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特許7659767空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
G01N27/416 341M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024534569
(86)(22)【出願日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2023043995
(87)【国際公開番号】W WO2024128152
(87)【国際公開日】2024-06-20
【審査請求日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2022198265
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321002226
【氏名又は名称】株式会社バイオケミカルイノベーション
(73)【特許権者】
【識別番号】521046608
【氏名又は名称】能登 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】徳田 美幸
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/130532(WO,A1)
【文献】特開2020-199138(JP,A)
【文献】特開2018-071977(JP,A)
【文献】特開2013-127455(JP,A)
【文献】特開2004-057298(JP,A)
【文献】特開2003-279449(JP,A)
【文献】国際公開第2022/264389(WO,A1)
【文献】TOKUDA, Y.,Suitability of air moisture oxidation reduction potential as an indicator of atmospheric pollution,Science of the Total Environment,2022年05月20日,Vol.839, No.156137,pp.1-5,doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.156137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を回収する回収部(2)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部(3)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部(4)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、該空気中に再放散する放散部(5)と、
相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部(7)と、
前記空気の温度を測定する空気温度測定部(8)と、
前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位、前記温度設定部(7)において設定された温度、前記空気温度測定部(8)が測定した前記空気の温度に基づいて制御を行う制御部(6)と、を備え、
前記制御部(6)は、
前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、かつ、前記空気温度測定部(8)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(7)により設定された前記第1の温度以上である場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値未満に低下させ、かつ、前記空気の温度を、前記第1の温度を下限として低下させ、かつ、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも少なくなるように制御して前記空気の湿度を低下させる第1の制御を行う
ことを特徴とする空気管理装置(1)。
【請求項2】
空気中の水分を回収する回収部(2)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部(3)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部(4)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、該空気中に再放散する放散部(5)と、
相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部(7)と、
前記空気の温度を測定する空気温度測定部(8)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を酸化して、該空気中の水分の酸化還元電位を増加させる酸化部(9)と、
前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位、前記温度設定部(7)において設定された温度、前記空気温度測定部(8)が測定した前記空気の温度に基づいて制御を行う制御部(6)と、を備え、
前記制御部(6)は、
前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、かつ、前記空気温度測定部(8)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(8)により設定された前記第2の温度以下である場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記酸化部(9)で酸化して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値以上に増加させ、かつ、前記空気の温度を、前記第2の温度を上限として上昇させ、かつ、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも多くなるように制御して前記空気の湿度を上昇させる第2の制御を行う、
ことを特徴とする空気管理装置(1)。
【請求項3】
