(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】走査型イメージング装置、その制御方法、画像処理装置、その制御方法、走査型イメージング方法、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20250403BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20250403BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
G01N21/17 620
A61B3/10 100
G06T1/00 290B
(21)【出願番号】P 2019223162
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】巻田 修一
(72)【発明者】
【氏名】安野 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】山口 達夫
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 雅博
【合議体】
【審判長】南 宏輔
【審判官】宮澤 浩
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-43898(JP,A)
【文献】特開昭59-137942(JP,A)
【文献】特開平11-128224(JP,A)
【文献】Yiwei CHEN et al., “Three-dimensional eye motion correction by Lissajous scan optical coherence tomography”, Biomedical Optics EXPRESS, Optical Society of America, vol.8, no.3, p.1783-1802, 2017/3/1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
A61B 3/00 - 3/18
A61B 9/00 - 10/06
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集する走査部と、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築する画像構築部と、
マルチスレッド処理が可能な画像処理部と、
前記画像処理部の複数のスレッドに前記複数の画像を
それぞれ割り当てる画像割当部と
を含み、
前記画像処理部は、前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する座標変換部を含む、
走査型イメージング装置。
【請求項2】
前記複数の画像のそれぞれについて、前記座標変換部は、複数の画素の座標変換を逐次処理として実行する、
請求項1の走査型イメージング装置。
【請求項3】
前記複数のスレッドの個数は、前記複数の画像の個数と等しく、
前記座標変換部は、前記複数のスレッドのそれぞれにおいて、前記複数の画像のうち
から当該スレッドに割り当てられた1つの画像における複数の画素の座標変換を逐次処理として実行する、
請求項2の走査型イメージング装置。
【請求項4】
前記走査部は、前記サンプルの3次元領域に前記走査を適用することによって前記データを収集し、
前記画像構築部は、
前記データから、前記一連のサイクルに対応する一連の2次元画像を構築し、且つ、
深さ方向のプロジェクションを前記一連の2次元画像に適用することによって、前記複数の画像としての第1の正面画像群を構築し、
前記座標変換部は、前記第1の正面画像群を、前記深さ方向に直交する実空間2次元直交座標系で定義された第2の正面画像群に変換する、
請求項1~3のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記座標変換により前記複数の画像から得られた複数の変換画像の画素補間を少なくとも部分的な並列処理として実行する画素補間部を更に含む、
請求項1~4のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項6】
前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像処理部は、前記座標変換と前記画素補間とを同じスレッドで実行する、
請求項5の走査型イメージング装置。
【請求項7】
前記走査部は、
互いに異なる第1方向及び第2方向に光を偏向可能な偏向器を含み、且つ、
前記第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ前記第2方向に沿った偏向方向の変化を前記第1周期と異なる第2周期で繰り返すことによって前記走査を前記サンプルに適用する、
請求項1~6のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項8】
前記偏向器は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づき制御される、
請求項7の走査型イメージング装置。
【請求項9】
前記一連のサイクルは、互いに交差する、
請求項7又は8の走査型イメージング装置。
【請求項10】
前記走査部は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)走査を前記サンプルに適用する、
請求項1~9のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項11】
サンプルに走査を適用してデータを収集する走査部と、プロセッサとを含む走査型イメージング装置を制御する方法であって、
前記走査部を、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集するように制御し、
前記プロセッサを、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築し、
前記複数の画像を複数のスレッドに
それぞれ割り当て、
前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する
ように制御する、
走査型イメージング装置の制御方法。
【請求項12】
一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを記憶する記憶部と、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築する画像構築部と、
マルチスレッド処理が可能な画像処理部と、
前記画像処理部の複数のスレッドに前記複数の画像を
それぞれ割り当てる画像割当部と
を含み、
前記画像処理部は、前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する座標変換部を含む、
画像処理装置。
【請求項13】
記憶部とプロセッサとを含む画像処理装置を制御する方法であって、
一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを前記記憶部に記憶させ、
前記プロセッサを、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築し、
前記複数の画像を複数のスレッドに
それぞれ割り当て、
前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する
ように制御する、
画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集し、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築し、
前記複数の画像を複数のスレッドに
それぞれ割り当て、
前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する、
走査型イメージング方法。
【請求項15】
一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを準備し、
前記データから
互いに異なる複数の画像を構築し、
前記複数の画像を複数のスレッドに
それぞれ割り当て、
前記複数のスレッドに
それぞれ割り当てられた前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する、
画像処理方法。
【請求項16】
請求項11、13、14及び15のいずれかの方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項17】
請求項16のプログラムが記録されたコンピュータ可読な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走査型イメージング装置、その制御方法、画像処理装置、その制御方法、走査型イメージング方法、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング技術の1つに走査型イメージングがある。走査型イメージングとは、サンプルの複数の箇所に順次にビームを照射してデータを収集し、収集されたデータからサンプルの像を構築する技術である。
【0003】
光を利用した走査型イメージングの典型例として光コヒーレンストモグラフィ(OCT;光干渉断層撮影法)が知られている。OCTは、光散乱媒質をマイクロメートルレベル又はそれ以下の分解能で画像化することが可能な技術であり、医用イメージングや非破壊検査などに応用されている。OCTは、低コヒーレンス干渉法に基づく技術であり、典型的には、光散乱媒質のサンプルへの深達性を担保するために近赤外光を利用する。
【0004】
例えば眼科画像診断ではOCT装置の普及が進んでおり、2次元的なイメージングだけでなく、3次元的なイメージング・構造解析・機能解析なども実用化され、診断の強力なツールとして広く利用されるに至っている。また、眼科分野では、走査型レーザー検眼鏡(SLO)など、OCT以外の走査型イメージングも利用されている。なお、近赤外光以外の波長帯の光(電磁波)や超音波を利用した走査型イメージングも知られている。
【0005】
OCTやSLOで利用される走査モードには様々なものがあるが、モーションアーティファクト補正などを目的とした所謂「リサージュ(Lissajous)スキャン」が近年注目を集めている(例えば、特許文献1~4、非特許文献1及び2を参照)。
【0006】
典型的なリサージュスキャンでは、或る程度の大きさを持つ複数のループ(互いに交差する複数のサイクル)を描くように測定光を高速走査するため、1つのサイクルからのデータ取得時間の差を実質的に無視することができる。また、異なるサイクルの交差領域を参照してサイクル間の位置合わせを行えるため、サンプルの動きに起因するモーションアーティファクトを補正することが可能である。このようなリサージュスキャンの特徴に着目し、眼科分野では眼球運動に起因するモーションアーティファクトへの対処を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-17915号公報
【文献】特開2018-68578号公報
【文献】特開2018-140004号公報
【文献】特開2018-140049号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Yiwei Chen, Young-Joo Hong, Shuichi Makita, and Yoshiaki Yasuno, ”Three-dimensional eye motion correction by Lissajous scan optical coherence tomography”, Biomedical Optics EXPRESS, Vol. 8, No. 3, 1 Mar 2017, PP. 1783-1802
【文献】Yiwei Chen, Young-Joo Hong, Shuichi Makita, and Yoshiaki Yasuno, ”Eye-motion-corrected optical coherence tomography angiography using Lissajous scanning”, Biomedical Optics EXPRESS, Vol. 9, No. 3, 1 Mar 2018, PP. 1111-1129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の1つの目的は、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理の高速化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
