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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】シート止め材及びシート定着装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
A01G9/14 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021034940
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022062663
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2020170544
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】澤田 明
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-058555(JP,U)
【文献】特開2019-062820(JP,A)
【文献】特開2022-086421(JP,A)
【文献】特開2000-342081(JP,A)
【文献】実開昭49-043446(JP,U)
【文献】米国特許第04665670(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材において、
前記シートを保持可能なシート保持部と、
前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、
前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部と、
前記他方の側壁部の外側に対向する抜け止め片とを備え
前記抜け止め片にビスの挿入を案内する第一ガイド溝を設ける
ことを特徴とするシート止め材。
【請求項2】
底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材において、
前記シートを保持可能なシート保持部と、
前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、
前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部とを備え、
前記他方の側壁部の内側先端に外周が当接するビスの挿入を案内する第二ガイド溝を有する
ことを特徴とするシート止め材。
【請求項3】
底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材において、
前記シートを保持可能なシート保持部と、
前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、
前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部とを備え、
前記シート保持部は、前記フレーム材の前記一対の側壁部間に配置されて前記フレーム材の延長方向に沿って延びる断面U字状の本体部と、前記本体部の各端部から前記本体部の外側へ向けて突出する受け片とを有し、
前記挟持部は、前記本体部の前記一方の側壁部側から突出し前記一方の側壁部の内側に当接する支持片を有し、
前記支持片は、前記一方の側壁部側の前記受け片とともに前記一方の側壁部の先端を挟持する
ことを特徴とするシート止め材。
【請求項4】
前記他方の側壁部の外側に対向する抜け止め片を有する
ことを特徴とする請求項又はに記載のシート止め材。
【請求項5】
前記嵌合部から反挟持部側に向けて突出する突起部を有する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のシート止め材。
【請求項6】
前記嵌合部は前記他方の側壁部の内側先端に当接する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のシート止め材。
【請求項7】
前記挟持部は、前記一方の側壁部の内側に当接する内側片と、前記一方の側壁部の外側に当接して前記内側片とともに前記一方の側壁部の先端を挟持する外側片とを有し、
前記外側片は、前記一方の側壁部に沿って延びる鍔部を有する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のシート止め材。
【請求項8】
底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材と、
前記フレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材とを備え、
前記シート止め材は、前記シートを保持可能なシート保持部と、前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部とを有し
前記挟持部で前記一方の側壁部の先端を挟持し、前記嵌合部を他方の側壁部の先端に嵌合していない状態で、前記一方の側壁部の先端を支点として前記嵌合部を前記他方の側壁部に対して接近させる方向へ回転させて、前記嵌合部を前記他方の側壁部の先端に嵌合させ得る
ことを特徴とするシート定着装置
【請求項9】
底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有する上側フレームと、前記上側フレームの斜め下方に配置され底壁と前記底壁の両端から起立して互いに対向する一対の側壁と前記底壁と前記一対の側壁との間に形成されるとともに波型のバネを挿入可能であって開口部の幅が前記底壁の幅よりも狭い溝とを有する下側フレームとを有するフレーム材と、
前記フレーム材の前記上側フレームに装着されてシートを定着するシート止め材とを備え、
