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特許7660107NANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】NANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20250403BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20250403BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20250403BHJP
   G11C 16/22 20060101ALI20250403BHJP
   G06F 11/14 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
G06F12/00 560A
G11C5/14 100
G11C16/04 170
G11C16/22 100
G06F12/00 597U
G06F11/14 641A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022520756
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2020013497
(87)【国際公開番号】W WO2021066620
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0123136
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】シン サン フン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ヒョン キ
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-108219(JP,A)
【文献】特開2008-046728(JP,A)
【文献】特開2004-145584(JP,A)
【文献】特開2016-218973(JP,A)
【文献】特開2005-327210(JP,A)
【文献】特開平04-354011(JP,A)
【文献】特開2013-115866(JP,A)
【文献】特開2000-278885(JP,A)
【文献】特開2000-087794(JP,A)
【文献】特開2003-241863(JP,A)
【文献】国際公開第2006/033155(WO,A1)
【文献】特開2004-259093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G11C 5/14
G11C 16/04
G11C 16/22
G06F 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NANDフラッシュメモリと、
NANDフラッシュメモリにデータを書き込み、読み出し、削除するための命令信号を生成するコントローラと、
供給電源の電圧が既に設定された電圧未満となる第1時点から、前記第1時点より前から前記NANDフラッシュメモリで実行中のプログラム動作又は削除動作が完了するまでの時間である第1時間の間前記NANDフラッシュメモリを動作させるための電力を維持する補助電源回路と、を含み、
前記コントローラは、前記第1時間の間、前記命令信号を遮断し、
前記コントローラは、前記NANDフラッシュメモリの動作が完了したことに基づいて、前記NANDフラッシュメモリのパワーオフシーケンスを実行する、NANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項2】
前記第1時点に前記NANDフラッシュメモリでプログラム動作または削除動作が実行中である場合、前記補助電源回路は、前記NANDフラッシュメモリのプログラム動作又は削除動作を完了するための補助電源を供給する、請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項3】
前記第1時点に前記NANDフラッシュメモリで実行中であるプログラム動作または削除動作に基づいた電子移動中である場合、前記補助電源回路は、前記NANDフラッシュメモリのプログラム動作又は削除動作の完了のための補助電源を供給する、請求項2に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項4】
前記供給電源に連結され、前記NANDフラッシュメモリ及びコントローラに電力を供給するPMIC(Power Management IC)を含む、請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項5】
前記補助電源回路は、前記PMICと前記NANDフラッシュメモリとの間に配置される、請求項に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項6】
前記供給電源の電圧レベルを検出する入力電圧検出部を含み、
前記補助電源回路は、前記PMICの電源入力端に連結される、請求項に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項7】
前記入力電圧検出部を介して検出された前記電圧レベルを前記コントローラに伝達する検出信号伝達部を含む、請求項に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項8】
前記検出信号伝達部は、第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、及びトランジスタを含む、請求項に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項9】
前記第1抵抗の一端は、前記入力電圧検出部の出力端に連結され、
前記第1抵抗の他端は、前記第3抵抗の一端及び前記トランジスタのベースに連結され、
前記第2抵抗の一端は、前記PMICの電源端子に連結され、
前記第2抵抗の他端は、前記トランジスタのコレクタ及び前記コントローラの信号入力端に連結され、
前記第3抵抗の一端は、前記第1抵抗の一端及び前記トランジスタのベースに連結され、
前記第3抵抗の他端は、前記トランジスタのエミッタ及び接地端に連結される、請求項8に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項10】
前記供給電源と前記PMICとの間に配置されるレギュレータを含み、
前記補助電源回路は、前記レギュレータと前記PMICとの間に配置される、請求項に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項11】
前記コントローラは、ACC ON状態における前記供給電源の電圧変化は無視する、請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項12】
記電力が維持されている間に前記供給電源の電圧が既に設定された電圧に回復すると、前記NANDフラッシュメモリリセットされる、請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項13】
前記コントローラは、ACC OFFが検出された時点から一定時間が経過すると、前記供給電源の電圧変化に基づいて前記NANDフラッシュメモリの動作を制御する、請求項1に記載のNANDフラッシュメモリ素子の制御装置。
【請求項14】
供給電源の電圧を検出するステップと、
前記検出された電圧が既に設定された電圧未満の場合、メモリへのアクセスを中止するステップと、
前記検出された電圧が既に設定された電圧未満となる第1時点から、前記第1時点より前から前記メモリで実行中のプログラム動作又は削除動作が完了するまでの時間である第1時間の間、メモリに補助電源を供給するステップと、
前記メモリの動作が完了したことに基づいて、前記メモリのパワーオフシーケンスを実行するステップと、を含み、
前記メモリへのアクセスを中止するステップは、前記メモリの動作制御のための命令信号の出力を遮断するステップを含む、NANDフラッシュメモリ素子の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、NANDフラッシュメモリ素子の制御装置に関し、特に、電源瞬断などの電源の不安定環境で発生するデータの破損を防止できるNANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気的にプログラム(program)と消去(erase)が可能であり、一定周期でデータ(data)を再作成するリフレッシュ(refresh)機能を必要としない不揮発性メモリ素子の需要が増加している。そして、多くのデータを保存できる大容量メモリ素子の開発のために、メモリ素子の高集積化技術に関する研究が盛んに行われている。ここで、「プログラム」とは、データをメモリセルに書き込む(write)動作を意味し、「消去」とは、メモリセルに書き込まれたデータを削除する動作を意味する。