空気中の水分を回収する回収部(2)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部(3)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部(4)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、該空気中に再放散する放散部(5)と、
相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部(7)と、
前記空気の温度を測定する空気温度測定部(8)と、
前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を酸化して、該空気中の水分の酸化還元電位を増加させる酸化部(9)と、
前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位、前記温度設定部(7)において設定された温度、前記空気温度測定部(8)が測定した前記空気の温度に基づいて制御を行う制御部(6)と、を備え、
前記制御部(6)は、
前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、かつ、前記空気温度測定部(8)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(7)により設定された前記第1の温度以上である場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値未満に低下させ、かつ、前記空気の温度を、前記第1の温度を下限として低下させ、かつ、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも少なくなるように制御して前記空気の湿度を低下させる第1の制御を行い
さらに、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、かつ、前記空気温度測定部(8)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(8)により設定された前記第2の温度以下である場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記酸化部(9)で酸化して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値以上に増加させ、かつ、前記空気の温度を、前記第2の温度を上限として上昇させ、かつ、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも多くなるように制御して前記空気の湿度を上昇させる第2の制御を行う、
ことを特徴とする空気管理装置(1)。
【請求項4】
前記所定の閾値は、100~200mvの範囲内の値であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【請求項5】
前記所定の閾値は、200mvであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【請求項6】
前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が前記所定の閾値以上で、該空気が酸化還元電位に影響を及ぼす物質により汚染されていると判別する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【請求項7】
前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値未満に低下させることにより、該空気中の水分から汚れを除去する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【請求項8】
前記制御部(6)は、
前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して汚れを除去した後、前記放散部(5)から該空気中に再放散し、
前記空気中の水分の酸化還元電位が前記所定の閾値未満で、該空気が汚染されていないと判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、そのまま前記放散部(5)から該空気中に再放散する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【請求項9】
前記制御部(6)は、前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位に基づいて前記空気の汚染に関する情報を出力する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気管理装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
に関し、特に、
空気を適切に管理可能な空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の測定項目として、常識的に一般化されているのは、温度と湿度とである。温度と湿度とは、体感を左右させる重要なファクタだからである。その他、空気汚染を監視する測定項目としては、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、さらにPM2.5等があげられる。室内汚染の指標としては、VOC(揮発性有機化合物:シックハウス症候群アレルゲン物質)の測定が代表的である(例えば特許文献1参照)。また、半導体や医薬品等を製造するクリーンルーム等には、微細粒子(パーティクル)の連続測定機器が設備され、汚染度合いを監視している。なお、本明細書中に特許文献1の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1:特開2003-279449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、空気の汚染を測定する指標は様々あり、その測定方法も指標毎にまちまちである。このため、空気の汚染を統一的に測定することができず、空気を適切に管理することができなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、空気を適切に管理可能な空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る空気管理装置(1)は、空気中の水分を回収する回収部(2)と、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部(3)と、前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位に基づいて前記空気の汚染に関する情報を出力する制御部(6)と、を備える。
