(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20250403BHJP
【FI】
H02J50/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021001884
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-12-27
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ティロットソン, ブライアン ジェー.
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-075249(JP,A)
【文献】特表2015-517295(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振誘導電力送信器(1)
及び共振誘導電力受信器(3)を備えた共振誘導電力転送システムであって、前記共振誘導電力送信器が:
電圧源(10);
前記電圧源により電圧が供給される第1の共振回路を形成するように接続されている、第1のインダクタ(2a)と第1のコンデンサ(6);
第1のスイッチ(S1)と第2のインダクタ(2b)であって、前記第1のスイッチが閉じているときに、前記第1のインダクタと並列接続される、第1のスイッチ(S1)と第2のインダクタ(2b);及び
周波数変更切り替えシーケンスに従って前記第1のスイッチの状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラ(70)
を含
み、
前記共振誘導電力受信器が:
第2の共振回路を形成するように接続されている、第3のインダクタ(4)と第2のコンデンサ(8a);
第2のスイッチ(S2)が閉じているときに、前記第2のコンデンサ(8a)と並列接続される、前記第2のスイッチ(S2)と第3のコンデンサ(8b);及び
前記周波数変更切り替えシーケンスに従って前記第2のスイッチの状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラ(72)
を含み、
前記共振誘導電力転送システムは、
前記送信スイッチコントローラに通信可能に連結された第1の送受信器(74);及び
前記受信スイッチコントローラに通信可能に連結された第2の送受信器(76)
を更に備え、
前記送信スイッチコントローラが、前記周波数変更切り替えシーケンスを暗号形式で前記第1の送受信器に送るように構成されており、前記受信スイッチコントローラが、前記周波数変更切り替えシーケンスを暗号形式で前記第2の送受信器から受け取るように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1のインダクタが送信コイルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のインダクタがコイルである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のインダクタが、外部電磁場を生成しない種類のものである、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信スイッチコントローラが、前記第2のインダクタの電流がゼロを超えるときに、前記第1のスイッチに状態を変更するように命令する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3のインダクタが受信コイルである、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のそれぞれの共振周波数が、前記第1のスイッチが閉じており且つ前記第2のスイッチが開いているとき、第1の共振周波数に等しく、前記第1のスイッチが開いており且つ前記第2のスイッチが閉じているとき、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に等しい、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記受信スイッチコントローラが、前記第3の
インダクタの電圧がゼロを超えるときに、前記第2のスイッチに状態を変更するように命令する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
共振誘導電力送信器(1)から共振誘導電力受信器(3)に電力を転送するための方法であって:
(a)前記共振誘導電力送信器の電磁連結範囲内に前記共振誘導電力受信器を配置すること;
(b)第1のタイムインターバルの間に、前記共振誘導電力送信器を使用して、第1の周波数を有する第1の振動電磁場を生成すること;
(c)前記第1のタイムインターバルの間に、共振電磁誘導により、前記第1の周波数を有する前記共振誘導電力受信器に第1の振動起電力を生成すること;
(d)前記第1のタイムインターバルの後の第2のタイムインターバルの間に、前記共振誘導電力送信器を使用して、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の振動電磁場を生成すること
;
(e)前記第2のタイムインターバルの間に、共振電磁誘導により、前記第2の周波数を有する前記共振誘導電力受信器に第2の振動起電力を生成すること
;
(f)ステップ(b)の前に前記共振誘導電力送信器の第1のスイッチ(S1)を開くことにより前記第1の振動電磁場を生成するように、前記共振誘導電力送信器を構成すること;
(g)ステップ(c)の前に前記共振誘導電力受信器の第2のスイッチ(S2)を閉じることにより前記第1の振動起電力を生成するように、前記共振誘導電力受信器を構成すること;
(h)ステップ(d)の前に前記第1のスイッチを閉じることにより前記第2の振動電磁場を生成するように、前記共振誘導電力送信器を構成すること;及び
(i)ステップ(e)の前に前記第2のスイッチを開くことにより前記第2の振動起電力を生成するように、前記共振誘導電力受信器を構成すること
を含
み、
前記共振誘導電力送信器は、周波数変更切り替えシーケンスに従って前記第1のスイッチの状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラを含み、
前記共振誘導電力受信器は、前記周波数変更切り替えシーケンスに従って前記第2のスイッチの状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラを含み、
第1の送受信器が前記送信スイッチコントローラに通信可能に連結され、
第2の送受信器が前記受信スイッチコントローラに通信可能に連結され、
前記送信スイッチコントローラが、前記周波数変更切り替えシーケンスを暗号形式で前記第1の送受信器に送るように構成されており、前記受信スイッチコントローラが、前記周波数変更切り替えシーケンスを暗号形式で前記第2の送受信器から受け取るように構成されていて、
前記第1のスイッチの状態及び前記第2のスイッチの状態と、前記第1のタイムインターバル及び前記第2のタイムインターバルとが、前記周波数変更切り替えシーケンスに従って指示され、前記方法が、前記周波数変更切り替えシーケンスを含む暗号形式の情報を、前記共振誘導電力送信器から前記共振誘導電力受信器に送ることを更に含む
、方法。
【請求項10】