前記シート止め材は、前記シートを保持可能なシート保持部と、前記上側フレームの一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、前記上側フレームの他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部と、前記溝の前記開口部に対向するストッパ部とを有し、
前記ストッパ部の先端と前記下側フレームにおける前記一対の側壁のうち反上側フレーム側の前記側壁の先端までの距離が前記開口部の幅以下である
ことを特徴とするシート定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート止め材及びシート定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート止め材としては、例えば、ビニールハウスの骨組にシートを定着するために利用されるものがある。例えば、このようなビニールハウスは、奥行方向に並べて配置されるアーチパイプと、アーチパイプ間に架け渡され開口幅が底部の幅より狭い溝を有する複数のフレーム材とからなる骨組を備える。そして、フレーム材の溝にシートと弾性部材を挿入することで、弾性部材の弾発力によってシートを骨組に定着している。
【0003】
この際、骨組に定着されているシートとしては、安価で柔軟な軟質シートが利用されている。ところが、近年、軟質シートに代えて高価であっても耐久年数の長い硬質シートに張り替えたいという要望がある。
【0004】
しかしながら、硬質シートは軟質シートよりも可撓性に乏しく変形しにくいため、弾性部材の弾発力では硬質シートをフレーム材に定着することができない場合がある。
【0005】
ここで、硬質シートを骨組みに定着する場合、フレーム材にシートを載置可能なシート支持部を設け、シート支持部に硬質シートを載置した状態で、押え材を被せ、押え材の上からビスをねじ込んで硬質シートを定着させるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そのため、軟質シートを硬質シートに張り替えるためには、フレーム材を特許文献1のフレーム材に取り換える必要がある。特許文献1のフレーム材を用いれば硬質シートを強固にフレーム材に固定できるのであるが、シートを張り替えるためだけにフレーム材まで取り換えていては多大な費用がかかってしまう。
【0007】
そこで、従来は、当該フレーム材の開口端に硬質シートを被せた状態で、フレーム材の開口端にフレーム材の開口を閉塞するキャップ状のシート止め材を装着して、硬質シートをフレーム材とシート止め材で挟みこむことで、フレーム材を取り換えることなく、硬質シートを定着するための構造を備えないフレーム材に硬質シートを定着させていた(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-007183号公報
【文献】特開2019-62820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献2のシート止め材は、硬質シートをフレーム材とともに挟んで定着させるものであるので、特許文献1のフレーム材のようにビスによって硬質シートを定着する場合に比べて、硬質シートに付与される張力が小さくなる。そのため、風に煽られるなどするとシートがバタついてしまう恐れがあった。
【0010】
そこで、本発明は、硬質シートを定着するための構造を備えないフレーム材に硬質シートを定着できるようにするとともに、定着したシートに対して強い張力を付与できるシート止め材と、そのシート止め材を備えるシート定着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成させるため、本発明のシート止め材は、底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材において、前記シートを保持可能なシート保持部と、前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部とを備えることを特徴とする。この構成によると、フレーム材に硬質シートの取付けに向くシート保持部を備えるシート止め材を装着できる
【0012】
また、本発明のシート止め材は、前記他方の側壁部の外側に対向する抜け止め片を有してもよい。この構成によると、シート止め材に対して挟持部側に上方向へ引っ張る力が作用し、他方の側壁部の先端を支点としてシート止め材を回転させるモーメントが作用したとしても、抜け止め片が他方の側壁部に当接してシート止め材の回転を阻止するので、シート止め材のフレーム材からの脱落を防止できる。
【0013】
また、本発明のシート止め材は、前記抜け止め片にビスの挿入を案内する第一ガイド溝を設けている。この構成によると、ビスを利用したシート止め材のフレーム材への固定が容易となる。
【0014】
また、本発明のシート止め材は、前記他方の側壁部の内側先端に外周が当接するビスの挿入を案内する第二ガイド溝を有している。この構成によると、ビスを利用したシート止め材のフレーム材への固定が容易となる。
【0015】
また、本発明のシート止め材は、前記嵌合部から反挟持部側に向けて突出する突起部を有してもよい。この構成によると、嵌合部を他方の側壁部に嵌合する際に必要な力が小さくなるので、シート止め材をフレーム材に対してより容易に装着できる。
【0016】
また、本発明のシート止め材では、前記嵌合部は前記他方の側壁部の内側先端に当接してもよい。この構成によると、他方の側壁部の外側の形状に左右されることなく、シート止め材を様々な形状のフレーム材に装着できる。
【0017】
また、本発明のシート止め材では、前記挟持部は、前記一方の側壁部の内側に当接する内側片と、前記一方の側壁部の外側に当接して前記内側片とともに前記一方の側壁部の先端を挟持する外側片とを有し、前記外側片は、前記一方の側壁部に沿って延びる鍔部を有してもよい。この構成によると、シートの内側面に生じた結露水がシート保持部を介して挟持部の外側片に伝ったとしても、当該外側片は一方の側壁部に沿って延びる鍔部を有しており、鍔部の先端と一方の側壁部の上端は接していないので、挟持部と一方の側壁部の隙間を通じて結露水がフレーム材内へ侵入するのを防止できる。
