(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】位置検出装置、ページ検出方法、及びシート状記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20250403BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20250403BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20250403BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/044 120
G06F3/046 A
G06F3/03 400A
G06F3/041 560
G06F3/041 620
(21)【出願番号】P 2022528446
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010354
(87)【国際公開番号】W WO2021246019
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2020095622
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】110004277
【氏名又は名称】弁理士法人そらおと
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】小野田 直人
(72)【発明者】
【氏名】大川 健一
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7428990(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0274696(US,A1)
【文献】特開2000-148372(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041054(WO,A1)
【文献】特開2014-191722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/046
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体が載置される載置面を備え、前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に視認可能に手書き可能に構成されたスタイラスによる前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応して前記スタイラスが指示する位置を検出する位置検出装置であって、
前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に配置された前記複数のページを構成する各々のページを識別するためのページ識別用部材をセンスするセンサーと、
前記センサーに接続された制御回路
と、を備えており、
前記ページ識別用部材は導電体で構成されているとともに、前記センサーは静電容量方式によって前記導電体を検出するように構成されており、
前記位置検出装置は、前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間した状態にあることを検出可能に構成されており、
前記制御回路は、
前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間した状態において、前記センサーによる前記シート状記録媒体に配置された前記導電体の検出に対応して前記スタイラスによる手書き操作の対象ページを識別可能に構成されている、
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記センサーは、前記シート状記録媒体に配置された前記導電体を検出するとともに、前記スタイラスによる前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応した位置を検出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記シート状記録媒体に配置された前記導電体を検出する前記センサーとは異なる検出方式のセンサーによって前記スタイラスによる前記前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応した位置を検出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記スタイラスによる前記前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応した位置を検出する前記センサーは電磁誘導方式によって位置を検出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記スタイラスは筆圧を検出可能に構成されているとともに、前記位置検出装置は、前記筆圧を取得可能に構成されており、
前記制御回路は、検出された前記筆圧に基づいて前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間した状態にあることを検出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間した状態が所定時間継続したことに対応して前記スタイラスによる手書き操作の対象ページを識別するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項7】
複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体が載置される載置面に載置された前記シート状記録媒体に視認可能に手書き可能なスタイラスによる前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応したページを検出するページ検出方法であって、
前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間していることに対応して、前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に配置された前記複数のページを構成する各々のページを識別するための導電体で構成されたページ識別用部材を静電容量方式
のセンサーによってセンスし、
前記センサーによる前記シート状記録媒体に配置された前記導電体の検出に対応して前記スタイラスによる手書き操作の対象ページを識別可能に構成されている、