【0007】
上記の空気管理装置(1)は、前記制御部(6)が、前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上であるか否かにより、前記空気が汚染されているか否かを判別し前記空気の汚染に関する情報を出力するものであってもよい。
【0008】
上記の空気管理装置(1)は、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部(4)をさらに備え、前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値未満に低下させることにより、該空気中の水分から汚れを除去する、ものであってもよい。
【0009】
上記の空気管理装置(1)は、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、該空気中に再放散する放散部(5)をさらに備え、前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して汚れを除去した後、前記放散部(5)から該空気中に再放散し、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、該空気が汚染されていないと判別した場合、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を、そのまま前記放散部(5)から該空気中に再放散する、ものであってもよい。
【0010】
上記の空気管理装置(1)は、相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部(7)と、前記空気の温度を測定する空気温度測定部(8)と、を有し、前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、かつ、前記空気温度測定部(8)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(7)により設定された第1の温度以上である場合、前記制御部(6)は、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記還元部(4)で還元して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値未満に低下させ、かつ、前記空気の温度を、前記第1の温度を下限として低下させる第1の制御を行う、ものであってもよい。
【0011】
上記の空気管理装置(1)は、相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部(8)と、前記空気の温度を測定する空気温度測定部(7)と、を有し、前記制御部(6)は、前記空気中の水分の酸化還元電位が前記所定の閾値未満で、かつ、前記空気温度測定部(7)により測定された前記空気の温度が前記温度設定部(8)により設定された第2の温度以下である場合、前記制御部(6)は、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分を前記酸化部(9)で酸化して、前記空気中の水分の酸化還元電位を前記所定の閾値以上に増加させ、かつ、前記空気の温度を、前記第2の温度を上限として上昇させる第2の制御を行う、ものであってもよい。
【0012】
上記の空気管理装置(1)は、前記制御部(6)は、前記第1の制御において、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも少なくなるように制御し、前記空気の湿度を低下させる、ものであってもよい。
【0013】
上記の空気管理装置(1)は、前記制御部(6)は、前記第2の制御において、前記放散部(5)による再放散の量が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分量よりも多くなるように制御し、前記空気の湿度を上昇させる、ものであってもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る空気管理方法は、回収部(2)が、空気中の水分を回収し、電位測定部(3)が、前記回収部(2)によって回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定し、制御部(6)が、前記電位測定部(3)によって測定した前記空気中の水分の酸化還元電位に基づいて前記空気の汚染に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータに、空気中の水分を回収する手順と、前記回収した前記空気中の水分の酸化還元電位を測定する手順と、前記測定した前記空気中の水分の酸化還元電位に基づいて前記空気の汚染に関する情報を出力する手順と、を実行させるためのものである。
【0016】
本発明の第4の観点に係るコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、上記に記載のプログラムを記憶するためのものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、空気を適切に管理可能な空気管理装置、空気管理方法、プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る空気管理装置の構成例を示すブロック図である。
図2】空気管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図3】変形例に係る空気管理装置の構成例を示すブロック図である。
図4】変形例に係る空気管理装置の第1の制御を説明するためのグラフである。
図5】変形例に係る空気管理装置の第2の制御を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0020】
