IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鉄住金テックスエンジ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-給気システム 図1
  • 特許-給気システム 図2
  • 特許-給気システム 図3
  • 特許-給気システム 図4
  • 特許-給気システム 図5
  • 特許-給気システム 図6
  • 特許-給気システム 図7
  • 特許-給気システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】給気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/00 20210101AFI20250403BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20250403BHJP
【FI】
F24F7/00 Z
F24F8/108 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021188768
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075701
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 慎一郎
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-199440(JP,A)
【文献】特開2019-007332(JP,A)
【文献】特許第6284134(JP,B1)
【文献】特開2020-148386(JP,A)
【文献】特開2020-046159(JP,A)
【文献】特開2010-249370(JP,A)
【文献】特開昭57-136039(JP,A)
【文献】特開2001-004186(JP,A)
【文献】特開2007-187408(JP,A)
【文献】特開2008-156884(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0394917(KR,Y1)
【文献】特開2015-175537(JP,A)
【文献】特開2019-184204(JP,A)
【文献】特開2022-094221(JP,A)
【文献】特許第7041988(JP,B1)
【文献】特開2022-190228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の部屋に外気から粉塵が除去された空気を供給する給気システムであって、
屋外の空気を自然給気により屋内に取り込む取込口と、
前記取込口から取り込まれた外気から粉塵を除去するフィルタと、
前記フィルタを通過した空気が取り込まれる空間を内部に有する取込室と、
前記取込室と前記部屋とを連通させる連通路とを備え、
前記取込室は、前記連通路に接続される排気部を備え、
前記フィルタを通過した空気中の粉塵が、自重によって前記取込室内で落下して前記部屋に到達することを抑制するために、前記排気部は、前記フィルタよりも上方に位置しており
前記取込室は、前記部屋に前記連通路を介して接続される集塵ボックスであり、
前記連通路は、前記排気部から上方に立ち上がる立ち上がり通路を有する、給気システム。
【請求項2】
前記取込口を通過する空気流の流速が、2.0m/s以下となるように構成されている、請求項1に記載の給気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の部屋へ給気する給気システムにおいて、外気の吸気口付近に設けられ、外気中の粉塵を除去するためのフィルタと、フィルタ付近に設けられる送風手段と、フィルタを通過した空気を送風手段によって建物内の部屋へ送るダクトとを備えた給気システムが提案されている(たとえば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-195623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給気システムは、吸気側に設けられた送風手段によって強制的に気流を発生させ、その気流をダクトを介して屋内の部屋へ供給するシステムである。そのため、フィルタで捕捉されなかった粉塵が存在する場合、その粉塵が送風手段で生成された気流に乗って建物内の部屋に供給されてしまう可能性がある。