【0003】
この結果、不揮発性メモリ素子の高集積化のために複数のメモリセル(memory cell)が直列に接続(即ち、隣接するセル同士でドレイン(drain)又はソース〈source〉を共有し合う構造)されて、一つのストリング(string)をなすNANDフラッシュメモリ素子が提案された。NANDフラッシュメモリ素子は、ノアフラッシュメモリ素子〈NOR type flash memory device〉とは異なり、順に情報を読み出し(read)するメモリ素子であって、ファウラー-ノルドハイム(Fowler-Nordheim;FN)トンネリング(tunneling)方式を利用してフローティングゲート〈floating gate〉に電子を注入又は放出しながらメモリセルの閾値電圧(threshold voltage)を制御する方式でプログラム及び消去動作を行う。
【0004】
したがって、消去されたセルは、フローティングゲートの電子が放出され、負(negative)の閾値電圧を有し、このとき消去されたセルの位相(state)をオンセル(on-cell)と言う。そして、プログラムされたセルは、フローティングゲートに電子が注入されて、正(positive)の閾値電圧を有し、このときプログラムされたセルの位相をオフセル(off-cell)と言う。
【0005】
一方、近年、無線通信とGPS(Global Positioning System)技術が結合されて、自動車において位置情報、安全運転、娯楽、金融サービス、予約及び商品購買などの多様な移動通信サービスを提供するためのテレメティクスが適用されている。そして、前記テレメティクスは、上記のようなNANDフラッシュメモリ素子を備えており、これにより、走行中に発生したデータをリアルタイムでプログラムする。
【0006】
また、テレメティクスで安全に関連したeCall機能は、深刻な事故が発生した時、ヨーロッパの単一緊急状況電話番号である112に自動的に通話連結を試みる。このとき、運転者が意識を失ったり直接電話をかけることができない場合、このようなeCall機能は、車両の位置、タイプ、色、及び乗客の数を自動的に応急サービスセンターに提供することになる。ほとんどの国では、eCallに類似した車両事故時に動作する応急サービスシステムを構築しており、このような機能は、人命に関連するので、高い信頼性が要求される。
【0007】
しかし、上記のようなテレメティクスに適用されるNANDフラッシュメモリ素子は、電源不安定状態でチャージゲインなどのデータ破損が発生するという問題がある。即ち、テレメティクス製品に適用されたNANDフラッシュメモリ素子の構造的脆弱点であるチャージゲインにより、電源瞬断時にデータ破損不良が断続的に発生して、信頼性に根本的な脆弱点を有しており、これによりeCall機能を正常に行うことができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施例では、電源瞬断時に発生するチャージゲインによるデータ破損を源泉的に解決できるNANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法を提供する。
【0009】
また、実施例では、電源瞬断検出時にメモリアクセスを遮断して、電源瞬断時点にメモリが動作することにより発生し得る問題を解決できるNANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法を提供する。
【0010】
また、実施例では、電源瞬断検出時点にNANDフラッシュの動作が進行中である場合、前記進行中の動作が完了するまで補助電源を供給して、前記NANDフラッシュのプログラム動作又は消去動作中に電源が遮断されることにより発生するチャージゲインによるデータ破損を解決できるNANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法を提供する。
【0011】
また、実施例では、電源瞬断検出時にフラッシュメモリのパワーオフシーケンスを進行し、正常な電源検出時にパワーオンシーケンスを進行するようにして、前記電源の回復時に前記フラッシュメモリが正常に動作できるようにしたNANDフラッシュメモリ素子の制御装置及びその制御方法を提供する。
【0012】
本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施例に係るNANDフラッシュメモリ素子の制御装置は、NANDフラッシュメモリと、NANDフラッシュメモリにデータを書き込み、読み出し、削除するための命令信号を生成するコントローラと、供給電源の電圧が既に設定された電圧未満となる第1時点から第1時間の間に前記メモリ及びコントローラを動作させるための電力を維持する補助電源回路と、を含み、前記コントローラは、前記第1時間の間に前記命令信号を遮断し、前記メモリは、前記第1時間後の第2時点から少なくとも第2時間の間に電源供給が遮断される。
【0014】
また、前記第1時点が前記メモリのプログラム動作時間tPROG又は削除動作時間tBERSである場合、前記補助電源回路は、前記メモリのプログラム動作又は削除動作の完了のための補助電源を供給する。
【0015】
また、前記第1時間は、前記第1時点以前に前記メモリで行う中であったプログラム動作又は削除動作が完了されるまでの時間である。
【0016】
また、NANDフラッシュメモリ素子の制御装置は、前記供給電源に連結され、前記メモリ及びコントローラに電力を供給するPMIC(Power Management IC)を含む。
【0017】
また、前記補助電源回路は、前記PMICと前記メモリとの間に配置される。
【0018】
また、前記コントローラは、前記少なくとも第2時間の間に電源供給が遮断された後、前記メモリに電力が供給されるようにPMICを制御する。
【0019】
また、前記供給電源の電圧レベルを検出する入力電圧検出部を含み、前記補助電源回路は、前記PMICの電源入力端に連結される。
【0020】
また、前記入力電圧検出部は、前記補助電源回路の入力端の電圧レベルを検出する。
【発明の効果】
【0021】
実施例によると、入力電源の不安定な状態を検知し、これに基づいてNANDフラッシュメモリ素子の動作を制御することにより、前記入力電源の不安定な状態でNANDフラッシュメモリ素子が動作することにより発生し得るデータ破損などの不良を事前に防止することができる。具体的に、実施例によると、入力電源が不安定な場合、フラッシュアクセスを遮断することにより、前記入力電源の不安定な環境でのNANDフラッシュメモリ素子の誤動作を防止することができる。
【0022】
また、実施例によると、電源瞬断検出時点にNANDフラッシュメモリ素子の動作が進行中である場合、前記進行中の動作が完了するまで補助電源を供給して、前記NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作又は削除動作中に電源が遮断されることにより発生するチャージゲインによるデータ破損を解決することができ、これによるNANDフラッシュメモリ素子の動作信頼性を向上させることができる。
【0023】
また、実施例によると、電源瞬断検出時にNANDフラッシュメモリ素子のパワーオフシーケンスを進行し、正常な電源検出時にパワーオンシーケンスを進行することにより、前記入力電源の回復時に前記フラッシュメモリが正常に動作することによる動作信頼性及びユーザ満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】NANDフラッシュメモリ素子のメモリセルの構造を説明する図である。
図2図1のメモリセルアレイを示す等価回路図である。
図3】NANDフラッシュメモリ素子のプログラム及び削除動作を模式的に説明する図である。
図4】NANDフラッシュメモリ素子の削除動作を示す図である。
図5】NANDフラッシュメモリ素子におけるチャージゲインを説明する図である。
図6】第1実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの構成を示すブロック図である。
図7図6に示したNANDフラッシュメモリシステムの変形例を説明する図である。
図8図6に示したNANDフラッシュメモリシステムの変形例を説明する図である。
図9】実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの動作方法を段階別に説明するための図である。
