せず)を挿入し、図示しないナットを用いて、ベースフレーム1とサイドユニット40(のフレーム)を結合(締結)する。ベースフレーム1とサイドユニット40をボルト及びナットで締結した後、位置決め孔LH1、LH40に挿入されたロケートピンLPを抜き取る。
ユニット同士の結合時(組み立て時)に、最初からボルト及びナットで結合すると、組み立て誤差が積み重なり、組立作業工程の後工程になると、累積した誤差(ずれ)が大きくなり、ボルト及びナット結合が出来なくなる場合がある。それに対して、図示の実施形態の様に、ユニット同士の結合(例えばベースフレーム1とサイドユニット40のボルト結合)以前の段階で、ロケートピンLPで(例えばベースフレーム1とサイドユニット40を)仮止め(仮組)すれば、組立作業の後工程においても累積誤差は大きくならず、ボルト及びナットによる結合(締結或いは組み立て)を容易に且つ円滑に実行することが出来る。そして、フレーム構造の歪みを減少することが出来る。
【0021】
図5では、ベースフレーム1とサイドユニット40との結合(組み立て)、すなわちユニット同士の結合を例示しているが、ユニットと当該ユニットに設置されるべき機器との結合(組み立て)についても、上述と同様の手法が適用出来る。例えば、上述した様に、下部ユニット10に重量の大きいガス管路冷却部(熱交換器13、配管、その他を含む、図3参照)を結合、固定する際に、最初にロケートピンで仮止め或いは仮組して、その後でボルト・ナットで締結すれば、機器設置の際の誤差は大きくならずに、容易に且つ正確に設置することが出来る。
図示はされていないが、組み立て後の位置決め孔に結束バンドを挿入することにより、例えば配線を束ねて配置することが出来る。
【0022】
次に図6図7を参照して、ベースフレーム1の据付作業について説明する。
図6において、ガス充填装置100の最下部(基礎部)のベースフレーム1には、切欠き1Aが形成されている。図6の切欠き1Aは、図5で説明した切欠き1Aである。
ガス充填装置100を水素ステーションの所定位置(据付位置)に設置するに際して、ベースフレーム1はアンカーボルトABによりステーション内の据付位置に固定(設置)される。ベースフレーム1をアンカーボルトABにより据付位置に固定する際に、アンカーボルトABをレンチWR(工具)により締め付ける必要があるが、アンカーボルトABの締付作業は、従来、作業性が悪かった。従来のベースフレーム1では、その前面側を上下方向に延在する前面部1Fは平坦な部材で構成されていたので(従来のガス充填装置では前面部1Fには切欠き1Aが形成されていなかった)ため、アンカーボルトABのボルトヘッドが前面部1Aにより作業者から見え難い場合があり、且つ、レンチWRにより前面部1Fを超えてアンカーボルトABのボルトヘッドを締め付けることが難しいからである。
【0023】
それに対して図示の実施形態では、上述した様に、ベースフレーム1前面側(図6の看者側)の前面部1Fには切欠き1Aが形成されているため、上述した問題を解消している。
図7において、上述したアンカーボルトABの締付作業に加えて、主として図5を参照して説明したロケートピンLPによるベースフレーム1とサイドユニット40を仮止めする作業の態様も図示されている。
明確には図示されていないが、図6図7において、切欠き1Aはベースフレーム1の図6における左右方向の両端部近傍に形成されている。すなわち、図示の実施形態では、ベースフレーム1とサイドユニット40を組み立てる(締結する)作業、及び、ベースフレーム1をアンカーボルトABによりステーション内の所定位置に固定(設置)する作業は、ベースフレーム1の左右両端部近傍において行うことが出来る。
【0024】
図8図12を参照して、図示の実施形態における脱圧弁14(入口側脱圧弁:図3参照)と、そのスイッチ部15について説明する。
図8には、図示の実施形態で用いられる脱圧弁14及びそのスイッチ部15が示されており、脱圧弁14の本体部14Aの頂部にスイッチ部15が配置されている。スイッチ部15は本体部15Aと感知部15Bを有し、本体部15Aにはケーブル16が接続されている。
図8において、破線の円形で示す領域A8の部分拡大図が図9である。図9において、脱圧弁14が作動すると可動部14Bが上昇して感知部15Bに接触すると、スイッチ部15の本体部15Aより脱圧弁14が作動したことを確認する信号がケーブル16を介して出力される。一方、図8の領域A8の拡大図である図10で示す様に、脱圧弁14の可動部14Bが上昇せず、可動部14Bが感知部15Bに接触しなければ、脱圧弁14は作動しない。従って、スイッチ部15は脱圧弁14の作動状況を信号として出力している。
図9図10において、符号17は本体部15Aをブラケット18に取り付ける取付用ネジ部である。
【0025】
図8において、ケーブル16は例えば矢印A8-1方向に変動して、接続している本体部15Aも揺動して、スイッチ基部が誤作動する恐れや、取付用ネジ部17(図9図10)が緩んでしまう可能性が存在する。
それに対して図示の実施形態では、図11で示す様に、スイッチ部15は、締結部材19により本体部15Aに締結された弾性を有するL字状の板金部材であるブラケット18を介して、脱圧弁本体14Aの頂部に取り付けられている。
【0026】
さらに、ケーブル16を本体部15Aの頂部に取り付けられた取付金具18に固定することで、ケーブル16が激しく変動しても、スイッチ部15(スイッチ基部)の誤作動を防止でき、取付用ネジ部17も緩まない。
