(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】Nヘテロ五員環含有カプシドタンパク質集合阻害剤の結晶形及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 207/34 20060101AFI20250403BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20250403BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20250403BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250403BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20250403BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20250403BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250403BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
C07D207/34
A61K31/40
A61P31/20
A61P1/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
(21)【出願番号】P 2022519535
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020118427
(87)【国際公開番号】W WO2021058002
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】201910934549.0
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517285024
【氏名又は名称】正大天晴▲藥▼▲業▼集▲団▼股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼ ▲銀▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 猛
(72)【発明者】
【氏名】胡 明通
(72)【発明者】
【氏名】李 元
(72)【発明者】
【氏名】敖 汪▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 寅生
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-519325(JP,A)
【文献】特表2022-518258(JP,A)
【文献】特表2021-527638(JP,A)
【文献】特表2017-507927(JP,A)
【文献】特表2016-525141(JP,A)
【文献】特表2021-514966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、A61K、A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
で表される化合物の結晶であ
って、
そのX線粉末回折パターンは、9.21±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、24.48±0.20°、及び26.79±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項2】
請求項1に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは
、9.21±0.20°、12.72±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、24.48±0.20°、及び26.79±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを
有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項3】
請求項1に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、9.21±0.20°、10.44±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、24.48±0.20°、26.79±0.20°、及び31.46±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項4】
請求項1に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、9.21±0.20°、9.68±0.20°、10.44±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、24.48±0.20°、26.02±0.20°、26.79±0.20°、27.67±0.20°、及び31.46±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項5】
請求項1に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、4.86±0.20°、9.21±0.20°、9.68±0.20°、10.44±0.20°、12.47±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、18.74±0.20°、19.19±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、20.94±0.20°、21.65±0.20°、21.96±0.20°、23.12±0.20°、24.48±0.20°、26.02±0.20°、26.79±0.20°、27.67±0.20°、29.36±0.20°、31.46±0.20°、及び34.17±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項6】
請求項
1に記載の式Iの化合物の結晶であって、前記結晶のXRPDパターンは、以下の表に示す回折ピークのピーク位置及び相対強度を有する、式Iの化合物の結晶。
【表1】
【請求項7】
請求項
1に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのDSC曲線が231.26±5℃に吸熱ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項8】
式I:
【化2】
で表される化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、14.09±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、及び22.91±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを
有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項9】
請求項8に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、8.45±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、及び22.91±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項10】
請求項8に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、8.45±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.97±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、及び25.24±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項11】
請求項8に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、8.45±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.25±0.20°、20.97±0.20°、21.42±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、25.24±0.2°、27.72±0.2°、及び30.00±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項12】
請求項8に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのX線粉末回折パターンは、4.74±0.20°、7.94±0.20°、8.45±0.20°、9.40±0.20°、9.91±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.25±0.20°、20.97±0.20°、21.42±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、25.24±0.2°、27.72±0.2°、及び30.00±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項13】
請求項
8に記載の式Iの化合物の結晶であって、前記結晶のXRPDパターンは、以下の表に示す回折ピークのピーク位置及び相対強度を有する、式Iの化合物の結晶。
【表2】
【請求項14】
請求項