特に、工場が設置された地域等、外気中に含まれる粉塵の量が多い環境下では、フィルタを通過した空気の中に粉塵が残存している可能性が高いため、粉塵が建物内の部屋に供給されてしまう可能性が高くなる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて、外気中の粉塵をフィルタによって十分に除去できない場合であっても、フィルタを通過した空気の中の粉塵を除去して、浄化した空気を屋内に供給することが可能な給気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給気システムは、建物内の部屋に外気から粉塵が除去された空気を供給する給気システムであって、屋外の空気を自然給気により屋内に取り込む取込口と、前記取込口から取り込まれた外気から粉塵を除去するフィルタと、前記フィルタを通過した空気が取り込まれる空間を内部に有する取込室と、前記取込室と前記部屋とを連通させる連通路とを備え、前記取込室は、前記連通路に接続される排気部を備え、前記フィルタを通過した空気中の粉塵が、自重によって前記取込室内で落下して前記部屋に到達することを抑制するために、前記排気部は、前記フィルタよりも上方に位置している、給気システムである。
【0007】
前記取込口を通過する空気流の流速が、2.0m/s以下となるように構成されていることが好ましい。
【0008】
前記取込室が、前記建物における、居室以外の部屋であることが好ましい。
【0009】
前記取込室が、前記部屋に前記連通路を介して接続される集塵ボックスであることが好ましい。
【0010】
前記連通路は、前記排気部から上方に立ち上がる立ち上がり通路を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外気中の粉塵をフィルタによって十分に除去できない場合であっても、簡単な構成で残余の粉塵を除去して、浄化した空気を屋内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の一例を模式的に示す図である。
図2図1に示される給気システムにおける連通路の一例を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の他の例を模式的に示す図である。
図4図3に示される給気システムにおける連通路の構成の一例を模式的に示す図である。
図5図3に示される給気システムにおける集塵ボックスの構成の一例を模式的に示す図である。
図6図5に示される集塵ボックスをA方向から見た矢視図である。
図7図5に示される集塵ボックスをB方向から見た矢視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の給気システムを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の給気システムは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0015】
また、本明細書および図面において、方向Hは水平方向を表し、方向Vは鉛直方向を表すものとする。また、本明細書および図面における「鉛直方向」には、鉛直方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。また、本明細書および図面における「水平方向」には、水平方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の一例を模式的に示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の一例を模式的に示す図であり、連通路の一例を模式的に示す図である。なお、図1は、給気システムを3階建ての建物に適用した場合について示している。また、図1は、給気システムを水平面に沿った方向から見た図である。図2は、給気システムの一部(建物の一つの階)を上方から見た図である。
【0017】
本実施形態に係る給気システム1(図1および図2参照)は、建物2内の部屋3に外気から粉塵が除去された空気を供給するシステムである。本実施形態では、給気システム1は、建物2内の部屋3を換気する換気システム100を構成する。換気システム100は、換気対象である部屋3に空気を供給する給気システム1と、換気対象である部屋3内の空気を屋外へ排出する排気システム8とを備えている。
【0018】
本実施形態では、建物2内の空気を屋外に排出する排気システム8(図2参照)が建物2に設けられている。排気システム8は、建物2内の部屋3から屋外へ空気を排出することにより、部屋3の内部の気圧を負圧にする。本実施形態では、給気システム1は、排気システム8によって部屋3の内部の気圧が負圧とされることにより、給気システム1における後述の取込口4から後述の取込室6内に、外気が自然給気で取り込まれる。