【0018】
また、本発明のシート止め材では、前記シート保持部は、前記フレーム材の前記一対の側壁部間に配置されて前記フレーム材の延長方向に沿って延びる断面U字状の本体部と、前記本体部の各端部から前記本体部の外側へ向けて突出する受け片とを有し、前記挟持部は、前記本体部の前記一方の側壁部側から突出し前記一方の側壁部の内側に当接する支持片を有し、前記支持片は、前記一方の側壁部側の前記受け片とともに前記一方の側壁部の先端を挟持する。この構成によると、シート保持部の上端に設けられる受け片と支持片とで一方の側壁部を挟持するため、シート保持部の上端位置を低くできる。したがって、シート保持部に保持されたシートが風に煽られるなどした場合に、シート止め材に作用するモーメントを小さくできるので、シート止め材がフレーム材からより脱落し難くなる。
【0019】
また、本発明のシート定着装置は、底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有するフレーム材と、前記フレーム材に装着されてシートを定着するシート止め材とを備え、前記シート止め材は、前記シートを保持可能なシート保持部と、前記フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、前記フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部とを有し、前記挟持部で前記一方の側壁部の先端を挟持し、前記嵌合部を他方の側壁部の先端に嵌合していない状態で、前記一方の側壁部の先端を支点として前記嵌合部を前記他方の側壁部に対して接近させる方向へ回転させて、前記嵌合部を前記他方の側壁部の先端に嵌合させ得ることを特徴としている。また、本発明の他のシート定着装置は、底部と前記底部の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部を有する上側フレームと、前記上側フレームの斜め下方に配置され底壁と前記底壁の両端から起立して互いに対向する一対の側壁と前記底壁と前記一対の側壁との間に形成されるとともに波型のバネを挿入可能であって開口部の幅が前記底壁の幅よりも狭い溝とを有する下側フレームとを有するフレーム材と、前記フレーム材の前記上側フレームに装着されてシートを定着するシート止め材とを備え、前記シート止め材は、前記シートを保持可能なシート保持部と、前記上側フレーム材の一方の側壁部の先端を挟持する挟持部と、前記上側フレーム材の他方の側壁部の先端に嵌合される嵌合部と、前記溝の前記開口部に対向するストッパ部を有し、前記ストッパ部の先端と前記下側フレームにおける前記一対の側壁のうち反上側フレーム側の前記側壁の先端までの距離が前記開口部の幅以下としている。この構成によると、下側フレームの溝に挿入されたバネが下側フレームから脱落するのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のシート止め材によれば、硬質シートを定着するための構造を備えていないフレーム材へ硬質シートを定着させ得るとともに、硬質シートに対して強い張力を付与できるので、シートのバタつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態のシート止め材が取付けられたビニールハウスの斜視図である。
図2】第一の実施の形態のシート止め材がフレーム材に装着された状態を示す正面断面図である。
図3】第一の実施の形態のシート止め材をフレーム材に装着する手順を説明する図であって、シート止め材の挟持部がフレーム材の一方の側壁部の先端を挟持した状態を示す正面断面図である。
図4】第一の実施の形態のシート止め材の使用状態を示す図であって、シート止め材の第一ガイド溝にビスをねじ込んだ状態を示す正面断面図である。
図5】第一の実施の形態のシート止め材の使用状態を示す図であって、シート止め材の第二ガイド溝にビスをねじ込んだ状態を示す正面断面図である。
図6】第二の実施の形態のシート止め材がフレーム材に装着された状態を示す正面断面図である。
図7】第三の実施の形態のシート止め材がフレーム材に装着された状態を示す正面断面図である。
図8】第四の実施の形態のシート止め材の使用状態を示す正面断面図である。
図9図8において、フレーム材の下側フレームの溝から外れたバネがシート止め材のストッパ部に当接した状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0023】
本発明の第一の実施の形態に係るシート止め材1は、図1から図5に示すように、底部10と底部10の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部11,12を有するフレーム材Fに装着されている。また、シート止め材1は、シートSを保持可能なシート保持部2と、フレーム材Fの一方の側壁部11の先端を挟持する挟持部3と、フレーム材Fの他方の側壁部12の先端に嵌合される嵌合部4とを備えており、図2に示した断面形状が奥行方向に連続する形状とされている。そして、このシート止め材1は、必要に応じて任意の長さに切断されて使用され、本実施の形態では、ビニールハウスHの骨組に硬質シートであるシートSを定着させる際に利用される。
【0024】
本実施の形態のビニールハウスHの骨組は、図1に示すように、ビニールハウスHの奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプPと、奥行方向で対向するアーチパイプP,P間に架け渡されて奥行方向に沿って延びる複数のフレーム材Fとを備える。そして、本実施の形態では、各フレーム材Fは、アーチパイプPの頂点を挟んでビニールハウスHの各妻面側にそれぞれ一つずつ設けられている。
【0025】