図10】入力電圧の変化によるパワーシーケンスを示す図である。
図11】入力電圧の変化によるパワーシーケンスを示す図である。
図12】実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの制御方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
図13】実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの制御方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
図14】車両始動時の入力電圧の変化を示す図である。
図15】実施例に係るメモリ保護機能の活性化方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0026】
但し、本発明の技術思想は、説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され得るものであり、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間のその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使用することができる。
【0027】
また、本発明の実施例で使用される用語(技術及び科学的用語を含む)は、明らかに特別に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者に一般的に理解される意味として解釈され得るものであり、事前に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮して、その意味を解釈できるであろう。
【0028】
また、本発明の実施例で使用される用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は、フレーズで特に言及しない限り、複数形も含むことができ、「A及び(と)B、Cのうち少なくとも一つ(又は一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cに結合できるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0029】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番又は順序などに限定されない。そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結、結合又は接続される場合のみならず、その構成要素とその他の構成要素との間にある別の構成要素によって「連結」、「結合」又は「接続」される場合も含むことができる。
【0030】
また、各構成要素の「上(うえ)又は下(した)」に形成又は配置されることが記載される場合には、上(うえ)又は下(した)は、二つの構成要素が互いに直接接触される場合のみならず、一つ以上の別の構成要素が二つの構成要素の間に形成又は配置される場合も含む。また、「上(うえ)又は下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準に上方向のみならず、下側方向の意味も含むことができる。
【0031】
図1は、NANDフラッシュメモリ素子のメモリセルの構造を説明する図である。
【0032】
図1を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子の動作は、削除(resase)、プログラム(program)、及び読み出し(read)の三つの演算で構成される。
【0033】
NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作は、ページ(page)単位で行われる。
【0034】
前記プログラム動作では、メモリセル(memory cell)のコントロールゲート(CG:Control Gate)に一定電圧(例えば、19V)を印加することにより電子がフローティングゲート(FG:Floating Gate)10の方向に移動する。このとき、メモリセル(memory cell)の状態がOFF TR又はOFF cell状態となり、正(+)の閾値電圧Vtとなる。このとき、フラッシュメモリ素子のプログラム動作は、一度で終わるのではなく、複数のステップにわたって行われることがあり、前記コントロールゲートに印加される電圧を上昇させて所望のデータのプログラムを行うことができる。
【0035】
また、NANDフラッシュメモリ素子の削除動作は、ブロック(block)単位で行われ、セル(cell)を0から1に変えることを意味することができる。
【0036】
このとき、NANDフラッシュメモリ素子の削除動作を行うためには、Pサブストレート(P substrate)で一定電圧(例えば、20V)を印加することによりメモリセル(memory cell)のフローティングゲート10にある電子が下方向にF-Nチューンリング(Tunneling)効果によって移動する。そして、削除されたメモリセルは、フローティングゲート10の電子が放出されて、負(-)の閾値電圧Vtを有することができる。このとき、削除されたメモリセルの状態をON TR又はON cell状態と言うことができる。
【0037】
また、NANDフラッシュメモリ素子の読み出し動作は、メモリセルの状態がOn TR又はOff TR状態であるかを確認してデータを1又は0に出力する動作を意味する。
【0038】
図2は、図1のメモリセルアレイを示す等価回路図である。
【0039】
図2を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子のメモリセルアレイは、複数のブロック(block)からなる。そして、各ブロックには複数のビットラインBL0~BLnが並列に配置される。
【0040】
また、各ブロックには、複数のビットラインBL0~BLnにそれぞれ対応する複数のストリング(string)が配置される。それぞれのストリングは、該当ストリングを選択するためのドレイン選択トランジスタ(Drain Select Transistor、DST)及びソース選択トランジスタ(Source Select Transistor、SST)を含むことができる。また、ドレイン選択トランジスタDSTとソース選択トランジスタSSTとの間に直列連結された複数のメモリセルMC0~MCn(ここで、nは15、31、又は63であり得る)からなる。また、各ストリングのソース選択トランジスタSSTのソースは、共通ソースライン(Common Source Line、CSL)と共通連結される。
【0041】
また、複数のストリング内にそれぞれ構成されるドレイン選択トランジスタDSTのゲートは、選択ライン(Drain Select Line、DSL)と連結され、ソース選択トランジスタSSTのゲートは、ソース選択ライン(Sorse Select Line、SSL)と連結される。また、各メモリセルMC0~MCnのコントロールゲート(CG:Control Gate)は、ワードラインWL0~WLnと連結される。
【0042】
このように構成されたメモリセルアレイを備えたNANDフラッシュメモリ素子は、読み出し及びプログラム動作をページ(page)単位で行い、削除動作をブロック単位で行う。ここで、ページ単位は、一つのワードラインにコントロールゲートが共通に連結された全てのメモリセルを含む。
【0043】
図3は、NANDフラッシュメモリ素子のプログラム及び削除動作を模式的に説明する図である。
【0044】
図3を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子のプログラム及び削除動作は、メモリセルの状態を「0」から「1」に変えるか、「1」から「0」に変えることを意味する。
【0045】
図2に示したように、フローティングゲートFGは、コントロールゲートCGとPサブストレートとの間に位置する。ここで、フローティングゲートFGは、酸化物層によって前記コントロールゲートCGやPサブストレートと絶縁されたため、ここに位置した電子は閉じ込められる。このとき、電子がフローティングゲートFGにあるとき、コントロールゲートCGから出てくる電気場に影響を与えて、メモリセルの閾値電圧Vtが変更され得る。即ち、メモリセルの閾値電圧Vtは、0Vを基準に、前記フローティングゲートFGに存在する電子の数に応じて正(+)の値(+Vt)に変更されるか、負(-)の値(-Vt)に変更され得る。
【0046】