8に記載の式Iの化合物の結晶であって、そのDSC曲線が225.05±5℃に吸熱ピークを有する、式Iの化合物の結晶。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の式Iの化合物の結晶を含む結晶組成物であって、前記結晶は、結晶組成物の重量の50%以上、80%以上、90%以上、又は95%以上を占める、結晶組成物。
【請求項16】
治療有効量の請求項1~
14のいずれか1項に記載の式Iの化合物の結晶又は請求項
15に記載の結晶組成物を含む、医薬組成物。
【請求項17】
カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための医薬の製造における、請求項1~
14のいずれか1項に記載の式Iの化合物の結晶、又は請求項
15に記載の結晶組成物、又は請求項
16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
請求項
17に記載の使用であって、前記カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患はB型肝炎ウイルス感染に起因する疾患である、使用。
【請求項19】
B型肝炎ウイルス感染を予防又は治療するための医薬の製造における、請求項1~
14のいずれか1項に記載の式Iの化合物の結晶、又は請求項
15に記載の結晶組成物、又は請求項
16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための、請求項1~
14のいずれか1項に記載の式Iの化合物の結晶、又は請求項
15に記載の結晶組成物、又は請求項
16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年9月29日に中国国家知的財産局に出願された出願番号がCN201910934549.0である中国特許出願に基づく優先権及び利益を主張し、当該中国特許出願の内容の全てを本明細書に援用する。
【0002】
本発明には、Nヘテロ五員環(N hetero five-membered ring)含有カプシドタンパク質集合阻害剤(capsid protein assembly inhibitor)の結晶形に関し、具体には、式Iの化合物の結晶形に関し、また、カプシドタンパク質集合(カプシドタンパク質アセンブリ)の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療する医薬の製造における前記結晶形の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、慢性B型ウイルス性肝炎には、治癒することはできず、制御することしかできず、現時点では主に2種類の薬剤(インターフェロン及びヌクレオシド類似体/ウイルスポリメラーゼの阻害剤)に限定されている。HBVの治癒率が低いのは、感染した肝細胞の細胞核に共有結合で閉じた環状DNA(cccDNA)が存在し、その存在が持続しているためである。現在の治療プロトコルでは、リポジトリ(repository)からcccDNAを削除できず、コア阻害剤(Core inhibitors、例えばウイルスカプシッドタンパク質形成又は集合阻害剤、及びcccDNA阻害剤、ならびにインターフェロン刺激遺伝子活性剤など)のようないくつかのHBVの新たな標的(ターゲット)は、B型肝炎の治癒に有望であると期待されている(Mayur Brahmania, et al. New therapeutic agents for chronic hepatitis B)。HBVカプシドはコアタンパク質から集合されてなり、逆転写の前に、HBV逆転写酵素、pgRNAはカプシドタンパク質で正しくカプセル化されている必要がある。したがって、カプシドタンパク質の集合を遮断したり、カプシドタンパク質の分解を加速したり、それぞれカプシドタンパク質の集合プロセスを遮断してウイルスの複製に影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願番号CN201910934549.0
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、本発明は、下記の式I:
【化1】
で表される化合物(式Iの化合物)の結晶形を提供する。
【0006】
また一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形は、結晶形組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める結晶形組成物を提供する。
【0007】
また一態様によれば、本発明は、治療有効量の本発明に係る式Iの化合物の結晶形又はその結晶形組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための医薬の製造における使用をさらに提供する。
【0009】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、B型肝炎ウイルス感染を予防又は治療するための医薬の製造における使用をさらに提供する。
【0010】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患の予防又は治療における使用をさらに提供する。
【0011】
別の一態様によれば、本発明は、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患の予防又は治療方法であって、治療有効量の本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物を、そのような予防又は治療を必要とする哺乳類に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0012】
別の一態様によれば、本発明は、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】式Iの化合物の結晶形IのXRPDパターンを示す図である。
【
図2】式Iの化合物の結晶形IのDSCパターンを示す図である。
【
図3】式Iの化合物の結晶形IIのXRPDパターンを示す図である。
【
図4】式Iの化合物の結晶形IIのDSCパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一態様によれば、本発明は、下記の式I:
【化2】
で表される化合物(式Iの化合物)の結晶形を提供する。
【0015】
別の一態様によれば、本発明は、上記式Iの化合物の結晶形Iを提供し、そのX線粉末回折パターンは、9.21±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、24.48±0.20°、及び26.79±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのX線粉末回折パターンには、9.21±0.20°、12.72±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、24.48±0.20°、及び26.79±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのX線粉末回折パターンには、9.21±0.20°、10.44±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、24.48±0.20°、26.79±0.20°、及び31.46±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのX線粉末回折パターンには、9.21±0.20°、9.68±0.20°、10.44±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、24.48±0.20°、26.02±0.20°、26.79±0.20°、27.67±0.20°、及び31.46±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのX線粉末回折パターンには、4.86±0.20°、9.21±0.20°、9.68±0.20°、10.44±0.20°、12.47±0.20°、12.72±0.20°、15.06±0.20°、15.71±0.20°、16.47±0.20°、18.11±0.20°、18.74±0.20°、19.19±0.20°、19.79±0.20°、20.46±0.20°、20.94±0.20°、21.65±0.20°、21.96±0.20°、23.12±0.20°、24.48±0.20°、26.02±0.20°、26.79±0.20°、27.67±20°、26.79±0.20°、27.67±0.20°、29.36±0.20°、31.46±0.20°、及び34.17±0.20°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのXRPDパターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を下記の表1に示す。
【0017】
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのX線粉末回折(XRPD)パターンを
図1に示す。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの示差走査熱量測定(DSC)曲線には231.26±5℃に吸熱ピークを有する。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IのDSCパターンを
図2に示す。
【0019】
また一態様によれば、本発明は、上記式Iの化合物を溶媒に加えた後、固体を分離する工程を含む結晶形Iの製造方法を提供する。
