(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】電気モータ用のステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/12 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
H02K1/12 Z
(21)【出願番号】P 2021164543
(22)【出願日】2021-10-06
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】10 2020 126 845.9
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ グラッツ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヴュルフェル
(72)【発明者】
【氏名】ウラジーミル ポポフ
(72)【発明者】
【氏名】マルク ケムパ
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136384(WO,A1)
【文献】特開2007-049774(JP,A)
【文献】特表2002-526019(JP,A)
【文献】特開2019-047630(JP,A)
【文献】特開2001-136700(JP,A)
【文献】特表2016-511625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状のステータヨーク(12)と、前記ステータヨーク(12)内に配置された星形ステータ(14)と、を備えた、電気モータ用のステータであって、
前記星形ステータ(14)は、半径方向外側に向けられた複数のステータティース(32)を有し、前記ステータティース(32)の先端部(18)は、組み付けられた状態では、前記ステータヨーク(12)の内周面の対応する連結箇所(20)に当接し、前記ステータヨーク(12)及び前記星形ステータ(14)は、それぞれ、積層コア(22、24)によって形成されており、前記星形ステータ(14)の前記積層コア(24)は、ポールシューウェブ(30)を介して相互に接続されているステータティース(32)を備えた、周方向において閉じられているステータ金属薄板(28)から成る金属薄板層(26)と、周方向において相互に離間されている個々のステータティース(32)から成る金属薄板層(34)と、を含む、電気モータ用のステータにおいて、
前記ポールシューウェブ(30)は、それぞれ、半径方向に延在する少なくとも1つの材料凹部(16)を有
し、前記周方向において閉じられているステータ金属薄板(28)から成る金属薄板層(26)は、前記材料凹部(16)と、前記材料凹部(16)の領域外の材料延在部を有し、
前記材料凹部(16)の領域外の材料延在部は、前記ステーターティース(32)から延在し、前記ステーターティース(32)と前記材料凹部(16)との間に配置される、
ことを特徴とする、電気モータ用のステータ。
【請求項2】
前記材料凹部(16)は、少なくとも実質的に円弧状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記材料凹部(16)は、それぞれ、ロータ側において前記ポールシューウェブ(30)に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のステータ。
【請求項4】
前記材料凹部(16)は、軸線方向(38)で見て相互に整列されて配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項5】
前記材料凹部(16)は、軸線方向(38)で見て相互にずらされて配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項6】
前記材料凹部(16)の領域における前記ポールシューウェブ(30)の最小の半径方向材料延在部(40)は、前記材料凹部(16)の前記領域外の前記ポールシューウェブ(30)の半径方向材料延在部(42)の0.2から0.5倍に相当することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項7】
前記材料凹部(16)の主延在部(44)は、それぞれ、各ポールシューウェブ(30)の主延在部(46)の少なくとも0.3倍に相当する、請求項1から6のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項8】