このように、コントロールゲートCGに特定の電圧を印加してそのメモリセルの情報を読み出すとき、フローティングゲートFGにある電子の数によって閾値電圧Vtが異なり、これにより電流が流れたり流れない。このような電流の流れの有無が判読され、これはデータ「1」と「0」と解される。また、一つのメモリセルに1ビット以上の情報が保存されるMLC(Multi-level cell)装置では、フローティング(FG)に保存された電子の数を測定するために、単に電流の流れを判断するよりもその量を判読する。
【0047】
図3(a)を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作は、メモリセル(memory cell)のコントロールゲート(control gate)に一定電圧(例えば、19V)を印加することによって電子がフローティングゲート10の方向に移動する。このとき、メモリセル(memory cell)の状態がOFF TR状態となって、正(+)の閾値電圧Vtを有する。
【0048】
即ち、図3(a)のように、コントロールゲートCGに一定電圧を印加することによって、フローティングゲート10に電子が移動し、前記移動する電子の数が増加するにつれて、該当メモリセルの閾値電圧Vtが基準閾値電圧RV以上に増加することがある。そして、前記メモリセルの閾値電圧Vtが基準閾値電圧RV以上に増加する時点に該当メモリセルの状態は「1」から「0」に変更されることがある。ここで、基準閾値電圧RVは、メモリ仕様に応じて多様な値に設定され得る、例えば0Vよりも大きい特定の値に設定され得る。
【0049】
また、図3(b)を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子の削除動作は、Pサブストレート(P substrate)で一定電圧(例えば、20V)を印加することによって、メモリセル(memory cell)のフローティングゲート10にある電子が下方向にF-Nチューネリング(Tunneling)効果によって移動する。
【0050】
即ち、図3(b)のように、削除動作ではフローティングゲートの電子の数が減少するため、これにより、該当メモリセルの閾値電圧Vtは減少することがある。そして、前記メモリセルの閾値電圧Vtが基準閾値電圧RV未満に減少する時点に該当メモリセルの状態は「0」から「1」に変更され得る。
【0051】
上記のように、NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作と削除動作は、図3(a)及び(b)のようにフローティングゲート10に存在する電荷の数によって変化するメモリセルの基準閾値電圧RVを基準に区分され得る。即ち、NANDフラッシュメモリ素子は、メモリセルの閾値電圧Vtが基準閾値電圧RV以上である場合には「0」と認識してプログラム動作を行うようになる。また、NANDフラッシュメモリ素子は、メモリセルの閾値電圧Vtが基準閾値電圧RV未満である場合には、「1」と認識して削除動作を行うようになる。
【0052】
しかし、このようなNANDフラッシュメモリ素子は、上記のようなプログラム又は削除動作によって電子を移動させる過程で電源の不安定条件(例えば、電源の瞬間的な遮断)が発生する場合、データ破損が発生する。即ち、NANDフラッシュメモリ素子は、図3(a)のように電子の移動によりメモリセルの閾値電圧Vtが負(-)の値から正(+)の値に増加する途中又はメモリセルの閾値電圧Vtが正(+)の値から負(-)の値に減少する途中で電源が瞬間的に遮断される場合、前記電源遮断前にプログラム動作を行う中であったか、それとも削除動作を行う中であったかを正確に認識できない場合が発生する。
【0053】
図4は、NANDフラッシュメモリ素子の削除動作を時間の流れ順に示す一実施例を示す図である。
【0054】
図4を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子は、制御部(後述)から入力される制御信号に従って削除動作を行うことができる。前記制御信号は、コマンド信号とアドレス信号とを含むことができる。なお、図4におけるVCCは電源電圧を意味し、VSSはグランド電圧を意味することができる。
【0055】
したがって、図4のサイクルタイプは、各サイクルで入力されるコマンドがコマンドであるかアドレスであるかを示す。例えば、サイクルタイプがコマンド(COMMAND)の場合、現在のデータバスを介して入力されるデータはコマンドであることを示し、アドレス(ADDRESS)である場合、現在のデータバスを介して入力されるデータはアドレスであることを示す。そして、I/O[7:0]はデータバスを示し、レディ(RDY)信号は、NANDフラッシュメモリ素子が準備されているか、または使用中(例えば、削除動作中)であるかを制御部に知らせる信号であり、この信号がLOWレベルとなるtBERSには、NANDフラッシュメモリ素子が現在削除動作が進行中であることを制御部に知らせるものである。即ち、前記NANDフラッシュメモリ素子は、特定の動作を行うビジー(busy)状態になるまでは、前記制御部に連結された複数のピンのうち前記レッド(RDY)信号を伝達するピンの状態をハイ状態に維持させ、前記ビジー状態になる時点にロー状態に変更させることができる。
【0056】
このとき、上記のようなNANDフラッシュメモリ素子の削除動作は、大きく三つの区間に区分され得る。第1区間は、NANDフラッシュメモリ素子内にコマンドとアドレスを伝達する時間であり、第2区間は、NANDフラッシュメモリ素子が特定の動作を行うビジー(busy)状態になるまでに要する時間tWBを意味し、第3区間は、ブロック単位でメモリセルを消去する時間tBERSを意味する。
【0057】
そして、上記のようなNANDフラッシュメモリ素子は、電源電圧(例えば、VCC)に基づいて動作が行われるが、前記電源電圧が前記NANDフラッシュメモリ素子が正常に動作が行われない水準まで減少する場合、これによる断続的データ破損が発生する。
【0058】
即ち、前記NANDフラッシュメモリ素子がプログラム又は削除動作を進行中の状態で、前記入力電圧が一定水準以下に減少すると、前記NANDフラッシュメモリ素子は、動作を中止した後、正常な電圧入力時にプログラム又は削除動作を再開する。
【0059】
このとき、ラムのような揮発性メモリとは異なり、前記NANDフラッシュメモリ素子のような不揮発性メモリは、上記のようなプログラム又は削除動作を進行中にパワーリセット(又は電源瞬断)が進行される場合、チャージゲイン(charge gain)が発生する。ここで、チャージゲイン(charge gain)とは、「0」と「1」とを区別できない境界領域(Marginal region)内にセルの閾値電圧Vtが位置する状態を意味する。ここで、境界領域(Marginal region)は、セルの閾値電圧Vtが0Vから基準閾値電圧RVの間である領域を意味する。このとき、メモリは誤動作を行うことがあるため、製品の信頼性が大幅に低下する。
【0060】
図5は、NANDフラッシュメモリ素子におけるチャージゲインを説明する。図5を参照すると、NANDフラッシュメモリ素子は、プログラム動作中に発生するチャージゲインと、削除動作中に発生するチャージゲインとを含む。
【0061】
図5(a)のように、NANDフラッシュメモリ素子は、制御部の命令に従ってプログラム動作を行うことができる。そして、前記プログラム動作によって電子の移動中に電源が遮断される場合、前記電子の移動は電源が遮断された時点で中止する。ここで、前記プログラム動作が中止した時点でのメモリセルの閾値電圧Vtは、「0」と「1」を区分できない境界領域(Marginal region)内に位置することがある。そして、上記のようにメモリセルの閾値電圧Vtが境界領域(Marginal region)内に位置する場合、制御部(後述)は、前記メモリセルの閾値電圧Vtが「0」であるか、又は「1」であるかを明確に判断こすことができない。これは、システムの不良を引き起こすことがある。
【0062】
図5(b)のように、NANDフラッシュメモリ素子は、制御部の命令に従って削除動作を行うことができる。そして、前記削除動作によって電子の移動中に電源が遮断される場合、前記電子の移動は電源が遮断された時点で中止する。ここで、前記削除動作が中止した時点でのメモリセルの閾値電圧Vtは、「0」と「1」とを区分できない境界領域(Marginal region)内に位置することがある。そして、上記のようにメモリセルの閾値電圧Vtが境界領域(Marginal region)内に位置する場合、制御部(後述)は、前記メモリセルの閾値電圧Vtが「0」であるか、又は「1」であるかを明確に判断することができない。これは、システムの不良を引き起こすことがある。
【0063】
以下、実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムについて説明する。