本発明のいくつかの実施形態において、結晶形Iの製造方法には、上記式Iの化合物を溶媒に加えて晶析させた後、固体を分離する工程を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、溶媒はメタノール、アセトニトリル又は水の1種以上の混合物から選ばれる。本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、溶媒はメタノール、又はアセトニトリルと水との混合物から選ばれる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、前記溶媒と式Iの化合物との体積質量比が1~100mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記溶媒と式Iの化合物との体積質量比が1mL/g、5mL/g、10mL/g、15mL/g、20mL/g、25mL/g、30mL/g、35mL/g、40mL/g、45mL/g、50mL/g、55mL/g、60mL/g、65mL/g、70mL/g、75mL/g、80mL/g、85mL/g、90mL/g、100mL/g、又はこれらのいずれかの比からなる範囲である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、前記メタノールと式Iの化合物との体積質量比が1~20mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記メタノールと式Iの化合物との体積質量比が1mL/g、2mL/g、3mL/g、4mL/g、5mL/g、6mL/g、7mL/g、8mL/g、9mL/g、10mL/g、11mL/g、12mL/g、13mL/g、14mL/g、15mL/g、16mL/g、17mL/g、18mL/g、19mL/g、20mL/g、又はこれらのいずれかの比からなる範囲であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記メタノールと式Iの化合物との体積質量比が1~10mL/g又は2~8mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記メタノールと式Iの化合物との体積質量比が5mL/gである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、前記アセトニトリルと式Iの化合物との体積質量比が1~20mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと式Iの化合物との体積質量比が1mL/g、2mL/g、3mL/g、4mL/g、5mL/g、6mL/g、7mL/g、8mL/g、9mL/g、10mL/g、11mL/g、12mL/g、13mL/g、14mL/g、15mL/g、16mL/g、17mL/g、18mL/g、19mL/g、20mL/g、又はこれらのいずれかの比からなる範囲であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと式Iの化合物との体積質量比が5~18mL/g又は8~16mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと式Iの化合物との体積質量比が12.5mL/gである。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、前記アセトニトリルと水との体積比が1:1~1:10であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと水との体積比が1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、又はこれらのいずれかの比からなる範囲であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと水との体積比が1:1~1:5であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトニトリルと水との体積比が1:5である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法において、固体を分離する手段が濾過から選ばれる。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、上記式Iの化合物を溶媒に加え、撹拌して清澄化させ、必要に応じて加熱して溶液に清澄化させる工程を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法には、室温まで冷却する工程、及び/又は氷水浴中で冷却して晶析させる工程、及び/又は水を必要に応じて加えて晶析させる工程を任意に含む。
【0025】
別の一態様によれば、本発明は、上記式Iの化合物の結晶形IIをさらに提供し、そのX線粉末回折パターンは、14.09±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、及び22.91±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのX線粉末回折パターンには、8.45±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、及び22.91±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのX線粉末回折パターンには、8.45±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.97±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、及び25.24±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのX線粉末回折パターンには、8.45±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.25±0.20°、20.97±0.20°、21.42±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、25.24±0.2°、27.72±0.2°、及び30.00±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのX線粉末回折パターンには、4.74±0.20°、7.94±0.20°、8.45±0.20°、9.40±0.20°、9.91±0.20°、11.15±0.20°、13.35±0.20°、14.09±0.20°、14.90±0.20°、15.81±0.20°、17.40±0.20°、18.81±0.20°、19.64±0.20°、20.25±0.20°、20.97±0.20°、21.42±0.20°、22.91±0.2°、23.68±0.20°、25.24±0.2°、27.72±0.2°、及び30.00±0.2°である2θ角度に特徴的な回折ピークを有する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのXRPDパターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を下記表2に示す。
【0027】
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのX線粉末回折(XRPD)パターンを
図3に示す。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの示差走査熱量測定(DSC)曲線は225.05±5℃に吸熱ピークを有する。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIのDSCパターンを
図4に示す。
【0029】
また一態様によれば、本発明は、式Iの化合物を溶媒に加えた後固体を析出させる工程を含む上記結晶形IIの製造方法を提供する。
いくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、溶媒がアセトン、テトラヒドロフラン及び水からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。いくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、溶媒がアセトンと水との混合物、又はテトラヒドロフランと水との混合物から選ばれる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、前記溶媒と式Iの化合物との体積質量比が1~100mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記溶媒と式Iの化合物との体積質量比が1mL/g、5mL/g、10mL/g、15mL/g、20mL/g、25mL/g、30mL/g、35mL/g、40mL/g、45mL/g、50mL/g、55mL/g、60mL/g、65mL/g、70mL/g、75mL/g、80mL/g、85mL/g、90mL/g、100mL/g、又はこれらのいずれかの比からなる範囲である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、前記アセトンと式Iの化合物との体積質量比が1~50mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと式Iの化合物との体積質量比が1mL/g、5mL/g、10mL/g、15mL/g、20mL/g、25mL/g、30mL/g、35mL/g、40mL/g、45mL/g、50mL/g、又はこれらのいずれかの比からなる範囲であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと式Iの化合物との体積質量比が5~40mL/g又は10~30mL/gであり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと式Iの化合物との体積質量比が20mL/gである。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、前記アセトンと水との体積比が1:0.5~1:5であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと水との体積比が1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、又はこれらのいずれかの比からなる範囲であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと水との体積比が1:0.5~1:2であり、本発明のいくつかの実施形態において、前記アセトンと水との体積比が1:1.25である。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、固体を析出させた後、固体を濾過で分離することが選択できる。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、上記式Iの化合物を溶媒に加え、撹拌して清澄化させ、必要に応じて加熱して溶液に清澄化させる。