ことを特徴とするページ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検出装置、ページ検出方法、及びシート状記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
レポート用紙などのシート状記録媒体に文字や絵を書き込む際に、その筆跡を手書きデータとして電子的に取り込むことを可能にする手書きデータ描画装置が知られている。この種の装置は一般に、デジタイザなどの位置検出装置と、指示体としての機能とボールペンとしての機能の両方を有するスタイラスとを含んで構成される。シート状記録媒体は、位置検出装置のタッチ面上に配置される。この構成によれば、ユーザがスタイラスのボールペン機能を用いてシート状記録媒体の表面に文字や絵を書き込むとき、位置検出装置は、スタイラスのタッチ面上における移動軌跡を示す一連の座標データを取得することができる。こうして取得される一連の座標データが、電子ペンの筆跡を示す手書きデータとなる。
【0003】
ところで、手書きデータ描画装置において用いられるシート状記録媒体は、製本ノートなどのように複数のページを有する場合がある。この場合、手書きデータ描画装置は、ページごとに分けて手書きデータを作成する必要がある。そうしないと、シート状記録媒体の複数のページのそれぞれに書き込まれた筆跡が、画面上で1つのページ内に重なってしまうからである。これに関して、特許文献1には、座標データの蓄積先となるファイルを新たなファイルに切り替えるための操作ボタンを位置検出装置に設けることで、ページごとに手書きデータのファイルが作成されるようにした技術が開示されている。また、特許文献2には、文書名やページ番号を示すバーコードをシート状記録媒体の各ページに予め印刷しておき、このバーコードをコードリーダで読み取ることにより、ユーザが筆記中のページを判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6005880号
【文献】特開2001-147771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ユーザが操作ボタンを押し忘れると、シート状記録媒体の複数のページのそれぞれに書き込まれた筆跡が画面上で1つのページ内に重なって表示されてしまうことになる。また、特許文献2の技術では、シート状記録媒体を載置するための表面にコードリーダのための突出部分ができてしまうため、デザイン的に美しくない。
【0006】
シート状記録媒体の各ページに設けた孔を光学的に検出することによってユーザが筆記中のページを特定することも考えられるが、専用の光源から光を放射してその反射光の強度を測ることとすると、光の送受信のために複雑な構造を設ける必要が生ずる。専用の光源に代えて室内照明や太陽光などの外光を用いることも考えられるが、検出精度が外光の強度に依存することになってしまう。
【0007】
また、ページを示す二次元コードなどの符号を各ページの表面に付記し、この符号をセンサーによって読み取ることによってユーザが筆記中のページを特定することも考えられるが、この方式では、この符号を読み取るセンサーをページ表面側に覆いかぶさるように配置する必要があり、センサーがページめくりの妨げになりかねない。
【0008】
さらに、各ページに磁気材料を配置して磁気的にページめくりを識別する方法も考えられるが、磁界の広がりを考慮すると、重畳できるページ枚数が大きく制限されてしまう。
【0009】
したがって、本発明の目的の一つは、上記のような問題を回避しつつ、書き込み中のページを特定できる位置検出装置、プリンター、及びページ検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施例に記載の位置検出装置は、複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体が載置される載置面を備え、前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に視認可能に手書き可能に構成されたスタイラスによる前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応して前記スタイラスが指示する位置を検出する位置検出装置であって、前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に配置された前記複数のページを構成する各々のページを識別するためのページ識別用部材をセンスするセンサーと、前記センサーに接続された制御回路を備えており、前記ページ識別用部材は導電体で構成されているとともに、前記センサーは静電容量方式によって前記導電体を検出するように構成されており、前記制御回路は、前記センサーによる前記シート状記録媒体に配置された前記導電体の検出に対応して前記スタイラスによる手書き操作の対象ページを識別可能に構成されている、ことを特徴とする位置検出装置である。
【0011】
本実施例に記載のページ検出方法は、複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体が載置される載置面に載置された前記シート状記録媒体に視認可能に手書き可能なスタイラスによる前記載置面に載置された前記シート状記録媒体への手書き操作に対応したページを検出するページ検出方法であって、前記スタイラスが前記載置面に載置された前記シート状記録媒体から離間していることに対応して、前記載置面に載置された前記シート状記録媒体に配置された前記複数のページを構成する各々のページを識別するための導電体で構成されたページ識別用部材を静電容量方式によってセンスし、前記センサーによる前記シート状記録媒体に配置された前記導電体の検出に対応して前記スタイラスによる手書き操作の対象ページを識別可能に構成されている、ことを特徴とするページ検出方法である。
【0012】
本実施例に記載のシート状記録媒体は、複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体であって、前記シート状記録媒体が載置される載置面と前記シート状記録媒体の各ページを認識するための静電センサーが備えられたページめくり状態検出装置とともに使用され、前記複数のページを構成する各々のページを識別するためのページ識別用部材が配置されているとともに、前記ページ識別用部材は導電体で構成されていることで、前記静電センサーによる前記導電体の検出状態に基づいて複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体のページめくりに対応したページを認識できるように構成されている、ことを特徴とするシート状記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ページ検出のための突出部分を設けることなく、光学的又は磁気的な検出手段や二次元コードなどの符号を読み取るセンサーを用いることもなく、かつユーザ操作によらずに、書き込み中にあるページのページ情報を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30を示す図である。