【0027】
図12において、スイッチ部15の感知部15Bの位置決め用に、例えば厚さが5mmのスペーサー23が、可撓性部材24(紐、チェーン等)を介して、取付金具18に取り付けられている。係るスペーサー23の厚さ(例えば5mm)は、上下方向に移動する可動部14Bのストロークと同一となる様に設定されている。スイッチ部15の組み立てに際して、可動部14Bのストロークを調整する必要がある。可動部14Bのストロークの調整に際して、スペーサー23を用いれば、ストロークを容易に調整して、各種部品の配置や相対位置関係の容易に且つ正確に調節することが出来る。
図示の実施形態では、可撓性部材24を介してスペーサー23が取付金具18に取り付けられているので、可動部14Bのストロークの調整が必要な場合に、直ちにスペーサー23を用いて調整することが出来る。そのため、組み立て時のみならず、充填装置における各種の保守点検の際にも、作業者がスペーサー23を持ち歩くことなく、作業に際してスペーサー23を探す手間を省いて必要な作業を実行することが出来る。そのため、作業効率が向上する。
【0028】
図13図14を参照して、図示の実施形態における通信充填用の赤外線ボックス(IRボックス)について説明する。
IRボックス(赤外線ボックス)は、通常の充填作業の際に作業者により取り扱われる機器ではないが、例えば、プログラム更新や、ケーブルの点検結線等の保守作業(例えば結線作業)の際には、IRボックスを開いて作業が行なわれる。IRボックスを開いて行う作業の頻度は低い。
図示の実施形態では、通常時(IRボックスを開く作業が行われない時)は、図13で示す様に、中間ユニット20(図1図3参照)上部のスペースにIRボックス25を収納している。IRボックス25は所定の厚さを有する直方体形状をしている。図13において、IRボックス25は、収納状態では、長手方向が図13における紙面に垂直な方向となる様に、中間ユニット20の左上部隅部に存在する空間に収納されている。
保守作業等の様に、(頻度は低いが)IRボックス25を開いて行う作業を行う場合には、図14で示す様に、IRボックス25を中間ユニット20の左上部隅部の空間から引き出して、作業者側(手前側:図14における看者側或いは手前側)に位置させる。図14において、引き出されたIRボックス25の本体部にはハッチングを付して示している。
IRボックス25を引き出した際、IRボックス25後縁の引掛金具25Aにおけるだるま穴25Bに、中間ユニット20内の図示しないフレームから突接しているピン26或いはボルトを挿入し、以て、IRボックス25後縁の引掛金具25Aが上方になった状態で保持する。ここで、だるま穴25B、ピン26(或いはボルト)は、図13図14における左右方向の2箇所に設けられている。
図14で示す様にIRボックス25を引き出して、IRボックス25の作業面が作業者側に向く様に保持されれば、IRボックス25を開放して行われる各種作業(プログラム更新や、ケーブルの点検結線等の結線作業その他の保守作業)は、IRボックス25の内部が作業者の面前に曝されるので容易に実行できる。
【0029】
図示の実施形態では、通信充填の際に信号の伝達を行うため、充填ホース(図示せず)に沿ってハーネスが延在している。係るハーネスのハーネス安全継手43について、図15図17を参照して説明する。
図15図17において、ハーネス安全継手43は、ガス充填装置(図示せず)側のハーネス44と、車両(図示せず)側のハーネス45と、本体部46を有しており、充填装置側のハーネス44と車両側のハーネス45が分離可能に構成されている。
本体部46は、充填装置側のハーネス44と車両側のハーネス45を接続する接続部46A、充填装置側のフランジ部46B、車両側のフランジ部46Cを有している。本体部46の接続部46Aには押圧突起部46APが設けられており、押圧突起部46APが押圧されると車両側のハーネス45と接続部46Aが分離し、以て、充填装置側のハーネス44と車両側のハーネス45に分離する様に構成されている。
図16で示す様に、車両側のフランジ部46Cにおけるハーネス貫通孔46CHは、その内壁形状が、図16の下方に向かうにつれて滑らかに内径が小さくなる様に形成されている。
【0030】
例えば、図示しない車両がガス充填作業を行っている作業者や運転手の意志とは無関係に急発進した場合の様に、安全継手43が車両側に引っ張られると、ハーネス44、45、本体部46は図15図17の下方(図17の矢印A17方向)に移動する。図16を参照して上述した様に、フランジ部46Cにおけるハーネス貫通孔46CHは、下方(A17方向)に向かうにつれて滑らかに内径が小さくなる。そのため、図17で示す様に、フランジ部46Cの貫通孔46CHの内壁面により、接続部46Aの押圧突起部46APが押圧される。その結果、図17で示す様に、車両側のハーネス45と接続部46Aは分離し、ハーネス安全継手43は分離する。
【0031】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0032】
1・・・ベースフレーム
1A・・・切欠き
10・・・下部ユニット
13・・・熱交換器
20・・・中間ユニット
30・・・頂部ユニット(トップユニット)
33・・・流量計
40・・・側面ユニット(サイドユニット)
100・・・ガス充填装置
LH・・・位置決め孔
LP・・・ピン(ロケートピン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17