本発明のいくつかの実施形態において、上記結晶形IIの製造方法には、室温まで冷却する工程、及び/又は氷水浴中で冷却して晶析させる工程、及び/又は水を必要に応じて加えて晶析させる工程を任意に含む。
【0034】
本発明のいくつかの具体的実施形態において、上記結晶形I又は結晶形IIの製造方法には、分離された固体を乾燥させ、例えば30℃~90℃で乾燥させ、又は50℃~60℃で乾燥させる工程をさらに含む。
【0035】
本発明において、XRPDはBruker D8 ADVANCE X線粉末回折計(ライト管:Cu-Kα線(λ=1.54056Å)、ライト管電圧:40kV,ライト管電流:40mA、発散スリット:0.618mm、スキャン範囲:3~60°、ステップ幅:0.02°、ステップ時間:0.1s)を用いて検出する。
本発明において、DSCは、Mettler DSC1型示差走査熱量計(温度範囲:50~300℃、昇温速度:10.00K/min)を用いて検出する。
【0036】
また一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形は、結晶形組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める結晶形組成物を提供する。
【0037】
また一態様によれば、本発明は、上記の結晶形I及び/又は結晶形IIを含む結晶形組成物であって、前記結晶形I及び/又は結晶形IIは、結晶形組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める結晶形組成物を提供する。
【0038】
また一態様によれば、本発明は、治療有効量の本発明に係る式Iの化合物の結晶形又はその結晶形組成物を含む医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物には、薬学的に許容される補助剤を含んでも含まなくてもよい。本発明に係る医薬組成物には、1種以上の他の治療剤をさらに含んでもよい。
【0039】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための医薬の製造における使用をさらに提供する。
【0040】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、B型肝炎ウイルス感染を予防又は治療するための医薬の製造における使用をさらに提供する。
【0041】
別の一態様によれば、本発明は、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物の、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患の予防又は治療における使用をさらに提供する。
【0042】
別の一態様によれば、本発明は、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患の予防又は治療方法であって、治療有効量の本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物を、そのような予防又は治療を必要とする哺乳類(好ましくはヒト)に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0043】
別の一態様によれば、本発明は、カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患を予防又は治療するための、本発明に係る式Iの化合物の結晶形、その結晶形組成物、又はその医薬組成物をさらに提供する。
【0044】
本発明に用いられるように、本発明に係る式Iの化合物の結晶形は、式Iの化合物の結晶形、式Iの化合物の結晶形I、式Iの化合物の結晶形II、式Iの化合物の結晶形Iと結晶形IIとの混合物からなる群から選ばれる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、前記カプシドタンパク質の集合の阻害から恩恵を受ける疾患とは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染に起因する疾患を意味する。
本発明のいくつかの実施形態において、前記カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患とは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染に起因する肝疾患を意味する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、前記カプシドタンパク質集合の阻害から恩恵を受ける疾患の予防又は治療とは、感染した患者の肝疾患を予防、緩和又は治癒するためにHBVを制御、低減又は除去することを意味する。
【0047】
〔定義と説明〕
特に断りのない限り、本発明における下記の用語及びフレーズは、次の意味を有する。ある1つの特定の用語やフレーズは、特に定義されない場合、不確定又は不明瞭とが認定されておらず、一般的な意味として理解されるべきである。本明細書では、商品名が記載される場合、その対応の商品又はその活性成分を示すことである。
【0048】
なお、X線粉末回折スペクトルにおいて、ピークの位置やピークの相対強度には、測定機器、測定方法/条件等の要因によって相違が生じる場合がある。いずれの特定の結晶形についても、ピークの位置に誤差が存在する可能性があり、2θ値の測定には±0.2°の誤差があってもよい。したがって、この誤差は各結晶形を決定する際に考慮すべきであり、この誤差の範囲内での結晶形でも本発明の範囲内である。
【0049】
なお、同種の結晶形に対しても、DSCパターンにおける吸熱ピークを示す位置は、測定機器、測定方法/条件等の要因によって相違が生じる場合があることに留意すべきである。いずれの特定の結晶形においても、吸熱ピークの位置に誤差が存在する可能性があり、誤差は±5℃であってもよく、±3℃であってもよい。したがって、この誤差は各結晶形を決定する際に考慮すべきであり、この誤差の範囲内での結晶形でも本発明の範囲内である。
【0050】
用語「含む/含有する(comprise)」、及びそれらの英語の変形(例えば「comprises」や「comprising」などに相当する言い回し)は、いずれも開放(オープンエンド)式の、包含式の意味、すなわち「…を含むが、これらに限定されない」として解釈すべきである。
【0051】
「薬学的に許容される補助剤」とは、活性成分とともに投与され、活性成分の投与に寄与する不活性物質を意味し、国家食品薬品監督管理部門により許可されるヒトや動物(例えば家畜)への使用を許容可能な任意の流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味補強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤が挙げられるが、それらに限定されない。前記補助剤の非制限的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種類の糖及び各種類の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、並びにポリグリコールが挙げられる。
【0052】
用語「医薬組成物」とは、本発明の1つ又は複数の化合物又はその塩と薬学的に許容される補助剤からなる混合物を意味する。医薬組成物は、本発明の化合物を有機体に投与することに有利となる目的とする。
【0053】
本発明に係る医薬組成物は、本発明に係る化合物と適切な薬学的に許容される補助剤とを組み合わせて製造することができ、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、クリーム剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア及びエアゾールのような固体、半固体、液体又は気体の製剤として調製することができる。
【0054】
本発明に係る結晶形又はその医薬組成物の典型的な投与経路は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与、腸管外投与、舌下投与、膣内投与、鼻内投与、眼内投与、腹膜内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明に係る医薬組成物は、例えば通常の混合法、溶解法、造粒法、糖衣錠製法、粉砕法、乳化法、凍結乾燥法等の本技術分野で周知の方法によって製造することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与の形である。経口投与については、活性化合物と当該技術分野で周知の医薬的に許容され得る補助剤とを混合して当該医薬組成物を調製してもよい。これらの補助剤は、本発明の化合物を、錠剤、丸剤、トローチ剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル化剤、シロップ剤、懸濁剤等として調製されて患者の経口投与に用いられてもよい。