前記共振誘導電力受信器の電磁連結範囲内における前記第1の振動電磁場の存在を検出することを更に含み、前記共振誘導電力受信器が、前記電磁連結範囲内における前記第1の振動電磁場の前記存在の検出に応答して、前記周波数変更切り替えシーケンスに従って前記第2のスイッチの切り替えを開始する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記周波数変更切り替えシーケンスに従ってステップ(f)から(
i)が繰り返される、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、無線送電のためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、共振誘導的に連結された送信器及び受信器による無線送電に関する。
【背景技術】
【0002】
共振誘導連結は、同じ周波数で共振するように調節された2つのコイルの間での電気エネルギーの近場無線伝送である。共振転送は、振動磁場を生成する振動電流を用いて一次コイルリングを作製することにより機能する。一次コイルに近接する二次コイルは、振動磁場からエネルギーを拾うことができる。一次及び二次コイルが共通の周波数で共振する場合、合理的な効率で、コイルの直径の数倍の範囲にわたり、大きな電力を一次コイルから二次コイルへ伝送することができる。
【0003】
一般的な課題は、送信器から受信器へ電力を無線伝送することである。近距離伝送のための共通のアプローチは、共振誘導電力転送である。この方法では、送信器及び受信器の両方は、同じ周波数に調節された共振回路を有する。例えば、共振誘導電力転送は、無人航空機などの航空機に搭載されるバッテリの無線再充電のために使用することができる。共振誘導電力転送は、大衆消費電子機器のため、及び電気自動車を再充電するためにも使用される。
【0004】
理想的には、送信器から送られる全電力は、認証された受信器まで低損失パスを辿る。これは、認証されていない受信器が共振周波数を検出し、それら受信器を同じ周波数に調節する場合には起こらない。この場合、認証されていない受信器は電力を盗む。これは、送信側のコストを増加させ、認証された受信器が利用できる電力を減少させる。1つの解決法は、認証されていない受信器が電力を受け取るために十分に送信器に近づくことがないように、物理的セキュリティを課すことである。このような欠点は、認証された受信器の、不便、遅延、及びコストを増大させる。
【0005】
認証された受信器に対する効率的な伝送を可能にしながら、認証されていない受信器が電力を受け取ることを防止するための、改善されたシステム及び方法が有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
以下にある程度詳細に開示される主題は、暗号を使用して共振誘導電力転送が認証されたユーザに対してのみ行われることを確実にするためのシステム及び方法を目的とする。共振誘導電力転送は、送信器と受信器とにほぼ同一の共振周波数を必要とする。以下に開示される実施形態によれば、電力転送信号の周波数は、「電力傍受者(power eavesdropper)」が周波数をうまく追跡して電力を効率的に受け取ることができないように、送信器及び受信器のみが知るスケジュールで変化する。周波数の遷移をエネルギー効率的にするために、容量性又は誘導性の要素は、ゼロ交差:コンデンサ上のゼロ電荷又はインダクタのゼロ電流の瞬間に、各回路に又は各回路から切り替えられる。位相整列を維持するために、送信側のインダクタの切り替えが受信側のコンデンサの切り替えとほぼ同時であるか、又は送信側でのコンデンサの切り替えが受信側でのインダクタの切り替えとほぼ同時である。
【0007】
暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法の種々の実施形態についてある程度詳細にここで後述するが、それら実施形態のうちの1つまたは複数は、以下の態様のうちの1つまたは複数を特徴としうる。
【0008】
以下に詳細に開示される主題の一態様は、共振誘導電力送信器から共振誘導電力受信器へ電力を転送するための方法であり、この方法は:(a)共振誘導電力送信器の電磁連結範囲内に共振誘導電力受信器を配置すること;(b)共振誘導電力送信器を使用して、第1のタイムインターバルの間に、第1の周波数を有する第1の振動電磁場を生成すること;(c)第1のタイムインターバルの間に、共振電磁誘導により、第1の周波数を有する共振誘導電力受信器に第1の振動起電力を生成すること;(d)共振誘導電力送信器を使用して、第1のタイムインターバルの後の第2のタイムインターバルの間に、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の振動電磁場を生成すること;及び(e)共振電磁誘導により、第2のタイムインターバルの間に、第2の周波数を有する共振誘導電力受信器に第2の振動起電力を生成することを含む。
【0009】
直前の段落に記載された方法のいくつかの実施形態によれば、方法は:(f)ステップ(b)の前に、共振誘導電力送信器の第1のスイッチを開くことにより、第1の振動電磁場を生成するように共振誘導電力送信器を構成すること;(g)ステップ(c)の前に、共振誘導電力受信器の第2のスイッチを閉じることにより、第1の振動起電力を生成するように共振誘導電力受信器を構成すること;(h)ステップ(d)の前に、第1のスイッチを閉じることにより、第2の振動電磁場を生成するように共振誘導電力送信器を構成すること;及び(i)ステップ(e)の前に、第2のスイッチを開くことにより、第2の振動起電力を生成するように共振誘導電力受信器を構成することを更に含む。第1及び第2のスイッチの状態と、第1及び第2のタイムインターバルとは、周波数変更切り替えシーケンスにより指示される。方法は、周波数変更切り替えシーケンスを含む暗号形式の情報を、共振誘導電力送信器から共振誘導電力受信器へ送ることを更に含む。
【0010】
ここに開示される主題の別の態様は、周波数変更切り替えシーケンスによる共振誘導電力転送を可能にするための同期切り替え状態を有する共振誘導電力送信器と共振誘導電力受信器とを備えた共振誘導電力転送システムである。共振誘導電力送信器は:電圧源;電圧源により電圧供給される第1の共振回路を形成するように接続されている第1のインダクタと第1のコンデンサ;第1のスイッチが閉じているとき第1のインダクタと並列接続される、第1のスイッチと第2のインダクタ;及び周波数変更切り替えシーケンスに従って第1のスイッチの状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラを含む。共振誘導電力受信器は:接続されて第2の共振回路を形成する、第3のインダクタと第2のコンデンサ;第2のスイッチが閉じているとき第1のコンデンサと並列接続される、第2のスイッチと第2のコンデンサ;及び周波数変更切り替えシーケンスに従って第2のスイッチの状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラを含む。第1及び第2の共振回路のそれぞれの共振周波数は、第1のスイッチが閉じており且つ第2のスイッチが開いているとき第1の共振周波数に等しく、第1のスイッチが開いており且つ第2のスイッチが閉じているとき第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に等しい。
【0011】