フレーム材Fは、図2に示すように、平板状の底部10と底部10の両端から内側に向けて湾曲しながら起立して互いに対向する一対の側壁部11,12を有し開口幅が底部10の幅よりも狭い溝F1aを有する上側フレームF1と、上側フレームF1の底部10の図中左端下部から延びて上側フレームF1の図中左斜め下方に配置されるとともに開口幅が底壁15の幅より狭い溝F2aを有する下側フレームF2と、上側フレームF1の底部10の下部の中央付近から図中右側に向けて延びる断面L字状の樋フレームF3とを備える。また、上側フレームF1の各側壁部11,12の先端には、上側フレームF1の外側に向けて突出する断面円形の突出部13,14が設けられている。
【0026】
下側フレームF2は、図2に示すように、底壁15と、底壁15の両端から内側に向けて湾曲しながら起立して互いに対向する左右一対の側壁16,17とを備えて、底壁15と一対の側壁16,17との間に開口幅が底壁15の幅よりも狭い溝F2aを形成している。また、下側フレームF2は、図中右側の右側壁16の上端が上側フレームF1の底部10の図中左端下部に接続されることで上側フレームF1の左斜め下方に一体化されている。
【0027】
なお、上側フレームF1は、ビニールハウスHの骨組に軟質シートを定着する際に利用できる。具体的には、上側フレームF1の溝F1aに軟質シートを挿入し、その軟質シートの上から波型のバネからなる弾性部材を圧縮させつつ溝F1aに挿入すれば、弾性部材の弾発力により軟質シートをフレーム材Fに定着できる。そして、樋フレームF3は、上側フレームF1に軟質シートを定着した場合に、ビニールハウスHの内外の温度差によってシートSの内側面に生じた結露水を貯留して、ビニールハウスH内に結露水が侵入するのを防止できる。具体的には、シートSの内側面に生じた結露水は、一方の側壁部11を伝って樋フレームF3に回収される。
【0028】
ただし、上述したフレーム材Fの形状は、一例であって、底部10と、底部10の両端から起立して互いに対向する一対の側壁部11,12を備えていれば、本実施の形態の形状には限定されず、例えば、上側フレームF1のみで構成されてもよい。
【0029】
また、図2に示すように、本実施の形態のシート止め材1は、フレーム材Fの上側フレームF1に装着されている。具体的には、図2に示すように、シート止め材1は、上側フレームF1に装着された状態で上側フレームF1の各側壁部11,12の間に配置されるシート保持部2と、シート保持部2の図中右側(一方の側壁部11側)に設けられて一方の側壁部11の先端を挟持する挟持部3と、シート保持部2の図中左側(他方の側壁部12側)に設けられて他方の側壁部12の先端に嵌合される嵌合部4とを備える。
【0030】
以下、シート止め材1の各部について詳細に説明する。本実施の形態のシート保持部2は、図2に示すように、フレーム材Fの長手方向に沿って延びる底片20aと底片20aの各端部から垂直に起立する一対の側片20b,20cを有する断面U字状の本体部20と、本体部20の各端部である各側片20b,20cの上端からそれぞれ本体部20の外側へ向けて突出する受け片21,22とを有する。また、各側片20b,20cの内側面には前記長手方向に沿って平行に複数の溝(符示せず)が形成されている。
【0031】
本実施の形態の挟持部3は、図2に示すように、シート保持部2の本体部20の図中右側である一方側側片20bから突出して一方の側壁部11の内側に当接する内側片3aと、一方側側片20bから内側片3aに対向するように突出し一方の側壁部11の先端に設けられた突出部13の外側に当接して内側片3aとともに一方の側壁部11の先端を挟持する外側片3bとを有する。
【0032】
また、図2に示すように、挟持部3の内側片3aと外側片3bの内側の形状は、一方の側壁部11の先端に設けられた突出部13の形状と符合するように設定されているため、シート止め材1がフレーム材Fに装着された状態で、シート止め材1がフレーム材Fに対して上下方向にガタつかない。なお、本実施の形態の挟持部3の構造は一例であって、一方の側壁部11の先端を挟持できるようになっていれば上記構成には限定されない。
【0033】
本実施の形態の嵌合部4は、図2に示すように、シート保持部2の本体部20の図中左側である他方側側片20cから他方の側壁部12側に向けて図2中上向きに傾斜しながら延びる平板状の板部4aと、板部4aの先端から図2中下向きとなる上側フレームF1側へ延びて嵌合時に他方の側壁部12の内側先端に当接する当接部4bとを有する。
【0034】
また、嵌合部4の板部4aの先端には、図2に示すように、板部4aを延長するように反挟持部側に向けて延びる突起部5と、突起部5の先端側から他方の側壁部12の外側に対向するように図2中下向きに延びて他方の側壁部12の外側に当接する抜け止め片6とが設けられている。
【0035】
このように、本実施の形態では、抜け止め片6が他方の側壁部12の外側に対向しているので、シート止め材1がフレーム材Fに装着された状態で、シート止め材1に対して挟持部3側に図2中上方向へ引っ張る力が作用し、突出部14を支点として図2中時計回りに回転させるモーメントが作用しても、抜け止め片6が他方の側壁部12に当接していてシート止め材1の回転を阻止する。よって、シート止め材1に前記モーメントが作用してもシート止め材1のフレーム材Fからの脱落を防止できる。
【0036】
つづいて、本実施の形態のシート止め材1をフレーム材Fの上側フレームF1に装着する手順について詳細に説明する。まず、図3に示すように、シート止め材1を挟持部3が下方になるように傾けて、内側片3aと外側片3bの間に一方の側壁部11の先端の突出部13を挿入して、一方の側壁部11の先端を挟持部3に挟持させる。
【0037】
この状態から、突起部5を上側フレームF1側に向けて押圧し、当接部4bを他方の側壁部12の先端内側に当てながら押し込む。シート止め材1は弾性を備えているので、当接部4bが撓んで他方の側壁部12の内側に入り込むと、当接部4bの復元力で他方の側壁部12を圧迫する。よって、シート止め材1は、上側フレームF1から外れないようにフレーム材Fに装着される。
【0038】