【0057】
本発明の化合物の治療量は、例えば、治療の具体的な使用、投与される化合物の形態、患者の健康状態、及び処方医師の判断に基づいて決定される。本発明の化合物の医薬組成物における割合又は濃度は、可変であり、用量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む複数種の要素に依存する。用語「治療」とは、本発明に記載の化合物又は製剤を投与して疾患又は前記疾患関連の1つ以上の症状を緩和したり、解消したりすることを意味し、且つ(i)疾患又は疾患状態を阻害し、すなわちその発生・進行を阻害することと、(ii)疾患又は疾患状態を緩和し、すなわち疾患又は疾患状態を減退させることとを含む。
【0058】
用語「予防」とは、本発明に記載の化合物又は製剤を投与して疾患又は前記疾患関連の1つ以上の症状を予防することを意味し、且つ、哺乳類において疾患又は疾患状態の発生を予防し、特に、当該哺乳類が前記疾患状態に罹りやすいが、そのような疾患状態にすでに罹患していることがまだ診断されていない場合、予防することを含む。
【0059】
薬物又は薬理活性剤について、用語「治療有効量」は、無毒なのに望ましい効果を達成可能な薬物・薬剤の十分な投与量を意味する。有効量の決定は、個人差があり、受験者(個体、対象)の年齢及び一般的な状況に依存し、具体的な活性物質にも依存して変化し、個別のケースに適合な有効量は、当業者により通常の実験に基づいて決定される。
【0060】
本発明に係る結晶形の治療有効量は、約0.0001~20mg/kg体重/日、例えば0.001~10mg/kg体重/日である。
【0061】
本発明に係る結晶形の投与頻度は、患者個体(対象)のニーズにより決められ、例えば、1日に1回か2回以上の複数回投与する。投与は断続的にしてもよく、例えば、数日間の期間において、患者がある結晶形の1日投与量を受け取り、その後数日間の期間又はより長い期間において、患者が結晶形の1日投与量を受け取らないようにしてもよい。
【0062】
本発明に用いられる全ての溶剤は、市販品であり、さらなる精製の必要がないままで使用することができる。
【0063】
本出願には下記の略語が用いられており、DMFはN、N-ジメチルホルムアミドを表し、PEは石油エーテルを表し、EAは酢酸エチルを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、THFはテトラヒドロフランを表し、DCMはジクロロメタンを表し、HATUは、2-(7-オキシベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表す。
【0064】
技術的効果
本発明に係る結晶形は、良好な薬理活性を有すると共に高湿・高温又は光照射の条件下での良好な安定性を有し、その良好な薬学的性質及び創薬可能性が比較的高い見通しを有することが裏付けられている。
【0065】
以下、実施例により本発明を詳細に説明し、本発明に対していかなる限定を意味するものではない。本明細書で本発明を詳細に説明し具体な実施形態をも開示したが、当業者にとって本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の具体的な実施形態に対する様々な変更や修正は、明らかであろう。
【実施例】
【0066】
【0067】
工程A:窒素雰囲気下で500mLの一口フラスコにDMF(100mL)、2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル(8.0g)、ヨードメタン(8.15g)を加え、氷浴中に水素化ナトリウム(2.87g)をバッチで加えた後、反応系を室温まで加温して2.5時間反応させ、反応終了後氷水400mLに徐々に注ぎ入れてクエンチし、酢酸エチル(2×300mL)で抽出し、有機層を合わせ、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)により分離し、1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル(4.87g)を得た。1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):δ 6.44(s, 1H), 4.15(q, J = 7.5Hz, 2H), 3.44(s, 3H), 2.39(s, 3H), 2.09(s, 3H), 1.25(t, J = 7.0Hz, 3H). 13C-NMR (125MHz, DMSO-d6):δ 165.63, 136.13, 120.78, 118.91, 110.56, 58.76, 33.58, 14.85, 12.93, 11.60. MS(ESI+,[M+H]+)m/z: 182.3.
【0068】
工程B:窒素雰囲気下で500mLの三口フラスコにTHF(150mL)、1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル(15.0g)、5-アミノ-2-フルオロベンゾニトリル(14.08g)を加え、氷浴中にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(27.7g、THF溶液166mL)を徐々に滴下した後、反応系を室温まで加温して16.0時間反応させた。反応終了後氷水500mLに徐々に注ぎ入れてクエンチし、酢酸エチル(2×400mL)で抽出し、有機層を合わせ、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)により分離し、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(6.73g)を得た。1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):δ 9.64( s, 1H ), 8.18( t, J= 3.5Hz, 1H ), 7.93-7.96( m, 1H ), 7.48( t, J= 9.0Hz, 1H ), 6.49( s, 1H ), 3.47( s, 3H ), 2.30( s, 3H ), 2.10( s, 3H ). 13C-NMR (125MHz, DMSO-d6):δ 165.51, 159.30, 157.15, 137.56, 131.76, 126.97, 123.33, 120.33, 117.39, 116.77, 114.59, 100.19, 33.53, 11.63. MS(ESI-,[M-H]-)m/z: 270.2.
【0069】
工程C:窒素雰囲気下で500mLの一口フラスコにDCM(240mL)、(N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(5.0g)、クロロシュウ酸モノエチル(monoethyl chlorooxalate)(7.55g)を加え、氷浴中に塩化アルミニウム(12.29g)をバッチで加えた後、反応系を室温まで加温して15.0時間反応させた。反応終了後、氷水300mLに徐々に注ぎ入れてクエンチし、DCM(2×300mL)で抽出し、有機層を合わせ、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、ろ液を減圧下で溶媒を留去して得られた粗生成物に酢酸エチル(45mL)を加え、室温で1.0時間叩解し、吸引ろ過し、ろ過ケーキを真空乾燥して2-(4-((3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-イル)-2-オキソ酢酸エチル(4.25g)を得た。MS( ESI-,[M-H]-) m/z: 370.2.
【0070】
工程D:氷浴中に100mLの一口フラスコにメタノール(30mL)、2-(4-((3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-イル)-2-オキソ酢酸エチル(4.00g)、水酸化ナトリウム(0.862g)の水(30mL)溶液を加えた後、反応系を室温まで加温して2.0時間反応させた。反応液に水(200mL)及びDCM(150mL)を加え、層分けし、有機層を除去し、水層を濃塩酸でpHを約2まで調整し、酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、有機層を合わせ、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、ろ液の溶媒を減圧留去し、2-(4-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-イル)-2-オキソ酢酸(3.25g)を得た。1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):δ 10.32( s, 1H ), 8.19-8.21( m, 1H ), 7.93-7.97( m, 1H ), 7.52(t, J= 9.0Hz, 1H ), 3.81( s, 3H ), 2.36( s, 3H ), 2.27( s, 3H ). 13C-NMR (125MHz, DMSO-d6):δ 178.85, 167.79, 163.98, 159.67, 157.66, 141.31, 136.80, 130.95, 127.26, 123.84, 117.60, 114.43, 100.41, 60.21, 33.73, 21.22, 14.55.