幾つかの態様に係る走査型イメージング装置は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集する走査部と、前記データから複数の画像を構築する画像構築部と、マルチスレッド処理が可能な画像処理部と、前記画像処理部の複数のスレッドに前記複数の画像を割り当てる画像割当部とを含み、前記画像処理部は、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する座標変換部を含んでいてよい。
【0011】
幾つかの態様において、前記複数の画像のそれぞれについて、前記座標変換部は、複数の画素の座標変換を逐次処理として実行するように構成されていてよい。
【0012】
幾つかの態様において、前記複数のスレッドの個数は、前記複数の画像の個数と等しくてよい。更に、前記座標変換部は、前記複数のスレッドのそれぞれにおいて、前記複数の画像のうちの1つの画像における複数の画素の座標変換を逐次処理として実行するように構成されていてよい。
【0013】
幾つかの態様において、前記走査部は、前記サンプルの3次元領域に前記走査を適用することによって前記データを収集するように構成されていてよい。更に、前記画像構築部は、前記データから、前記一連のサイクルに対応する一連の2次元画像を構築し、且つ、深さ方向のプロジェクションを前記一連の2次元画像に適用することによって、前記複数の画像としての第1の正面画像群を構築するように構成されていてよい。加えて、前記座標変換部は、前記第1の正面画像群を、前記深さ方向に直交する実空間2次元直交座標系で定義された第2の正面画像群に変換するように構成されていてよい。
【0014】
幾つかの態様において、前記画像処理部は、前記座標変換により前記複数の画像から得られた複数の変換画像の画素補間を少なくとも部分的な並列処理として実行する画素補間部を更に含んでいてよい。
【0015】
幾つかの態様において、前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像処理部は、前記座標変換と前記画素補間とを同じスレッドで実行するように構成されていてよい。
【0016】
幾つかの態様において、前記走査部は、互いに異なる第1方向及び第2方向に光を偏向可能な偏向器を含んでいてよい。更に、前記走査部は、前記第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ前記第2方向に沿った偏向方向の変化を前記第1周期と異なる第2周期で繰り返すことによって前記走査を前記サンプルに適用するように構成されていてよい。
【0017】
幾つかの態様において、前記偏向器は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づき制御されるように構成されていてよい。
【0018】
幾つかの態様において、前記一連のサイクルが互いに交差する前記2次元パターンで前記走査を行うように構成されていてよい。
【0019】
幾つかの態様において、前記走査部は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)走査を前記サンプルに適用するように構成されていてよい。
【0020】
幾つかの態様に係る方法は、サンプルに走査を適用してデータを収集する走査部と、プロセッサとを含む走査型イメージング装置を制御する方法である。当該方法は、前記走査部を、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集するように制御してよい。更に、当該方法は、前記プロセッサを、前記データから複数の画像を構築し、前記複数の画像を複数のスレッドに割り当て、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行するように制御してよい。
【0021】
幾つかの態様に係る画像処理装置は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを記憶する記憶部と、前記データから複数の画像を構築する画像構築部と、マルチスレッド処理が可能な画像処理部と、前記画像処理部の複数のスレッドに前記複数の画像を割り当てる画像割当部とを含み、前記画像処理部は、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する座標変換部を含んでいてよい。
【0022】
幾つかの態様に係る方法は、記憶部とプロセッサとを含む画像処理装置を制御する方法である。当該方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを前記記憶部に記憶させてよい。更に、当該方法は、前記プロセッサを、前記データから複数の画像を構築し、前記複数の画像を複数のスレッドに割り当て、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行するように制御してよい。
【0023】
幾つかの態様に係る方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集し、前記データから複数の画像を構築し、前記複数の画像を複数のスレッドに割り当て、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する、走査型イメージング方法である。
【0024】
幾つかの態様に係る方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを準備し、前記データから複数の画像を構築し、前記複数の画像を複数のスレッドに割り当て、前記複数のスレッドにおいて前記複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する、画像処理方法である。
【0025】
幾つかの態様は、上記した方法のいずれかをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0026】
幾つかの態様は、上記した方法のいずれかをコンピュータに実行させるプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0027】
いずれか2以上の態様を少なくとも部分的に組み合わせることが可能である。また、いずれかの態様に対し、本開示に係る任意の事項を少なくとも部分的に組み合わせることが可能である。また、いずれか2以上の態様の少なくとも部分的な組み合わせに対し、本開示に係る任意の事項を少なくとも部分的に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0028】
例示的な態様によれば、走査型イメージングにおけるデータ処理を高速化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図2】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図4A】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図4B】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図4C】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図5】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図6】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図7】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図8】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
幾つかの例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置、その制御方法、画像処理装置、その制御方法、走査型イメージング方法、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
本明細書にて引用された文献に開示された技術や、それ以外の任意の公知技術を、例示的な実施形態に援用することが可能である。また、特に言及しない限り、「画像データ」とそれに基づく「画像」とを区別しないものとし、また、被検眼の「部位」とその「画像」とを区別しないものとする。
【0032】
例示的な実施形態において、一連のサイクルを含む2次元パターンに従うスキャンがサンプルに適用される。この2次元パターンは、典型的には、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づくものであってよく、例えば、特許文献1~4並びに非特許文献1及び2のいずれかに記載された技術に利用された(又は利用可能な)走査プロトコルであってよい。例示的な実施形態の説明において、採用可能なスキャンの態様(スキャンモード)をリサージュスキャンと呼ぶことにする。以下、例示として、非特許文献1に記載されたリサージュスキャンで収集されたデータの処理について説明する。
【0033】
まず、リサージュスキャンで収集されたデータにフーリエ変換等が適用されて、所定の3次元リサージュ座標系で定義された3次元画像データが構築される。この3次元リサージュ座標系は、例えば、3次元直交座標系(αβγ座標系とする)であり、α軸がサイクルを構成する複数のAラインの位置を表し、β軸がサイクルの識別番号(スキャン順序)を表し、γ軸が深さ位置(軸方向の位置)を表す。αβγ座標系で表現される3次元画像データは、スキャン順序にしたがってβ方向に配列された、リサージュスキャンを構成するサイクル群に対応する断面画像データ群(各断面はαγ面を表す)からなる。
【0034】
次に、αβγ座標系で定義された3次元画像データ(ボリューム)が、比較的大きな動きが介在しない複数の部分画像データ(サブボリューム)に分割され、各サブボリュームの正面プロジェクション画像(en face projection)が構築される。この正面プロジェクション画像は、γ方向のプロジェクションにより構築された、αβ面において定義された2次元正面画像である。このような正面プロジェクション画像はストリップと呼ばれる。
【0035】
続いて、リサージュ座標系(αβ座標系)で定義された各ストリップが、実空間(xy座標系)で定義された画像に変換される。換言すると、αβ座標系からxy座標系への座標変換が各ストリップに適用される。この処理は、リマッピング(remapping)と呼ばれる。更に、リマッピングされた(つまり、xy座標系で定義された)各ストリップに補間処理が適用される。これにより、xy座標系で定義された複数のストリップが得られる。
【0036】
非特許文献1に記載されたリサージュスキャンの特性として、2つのストリップは4箇所で重複する(交差する)。そこで、非特許文献1に記載されたデータ処理では、最も大きいストリップが初期基準ストリップとして採用され、この初期基準ストリップに対して大きさ順にストリップが逐次にレジストレーションされ、マージされる。レジストレーションでは、基準ストリップと他のストリップとの間の相対位置を求めるために相関演算(相互相関関数、相関係数)が利用される。ここで、ストリップは任意の形状を有するため、各ストリップを特定形状(例えば正方形状)の画像として扱うためのマスクを用いてストリップ間のオーバーラップ領域の相関演算が行われる(非特許文献1のAppendix Aを参照)。これにより、複数のストリップのマージ画像(合成画像)が得られる。このマージ画像が、目的の画像、つまりモーションアーティファクトが補正された画像である。
【0037】
例示的な実施形態では、リマッピング及び補間処理を工夫することによってデータ処理の高速化(短時間化)を図る。
【0038】
リマッピングにおいて、リサージュ座標系で定義されたストリップの複数の画素が、xy座標系の同一の画素に変換されることがある。すなわち、リマッピングには出力依存(output dependency)が存在する。そのため、単一のストリップのリマッピングに対してデータ並列処理を適用することはできず、シリアル処理(逐次処理)を適用する必要がある。
【0039】
このように各々のストリップのリマッピングを並列的に行うことはできないが、リマッピング全体を並列化することは可能である。すなわち、複数のストリップのリマッピングを並列的に行うことが可能である。例えば、ストリップの個数以下のスレッド数でのタスク並列処理(マルチスレッド処理)を適用することができる。ここで、ストリップの個数に等しいスレッド数でタスク並列処理を行うことにより、リマッピングを最も高速で行うことができる。これは、走査型イメージングにおけるデータ処理の検討・考察から本発明者が見出した知見の一つである。
【0040】
本発明者が得たもう一つの知見は補間処理に関するものである。補間処理は、リマッピングで値が割り当てられなかった画素に対し、その周囲の画素の値から導出された値を付与するデータ処理である。そのため、出力依存が介在する可能性がある。したがって、リマッピングと同様に、各々のストリップの補間処理を並列的に行うことはできないが、複数のストリップの補間処理を並列的に行うことが可能である。