前記ステータ(10)が組み付けられた状態において、前記ステータティース(32)に配置されているステータ巻線(54)と前記ステータヨーク(12)との間に配置されている複数の絶縁条片(50)を有する絶縁エレメント(48)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項9】
前記絶縁エレメント(48)は、リング状の区間(56)を有し、前記区間(56)を起点にして、前記絶縁エレメント(48)の前記絶縁条片(50)は、半径方向に延在していることを特徴とする、請求項8に記載のステータ。
【請求項10】
前記ステータにはさらに、ステータ巻線(54)の端子端部(62)を案内するための複数の貫通孔(60)を備えた端面側の支持エレメント(58)が設けられており、前記支持エレメント(58)は、射出成形によって周囲を取り囲むプロセスの間に、前記ステータ巻線(54)の前記端子端部(62)を封止するために設けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項11】
前記材料凹部(16)の領域における前記ポールシューウェブ(30)の最小の半径方向材料延在部(40)の大きさは、前記材料凹部(16)の前記領域外の前記ポールシューウェブ(30)の最小の半径方向材料延在部(42)の大きさよりも小さい、
請求項1から10のいずれか一項に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、電気モータ用のステータに関する。
【0002】
DE102016205538A1からは、中空円筒状のステータヨークと、ステータヨーク内に配置されている星形ステータと、を備えた電気モータ用のステータが既に公知である。星形ステータは、半径方向外側に向けられた複数のステータティースを有し、それらのステータティースの先端部は、組み付けられた状態では、ステータヨークの内周面の対応する連結箇所に当接する。
【0003】
本発明の課題は、製造及び動作に関して有利な特性を備えた、冒頭で述べたような、電気モータ用のステータを提供することである。この課題は、請求項1の特徴部分の特徴によって解決される。本発明の有利な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、中空筒状のステータヨークと、ステータヨーク内に配置された星形ステータと、を備えた、電気モータ用のステータに関し、星形ステータは、半径方向外側に向けられた複数のステータティースを有し、ステータティースの先端部は、組み付けられた状態では、ステータヨークの内周面の対応する連結箇所に当接し、ステータヨーク及び星形ステータは、それぞれ、積層コアによって形成されており、星形ステータの積層コアは、ポールシューウェブを介して相互に接続されているステータティースを備えた、周方向において閉じられているステータ金属薄板から成る金属薄板層と、周方向において相互に離間されている個々のステータティースから成る金属薄板層と、を含む。
【0005】
ポールシューウェブは、それぞれ、半径方向に延在する少なくとも1つの材料凹部を有することが提案される。
【0006】
電気モータのステータは、典型的には、電気モータの不動のモータ部分を形成し、その一方で、電気モータのロータは、電気モータのステータに対して相対的に回動運動する、電気モータのモータ部分を形成する。インナーロータ型モータとして形成されている電気モータでは、ステータには、通常の場合、ステータヨークが設けられており、このステータヨークには、中心に向かって半径方向内側に突出するステータティースが配置されている。ステータティースのロータに向けられた端部は、それぞれポールシューを形成する。ステータティースには、電気モータの運転時に磁界を形成するステータ巻線が取り付けられている。
【0007】