【0071】
工程E:50mLの一口フラスコにDMF(3.0mL)、2-(4-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-イル)-2-オキソ酢酸(100mg)、HATU(138mg)、DIPEA(83mg)を順次加え、さらに(S)-1,1,1-トリフルオロイソプロピルアミン塩酸塩(56mg)を加え、室温で2.5時間撹拌した。反応液に水(50mL)を加え、酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、有機層を合わせ、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)により分離し、(S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,2,4-トリメチル-5-(2-オキソ-2-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)アセチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(54mg)を得た。1H-NMR(500MHz, DMSO-d6):δ 10.31( s, 1H ), 9.38( d, J= 9.0Hz, 1H ), 8.19-8.21( m, 1H ), 7.93-7.97( m, 1H), 7.51( t, J= 9.5Hz, 1H ), 4.68-4.75( m, 1H ), 3.79( s, 3H ), 2.36( s, 3H ), 2.21( s, 3H ), 1.31( d, J= 7.0Hz, 3H ).13C-NMR (125MHz, DMSO-d6):δ 180.80, 167.24, 164.08, 159.66, 157.65, 140.92, 136.82, 130.81, 127.31, 125.02, 123.81, 120.71, 117.58, 114.44, 100.40, 46.04, 33.66, 13.75, 11.57. MS(ESI-,[M-H]-) m/z: 437.3.
【0072】
実施例2 式Iの化合物の結晶形Iの製造
室温で式Iの化合物100gを無水メタノール500mLに加えて再結晶して白色固体を多量に析出させ、吸引ろ過し、ろ過ケーキを無水メタノールでリンスし、50℃で8時間送風乾燥して、式Iの化合物の結晶形Iのオフホワイトの固体79gを得た。サンプルを
図1に示すようにXRPD検出を行い、
図2に示すようにDSC検出を行った。
【0073】
実施例3 式Iの化合物の結晶形Iの製造
室温で式Iの化合物400mgをアセトニトリル5mLに加えて20分間撹拌して清澄化させ、精製水25mLを滴下して白色固体を多量に析出させ、吸引ろ過し、ろ過ケーキを60℃で6時間送風乾燥して、式Iの化合物の結晶形Iのオフホワイトの固体303mgを得た。
【0074】
実施例4 式Iの化合物の結晶形IIの製造
室温で式Iの化合物10gをアセトン200mLに加えて撹拌して清澄化させ、精製水250mLを徐々に滴下して白色固体を多量に析出させ、吸引ろ過し、ろ過ケーキを60℃で7時間送風乾燥して、式Iの化合物の結晶形IIのオフホワイトの固体7.2gを得た。サンプルを
図3に示すようにXRPD検出を行い、
図4に示すようにDSC検出を行った。
【0075】
実験例1 結晶形の安定性実験
1.1 サンプル調製
実施例2で調製された式Iの化合物の結晶形I、実施例4で調製された式Iの化合物の結晶形IIを、それぞれ500mg秤量し、それぞれ乾燥清浄な秤量瓶に入れ、薄層に広げて被験サンプルとした。サンプルは、影響因子試験条件(40℃、60℃、75%RH、92.5%RH、高温高湿(40℃、75%RH))に放置して完全に暴露された。10日目、30日目にサンプリングして分析した。サンプルは、室温で光照条件(可視光1200,000Lux・hr、紫外光216W・hr/m2)に放置して完全に暴露された。
【0076】
1.2 機器と分析方法
クロマトグラフカラムはAgilent AdvanceBio Peptide C18カラム(4.6mm×150mm、3.5μm)を用いた。
水分の含有量は、Mettler V20型水分計で測定した。
【0077】
1.3 サンプル溶液の調製
サンプルを約10mg取り出し、希釈剤であるアセトニトリル-水(70:30)適量に溶解した。関連物質の濃度を検出するために用いた。
【0078】
【0079】
表3-1の結果から、結晶形Iの関連物質と水分が上記の複数の考察項目において安定していることが示され、該結晶形が良好な高湿・高温安定性/光照安定性を持つことが裏付けられている。
【0080】
【0081】
表3-2の結果から、結晶形IIの関連物質と水分が上記の複数の考察項目において安定していることが示され、該結晶形が良好な高湿・高温安定性/光照安定性を持つことが裏付けられている。
【0082】
実験例2 インビトロ活性の研究
2.1 インビトロ細胞HBV DNA阻害活性
指数増殖期における状態が良好なHepG2.2.15細胞(Wuhan Institute of Virology)又はHepAD38細胞をボトル1本で取り、PBS 5mLを加えて1回洗浄した後、トリプシン3mLを加えた。室温で5分間消化した後、2mLのトリプシンを廃棄し、細胞培養インキュベーターに入れて10分間消化し、細胞を取り出し、顕微鏡下で観察(細胞が単一の円形であるかどうか、細胞間に接着がなかったかどうか)を行った後、完全培地10mLを加えて消化を停止した。単細胞懸濁液になるようにピペッティングした後、細胞懸濁液10μLを取り出してセルカウンターで細胞数を計数し、完全培地で希釈し、細胞密度を1×105個細胞/mLに調整した。次に、マルチチャンネルピペットを用いて細胞懸濁液を24ウェルプレートに1mL/ウェルで播種し(24ウェルプレートに対して予め50μg/mLコラーゲンI(Collagen I)溶液で被覆した)、恒温CO2インキュベーターに48時間インキュベートした。
【0083】
