(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】地中に要素を固定するためのネジ基礎を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B21C 37/20 20060101AFI20250403BHJP
B21C 1/22 20060101ALI20250403BHJP
B21D 22/16 20060101ALI20250403BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20250403BHJP
B21H 3/04 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
B21C37/20
B21C1/22 D
B21D22/16 H
B21D22/26 C
B21H3/04 Z
(21)【出願番号】P 2022522816
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2020077904
(87)【国際公開番号】W WO2021073927
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】102019128030.3
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523448923
【氏名又は名称】ヴィンケルマン・ファウンデーション・スクリュー・スプウカ・ズ・オグラニチョノウン・オドゥポヴィエジャルノシチオウン
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ルーデルト・ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヘッカー・カール-ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ポットギューター・ラルフ
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3047063(JP,U)
【文献】特開2010-181138(JP,A)
【文献】特開昭53-055451(JP,A)
【文献】特開2009-195922(JP,A)
【文献】実開昭53-110940(JP,U)
【文献】特表2001-510093(JP,A)
【文献】特表2016-515473(JP,A)
【文献】特開2000-033449(JP,A)
【文献】特開2000-176585(JP,A)
【文献】特開平09-327742(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0057582(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 37/20
B21C 1/22
B21D 22/16
B21D 22/26
B21H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ状のチューブ(1)が、初期形態として提供され、次いで、シリンダ状のチューブ(1)に、導入先端(9)に向かって先細るテーパ状の前部(10)が切削加工なしで形成され、前部(10)が、地中にねじ込むためのネジ状の輪郭(11)を少なくとも領域的に付与される、地中に要素を固定するためのネジ基礎(12)を製造するための方法において、
チューブ(1)の後端(1a)に、ねじ込み工具用の内部輪郭(2)がフローフォーミングによって形成されること、及び、前部(10)とネジ状の輪郭(11)が、フローフォーミングだけによって形成されること、
及び、チューブ(1)の周囲に対称に配置された又はチューブ(1)の周囲に非対称にかつ軸方向に離間して配置された2つのスピニングローラ(5,5’)を、回転するチューブ(1)に対して半径方向に送りつつ軸方向に移動することによって、フローフォーミングが行なわれ、ネジ状の輪郭(11)を形成するため、チューブ(1)の周囲に非対称にかつ軸方向に離間して配置されたスピニングローラ(5’)が使用されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
チューブ(1)が、最初に少なくとも領域的にアイアニングされること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最初に前部(10)が形成され、次いでネジ状の輪郭(11)が形成されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ネジ状の輪郭(11)が、チューブ(1)の前部(10)に隣接する領域(1b)でも領域的に形成されること、を特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前部(10)とネジ状の輪郭(11)が、同時に形成されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
フローフォーミング中、チューブ(1)が、少なくとも一時的に内部マンドレル(3,3’)上に配置されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項7】
フローフォーミング中、前部(10)に、少なくとも一時的に心押し台(7)が導入されること、を特徴とする請求項1~
6のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項8】
バネ作用を受ける又は機械的に制御される心押し台(7)が使用されること、を特徴とする請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