ステータの製造時に、ステータティースにステータ巻線を巻回するために、外部からステータティースに到達できるようにするために、従って、有利には高い巻線充填率を実現するために、ステータはツーピースの構造を有する。ステータは、それぞれがポールシューを起点にして半径方向外側に向けられた複数のステータティースを備えた星形ステータを含む。更に、ステータは、中空筒状のステータヨークを有する。ステータヨーク及び星形ステータは、それぞれ、パンチパックされた積層コア(ein stanzpakettiertes Blechpaket)によって形成されている。星形ステータ及びステータヨークは、それぞれ、打ち抜かれた個々のステータ金属薄板から製造されている。それらのステータ金属薄板は、機械的に安定した1つの結合体にパックされることで金属薄板積層体になる。星形ステータのステータティースにステータ巻線が取り付けられた後に、ステータ巻線が設けられた星形ステータが、リターンリングを形成するステータヨークに挿入され、特にプレス又は収縮によってステータヨークに接合される。星形ステータとステータヨークとが接合される前に、例えば直接的に、例えばフライヤ巻線機を用いて、ステータ巻線をステータティースに巻回することができる。特に、星形ステータは、最大200μmの層厚の電気絶縁性のコーティングを有する。特に、コーティングの層厚は、100μmから200μmの間であってよい。コーティングは、特に電気泳動法による堆積によって星形ステータに被着させることができる。
【0008】
ステータヨークは、特に、リング状のステータ積層体から成る積層コアとして形成されている。星形ステータは、放射状に延びる複数のステータティースを備えた積層コアによって形成されている。ここで、星形ステータの積層コアは、ポールシューウェブを介して相互に接続されているステータティースを備えた、周方向において閉じられているステータ金属薄板と、周方向において相互に離間されている個々のステータティースから成る金属薄板層と、から形成されている。ポールシュー側においてポールシューウェブを介して相互に接続されているステータティースを備え、且つ周方向において閉じられているステータ金属薄板を含む金属薄板層によって、星形ステータの機械的に安定した結合が達成される。周方向において閉じられている、星形ステータのステータ金属薄板の、ポールシューを接続するポールシューウェブは、それぞれ、半径方向に延在する少なくとも1つの材料凹部を有する。特に、全てのポールシューウェブは、それぞれ、特に同じ材料凹部を有する。特に、各ポールシューウェブは、材料凹部を1つずつ有する。材料凹部によって、ポールシューウェブは、それぞれ、材料縮小部を有し、それらの材料縮小部によって、隣接する2つのポールシュー間の磁束を、ポールシューを接続するポールシューウェブを介して有利には低減させることができる。
【0009】
材料凹部は、特に、周方向において閉じられているステータ金属薄板の打ち抜き後に、ポールシューウェブに設けることができる。しかしながら有利には、周方向において閉じられている、星形ステータのステータ金属薄板が打ち抜かれる際に、材料凹部はポールシューウェブに既に設けられる。とりわけ、材料凹部は、ロータ側において、ポールシューウェブに配置されている。材料凹部は、とりわけ少なくとも実質的に円弧状に形成されている。特に、材料凹部は、少なくとも実質的に半円状に形成されている。材料凹部の幾何学形状によって、特に材料凹部を円弧状に形成することによって、ポールシューウェブの領域における打ち抜き歪みを少なくとも低減することができるか、又は完全に回避することができる。
【0010】
本発明の1つの構成では、材料凹部が、軸線方向で見て、相互に整列されて配置されていることが提案され、このことは、ステータの、特に星形ステータの有利には簡単な製造を実現する。代替的に、材料凹部を、特にいわゆるムービングノッチ(moving notche)の形態で、軸線方向で見て、相互にずらして配置することができる。材料凹部をずらして配置することによって、周方向において閉じられている、星形ステータのステータ金属薄板の有利な剛性、ひいては星形ステータ全体の有利な剛性を達成することができる。
【0011】
更に、材料凹部の領域におけるポールシューウェブの最小の半径方向材料延在部は、材料凹部の領域外のポールシューウェブの半径方向材料延在部の0.2から0.5倍に相当することが提案される。好適には、材料凹部の領域におけるポールシューウェブの最小の半径方向材料延在部は、材料凹部の領域外のポールシューウェブの半径方向材料延在部の0.3から0.4倍に相当する。更に、材料凹部の主延在部は、それぞれ、各ポールシューウェブの主延在部の少なくとも0.3倍に相当することが提案される。この関係において、ある物体の「主延在部」とは、特に、物体を正確に完全に包囲する最小の仮想平行六面体の最長の辺の延在であると解される。好適には、材料凹部の主延在部は、それぞれ、各ポールシューウェブの主延在部の少なくとも実質的に0.5倍に相当する。これによって、ポールシューウェブの十分な機械的安定性が達成されるのと同時に、ポールシューウェブの有利な材料縮小部を達成することができる。