【0041】
これらの新規な知見に基づき想到された幾つかの例示的な実施形態について以下に説明する。
【0042】
以下に説明する例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置は、フーリエドメインOCT(例えば、スウェプトソースOCT)を利用して生体眼の眼底を計測することが可能な眼科装置である。実施形態に採用可能なOCTのタイプは、スウェプトソースOCTに限定されず、例えばスペクトラルドメインOCT又はタイムドメインOCTであってもよい。
【0043】
幾つかの例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置は、OCT以外の走査型モダリティを利用可能であってよい。例えば、幾つかの例示的な実施形態は、SLO等の任意の光走査型モダリティを採用することができる。
【0044】
また、幾つかの例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置に適用可能な走査型モダリティは、光走査型モダリティには限定されない。例えば、幾つかの例示的な実施形態は、光以外の電磁波を利用した走査型モダリティや、超音波を利用した走査型モダリティなどを採用することができる。
【0045】
幾つかの例示的な実施形態に係る眼科装置は、OCTスキャンで収集されたデータの処理及び/又はSLOで収集されたデータの処理に加え、他のモダリティで取得されたデータを処理可能であってよい。他のモダリティは、例えば、眼底カメラ、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかであってよい。幾つかの例示的な実施形態に係る眼科装置は、このようなモダリティの機能を有していてよい。
【0046】
OCTが適用される対象(サンプル)は眼底に限定されず、前眼部や硝子体など眼の任意の部位であってもよいし、眼以外の生体の部位や組織であってもよいし、生体以外の物体であってもよい。
【0047】
以下に説明する例示的な実施形態に係る眼科装置は、走査型イメージング装置の幾つかの態様、走査型イメージング装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理装置の幾つかの態様、画像処理装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理方法の幾つかの態様、及び、走査型イメージング方法の幾つかの態様を提供する。
【0048】
〈走査型イメージング装置の構成〉
図1に示す眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100、及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼Eを正面から撮影するための要素群(光学要素、機構など)が設けられている。OCTユニット100には、被検眼EにOCTスキャンを適用するための要素群(光学要素、機構など)の一部が設けられている。OCTスキャンのための要素群の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、眼科装置1は、被検者の顔を支持するための要素や、OCTスキャンが適用される部位を切り替えるための要素を備えていてもよい。前者の要素の例として、顎受けや額当てがある。後者の要素の例として、OCTスキャン適用部位を眼底から前眼部に切り替えるために使用されるレンズユニットがある。
【0049】
本明細書に開示された要素の機能は、回路構成(circuitry)又は処理回路構成(processing circuitry)を用いて実装される。回路構成又は処理回路構成は、開示された機能を実行するように構成及び/又はプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路構成、及びそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む。プロセッサは、トランジスタ及び/又は他の回路構成を含む、処理回路構成又は回路構成とみなされる。本開示において、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、開示された機能を実行するハードウェア、又は、開示された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されたハードウェアであってよく、或いは、記載された機能を実行するようにプログラム及び/又は構成された既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが或るタイプの回路構成とみなされ得るプロセッサである場合、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、このソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサを構成するために使用される。
【0050】
〈眼底カメラユニット2〉
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、例えば近赤外光を用いた動画撮影により得られ、アライメント、フォーカシング、トラッキングなどに利用される。撮影画像は、例えば可視領域又は赤外領域のフラッシュ光を用いた静止画像である。
【0051】
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
【0052】
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面鏡12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ系17、リレーレンズ18、絞り19、及びリレーレンズ系20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)を照明する。観察照明光の被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像される。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカス(焦点位置)は、眼底Ef又は前眼部に合致するように調整される。
【0053】
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、結像レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像される。
【0054】
液晶ディスプレイ(LCD)39は固視標(固視標画像)を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aに反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。LCD39における固視標画像の表示位置を変更することで、被検眼Eの視線を誘導する方向(固視方向、固視位置)が変更される。
【0055】
LCD等の表示デバイスの代わりに、例えば、発光素子アレイ、又は、発光素子とこれを移動する機構との組み合わせを用いてもよい。
【0056】
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)に用いられるアライメント指標を生成する。発光ダイオード(LED)51から出力されたアライメント光は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。アライメント光の被検眼Eからの戻り光(角膜反射光等)は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行できる。
【0057】
従来と同様に、本例のアライメント指標像は、アライメント状態により位置が変化する2つの輝点像からなる。被検眼Eと光学系との相対位置がxy方向に変化すると、2つの輝点像が一体的にxy方向に変位する。被検眼Eと光学系との相対位置がz方向に変化すると、2つの輝点像の間の相対位置(距離)が変化する。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離が既定のワーキングディスタンスに一致すると、2つの輝点像が重なり合う。xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、所定のアライメントターゲット内又はその近傍に2つの輝点像が提示される。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離がワーキングディスタンスに一致し、且つ、xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、2つの輝点像が重なり合ってアライメントターゲット内に提示される。
【0058】
オートアライメントでは、データ処理部230が、2つの輝点像の位置を検出し、主制御部211が、2つの輝点像とアライメントターゲットとの位置関係に基づいて後述の移動機構150を制御する。マニュアルアライメントでは、主制御部211が、被検眼Eの観察画像とともに2つの輝点像を表示部241に表示させ、ユーザーが、表示された2つの輝点像を参照しながら操作部242を用いて移動機構150を動作させる。
【0059】
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、フォーカス光学系60は照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱される。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。フォーカス光の被検眼Eからの戻り光(眼底反射光等)は、アライメント光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカシングやオートフォーカシングを実行できる。
【0060】
孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間の撮影光路に、視度補正レンズ70及び71を選択的に挿入することができる。視度補正レンズ70は、強度遠視を補正するためのプラスレンズ(凸レンズ)である。視度補正レンズ71は、強度近視を補正するためのマイナスレンズ(凹レンズ)である。
【0061】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路(測定アーム)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。測定アームには、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45が設けられている。
【0062】
リトロリフレクタ41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、それにより測定アームの長さが変更される。測定アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0063】
分散補償部材42は、参照アームに配置された分散補償部材113(後述)とともに、測定光LSの分散特性と参照光LRの分散特性とを合わせるよう作用する。
【0064】
OCT合焦レンズ43は、測定アームのフォーカス調整を行うために測定アームに沿って移動される。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
【0065】
光スキャナ44は、実質的に、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナ44は、測定アームにより導かれる測定光LSを偏向する。光スキャナ44は、例えば、x方向のスキャンを行うためのガルバノミラーと、y方向のスキャンを行うためのガルバノミラーとを含む、2次元スキャンが可能なガルバノスキャナである。
【0066】
〈OCTユニット100〉
図2に例示するように、OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを適用するための光学系が設けられている。この光学系は干渉光学系を含む。この干渉光学系は、波長可変光源(波長掃引型光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系により得られたデータ(検出信号)は、干渉光のスペクトルを表す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0067】