ここに開示される主題の更なる態様は、共振誘導電力送信器が:電圧源;電圧源により電圧供給される第1の共振回路を形成するように接続されている第1のインダクタと第1のコンデンサ;第1のスイッチが閉じているとき第1のコンデンサと並列接続される、第1のスイッチと第2のコンデンサ;及び周波数変更切り替えシーケンスに従って第1のスイッチの状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラを含む、共振誘導電力転送システムである。逆に、共振誘導電力受信器は:接続されて第2の共振回路を形成する、第2のインダクタと第3のコンデンサ;第2のスイッチが閉じているとき第2のインダクタと並列接続される、第2のスイッチと第3のインダクタ;及び周波数変更切り替えシーケンスに従って第2のスイッチの状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラを含む。
【0012】
暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法の他の態様が以下に開示される。
【0013】
前のセクションで検討された特徴、機能、及び利点は、種々の実施形態において個別に実現することができるか、又は他の実施形態において組み合わせることができる。上記の態様及び他の態様を説明するために、図面を参照して種々の実施形態について以下に記載する。このセクションにおいて簡単に記載される図面は、いずれも実寸通りには描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】共振システムの送信器及び受信器のいくつかの構成要素を表す回路図である。
【
図2】リレーコイルを有する共振システムの送信器及び受信器のいくつかの構成要素を表す回路図である。
【
図3】送信器(左側)及び受信器(右側)のいくつかの構成要素を表す回路図であり、送信器と受信器の共振周波数を一致させるための、インダクタを切り替えるための送信スイッチと、コンデンサを切り替えるための受信スイッチとを含んでいる。
【
図4】送信器のスイッチS1の状態が閉から開に変化するタイムインターバルにおける、送信コイル(
図3に示す)を通る電流を示すグラフである。
【
図5】
図4に示されるようにスイッチS1の状態が閉から開に変化するタイムインターバルにおける、受信器の受信コイルにより生成される誘導起電力(EMF)を示すグラフである。
【
図6】
図4に示されるように送信器のスイッチS1の状態が閉から開に変化するタイムインターバルにおける、受信器のコンデンサC
2の両端の電圧を示すグラフである。
【
図7】暗号化共振誘導電力転送のための方法100のステップを確認するフロー図である。
【
図8】一実施形態による暗号化共振誘導電力転送システムのいくつかの構成要素を確認するブロック図である。
【
図9】振動の周波数を設定する帯域フィルタとして機能する、並列共振回路(同調回路)を含むフィードバックループにおいて出力が入力に接続されているNPN型バイポーラ接合トランジスタからなる共通ベースのコルピッツ型発振器の、いくつかの構成要素を表す回路図である。
【
図10】一実施形態による、インダクタンスL
1を有する第1のインダクタに並列接続されたインダクタンスL
2を有する第2のインダクタと、第1のインダクタと並列の第2のインダクタを追加又は除去するためのスイッチS1とを含むように改良された、共通ベースのコルピッツ型発振器のいくつかの構成要素を表す回路図である。
【
図11】共振誘導電力受信器の受信コイルにEMFが誘導されたとき、バッテリを再充電するための直流電流を生成するための共振誘導電力受信器と整流器とを含む、バッテリ充電システムのいくつかの構成要素を確認する回路図である。
【
図12】一実施形態による、静電容量C
2を有する第1のコンデンサに並列接続された静電容量C
3を有する第2のコンデンサと、第1のコンデンサと並列の第2のコンデンサを追加又は除去するためのスイッチS2とを含むように改良された、バッテリ充電システムのいくつかの構成要素を確認する回路図である。
【
図13】送信器と受信器の共振周波数を一致させるための、コンデンサを切り替えるための信スイッチと、インダクタを切り替えるための受信スイッチとを含む、送信器(左側)及び受信器(右側)のいくつかの構成要素を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では図面を参照する。異なる図面中にある同様の要素には、同一の参照番号が付されている。
【0016】
説明を目的として、暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法について以下に詳細に記載する。しかしながら、実際の実装態様のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。当業者であれば、このようなあらゆる実施形態の開発において、実装態様によって異なるシステム関連及びビジネス関連の制約の順守といった開発者の特定の目的を達成するために、多数の実装時判断を行わねばならないことを理解するであろう。さらに、こうした開発のための取り組みは煩雑で時間がかかるものであるかもしれないが、本開示から受益する当業者にとっては所定の日常業務であることが理解されるであろう。
【0017】
共振誘導連結は、同じ周波数で共振するように調節された2つのコイルの間での電気エネルギーの近場無線伝送である。共振転送は、振動磁場を生成する振動電流を用いて一次コイル(上記及び以下で「送信コイル」と呼ばれる)リングを作製することにより機能する。一次コイルに近接する二次コイル(上記及び以下で「受信コイル」と呼ばれるは、振動磁場からエネルギーを拾うことができる。一次及び二次コイルが共通する周波数で共振すると、波長が光速を振動電流の周波数で除したものである場合に波長の凡そ四分の一の範囲の間に、大きな電力が合理的な効率で一次コイルから二次コイルへ伝送されうる。共振誘導連結は、大きな送電を行うために、送信器と受信器(即ち、送信回路及び受信共振回路)の間に、共振周波数の一致及び配向の一致の両方を必要とする。具体的には、送信コイル及び受信コイルは、好ましくは、送信コイルから受信コイルを通る磁気双極子場が受信コイルに対して平行の約45度以内に配向するように、配向される。
【0018】
図1は、共振誘導連結範囲内の距離だけ分離されているときの、共振システムを形成する送信器1と共振誘導電力受信器3とを表す回路図である。送信器1は、AC源10(以降「AC源10」という)に接続された共振回路を含む。(ここで使用される「接続」は、電気的接続を意味する。)AC源10は、電圧V
0を有する交流電流を出力する。送信器1の共振回路は、送信コイル2と、送信コイル2を調節するコンデンサ6とを含み、共振周波数で振動する磁場B(
図1の円によって示される)を生成する。送信コイル2はAC源10からの電流I
sとコンデンサ6からの電流I
c1の合計である電流I
total(即ち、I
s+I
c1=I
total)を受信する。共振誘導電力受信器3は、負荷12(例えば、バッテリ充電器)に接続された共振回路を含む。共振誘導電力受信器3の共振回路は、受信コイル4と、受信コイル4を共振周波数に合わせて調節するコンデンサ8とを含む。共振誘導連結の間に、負荷12は、受信コイル4に誘導された電流I
totalと、コンデンサ6からの電流I
c2との合計である電流I
load(即ち、I
total+I
c2=I
load)を受信する。
【0019】