【0012】
更に、ステータが組み付けられた状態において、ステータティースに配置されているステータ巻線とステータヨークとの間に配置されている複数の絶縁条片を有する絶縁エレメントを含むことが提案される。絶縁エレメントは、組み付けられていない状態では、少なくとも実質的に放射状に形成されている。とりわけ、絶縁エレメントは、リング状の区間を有し、このリング状の区間を起点にして、絶縁エレメントの絶縁条片が半径方向に延在している。絶縁エレメントは、特に、ステータティースに取り付けられたステータ巻線をステータヨークに対して電気的に絶縁するため、及び/又は、星形ステータがステータヨークに押圧された際に、ステータティースに取り付けられたステータ巻線を、機械的な損傷から保護するために設けられている。ステータ巻線を機械的な損傷から保護することは、特に、星形ステータのステータティース間の各巻線空間が少なくともほぼ完全にステータ巻線によって満たされている高巻線充填率では必要になる。「設けられている」とは、特に、特別に設計及び/又は構成されていることと解される。ある物体に特定の機能が設けられているとは、特に、その物体がその特定の機能を少なくとも1つの適用状態及び/又は動作状態において満たす及び/又は実行することと解される。絶縁エレメントは、特に、電気絶縁性で可撓性の材料、例えば絶縁紙又はプラスチックフィルム、例えばポリイミドフィルムから形成されている。有利には、絶縁エレメントは、片側が自己接着式に形成されている。巻成された星形ステータをステータヨークに押圧する前に、絶縁エレメントが、端面側において、ステータ巻線に載置される。押圧時に、ステータヨークによって、星形ステータのステータティース間でステータ巻線に接する絶縁条片の湾曲が行われる。この場合、ステータヨークによる機械的な負荷は、押圧時に絶縁エレメントにのみ作用する。押圧後に、絶縁エレメントの絶縁条片は、ステータ巻線とステータヨークとの間に位置し、従って、ステータ巻線とステータヨークとの間の電気的な絶縁部を形成する。
【0013】
とりわけ、ステータは、巻成された星形ステータがステータヨークに押圧された後に、プラスチックの射出成形によって周囲が取り囲まれる。射出成形によってステータの周囲を取り囲む際に、ステータ巻線の端子端部は、後に回路基板に接続するために、プラスチックによって覆われないままにされなければならない。これについて、ステータ巻線の金属製の端子端部は、射出成形によって周囲を取り囲む際に封止されなければならない。このために、射出成形によって周囲を取り囲むプロセスの間に、巻先端部を封止するために設けられている、巻先端部を案内するための複数の貫通孔を備えた端面側の支持エレメントがステータに含まれることが提案される。付加的に、支持エレメントは、ステータ巻線の端子端部を回路基板に位置決めするために用いられる。支持エレメントは、とりわけ、少なくとも実質的にプラスチックから形成されている。支持エレメントは、射出成形によってステータの周囲を取り囲む前に、端面側において、ステータのステータ巻線に載置される。支持エレメントの位置決めは、成形された位置決めエレメントを用いて、ステータに向けて行われる。この際、ステータ巻線の端子端部は、支持エレメントの貫通孔に挿入される。貫通孔の内径は、少なくとも実質的に、ステータ巻線の端子端部の外径に対応する。貫通孔の領域においては、支持エレメントが、同心円の隆起部を付加的に有し、それらの隆起部は、射出成形ツール内において、ステータ巻線の端子端部を封止するために設けられている。ステータにおいて回路基板を位置決めするために、支持エレメントは、少なくとも1つの位置決めエレメント、例えば少なくとも1つのピン、特に射出成形によって固着されたピンを有する。
【0014】
ここで、本発明によるステータは、上述の用途及び実施の形態に限定されるべきではない。特に、本発明によるステータは、本明細書において説明する機能を満たすために、本明細書に記載した数とは異なる数の個々の要素、構成部材、及びユニットを有していてもよい。
【0015】
図面