【0019】
図2に示されるように、排気システム8は、排出口81と、送風機82とを備えている。また、本実施形態では、排気システム8は、吸込口83と、ダクト84(以下、排気側ダクト84とも称する)とを備えている。
【0020】
排出口81は、換気対象である部屋3、詳細には居室31内の空気を屋外へ排出する開口部である。本実施形態では、排出口81は、建物2の外壁21に形成された開口部に設けられている。具体的には、たとえば、排出口81は、外壁21に形成された開口部に設けられたガラリである。
【0021】
送風機82は、換気対象である部屋3、具体的には居室31内の空気を排出口81を通じて屋外へ強制的に排出する装置である。本実施形態では、送風機82は、たとえばブロアである。送風機82が部屋3内の空気を屋外へ排出することにより、部屋3内の気圧が負圧となる。
【0022】
吸込口83は、換気対象である部屋3、具体的には居室31内の空気を吸い込む開口部である。本実施形態では、吸込口83は、部屋3を区画する図示しない天井板に設けられている。
【0023】
排気側ダクト84は、吸込口83から吸い込まれた空気を、排出口81および送風機82へ送る配管である。本実施形態では、排気側ダクト84は、部屋3の天井裏の空間に設けられている。
【0024】
本明細書における給気システム1は、たとえば、工場が設置された地域等、外気中に含まれる粉塵の多い環境下において、事務所や住宅等、居室を有する建物が設けられている場合に、その建物内に清浄な空気を供給することが可能なシステムである。
【0025】
給気システム1が適用される建物2の種類は、平屋建ての建物、2階建て以上の建物のいずれであってもよい。また、給気システム1が適用される建物2の種類は、用途において、たとえば、居宅、店舗、共同住宅、校舎、工場、事務所、オフィス等のいずれであってもよく、特に限定はされない。
【0026】
本明細書における粉塵は、たとえば、鉱山からの鉱石の採取や鉱石の加工の際に飛散する粉塵(鉱物粉塵)、金属の切断・研磨・溶接作業などの際に飛散する粉塵(金属粉塵)、毛皮の加工や木材の加工の際に飛散する粉塵(動物・植物性粉塵)等であり、特に限定はされない。
【0027】
本明細書において、換気対象である部屋3は、建物2の内部において壁、間仕切り、天井板、床板等で仕切られた空間の区画であり、具体的には居室31である。居室31は、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用される室をいう。詳細には、居室31は、たとえば、リビング、ダイニング、寝室、書斎、応接室、事務室、会議室、作業場等である。図2および図4に示される例では、居室31は各階に1つ設けられているが、これに限定されるものではなく、居室31は各階に複数設けられていてもよい。なお、本明細書における部屋3は、非居室32を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。非居室32は、居室31以外の部屋である。非居室32は、たとえば、階段室、物置、倉庫、車庫等である。図1図4に示される例では、非居室32は階段室である。また、図1図3および図8に示される例では、非居室32は全ての階の間で吹き抜けになっている。非居室32が後述の取込室6として用いられる場合には、非居室32は、換気対象である部屋3には含まれない。
【0028】
図1に示されるように、給気システム1は、取込口4と、フィルタ5と、取込室6と、連通路7とを備えている。
【0029】
取込口4は、屋外の外気を自然給気により屋内に取り込む通気口である。本実施形態では、取込口4は、建物2の外壁21に形成された開口部に設けられている。具体的には、たとえば、取込口4は、外壁21に形成された開口部に設けられたガラリである。上述の特許文献1においては、外気を吸気する吸気口付近に送風機が設けられているが、本実施形態では、取込口4付近に送風機は設けられない。本実施形態では、取込口4から屋内へ外気が自然給気される。本実施形態では、取込口4における空気の流通面積(開口面積)は、たとえば、0.25~0.4m2の範囲である。従来、屋外の外気を自然給気により屋内に取り込む通気口における空気の流通面積は、一般的には、0.09~0.18m2程度である。すなわち、本実施形態の取込口4における空気の流通面積は、従来の一般的な取込口における空気の流通面積よりもかなり大きい。
【0030】
フィルタ5は、取込口4から取り込まれた外気から粉塵を除去する。本実施形態におけるフィルタ5は、取込口4から取り込まれた外気の中の粉塵の多くを除去することが好ましいが、取込口4から取り込まれた外気の中の粉塵を十分に除去できなくても構わない。フィルタ5は、粉塵を除去することができれば、その種類は特に限定されない。