光源ユニット101は、例えば、少なくとも近赤外波長帯において出射波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。更に、光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。測定光LSの光路は測定アームと呼ばれ、参照光LRの光路は参照アームと呼ばれる。
【0068】
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、リトロリフレクタ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、測定アームに配置された分散補償部材42とともに、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。リトロリフレクタ114は、これに入射する参照光LRの光路に沿って移動可能であり、それにより参照アームの長さが変更される。参照アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0069】
リトロリフレクタ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ119を通じてアッテネータ120に導かれてその光量が調整され、光ファイバ121を通じてファイバカプラ122に導かれる。
【0070】
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれてコリメータレンズユニット40により平行光束に変換され、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44及びリレーレンズ45を経由し、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの被検眼Eからの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
【0071】
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、生成された干渉光を所定の分岐比(例えば1:1)で分岐することで一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124を通じて検出器125に導かれる。
【0072】
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードを含む。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集システム(DAS)130に送る。
【0073】
データ収集システム130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐して2つの分岐光を生成し、これら分岐光の一方を光学的に遅延させ、これら分岐光を合成し、得られた合成光を検出し、その検出結果に基づいてクロックKCを生成する。データ収集システム130は、検出器125から入力される検出信号のサンプリングをクロックKCに基づいて実行する。データ収集システム130は、このサンプリングの結果を演算制御ユニット200に送る。
【0074】
本例では、測定アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ41)と、参照アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ114、又は参照ミラー)との双方が設けられているが、一方の要素のみが設けられていてもよい。また、測定アーム長と参照アーム長との間の差(光路長差)を変更するための要素はこれらに限定されず、任意の要素(光学部材、機構など)であってよい。
【0075】
〈制御系・処理系〉
眼科装置1の制御系及び処理系の構成例を
図3、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す。制御部210、画像構築部220、及びデータ処理部230は、例えば演算制御ユニット200に設けられる。眼科装置1は、外部装置との間でデータ通信を行うための通信デバイスを含んでいてもよい。眼科装置1は、記録媒体からのデータ読み出しと、記録媒体へのデータ書き込みとを行うためのドライブ装置(リーダ/ライタ)を含んでいてもよい。
【0076】
〈制御部210〉
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。また、
図4Aに示すように、本実施形態において、主制御部211は走査制御部2111を含み、記憶部212は走査プロトコル2121を記憶している。
【0077】
〈主制御部211〉
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科装置1の各要素(
図1~
図4Cに示された要素を含む)を制御する。主制御部211は、プロセッサを含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。走査制御部2111は、所定形状及び所定サイズの走査エリアに関するOCTスキャンの制御を行う。
【0078】
撮影合焦駆動部31Aは、主制御部211の制御の下に、撮影光路に配置された撮影合焦レンズ31と照明光路に配置されたフォーカス光学系60とを移動する。リトロリフレクタ(RR)駆動部41Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに設けられたリトロリフレクタ41を移動する。OCT合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに配置されたOCT合焦レンズ43を移動する。測定アームに設けられたリトロリフレクタ(RR)駆動部114Aは、主制御部211の制御の下に、参照アームに配置されたリトロリフレクタ114を移動する。上記した駆動部のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。光スキャナ44は、主制御部211(走査制御部2111)の制御の下に動作する。
【0079】
移動機構150は、典型的には、眼底カメラユニット2を3次元的に移動し、例えば、±x方向(左右方向)に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構と、±y方向(上下方向)に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構と、±z方向(奥行き方向)に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。各移動機構は、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
【0080】
〈記憶部212〉
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、OCT画像、眼底像、被検眼情報、制御情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者情報や、左眼/右眼の識別情報や、電子カルテ情報などを含む。制御情報は、特定の制御に関する情報である。本実施形態の制御情報は、走査プロトコル2121を含む。
【0081】
走査プロトコル2121は、所定形状及び所定サイズの走査エリアに関するOCTスキャンのための制御の内容に関する取り決めであり、各種制御パラメータ(走査制御パラメータ)の組を含む。走査プロトコル2121は、走査モード毎のプロトコルを含む。本実施形態の走査プロトコル2121は、リサージュスキャンのプロトコルを少なくとも含み、更に、例えば、Bスキャン(ラインスキャン)、クロススキャン、ラジアルスキャン、ラスタースキャンなどのプロトコルを含んでいてもよい。
【0082】
本実施形態の走査制御パラメータは、光スキャナ44に対する制御の内容を示すパラメータを少なくとも含む。このパラメータは、例えば、スキャンパターンを示すパラメータ、スキャン速度を示すパラメータ、スキャン間隔を示すパラメータなどがある。スキャンパターンは、スキャンの経路の形状を示し、その例として、リサージュパターン、ラインパターン、クロスパターン、ラジアルパターン、ラスターパターンなどがある。スキャン速度は、例えば、Aスキャンの繰り返しレートとして定義される。スキャン間隔は、例えば、隣接するAスキャンの間隔として、つまりスキャン点の配列間隔として定義される。
【0083】
なお、特許文献1~4並びに非特許文献1及び2の開示のような従来技術と同様に、本実施形態の「リサージュスキャン」は、互いに直交する2つの単振動を順序対として得られる点の軌跡が描くパターン(リサージュパターン、リサージュ図形、リサージュ曲線、リサージュ関数、バウディッチ曲線)を経路とした「狭義の」リサージュスキャンだけでなく、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンに従う「広義の」リサージュスキャンであってもよい。
【0084】
本実施形態では、光スキャナ44は、x方向に測定光LSを偏向する第1ガルバノミラーと、y方向に測定光LSを偏向する第2ガルバノミラーとを含む。リサージュスキャンは、x方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返すように第1ガルバノミラーの制御を行いつつ、y方向に沿った偏向方向の変化を第2周期で繰り返すように第2ガルバノミラーの制御を行うことによって実現される。ここで、第1周期と第2周期とは互いに異なる。
【0085】
例えば、本実施形態のリサージュスキャンは、2つの正弦波の組み合わせから得られる狭義のリサージュパターンのスキャンだけでなく、これに特定項(例えば、奇数次の多項式)を加えたパターンのスキャンや、三角波に基づくパターンのスキャンであってもよい。
【0086】
「サイクル」は、一般に、或る長さを持つ複数のサンプリング点から構成されるオブジェクトを意味し、例えば閉曲線又はほぼ閉曲線であってよい(つまり、サイクルの始点と終点とが一致又はほぼ一致していてよい)。
【0087】
典型的には、走査プロトコル2121はリサージュ関数に基づき設定される。非特許文献1の式(9)に示すように、リサージュ関数は、例えば、次のパラメトリック方程式系で表現される:x(ti)=A・cos(2π・(fA/n)・ti)、y(ti)=A・cos(2π・(fA・(n-2)/n2)・ti)。
【0088】
ここで、xはリサージュ曲線が定義される2次元座標系の横軸、yは縦軸、tiはリサージュスキャンにおける第i番目のAラインの収集時点、Aはスキャン範囲(振幅)、fAはAラインの収集レート(スキャン速度、Aスキャンの繰り返しレート)、nはx(横軸)方向の各サイクルにおけるAラインの個数をそれぞれ示す。
【0089】
このようなリサージュスキャンにおいて眼底Efに適用されるスキャンラインの分布の例を
図5に示す。
【0090】
(狭義又は広義の)リサージュスキャンに含まれる任意のサイクル対(ペア)が1点以上(特に2点以上、典型的には4点)で互いに交差するため、リサージュスキャンにおける任意のサイクル対から収集されたデータ対の間のレジストレーションを行うことができる。これにより、非特許文献1(又は2)に開示された画像構築手法及びモーションアーティファクト補正手法を利用することが可能となる。以下、特に言及しない限り、非特許文献1に記載された手法が適用される。
【0091】
記憶部212に記憶される制御情報は上記の例に限定されない。例えば、制御情報はフォーカス制御を行うための情報(フォーカス制御パラメータ)を含んでいてよい。
【0092】
フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータである。フォーカス制御パラメータの例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータなどがある。焦点位置を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の位置を示すパラメータである。焦点位置の移動速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動速度を示すパラメータである。焦点位置の移動加速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動加速度を示すパラメータである。移動速度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。移動加速度についても同様である。
【0093】
このようなフォーカス制御パラメータによれば、眼底Efの形状(典型的には、中心部が深く且つ周辺部が浅い凹形状)や収差分布に応じたフォーカス調整が可能になる。フォーカス制御は、例えば、走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)と連係的に実行される。それにより、モーションアーティファクトが補正され、且つ、スキャン範囲の全体に亘ってピントが合った、高品質の画像が得られる。