ここで、突起部5は、嵌合部4から反挟持部側に向けて突出している。よって、当接部4bを他方の側壁部12の先端内側に押し込む際に、突起部5を押圧すれば、支点となる挟持部3までの距離が嵌合部4を押圧する場合よりも大きくなるので、当接部4bを押し込む力が小さくて済む。
【0039】
また、当接部4bの先端は、図2図3に示すように、内側(シート保持部2側)に向けて屈曲している。そのため、当接部4bを他方の側壁部12の先端内側に向けて押し込む際に、当接部4bの挿入は当接部4bの先端の外側によって案内される。よって、本実施の形態のシート止め材1をフレーム材Fの上側フレームF1へ装着する際に、作業者は、当接部4bを他方の側壁部12の内側に容易に押し込める。
【0040】
最後に、図4に示すように、他方の側壁部12と対向する抜け止め片6に外側からビスV1をねじ込んで、抜け止め片6と他方の側壁部12とをビスV1で貫通させる。すると、シート止め材1がフレーム材FにビスV1によって連結されるので、シート止め材1のフレーム材Fに対するガタつき及びフレーム材Fの奥行方向へのずれを防止できるとともに、シート止め材1のフレーム材Fからの脱落を確実に防止できる。
【0041】
ここで、抜け止め片6の外側には、図2に示すように、ビスV1の挿入を案内する第一ガイド溝7が設けられているため、ビスV1を抜け止め片6に対して容易にねじ込むことができる。
【0042】
なお、抜け止め片6に代えて、図5に示すように、嵌合部4の板部4aにビスV2をねじ込んでもよい。具体的には、ビスV2を板部4aにねじ込むと、ビスV2は当接部4bを貫通するとともに、ビスV2のねじ山が他方の側壁部12の先端の突出部14に噛み込ながら当接する。すると、ビスV2のねじ山が他方の側壁部12の先端の突出部14に噛み込んでいるので、シート止め材1に対して反フレーム材側に向けて引っ張る力が作用したとしても、シート止め材1がフレーム材Fから外れない。また、シート止め材1に他方の側壁部12側へ向けて引っ張る力や奥行き方向に向けて押す力が作用しても、ビスV2が他方の側壁部12に噛み込んで当接しているので、シート止め材1のフレーム材Fに対するガタつき及びフレーム材Fの奥行方向へのずれを防止できる。
【0043】
ここで、嵌合部4の板部4aには、図2に示すように、ビスV2の挿入を案内する第二ガイド溝8が設けられており、この第二ガイド溝8は、ビスV2をねじ込むとビスV2の外周のねじ山が他方の側壁部12の内側先端に噛み込んで当接する位置と角度に設定されている。したがって、嵌合部4の板部4aにビスV2をねじ込む場合は、第二ガイド溝8に沿ってビスV2をねじ込めばよいため、ビスV2を容易にねじ込めるとともに、ビスV2の位置決めが容易となる。
【0044】
また、図4図5に示すように、ビスV1,V2を第一ガイド溝7又は第二ガイド溝8に沿ってねじ込む場合であっても、ビスV1,V2は上側フレームF1の底部10を貫通しないため、底部10に孔が開かない。
【0045】
なお、本実施の形態では、シート止め材1は、嵌合部4を他方の側壁部12の先端内側に嵌合する際に、嵌合部4の当接部4bの復元力で他方の側壁部12を圧迫することで、上側フレームF1から外れないようにフレーム材Fに装着されている。そのため、嵌合部4を他方の側壁部12の先端内側に嵌合した時点で、シート止め材1がフレーム材Fからの脱落を防止できる程度にフレーム材Fに保持される場合、ビスV1,V2でシート止め材1をフレーム材Fへ固定する必要はない。
【0046】
ただし、ビスV1,V2を第一ガイド溝7又は第二ガイド溝8にねじ込むことによって、シート止め材1をフレーム材Fから外れないようにする場合、嵌合部4の当接部4bを利用してフレーム材Fにシート止め材1を定着させなくともよい。そのため、例えば、上側フレームF1の開口幅が公差により設計値よりも多少大きくなっていたとしても、ビスV1,V2を第一ガイド溝7又は第二ガイド溝8にねじ込むことによってシート止め材1の脱落を防止できる。よって、ビスV1,V2を第一ガイド溝7又は第二ガイド溝8にねじ込んでいる場合、シート止め材1の嵌合部4の寸法管理が容易となる。
【0047】
このようにすることで、アーチパイプPの頂点を挟んでビニールハウスHの各妻面側にそれぞれ一つずつ設けられたフレーム材Fにそれぞれシート止め材1が装着される。
【0048】
次に、各フレーム材Fに装着されたシート止め材1にシートSを定着する手順について説明する。まず、図示しないが、一方のフレーム材Fに装着された一方のシート止め材1のシート保持部2の受け片21,22と下側フレームF2にシートSの一端を被せた状態で、シートSの上から下側フレームF2に波型のバネからなる弾性部材を挿入して、シートSを仮固定する。
【0049】
その後、図4図5に示すように、受け片21,22に断面コ字状の押え材9を被せ、固定ビスV3を押え材9とシートSを貫通させて各側片20b,20cの内側面に形成される溝に噛み込むようにねじ込む。すると、シートSの一端は、押え材9との間に挟持されて、一方のシート止め材1のシート保持部2に保持されて定着される。
【0050】
なお、シートSを仮固定する方法は上記方法には限られず、例えば、一方のフレーム材Fに装着された一方のシート止め材1のシート保持部2の受け片21,22に両面テープ(図示せず)を貼り、その上からシートSの一端を受け片21,22に載置してシートSを仮固定してもよい。
【0051】
ただし、下側フレームF2に波型のバネからなる弾性部材を挿入してシートSを仮固定する場合、両面テープでシートSを仮固定する場合に比べて、シートSに対して強い張力を付与できる。
【0052】
戻って、アーチパイプPの頂点を挟んで反対側に配置される他方のフレーム材Fに装着された他方のシート止め材1に対しても、一方のシート止め材1と同様の手順でシートSの他端を定着させる。
【0053】
このようにすることで、アーチパイプPの頂点を挟んでビニールハウスHの各妻面側にそれぞれ一つずつ設けられているフレーム材Fに装着されたシート止め材1,1間にシートSが展張される。
【0054】