【0031】
取込室6は、フィルタ5を通過した空気が取り込まれる空間S(図5および図6参照)を内部に有する。本実施形態では、取込室6は、1階に対応する部分61(以下、1階部分61とも称する)と、2階に対応する部分62(以下、2階部分62とも称する)と、3階に対応する部分63(以下、3階部分63とも称する)とを有している。本実施形態では、1階部分61と、2階部分62と、3階部分63とは、互いに連通している。
【0032】
図1に示される例では、取込室6が、建物2における、居室以外の部屋(上述の非居室32)である。したがって、図1に示される例では、取込室6である非居室32は、1階に対応する部分321(以下、1階部分321とも称する)と、2階に対応する部分322(以下、2階部分322とも称する)と、3階に対応する部分323(以下、3階部分323とも称する)とを有している。非居室32と居室31とは、壁や間仕切り等により区画されている。図1に示される例では、取込室6は階段室である。
【0033】
取込室6は、後述の連通路7に接続される排気部64を備えている。図1に示される例では、排気部64は、連通路7に接続される開口部である。具体的には、排気部64は、たとえば、非居室32と居室31との間を仕切る内壁22(図2参照)を貫通する貫通孔における、非居室32側の開口部である。この貫通孔は、連通路7の一部である。図1に示されるように、フィルタ5を通過した空気中の粉塵が、自重によって取込室6内で落下して部屋3に到達することを抑制するために、排気部64は、フィルタ5よりも上方に位置している。すなわち、本実施形態では、取込室6の排気部64がフィルタ5よりも上方に位置している状態において、屋外の空気を自然給気により取込室6内に取り込む構成を採用している。
【0034】
このような構成では、取込口4を通過する空気流の流速を抑制した状態で空気を取込室6内に取り込み、取り込んだ空気の流速を抑制しながら取込室6内で上昇させて排気部64から連通路7へ排気することができる。これにより、取込室6に取り込まれた空気を、一定程度の時間、取込室6内で滞留させて、その滞留に伴って空気中の粉塵を自重によって取込室6内に落下(自由落下)させることができる。したがって、外気中の粉塵をフィルタ5によって十分に除去できない場合であっても、簡単な構成で残余の粉塵を除去して、浄化した空気を屋内の部屋3に供給することができる。
【0035】
本実施形態では、取込口4を通過する空気流の流速が、2.0m/s以下となるように、給気システム1が設計される。なお、空気流の流速は一時的に0m/sとなっても構わない。取込口4を通過する空気流の流速をこのような範囲とするための給気システム1の構成は、特に限定されないが、たとえば、上述のように、取込口4における空気の流通面積を、0.25~0.4m2の範囲とし、かつ、取込口4からの給気量と、すべての排気システム8からの排気量(屋外への排気量)とが略同じとなるように、各種パラメータを設定すればよい。各種パラメータは、たとえば、排気口81における空気の流通面積、送風機82の風量、連通路7の内径、および排気側ダクト84の内径等である。なお、これらは建物2の構造や大きさ等によっても適宜変更され得る。また、本実施形態では、建物2において、取込室6は1つのみ設けられている。この場合、フィルタ5を清掃するとともに、1つの取込室6内に落下した粉塵を清掃するだけで、給気システム1のメンテナンス作業を行うことができるので、粉塵除去性能およびメンテナンス性に優れた給気システム1を得ることができる。
【0036】
本実施形態では、フィルタ5を通過した空気中の粉塵が、自重によって取込室6内で落下して部屋3に到達することを抑制することができれば、排気部64とフィルタ5との高低差は、特に限定されない。また、そのような抑制を行うことができれば、排気部64とフィルタ5との距離は、特に限定されない。また、そのような抑制を行うことができれば、取込室6の形状および大きさは、特に限定されない。
【0037】