【0094】
〈走査制御部2111〉
走査制御部2111は、走査プロトコル2121に基づいて少なくとも光スキャナ44を制御する。走査制御部2111は、走査プロトコル2121に基づく光スキャナ44の制御と連係して光源ユニット101の制御を更に実行してもよい。走査制御部2111は、プロセッサを含むハードウェアと、走査プロトコル2121を含む走査制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0095】
〈画像構築部220〉
画像構築部220は、プロセッサを含み、データ収集システム130から入力された信号(サンプリングデータ)に基づいて、眼底EfのOCT画像データを構築する。このOCT画像データ構築は、従来のフーリエドメインOCT(スウェプトソースOCT)と同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタリング、高速フーリエ変換(FFT)などを含む。他のタイプのOCT手法が採用される場合、画像構築部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行することによってOCT画像データを構築する。これにより、複数のAスキャン画像データが得られる。これらAスキャン画像データには、走査プロトコルに応じた座標が付与される。
【0096】
前述したように、本実施形態ではリサージュスキャンが眼底Efに適用される。画像構築部220は、リサージュスキャンによる収集とデータ収集システム130によるサンプリングとを介して取得されたデータに対し、例えば非特許文献1又は2に開示された画像構築手法及びモーションアーティファクト補正手法を適用することによって、眼底Efの3次元画像データを構築する。幾つかの例示的な態様において、画像構築部220は、データ処理部230とともに、眼底Efの3次元画像データの構築を実行する。
【0097】
画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、3次元画像データにレンダリングを適用して表示用画像を形成することができる。適用可能なレンダリング法の例として、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、最大値投影(MIP)、最小値投影(MinIP)、多断面再構成(MPR)などがある。
【0098】
画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、3次元画像データに基づいてOCT正面画像(enface OCT image)を構築することが可能である。例えば、画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、3次元画像データをz方向(Aライン方向、深さ方向)に投影することでプロジェクションデータを構築することができる。また、画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、3次元画像データの一部である部分的3次元画像データをz方向に投影することでシャドウグラムを構築することができる。この部分的3次元画像データは、例えば、セグメンテーションを利用して設定される。セグメンテーションは、画像中の部分領域を特定する処理である。本例では、眼底Efの所定組織に相当する画像領域を特定するためにセグメンテーションを行うことができる。
【0099】
眼科装置1は、OCT血管造影(OCT-Angiography)を実施可能であってよい。OCT血管造影は、血管が強調された画像を構築するイメージング技術である(例えば、非特許文献2、特表2015-515894号公報などを参照)。一般に、眼底組織(構造)は時間的に変化しないが、血管内部の血流部分は時間的に変化する。OCT血管造影では、このような時間的変化が存在する部分(血流信号)を強調して画像を生成する。なお、OCT血管造影は、OCTモーションコントラスト撮影(motion contrast imaging)などとも呼ばれる。また、OCT血管造影により取得される画像は、血管造影画像、アンジオグラム(angiogram)、モーションコントラスト画像などと呼ばれる。
【0100】
OCT血管造影が実施される場合、眼科装置1は、眼底Efの同じ領域を所定回数だけ繰り返しスキャンする。例えば、眼科装置1は、前述した走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)を所定回数だけ繰り返し実施する。それにより、リサージュスキャンの適用領域に対応する複数の3次元データ(3次元データセット)がデータ収集システム130によって収集される。画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、この3次元データセットからモーションコントラスト画像を構築することができる。このモーションコントラスト画像は、眼底Efの血流に起因する干渉信号の時間的変化が強調された血管造影画像である。この血管造影画像は、眼底Efの血管の3次元的な分布を表現した3次元血管造影画像データである。
【0101】
画像構築部220及び/又はデータ処理部230は、この3次元血管造影画像データから、任意の2次元血管造影画像データ及び/又は任意の擬似的3次元血管造影画像データを構築することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元血管造影画像データに多断面再構成を適用することにより、眼底Efの任意の断面を表す2次元血管造影画像データを構築することができる。また、画像構築部220は、3次元血管造影画像データにプロジェクション画像化又はシャドウグラム化を適用することにより、眼底Efの正面血管造影画像データを構築することができる。
【0102】
本実施形態において、画像構築部220は、データ収集システム130により収集されたデータから所定のリサージュ座標系(例えば、前述したαβ座標系)で定義された複数のストリップを構築し、構築された各ストリップに座標変換を適用することで実空間座標系(例えば、前述したxy座標系)で定義された複数のストリップを生成し、生成された各ストリップに補間処理を適用するように構成される。
【0103】
このような処理を実行するための画像構築部220の構成の一例を
図4Bに示す。本例の画像構築部220は、高速フーリエ変換(FFT)部221と、ストリップ構築部222と、画像割当部223と、画像処理部224とを含む。特に言及しない限り、本例は、非特許文献1に記載された技術に従う。
【0104】
〈FFT部221〉
FFT部221は、被検眼Eの3次元領域に対するリサージュスキャンで収集されたデータに高速フーリエ変換(FFT)等を適用して3次元画像データ(ボリューム)を構築する。なお、高速フーリエ変換の前及び/又は後に所定の処理(前処理及び/又は後処理)を行うことができる。
【0105】
〈ストリップ構築部222〉
ストリップ構築部222は、まず、FFT部221により構築されたボリュームを、比較的大きな動きが介在しない複数のサブボリュームに分割する。更に、ストリップ構築部222は、各サブボリュームの正面プロジェクション画像を構築する。この正面プロジェクション画像が、リサージュ座標系で定義されたストリップである。
【0106】
リサージュ座標系(前述したαβ座標系)で定義されたストリップの例を
図6に示す。符号300は、上記のボリューム全体の正面プロジェクション画像を示す。ボリューム全体はαβγ座標系で定義されており、これをγ方向にプロジェクションして得られる正面プロジェクション画像300はαβ座標系で定義されている。ここで、α軸はサイクルを構成する複数のAラインの位置を表し、これに直交するβ軸はサイクルの識別番号(スキャン順序)を表す。また、αβ面に直交するγ軸は深さ方向を表す。典型的には、γ方向とz方向とはともに、OCTスキャンのAラインに沿った方向(測定光LSの進行方向)に一致する。
【0107】
図6に示す例は、N個のストリップ300(0)~300(N-1)を示している。ここで、Nは2以上の整数であり、典型的には数十~数百である。各ストリップ300(n)は、ボリューム全体の正面プロジェクション画像300の部分画像である。
【0108】
〈画像割当部223及び画像処理部224〉
画像割当部223は、ストリップ構築部222により構築された複数のストリップ300(0)~300(N-1)を、画像処理部224に設定された複数のスレッドに割り当てるように構成されている。
【0109】
ここで、画像処理部224は、マルチスレッド処理が可能であり、例えばGPUを含む。すなわち、例示的な画像処理部224は、GPGPU(General-purpose computing on GPU)として動作可能なプロセッサを含む。
【0110】
例えば、画像割当部223は、画像処理部224に複数のスレッドを設定し、又は、画像処理部224に予め設定されたスレッド群から複数のスレッドを選択するように構成されていよい。スレッドの個数は、2以上、且つ、ストリップの個数(N)以下の、任意の個数であってよい。
【0111】
典型的には、スレッドの個数はストリップの個数(N)に等しい。これにより、N個のストリップ全てを並列的に処理することができる。
図4Bに示す画像処理部224には、ストリップの個数(N)に等しいN個のスレッド224(0)~224(N-1)が設定されている。本例の画像割当部223は、ストリップ構築部222により構築された複数のストリップ300(0)~300(N-1)を、それぞれ、画像処理部224の複数のスレッド224(0)~224(N-1)に割り当てる。ここで、ストリップ300(n)がスレッド224(n)に割り当てられる(n=0、1、・・・、N-1)。
【0112】
図4Cに示すように、各n=0、1、・・・、N-1について、スレッド224(n)は、座標変換部225(n)と、画素補間部226(n)とを含む。
【0113】
〈座標変換部225(n)〉
座標変換部225(n)は、スレッド224(n)に割り当てられたストリップ300(n)の座標変換を実行するように構成されている。本例では、N個のスレッド224(0)~224(N-1)内のN個の座標変換部225(0)~225(N-1)は、N個のストリップ300(0)~300(N-1)の座標変換の全てを並列処理として実行することができる。
【0114】
前述したように、一般に、スレッドの個数は、2以上且つN以下である。本例のようにスレッドの個数がNである場合、N個の座標変換部225(0)~225(N-1)全てが並列的に処理を実行することが可能である。
【0115】
一方、スレッドの個数が2以上且つN-1以下である場合には、N個のストリップの座標変換は、典型的には「部分的な並列処理」として実行される。つまり、N個のストリップの一部は並列処理として実行され、他の一部は逐次処理として実行される。例えば、Nが偶数であり、スレッドの個数がN/2であり、各スレッドに2個のストリップが割り当てられた場合、N個のストリップのうちの第1のストリップ群(N/2個のストリップ)の座標変換を並列処理として実行した後に、第2のストリップ群(残りのN/2個のストリップ)の座標変換を並列処理として実行することができる。ここで、第1のストリップ群の座標変換と第2のストリップ群の座標変換とは逐次処理と言える。すなわち、各スレッドにおいて、2つのストリップの座標変換が逐次処理として実行される。
【0116】
座標変換は、リサージュ座標系(例えば、前述したαβ座標系)から実空間座標系(例えば、前述したxy座標系)への座標変換であり、非特許文献1に記載されたリマッピング(remapping)に相当する。
【0117】
FFT部221により構築されたボリュームから、実空間座標系で定義されたストリップ群を作成する処理は、本例の処理には限定されない。例えば、ボリューム全体の正面プロジェクション画像を構築し、この正面プロジェクション画像を分割して複数のストリップ(リサージュ座標系で定義されている)を構築し、これらに座標変換を適用することができる。或いは、ボリューム全体の正面プロジェクション画像を構築し、この正面プロジェクション画像(リサージュ座標系で定義されている)に座標変換を適用し、変換された正面プロジェクション画像(実空間座標系で定義されている)を分割して複数のストリップを構築することができる。
【0118】
本開示において「並列処理」とは、複数の処理を時間的に並列的に処理することを意味する。ここで、第1の処理と第2の処理とが並列であるとは、第1の処理の実行期間の少なくとも一部と第2の処理の実行期間の少なくとも一部とが時間的に重複していることを意味する。よって、本開示の「並列処理」は、複数の処理を少なくとも部分的に同時に実行することと言える。
【0119】
〈画素補間部226(n)〉
画素補間部226(n)は、座標変換部225(n)によりストリップ300(n)から得られた画像(変換画像)の画素を補間するように構成されている。ここで、変換画像は、実空間座標系(例えば、前述したxy座標系)で定義されたストリップである(同じくストリップと呼ぶ)。