導入先端(9)の前端(9a)が、フローフォーミング後に成形によって閉鎖されること、を特徴とする請求項1~
8のいずれか
1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ状のチューブが、初期形態として提供され、次いで、シリンダ状のチューブに、導入先端に向かって先細るテーパ状の前部が切削加工なしで形成され、前部が、地中にねじ込むためのネジ状の輪郭を少なくとも領域的に付与される、地中に要素を固定するためのネジ基礎を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ基礎は、杭又は棒を差し込むための後端に形成することができる、又は、後端に、フランジ状の固定アタッチメントを備え、この固定アタッチメントに、他の要素、例えばフレーム等をネジ止めすることができる。
【0003】
このような方法は、西独国特許第19836370号明細書から知られている。基体を有し、少なくとも基体の部分区間が、地中にねじ込み再び地中から捩じって外すためのネジ状もしくはスクリュ状の雄ネジを付与され、基体が、実質的に少なくともコーン状の部分区間を有するコーン状の基本形状を備える、地中に棒、支柱、マスト等用の固定装置、特に地中アンカーを製造するためのこの方法は、実質的にシリンダ状のチューブから成る基体が、基本形状にハンマー加工されること、を特徴とする。
【0004】
この方法は、確かに、金属鋳造法に対して既に製造における利点を提供するが、基本形状しか、成形、即ちハンマー加工によってチューブから製造されないので、未だ比較的高価である。しかしながら、引続き、雄ネジが、成形部品として基体に溶接し、場合によっては、フィン状の面要素を好ましくはまた溶接によって基体に取り付けることが必要である。従って、この方法も高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、地中に要素を固定するためのネジ基礎の製造を実質的に単純化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、冒頭で示した形式の方法においては、チューブの後端に、ねじ込み工具用の内部輪郭がフローフォーミングによって形成されること、及び、前部とネジ状の輪郭が、フローフォーミングだけによって形成されること、によって解決される。
【0008】
従って、ネジ基礎は、フローフォーミングだけによって製造され、これにより、製造費用が著しく低減され、正確かつ再現可能な部品が製造され得る。この場合、最初に内部輪郭を、次いで前部とネジ状の輪郭を形成するか、その逆で製造することができる。初期形態として、引抜管又は電縫管が使用され得る。
【0009】
特に好ましい形態では、チューブが、最初に少なくとも領域的にアイアニングされること、が企図されている。これにより、一方で材料特性が、他方で幾何学的な寸法が変更され得る。
【0010】
第1の形態によれば、最初に前部が形成され、次いでネジ状の輪郭が形成されること、が企図されている。
【0011】
この場合、ネジ状の輪郭が、チューブの前部に隣接する領域でも領域的に形成されること、が企図され得る。
【0012】
選択的に、前部とネジ状の輪郭が、同時に形成されること、が企図され得る。
【0013】
この場合、ネジ状の輪郭は、異なる領域で、異なるフランク形状及び/又は異なるピッチで形成され得る。
【0014】
別の形態では、フローフォーミング中、チューブが、少なくとも一時的に内部マンドレル上に配置されること、が企図されている。内部マンドレルは、例えば内部輪郭を形成するために使用される。
【0015】
この場合、マルチピース型の内部マンドレルが使用されること、も企図され得る。
【0016】
更に、フローフォーミング中、前部に、少なくとも一時的に心押し台が導入されること、が合目的である。
【0017】
この心押し台は、バネ作用を受け得る又は機械的に制御され得る。
【0018】
完全に閉じた導入先端を達成すべき場合、導入先端の前端が、フローフォーミング後に成形によって閉鎖されること、が企図されている。
【0019】
本発明を、以下で図面により模範的に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】初期形態としてのシリンダ状のチューブを経る縦断面図
【
図2】内部輪郭をしごき加工中のチューブを経る縦断面図
【
図4】ネジ状の輪郭をしごき加工中のチューブを経る縦断面図
【
図5】フローフォーミング後のチューブを経る縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、個々の図のスケールが一致していないことを指摘する。
【0022】
地中に要素を固定するためのネジ基礎を製造するための方法のため、まず、シリンダ状のチューブ1が初期形態として提供される。このチューブ1は、金属から成る引抜管又は電縫管であり得る。
【0023】
図示したプロセス経過において、詳細には図示してないフローフォーミング機械に挟まれ、まず、後端1aに、例えばスプライン状の内部輪郭2が、フローフォーミングによって形成される。このため、チューブ1の後端1aに、内部マンドレル3が差し込まれ、この内部マンドレルは、その外側に、内部輪郭2に相補的な外部輪郭4を備える。この外部輪郭4は、内部マンドレル3の中央領域3aに形成され、軸方向左もしくは外に向かって、内部マンドレル3は、チャック13にチューブ1の後端1aと共に挟むための外部輪郭を有しない図示してない外側領域を備える。軸方向右もしくは内に向かって、内部マンドレル3は、チューブ1の成形すべき内部輪郭2に隣接してチューブ1の外径を小さくし得るために、中央領域3aに比して小さい直径を有する内側領域を備える。
【0024】