ここに開示される実施形態のいくつかによれば、「リレー」コイルを受信及び送信コイルに使用して、転送される電力量を増幅することができる。
図2は、リレーコイル14a及び14bを有する共振システムの送信器1と共振誘導電力受信器3とを表す回路図である。リレーコイル14aは送信コイル2に共振誘導連結されており;リレーコイル14bはリレーコイル14aに共振誘導連結されており;リレーコイル14bは受信コイル4に共振誘導連結されている。
図2には示されていないが、リレーコイル14a及び14bの各々は、それぞれのコンデンサ(図示しない)に接続されてそれぞれの共振回路を形成する。リレーコイル14aは、好ましくは、送信コイル2に近接して且つ送信コイル2と並列に配置され、リレーコイル14bは、好ましくは、受信コイル4に近接して且つ受信コイル4と並列に配置される。(ここでコイルの文脈で使用される用語「並列」は、コイルの軸が互いに平行であることを意味する。)
【0020】
リレーコイルの追加は、回路の電流のより大きな蓄積に寄与する。具体的には、AC源10の電圧V
0により駆動される交流電流は、送信コイル2を通り、コンデンサ6に供給される。コンデンサ6が放電するとき、その電流I
c1はソース電流I
sに付加される。このプロセスが継続的に繰り返されて、全電流I
totalを蓄積する。大きな電流は、やはりコンデンサ(
図2には示さない)に接続されたリレーコイル14aに同様に大きな電流を誘導する。リレーコイル14aを通る電流は、その付属コンデンサを充電する。このコンデンサが放電するとき、その電流はリレーコイル14aに誘導されている電流に加わる。リレーコイル14aを通る電流はここで、I
totalと、リレーコイル14aが電気的に連結されたコンデンサからの余分の電流との合計と等しくなる。この全電流は、受信器側でリレーコイル14bに接続されたコンデンサに電流を誘導する。前述と同様のプロセスを通して、受信器側でリレーコイル14bを通る電流は、リレーコイル16が電気的に連結されたコンデンサ(
図2には示さない)からの追加のコンデンサ電流により増大する。最後に、この電流は、受信コイル4に、やはりコンデンサ8により経時的に増大する電流を誘導する。記載されるプロセスを通して、受信コイル4に誘導される電流は、リレーコイル14a及び14bが使用されないときよりはるかに大きく、したがって転送される全電力もより大きい(P=IV)。
【0021】
ここで暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法についてある程度詳細に記載する。以下に開示される実施形態では、周波数は、送信器及び受信器のみが知るスケジュールで変化する。周波数の遷移をエネルギー効率的にするために、容量性又は誘導性の要素を、ゼロ交差:コンデンサ上のゼロ電荷又はインダクタのゼロ電流の瞬間に各回路に又は各回路から切り替える。位相整列を維持するために、送信側のインダクタの切り替えが受信側のコンデンサの切り替えとほぼ同時であるか、又は送信側でのコンデンサの切り替えが受信側でのインダクタの切り替えとほぼ同時である。
【0022】
図3は、送信器(左側)及び受信器(右側)のいくつかの構成要素を表す回路図であり、送信器と受信器の共振周波数を一致させるための、インダクタを切り替えるための信スイッチとコンデンサを切り替えるための受信スイッチとを含んでいる。このシステムは、暗号化共振誘導電力転送を可能にするように構成された共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3を含んでいる。特に、共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3は、補償要素を切り替えて送信器と受信器の共振周波数を一致させるための、それぞれのスイッチS1及びS2を含む。
【0023】
図3に示される実施形態によれば、共振誘導電力送信器1は、接続されて第1の共振回路を形成する、インダクタンスL
1を有する送信コイル2aと静電容量C
1を有するコンデンサ6とを含む。共振誘導電力送信器1は、送信コイル2aに並列のコイル2bを追加又は除去するための、送信コイル2a及びスイッチ18(以降「スイッチS1という」)に並列接続されたコイル2bを更に含む。コイル2bは、インダクタンスL
1と等しくても異なってもよいインダクタンスL
2を有する。共振誘導電力送信器1は、第1の共振回路の共振周波数に基づく発振器を作成するように構成された回路、例えば増幅器(
図3には示さない)も含む。
【0024】
図3に示される実施形態によれば、共振誘導電力受信器3は、接続されて第2の共振回路を形成する、インダクタンスL
3を有する受信コイル4と静電容量C
2を有する第1のコンデンサ8aとを含む。共振誘導電力受信器3は、第1のコンデンサ8aに並列の第2のコンデンサ8bを追加又は除去するための、第1のコンデンサ8a及びスイッチ20(以降「スイッチS2」という)に並列接続された第2のコンデンサ8bを更に含む。第2のコンデンサ8bは、静電容量C
2と等しくても異なってもよい静電容量C
3を有する。共振誘導電力受信器3は、共振誘導電力受信器3から電力を抽出してそれを有用な負荷へと送達するように構成された回路、例えば整流器(
図3には示さない)も含む。共振誘導電力受信器3のインダクタ値及びコンデンサ値は:(a)スイッチS2が閉じているとき、共振誘導電力受信器3が、スイッチS1が開いているときに共振誘導電力送信器1が有するものと同じ第1の共振周波数を有し;且つ(b)スイッチS2が開いているとき、共振誘導電力受信器3が、スイッチS1が閉じているときに共振誘導電力送信器1が有するものと同じ第2の共振周波数(第1の共振周波数とは異なる)を有するように、選択される。共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3は各々が、それぞれスイッチS1及びスイッチS2の状態を制御する、それぞれのスイッチコントローラ(
図3には示さない)を有する。各スイッチコントローラは、非一過性の有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶された、合意された周波数変更切り替えシーケンスのデジタルコピーの形式の共通するスイッチ制御プログラムを実行するか、又は周波数変更切り替えシーケンスを決定することのできるアルゴリズムを実行するように構成された(例えば、プログラムされた)プロセッサである。スイッチの状態(開又は閉)は、共振誘導電力送信器1と共振誘導電力受信器3の共振周波数を決定する。共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3の送信及び受信スイッチコントローラだけが切り替えシーケンスを知っている限り、認証されていない受信器は変化する(切り替えられる)共振周波数を効率的に追跡することができないため、認証されていない受信器はシステムから電力を盗むことはできない。
【0025】
図3は、暗号化共振誘導電力転送システムの一実施形態を簡潔な形態で示している。発振器回路網(以下で
図9に示す)とスイッチコントローラは
図3には示されていない。送信器及び受信器の共振周波数を決定する誘導性及び容量性要素のみが示されている。スイッチS1を閉じることは、送信回路の全インダクタンスを減少させ、それは共振周波数を上昇させる。スイッチS2開くことは、受信回路の全静電容量を減少させ、それは共振周波数を上昇させる。インダクタンスと静電容量の値を適切に選択することにより、システム設計者は、共振誘導電力送信器1の下限及び上限の共振周波数を、それぞれ共振誘導電力受信器3の下限及び上限の共振周波数と一致させる(等しくさせる)ことができる。