【0064】
図6は、第1実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの構成を示すブロック図である。
【0065】
図6を参照すると、システム100は、電源装置及び制御装置200を含む。電源装置は、変換部110、入力電圧検出部120、及び検出信号伝達部130を含むことができる。
【0066】
電源装置の変換部110は、メインパワーに該当する入力電圧を受信し、前記入力電圧を制御装置200の各構成要素で要求される電圧に変換して出力することができる。
【0067】
また、電源装置の入力電圧検出部120は、主電源の電圧を検出し、検出された信号を出力することができる。
【0068】
また、電源装置の検出信号伝達部130は、入力電圧検出部120の出力信号を制御装置200に伝達することができる。
【0069】
制御装置200は、保存装置を含むことができる。制御装置200は、電源装置から入力される電圧を駆動電圧として動作することができる。制御装置200は、車両制御部300と通信を行い、前記車両制御部300から伝達されるデータを保存することができる。例えば、制御装置200は、車両内に備えられて、車両のeCall機能を支援することができる。即ち、制御装置200は、車両制御部300と通信して、非常事態での申告及び救援要請のための情報を保存することができる。例えば、前記情報は、事故発生位置情報、車両タイプ情報、運行方向情報、事故当時に作動したシートベルトの数などを含むことができる。
【0070】
制御装置200は、メモリ210、電源供給部220、補助電源部230、及び制御部240を含むことができる。そして、制御装置200の制御部240は、前記メモリ210を制御することができる。好ましくは、制御部240は、前記メモリ210から動作信号(例えば、Ready and busy output signal)を受信し、前記受信した動作信号に基づいて前記メモリ210にアクセスすることができる。前記動作信号は、メモリ210を構成するNANDフラッシュメモリ素子のタイミングに対応することができる。ここで、前記タイミングは、素子の動作タイプによって異なる時間周期に変換され得る。例えば、各動作タイプによって異なる時間周期は、メモリセル(図示せず)からページレジスタ(図示せず)にデータをロードする時間tR(リーディング動作)、ページレジスタからメモリセルにデータをロードする時間tPROG(プログラム動作)、ブロック単位でメモリセルを削除する時間tBERS(削除動作)などを含むことができる。
【0071】
また、制御装置200の制御部240は、電源装置110、120、130から転送される入力電圧動作に応じた出力信号を基準に、前記メモリ210へのアクセスを制御することができる。
【0072】
具体的に、制御装置200の制御部240は、前記電源装置110、120、130から転送される前記電源装置の入力電圧検出部120の出力信号を基準に、入力電圧の不安定条件又はメモリ210のデータ保護条件で前記メモリ210の動作を中止させることができる。ここで、前記メモリ210の動作中止は、前記メモリ210へのアクセスを中止することを意味することができ、さらに、前記メモリ210の動作制御のための命令語の出力を遮断することを意味することができる。即ち、制御装置200の制御部240は、メモリ210の保護機能がオン(On)された状態で、前記入力電圧の不安定条件又はデータ保護条件を検出し、これに基づいてメモリ210の動作を中止させることができる。
【0073】
以下、前記制御装置200及び電源装置110、120、130について具体的に説明する。
【0074】
電源装置は、変換部110、入力電圧検出部120、及び検出信号伝達部130を含むことができる。このとき、図面上には、前記電源装置110、120、130の各構成要素が制御装置200とは別個に構成されるものと示したが、これに限定されない。即ち、前記電源装置110、120、130を構成する構成要素のうち一部は、前記制御装置200内に含まれ得るであろう。
【0075】
変換部110は、入力電圧を受信し、これを変換して出力電圧を発生させることができる。
【0076】
前記変換部110は、レギュレータとして実現され得る。即ち、レギュレータは、入力端を介して入力電圧を受信し、出力端を介して前記入力電圧を変換した出力電圧を出力することができる。レギュレータを介して前記制御装置200に供給される電圧は、前記制御装置200を構成する各構成要素の駆動電圧であり得る。例えば、前記レギュレータを介して前記制御装置200に供給される電圧は、前記メモリ210の駆動電圧であり得る。前記レギュレータは、前記入力電圧を安定化して出力することによって、前記制御装置200に安定した駆動電圧を供給して、前記制御装置200を構成するメモリ210を安定して動作させることができる。
【0077】
一方、前記変換部110に入力される入力電圧は、電源部(図示せず)から供給され得る。例えば、前記電源部は、前記NANDフラッシュメモリシステムが装着された車両のバッテリーであり得る。
【0078】
入力電圧検出部120は、前記電源部を介して入力される入力電圧の大きさを検出し、これに応じた電圧検出信号を出力することができる。
【0079】
このとき、正常な条件で、前記入力電圧は、第1レベルV1を有することができる。
【0080】
そして、入力電圧検出部120は、前記入力電圧が前記第1レベルV1と前記第1レベルV1よりも小さい第2レベルV2との間の範囲のレベルを有する場合、第1電圧検出信号を出力することができる。また、入力電圧検出部120は、前記入力電圧のレベルが前記第1レベルV2より小さい第2レベルV2よりも小さい場合、第2電圧検出信号を出力することができる。ここで、第1電圧検出信号は、ローレベルの検出信号であり得るし、第2電圧検出信号は、ハイレベルの検出信号であり得るが、これに限定されない。
【0081】
このために、入力電圧検出部120は、比較器(図示せず)を含むことができる。比較器は、正端子を介して前記第2レベルV2に該当する基準信号を入力され、負端子を介して入力電圧を入力され得るものであり、前記入力電圧と前記基準信号との比較結果によりハイレベル又はローレベルの電圧検出信号を出力することができる。
【0082】
一方、入力電圧検出部120は、分圧抵抗などを介して検出電圧を調節することができる。分圧抵抗は、前記入力電圧を既に設定された分圧比で分圧して前記比較器に伝達することができる。
【0083】
検出信号伝達部130は、制御装置200と連結され、それにより前記入力電圧検出部120を介して検出された電圧検出信号を制御装置200に伝達することができる。具体的に、検出信号伝達部130は、制御装置200の制御部240と連結され、前記電圧検出信号に基づいてハイ信号又はロー信号を制御部240に伝達することができる。
【0084】
このために、検出信号伝達部130は、第1~第3抵抗R1、R2、R3と、トランジスタS1とを含むことができる。前記第1~第3抵抗R1、R2、R3と、トランジスタS1は、前記電圧検出信号が有する高電圧を前記制御装置200の制御部240で受信できる低電圧に変更して出力するロジック回路であり得る。その具体的な連結構造及び動作を見ると、次の通りである。
【0085】
第1抵抗R1は、一端が入力電圧検出部120の出力端に連結され、他端が第3抵抗R3の一端及びトランジスタS1のベースに連結され得る。
【0086】
第2抵抗R2は、一端が制御装置200の電源供給部220の電源端子に連結され、他端がトランジスタS1のコレクタ及び制御部240の信号入力端GPIOに連結され得る。
【0087】
第3抵抗R3は、一端が第1抵抗R1の他端及びトランジスタS1のベースに連結され、他端がトランジスタS1のエミッタ及び接地端に連結され得る。
【0088】
トランジスタS1は、ベースが第1抵抗R1を介して入力電圧検出部120の出力端に連結され、コレクタが制御部240の信号入力端GPIOに連結され、エミッタが接地端に連結され得る。
【0089】
トランジスタS1は、ベースを介して前記入力電圧検出部120の電圧検出信号を受信することができる。
【0090】
具体的に、トランジスタS1は、ベースに入力された前記入力電圧検出部120の電圧検出信号によってオン又はオフされ得る。例えば、前記電圧検出信号は、上述したようにハイ信号又はロー信号であり得る。そして、前記トランジスタS1は、前記ベースにハイ信号が印加されると、オン状態にスイッチングされ得るが、これによりコレクタに電圧異常を知らせる第2検出信号を出力することができる。また、トランジスタS1は、ベースにロー信号が印加されると、オフ状態にスイッチングされ得るが、これによりコレクタ端にハイ信号である電圧正常を知らせる第1検出信号を出力することができる。一方、実施例においては、前記トランジスタS1がハイ信号によってオンされ、ロー信号によってオフされるとしたが、これに限定されず、その動作は互いに変わり得る。