【0120】
本例では、N個のスレッド224(0)~224(N-1)内のN個の画素補間部226(0)~226(N-1)は、N個のストリップ300(0)~300(N-1)から得られたN個のストリップの画素補間の全てを並列処理として実行することができる。
【0121】
本例のようにスレッドの個数がNである場合、N個の画素補間部226(0)~226(N-1)全てが並列的に処理を実行することが可能である。一方、スレッドの個数が2以上且つN-1以下である場合には、N個のストリップの画素補間は、部分的な並列処理として実行される。
【0122】
画素補間は、例えば公知の任意の画素補間演算を含んでいてよい。例えば、画素補間部226は、まず、座標変換部225(n)によりストリップ300(n)から得られたストリップの画素のうち、ストリップ300(n)の画素からの値が付与されていない画素(換言すると、座標変換の値域に含まれない画素)を特定する。これにより特定された画素が、補間の対象となる。
【0123】
次に、画素補間部226は、補間対象画素の所定近傍領域内の画素のうち、ストリップ300(n)の画素からの値が付与された画素(換言すると、座標変換の値域に含まれる画素)を特定し、これらの画素の値から補間対象画素の値を算出して補間対象画素に付与する。
【0124】
ここで、所定近傍領域は任意であり、その内部の画素の値から補間対象画素の値を算出する演算も任意である。例えば、補間対象画素に隣接する画素(典型的には、補間対象画素の上、下、右、左、右上、右下、左上、左下に位置する8個の画素)のうち座標変換の値域に含まれる画素の値の平均を算出し、この平均値を補間対象画素の値とすることができる。
【0125】
本例では、各スレッド224(n)が座標変換部225(n)及び画素補間部226(n)の双方を含んでいる。つまり、本例では、座標変換と画素補間とを同じスレッドにて実行している。しかし、例示的な態様はこれに限定されない。具体的には、幾つかの例示的な態様は、或るストリップに対する座標変換と、この座標変換で得られた変換画像の画素補間とを、互いに異なるスレッドで実行するように構成されていてよい。また、座標変換を実行するスレッドの個数と、画素補間を実行するスレッドの個数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0126】
図7は、座標変換部225(0)~225(N-1)及び画素補間部226(0)~226(N-1)が実行する処理の例を示す。各n=0、1、・・・、N-1について、座標変換部225(n)は、αβ座標系で定義されたストリップ300(n)を、xy座標系で定義されたストリップ301(n)に変換する。
【0127】
前述したように、座標変換部225(n)が実行する座標変換(リマッピング)には出力依存性が介在し、αβ座標系における異なる画素がxy座標系における同じ画素に変換されることがある。よって、各n=0、1、・・・、N-1について、座標変換部225(n)は、ストリップ300(n)からストリップ301(n)への変換を、画素毎の逐次処理として実行するように構成される。
【0128】
一方、N個の座標変換部225(0)~225(N-1)の全体は、ストリップ300(0)からストリップ301(0)への変換、ストリップ300(1)からストリップ301(1)への変換、・・・、及び、ストリップ300(N-1)からストリップ301(N-1)への変換を、並列的に実行する。つまり、N個の座標変換部225(0)~225(N-1)は、N個のストリップ300(n)の座標変換を並列処理として実行する。
【0129】
なお、前述したように、座標変換部225(n)の個数はN個(ストリップ300(n)の個数)に等しい必要はなく、例えばN個未満であってもよいが、N個のストリップ300(n)の座標変換をN個の座標変換部225(n)のタスク並列処理として実行することにより、座標変換の処理全体を最も高速で行うことが可能となる。
【0130】
図7に示すように、座標変換で得られたストリップ301(n)には、出力依存性等の影響による「ドット落ち」が存在する。つまり、ストリップ301(n)の幾つかの画素には値(輝度値)が付与されていない。よって、ストリップ301(n)に画素補間を適用する必要がある。
【0131】
各n=0、1、・・・、N-1について、画素補間部226(n)は、xy座標系で定義されたストリップ301(n)に画素補間を適用する。画素補間部226(n)は、αβ座標系で定義されたストリップ300(n)の座標変換で値が割り当てられなかったストリップ301(n)の画素に対し、その周囲の画素の値から導出された値を付与する。
【0132】
前述したように、画素補間には出力依存性が介在することがある。よって、各n=0、1、・・・、N-1について、画素補間部226(n)は、ストリップ301(n)の画素補間を、画素毎の逐次処理として実行するように構成される。
【0133】
一方、N個の画素補間部226(0)~226(N-1)の全体は、ストリップ301(0)の画素補間、ストリップ301(1)の画素補間、・・・、及び、ストリップ301(N-1)の画素補間を、並列的に実行する。つまり、N個の画素補間部226(0)~226(N-1)は、N個のストリップ301(n)の画素補間を並列処理として実行する。
【0134】
なお、前述したように、画素補間部226(n)の個数はN個(ストリップ301(n)の個数)に等しい必要はなく、例えばN個未満であってもよいが、N個のストリップ301(n)の画素補間をN個の画素補間部226(n)のタスク並列処理として実行することにより、画素補間の処理全体を最も高速で行うことが可能となる。
【0135】
このようにして、画素補間がなされた、実空間座標系(xy座標系)で定義されたN個のストリップ302(0)~302(N-1)が得られる。これらストリップ302(0)~302(N-1)に対してレジストレーションやマージ処理(マージング)を適用することにより、モーションアーティファクトが補正された画像が得られる。以下、これらの処理について説明する。
【0136】
リサージュスキャンの特性として、N個のストリップ302(0)~302(N-1)のうちの任意の2つは、オーバーラップ領域を有する。非特許文献1に記載された手法と同様に、画像構築部220は、ストリップ間のオーバーラップを利用してストリップ間のレジストレーションを行うように構成される。
【0137】
画像構築部220は、まず、N個のストリップ302(0)~302(N-1)を大きさ(面積等)に従って順序付け(第1~第Nのストリップ)、最大のストリップである第1のストリップを初期基準ストリップに指定する。次に、画像構築部220は、第1のストリップを基準として第2のストリップのレジストレーションを行い、第1のストリップと第2のストリップとをマージする(合成する)。
【0138】
画像構築部220は、これにより得られたマージストリップを基準として第3のストリップのレジストレーションを行い、このマージストリップと第3のストリップとをマージする。このようなレジストレーション及びマージ処理を上記順序に従って順次に実行することにより第1~第Nのストリップの位置合わせ及び貼り合わせがなされ、モーションアーティファクトが補正された画像が得られる。
【0139】
このようなレジストレーションでは、基準ストリップと他のストリップとの間の相対位置を求めるために相互相関関数が利用されるが、ストリップは任意の形状を有するため、各ストリップを特定形状(例えば正方形状)の画像として扱うためのマスクを用いてストリップ間の相関演算が行われる(非特許文献1のAppendix Aを参照されたい)。このレジストレーションは、非特許文献1の「rough lateral motion correction」(第1787頁)に相当する。
【0140】
更に、画像構築部220は、スロードリフト(slow drift)やトレモア(tremor)等の眼球運動に起因するラテラル方向の小さなモーションアーティファクトを除去するために、非特許文献1の「fine lateral motion correction」(第1789頁)に相当するレジストレーションを実行するように構成されてもよい。
【0141】
加えて、画像構築部220は、z方向(軸方向、アキシャル方向)のモーションアーティファクトを除去するために、非特許文献1の「axial motion correction (rough axial motion correction 及び/又は fine axial motion correction」(第1789頁~第1790頁)に相当するレジストレーションを実行するように構成されてもよい。
【0142】
以上の処理により、モーションアーティファクトが補正された被検眼Eの3次元画像データが得られる。
【0143】
画像構築部220は、プロセッサを含むハードウェアと、画像構築ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0144】
〈データ処理部230〉
データ処理部230は、プロセッサを含み、被検眼Eの画像に対して各種のデータ処理を適用する。例えば、データ処理部230は、プロセッサを含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0145】
データ処理部230は、眼底Efについて取得された2つの画像の間の位置合わせ(レジストレーション)を行うように構成されてよい。例えば、データ処理部230は、OCTで取得された3次元画像データ(例えば、リサージュスキャンで得られた3次元画像データ)と、眼底カメラユニット2により取得された正面画像との間のレジストレーションを行うように構成される。また、データ処理部230は、OCTで取得された2つのOCT画像の間のレジストレーションを行うように構成される。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により取得された2つの正面画像の間のレジストレーションを行うように構成される。また、OCT画像の解析結果や、正面画像の解析結果に対してレジストレーションを適用するように構成されてもよい。これらのレジストレーションは、公知の手法によって実行可能であり、例えば特徴点抽出とアフィン変換とを含む。
【0146】
〈ユーザーインターフェイス240〉
ユーザーインターフェイス240は表示部241と操作部242とを含む。表示部241は表示装置3を含む。操作部242は各種の操作デバイスや入力デバイスを含む。ユーザーインターフェイス240は、例えばタッチパネルのような表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでいてもよい。ユーザーインターフェイス240の少なくとも一部を含まない実施形態を構築することも可能である。例えば、表示デバイスは、眼科装置1に接続された外部装置であってよい。
【0147】
〈動作〉
眼科装置1の動作について説明する。眼科装置1の動作の例を
図8に示す。なお、患者IDの入力、走査モードの設定(リサージュスキャンの指定)、固視標の提示、アライメント、フォーカス調整、OCT光路長調整など、従来と同様の準備的な処理は、既になされたものとする。
【0148】
(S1:リサージュスキャン)
所定の走査開始トリガー信号を受けて、走査制御部2111は、被検眼E(眼底Ef)に対するOCTスキャン(リサージュスキャン)の適用を開始する。
【0149】
走査開始トリガー信号は、例えば、所定の準備動作(アライメント、フォーカス調整、OCT光路長調整など)が完了したことに対応して、又は、操作部242を用いて走査開始指示操作が行われたことに対応して生成される。
【0150】
走査制御部2111は、走査プロトコル2121(リサージュスキャンに対応したプロトコル)に基づいて光スキャナ44及びOCTユニット100などを制御することによって、被検眼Eの3次元領域にリサージュスキャンを適用する。リサージュスキャンにより収集されたデータは画像構築部220に送られる。
【0151】
(S2:FFT(前処理、後処理))
画像構築部220のFFT部221は、ステップS1で収集されたデータに高速フーリエ変換を適用して3次元画像データ(ボリューム)を構築する。ここで、FFT部221は、所定の前処理及び/又は後処理を行ってもよい。
【0152】
(S3:複数のストリップを構築する)
ストリップ構築部222は、ステップ2で構築されたボリュームを、比較的大きな動きが介在しない複数のサブボリュームに分割し、各サブボリュームの正面プロジェクション画像を構築する。各正面プロジェクション画像は、リサージュ座標系で定義されたストリップである。これにより、
図7に示すN個のストリップ300(0)~300(N-1)が得られたとする。
【0153】
(S4:複数のスレッドを設定する)
画像割当部223は、例えば、ステップS3で得られたストリップの個数に基づいて、画像処理部224にスレッドを設定する。画像割当部223は、ステップS3で得られたストリップの個数以下の個数のスレッドを設定する。
【0154】