【
図2】(a)は、全5ページのノートパッドP1の各ページに予め書き込まれる識別情報の例を示す図であり、(b)は、(a)の各ページにユーザが書き込んでいるときに、位置検出装置10によって生成されるヒートマップを示す図である。
【
図3】(a)は、全5ページのノートパッドP1の各ページに予め書き込まれる識別情報の他の例を示す図であり、
図3(b)は、
図3(a)の各ページにユーザが書き込んでいるときに、位置検出装置10によって生成されるヒートマップを示す図である。
【
図4】位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。
【
図6】センサコントローラ16から出力される手書きデータと、該手書きデータを格納するためのファイルと、ストロークビルダー33によってメモリ35に格納されるストロークデータとを示す図である。
【
図7】センサコントローラ16によるヒートマップ生成の原理を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態によるセンサコントローラ16が行う処理のフロー図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。
【
図10】センサー20,21及びスタイラスSbの詳細な構成を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態によるセンサコントローラ16が行う処理のフロー図である。
【
図12】本発明の第3の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態によるシート状記録媒体P2と、該シート状記録媒体P2に識別情報を書き込む方法とを示す図である。
【
図14】プリンター60の機能ブロックを示す略ブロック図である。
【
図15】本発明の第3の実施の形態によるセンサコントローラ16が行う処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30を示す図である。位置検出装置10は、投影型静電容量方式のセンサー(PCAP。静電センサー)を内蔵しており、このセンサーによって、図示したタッチ面10a上におけるスタイラスSaの位置を検出する装置である。スタイラスSaはアクティブ静電方式に対応している。タッチ面10a上の位置を指示するための指示体として機能するとともに、シート状記録媒体の表面に筆跡を視認可能に残すための筆記具(例えば、ボールペン)としても機能する。タブレット端末30は、タッチ入力に対応するタッチスクリーン31を有するコンピュータである。位置検出装置10とタブレット端末30とは、Bluetooth(登録商標)などの無線通信又はUSBなどの有線通信により相互に接続される。
【0017】
図1に示したX方向及びY方向はそれぞれ、位置検出装置10のユーザから見て、横方向及び奥行き方向に対応する方向である。位置検出装置10は、Y方向の一辺がX方向の一辺よりも長い長方形の形状を有しており、
図1に示すように、位置検出装置10より少し小さい長方形のノートパッドP1をタッチ面10aの上に搭載した状態で使用される。つまり、位置検出装置10のタッチ面10aは、複数のページが互いに重畳されるように構成されたシート状記録媒体が載置される載置面としても機能するように構成される。詳しくは後述するが、ユーザが筆記具としてのスタイラスSaを用いてノートパッドP1の表面に字や絵を記入すると、位置検出装置10により、スタイラスSaの軌跡が一連の座標データとして検出される。タブレット端末30は、この一連の座標データを位置検出装置10から取得してストロークデータを生成し、タッチスクリーン31上に表示する。
図1には、これらの処理により、ユーザによりノートパッドP1上に記入された「MAKING IDEAS」の文字列がタブレット端末30のタッチスクリーン31上に表示されている状態を示している。
【0018】
図1に示すように、位置検出装置10は、電源ボタン11、電源ランプ12、記録媒体固定部13、及びスタイラス保持部14を有して構成される。このうち電源ボタン11は、位置検出装置10の電源をオンオフするためのスイッチである。また、電源ランプ12は、位置検出装置10の電源がオンであるときに点灯し、オフであるときに消灯するランプである。
【0019】
記録媒体固定部13は、シート状記録媒体の一例としてのノートパッドP1の台紙を挿入可能に構成された開口部である。ユーザは、ノートパッドP1の台紙を記録媒体固定部13に挿入することにより、ノートパッドP1を位置検出装置10に固定する。スタイラス保持部14は、スタイラスSaを固定しておくための窪みである。ユーザは、スタイラスSaを使わないとき、スタイラスSaのクリップを記録媒体固定部13に挿入した状態で、スタイラスSaの末端部をスタイラス保持部14の窪みに嵌めることにより、スタイラスSaを位置検出装置10に固定する。
【0020】
位置検出装置10は、基本動作としては、逐次検出した一連の座標データを1つのファイル内に蓄積していくように構成される。したがって、もし仮にユーザがノートパッドP1をめくりつつ複数のページに筆記を行ったとすると、1つのファイル内に異なるページの筆跡にかかる座標データが含まれることになる。こうして蓄積された一連の座標データがタブレット端末30のタッチスクリーン31に表示されると、複数のページにかかる筆跡が重なって表示されてしまうことになる。
【0021】
これでは現実の使用に耐えないので、位置検出装置10は、ユーザが書き込み中のページを特定し、ページが変わるごとに座標データを蓄積するファイルを変更するなど、ページの切替りと座標データとの関連付けが行われるよう構成される。書き込み中にあるページのページ情報の検出は、ノートパッドP1の各ページに互いに異なる識別情報(ページ識別用部材)を予め書き込んでおき、電気的な相互作用を通じてこの識別情報を位置検出装置10に読み取らせることによって実現される。これによれば、位置検出装置10は、ページ検出のための突出部分を設けることなく、かつユーザ操作によらずに、書き込み中にあるページのページ情報を検出することが可能になる。したがって、一連の座標データを含むファイルをページごとに作成することが可能になるので、複数のページにかかる筆跡がタッチスクリーン31上に重なって表示されてしまうことが防止される。
【0022】