【0091】
メモリ210は、データのプログラム、削除、及び読み出しが可能な不揮発性(Non Volatile)メモリであり得る。例えば、メモリ210は、電気的にプログラム及び削除が可能であり、一定周期でデータを再作成するリフレッシュ機能を必要としない不揮発性メモリ素子であり得る。具体的に、メモリ210は、NANDフラッシュメモリ素子(NAND type flash memory device)であり得る。
【0092】
メモリ210については図1図5を参照して具体的に説明したので、ここでは、これについての詳細な説明は省略する。
【0093】
電源供給部220は、前記変換部110の出力端outと連結され、前記変換部110の出力電圧を受信し、前記受信した出力電圧を安定化して前記メモリ210に駆動電圧を供給することができる。即ち、電源供給部220は、前記メモリ210に駆動電圧を供給するPMIC(Power Management IC)であり得る。電源供給部220を構成するPMICは、電力用ディスクリートパワー素子モジュール、高電圧パワー回路、低電圧デジタル回路、高電圧及び低電圧アナログ回路で構成された電源制御モジュールであり得るが、これにより、前記制御装置200に入る入力電圧を前記メモリ210 に合わせて変換、分配、充電、及び制御する役割を果たすことができる。
【0094】
電源供給部220と前記メモリ210との間には、補助電源部230が配置され得る。補助電源部230は、第1条件で充電動作を行い、第2条件で放電動作を行うキャパシタであり得る。ここで、第1条件は、本システムの入力端に正常範囲の入力電圧が入力される条件であり、前記第2条件は、前記入力端に正常範囲を外れた低電圧が入力される条件であり得る。
【0095】
前記補助電源部230は、システムのパワーオン条件で、前記電源供給部220の出力電圧が既に設定された第2レベルV2よりも低い場合に放電して前記メモリ210に駆動電圧を供給することができる。このとき、補助電源部230を構成するキャパシタの容量に比例して前記補助電源部230の放電時間が決定される。これにより、実施例においては、メモリ210のメモリセルからページレジスタにデータをロードするのにかかる時間、ページレジスタからメモリセルにデータをロードするのにかかる時間及びブロック単位でメモリセルを削除する時間などを考慮して、前記補助電源部230を構成するキャパシタの容量を決定することができる。
【0096】
制御部240は、メモリ210の動作を制御することができる。
【0097】
具体的に、制御部240は、前記メモリ210にアクセスして前記メモリ210のプログラム動作、削除動作、及び読み出し動作を制御することができる。
【0098】
このために、制御部240は、バスを介してメモリ210と連結され得る。そして、制御部240は、前記バスを介して前記メモリ210に命令語及びアドレスを伝達し、データを送受信することができる。
【0099】
一方、制御部240は、前記検出信号伝達部130の出力信号をモニタリングすることができる。即ち、制御部240は、前記システムに入力される入力電圧の変化をモニタリングすることができる。
【0100】
そして、制御部240は、前記検出信号伝達部130を介して入力電圧の正常を知らせる第1検出信号が入力される場合、前記メモリ210にアクセスして、それに従うプログラム動作又は削除動作を行うことができる。
【0101】
このとき、制御部240は、前記検出信号伝達部130を介して入力電圧の異常を知らせる第2検出信号が入力される場合、前記第2検出信号が入力される時点から前記メモリ210への命令語の出力を遮断する。
【0102】
言い換えれば、制御部240は、前記検出信号伝達部130を介して第2検出信号が入力される場合、前記命令語の出力を遮断して前記メモリ210へのアクセスを中止する。
【0103】
そして、制御部240は、第2検出信号が入力された時点から前記メモリ210の動作と関連した命令語を全て無視して、前記第2検出信号が入力された時点から前記メモリ210に命令語が出力されないように遮断する。
【0104】
そして、制御部240及びメモリ210は、前記第2検出信号が入力された時点から一定時間後にパワーオフされ得る。ここで、前記一定時間は、前記補助電源部230を介して供給される補助電源によって、前記メモリ210が既存に行っていた動作(プログラム動作又は削除動作)が正常に完了するまでの時間を意味することができる。
【0105】
前記メモリ210のパワーオフは、前記システムへの主電源の入力電圧が前記メモリ210のパワーオフ電圧に対応する第3レベルV3まで減少する場合に行うことができる。即ち、前記主電源の入力電圧が前記第3レベルV3まで減少する場合、前記メモリ210は、電源不足により自然にパワーオフされ得る。
【0106】
また、前記主電源の入力電圧が前記第3レベルV3まで減少せずに再び第1レベルV1に回復したとしても、前記メモリ210はパワーオフされ得る。このために、車両制御部300は、制御装置200の電源供給部220をオフして、前記制御装置200をパワーオフさせることができる。その後、車両制御部300は、電源供給部220を再びオンして、前記制御装置200をパワーオンさせることができる。
【0107】
但し、実施例におけるメモリ210は、不揮発性メモリに該当するNANDフラッシュメモリ素子であり得る。このとき、NANDフラッシュメモリ素子は、揮発性メモリであるラム(RAM)とは異なって、入力電源が遮断されても内部に保存されているデータは消滅しない。これにより、NANDフラッシュメモリ素子は、入力電源が遮断されても内部データ消滅の心配がないため、突然の電源遮断時にも補助電源が供給されなくてもよい。但し、NANDフラッシュメモリ素子は、前記ラムとは異なって、図1図5で説明したように、基準閾値電圧RVを基準に設定される境界領域とメモリセルが有する閾値電圧Vtとを比較して、「0」と「1」を区分する。
【0108】
これにより、前記第2検出信号が入力された時点で前記メモリ210がプログラム動作又は削除動作中である場合、前記プログラム動作又は削除動作を完了しない状態でパワーオフシーケンスが進行されると、後の電源回復時点にプログラム動作又は削除動作を続けるようになる。
【0109】
しかし、上述したように、前記電源回復時に前記メモリセルが閾値電圧Vtが境界領域(0V~基準閾値電圧RV)内の値を有する場合、前記メモリ210の値が「0」であるか、それとも「1」であるかを判断することができず、これにより制御部240は誤動作することがある。したがって、前記制御部240は、前記第2検出信号が入力された時点が前記メモリ210のプログラム動作時間tPROG又は削除動作時間tBERSである場合に備えて、前記プログラム動作又は削除動作が完了するまでパワーオフシーケンスを遅延させることができる。言い換えれば、制御部240は、前記メモリ210によって現在実行中のプログラム動作又は削除動作が完了するまで、前記メモリ210のパワーオフが行われないように補助電源を供給することができる。
【0110】
そして、メモリ210は、上記のようなメモリ210のデータ保護条件で、補助電源部230の放電電圧によって駆動されて、前記プログラム動作又は削除動作を完了させることができる。また、メモリ210は、前記プログラム動作又は削除動作が完了した場合、その完了信号を制御部240に伝達することができる。
【0111】
制御部240は、前記メモリ210の動作が完了したことを認識し、前記メモリ210のパワーオフシーケンスを進行することができる。
【0112】
実施例によると、入力電源の不安定な状態を検知し、これに基づいてNANDフラッシュメモリ素子の動作を制御することにより、前記入力電源の不安定な状態でNANDフラッシュメモリ素子が動作することにより発生し得るデータ破損などの不良を事前に防止することができる。具体的に、実施例によると、入力電源が不安定な場合にフラッシュアクセスを遮断することにより、前記入力電源の不安定な環境でのNANDフラッシュメモリ素子の誤動作を防止することができる。
【0113】
また、実施例によると、電源瞬断検出時点にNANDフラッシュメモリ素子の動作が進行中である場合、前記進行中の動作が完了するまで補助電源を供給して、前記NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作又は削除動作中に電源が遮断されることにより発生するチャージゲインによるデータ破損を解決することができ、これにより、NANDフラッシュメモリ素子の動作信頼性を向上させることができる。
【0114】