なお、本実施の形態では、シート止め材1に定着されるシートSには、ポリエステルフィルム、フッ素フィルムなどの硬質シートが利用されている。ただし、シート止め材1には、塩化ビニルフィルム、PETフィルム等のポリオレフィン系フィルムなどの軟質シートを定着することもできる。
【0055】
また、詳細には説明しないが、フレーム材Fの下側フレームF2には、シート止め材1に定着されるシートSとは別に軟質シートを定着できる。具体的には、下側フレームF2の溝F2aに軟質シートの一端を挿入し、当該軟質シートの上から弾性部材を挿入すれば、下側フレームF2に軟質シートを定着できる。図示しないが、フレーム材Fの下方に換気窓を設けて、下側フレームF2に定着される軟質シートで当該換気窓の開閉を行ってもよい。
【0056】
前述したように、本実施の形態のシート止め材1は、シートSを保持可能なシート保持部2と、フレーム材Fの一方の側壁部11の先端を挟持する挟持部3と、フレーム材Fの他方の側壁部12の先端に嵌合される嵌合部4とを備えている。
【0057】
この構成によると、フレーム材Fに硬質シートの取付けに向くシート保持部2を備えるシート止め材1を装着できるので、硬質シートを保持する構造を備えていないフレーム材Fに対しても硬質シートを定着できる。加えて、シート保持部2にシートSを載置した状態で押え材9を被せて、その上から固定ビスV3をねじ込んでシート保持部2を押え材9とで硬質シートを挟持できるので、従来のシートをフレーム材とともに挟んで定着させるシート止め材に比べて、定着したシートSに対して強い張力を付与でき、シートSのバタつきを防止できる。
【0058】
また、上記構成によれば、一方の側壁部11の先端を挟持部3で挟持させて、他方の側壁部12の先端に嵌合部4を嵌合するだけで、シート止め材1をフレーム材Fに対して容易に装着することができる。また、このように挟持部3を一方の側壁部11の先端に挟持させて、嵌合部4を他方の側壁部12の先端に嵌合すれば、シート止め材1をフレーム材Fに装着できるので、シート止め材1をフレーム材Fに装着する際に、フレーム材Fの底部10にビスを貫通させる必要がない。そのため、図4図5に示すように、挟持部3がアーチパイプPの頂点側に向くようにして、シート止め材1をフレーム材Fに装着した場合に、ビニールハウスHの内外の温度差によりシートSの内側面に生じた結露水が、シート保持部2と挟持部3を伝って、挟持部3と一方の側壁部11の隙間を通って、上側フレームF1の溝F1a内に侵入したとしても、ビニールハウスH内に結露水が侵入する恐れがない。
【0059】
また、本実施の形態のシート止め材1は、他方の側壁部12の外側に対向する抜け止め片6を有している。この構成によると、シート止め材1に対して挟持部3側に上方向へ引っ張る力が作用し、他方の側壁部12の先端を支点として図2中時計回りに回転させるモーメントが作用したとしても、抜け止め片6が他方の側壁部12に当接していてシート止め材1の回転を阻止する。よって、シート止め材1に前記モーメントが作用してもシート止め材1のフレーム材Fからの脱落を防止できる。
【0060】
なお、本実施の形態では、抜け止め片6は、他方の側壁部12の外側に当接しているが、他方の側壁部12の外側と対向していれば、他方の側壁部12から離間していてもよい。
【0061】
なお、図示するところでは、フレーム材Fの底部10の両端から起立する一対の側壁部11,12のうち図中右側を一方の側壁部11とし、図中左側を他方の側壁部12としているが、これは一例であって、左側に設けられる側壁部12を一方の側壁部とし、右側に設けられる側壁部11を他方の側壁部としてもよい。つまり、シート止め材1は、図2とは左右を逆にしてフレーム材Fの上側フレームF1に取付けられてもよい。
【0062】
また、本実施の形態のシート止め材1では、抜け止め片6にビスV1の挿入を案内する第一ガイド溝7を設けている。この構成によると、ビスV1を利用したシート止め材1のフレーム材Fへの固定が容易となる。また、ビスV1を利用する場合、第一ガイド溝7に沿ってビスV1をねじ込むと、ビスV1が抜け止め片6と他方の側壁部12を貫通して、シート止め材1がフレーム材Fに対してビスV1によって連結されるので、シート止め材1のフレーム材Fに対するガタつき及びフレーム材Fの奥行方向のずれを防止できるとともに、シート止め材1のフレーム材Fからの脱落を確実に防止できる。
【0063】
さらに、ビスV1がフレーム材Fの底部10を貫通しない。そのため、図4に示すように、挟持部3がアーチパイプPの頂点側に向くようにして、シート止め材1をフレーム材Fに装着した場合に、シートSの内側面に生じた結露水が、シート保持部2と挟持部3を伝って、挟持部3と一方の側壁部11の隙間を通って、上側フレームF1の溝F1a内に侵入したとしても、ビニールハウスH内に結露水が侵入する恐れがない。
【0064】
また、本実施の形態のシート止め材1は、他方の側壁部12の内側先端に外周が当接するビスV2の挿入を案内する第二ガイド溝8を有している。この構成によると、ビスV2を利用したシート止め材1のフレーム材Fへの固定が容易となる。また、ビスV2を利用する場合、第二ガイド溝8に沿ってビスV2をねじ込むと、ビスV2の外周に形成されるねじ山が他方の側壁部12の内側先端に噛み込みながら当接する。よって、シート止め材1のフレーム材Fに対するガタつき及びフレーム材Fの奥行方向のずれを防止できるとともに、シート止め材1のフレーム材Fからの脱落を確実に防止できる。
【0065】
さらに、ビスV2がフレーム材Fの底部10を貫通しない。そのため、図5に示すように、挟持部3がアーチパイプPの頂点側に向くようにして、シート止め材1をフレーム材Fに装着した場合に、シートSの内側面に生じた結露水が、シート保持部2と挟持部3を伝って、挟持部3と一方の側壁部11の隙間を通って、上側フレームF1の溝F1a内に侵入したとしても、ビニールハウスH内に結露水が侵入する恐れがない。
【0066】