図2(a)は、全5ページのノートパッドP1の各ページに予め書き込まれる識別情報の例を示す図である。この例による識別情報は、ページを互いが識別可能と成す導電性マークMによって構成される。導電性マークMは、ノートパッドP1の製造段階で各ページに導電材料を配置(印刷)することによって形成されるもので、ページごとに異なる態様で印刷されていることから、各ページの識別情報として機能する。なお、導電性マークMの印刷に用いる導電材料は、例えばITO(Indium Tin Oxide)のような透明な材料であることが好ましいが、不透明な導電材料を用いて導電性マークMを構成することとしてもよい。位置検出装置10による導電性マークMの読み取り(センス)は、静電容量方式による指の検出と同じ原理によって行われる。例えば、タッチ面10a内の導電体の位置を示すヒートマップを生成し、その中から導電性マークMを抽出することによって行われる。
【0023】
図2(a)に示した導電性マークMの構成について詳しく説明すると、まず一番上のページとなる1ページ目に印刷される導電性マークMは、ノートパッドP1のユーザから見て左側の長辺に沿って並ぶ5本の斜線により構成される。2ページ目に印刷される導電性マークMは、1ページの導電性マークMから一番下側(ユーザ側)の1本が除去されてなる4本の斜線により構成される。以下同様に、nページ目(n≧2)に印刷される導電性マークMは、n-1ページの導電性マークMから一番下側の1本が除去されてなる6-n本の斜線により構成される。
【0024】
図2(b)は、
図2(a)の各ページにユーザが書き込んでいるときに、位置検出装置10によって生成されるヒートマップを示す図である。同図に示すように、ユーザが例えば1ページ目に書き込んでいるとき、位置検出装置10によって検出される導電体は、タッチ面10aの左端に沿って並ぶ5本の斜線の形状となる。また、ユーザが2ページ目に書き込んでいるとき、位置検出装置10によって検出される導電体は、タッチ面10aの左端に沿って並ぶ4本の斜線の形状となる。以下同様に、ユーザがnページ目(n≧2)に書き込んでいるとき、位置検出装置10によって検出される導電体は、タッチ面10aの左端に沿って並ぶ6-n本の斜線の形状となる。各ページが備える導電体を例えばこのように配置することで、位置検出装置10によるページ毎の検出結果を異ならしめることができる。従って、ユーザが書き込んでいるページを識別することが可能となる。
【0025】
位置検出装置10には、ノートパッドP1の各ページに印刷される導電性マークMの位置及び形状を示す情報と、検出された導電性マークMの内容(例えば、斜線の本数)を書き込み中のページに対応付ける対応テーブルとが予め格納される。
図2(b)に示したようなヒートマップを生成した位置検出装置10は、まず初めに、予め記憶している導電性マークMの位置及び形状を示す情報に基づく幾何学形状マッチングを行うことにより、生成したヒートマップ内に含まれる導電性マークMを抽出する。次いで位置検出装置10は、抽出した導電性マークMに基づいて対応テーブルを参照することにより、書き込み中にあるページのページ情報を検出する。これにより、位置検出装置10はページめくり状態検出装置としても機能する。
【0026】
表1は、位置検出装置10が記憶している対応テーブルの一例を示す図である。同表には、
図2(a)に示した導電性マークMを用いる場合の例を示している。この例による対応テーブルは、表1に示すように、導電性マークMを構成する斜線の本数と、書き込み中にあるページのページ情報とを対応付けて記憶するよう構成される。したがって位置検出装置10は、ヒートマップから抽出した導電性マークMに含まれる斜線の本数から、書き込み中にあるページのページ情報を検出することができる。
【0027】
【0028】
ここで、
図3(a)は、全5ページのノートパッドP1の各ページに予め書き込まれる識別情報の他の例を示す図であり、
図3(b)は、
図3(a)の各ページにユーザが書き込んでいるときに、位置検出装置10によって生成されるヒートマップを示す図である。この例では各ページの導電性マークMが1本の斜線のみから構成されているが、ページによってその位置が異なっており、その結果として
図2(b)と同様のヒートマップが得られている。したがって、位置検出装置10は、
図2(a)の導電性マークMを用いる場合と同様の処理により、書き込み中にあるページのページ情報を検出することができる。このように、導電性マークMの具体的な態様は1つに限られない。要は、複数ページから構成されるシート状記録媒体に配置された複数の導電体が位置検出装置10によって静電容量的に検出されるように構成されているとともに、書き込みページが識別可能となるように複数の導電体がシート状記録媒体に配置されていればよい。
【0029】
図4は、位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。同図に示すように、位置検出装置10は、センサー15、センサコントローラ16、メモリ17、及び無線通信部18をさらに有して構成される。また、タブレット端末30は、
図1にも示したタッチスクリーン31の他、無線通信部32、ストロークビルダー33、エディター34、及びメモリ35を有して構成される。
【0030】
センサー15は、アクティブ静電方式によるスタイラスSaの位置検出と、静電容量方式による導電体の位置検出とに対応する投影型静電容量方式のセンサー(PCAP)である。センサー15は、位置検出装置10の載置面に載置されるシート状記録媒体の裏面の側に配置されて、ページ識別用部材としての導電性マークMをセンスする。
【0031】
図5は、センサー15の詳細な構成を示す図である。同図に示すように、センサー15は、タッチ面10aの全体を覆うように配置された各複数の線状電極15x,15yを有して構成される。複数の線状電極15xは、それぞれY方向に延在する線状の電極であり、Y方向と直交するX方向に等間隔で配置される。複数の線状電極15yは、それぞれX方向に延在する線状の電極であり、Y方向に等間隔で配置される。各複数の線状電極15x,15yはそれぞれ、センサコントローラ16に接続される。
【0032】
図4に戻る。センサコントローラ16は、センサー15を用いてスタイラスSaの位置検出を行うとともに、スタイラスSaが送信したデータの受信も行う制御回路であり、集積回路によって構成される。スタイラスSaの位置検出は、アクティブ静電方式により実行される。センサコントローラ16はまた、センサー15を用いてタッチ面10a内における導電体の位置を検出することによって上述したヒートマップを生成し、その結果に基づいてユーザが書き込み中にあるページのページ情報を検出する処理も行う。
【0033】
メモリ17は、この例ではファイル単位でデータを管理するように構成された記憶装置である。センサコントローラ16は、アクティブ静電方式により検出したスタイラスSaの位置を示す座標データ及びスタイラスSaから受信したデータ(以下、まとめて「手書きデータ」と称する)をメモリ17内のファイルに書き込むように構成される。これにより、ユーザの筆跡を示す一連の手書きデータがファイル内に蓄積される。メモリ17には、上述した対応テーブルも格納される。