まず、本発明の実施形態に係る空気管理装置の構成について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
空気中の汚染物質の測定は、一般的に、空気を吸引し、汚染物質をフィルタに吸着させたり、液体中に拐取したりして、化学分析装置やセンサ等を使用することにより行われる。すなわち、空気中の汚染物質の測定には、空気そのものだけではく、空気中の水分も使用される。
ここで、空気の成分は、窒素約78%、酸素約21%、二酸化炭素約1%で、これは地球上の何処で測定してもほぼ変わらない。そうすると、空気中の汚染物質は、空気の一成分として含まれるものではなく、空気中の水分に含まれる。
【0022】
そして、空気中の汚染物質は、化学的に考えると、そのほとんどが酸化物や酸化剤であることに鑑みれば、汚染物質を含む水分は、酸素還元電位(Oxidation-Reduction Potential:ORP)が高くなる。
そこで、本実施形態に係る空気管理装置は、室内や設備内といった略閉鎖空間内の空気中の水分から、空気が汚染されているか否かを判別するようにした(以下、空気は室内や設備内といった略閉鎖空間内の空気とする)。なお、上記または以下から明らかなように、本実施形態において、空気が汚染されている状態とは、空気中の水分に酸化物や酸化剤などの酸化還元電位に影響を及ぼす物質が含まれている状態をいい、酸化物や酸化剤が主要な汚染物質とされる。
【0023】
図1は、本実施形態に係る空気管理装置の構成例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、空気管理装置1は、回収部2と、電位測定部3と、還元部4と、放散部5と、制御部6と、を備える。
【0025】
回収部2は、例えば汎用の除湿器等から構成される。回収部2は、制御部6による制御の下、室内や設備内といった略閉鎖空間の除湿を行って、空気中の水分を連続的に回収する。
【0026】
電位測定部3は、例えば酸性雨のモニタリングに使用されるORPセンサ等から構成される。電位測定部3は、制御部6による制御の下、回収部2により回収された空気中の水分のORPを連続的に測定する。空気管理装置1は、電位測定部3が測定したORPを表示したり印刷してりして出力する出力部を備えてもよい。出力部は、液晶ディスプレー等で構成される表示画面を有する表示装置や印刷物を出力することができるプリンターを含むことができる。
【0027】
還元部4は、例えば電気分解や還元セラミックス等の利用によって水を還元する汎用の還元水生成装置等から構成される。還元部4は、制御部6による制御の下、汚染されている空気中の水分を還元して、空気中の水分のОRPを低下させることにより、水分から汚れを除去する。
【0028】
放散部5は、例えば汎用の加湿器等から構成される。加湿器5は、制御部6による制御の下、回収部2により回収された水分を空気中に再放散して加湿する。
【0029】
制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MEMORY(メモリ)より詳しくはROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えるプロセッサ等から構成される。CPUは、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されている各種プログラム等を適宜実行することによって、空気管理装置1の各種動作を制御する。
【0030】
本実施形態において、制御部6は、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位に基づいて空気の汚染に関する情報を出力する。より詳しくは、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であるか否かにより、空気中の水分が汚染されているか否か、即ち空気が汚染されているか否かを判別する。そして、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であれば、空気中の水分が汚染され、空気も汚染されていると判別し空気の汚染に関する情報を出力して、所定の閾値未満であれば、空気中の水分が汚染されておらず、空気も汚染されていないと判別する。
【0031】
より詳しくは、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であれば、空気中の水分が汚染され、空気も汚染されていると判別し空気が汚染されている旨の情報(空気の汚染に関する情報)を出力して、所定の閾値未満であれば、空気中の水分が汚染されておらず、空気も汚染されていないと判別し空気が汚染されていない旨の情報を出力する。
【0032】
更に詳しくは、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であれば、空気中の水分が汚染され、空気も汚染されていると判別し電位測定部3によって測定された空気中の水分の酸化還元電位に応じて示される空気の汚染度を出力することができる(空気の汚染度は、空気の汚染に関する情報および空気が汚染されているか否かの情報に含まれる)。制御部6は、空気の汚染度を上記した出力部に出力し、出力部を介して空気の汚染度を表示したり印刷して出力することができる。制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位と空気の汚染度との相関関係を示すデータまたは数式をMEMORY(メモリ)内に記憶している。制御部6は、電位測定部3によって測定された空気中の水分の酸化還元電位と対応する汚染度を、MEMORY(メモリ)内に記憶されている空気中の水分の酸化還元電位と空気の汚染度との相関関係を示すデータまたは数式に基づいて演算し出力することができる。例えば、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上であるときは、数1に示される電位測定部3によって測定された空気中の水分の酸化還元電位Aと生体電位B(閾値)との差Δαが小さい程、空気の汚染度は低くなり、差Δαが大きい程、空気の汚染度は高くなる。MEMORY(メモリ)には、数1に示されるΔαと空気の汚染度との相関関係を示すデータまたは数式が記憶されている。
[数1]
Δα=A-B
【0033】
ここで、所定の閾値は、空気管理装置1の使用目的に応じて予め設定されればよい。