【0026】
ここで使用される用語「インダクタ」は、コイルを含むがコイルに限定されない。共振電力転送は、送信コイルから受信コイルへの電磁誘導(磁気誘導としても知られる)により機能する。電磁誘導は、変化する磁場dB/dt(ここでBは磁場の大きさである)において電気伝導体の両端に起電力(即ち、電圧)を生成することである。送信コイルは、外部磁場を生成しなければならず;受信コイルは外部磁場に感受性でなければならない。閉塞環のようないくつかのインダクタは、外部場を生成せず、外部磁場に反応しない。それらインダクタは、インダクタンスL
1及びL
3としての使用に適さない。インダクタンスL
2はまた、コイルの形態で、電力転送に寄与することができる;しかしながら、特にインダクタンスL
2がインダクタンスL
1と比較して小さいとき、インダクタンスL
2が外部場を有さないインダクタである(即ち、コイルではない)ことは本発明の範囲内である。ここで
図3に示される回路網の機能性について
図4-6を参照して記載する。
【0027】
図4は、共鳴誘導電力送信器1のスイッチS1の状態が閉から開に変化するタイムインターバルにおける送信コイル2a(
図3に示す)を通る電流を示すグラフである。
図4は、スイッチS1が閉状態から開状態へ遷移する際に、インダクタンスL
1を有する送信コイル2aを通る電流に起こることを示している。時刻t
0において、スイッチS1が閉じられ、インダクタンスL
1を有する送信コイル2aとインダクタンスL
2を有するコイル2bとの間で電流が分割される。ここでは、簡潔性のために(説明のみを目的として)、両コイルが等しいインダクタンス値を有すると仮定される。時刻t
0では、電流はゼロであり;すべての電荷は正の電圧としてコンデンサ6に蓄積される(
図3に示される)。はじめの半サイクル(完全なサイクルは時刻t
0から時刻t
1である)では、電流は、コンデンサ6が完全に負に帯電するまでコンデンサ6(静電容量C
1を有する)から送信コイル2aとコイルを通って流れる。2番目の半サイクルでは、電流は逆流する。時刻t
0から時刻t
1の間隔を通して、共振誘導電力送信器1は、2つのインダクタが電流を分割するために、
図4のグラフに示される電流(ここでもL
1=L
2と仮定する)の2倍の電流を有する。簡潔性のために、インダクタンスL
2は外部磁場を生成せず、共振誘導電力送信器1は、示される電流に比例する外部磁場を生成する。
【0028】
時刻t
1では、スイッチS1が開かれる。コンデンサ6(
図3参照)から流れる電流は、送信コイル2aのみを通って流れる。インダクタのエネルギーEは、等式E=1/2LI
2(式中、Lはインダクタンスであり、Iは電流である)により与えられる。時刻t
1における送信回路のエネルギーは時刻t
0における送信回路のエネルギーと同じであるため(定常状態の電力転送と仮定する)、送信コイル2a(
図3参照)を通るピーク電流は、2の平方根(√2)倍だけ第1のサイクルより大きい。また、回路のインダクタンスはここで2倍の高さである。加えて、LC発振器の角周波数は、以下の等式によって与えられる:
ω=(LC)
-1/2 (1)
(式中、発振器の角周波数が√2倍だけ減少するような、Lはインダクタンスであり、Cは静電容量でありる)。
【0029】
図5は、t
0からt
1のタイムインターバルにおける、共振誘導電力受信器3の受信コイル4(
図3参照)によって生成された誘導起電力(EMF)を示すグラフである。
図5は、スイッチS1を開くことが、受信コイル4に誘導されたEMFに対して及ぼす影響を示す。誘導されたEMFの大きさは、受信コイル4を通る磁束Φ
Bの変化率の関数である。Φ
Bの変化率は、磁場の大きさと角周波数ωの両方に比例する。関連する磁束は、送信コイル2aを通る電流により生成される(ここでも、簡潔性のために、第2のインダクタは外部場を生成しないと仮定する)。変化率は
図5のグラフの導関数に比例し、したがってEMFの位相は送信コイル2aの電流を90°に導く。
【0030】
時刻t1の後で、誘導されたEMFの周波数は、√2倍だけ下降する。磁場サイクルの大きさは周波数の低下と同じ係数で増大するため、dΦB/dtの大きさと、従ってEMFの大きさは変化しない。これは有利である:任意の瞬間に送信器から受信器に転送される電力量は、受信コイル4におけるEMFと電流の積に比例する。スイッチS1が状態を変化させるとき、EMFは一定のままであるため、電力転送率は一定のままである。これは、電磁干渉を最小化し、送信器及び受信器回路のコストを低く保つ。
【0031】
図6は、
図4に示されるスイッチS1が開いているタイムインターバルの間における共振誘導電力受信器3のコンデンサ8a(
図3参照)の両端の電圧を示すグラフである。時刻t
0において、コンデンサ8aは空である。コンデンサ8bのエネルギーの「座礁(stranding)」を回避するために、スイッチS2を開く又は閉じる最良の時間は、コンデンサが充電されておらず、したがってスイッチS2が時刻t
0で開いているときである。受信コイル4を通る電流はすべてコンデンサ8aに流入するので、コンデンサ8aは迅速に充電される。1サイクル後、スイッチS2は時刻t
1で閉じられ、コンデンサ8bが回路に組み込まれ、共振周波数は√2倍だけ低下する(簡潔性のために、コンデンサ8a及び8bの静電容量C
2及びC
3が等しいと仮定する)。コンデンサのエネルギーEは等式E=1/2Cv
2(式中、Cは静電容量であり、Vは電圧である)により与えられ、且つ時刻t
1における受信回路のエネルギーは時刻t
0におけるエネルギーと同じであるため(定常状態の電力転送と仮定する)、2番目のサイクルにおけるコンデンサ8aのピーク電圧は、はじめのサイクルにおけるピーク電圧より√2倍だけ低い。
【0032】
送信器のインダクタと受信器のコンデンサを切り替えることにより、共振誘導電力転送システムは、送信器と受信器の共振周波数を同時に変化させることができ、しかも非ゼロ電流のインダクタ又は非ゼロ電圧のコンデンサのエネルギーを浪費する切り替え無しでこれを行う。
【0033】
図7は、一実施形態による、暗号化共振誘導電力転送のための方法100のステップを確認するフロー図である。このプロセスは以下のステップを含む:(a)スイッチを有する送信器及び受信器を構築し、送信側のインダクタの切り替えが、受信側のコンデンサの切り替えとほぼ同時であるか、又は送信側のコンデンサの切り替えが受信側のインダクタの切り替えとほぼ同時であるように、それぞれのスイッチコントローラをプログラムするステップ(ステップ102);(b)周波数変更シーケンス、例えば暗号鍵を決定するための情報を交換するステップ(ステップ104);(c)送信器の発振器のパワーを増すステップ(ステップ106);(d)送信スイッチコントローラが周波数変更シーケンスに従って送信器周波数の切り替えを開始するステップ(ステップ108);(e)受信器を送信器の範囲内に持ってくるステップ(ステップ110);(f)受信スイッチコントローラが送信機の振動磁場の存在を検出するステップ(いくつかの実施形態では、受信スイッチコントローラは特に、合意された周波数を探し、周波数変更シーケンスと一致する時間にそれらの間の切り替えを行う)(ステップ112);(g)受信スイッチコントローラが周波数変更シーケンスに従って受信器周波数の切り替えを開始するステップ(ステップ114);及び(h)受信器に電気的負荷が掛かっていると仮定して、その負荷が数回のサイクルの後で電力の受信を開始するステップ(ステップ116)。