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになる。図面には、本発明の例示的な実施の形態が示されている。図面、明細書及び特許請求の範囲には、多数の特徴が組み合わされて含まれている。当業者であれば、それらの特徴を好適には、個別に検討し、別の有用な組み合わせへと統合するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】中空円筒状のステータヨークと、星形ステータと、を備えた、電気モータ用ステータの展開図を示す。
【
図2】星形ステータが圧入されたステータヨークの斜視図を示す。
【
図7】星形ステータの打ち抜き位置と組み付け位置とのずれの概略図を示す。
【
図8】プラスチックが周囲に射出成形された状態のステータの周囲にプラスチックが射出成形された状態の斜視図を示す。
【
図9】回路基板が実装されている、
図8に示したステータの断面図を示す。
【
図10】代替的に形成されたステータの詳細断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、内部ロータとして形成されている電気モータ用のステータ10の展開図を示す。ステータ10は、中空筒状、例えば、中空円筒状のステータヨーク12と、星形ステータ14と、を含む。
図2に示した組み付けられた状態では、星形ステータ14がステータヨーク12内に配置されている。
図5は、
図2の組み付けられたステータの断面図を示し、
図6は、
図5に示した断面図の詳細図を示す。特にプレスによって、星形ステータ14をステータヨーク12に接合させることができる。星形ステータ14は、半径方向外側に向けられた複数のステータティース32を有する。星形ステータ14のステータティース32には、ステータ巻線54が取り付けられている。ロータ側では、ステータティース32はそれぞれポールシュー68を有する。ここでは、星形ステータ14が、例示的に18個のステータティース32を有する。しかしながら、代替的に、星形ステータ14は、18とは異なる数のステータティース32を有することもできる。ステータティース32の先端部18は、組み付けられた状態では、ステータヨーク12の内周面の対応する連結箇所20に当接する(
図5及び
図6を参照)。ステータティース32の先端部18は、連結箇所20に対して締め代を有する。締め代は、例えば0.015mmから0.025mmの間であってよい。ステータティース32の先端部18は、とりわけ丸くなっている。ステータティース32の先端部18の脚部80は、特に130°から150°の間の角度82を成す。
【0018】
ステータヨーク12及び星形ステータ14は、それぞれ、パンチパックされた積層コア22、24によって形成されている。ステータヨーク12の積層コア22は、パンチパックされた、リング状の複数のステータ金属薄板66を含む。星形ステータ14は、半径方向外側に向けられたステータティース32を備えた積層コア24によって形成されている。ここで、星形ステータ14の積層コア24は、ポールシューウェブ30を介して相互に接続されているステータティース32を備えた、周方向において閉じられているステータ金属薄板28から成る金属薄板層26を含む(
図5を参照されたい)。ポールシューウェブ30は、それぞれ、周方向において閉じられているステータ金属薄板28の隣接するステータティース32のポールシュー68間に延在している(
図5及び
図6を参照されたい)。更に、星形ステータ14の積層コア24は、周方向において相互に離間されている個々のステータティース32から成る金属薄板層34を含む。ポールシューウェブ30を介して相互に接続されているステータティース32を備えた、周方向において閉じられているステータ金属薄板28からそれぞれ成る2つの金属薄板層26間には、周方向において相互に離間されている個々のステータティース32から成る複数の金属薄板層34がそれぞれ配置されている。端面側では、星形ステータ14の積層コア24が、それぞれ、周方向において閉じられているステータ金属薄板28を備えた金属薄板層26によって終端している。積層コア22、24のパンチパックは、とりわけ、共通のパンチパックプロセスにおいて行われる。ステータヨーク12のステータ金属薄板66と、星形ステータ14のステータ金属薄板28又は個々のステータティース32と、が同時にパンチされ、その際、星形ステータ14のステータ金属薄板28乃至個々のステータティース32は、ステータヨーク12のステータ金属薄板66の内側において打ち抜かれる。これに関して、