【0034】
具体的に、人を含めた動物(哺乳類)にとって最適な生環境にするために使用する場合には、動物の肌のORP(肌電位)100mv~200mv程度が、動物にとって最適なORP(以下、「生体電位」という。)であることから、所定の閾値を200mvと設定すればよい。
植物にとって最適な生環境にするために使用する場合には、植物の生体電位は0mv~100mv程度であることから、所定の閾値を100mvと設定すればよい。
カビ、酵母等の真菌、細菌類、及びウィルス等の微生物にとって最適な生環境にするために使用する場合には、微生物の生体電位は200mv~400mv程度であることから、所定の閾値を400mvと設定すればよい。
食品類の腐敗や鮮度を維持するために使用する場合には、所定の閾値を0mvと設定すればよい。
【0035】
制御部6は、空気が汚染されていると判別した場合、回収部2により回収された空気中の水分、即ち汚染されている水分を還元部4で還元して、水分のORPを低下させて所定の閾値未満とすることにより、水分から汚れを除去する。
そして、制御部6は、汚れが除去された水分を、放散部5から略閉鎖空間内の空気中に再放散する。
これに対して、制御部6は、空気が汚染されていないと判別した場合、回収部2により回収された空気中の水分、即ち汚染されていない水分を、そのまま放散部5から略閉鎖空間内の空気中に再放散する。
このように、制御部6は、回収部2により回収された空気中の水分のうち、汚染されてない水分についてはそのまま、汚染されている水分については汚れを除去してから、略閉鎖空間内の空気中に再放散することで、空気中の湿度を一定に保ちつつ、空気から汚れを除去することができる。
また、制御部6は、空気中の水分のORPを、それぞれの生物に応じて設定された所定の閾値未満とすることで、生物の住み分けを可能とし、各生物を活性化させ、本来の生命力を発揮させることができる。
【0036】
次に、上記構成を備える空気管理装置が実行する空気管理処理について図面を参照して説明する。
【0037】
図2は、空気管理処理の詳細を示すフローチャートである。
【0038】
図2に示す空気管理処理において、まず、空気管理装置1の回収部2は、制御部6の制御の下、略閉鎖空間の除湿を行って、空気中の水分を連続的に回収する(ステップS201)。換言すれば、制御部6は、回収部2により略閉鎖空間の除湿を行って、空気中の水分を連続的に回収する。
【0039】
次に、電位測定部3は、制御部6の制御の下、ステップS201で回収部2により回収された空気中の水分のORPを連続的に測定する(ステップS202)。換言すれば、制御部6は、回収部2により回収された空気中の水分のORPを電位測定部3で連続的に測定する。
【0040】
そして、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であるか否かにより、空気中の水分が汚染されているか否か、即ち空気が汚染されているか否かを判別するとともに、更に、空気の汚染に関する情報(空気が汚染されている旨の情報、空気が汚染されていない旨の情報)を出力する(ステップS203)。より詳しくは、制御部6は、電位測定部3により測定されるORPが所定の閾値以上であれば、空気中の水分が汚染され、空気も汚染されていると判別し電位測定部3によって測定された空気中の酸化還元電位に応じて示される空気の汚染度を演算し出力部に出力する(空気の汚染度は、例えばレベル1,2,・・・、汚染度100%,90%,・・・、汚染度強,中,弱,・・・の如くである)。
【0041】
制御部6は、空気が汚染されていると判別した場合(ステップS203;Yes)、回収部2により回収された空気中の水分、即ち汚染されている水分を還元部4で還元して、水分のORPを低下させて所定の閾値未満とすることにより、水分から汚れを除去する(ステップS204)。
そして、制御部6は、汚れが除去された水分を、放散部5から略閉鎖空間内の空気中に再放散してから(ステップS205)、空気管理処理を終了する。
【0042】
これに対して、制御部6は、空気が汚染されていないと判別した場合(ステップS203;No)、ステップS204をスキップして、回収部2により回収された空気中の水分、即ち汚染されていない水分を、そのまま放散部5から略閉鎖空間内の空気中に再放散してから(ステップS205)、空気管理処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る空気管理装置1は、空気中の水分を回収する回収部2と、回収部2によって回収した空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部3と、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位に基づいて空気の汚染に関する情報を出力する制御部6と、を備える。
このように、本実施形態に係る空気管理装置1は、空気中の水分の酸化還元電位を測定することにより、空気が汚染されているか否かを簡易且つ適切に判別することができ、空気を適切に管理することができる。
【0044】
また、空気管理装置1は、制御部6が、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上であるか否かにより、空気が汚染されているか否かを判別し空気の汚染に関する情報を出力する。
これにより、本実施形態に係る空気管理装置1は、空気を適切に管理することができる。
【0045】
更に、空気管理装置1は、回収部2によって回収した空気中の水分を還元して、空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部4をさらに備える。そして、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、空気が汚染されていると判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を還元部4で還元して、空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値未満に低下させることにより、空気中の水分から汚れを除去する。
これにより、本実施形態に係る空気管理装置1は、空気の汚れを除去することができ、空気を適切に管理することができる。