DMSOに溶解させた化合物を、完全培地を用いて2倍勾配で希釈して合計10個の濃度にし、化合物のサンプルをローディングし、72時間ごとに化合物含有新鮮培地を交換し、細胞を化合物で6日間処理した。上清を吸い出した後、各ウェルに溶解液(10 mM Tris-HCl、1mM EDTA、及び1%NP-40)300μLを加え、室温で10分間放置して溶解した後、DNAを抽出し、リアルタイム蛍光定量PCR計で細胞内ウイルスキャプシド中のHBV DNAを測定し、Ct値から阻害率を算出し、EC50値は4パラメーター法で算出した。結果を表4及び表5に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
2.2 インビトロ細胞毒性
指数増殖期における状態が良好なHepG2.2.15細胞(Wuhan Institute of Virology)又はHepAD38細胞をボトル1本で取り、PBS 5mLを加えて1回洗浄した後、トリプシン2mLを加えた。細胞インキュベーターに入れて消化を行い、時々取り出して顕微鏡下で観察し、細胞が脱落した直後に、1mLのトリプシンを廃棄し、残液のみを残し、37℃のインキュベーターに入れて8~15分間消化し、顕微鏡下に取り出して細胞を観察し(細胞が単一の円形であるかどうか、細胞間に接着がなかったかどうか)、MEM培地5mLを加えて細胞を再懸濁した。セルカウンターで細胞数を計数し、完全培地で希釈し、細胞密度を2×105個細胞/mLに調整した。マルチチャネルピペットを用いて96ウェルプレートに100μL/ウェルで接種し(96ウェルプレートに対して予め50μg/mLコラーゲンI溶液で被覆した)、恒温CO2インキュベーターに置いて24時間インキュベートし、投薬処理し、化合物含有新鮮培地を3日間ごとに交換し、薬物を含まないDMSO濃度が0.5%である培地を対照ウェルに加え、また通常の培地での対照ウェルを設け、投与処理6日間後、10μL/ウェルでCCK-8を加え、1~2時間後マイクロプレートリーダーにより450nmでの吸光値を検出し、阻害率を算出し、且つCC50を算出した。結果を表6に示す。
【0087】
【0088】
2.3 CYP450酵素誘導研究
500μLの最終インキュベーション系には、ヒト肝ミクロソーム(タンパク質濃度:0.2mg/mL、Corning)50μL、混合CYP450特異的基質(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4)1μL、PBSバッファー(PH7.4)398μL、特異的陽性阻害剤(陽性対照群)1μL又は被験化合物(アセトニトリルで調製)1μL、及びNADPH+MgCl2 50μLが含まれていた。各CYP450サブタイプ(亜型)に対して、それぞれ0.5mLの重複したインキュベーション系を作成した。各チューブに予め基質と酵素と均一に混合された溶液(総体積450μL)をよく配合し、NADPH溶液とそれぞれ37℃で5分間プレインキュベートした後、NADPH+MgCl2の混合溶液50μLを加えて反応させ、30分で反応液50μLを取り出し、内部標準物質含有氷アセトニトリル300μLで反応を停止した。また、NADPHを加えずに、2つのブランク対照群を500μLずつ平行して作製して陰性対照群とした。
【0089】
サンプル前処理:インキュベートしたサンプル50μLに、内部標準物質含有アセトニトリル300μLを加えて沈殿させ、5分間ボルテックスした後、サンプルを10分間遠心分離(12,000rpm、4℃)した。上清75μLをピペットで吸引して取り、超純水75μLで希釈して均一に混合し、得られた溶液1μLを検体として注入し分析した。結果を表7に示す。
【0090】
【0091】
2.4 血漿タンパク質結合試験
血漿サンプルの調製:対応する種(マウス、ラット、イヌ、サル及びヒト)のブランク血漿495μLをそれぞれ採取し、対応する被験化合物溶液又は陽性対照5μLを加え、化合物の血漿薬物濃度がそれぞれ1μM、10μM(アセトニトリルで調製)となるように血漿サンプル溶液を得た。
【0092】
よく前処理された透析膜をハイスループット平衡透析装置に入れ、それぞれ100μLの血漿サンプル溶液とPBSバッファー溶液を吸引して取り、透析膜の両側(サンプル側とバッファー側)に加え(n=3)、平衡装置をフィルムで密封した後、37℃で一晩インキュベートし(100rpm)、透析平衡に達した後、それぞれサンプル側とバッファー側からサンプル50μLを吸引して取り、内部標準物質含有氷アセトニトリルで反応を停止させた。
【0093】
サンプル前処理:血漿側のサンプル50μLに、内部標準物質含有アセトニトリル450μLを加えて沈殿させ、5分間ボルテックスした後、サンプルを10分間遠心分離(12,000rpm、4℃)した。上清75μLをピペットで吸引して取り、超純水75μLで希釈して均一に混合し、得られた溶液1μLを検体として注入し分析した。PBS側のサンプル50μL、内部標準物質含有氷アセトニトリル250μLを加えてを沈殿させ、5分間ボルテックスした後、サンプルを10分間遠心分離(12,000rpm、4℃)した。上清75μLをピペットで吸引して取り、超純水75μLで希釈して均一に混合し、得られた溶液2μLを検体として注入し分析した。結果を表8に示す。
【0094】
【0095】
実験例3 インビトロ肝ミクロソームの安定性
最終インキュベーション系300μLには、肝ミクロソーム(タンパク質濃度:0.15mg/mL、Corning)30μL、NADPH+MgCl2 30μL、基質(アセトニトリルで調製)3μL、及びPBSバッファー237μLが含まれていた。各種に対して、それぞれ0.3mLの重複したインキュベーション系を作成した。各チューブに予め基質と酵素と均一に混合された溶液(総体積270μL)をよく配合し、NADPH溶液とそれぞれ37℃で5分間プレインキュベートした後、NADPH+MgCl2の混合溶液30μLを加えて反応させ、それぞれ0、10、30、60分間で反応液50μLを取り出し、内部標準物質含有氷アセトニトリル300μLで反応を停止した。
【0096】