【0034】
図6は、センサコントローラ16から出力される手書きデータと、該手書きデータを格納するためのファイルとを示す図である。この例によるセンサコントローラ16は、スタイラスSaの位置を示す座標データ(X,Y)と、スタイラスSaから受信した筆圧値P及びスイッチ情報SW1,SW2(後述)と、位置を検出した時刻Tを示すタイムスタンプ情報とを含む手書きデータを生成し、メモリ17に対して出力するよう構成される。以下では、この例を前提として説明を続ける。
【0035】
センサコントローラ16は、位置検出装置10の電源が投入された場合、及び、識別情報の読み取り結果に基づいて検出されるページが変化した場合(すなわち、書き込み中にあるページにページ変更があった場合)に、メモリ17内に新たなファイルを生成するよう構成される。
図6では、#1のファイルが位置検出装置10の電源投入に応じて生成されたファイルであり、#2,#3の各ファイルは書き込み中にあるページに生じたページ変更に応じて生成されたファイルである。センサコントローラ16は、新たなファイルを生成すると、手書きデータの出力先をそのファイルに変更する。これにより、ページごとに手書きデータのファイルが生成されていくことになる。また、時系列的に生成される手書きデータに対しページを示す情報を関連付けることで複数ページに渡る手書きデータを1つのファイルとして生成することもできる。更には、手書きデータが生成された時刻を示す情報(タイムスタンプ情報)をも関連づけて記憶することで手書きデータの加工・編集が効果的に処理可能となる。
【0036】
図4に戻る。無線通信部18は、メモリ17に蓄積されたファイルを取り出し、タブレット端末30に対して送信する機能部である。無線通信部18によるファイルの取り出し及び送信は、タブレット端末30からの送信指示に応じて実行されることとしてもよいし、位置検出装置10に設けられた操作手段におけるユーザの操作に応じて実行されてもよい。また、位置検出装置10とタブレット端末30が通信可能な距離に接近した場合に、自動的に送信が実行されるように構成してもよい。また、無線通信部18は、ファイル単位ではなく、センサコントローラ16によって1座標分の手書きデータがメモリ17に蓄積される都度、その手書きデータが書き込まれたページを特定する情報とともに、蓄積された手書きデータを送信することとしてもよい。こうすることで、タブレット端末30のタッチスクリーン31に、リアルタイムに手書きデータを表示することが可能になる。この場合、ファイルの管理はタブレット端末30側で実施されることになる。
【0037】
タブレット端末30に移り、無線通信部32は、位置検出装置10から手書きデータを受信し、ストロークビルダー33に供給する。ストロークビルダー33は、無線通信部32から供給される一連の手書きデータに基づいて描画用のベクターデータであるストロークデータを生成し、メモリ35に格納する。
【0038】
図6には、ストロークビルダー33によってメモリ35に格納されるストロークデータも示している。同図に示すように、ストロークデータは1以上の手書きデータを含むデータであり、ストロークビルダー33は、1以上のストロークデータをファイルごとにまとめてメモリ35に格納するよう構成される。
【0039】
ストロークビルダー33によるストロークデータの生成方法について、詳しく説明する。一連の手書きデータからストロークデータを生成するためには、まずストローク間の区切りを判定する必要がある。ストロークビルダー33は、この区切りを、各手書きデータ内の筆圧値Pを参照することによって判定する。すなわち、対応する筆圧値Pがゼロなど所定の値以下となっている単位手書きデータはホバー状態であるときに取得されたものであるから、筆跡に寄与するものではない。そこで、ストロークビルダー33は、このような手書きデータをストロークデータの生成対象から排除し、排除した手書きデータが含まれていたところをストロークの区切りと判定する。そして、この区切りによって検出される1以上の手書きデータのセットにより、1つのストロークデータを生成する。
【0040】
ストロークビルダー33は、ストロークデータを生成する際、各手書きデータのタイムスタンプ情報を参照することにより、生成した一連のストロークデータのそれぞれに順序情報を付与する。これにより、メモリ35に格納されるファイル内の各ストロークデータは、筆記順に順序付けられたものとなる。
図6の例では、「order n」(nは自然数)と書かれたデータが順序情報であり、自然数nが筆記順を示している。
【0041】
エディター34は、メモリ35内に格納されているファイルを取り出してその中に含まれる各ストロークデータのレンダリングを行い、その結果をタッチスクリーン31に表示する機能と、タッチスクリーン31におけるユーザのタッチ操作を認識し、その内容に応じた処理を行う機能とを有して構成される。
【0042】
次に、センサコントローラ16が行うスタイラスSaの検出及びヒートマップの生成について、詳細に説明する。
【0043】
まずスタイラスSaの検出について
図5を参照しながら説明すると、センサコントローラ16は、
図5に示した複数の線状電極15x(又は複数の線状電極15y)のすべてを用いて、周期的にアップリンク信号を送信するよう構成される。アップリンク信号は、ダウンリンク信号の送信タイミングをスタイラスSaに知らせる役割と、スタイラスSaに対するコマンドを送信する役割とを有する信号である。
【0044】
アップリンク信号を受信したスタイラスSaは、アップリンク信号によって示されるタイミングでダウンリンク信号を送信する。スタイラスSaがまだセンサコントローラ16とペアリングしていない場合、このダウンリンク信号は、所定時間長の無変調のバースト信号によって構成される。以下、このバースト信号を「位置信号」と称する。一方、スタイラスSaがセンサコントローラ16とペアリングしている場合のダウンリンク信号は、より短い時間長の位置信号と、データ信号とを含んで構成される。データ信号は、アップリンク信号に含まれるコマンドによって指示されたデータによって変調された信号である。データ信号によって送信されるデータの例としては、スタイラスSaの先端に印加される圧力を示す筆圧値、スタイラスSaに設けられるボタンのオンオフ状態を示すスイッチ情報、スタイラスSaに予め記憶されるペンIDなどが挙げられる。上述した筆圧値Pはこの筆圧値に相当し、スイッチ情報SW1,SW2はこのスイッチ情報に相当する。
【0045】