連通路7(図2参照)は、取込室6と部屋3とを連通させる通路である。連通路7は、取込室6と部屋3とを連通させることができれば、その形態は特に限定されない。図1および図2に示される例では、連通路7はダクト(以下、給気側ダクトとも称する)である。給気側ダクトは、取込室6と部屋3とを区画する内壁22を貫通する貫通孔を含む。図1および図2に示される例では、連通路7は、取込室6の排気部64から送り込まれた空気を、部屋3(図2に示される例では居室31)内に送る配管である。図2に示される例では、連通路7は、部屋3の天井裏の空間に設けられている。また、図2に示される例では、連通路7の先端部(空気流の下流側端部)には、部屋3内に開口する給気口71が設けられている。給気口71は、換気対象である部屋3、具体的には居室31内に空気を供給する開口部である。本実施形態では、給気口71は、部屋3を区画する図示しない天井板に設けられている。取込室6の排気部64から連通路7に送り込まれた空気は、連通路7を通って給気口71から部屋3内に供給される。本実施形態では、図2に示されるように、連通路7は空気流の上流側から下流側に向かって複数の分岐通路72に分岐している。複数の給気口71および複数の分岐通路72は、1つの部屋3に対して設けられていてもよいし、複数の部屋3に割り当てられて設けられてもよい。複数の給気口71および複数の分岐通路72が、1つの部屋3に対して設けられていている場合、および、複数の部屋3に割り当てられて設けられている場合の双方において、各部屋3には、給気口71から供給された空気をその部屋3から排気する排気システム8が設けられている。
【0038】
なお、上記実施形態では、取込室6が、建物2における非居室32である場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、取込室6が、建物2内に設置された集塵ボックスであってもよい。以下、取込室6が、建物2内に設置された集塵ボックスである場合について、図3図7を参照して説明する。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る給気システムの構成の他の例を模式的に示す図である。図4は、図3に示される給気システムにおける連通路の構成の一例を模式的に示す図である。
【0040】
図3および図4に示される例では、取込室6が、建物2内に設置された集塵ボックスである。詳細には、取込室6は、部屋3に連通路7を介して接続される集塵ボックスである。集塵ボックスである取込室6は、非居室32内に設置されている。本実施形態では、非居室32は階段室である。すなわち、図3および図4に示される例では、図1および図2に示されるように建物2の構造そのものを取込室6とするのではなく、建物2の構造の中に配置された集塵ボックスを取込室6としている。図3に示される例では、取込室6は建物2の1階部分61の内部に1つ配置されている。なお、集塵ボックスとしての取込室6の数は1つに限定されるものではなく、図8に示されるように、複数の取込室6が設けられてもよい。複数の取込室6が設けられる場合には、取込室6が各階に1つずつ設けられてもよい。
【0041】
図3に示される例では、連通路7は、排気部64から上方に立ち上がる立ち上がり通路73を有する。取込室6が集塵機能を発揮できるのであれば、立ち上がり通路73は、図3に示されるように、排気部64から鉛直方向Vに沿って上方に立ち上がるように配置されてもよいし、排気部64から斜め上向きに立ち上がるように配置されてもよい。本実施形態では、排気部64を通過する空気の流速は、たとえば、2.0~4.0m/sとなるように、給気システム1が設計される。この場合、取込室6に取り込まれた空気流の流速が所定範囲に抑制され、一定程度の時間、取込室6内で滞留させて、その滞留に伴って空気中の粉塵を自重によって取込室6内に落下(自由落下)させることができる。
【0042】
以下、集塵ボックスである取込室6について、図5図7を参照して説明する。
【0043】
図5は、図3に示される給気システムにおける集塵ボックスの構成の一例を模式的に示す図である。図6は、図5に示される集塵ボックスをA方向から見た矢視図である。図7は、図5に示される集塵ボックスをB方向から見た矢視図である。なお、図5では、集塵ボックスに入る空気の流れFLの一例を二点鎖線により模式的に示している。また、図6は、集塵ボックスの平面図である。
【0044】
図5図7に示されるように、集塵ボックスである取込室6は、略直方体状に形成されている。取込室6は、たとえば、金属板を加工することにより形成される。図5図7に示される例では、取込室6は、略直方体状の本体65と、外気の取込口4に接続される上流側接続部66と、連通路7が接続される下流側接続部67とを備えている。本体65は、下流側接続部67が設けられる開口部が形成された上面部65Aと、下面部65Bと、取込口4とは反対側に位置する正面部65Cと、取込口4側に位置するとともに、上流側接続部66が設けられる開口部が形成された背面部65Dと、正面部65Cおよび背面部65Dを繋ぐように設けられる、左側面部65Eおよび右側面部65Fとを備えている。本体65の内部には、略直方体状の空間Sが形成されている。