そして、所定の閾値を目的に応じて設定することで、体感が変わり、植物が健康になり、微生物との住み分けが可能となる等、様々な効果を奏することができる。
【0046】
例えば、人の場合、都会の室内と森林の滝壺周辺のベンチとでは、温度が略30℃、湿度が略60%で略同一の温湿度環境であっても、森林の滝壺周辺のベンチでは、ひんやり居心地よく感じるのに対し、都会の室内では汗が止まらなく、その体感に大きな違いがある。
そこで、空気中の水分のORPを測定したところ、森林の滝壺周辺のベンチでのORPは、198mvで所定の閾値(200mv)未満であるのに対し、都会の室内でのORPは、398mvで所定の閾値以上であった。
すなわち、空気中の水分のORPが人の肌電位(100mv~200mv程度)と略一致していれば、人は心地よく感じ、本来の体感を得ることができる。
そこで、本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、都会の室内での空気中の水分のORPを所定の閾値未満とし、人の肌電位と略一致させることで、人は、体感温度が正常化され、都会の室内においても、森林の滝壺周辺のベンチと同じように、心地よく感じ、本来の体感を得ることができる。
これにより、都会の室内のエアーコンディショナの設定温度が体温よりも少し低い33℃位であったとしても、人は、心地よく感じ、本来の体感を得ることができるため、昨今の全世界のエネルギ事情(電力やCO2排出量等)を大きく改善することが見込まれ、莫大な環境的、経済的効果を期待することができる。
【0047】
また、空気中の水分のORPが通常の人の肌電位よりもはるかに高い環境は、酸化力の強い環境(空気の汚染度が高い環境)であり、人を酸化過多にする環境である。
人と酸化とは非常に密接された関係があり、酸化がなければ、体内に酸素を取り込めず、又栄養の吸収分解もできないので、生存が不可となる一方で、酸化過多は各種疾患の原因となる。
そこで、本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、空気中の水分のORPを、人の肌電位(100mv~200mv程度)と略一致させることで、各種疾患の症状の緩和を期待することができる。
【0048】
さらに、植物の場合、ビニルハウスのような略閉鎖空間内において、本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、略閉鎖空間内の空気中の水分のORPを、植物の生体電位(0mv~100mv程度)と略一致させることで、植物が本来備えている病虫害忌避力を正常化させることができ、本来の発育能力を発揮することができ、旨味が引き出されるとともに、有害な農薬や化学肥料の使用を抑制し、ひいては環境破壊を抑制することができる。
【0049】
また、微生物の場合、略閉鎖空間内において、所定の閾値を微生物の生体電位(200mv~400mv程度)に設定した本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、略閉鎖空間内の空気中の水分のORPを、植物の生体電位と略一致させることで、酵母や乳酸菌類等の有益な微生物を増殖させることができ、酒や味噌、その他発酵食品の生産の発酵効率を上げることができる。
逆に、所定の閾値を植物の生体電位未満に設定した本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、室内や病院及び学校等建屋等の略閉鎖空間内の空気中の水分のORPを、植物の生体電位未満とすることで、新型コロナウイルス等の有害な微生物の増殖を抑制して感染を抑制することができ、ひいてはパンデミックを抑制することができる。
【0050】
そして、食品類の場合、輸送庫内(コンテナ、輸送車荷台)等の略閉鎖空間内において、本実施形態に係る空気管理装置1を使用して、略閉鎖空間内の空気中の水分のORPを、0mv未満のマイナス電位とすることで、常温輸送でも、食品(肉、魚、野菜、果物)の腐敗(酸化)を抑制することができる。
【0051】
さらに、空気管理装置1は、回収部2によって回収した空気中の水分を、空気中に再放散する放散部5をさらに備える。そして、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、空気が汚染されていると判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を還元部4で還元して汚れを除去した後、放散部5から空気中に再放散する。一方、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、空気が汚染されていないと判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を、そのまま放散部5から空気中に再放散する。
【0052】
このように、制御部6は、回収部2により回収された空気中の水分のうち、汚染されてない水分についてはそのまま、汚染されている水分については汚れを除去してから、略閉鎖空間内の空気中に再放散することで、空気中の湿度を一定に保ちつつ、空気から汚れを除去することができ、空気を適切に管理することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施形態の変形態様について、説明する。
【0054】
上記の実施形態に係る空気管理装置1は、上述した体感温度の変化、微生物の繁殖抑制に加え、食品鮮度の保持、老化防止といった効果を得ることができる。したがって、空気管理装置1単体で用いる他に、エアーコンディショナ、空気清浄機、冷蔵庫、冷凍庫、ディフューザ、美顔器や冷却痩身機械といった美容関連機器にモジュールとして組み込み、これらの器具と連動して作動させること各種効果を相乗的に得ることができる。
【0055】
上記の実施形態において、制御部6のCPUが実行するプログラムは、予めROM等に記憶されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の処理を実行させるためのプログラムを、既存の汎用コンピュータに適用することで、上記の実施形態に係る空気管理装置として機能させてもよい。
【0056】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えばコンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0057】