【0034】
図8は、一実施形態による暗号化共振誘導電力転送システムのいくつかの構成要素を確認するブロック図である。システムは、共振誘導電力送信器1と共振誘導電力受信器3とを含む。共振誘導電力送信器1は、スイッチS1と、スイッチS1の状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラ70とを含む。共振誘導電力受信器3は、スイッチS2と、スイッチS2の状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラ72とを含む。
【0035】
スイッチに状態を変更するように命令するためのタイムインターバルは、公開鍵暗号又はワンタイムパッド暗号といった安全な方法により決定される。送信スイッチコントローラ70は更に、暗号鍵を送受信器74に送るように構成され、受信スイッチコントローラ72は更に、送受信器74及び76それぞれによる伝送と暗号鍵の受領との成功に続いて、暗号鍵を送受信器76から受け取るように構成される。共振誘導電力受信器3は、送信器の振動磁場の存在を検出する検出器78を更に含む。受信スイッチコントローラ72は更に、検出器78から送信器の振動磁場の存在を示す信号を受信するように構成され、それに応答して、受信スイッチコントローラ72は、周波数変更シーケンスに従って受信器周波数の切り替えを開始する。
【0036】
ここに開示される暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法は、少なくとも以下の利点を提供する。第1に、公然と送信することと比較して、暗号化共振誘導電力転送は、エネルギー損失に対して信頼性のある保護を提供し、それにより共振エネルギー転送の経済的効果が改善される。(保護のレベルは、デジタル情報の場合と同様に、選択される暗号の種類に依存する。)第2に、警備員又は暗号ロックドアといった物理的セキュリティと比較して、ここに開示されるシステム及び方法は、使用がはるかに容易且つ安価であり、したがって共振電力転送の経済性を向上させる。
【0037】
共振回路が式(1)により与えられる角周波数で振動することは周知である。上記の記載では、説明を明瞭にするために単純な共振回路が示された。実際の使用においては、共振回路は、送信側の調波発振器に組み込まれなければならない。受信側では、共振回路は、整流器、バッテリ充電器又はその他の負荷といった負荷に連結されなければならない。
【0038】
図9は、特定の周波数での振動を生成するためにインダクタとコンデンサとの組み合わせを使用する共通ベースコルピッツ型発振器28(以降「発振器28」という)のいくつかの構成要素を表す回路図である。コルピッツ型発振器の独特の特徴は、アクティブデバイスのためのフィードバックが、インダクタの両端に直列に接続された2つのコンデンサから作製された分圧器から取られることである。発振器28は、NPN型バイポーラ接合トランジスタ22(以降「バイポーラ接合トランジスタ22」という)を含み、このトランジスタの出力は、並列共振回路(同調回路)を含むフィードバックループ内のその入力に接続されており、この共振回路は振動の周波数を設定するための帯域フィルタとして機能する。バイポーラ接合トランジスタの代わりに、所望の周波数でゲインを生成することのできる、電界効果トランジスタといった別のアクティブコンポーネントを使用してもよい。
【0039】
NPN型トランジスタは、薄いp-ドープ領域を共有する2つの半導体接合部を含む。バイポーラ接合トランジスタの領域は、エミッタ、ベース、及びコレクタと呼ばれる。
図9に示すように、バイポーラ接合トランジスタ22のベースは接合部34に接続されており、バイポーラ接合トランジスタ22のエミッタは接合部42に接続されており、バイポーラ接合トランジスタ22のコレクタは接合部46に接続されている。
【0040】
発振器28は、抵抗R1を有する抵抗器52、抵抗R2を有する抵抗器54、及び抵抗R3を有する抵抗器56を更に含む。抵抗器52の一端は接合部44に接続されており、抵抗器52の他端は接合部40に接続されている。抵抗器54の一端は接合部34に接続されており、抵抗器54の他端は接合部40に接続された接合部38に接続されている。抵抗器56の一端は接合部34に接続されており、抵抗器56の他端は接合部32に接続されている。
【0041】
発振器28は、接合部44に接続された接合部42を介して直列に接続されたコンデンサ6a及び6bを更に含む。コンデンサ6bの一方の側は接合部42に接続されており、コンデンサ6bの他方の側は接合部40に接続されている。コンデンサ6aの一方の側は接合部42に接続されており、コンデンサ6aの他方の側は接合部46に接続されている。発振器28は、接合部34に接続された一方の側と、接合部38に接続された接合部36に接続された他方の側とを有するコンデンサ6cを更に含む。
【0042】
発振器28は、インダクタンスL1を有する送信コイル2も含んでいる。送信コイル2aの一端は接合部46に接続されており、送信コイル2aの他端は接合部32に接続されている。
【0043】
発振器28は、電圧Vsを生成する電圧源48を更に含んでいる。電圧源48の一端は接合部32に接続されており;電圧源48の他端は接合部36に接続されている。
【0044】
提案される一実装態様によれば:(a)コンデンサ6a、6b、及び6cは、それぞれ100pF、100pF、及び100nFの静電容量を有し;(b)抵抗器52、54、及び56はそれぞれ抵抗R1=2.2kΩ、R2=10kΩ、及びR3=10kΩであり;(c)送信コイル2はインダクタンスL1=150nHを有し;(d)電圧源48は電圧Vs=6Vを生成する。これらの値を使用して、振動周波数ωは式(1)(式中、LはL1(150nH)として示され、Cはコンデンサ6a及び6bの直列容量(50pF)である)により与えられる。(コンデンサ6aと6bの間の接合部42からの接続は、増幅バイポーラ接合トランジスタ22にフィードバックを提供するが、共振周波数に実質的に影響しない。したがって、コンデンサ6a及び6bは直列に動作し、単一のコンデンサとして回路に影響を与える。)この実施例の角周波数ωは、約365秒-1であり、サイクル周波数は約58MHzである。
【0045】
図10は、提案される一実装態様による、改良された共通ベースコルピッツ型発振器30(以降「発振器30」)のいくつかの構成要素を表す回路図である。
図9に示される発振器28とは対照的に、発振器30は、接合部50に接続された一端を有するコイル2bを含むように改良されている。接合部50は、接合部46とコンデンサ6aの一方の側に接続されている。加えて、発振器30は、コイル2bの他端を切り替え可能に接合部58に連結するスイッチS1を含む。コイル2bは、インダクタンスL
2を有し、インダクタンスL
1を有する送信コイル2aと並列接続される。閉状態では、スイッチS1は、送信コイル2aに並列のコイル2bを加え;開状態では、スイッチS1はコイル2bを接合部58から接続解除し、それによりコイル2bを送信コイル2aとの並列から除去する。L
1=L
2=150nHと仮定する。スイッチS1が開いているとき、共振周波数は
図9に示される発振器28と同じで、約365秒