また、実施例によると、電源瞬断検出時にNANDフラッシュメモリ素子のパワーオフシーケンスを進行し、正常な電源検出時にパワーオンシーケンスを進行させることにより、前記入力電源の回復時にフラッシュメモリが正常に動作するこれによる動作信頼性及びユーザ満足度を向上させることができる。
【0115】
一方、図6では、補助電源部230が前記制御装置200内に備えられるものと説明したが、前記補助電源部230は、前記制御装置200内の前記電源供給部220及びメモリ210の間ではない別の位置に配置され得るであろう。
【0116】
図7及び図8は、図6に示したNANDフラッシュメモリシステムの変形例を説明する。
【0117】
一方、図7及び図8では、入力電圧に異常が発生した時点でメモリ210に補助電源を供給する補助電源部の配置位置のみが異なるだけであり、それ以外の部分は図6と同一であり得る。したがって、以下では、前記補助電源部についてのみ説明する。
【0118】
図7を参照すると、NANDフラッシュメモリシステムは、変換部110、入力電圧検出部120、検出信号伝達部130、メモリ210、電源供給部220、及び制御部240を含むことができる。そして、補助電源部140は、前記変換部110の出力端と前記電源供給部220の入力端との間に配置される。そして、補助電源部140は、前記システムへの入力電圧に異常が発生した時点で前記電源供給部220に放電電圧を提供して、前記メモリ210に前記放電電圧による駆動電圧が伝達されるようにすることができる。
【0119】
また、図8を参照すると、NANDフラッシュメモリシステムは、変換部110、入力電圧検出部120、検出信号伝達部130、メモリ210、電源供給部220、及び制御部240を含むことができる。そして、補助電源部150は、前記変換部110の入力端に配置される。そして、補助電源部150は、前記システムへの入力電圧に異常が発生した時点で前記変換部110に放電電圧を提供して、前記メモリ210に前記放電電圧による駆動電圧が伝達されるようにすることができる。
【0120】
図9は、実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの動作方法を段階別に説明するための図である。
【0121】
図9を参照すると、正常な範囲の入力電圧が入力される条件で、制御範囲240は、メモリ210にアクセスして、前記メモリ210に命令語及びアドレスを伝達することができる。即ち、制御部240は、正常条件でメモリ210に命令語(COMMAND)を転送して、それに伴うメモリ210のプログラム動作、削除動作(又は削除動作)、及び読み出し動作のうち少なくとも一つの動作が行われるようにすることができる(S100)。
【0122】
その後、制御部240は、前記信号入力端GPIOを介して入力される電圧検出信号をPolling又はInterrupt方式でチェックすることができる。そして、制御部240は、前記信号入力端GPIOを介して第2レベルV2よりも低い入力電圧が検出されたことを知らせる第2検出信号が受信されたか否かを判断することができる(S110)。
【0123】
そして、制御部240は、前記第2レベルV2よりも低い入力電圧が検出されたことを知らせる第2検出信号を受信された場合、前記メモリ210へのアクセスを中止して、前記メモリ210に提供される命令語の出力を遮断することができる(S120)。
【0124】
図10及び図11は、入力電圧の変化によるパワーシーケンスを示す図である。
【0125】
図10を参照すると、正常条件で入力電圧は、第1レベルV1を有することができる。そして、入力電圧検出部120及び検出信号伝達部130は、前記入力電圧が前記第2レベルV2まで減少する時点に電圧異常検出信号を出力することができる。
【0126】
これにより、制御部240は、前記電圧異常検出信号が受信された第1時点T1で、前記メモリ210へのアクセスを中止(ACCESS STOP)することができる。
【0127】
その後、前記入力電圧のレベルは、減少し続けて第3レベルV3まで減少することがある。そして、前記入力電圧が第3レベルV3に減少すると、前記メモリ210は電源不足でパワーオフされ得る。
【0128】
一方、前記システムに入力される電源は、図10のように突然遮断されて、前記入力電圧のレベルが0Vまで減少することがある。
【0129】
但し、これとは異なり、前記システムに入力される電源は、瞬間遮断された後、再び元の電圧レベルに回復することができる。
【0130】
即ち、図11を参照すると、正常条件で入力電圧は、第1レベルV1を有することができる。そして、入力電圧検出部120及び検出信号伝達部130は、前記入力電圧が前記第2レベルV2まで減少する時点に電圧異常検出信号を出力することができる。
【0131】
これにより、制御部240は、前記電圧異常検出信号が受信された第1時点T1で、前記メモリ210へのアクセスを中止(ACCESS STOP)することができる。
【0132】
その後、前記入力電圧は、第2時点T2に再び元のレベルに上昇することができる。
【0133】
このとき、制御部240は、前記入力電圧が第1レベルV1に回復しても、上記のようにアクセス中止動作を既に行ったため、前記メモリ210を正常に制御することができない。これにより、車両制御部300は、電源供給部220をオフして前記制御装置200をパワーオフする。このために、車両制御部300は、主電源の入力電圧を検出する入力電圧検出部を含むことができる(図6参照)。これとは異なり、車両制御部300は、入力電圧検出部120と連結されて主電源の入力状態をモニタリングすることができる。そして、車両制御部300は、前記主電源の入力状態に基づいて電源供給部220をオフすることができる。
【0134】
そして、車両制御部300は、前記第3時点T3から一定時間が経過した第4時点T4まで、前記入力電圧が前記第1レベルV1を維持する場合、前記電源供給部220をパワーオンして、制御装置200をパワーオンさせることができる。
【0135】
図12及び図13は、実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムの制御方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【0136】
図12を参照すると、実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムのパワーシーケンスにおける制御部240は、正常な範囲の入力電圧が入力される条件で、メモリ210にアクセスして前記メモリ210に命令語及びアドレスを伝達することができる。即ち、制御部240は、正常条件でメモリ210に命令語(COMMAND)を転送して、それに伴うメモリ210のプログラム動作、削除動作(又は消去動作)、及び読み出し動作のうち少なくとも一つの動作が行われるようにすることができる(S200)。
【0137】
その後、制御部240は、電圧検出信号を基準に、前記入力電圧が第2レベルV2よりも小さいか否かを判断する(S210)。
【0138】
そして、制御部240は、前記入力電圧が第2レベルV2未満に減少した場合、前記メモリ210へのアクセスを中止する(S220)。
【0139】
その後、前記入力電圧は、前記第2レベルV2よりも小さい第3レベルV3未満まで減少することがあり、これとは異なり、前記第2レベルV2から前記第1レベルV1に再び回復することができる(S230、S250)。
【0140】
そして、入力電圧が前記第3レベルV3まで減少した場合、メモリ210は、電源不足でパワーオフされ得る。
【0141】
また、前記入力電圧が前記第2レベルV2から第1レベルV1に回復する場合、前記制御装置200は、リセット動作を行うことができる(S260、S270)。具体的に、前記制御装置200のリセット動作のために、車両制御部300は、制御装置200の電源供給部220をオフして、前記制御装置200をパワーオフさせることができる(S260)。その後、車両制御部300は、電源供給部220を再びオンして、前記制御装置200をパワーオンさせることができる(S270)。
【0142】
一方、図13を参照すると、実施例に係るNANDフラッシュメモリシステムのパワーシーケンスにおける制御部240は、正常な範囲の入力電圧が入力される条件で、メモリ210にアクセスして前記メモリ210へ命令語及びアドレスを伝達することができる。即ち、制御部240は、正常条件でメモリ210に命令語(COMMAND)を転送して、それに伴うメモリ210のプログラム動作、削除動作(又は消去動作)、及び読み出し動作のうち少なくとも一つの動作が行われるようにすることができる(S300)。
【0143】
その後、制御部240は、メモリ210のデータ保護条件が検出されたか否かを判断する(S310)。即ち、制御部240は、入力電圧が第1レベルV1よりも低い第2レベルV2未満に減少したか否かを判断することができる。
【0144】