本例では、画像割当部223は、ステップS3で得られたストリップの個数と等しい個数のスレッドを設定する。つまり、
図4Bに示すように、N個のスレッド224(0)~224(N-1)が画像処理部224に設定される。
【0155】
(S5:複数のストリップを複数のスレッドに割り当てる)
画像割当部223は、ステップ3で構築されたN個のストリップ300(0)~300(N-1)を、ステップS4で設定されたN個のスレッド224(0)~224(N-1)に割り当てる。本例では、各n=0、1、・・・、N-1について、スレッド224(n)にストリップ300(n)が割り当てられる。
【0156】
(S6:座標変換(並列処理))
N個のスレッド224(0)~224(N-1)におけるN個の座標変換部225(0)~225(N-1)は、それぞれ、N個のストリップ300(0)~300(N-1)に座標変換を適用する。これらN個の座標変換は並列的に実行される。それにより、
図7に示すN個のストリップ301(0)~301(N-1)が得られる。各ストリップ301(n)は、実空間座標系で定義されている。
【0157】
本ステップにおいてN個の座標変換は全体として並列的に実行されるが、各スレッド224(n)の座標変換部225(n)は、ストリップ300(n)における複数の画素の座標変換を逐次処理として実行する。
【0158】
各n=0、1、・・・、N-1について、座標変換部225(n)により生成されたストリップ301(n)は、同じスレッド224(n)内の画素補間部226(n)に入力される。
【0159】
(S7:画素補間(並列処理))
N個のスレッド224(0)~224(N-1)におけるN個の画素補間部226(0)~226(N-1)は、それぞれ、N個のストリップ301(0)~301(N-1)に画素補間を適用する。これらN個の画素補間は並列的に実行される。それにより、
図7に示すN個のストリップ302(0)~302(N-1)が得られる。各ストリップ302(n)は、実空間座標系で定義されており、且つ、前述の「ドット落ち」も補間されている。
【0160】
本ステップにおいてN個の画素補間は全体として並列的に実行されるが、各スレッド224(n)の画素補間部226(n)は、「ドット落ち」に相当するストリップ301(n)の複数の画素の補間を逐次処理として実行する。
【0161】
(S8:レジストレーション及びマージング(反復処理))
画像構築部220は、ステップS7で構築されたN個のストリップ302(0)~302(N-1)を寸法(面積等)に従って順序付けし、前述した要領で(つまり、非特許文献1に記載された処理に従って)、基準ストリップと対象ストリップとに対するレジストレーション及びマージングを繰り返し実行する。これにより、N個のストリップ302(0)~302(N-1)のマージ画像が構築される。
【0162】
(S9:最終的なマージ画像を保存する)
ステップS8の繰り返し処理により最終的に得られたマージ画像は、モーションアーティファクトが補正された画像であり、且つ、ステップS1のリサージュスキャンの適用範囲全体を表現した画像である。主制御部211は、この最終的なマージ画像を記憶部212(及び/又は、他の記憶装置)に保存する。
【0163】
画像構築部220又はデータ処理部230は、N個のストリップストリップ302(0)~302(N-1)に基づくレジストレーションの結果を利用して、ステップS1で収集されたデータ(3次元データ)、及び/又は、この3次元データから画像構築部220が構築した3次元画像データのレジストレーションを行うことができる。このレジストレーションは、例えば、リサージュスキャンの定義座標系(αβγ座標系)を3次元直交座標系(xyz座標系)に変換する処理を含む。主制御部211は、このようにして得られた3次元画像データを、最終的なマージ画像とともに又はその代わりに、記憶部212(及び/又は、他の記憶装置)に保存することができる(エンド)。
【0164】
主制御部211は、最終的なマージ画像を表示部241(及び/又は、他の表示装置)に表示させることができる。また、画像構築部220又はデータ処理部230は、上記座標変換で構築された3次元画像データから任意のレンダリング画像を作成することができる。主制御部211は、このレンダリング画像を表示部241(及び/又は、他の表示装置)に表示させることができる。
【0165】
〈作用、効果等〉
例示的な実施形態の幾つかの特徴について説明し、それらにより奏される幾つかの作用及び幾つかの効果について説明する。
【0166】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1は、走査型イメージング装置の幾つかの態様を提供する。それに加えて、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1は、走査型イメージング装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理装置の幾つかの態様、画像処理装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理方法の幾つかの態様、及び、走査型イメージング方法の幾つかの態様を提供する。
【0167】
なお、走査型イメージング装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理装置の幾つかの態様、画像処理装置を制御する方法の幾つかの態様、画像処理方法の幾つかの態様、及び、走査型イメージング方法の幾つかの態様のいずれかにおいて説明された事項を、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1(より一般に、走査型イメージング装置のいずれかの態様)に適用することが可能である。
【0168】
さて、例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置1)は、走査部と、画像構築部(FFT部221及びストリップ構築部222)と、画像処理部(224)と、画像割当部(223)とを含む。画像処理部(224)は、座標変換部(225(0)~225(N-1))を含む。
【0169】
走査部は、サンプル(被検眼E、眼底Ef)に走査を適用してデータを収集するように構成されている。この走査は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従って実行される。この走査は、例えば、光による走査(光走査)であってよい。
【0170】
幾つかの例示的な態様において、走査部は、互いに異なる第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)に光を偏向可能な偏向器(光スキャナ44)を含み、且つ、第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ第2方向に沿った偏向方向の変化を第1周期と異なる第2周期で繰り返すことによって、2次元パターンに従う走査をサンプルに適用するように構成されていてよい。
【0171】
幾つかの例示的な態様において、偏向器(光スキャナ44)は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコル(2121)に基づき制御されるように構成されていてよい。換言すると、サンプルに適用される走査は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づく2次元パターンに従って実行されてよい。このような光走査の一例が、上記の例示的な実施形態におけるリサージュスキャンである。
【0172】
幾つかの例示的な態様において、走査の2次元パターンに含まれる一連のサイクルのうちの任意の2つのサイクルは互いに交差していてよい。
【0173】
幾つかの例示的な態様において、走査部は、OCTスキャンをサンプルに適用するように構成されていてよい。なお、走査部は、SLOとして機能するように構成されてもよいし、他の光走査を行うように構成されてもよいし、光走査以外の態様の走査を行うように構成されてもよい。
【0174】
上記の例示的な実施形態において、走査部は、OCTユニット100と、測定アームを構成する眼底カメラユニット2内の要素(リトロリフレクタ41、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、対物レンズ22等)とを含み、被検眼EにOCTスキャンを適用してOCTデータを収集する。
【0175】
画像構築部は、走査部により収集されたデータから複数の画像を構築するように構成されている。上記の実施形態では、FFT部221及びストリップ構築部222が、N個のストリップ300(0)~300(N-1)を構築する。
【0176】
画像処理部(224)は、マルチスレッド処理が可能に構成されており、典型的にはGPUを含む。このGPUは、GPGPUとして利用される。上記の実施形態では、N個のスレッド224(0)~224(N-1)が画像処理部224に設けられる。
【0177】
画像割当部(223)は、画像処理部(224)の複数のスレッドに、画像構築部により構築された複数の画像を割り当てる。上記の例示的な実施形態では、画像割当部223は、画像処理部224に設定されたN個のスレッド224(0)~224(N-1)に、FFT部221及びストリップ構築部222により構築されたN個のストリップ300(0)~300(N-1)を割り当てる。
【0178】
上記の例示的な実施形態では、スレッドの個数がストリップの個数に等しいが、前述したようにこれに限定されない。上記の例示的な実施形態では、ストリップ群とスレッド群との対応関係は一対一であるが、より一般に、ストリップ群とスレッド群との対応関係は多対一であってよい。
【0179】
画像処理部224に設けられた座標変換部(225(0)~225(N-1))は、複数のスレッド(224(0)~224(N-1))において複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行するように構成されている。
【0180】
上記の例示的な実施形態では、N個の座標変換部225(0)~225(N-1)がN個のスレッド224(0)~224(N-1)に分散配置されている。つまり、眼科装置1は、N個の座標変換部225(0)~225(N-1)の全体が「座標変換部」として機能するように構成されている。
【0181】
このような例示的な態様によれば、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査(例えばリサージュスキャン)をサンプルに適用して収集されたデータから構築された複数の画像の座標変換を、マルチスレッド処理が可能な画像処理部によって少なくとも部分的な並列処理として実行することが可能である。したがって、複数の画像の画像変換を逐次処理として実行する場合よりも短い時間で処理を実行することが可能である。例えば、上記の例示的な実施形態では、N個のストリップ300(0)~300(N-1)の座標変換をN個のスレッド224(0)~224(N-1)で処理しているため、全ての座標変換に係る時間は、逐次処理の場合と比較してN分の1である。このように、例示的な態様によれば、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る走査型イメージング装置に組み合わせることが可能である。
【0182】
幾つかの例示的な態様において、座標変換部は、画像構築部により構築された複数の画像のそれぞれについて、複数の画素の座標変換を逐次処理として実行するように構成されていてよい。
【0183】
例えば、上記の例示的な実施形態では、各座標変換部225(n)は、ストリップ300(n)からストリップ301(n)への変換を、画素毎の逐次処理として実行するように構成されている。
【0184】
このような構成によれば、複数の画像の座標変換を(少なくとも部分的に)並列処理として実行しつつ、各画像の座標変換についてはそれを構成する複数の画素に対する逐次処理として実行することが可能である。したがって、座標変換の高速化を図りつつ、出力依存性等の影響を受けることなく各画像の座標変換を好適に行うことが可能である。
【0185】
幾つかの例示的な態様において、画像処理部に設定される複数のスレッドの個数は、画像構築部により構築された複数の画像の個数と等しくてよい。この場合、座標変換部は、複数のスレッドのそれぞれにおいて、複数の画像のうちの1つの画像における複数の画素の座標変換を逐次処理として実行することができる。
【0186】
例えば、上記の例示的な実施形態では、画像処理部224に設定される複数のスレッド224(0)~224(N-1)の個数(N個)は、FFT部221及びストリップ構築部222により構築された複数のストリップ300(0)~300(N-1)の個数(N個)と等しい。加えて、各座標変換部225(n)は、それを含むスレッド224(n)において、1つのストリップ300(n)における複数の画素の座標変換を逐次処理として実行している。
【0187】