また、本実施の形態のシート止め材1は、嵌合部4から反挟持部側に向けて突出する突起部5を有している。この構成によると、嵌合部4を他方の側壁部12の先端に嵌合する際に、突起部5を押圧すれば、支点となる挟持部3までの距離が嵌合部4を押圧する場合よりも大きくなるので、嵌合部4を押す力が小さくて済む。したがって、上記構成によれば、シート止め材1をフレーム材Fに対してより容易に装着できる。
【0067】
また、本実施の形態のシート止め材1では、嵌合部4は他方の側壁部12の内側先端に当接している。この構成によると、他方の側壁部12の外側の形状に左右されることなく、シート止め材1を様々な形状のフレーム材Fに装着できる。ただし、嵌合部4は、他方の側壁部12の外側先端に当接して嵌合されてもよい。
【0068】
つづいて、本発明の第二の実施の形態に係るシート止め材1Aについて説明する。本実施の形態に係るシート止め材1Aの基本的な構成は、第一の実施の形態のシート止め材1と同様である、以下、第一の実施の形態と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図6に示すように、本実施の形態のシート止め材1Aは、挟持部3の外側片3bに一方の側壁部11に沿って延びる鍔部3cを設けている点で、第一の実施の形態のシート止め材1と異なる。
【0070】
このように、挟持部3が、一方の側壁部11の内側に当接する内側片3aと、一方の側壁部11の外側に当接して内側片3aとともに一方の側壁部11の先端を挟持する外側片3bとを有し、外側片3bが一方の側壁部11に沿って延びる鍔部3cを有している場合、シート止め材1Aに対して嵌合部4側を図6中上方向に引っ張る力作用したとしても、鍔部3cが一方の側壁部11に当接するので、シート止め材1Aがフレーム材Fから脱落するのを防止できる。
【0071】
また、シートSの内側面に生じた結露水がシート保持部2を介して挟持部3の外側片3bに伝ったとしても、当該外側片3bは一方の側壁部11に沿って延びる鍔部3cを有しており、鍔部3cの先端と一方の側壁部11の上端は接していないので、挟持部3と一方の側壁部11の隙間を通じて結露水がフレーム材F内へ侵入するのを防止できる。
【0072】
さらに、本実施の形態では、図6に示すように、フレーム材Fの樋フレームF3が鍔部3cの下方に配置されているため、シートSの内側面に生じた結露水がシート保持部2を伝って鍔部3cに付着し、鍔部3cの先端から垂れたとしても、その結露水は樋フレームF3に回収される。そのため、シート止め材1Aに付着した結露水がビニールハウスH内に侵入するのを防止できる。
【0073】
つづいて、本発明の第三の実施の形態に係るシート止め材1Bについて説明する。本実施の形態に係るシート止め材1Bの基本的な構成は、第一の実施の形態のシート止め材1と同様である、以下、第一の実施の形態と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
図7に示すように、本実施の形態のシート止め材1Bでは、挟持部30が、本体部20の一方側側片20bから突出し一方の側壁部11の内側に当接する支持片30aを有しており、この支持片30aが、本体部20の一方側側片20bの上端から一方の側壁部11側に向けて突出する受け片21とともに一方の側壁部11の先端を挟持している点で異なる。
【0075】
このように、本体部20の一方の側壁部11側から突出する支持片30aと一方の側壁部11側の受け片21とで一方の側壁部11の先端を挟持すると、フレーム材Fに装着されたシート止め材1Bのシート保持部2のシートSが載置される上端位置を第一の実施の形態の位置よりも低くできる。
【0076】
すると、シート保持部2に保持されたシートSが風に煽られるなどした場合に、シート止め材1Bに作用するモーメントを小さくできるので、シート止め材1Bがフレーム材Fからより脱落し難くなる。
【0077】
つづいて、本発明の第四の実施の形態に係るシート止め材1Cについて説明する。本実施の形態に係るシート止め材1Cの基本的な構成は、第一の実施の形態のシート止め材1と同様である。以下、第一の実施の形態と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、本実施の形態のシート止め材1Cは、下側フレームF2の溝F2aの開口部に対向するストッパ部40を備える点で第一の実施の形態のシート止め材1と異なる。
【0079】
本実施の形態のストッパ部40は、図8に示すように、抜け止め片6の先端から外向きに突出している。また、ストッパ部40は、シート止め材1が上側フレームF1に装着されると、溝F2aの上方に配置され溝F2aの開口部に対向する。そして、ストッパ部40の先端と下側フレームF2における一対の側壁16,17のうち図8中左側である反上側フレーム側の左側壁17の先端までの距離L1は、溝F2aの開口部の幅L2以下に設定されている。なお、本実施の形態では、ストッパ部40は、抜け止め片6の先端に設けられているが、抜け止め片6の先端以外の部分に設けられてもよい。
【0080】
ここで、フレーム材Fの下側フレームF2の溝F2aには、フレーム材Fの下方に設けられる換気窓(図示せず)を開閉する開閉シートS1と、換気窓を通じて虫や鳥がビニールハウスH内に入るのを防止するネットNが定着されている。具体的には、まず、溝F2aにネットNの一端を挿入し、ネットNの上から波型のバネである第一バネSP1を挿入することで、ネットNを下側フレームF2の溝F2aに定着させる。次に、溝F2aに第一バネSP1の上から開閉シートS1の一端を挿入し、開閉シートS1の上から波型のバネである第二バネSP2を挿入することで、開閉シートS1を下側フレームF2の溝F2aに定着させる。
【0081】
また、本実施の形態では、図8に示すように、シートSを上側フレームF1に装着されたシート止め材1Cのシート保持部2に定着する際、シート保持部2と下側フレームF2の溝F2aに挿入された第二バネSP2にシートSの一端を被せた状態で、下側フレームF2の溝F2aにシートSの上から波型のバネである第三バネSP3を挿入して、シートSを下側フレームF2の溝F2aに仮固定してから、シート保持部2に押え材9を被せ、固定ビスV3を押え材9の上からシート保持部2の側片20b,20cの間にねじ込んでいる。