取込室6は、空間Sにおいて粉塵を自由落下させて粉塵を除去できるように構成されている。また、本体65において空間Sよりも上流側には、フィルタ5が設けられている。空間Sにおいて粉塵を自由落下させて粉塵を除去できるならば、本体65の形状および大きさは特に限定されない。本実施形態では、本体65の幅W1は800mm、高さH1は700mm、奥行D1は700mm程度に形成されている。なお、フィルタ5を通過した細かい粉塵が連通路7内に到達しにくいように、フィルタ5と集塵ボックスの内面(左側面部65Eおよび右側面部65Fの各内面)の奥行きD1方向の長さは、たとえば、500mm以上であることが好ましい。なお、集塵ボックスが邪魔にならない場所であれば、集塵ボックスの奥行きD1方向の長さの上限は特に限定されないが、集塵ボックスが設置対象の壁面から突出し過ぎないように、フィルタと集塵ボックスの内面の奥行きD1方向の長さは、たとえば、500mm~1000mmであることが好ましい。
【0045】
また、図5および図6に示される取込室6は、フィルタ5をフィルタ5の面に沿った方向に抜き差しできるように構成されている。フィルタ5を抜き差しすることにより、フィルタ5のメンテナンス作業を行うことができる。具体的には、たとえば、一旦抜き出したフィルタ5を洗浄して粉塵を落とし、洗浄されたフィルタ5を元の位置へ装着することにより、フィルタ5のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0046】
また、図7に示される取込室6は、図示しない点検口と、点検口を開閉するように本体65に設けられた蓋部68とを備えている。点検口は、たとえば、本体65の内部を点検し、必要に応じて、掃除道具を差し入れて清掃作業を行うための開口部である。点検口の位置および大きさは、作業員が点検作業および清掃作業を行うことができるのであれば、特に限定されない。図7に示される例では、点検口は、本体65の正面部65Cに設けられている。作業員は、蓋部68を開くことにより、点検口を通じて取込室6の内部を点検することができる。また、作業員は、本体65の内部に粉塵が溜まっていると判断した場合には、掃除道具を点検口から差し込んで、本体65の内部を清掃し、清掃が終了したら蓋部68を閉じることができる。図3に示されるように、複数の部屋3または複数の階を有する1つの建物2において、集塵ボックス(取込室6)が1つのみ設けられている場合、1つの集塵ボックスのみを清掃すれば、給気システム1のメンテナンスが完了する。したがって、本実施形態では、限られた数で限られたスペースを掃除するだけで、メンテナンスが完了するので、メンテナンス性がさらに向上する。また、点検口の高さを、作業員が点検作業および清掃作業を行いやすい高さに設定すれば、メンテナンス性がさらに向上する。そのような高さは、特に限定されるものではないが、たとえば、立ち姿勢の作業員の腰の高さ付近の高さである。
【0047】
本実施形態では、排気システム8により部屋3が負圧状態となることで、連通路7および集塵ボックス内の空気が部屋3側に引かれる。これにより、集塵ボックス内に外気が導入される。集塵ボックス内に導入される空気はフィルタ5によって粗い粉塵が除去される。フィルタ5を通過した細かい粉塵を含む空気は、自然給気により集塵ボックス内に取り込まれるので、送風手段によって強制的に発生した空気流とは異なり、流速が遅く、この空気に含まれる粉塵は、連通路7に到達する前に集塵ボックス内で自重によって落下する。本実施形態では、連通路7は集塵ボックスの上方に延びているので、より粉塵は連通路7に到達しにくくなっている。これにより、外気中の粉塵をフィルタ5によって十分に除去できない場合であっても、簡単な構成で残余の粉塵を除去して、浄化した空気を屋内の部屋3に供給することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 給気システム
2 建物
21 外壁
22 内壁
3 部屋
31 居室
32 非居室
321 1階部分
322 2階部分
323 3階部分
4 取込口
5 フィルタ
6 取込室
61 1階部分
62 2階部分
63 3階部分
64 排気部
65 本体
65A 上面部
65B 下面部
65C 正面部
65D 背面部
65E 左側面部
65F 右側面部
66 上流側接続部
67 下流側接続部
68 蓋部
7 連通路
71 給気口
72 分岐通路
73 立ち上がり通路
8 排気システム
81 排出口
82 送風機
83 吸込口
84 排気側ダクト
100 換気システム
FL 空気の流れ
H 水平方向
S 空間
V 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8