このような構成によれば、複数の画像の座標変換の全てを並列的に実行しつつ、各画像の座標変換についてはそれを構成する複数の画素に対する逐次処理として実行することが可能である。したがって、座標変換の高速化を最大限に図りつつ、出力依存性等の影響を受けることなく各画像の座標変換を好適に行うことが可能である。
【0188】
幾つかの例示的な態様において、走査部は、サンプルの3次元領域に走査を適用することによってデータを収集するように構成されていてよい。更に、画像構築部は、3次元領域から収集されたデータから、2次元走査パターンに含まれる一連のサイクルに対応する一連の2次元画像を構築し、且つ、深さ方向のプロジェクションを一連の2次元画像に適用することによって、複数の画像としての第1の正面画像群を構築するように構成されていてよい。加えて、座標変換部は、第1の正面画像群を、深さ方向に直交する実空間2次元直交座標系で定義された第2の正面画像群に変換するように構成されていてよい。
【0189】
例えば、上記の例示的な実施形態において、眼科装置1は、被検眼Eの3次元領域にOCTスキャン(リサージュスキャン)を適用することによってデータを収集するように構成されている。FFT部221及びストリップ構築部222は、被検眼Eの3次元領域から収集されたデータから、リサージュスキャンパターンに含まれる一連のサイクルに対応する一連の2次元画像を構築するように構成されている。これにより、各サイクルについて、そのサイクルに沿う方向と深さ方向(γ方向、z方向)とが張る断面を表す2次元画像が得られる。更に、ストリップ構築部222は、深さ方向(γ方向、z方向)のプロジェクション(及び、非特許文献1に記載された処理)を一連の2次元画像に適用することによって、リサージュ座標系(αβ座標系)で定義されたN個のストリップ300(0)~300(N-1)を構築するように構成されている。座標変換部225(0)~225(N-1)は、N個のストリップ300(0)~300(N-1)を、深さ方向(γ方向、z方向)に直交する実空間2次元直交座標系(xy座標系)で定義されたN個のストリップ301(0)~301(N-1)に変換するように構成されている。
【0190】
このような構成によれば、座標変換の高速化のための具体的な構成を提供することが可能である。
【0191】
並列化される処理は座標変換に限定されない。幾つかの例示的な態様において、画像処理部は、画素補間部を含んでいてよい。画素補間部は、座標変換部によって複数の画像から得られた複数の画像(複数の変換画像)の画素補間を少なくとも部分的な並列処理として実行するように構成されていてよい。更に、画像構築部により構築された複数の画像のそれぞれについて、画像処理部は、座標変換と画素補間とを同じスレッドで実行するように構成されていてよい。
【0192】
例えば、上記の例示的な実施形態において、画像処理部224に設けられた画素補間部226(0)~226(N-1)は、座標変換部225(0)~225(N-1)によってN個のストリップ300(0)~300(N-1)から得られたN個のストリップ301(0)~301(N-1)の画素補間を、複数のスレッド224(0)~224(N-1)において並列処理として実行している。
【0193】
上記の例示的な実施形態では、N個の画素補間部226(0)~226(N-1)がN個のスレッド224(0)~224(N-1)に分散配置されている。つまり、眼科装置1は、N個の画素補間部226(0)~226(N-1)の全体が「画素補間部」として機能するように構成されている。
【0194】
このような構成によれば、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおいて、座標変換の高速化に加えて画素補間の高速化も図ることが可能である。
【0195】
なお、並列可能な処理は座標変換及び画素補間に限定されず、リサージュスキャン等で収集されたデータからモーションアーティファクトが補正された画像データを作成するための処理における任意の工程を並列化することが可能である。
【0196】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1により提供可能な走査型イメージング装置の制御方法の例示的な態様を説明する。幾つかの例示的な態様において、走査型イメージング装置は、サンプルに走査を適用してデータを収集する走査部と、プロセッサとを含んでおり、これを制御する方法は、以下に説明する工程を含んでいてよい。
【0197】
まず、走査型イメージング装置の制御方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集するように、走査部を制御する。更に、この制御方法は、プロセッサを、走査部により収集されたデータから複数の画像を構築し、構築された複数の画像を複数のスレッドに割り当て、複数のスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行するように制御する。
【0198】
このような走査型イメージング装置の制御方法によれば、例示的な態様に係る走査型イメージング装置(例えば、眼科装置1)と同様に、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る走査型イメージング装置の制御方法に組み合わせることが可能である。
【0199】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1により提供可能な画像処理装置の例示的な態様を説明する。幾つかの例示的な態様において、画像処理装置は、記憶部と、画像構築部と、画像処理部と、画像割当部とを含んでいてよい。更に、画像処理部は、座標変換部を含んでいてよい。
【0200】
記憶部は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを記憶するように構成されている。上記の例示的な実施形態において、この記憶部は記憶部212に相当する。
【0201】
画像構築部は、記憶部に記憶されている上記データから複数の画像を構築するように構成されている。上記の例示的な実施形態において、この画像構築部は、FFT部221及びストリップ構築部222に相当する。
【0202】
画像処理部は、マルチスレッド処理が可能に構成されている。上記の例示的な実施形態において、この画像処理部は画像処理部224に相当する。
【0203】
画像割当部は、画像処理部の複数のスレッドに複数の画像を割り当てるように構成されている。上記の例示的な実施形態において、この画像割当部は画像割当部223に相当する。
【0204】
画像処理部は、複数のスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する座標変換部を含んでいる。上記の例示的な実施形態において、この座標変換部は、座標変換部225(0)~225(N-1)に相当する。
【0205】
このような画像処理装置によれば、例示的な態様に係る走査型イメージング装置(例えば、眼科装置1)と同様に、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る画像処理装置に組み合わせることが可能である。
【0206】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1により提供可能な画像処理装置の制御方法の例示的な態様を説明する。幾つかの例示的な態様において、画像処理装置は、記憶部とプロセッサとを含んでおり、これを制御する方法は、以下に説明する工程を含んでいてよい。
【0207】
まず、画像処理装置の制御方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを記憶部に記憶させる。更に、この制御方法は、プロセッサを、記憶部に記憶されたデータから複数の画像を構築し、構築された複数の画像を複数のスレッドに割り当て、複数のスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行するように制御する。
【0208】
このような画像処理装置の制御方法によれば、例示的な態様に係る走査型イメージング装置(例えば、眼科装置1)と同様に、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る画像処理装置の制御方法に組み合わせることが可能である。
【0209】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1により提供可能な走査型イメージング方法の例示的な態様を説明する。幾つかの例示的な態様において、走査型イメージング方法は、以下に説明する工程を含んでいてよい。
【0210】
まず、走査型イメージング方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用してデータを収集し、収集されたデータから複数の画像を構築する。更に、走査型イメージング方法は、構築された複数の画像を複数のスレッドに割り当て、これらスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する。
【0211】
このような走査型イメージング方法によれば、例示的な態様に係る走査型イメージング装置(例えば、眼科装置1)と同様に、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る走査型イメージング方法に組み合わせることが可能である。
【0212】
上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1により提供可能な画像処理方法の例示的な態様を説明する。幾つかの例示的な態様において、画像処理方法は、以下に説明する工程を含んでいてよい。
【0213】
まず、画像処理方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータを準備する。例えば、通信回線や記録媒体を介してサンプルのデータが受け付けられる。或いは、サンプルに走査を適用してデータが収集される。
【0214】
更に、画像処理方法は、準備されたデータから複数の画像を構築し、構築された複数の画像を複数のスレッドに割り当て、複数のスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する。
【0215】
なお、幾つかの例示的な態様において、画像処理方法は、一連のサイクルを含む2次元パターンに従う走査をサンプルに適用して収集されたデータから構築された複数の画像を準備するようにしてもよい。例えば、通信回線や記録媒体を介して複数の画像を受け付けること、或いは、サンプルに走査を適用してデータを収集してこのデータから複数の画像を構築することが可能である。この場合、画像処理方法は、準備された複数の画像を複数のスレッドに割り当て、複数のスレッドにおいて複数の画像の座標変換を少なくとも部分的な並列処理として実行する。
【0216】
このような画像処理方法によれば、例示的な態様に係る走査型イメージング装置(例えば、眼科装置1)と同様に、リサージュスキャン等の走査型イメージングにおけるデータ処理(少なくとも座標変換)の高速化を図ることが可能である。なお、上記の例示的な実施形態に係る眼科装置1において説明された任意の事項を、例示的な態様に係る画像処理方法に組み合わせることが可能である。
【0217】
幾つかの例示的な態様において、走査型イメージング装置を制御する方法のいずれかの態様をコンピュータに実行させるプログラム、画像処理装置を制御する方法のいずれかの態様をコンピュータに実行させるプログラム、画像処理方法のいずれかの態様をコンピュータに実行させるプログラム、又は、走査型イメージング方法のいずれかの態様をコンピュータに実行させるプログラムを提供することが可能である。
【0218】
また、このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
【0219】
本開示は、幾つかの態様を例示するものに過ぎず、発明の限定を意図したものではない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加など)を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0220】
1 眼科装置
44 光スキャナ
100 OCTユニット
211 主制御部
2111 走査制御部
212 記憶部
2121 走査プロトコル
220 画像構築部
211 高速フーリエ変換(FFT)部
222 ストリップ構築部
223 画像割当部
224 画像処理部
224(0)~224(N-1)、224(n) スレッド
225(0)~225(N-1)、225(n) 座標変換部
226(0)~226(N-1)、226(n) 画素補間部
300(0)~300(N-1)、300(n) ストリップ(リサージュ座標系)
301(0)~301(N-1)、301(n) ストリップ(実空間座標系)
302(0)~302(N-1)、302(n) ストリップ(画素補間済み)