図7に示されているように、星形ステータ14の積層コア24の打ち抜き位置74は、ステータヨーク12の積層コア22における星形ステータ14の積層コア24の後の組み付け位置76に対して、決められた角度78だけずらされている。図示の例では、星形ステータ14の積層コア24の打ち抜き位置74は、ステータヨーク12の積層コア22における、星形ステータ14の積層コア24の後の組み付け位置76に対して、10°ずらされている。
【0019】
周方向において閉じられている、星形ステータ14のステータ金属薄板28のポールシュー68を接続するポールシューウェブ30は、それぞれ、半径方向に延在する少なくとも1つの材料凹部16を有する。材料凹部16は、それぞれロータ側において、ポールシューウェブ30に配置されている。
図3に示した実施の形態においては、材料凹部16が、軸線方向で見て、相互に整列されて配置されている。これとは異なり、
図4に示したように、材料凹部16を、軸方向で見て、相互にずらして配置することができる。特に、材料凹部16は、
図4に示したように、ポールシュー68の向かい合う側では、相互に反対方向にずらされて配置されている。材料凹部16は、円弧状に形成されている。図示した実施例においては、材料凹部16は、実質的に半円状に形成されている。材料凹部16の領域におけるポールシューウェブ30の最小の半径方向材料延在部40は、材料凹部16の領域外のポールシューウェブ30の半径方向材料延在部42の0.2から0.5倍に相当する。好適には、材料凹部16の領域におけるポールシューウェブ30の最小の半径方向材料延在部40は、材料凹部16の領域外のポールシューウェブ30の半径方向材料延在部42の0.3から0.4倍に相当する。更に、材料凹部16の主延在部44は、それぞれ、各ポールシューウェブ30の主延在部46の少なくとも0.3倍に相当する(
図6を参照されたい)。好適には、材料凹部16の主延在部44は、それぞれ、各ポールシューウェブ30の主延在部46の少なくとも実質的に0.5倍に相当する。
【0020】
付加的に、ステータ10は、複数の絶縁条片50を有する絶縁エレメント48を有する。絶縁エレメント48は、
図1に示したように、図示の組み付けられていない状態では、少なくとも実質的に星形乃至放射状に形成されている。絶縁エレメント48は、リング状の区間56を有し、この区間56を起点にして、絶縁エレメント48の絶縁条片50が半径方向に延在している。絶縁条片50の数は、ステータティース32間の間隙36の数に対応する。絶縁エレメント48は、とりわけ、電気絶縁性で可撓性の材料、例えば絶縁紙又はポリイミドフィルムから成る。ステータヨーク12に対してステータ巻線54を電気的に絶縁した後に、星形ステータ14がステータヨーク12に押圧される際に、ステータティース32に取り付けられたステータ巻線54を機械的な損傷から保護するために、絶縁エレメント48が設けられている。巻成された星形ステータ14をステータヨーク12に挿入する前に、絶縁エレメント48が、端面側において、ステータ巻線54に載置される。有利には、絶縁要素48は、少なくともリング状の区間56の領域では、片側が自己接着式に形成されており、これによって絶縁エレメント48を有利には、ステータ巻線54に事前に固定することができる。押圧時に、ステータヨーク12によって、絶縁条片50がステータヨーク12の移動方向へと折り曲げられる。この折り曲げによって、絶縁条片50が、星形ステータ14のステータティース32間において、ステータ巻線54に載置される。従って、ステータヨーク12による機械的な負荷は、挿入時に絶縁エレメント48の絶縁条片50にのみ作用する。これによって、ステータ10が組み付けられた状態では、絶縁条片50は、特に
図5及び
図6から見て取れるように、ステータティース32に配置されたステータ巻線54とステータヨーク12との間に配置されている。
【0021】
とりわけ、巻成された星形ステータ14がステータヨーク12に押圧された後に、ステータ10の周囲にプラスチックが射出成形される。そのような射出成形によって周囲が取り囲まれたステータ10は、
図8及び