センサコントローラ16は、まだスタイラスSaとペアリングしていない場合、アップリンク信号を送信した後、各複数の線状電極15x,15yのすべてを走査することにより、タッチ面10aの全体でスタイラスSaが送信したダウンリンク信号の検出を試みる(グローバルスキャン)。この検出処理によってダウンリンク信号を検出した場合、センサコントローラ16は、各複数の線状電極15x,15yにおけるダウンリンク信号の受信強度に基づいてスタイラスSaの位置を検出するとともに、該スタイラスSaとの間で所定のペアリング動作を行う。この動作の完了により、センサコントローラ16とスタイラスSaとはペアリングした状態となる。
【0046】
スタイラスSaとペアリングしたセンサコントローラ16は、アップリンク信号を送信した後、各複数の線状電極15x,15yのうち最後に検出したスタイラスSaの位置の近傍にある所定数本のみを走査することにより、タッチ面10aの一部のみでスタイラスSaが送信した位置信号の検出を試みる(ローカルスキャン)。そして、各線状電極15x,15yにおけるダウンリンク信号の受信強度に基づいてスタイラスSaの位置を新たに取得する。続いてセンサコントローラ16は、各複数の線状電極15x,15yのうち最後に検出したスタイラスSaの位置の近傍にある1本のみを走査することにより、スタイラスSaが送信したデータ信号を受信する。そして、受信したデータ信号を復調することによって、スタイラスSaが送信したデータを取得する。
【0047】
センサコントローラ16は、受信したデータ信号に含まれる筆圧値に基づいて、スタイラスSaの状態を判定する処理も行う。具体的には、受信した筆圧値が0である場合、センサコントローラ16は、スタイラスSaがホバー状態(ペン先がシート状記録媒体から離間している状態)にあると判定する。一方、受信した筆圧値が0より大きい場合、センサコントローラ16は、スタイラスSaがタッチ状態(ペン先がタッチ面10aに接触している状態)にあると判定する。こうして判定されるスタイラスSaの状態は、導電体で構成された導電性マークMの読み取りタイミングを決定するために使用される。
【0048】
次に、ヒートマップの生成について説明する。センサコントローラ16によるヒートマップの生成は、一般的な静電容量方式による指の検出と同じ原理によって行われる。以下、
図7を参照して詳しく説明する。
【0049】
図7は、センサコントローラ16によるヒートマップ生成の原理を示す図である。簡単のため、同図には4本の線状電極15xのみを示しているが、実際にはより多くの線状電極15xが配置される。以下、線状電極15xの本数がK本であるとして説明を続ける。
【0050】
センサコントローラ16はまず、各線状電極15xに対して、図示した検出用信号FDSを供給する。検出用信号FDSは例えば、それぞれK個の「1」又は「-1」で表されるパルスからなるK個の信号s1~sKによって構成される信号である。信号s1~sKそれぞれのn番目(n=1~K)のパルスはパルス群pnを構成し、1つのパルス群pnを構成する各パルスは、各線状電極15xにパラレルに入力される。
【0051】
線状電極15xの本数が4本である場合、信号s
1~s
Kはそれぞれ4個の「1」又は「-1」で表されるパルスによって構成されることになる。具体的には、
図7に示すように、信号s
1が「1,1,1,1」、信号s
2が「1,1,-1,-1」、信号s
3が「1,-1,-1,1」、信号s
4が「1-1,1,-1」によりそれぞれ構成される。
【0052】
センサコントローラ16は機能的に、シフトレジスタ16a及び相関器16bを含んで構成される。シフトレジスタ16aはFIFO形式の記憶部であり、線状電極15xの本数と同数(すなわち、K個)のデータを格納可能に構成される。シフトレジスタ16aに新たにデータを格納する際には、K回前に格納されたデータが消去される。センサコントローラ16は、1つの線状電極15yを選択した状態で、パルス群p1~p4を順次各線状電極15xに入力する、という動作を各線状電極15yについて繰り返す。これにより、選択中の線状電極15yには、それぞれパルス群p1~p4に対応する4つのレベルL1~L4が順次現れることになる。センサコントローラ16は、こうして線状電極15yに現れるレベルL1~L4を順次取得し、その都度、シフトレジスタ16aに格納する。
【0053】
レベルL
1~L
4の具体的な内容について、
図7に示した線状電極15y
1が選択されている場合を例に取って詳しく説明する。以下の説明では、線状電極15y
1と4本の線状電極15x
1~15x
4のそれぞれとの間に形成されるキャパシタンスを、それぞれC
11~C
41とする。
【0054】
まずパルス群p
1に対応してシフトレジスタ16aに格納されるレベルL
1は、キャパシタンスのベクトル(C
11,C
21,C
31,C
41)と、パルス群p
1を示すベクトル(1,1,1,1)との内積となる。この内積は、
図7にも示すように、C
11+C
21+C
31+C
41と計算される。同様に、パルス群p
2に対応してシフトレジスタ16aに格納されるレベルL
2は、キャパシタンスのベクトル(C
11,C
21,C
31,C
41)と、パルス群p
1を示すベクトル(1,1,-1,-1)との内積となってC
11+C
21-C
31-C
41と計算され、パルス群p
3に対応してシフトレジスタ16aに格納されるレベルL
3は、キャパシタンスのベクトル(C
11,C
21,C
31,C
41)と、パルス群p
3を示すベクトル(1,-1,-1,1)との内積となってC
11-C
21-C
31+C
41と計算され、パルス群p
4に対応してシフトレジスタ16aに格納されるレベルL
4は、キャパシタンスのベクトル(C
11,C
21,C
31,C
41)と、パルス群p
4を示すベクトル(1,-1,1,-1)との内積となってC
11-C
21+C
31-C
41と計算される。
【0055】
センサコントローラ16は、相関器16bを用い、4個のパルス群p
1~p
4のそれぞれについて、シフトレジスタ16aに蓄積したレベルL
1~L
4との相関値T
1~T
4を順次算出する。こうして算出される相関値T
1~T
4の具体的な内容は、
図7にも示すように、それぞれ4C
11,4C
21,4C
31,4C
41となる。すなわち、相関値T
1~T
4には、それぞれ線状電極15x
1~15x
4と、線状電極15y
1との交点に形成されるキャパシタンスの変化が反映されることになる。
【0056】
センサコントローラ16は、各線状電極15yについて、相関値T1~T4を算出する。そして、算出した結果を平面上にマッピングすることにより、上述したヒートマップを生成する。これにより、ヒートマップの生成が完了する。
【0057】
以上、センサコントローラ16が行うスタイラスSaの検出及びヒートマップの生成について、詳しく説明した。次に、生成したヒートマップに基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出する処理を含むセンサコントローラ16の処理の全体の流れについて、センサコントローラ16が行う処理のフロー図を参照しながら、詳しく説明する。