さらに、上記の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、又はOSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0058】
また、上述の実施形態において、空気管理装置1は、制御部6が、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上であるか否かにより、空気が汚染されているか否かを判別し空気の汚染に関する情報を出力することとしているが、制御部6は、閾値以上であるか否かの判別なしに、単に、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位に基づいて空気の汚染に関する情報を出力することとしてもよい。また、制御部6は、所定の閾値未満であれば、空気中の水分が汚染されておらず、空気も汚染されていないと判別し空気が汚染されていない旨の情報を出力することとしているが、空気が汚染されていない旨の情報として空気の汚染度(例えば汚染度0%、汚染度なし、・・・)を演算し出力部に出力することとしてもよい。
【0059】
更に、図3に示すように、上述した実施形態の空気管理装置1に温度設定部7、空気温度測定部8、酸化部9を付加することとしてもよい。
【0060】
すなわち、図3に示す空気管理装置1においても、空気中の水分を回収する回収部2と、回収部2によって回収した空気中の水分の酸化還元電位を測定する電位測定部3と、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位に基づいて空気の汚染に関する情報を出力する制御部6と、を備え、制御部6は、電位測定部3によって測定した空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上であるか否かにより、空気が汚染されているか否かを判別し空気の汚染に関する情報を出力し、回収部2によって回収した空気中の水分を還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を低下させる還元部4をさらに備え、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を還元部4で還元して、該空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値未満に低下させることにより、該空気中の水分から汚れを除去し、回収部2によって回収した空気中の水分を、該空気中に再放散する放散部5をさらに備え、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、該空気が汚染されていると判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を還元部4で還元して汚れを除去した後、放散部5から該空気中に再放散し、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、該空気が汚染されていないと判別した場合、回収部2によって回収した空気中の水分を、そのまま放散部5から該空気中に再放散する。
【0061】
そして、図3および図4に示す空気管理装置1においては、更に、相対的に高い温度である第1の温度および相対的に低い温度である第2の温度を設定する温度設定部7と、空気の温度を測定する空気温度測定部8と、を有し、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値以上で、かつ、空気温度測定部8により測定された空気の温度が温度設定部7により設定された第1の温度以上である場合、制御部6は、回収部2によって回収した空気中の水分を還元部4で還元して、空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値未満に低下させ、かつ、空気の温度を、第1の温度を下限として低下させる第1の制御を行う。制御部6は、第1の制御において、放散部5による再放散の量が、回収部2によって回収した空気中の水分量よりも少なくなるように制御し、空気の湿度を低下させる構成としている。
【0062】
すなわち、空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値未満に低下させることにより、空気の温度を相対的に高い第1の温度を下限として制御したとしても言い換えると空気の温度を第1の温度以上として制御したとしても、空気中の水分から汚れが除去され、よい体感が得られてひんやりと感じることができる。更に、空気の湿度を低下させることにより、更にひんやりとした体感が得られる。つまり、夏場等に空気の温度を第1の温度以下に下げずともよい体感が得られるため冷房の温度設定を上げることができる。
【0063】
また、図3および図5に示す空気管理装置1においては、制御部6は、空気中の水分の酸化還元電位が所定の閾値未満で、かつ、空気温度測定部7により測定された空気の温度が温度設定部8により設定された第2の温度以下である場合、制御部6は、回収部2によって回収した空気中の水分を酸化部9で酸化して、空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値以上に増加させ、かつ、空気の温度を、第2の温度を上限として上昇させる第2の制御を行う。制御部6は、第2の制御において、放散部5による再放散の量が、回収部2によって回収した空気中の水分量よりも多くなるように制御し、空気の湿度を上昇させる構成としている。
【0064】
すなわち、空気中の水分の酸化還元電位を所定の閾値以上に増加させることにより、空気の温度を相対的に低い第2の温度を上限として制御したとしても言い換えると空気の温度を第2の温度以下として制御したとしても、空気中の水分が汚れた状態となり、体感が悪化して熱く感じることとなる。更に、空気の湿度を増加させることにより、更に体感が悪化して熱く感じることとなる。つまり、冬場等に空気の温度を第2の温度以上に上げずとも体感が悪化するため暖房の温度設定を下げることができる。
【0065】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 空気管理装置
2 回収部
3 電位測定部
4 還元部
5 放散部
6 制御部
7 温度設定部
8 空気温度測定部
9 酸化部
図1
図2
図3
図4
図5