図9に示されている。射出成形によってステータ10の周囲を取り囲む際に、ステータ巻線54の端子端部62は、回路基板64に接続するために、プラスチックによって覆われないままにされなければならない。射出成形によって周囲を取り囲むプロセスの間に、射出成形ツールのキャビティに対して、ステータ巻線54の端子端部62を封止するために、ステータ10は、端面側の支持エレメント58を有する。封止を目的とする以外に、支持エレメント58は、回路基板64に対して、ステータ巻線54の端子端部62を整列させるためにも用いられる。支持エレメント58は、とりわけ、プラスチックから形成されている。支持エレメント58は、ステータ巻線54の端子端部62を案内するために複数の貫通孔60を有する。支持エレメント58は、射出成形によってステータ10の周囲を取り囲む前に、端面側において、ステータ巻線54に載置される。ここで、支持エレメント58の位置決めは、支持エレメント58に成形された位置決めエレメント52を用いて行われる。周方向における支持エレメント58の位置決めのために、支持エレメント58は、例えば、星形ステータ14における対応する窪み部に係合する少なくとも1つのピンを有する。特に、支持エレメント58は、周方向に配置された複数のピンを有することができ、それらの複数のピンは、星形ステータ14における対応する数の窪み部に係合する。代替的又は付加的に、支持エレメント58の周方向における位置決めは、他の適切な手段によって行うことができる。例えば、支持エレメント58は、ここでは図示しない位置決めエレメントを有することができ、それらの位置決めエレメントは、周方向における支持エレメント58の位置決めのために、星形ステータ14の巻線ヘッドと直接的に相互作用する。
【0022】
ステータ巻線54の端子端部62は、支持エレメント58を載置する際に、支持エレメント58の貫通孔60に挿入されて、貫通孔60を貫通するように案内される。貫通孔60の内径は、ステータ巻線54の端子端部62の外径に少なくとも実質的に対応しているので、端子端部62の外周にわたり、射出成形によってステータ10の周囲を取り囲んでいる間に射出成形ツールのキャビティから端子端部62の方向に進入するプラスチックに対して、少なくとも十分な、とりわけ完全な封止が行われる。貫通孔60の領域においては、支持エレメント58が、同心円の隆起部72を付加的に有する。端子端部62は、射出成形ツール内において、窪み部に挿入され、それらは、射出成形ツールのキャビティの方向において隆起部72によって封止される。従って、端子端部62が挿入されている窪み部へのプラスチックの流入を有利には回避することができる。
【0023】
射出成形によってステータ10の周囲が取り囲まれた後に、回路基板64が支持エレメント58に載置される。回路基板64は円形に形成されており、組み付けられた状態では、端面側において、支持エレメント58に載置されている(
図9を参照されたい)。回路基板64は、ステータ巻線54の電気的な結線のために設けられている。このために、ステータ巻線54の端子端部62は、特にはんだ接続によって、回路基板64に導電的に接続される。支持エレメント58における回路基板64の位置決めのために、支持エレメント58は、回路基板64の窪み部38に対応する、軸線方向に延在するピン70を有する。
【0024】
図10は、星形ステータ14及びステータヨーク12を備えた、別の方式で形成されたステータ10の詳細断面図を示す。特にプレスによって、星形ステータ14をステータヨーク12に接合させることができる。星形ステータ14は、半径方向外側に向けられた複数のステータティース32を有する。星形ステータ14のステータティース32には、ステータ巻線54が取り付けられている。ロータ側では、ステータティース32はそれぞれポールシュー68を有する。ステータティース32の先端部18は、組み付けられた状態では、ステータヨーク12の内周面の対応する連結箇所20に当接する。ステータティース32の先端部18は、とりわけ丸くなっている。
図6の実施例においては、ステータティース32の先端部18が、ステータヨーク12方向において、星形ステータ14の外周面に、対応する円弧状の幾何学形状を有する。
【符号の説明】
【0025】
10 ステータ
12 ステータヨーク
14 星形ステータ
16 材料凹部
18 先端部
20 連結箇所
22 積層コア
24 積層コア
26 金属薄板層
28 ステータ金属薄板
30 ポールシューウェブ
32 ステータティース
34 金属薄板層
36 間隙
38 窪み部
40 材料延在部
42 材料延在部
44 主延在部
46 主延在部
48 絶縁エレメント
50 絶縁条片
52 位置決めエレメント
54 ステータ巻線
56 区間
58 支持エレメント
60 貫通孔
62 端子端部
64 回路基板
66 ステータ金属薄板
68 ポールシュー
70 ピン
72 隆起部
74 打ち抜き位置
76 組み付け位置
78 角度
80 脚部
82 角度