【0058】
図8は、センサコントローラ16が行う処理のフロー図である。同図には、タッチ面10a上にノートパッドP1が載置された状態で
図1に示した電源ボタン11が押下され、位置検出装置10の電源がオンになった後の処理を示している。
【0059】
位置検出装置10の電源がオンになると、この例ではセンサコントローラ16はまず、ヒートマップを生成する(ステップS1)。この生成の具体的な方法は、上述したとおりである。続いてセンサコントローラ16は、生成したヒートマップに基づいて、ユーザが書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS2)。この検出の具体的な方法も、上述したとおりである。ステップS2においてセンサコントローラ16は、検出したページを示す情報をメモリ17に一時的に格納する処理も行う。また、センサコントローラ16は、手書きデータを書き込むためのファイルを生成し、メモリ17に書き込む処理を行う(ステップS3)。
【0060】
次にセンサコントローラ16は、アップリンク信号を送信する(ステップS4)。そして、スタイラスSaとペアリング済みであるか否かを判定し(ステップS5)、ペアリング済みであればグローバルスキャンを(ステップS6)、ペアリング済みでなければローカルスキャン(ステップS8)及びデータ信号の受信(ステップS9)をそれぞれ実行する。
【0061】
ステップS6を実行したセンサコントローラ16は、検出した位置を示す座標データをステップS3で生成したファイルに書き込む(ステップS7)。この場合、座標データ及びタイムスタンプ情報以外の情報は、ヌルとなる。一方、ステップS8,S9を実行したセンサコントローラ16は、検出した位置及び受信したデータをステップS3で生成したファイルに書き込むとともに(ステップS10)、受信した筆圧値に基づいてスタイラスSaの状態(ホバー状態又はタッチ状態)を判定する(ステップS11。判定ステップ)。
【0062】
ステップS7又はステップS11を終了したセンサコントローラ16は、次に、ホバー状態又はペアリングなしの状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS12)。ここで否定的な判定結果を得たセンサコントローラ16は、ステップS4に戻って処理を続ける。一方、肯定的な判定結果を得たセンサコントローラ16は、タッチ面10a内における導電体の位置を検出することによってヒートマップを生成し(ステップS13。位置検出ステップ)、生成したヒートマップに基づいて、ユーザが書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS14)。ステップS13,S14の処理の詳細は、上述したステップS1,S2の処理と同様である。そしてセンサコントローラ16は、ステップS14で検出したページを、ステップS2又は前回のステップS14においてメモリ17に一時的に格納しておいた情報により示されるページと比較することにより、書き込み中にあるページが変更されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0063】
ステップS15で変化していないと判定したセンサコントローラ16は、ステップS4に戻って処理を続ける。一方、ステップS15で変化したと判定したセンサコントローラ16は、手書きデータを書き込むためのファイルを新たに生成し、メモリ17に書き込む(ステップS16)。これ以降、こうして生成された新しいファイルが、ステップS7,S10における書き込みの対象となる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態による位置検出装置10によれば、センサコントローラ16が導電性マークMとの静電容量的相互作用を通じて各ページの識別情報を読み取り、その結果に基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出しているので、タッチ面10aにページ検出のための突出部分を設けることなく、光学的又は磁気的な検出手段や二次元コードなどの符号を読み取るセンサーを用いることもなく、かつユーザ操作によらずに、書き込み中にあるページのページ情報を検出することが可能になる。しかも、手書き情報を検出するためのセンサー15を共用して導電性マークMを検出可能に構成することもできる。
【0065】
また、本実施の形態による位置検出装置10によれば、センサコントローラ16は、スタイラスSaがホバー状態になった場合、又は、ペアリングしているスタイラスSaがない場合に書き込みページの検出処理を実行しているので、ユーザがページをめくっている可能性のあるタイミングで適切にページ検出処理を行うことが可能になる。
【0066】
なお、本実施の形態による位置検出装置10によれば、書き込み中にあるページが変更されたことだけでなく、書き込み中にあるページのページ番号を特定することも可能になる。したがって、センサコントローラ16は、特定したページ番号を、メモリ17に格納するファイルにメタデータとして付加することとしてもよい。こうすれば、タブレット端末30のアプリケーションにおいて、ノートパッドP1のページ番号に応じた処理を行うことが可能になる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態による位置検出装置10について、説明する。
図9は、本発明の第2の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態による位置検出装置10は、センサコントローラ16、メモリ17、無線通信部18、センサー20,21、及び読み取り部22を有して構成される。タブレット端末30の構成は、第1の実施の形態によるものと同一である。
【0068】
図9を
図4と比較すると理解されるように、本実施の形態による位置検出装置10は、センサー15に代えてセンサー20,21を有し、さらに、センサコントローラ16とは別に読み取り部22を有する点で、第1の実施の形態による位置検出装置10と相違する。また、本実施の形態では、アクティブ静電方式に対応するスタイラスSaに代え、電磁誘導方式(EMR)に対応するスタイラスSbを用いる。その他の点では第1の実施の形態による位置検出装置10と同様であるので、以下では、第1の実施の形態による位置検出装置10との相違点に着目して説明する。
【0069】
センサー20は、スタイラスSbの検出に対応する電磁誘導方式のセンサーである。また、センサー21は、静電容量方式による導電体の位置検出に対応する投影型静電容量方式のセンサー(PCAP)である。センサー20はスタイラスSbを検出するために使用され、センサー21は各ページの識別情報を読み取るために使用される。