【0082】
つまり、下側フレームF2の溝F2aには、図8に示すように、ネットNと開閉シートS1とシートSとをそれぞれ押圧する3つのバネSP1,SP2,SP3が重なって挿入されることになる。
【0083】
下側フレームF2の溝F2aに3つのバネSP1,SP2,SP3が挿入された状態において、下側フレームF2の溝F2aの深さが浅い場合、第三バネSP3が、シートSから過大な張力を受けると縮んでしまって下側フレームF2から脱落する可能性がある。
【0084】
具体的には、例えば、シートSが風で煽られる場合、図8中でシートSの押え材9と第三バネSP3との間の部分に力が加わるため、第三バネSP3には、左右方向で圧縮する力が加わるとともに、図8中で左側を支点として右側を下側フレームF2に対して浮き上がらせるモーメントが加わる。すると、第三バネSP3は、図8中で左側を支点に回転して、第三バネSP3の右側が右側壁16から外れて溝F2aから脱落する可能性がある。
【0085】
これに対し、本実施の形態のシート止め材1Cは、溝F2aの開口部に対向するストッパ部40を備えるとともに、ストッパ部40の先端と下側フレームF2の左側壁17の先端までの距離L1が溝F2aの開口部の幅L2以下である。そして、第三バネSP3の図8中横方向の幅(自然長)は溝F2aの開口部の幅L2よりも広い。
【0086】
したがって、第三バネSP3の右側が右側壁16から外れる際に、第三バネSP3は自身の復元力で幅を広げるため、第三バネSP3の右側は溝F2aの上方に配置されているストッパ部40に捕まえられて、ストッパ部40と左側壁17との間で保持される。よって、本実施の形態のシート止め材1Cでは、第三バネSP3が下側フレームF2から脱落するのを確実に防止できる。
【0087】
また、溝F2aに定着されているネットNや開閉シートS1のシワが重なってしまっている等の理由で、溝F2aにシートSと第三バネSP3を挿入できるスペースがなくなってしまう場合があるが、このような場合であっても、本実施の形態のシート止め材1Cであれば、ストッパ部40と左側壁17との間に第三バネSP3を保持できるので、シートSを仮固定することができる。
【0088】
なお、シートSの下側フレームF2に定着されている部分より左方側は何ら支持されていないので、このシートSの左方側の部分が風で煽られても、第三バネSP3を圧縮させるような張力は生じない。そのため、第三バネSP3の左側が左側壁17から外れて脱落することはない。
【0089】
また、ストッパ部40の先端と下側フレームF2の左側壁17の先端までの距離L1が溝F2aの開口部の幅L2以下であるから、第三バネSP3が、図9に示すように、ストッパ部40と左側壁17とで保持されている場合、図8に示すように、溝F2aに挿入されている状態に比べて、第三バネSP3が下側フレームF2からより脱落しづらい。
【0090】
また、図8図9に示すように、本実施の形態のストッパ部40における第三バネSP3と当接する面である下面は、第三バネSP3の外周面に密着するように湾曲している。よって、第三バネSP3の図8中右側が下側フレームF2の右側壁16から外れて、第三バネSP3の線材の外周面がストッパ部40の下面に当接する際、第三バネSP3の線材の外周面はストッパ部40に嵌合するため、脱落時に第三バネSP3の右側をストッパ部40で確実に捕まえることができる。なお、ストッパ部40の下面の形状は、特に限定されず、第三バネSP3の脱落を助長するような形状でなければ、例えば平坦であってもよい。
【0091】
また、第三バネSP3の下側フレームF2からの脱落を確実に防止するためには、下側フレームF2の溝F2aの深さを3つのバネSP1,SP2,SP3を余裕を持って挿入できるように十分深くすることも考えられる。そのようにした場合、フレーム材Fが大型化して材料費が嵩み製造コストが増大してしまう。本実施の形態のシート止め材1Cによれば、ストッパ部40を設けることで、下側フレームF2の溝F2aの深さを浅くしても第三バネSP3の下側フレームF2からの脱落を防止できるので、フレーム材Fのコストの増大を抑制できる。
【0092】
また、本実施の形態では、下側フレームF2の溝F2aに3つのバネSP1,SP2,SP3が挿入されているが、下側フレームF2に定着させるシートの数に応じて、バネの溝F2aへの収容数を適宜変更できる。
【0093】
なお、本実施の形態では、ストッパ部40は抜け止め片6に設けられているが、ストッパ部40をシート止め材1Cのどの部分に設けるかは特に限定されない。ただし、シート止め材1Cによって定着されるシートS1に作用する張力による第三バネSP3の脱落を防止する観点からすると、ストッパ部40は、下側フレームF2の開口部に対して上側フレームF1側の側壁16の上方に配置されるとよい。
【0094】
また、例えば、シート止め材1Cの左右を反転させて、挟持部3に図8中左側の側壁部12の先端を挟持させ、嵌合部4を図8中右側の側壁部11の先端に嵌合させた場合には、挟持部3が下側フレームF2の近くに配置されるので、挟持部3にストッパ部40を設けてもよい。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B,1C・・・シート止め材、2・・・シート保持部、3,30・・・挟持部、3a・・・内側片、3b・・・外側片、3c・・・鍔部、4・・・嵌合部、5・・・突起部、6・・・抜け止め片、7・・・第一ガイド溝、8・・・第二ガイド溝、10・・・底部、11,12・・・側壁部、15・・・底壁、16,17・・・側壁、20・・・本体部、21,22・・・受け片、30a・・・支持片、40・・・ストッパ部、F・・・フレーム材、F1・・・上側フレーム、F2・・・下側フレーム、F2a・・・溝、S・・・シート、SP1,SP2、SP3・・・バネ、V1,V2・・・ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9