-1である。スイッチS1が閉じているとき、全インダクタンスは75nHへと半分降下し、共振角周波数は√2倍だけ上昇し、ω=516秒
-1となる。(簡潔性のために、本開示では、インダクタを独立したものとして扱う。実際には、両方が、インダクタがいくらかの相互インダクタンスを有するように、受信器に到達する外部場を生成する。発振器設計の当業者であれば、相互インダクタンスの管理方法を知っており、所望の周波数シフトを与える正しいインダクタンス値を選択する。)
【0046】
図10に示される実施例を前提に、当業者は、複数の種類のLC発振器のいずれか:Hartley,Clappなどを使用して暗号化共振誘導電力転送を可能にするために適した送信器を実装することができなければならない:1つの進歩的態様は、スイッチが状態を変更するとき発振器周波数が2つの既知の値の間で変化するように、インダクタ又はコンデンサを、スイッチを介して接続された状態で、既存のインダクタ又はコンデンサと並列に提供することである。
【0047】
図11は、EMFが受信コイル4に誘導されるときにバッテリ62を再充電するための直流電流生成するための、共振誘導電力受信器3及び整流器24を含むバッテリ充電システムのいくつかの構成要素を確認する回路図である。このシステムは、2019年8月1日に公開された米国特許出願公開第2019/0237999号に開示された。このバッテリ充電システムは、共振誘導電力送信器(
図11には示さない)から電力を無線で受信するためにビークル(例えば航空機)に取り付けることができる。
図11に示されるバッテリ充電システムは、交流電流が誘導される受信コイル4、及び共振周波数に合わせて受信コイル4を調節するための受信コイル4に接続されるコンデンサ8を含む。システムは、受信コイル4及びコンデンサ8からの交流電流を直流電流に変換するための、受信コイル4とコンデンサ8とに接続される整流器24を更に含む。平滑コンデンサ26は、整流器24から直流電流を受信するように接続されている。バッテリ充電器60は、整流器24から直流電流を受信するように接続されている。バッテリ62は、バッテリ充電器60に接続された正極64及び負極66を有する。バッテリ充電器60は、受信コイル4に誘導された交流電流から生成される直流電流及びコンデンサ8により生成される交流電流を使用してバッテリ62を充電するように構成される。更に詳細には、バッテリ充電器60は、バッテリ62の過充電を回避するための電圧レギュレータ、充電が過剰に急速に起こらないことを保証するための電流リミッタ、及びバッテリ充電器60に対し、バッテリ62が過熱しているために充電を終了させなければならないときを示す温度センサを含む。
図11に示されるように、バッテリ62は、再充電された後、負荷12に直流電流を提供するために使用することができる。
【0048】
図12は、一実施形態による、静電容量C
2を有する第1のコンデンサ(
図3参照)に並列接続された静電容量C
3を有する第2のコンデンサと、第1のコンデンサ8aと並列の第2のコンデンサ8bを追加又は除去するためのスイッチS2とを含むように改良された共振誘導電力受信器3を有する、暗号化バッテリ充電システムのいくつかの構成要素を確認する回路図である。更に詳細には、スイッチS2が閉じているとき、第2のコンデンサ8bは第1のコンデンサ8aと並列である。C
2=C
3=100pFと仮定する。スイッチS1が開いているとき、共振周波数は、
図11に示される共振誘導電力受信器3におけるものと同じである。スイッチS2の状態が開から閉に変化するとき、全静電容量は2倍になり、共振角周波数は√2倍だけ降下する。
【0049】
図10に示される発振器30の形態の共振誘導電力送信器1と、
図12に示される共振誘導電力受信器3とを動作システムに組み合わせることで、送信スイッチコントローラ70(
図8参照)がスイッチS1を閉じて共振誘導電力送信器1の共振周波数を上昇させるときには常に、受信スイッチコントローラ72がスイッチS2を開いて共振誘導電力受信器3の共振周波数を上昇させる。逆に、送信スイッチコントローラ70がスイッチS1を開くときは常に、受信スイッチコントローラ72がスイッチS2を閉じる。
【0050】
送信器及び受信器のスイッチコントローラは、周波数遷移を調整する。いくつかの実施形態では、1と0の相互に既知の文字列は、高周波数又は低周波数の信号を送り、各正弦波サイクルの最後に遷移が起こる。いくつかの実施形態では、1と0の相互に既知の文字列は、各正弦波信号の最後に変化が起こるか又は起こらないかの信号を送る。いくつかの実施形態では、1と0の文字列は、毎秒新しいシード値を与える時間ベースの値、例えば、IRIG-B形式で表現されるGPS時間信号がシードされた、互いに既知の乱数発生器により生成される。
【0051】
図3には送信器側の並列インダクタと受信器側の並列コンデンサとが示されているが、送信器側の並列コンデンサと受信器側の並列インダクタとを加え、適切な種類の発振器と受信器を選択することも可能である。例えば、
図10に使用されているコルピッツ型発振器の代わりに、Hartley発振器を使用し、インダクタでコンデンサを置き換えること、及びその逆が可能である。これら代替的な実施形態は、本発明の範囲内であり、同じ周波数の対が使用される場合に送信器によって切り替えることができ、且つ受信器によって切り替えることのできる2つの周波数が提供される。
【0052】
図13は、送信器と受信器の共振周波数を一致させるための、コンデンサを切り替えるための信スイッチとインダクタを切り替えるための受信スイッチとを含む、送信器(左側)及び受信器(右側)のいくつかの構成要素を表す回路図である。このシステムは、暗号化共振誘導電力転送を可能にするように構成された共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3を含む。特に、共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3は、補償要素を切り替えて送信器と受信器の共振周波数を一致させるためのそれぞれのスイッチS1及びS2を含む。
【0053】
図13に示される実施形態によれば、共振誘導電力送信器1は、接続されて第1の共振回路を形成する、インダクタンスL
1を有する送信コイル2と静電容量C
1を有する第1のコンデンサ6aとを含む。共振誘導電力送信器1は、コンデンサ6aに並列のコンデンサ6bを追加又は除去するための、コンデンサ6a及びスイッチ18(以降「スイッチS1」という)に並列接続された第2のコンデンサ6bを更に含む。コンデンサ6bは、静電容量C
1と等しくても異なってもよい静電容量C
2を有する。共振誘導電力送信器1は、第1の共振回路の共振周波数に基づく発振器を作るように構成された回路、例えば増幅器(
図13には示さない)も含む。
【0054】
図13に示される実施形態によれば、共振誘導電力受信器3は、接続されて第2の共振回路を形成する、インダクタンスL
2を有する受信コイル4aと静電容量C
3を有するコンデンサ8とを含む。共振誘導電力受信器3は、送信コイル4aに並列のコイル4bを追加又は除去するための、受信コイル4aとスイッチ20(以降「スイッチS2」)とに並列接続されたコイル4bを更に含む。コイル4bは、インダクタンスL
2と等しくても異なってもよいインダクタンスL
3を有する。共振誘導電力受信器3は、共振誘導電力受信器3から電力を抽出してそれを有用な負荷へと送達するように構成された回路、例えば整流器(