サンプル前処理:インキュベートしたサンプル50μLに、内部標準物質であるジアゼパム含有アセトニトリル300μLを加えて沈殿させ、5分間ボルテックスした後、サンプルを10分間遠心分離(12,000rpm、4℃)した。上清75μLを96ウェルプレートに吸引して取り出し、超純水75μLで希釈して均一に混合し、0.5μLを検体として注入してLC-MS/MS分析を行った。結果を表9に示す。
【0097】
【0098】
実験例4 pH7.4でのPBS緩衝液への溶解度
最終系1000μLには、pH7.4のPBS緩衝液990μL、被験化合物(アセトニトリルで調製)10μLを含んでいた。25℃で16時間静置した後、遠心分離(12,000rpm、室温)を10分間行い、上清20μLを取り出し、内部標準物質(ジアゼパム20ng/mL)含有アセトニトリル400μLで反応を停止した。上清30μLを吸引して取り、50%アセトニトリル水溶液150μLで希釈して均一に混合し、得られた溶液0.5μLをサンプル注入して分析した。結果を表10に示す。
【0099】
【0100】
実験例5 インビボ動物薬効
5.1 AAVマウスモデルによる抗ウイルス効果の評価
6~8週齢の雄C57BL/6マウス(Shanghai Lingchang Biotechnology Co., Ltd.)を取り、用量1×1011vgでrAAV8-1.3HBVウイルス(Beijing FivePlus Gene Technology Ltd.、adrサブタイプ)を、C57BL/6マウスに尾静脈注射した。ウイルス注射後2週目、4週目にマウスの眼窩から採血し、血清を分離し、血清中のHBeAgとHBsAgの発現レベル、及びHBV DNAコピー数を検出し、モデル構築の成否について評価した。血清学的HBeAg、HBsAg、及びHBV DNAの定量的検出の結果と組み合わせると、選択したマウスのそれぞれのHBV DNA発現レベルは1×104IU/mLを超え、HBeAg発現レベルは1×103NCU/mLを超え、HBsAg発現レベルは1×103ng/mLを超えた。マウスをブランク対照群、溶媒対照群、被験物質群として群分けた。各群のマウスには、1日1回で連続的に2~3週間胃内投与した。実験中、1週間おきに眼窩から採血し、血清を分離し、蛍光定量PCR法によりDNA含有量を検出した。結果を表11に示す。
【0101】
【0102】
5.2 HDIマウスモデルによる抗ウイルス効果の評価
6~8週齢の雄C57BL/6マウス(Shanghai Lingchang Biotechnology Co., Ltd.)を取り、精製した組換えプラスミドpHBVl.3(10μg)をPBSに溶解し、各マウスに対してそれぞれの体重の約10%である体積量で3~8秒以内に尾静脈注射した。プラスミド注射24時間後に、マウスの眼窩から採血し、血清HBV DNAを検出し、血清DNAの均一なモデルマウスを選択し、ブランク対照群、溶媒対照群、及び被験物質群として分けた。各群のマウスには、用量30mg/kgで1日1回で連続的に6日間胃内投与した。注射後の1、3、5、7日間に、マウス血清をそれぞれ採取し、7日目にマウスを犠牲にさせて肝臓組織サンプルを採取し、蛍光定量PCR法によりマウス血清と肝臓中のHBV DNAコピー数を検出した。結果を表12に示す。
【0103】
【0104】
実験例6 インビボ薬物動態学
6.1 ラットのインビボ薬物動態学的(PK)研究
体重180~220gのSDラット(Shanghai Xipuer-Bikai Laboratory Animal Co., Ltd.)を用い、3日~5日間適応性飼育を行った後、群ごとに3匹で無作為に群分け、それぞれ一連の化合物を用量20mg/kgで胃内投与した。
被験動物(SDラット)には、投与前12時間から絶食させ、投与後4時間から給餌し、実験前後も実験中も自由に水を飲んだ。
【0105】
投与後、0分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、24時間、30時間、48時間の時点で眼窩から約0.2mLの血液を採取し、EDTA-K2で抗凝固した後、30分間以内に4℃、4,000rpmで10分間遠心分離して血漿を分離した。すべての血漿を採取した直後、すぐに-20℃で保存して測定用に用意した。
【0106】
50μLの被験血漿サンプルと検量線サンプルをピペットで吸引して取り、内部標準物質(ジアゼパム:20mg/mL)含有アセトニトリル溶液500μLを加え、得られた混合物を振動させて5分間均一に混合し、その後12,000rpmで10分間遠心分離し、上清75μLを取り、超純水75μLで希釈し、均一に混合し、得られた溶液1μLをピペットで吸引し取ってLC/MS/MS測定に用いた。結果を表13に示す。
【0107】
【0108】
6.2 ビーグル犬のインビボ薬物動態学的(PK)研究
ビーグル犬は、体重9~11kgであり、群ごとに3匹で無作為に2群に分け、それぞれ式Iの化合物を用量5mg/kgで胃内投与した。
被験動物(ビーグル犬)には、投与前12時間から絶食させ、投与後4時間から給餌し、実験前後も実験中も自由に水を飲んだ。
【0109】
胃内投与後、0分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、24時間、48時間、72時間の時点で、EDTA-K2抗凝固真空採血管内に、左前肢静脈から全血0.5mL程度を採取し、30分間以内に4℃、4,000rpmで10分間遠心分離して血漿を分離した。すべての血漿を採取した直後、すぐに-20℃で保存して測定に用意した。すべての血漿を採取した直後、すぐに-20℃で保存して測定に用意した。
【0110】
50μLの被験血漿サンプルと検量線サンプルをピペットで吸引して取り、内部標準物質(ジアゼパム:20mg/mL)含有アセトニトリル溶液500μLを加え、得られた混合物を振動させて5分間均一に混合し、その後12,000rpmで10分間遠心分離し、上清75μLを取り、超純水75μLで希釈し、均一に混合し、得られた溶液1μLをピペットで吸引し取ってLC/MS/MS測定に用いた。結果を表14に示す。
【0111】