そして、制御部240は、前記入力電圧が第1レベルV1よりも低い第2レベルV2未満に減少した場合、入力命令語を無視し、それに伴いメモリ210への命令語の転送を遮断する(S320)。
【0145】
そして、補助電源部230は、メモリ210に補助電源を供給して、前記保護条件の検出前に前記メモリ210で行われていた動作(プログラム動作又は削除動作)が正常に完了することができるようにする(S330)。
【0146】
その後、制御装置200は、パワーオフされ得る(S340)。即ち、前記入力電圧が減少し続けて第3レベルV3まで減少する場合、制御装置200は、電源不足により自然にパワーオフされ得る。これとは異なり、前記入力電圧が再び第1レベルV1に回復した場合、車両制御部300は、制御装置200の電源部210をオフにした後、再びオンして制御装置200をリセットさせることができる。
【0147】
上記のように、実施例における制御部240は、電源瞬断検出時にメモリ保護機能を行う。ここで、前記電源瞬断は、バッテリーの分離によって発生し得る。そして、実施例では、上記のようなバッテリーの分離によって入力電圧の変化が発生する場合に、上記のようなメモリ保護機能を行うことができる。しかし、車両の始動オン(On)時にも入力電圧の瞬間的な変化が発生する。そして、実施例では、前記車両始動オン(On)条件を入力電圧の不安定条件又はメモリ210のデータ保護条件として認識してメモリ保護機能を行う場合、メモリ210の寿命が短くなることがある。
【0148】
即ち、メモリ210の寿命は、プログラム動作及び読み出し動作の回数に比例して減少することがある。例えば、メモリ210は、プログラム動作及び読み出し動作の回数に比例して性能が劣化することがある。そして、一般に、メモリのオン又はオフ時にプログラム動作又は読み出し動作が最も多く行われる。このとき、前記車両始動オン時に上記のようなメモリ保護機能が動作する場合、メモリのオン又はオフの頻度が増加してメモリの性能劣化を発生させる問題がある。
【0149】
したがって、実施例では、車両始動オン時に上記のようなメモリ保護機能が動作しないようにする。言い換えれば、前記入力電圧の不安定条件又はメモリのデータ保護条件には、車両始動オン時に発生する入力変化条件は含まれない。実施例では、車両始動オン時に上記のようなメモリ保護機能が行われないようにして、これによるメモリの劣化リスクを最小限に抑える。
【0150】
一般に、ACC ON状態では、バッテリーの分離や交換が行われない。そして、実施例における入力電圧の不安定条件又はメモリのデータ保護条件は、前記バッテリーの分離や交換が行われる場合に検出され得る。このとき、前記車両の始動オンは、一般的にACC ON状態で行われる。したがって、実施例では、ACC ON状態では、前記バッテリー保護機能をオフにする。
【0151】
図14は、車両始動時の入力電圧の変化を示す図である。
【0152】
図14を参照すると、車両の始動時、第1時点T1にACC ONが行われる。このときの入力電圧は、上述した第1レベルV1であり得る。そして、ACC ON状態で、第2時点T2に始動オン動作を行うことができる。このとき、前記第2視点T2を基準に入力電圧は減少することがあり、第3視点T3に第1レベルV1よりも小さい第2レベルV2まで減少することがある。このとき、実施例におけるメモリ保護機能は、前記入力電圧が前記第2レベルV2に減少する場合に動作する。しかし、上記のようにACCがオンされた状態での入力電圧の変化は始動オンのためのものである。したがって、実施例では、ACCがオンされた状態での入力電圧の変化は無視するようにする。例えば、実施例におけるメモリ保護機能は、ACC OFF状態で動作することができる。
【0153】
図15は、実施例に係るメモリ保護機能の活性化方法を段階別に説明するためのフローチャートである。図15を参照すると、実施例に係る制御部240は、車両の電源状態を検出することができる。即ち、制御部240は、車両の電源状態がACC ON状態であるか、ACC OFF状態であるかを検出することができる。そして、制御部240は、車両の電源状態がACC ON状態の場合(S410)、メモリ保護機能をオフする(S420)。言い換えれば、実施例における制御部240は、車両の電源状態がACC ON状態(又は始動オン状態)である場合、メモリ保護機能をオフする。これにより、制御部240は、ACC ON状態で始動オン動作が行われることによって発生する入力電圧の変化は無視するようにする。
【0154】
続いて、制御部240は、車両の電源状態がACC OFF状態に変更されたか否かを判断することができる(S430)。即ち、制御部240は、車両の始動がOFFであるか否かを判断することができる。
【0155】
また、制御部240は、車両の電源状態がACC OFF状態に変更された場合、前記ACC OFFに変更された時点から一定時間が経過したか否かを判定する(S440)。例えば、制御部240は、前記車両の電源状態がACC OFFに変更された時点から1秒が経過したか否かを判断することができる。
【0156】
そして、制御部240は、一定時間が経過しなかった場合、一定時間を待機することができる(S450)。
【0157】
また、制御部240は、一定時間が経過した場合、メモリ保護機能をオンして、入力電圧の変化に応じてメモリ保護機能を動作させることができる(S460)。
【0158】
言い換えれば、実施例における図9図12、及び図13で説明したメモリ保護機能は、車両の電源状態がACC OFF状態である場合にのみ選択的に動作することができる。
【0159】
したがって、実施例では、車両の始動オン時に発生する入力電圧の変化にもメモリのオン又はオフが行われることを防止でき、これによるメモリの寿命を向上させることができる。
【0160】
一方、本実施例における機能に対する信頼性試験のために、同一の製品のNANDフラッシュメモリ素子に対して本実施例の機能が適用される前のデータ破損の有無と、本実施例の機能が適用された後の誤動作の発生の有無について、試料を選別して試験を行った。
【0161】
これは、(1)本実施例の機能が適用される前の製品のプログラム又は削除動作中にメイン電源を遮断して、それに伴う誤動作が発生するか否かを試験し、(2)これと同一の製品に対して本実施例の機能を適用した後に同一の試験を進行して、本実施例の機能の有効性を検証することを進行した。
【0162】
その結果、試料1の場合、本実施例の機能が適用される前には、パワーオン/オフ動作が1500回程度行われる時点及び2900回行われる時点に2回の誤動作が発生することが確認できた。しかし、試料1に対して本実施例の機能が適用された後には、6万回以上のパワーオン/オフ動作が繰り返されても誤動作が発生しないことが確認できた。
【0163】
また、試料2の場合、本実施例の機能が適用される前には、パワーオン/オフ動作が90回程度行われる時点、250回程度行われる時点、及び1110回行われる時点に3回の誤動作が発生した。しかし、試料2に対して本実施例の機能が適用された後には、6万回以上のパワーオン/オフ動作が繰り返されても誤動作が発生しないことが確認できた。
【0164】
また、試料3の場合、本実施例の機能が適用される前には、パワーオン/オフ動作が370回程度行われる時点に1回の誤動作が発生した。しかし、試料3に対して本実施例の機能が適用された後には、6万回以上のパワーオン/オフ動作が繰り返されても誤動作が発生しないことが確認できた。
【0165】
実施例によると、入力電源の不安定状態を検知し、これに基づいてNANDフラッシュメモリ素子の動作を制御することにより、前記入力電源の不安定な状態でNANDフラッシュメモリ素子が動作することにより発生し得るデータ破損などの不良を事前に防止するごとができる。具体的に、実施例によると、入力電源が不安定な場合にフラッシュアクセスを遮断することにより、前記入力電源の不安定な環境での前記NANDフラッシュメモリ素子の誤動作を防止することができる。
【0166】
また、実施例によると、電源瞬断検出時点にNANDフラッシュメモリ素子の動作が進行中である場合、前記進行中の動作が完了するまで補助電源を供給して、前記NANDフラッシュメモリ素子のプログラム動作又は削除動作中に電源が遮断されることによって発生するチャージゲインによるデータ破損を解決することができ、これによるNANDフラッシュメモリ素子の動作信頼性を向上させることができる。
【0167】
また、実施例によると、電源瞬断検出時にNANDフラッシュメモリ素子のパワーオフシーケンスを進行し、正常な電源検出時にパワーオンシーケンスを進行することにより、前記入力電源の回復時にフラッシュメモリが正常に動作することによる動作信頼性及びユーザ満足度を向上させることができる。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15