チューブ1の後端1aに内部マンドレル3が挿入された後、例えば、周囲に対称に配置された2つのスピニングローラ5が、チューブ1の後端1aに半径方向に送られ、内部マンドレル3に沿って軸方向に移動される。これにより、内部輪郭2が、チューブ1に形成され、この内部輪郭に軸方向に隣接してチューブ1に直径を小さくした段差6が形成される。この場合、当然、スピニングローラ5は、チューブ1に対して相対的に回転運動される、即ち、チューブ1が回転運動されるか、被動のスピニングローラ5が使用されるかのいずれかである。
【0025】
幾何学形状的な理由(チューブの延長)及び/又は強度の理由から所望される場合、チューブ1は、スピニングローラ5が、チューブ1に対して半径方向に送られて軸方向に右に向かって移動されることによって、軸方向にアイアニングされる。このため、内部マンドレル3は、内側領域3b’がより長いことによってのみ内部マンドレル3と異なる内部マンドレル3’によって置換することができる。アイアニングは、選択的に内部マンドレルなしで行なうこともできる。
【0026】
図2では、チューブ1の段差6に隣接するアイアニングされた領域が、既に図示され、1bで指示されているが、
図2は、未だ、係合状態の内部マンドレル3を示す。しかしながら、実際には、アイアニングは、内部マンドレル3の取出し及び内部マンドレル3’の挿入(
図3)後に初めて行なわれる。この場合、チューブ1の開放した前端1cに、既に、心押し台7を導入することができる。この心押し台7は、バネ作用を受けること、又は機械的に制御されること、ができる。心押し台7は、スピニングローラ5の半径方向の送りによってテーパ状に先細る領域8を形成する(
図3)ためのチューブ1の前端1c用の支持具として使用される。
【0027】
このテーパ状に先細る領域8は、スピニングローラ5によって更に前方が未だ開放した、導入先端9に向かって先細るテーパ状の前部10に成形され、このため、スピニングローラ5は、導入先端9の方向にますますチューブ1に半径方向に押し付けられる。
【0028】
その後、又は、少なくとも一時的に前部10のテーパ状の変形と同時に、スピニングローラ5’によって、ネジ状の輪郭11が、前部10に形成され、しかも好ましくは、前部10にだけでなく、領域的に隣接してチューブ1のシリンダ状のアイアニングされた領域1bにも形成される(
図4及び5)。
【0029】
図5では、フローフォーミング過程が終了され、心押し台7が、チューブ1から引き出されている。地中に要素を固定するためのネジ基礎12を最終的に製造するため、導入先端9の前端を閉鎖することしか必要ない。これは、適当な成形、例えば圧縮、型抜き又は折畳み及び場合によっては引き続くトリミングによって行なわれる。
【0030】
【0031】
当然、本発明は、図示した実施例に限定されるものではない。別の形態が、基本思想から逸脱することなく可能である。従って、最初に内部輪郭2が形成される必要はない。このプロセスステップは、後の時点で実行することもできる。ネジ状の輪郭11の形成は、少なくとも一時的に前部10の成形と同時に行なうこともできる。内部輪郭2は、少なくとも部分的に内部マンドレル3の挿入時のチャック13の圧縮によって(予め)形成することもできる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.
シリンダ状のチューブ(1)が、初期形態として提供され、次いで、シリンダ状のチューブ(1)に、導入先端(9)に向かって先細るテーパ状の前部(10)が切削加工なしで形成され、前部(10)が、地中にねじ込むためのネジ状の輪郭(11)を少なくとも領域的に付与される、地中に要素を固定するためのネジ基礎(12)を製造するための方法において、
チューブ(1)の後端(1a)に、ねじ込み工具用の内部輪郭(2)がフローフォーミングによって形成されること、及び、前部(10)とネジ状の輪郭(11)が、フローフォーミングだけによって形成されること、を特徴とする方法。
2.
チューブ(1)が、最初に少なくとも領域的にアイアニングされること、を特徴とする上記1に記載の方法。
3.
最初に前部(10)が形成され、次いでネジ状の輪郭(11)が形成されること、を特徴とする上記1又は2に記載の方法。
4.
ネジ状の輪郭(11)が、チューブ(1)の前部(10)に隣接する領域(1b)でも領域的に形成されること、を特徴とする上記3に記載の方法。
5.
前部(10)とネジ状の輪郭(11)が、同時に形成されること、を特徴とする上記1又は2に記載の方法。
6.
フローフォーミング中、チューブ(1)が、少なくとも一時的に内部マンドレル(3,3’)上に配置されること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
7.
マルチピース型の内部マンドレルが使用されること、を特徴とする上記6に記載の方法。
8.
フローフォーミング中、前部(10)に、少なくとも一時的に心押し台(7)が導入されること、を特徴とする上記1~7のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
9.
バネ作用を受ける又は機械的に制御される心押し台(7)が使用されること、を特徴とする上記8に記載の方法。
10.
導入先端(9)の前端(9a)が、フローフォーミング後に成形によって閉鎖されること、を特徴とする上記1~9のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
【符号の説明】
【0032】
1 シリンダ状のチューブ
1a 後端
1b アイアニングされた領域
1c 前端
2 内部輪郭
3,3’ 内部マンドレル
3a,3a’ 中央領域
3b,3b’ 内側領域
4 外部輪郭
5 スピニングローラ
6 段差
7 心押し台
8 テーパ状に先細る領域
9 導入先端
9a 前端
10 前部
11 ネジ状の輪郭
12 ネジ基礎
13 チャック