図13には示さない)も含む。共振誘導電力受信器3のインダクタ値及びコンデンサ値は:(a)スイッチS2が閉じているとき、共振誘導電力受信器3が、スイッチS1が開いているときに共振誘導電力送信器1が有するものと同じ第1の共振周波数を有し;且つ(b)スイッチS2が開いているとき、共振誘導電力受信器3が、スイッチS1が閉じているときに共振誘導電力送信器1が有するものと同じ第2の共振周波数(第1の共振周波数とは異なる)を有するように選択される。
図3を参照して先述したように、共振誘導電力送信器1及び共振誘導電力受信器3は各々が、それぞれスイッチS1及びS2の状態を制御するそれぞれのスイッチコントローラ(
図13には示さない)を有する。
【0055】
図13は、暗号化共振誘導電力転送システムの一実施形態を簡潔な形態で示している。発振器回路網とスイッチコントローラは
図13には示されていない。送信器及び受信器の共振周波数を決定する誘導性及び容量性要素のみが示されている。スイッチS1開くことは、送信回路の全静電容量を減少させ、それは共振周波数を上昇させる。スイッチS2を閉じることは、受信回路の全インダクタンスを減少させ、それは共振周波数を上昇させる。インダクタンスと静電容量の値を適切に選択することにより、システム設計者は、共振誘導電力送信器1の下限及び上限の共振周波数を、それぞれ共振誘導電力受信器3の下限及び上限の共振周波数と一致させる(等しくさせる)ことができる。
【0056】
暗号化共振誘導電力転送システムは、多くの方法で実現することができる。一実施形態によれば、送信器は、インダクタと2つのコンデンサとを有し、受信器は、コンデンサと2つのインダクタとを有する(
図13参照)。別の実施形態によれば、送信器は、コンデンサと2つのインダクタとを有し、受信器はインダクタと2つのコンデンサとを有する(
図3参照)。
【0057】
他の実施形態によれば、送信及び受信コイルは、1つ又は複数のリレーコイル(
図2参照)を介して電磁的に連結され得る。リレーコイルは、送信器及び受信器と同じ周波数で共振するように調節された誘導性コイルとコンデンサとを含む。リレーコイルはどちらにも直接の電気接続を有さず、誘導によって各々に連結される。電気的に単離されているため、リレーコイルは、極めて高いQ値を有することができ;したがって、その磁場は非常に強力になることができ、それにより転送される電力が増加する。
【0058】
代替的実施形態は、3つ以上の共振周波数を有する。例えば、送信器は、インダクタと、異なるサイズの3つのコンデンサとを有することができ、これらは、様々な組み合わせに切り替えられると、4つの共振周波数を生成する。対応する受信器は、コンデンサと、異なるサイズの3つのインダクタとを有するであろう。このとき暗号は、4つの周波数間でのホッピングパターンを特定する。
【0059】
共振誘導電力送信器1の共振回路は、発振器の一部として構成することができ、この場合発振器は、Armstrong、Clapp、Colpitts、Hartley、Lampkin、Seiler、及びVackar発振器を含む群から選択される。共振誘導電力受信器3の共振回路は、整流器の入力に接続され、この入力は次にバッテリ充電器の入力に接続される(
図12参照)。
【0060】
ここに開示される暗号化共振誘導電力転送システムは、送信器及び受信器の両方が知っているが、他者には容易に推測されないパターンに従って変化する変動共振周波数を使用する。周波数ホッピング無線技術と比較して、ここに開示される技術は:(A)データではなく電力を送信し;(b)電磁遠場ではなく近場で動作し;且つ(c)一方の側のインダクタ(例えば、送信器)と他方の側のコンデンサ(例えば、受信器)との同時切り替えを必要とする。これは、一方の側のインダクタのエネルギーが、他方の側のコンデンサのエネルギーと緊密に位相整列されるように、送信器及び受信器が互いの近場にあるため、必要である。無線技術における周波数ホッピングスキームは、切り替え時間の緊密な位相整列が不要であるように(又は場合により可能であるように)、遠場で行われる。このようなスキームでは、受信器及び送信器における周波数の変化には、独立して、便利なあらゆる手段(インダクタの切り替え、コンデンサの切り替え、又は異なる水晶発振器への切り替え)により達成することができる。
【0061】
暗号化共振誘導電力転送のためのシステム及び方法について、種々の実施形態を参照して説明したが、当業者には、ここでの教示から逸脱することなく種々の変形例が可能であること、及びその要素を同等物に置換し得ることが理解されよう。加えて、ここに開示される概念及び実践のための簡略化を特定の状況に適合するために、多くの修正例が可能である。したがって、特許請求の範囲に含まれる主題は、開示される実施形態に限定されないことが意図されている。
【0062】
特許請求の範囲において使用される用語「コントローラ」は、少なくとも1つのコンピュータ又はプロセッサを有するシステムを含み、且つシステムが複数のコンピュータ又はプロセッサを有しうるように、広義に解釈されるべきである。前文で使用される用語「コンピュータ」及び「プロセッサ」は、両方が、処理ユニット(例えば、中央処理装置)及び処理ユニットによって読み取り可能なプログラムを記憶するための何らかの形態のメモリ(即ち、コンピュータ可読媒体)を有するデバイスを指す。例えば、用語「コントローラ」には、限定されないが、プロセッサコアを含む集積回路上の小さなコンピュータ、メモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器が含まれる。
【0063】
注記:以下の条項は、本開示のさらなる態様について記載する。
【0064】
条項1.共振誘導電力送信器(1)を備えた共振誘導電力転送システムであって、共振誘導電力送信器が:
電圧源(10);
接続されて前記電圧源により電圧が供給される第1の共振回路を形成する第1のインダクタ(2)と第1のコンデンサ(6a);
第1のスイッチ(S1)と第2のコンデンサ(6b)であって、第1のスイッチが閉じているときに第1のコンデンサと並列接続される、第1のスイッチ(S1)と第2のコンデンサ(6b);及び
周波数変更切り替えシーケンスに従って第1のスイッチの状態を制御するように構成された送信スイッチコントローラ(70)
を含む、システム。
【0065】
条項2.送信スイッチコントローラが、第2のコンデンサの電圧がゼロを超えるときに第1のスイッチに状態を変更するように命令する、条項1に記載のシステム。
【0066】
条項3.共振誘導電力受信器(3)を更に備え、共振誘導電力受信器が:
接続されて第2の共振回路を形成する第2のインダクタ(4a)と第3のコンデンサ(8);
第2のスイッチが閉じているときに第2のインダクタと並列接続される第2のスイッチ(S2)と第3のインダクタ(4b);及び
周波数変更切り替えシーケンスに従って第2のスイッチの状態を制御するように構成された受信スイッチコントローラ(72)
を含む、条項1に記載のシステム。
【0067】
条項4.第1のスイッチが閉じており且つ第2のスイッチが開いているとき、第1及び第2の共振回路のそれぞれの共振周波数が第1の共振周波数に等しく、第1のスイッチが開いており且つ第2のスイッチが閉じているとき、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に等しい、条項3に記載のシステム。
【0068】
条項5.受信スイッチコントローラが、第3のインダクタの電流がゼロを超えるときに第2のスイッチに状態を変更するように命令する、条項3のシステム。