【0070】
図10は、センサー20,21及びスタイラスSbの詳細な構成を示す図である。
図10に示すように、センサー20,21はX方向に沿って並置される。また、センサー21は、ユーザから見てセンサー20の左側に配置される。これにより、
図3に示したノートパッドP1のように、ユーザから見て左側の一辺に沿って導電性マークMが形成されてなる構成のシート状記録媒体を用いることが可能になる。また、スタイラスSbは、キャパシタ50及びインダクタ51からなるLC共振回路を有して構成される。
【0071】
初めにスタイラスSbに着目すると、インダクタ51は、センサー20から供給される磁界に応じて誘導電圧を生成し、キャパシタ50を充電する役割を果たす。センサー20からの磁界の供給が止まった後のインダクタ51は、キャパシタ50に蓄積した電圧を利用して、センサー20に対して信号を返送する。この返送信号には、位置検出用の連続信号、連続信号の終了を示すスタート信号、及び、サイドスイッチ情報をこの順に含む。
【0072】
キャパシタ50は、スタイラスSbのペン先に加わる圧力(=筆圧値)によってその容量が変化するよう構成される。キャパシタ50の容量が変化すると共振回路の共振周波数が変化するので、上記のようにして送信される返送信号の周波数も筆圧値によって変化することになる。本実施の形態によるセンサコントローラ16は、この周波数変化を検出することにより、スタイラスSbから筆圧値を取得する。
【0073】
次に、センサー20,21に着目すると、まずセンサー21の具体的な構成は、X方向の幅が狭くなっている点を除き、第1の実施の形態で説明したセンサー15と同様である。読み取り部22は、第1の実施の形態において説明したセンサコントローラ16の処理と同様の処理によってヒートマップを生成し、メモリ17内の所定エリアに書き込む。
【0074】
一方、センサー20は、電磁誘導方式であることから、静電容量方式であるセンサー15とは異なる構成を有している。以下、センサー20の構成と、センサー20を用いてセンサコントローラ16が行うスタイラスSbの検出とについて、
図10を参照しながら詳しく説明する。
【0075】
センサー20は、
図10に示すように、長方形の平面領域内に複数のループコイルLCが配置された構成を有している。複数のループコイルLCには、Y方向に延在する複数のループコイルLCと、X方向に延在する複数のループコイルLCとが含まれる。各ループコイルLCの一端は接地され、他端はセンサコントローラ16に接続される。
【0076】
センサコントローラ16は、複数のループコイルLCのうちを1つずつ順に選択し、選択したループコイルLCに電流信号を供給する。すると、そのループコイルLCの周囲に磁界が発生し、この磁界の中にいるスタイラスSb内のインダクタ51に誘導電圧が発生する。センサコントローラ16は、電流信号の供給を開始してから所定時間が経過した後、電流信号の供給を停止する。すると、ループコイルLCの周囲に発生していた磁界が消滅し、スタイラスSbから上述した返送信号の送信が開始される。センサコントローラ16は、こうして送信された返送信号の各ループコイルLCにおける受信強度に基づいてスタイラスSbの位置を検出するとともに、返送信号を復号することによって、スタイラスSbが送信したデータ(筆圧値を含む)を取得する。
【0077】
図11は、本実施の形態によるセンサコントローラ16が行う処理のフロー図である。同図にも、タッチ面10a上にノートパッドP1が載置された状態で
図1に示した電源ボタン11が押下され、位置検出装置10の電源がオンになった後の処理を示している。
【0078】
位置検出装置10の電源がオンになると、まず読み取り部22により、ヒートマップの生成が実行される(ステップS20)。上述したように、読み取り部22は、生成したヒートマップをメモリ17の所定エリア内に格納する。これ以降、読み取り部22は周期的にヒートマップの生成を実行することにより、メモリ17の所定エリア内の情報を更新し続ける。
【0079】
センサコントローラ16は、メモリ17の所定エリアからヒートマップを取得する(ステップS21)。そして、取得したヒートマップに基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS22)とともに、手書きデータを書き込むためのファイルを生成する(ステップS23)。ステップS22,S23の処理の詳細は、
図8に示したステップS2,S3の処理と同様である。
【0080】
次にセンサコントローラ16は、スタイラスSbの位置検出を行う(ステップS24)。この位置検出の詳細は上述したとおりであり、結果として、スタイラスSbの位置を示す座標データと、スタイラスSbが送信したデータ(筆圧値を含む)とが取得される。センサコントローラ16は、こうして検出した位置及び取得したデータを、ステップS23で生成したファイルに書き込む(ステップS25)。
【0081】
続いてセンサコントローラ16は、メモリ17の所定エリアから、再度、ヒートマップを取得する(ステップS26)。そして、取得したヒートマップに基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS27)。ステップS26,S27の処理の詳細は、上述したステップS21,S22の処理と同様である。その後、センサコントローラ16は、ステップS27で検出したページ情報を、ステップS22又は前回のステップS27においてメモリ17に一時的に格納しておいた情報により示されるページ情報と比較することにより、書き込み中にあるページが変更されたか否かを判定する(ステップS28)。
【0082】
ステップS28で変化していないと判定したセンサコントローラ16は、ステップS24に戻って処理を続ける。一方、ステップS28で変化したと判定したセンサコントローラ16は、手書きデータを書き込むためのファイルを新たに生成し、メモリ17に書き込む(ステップS29)。これ以降、こうして生成された新しいファイルが、ステップS25における書き込みの対象となる。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態による位置検出装置10によれば、読み取り部22が導電性マークMとの電気的な相互作用を通じて各ページの識別情報を読み取り、その結果に基づいてセンサコントローラ16が書き込み中にあるページのページ情報を検出しているので、タッチ面10aにページ検出のための突出部分を設けることなく、光学的又は磁気的な検出手段や二次元コードなどの符号を読み取るセンサーを用いることもなく、かつユーザ操作によらずに、書き込み中にあるページのページ情報を検出することが可能になる。
【0084】
また、本実施の形態による位置検出装置10によれば、ヒートマップを生成するために用いるセンサー21をスタイラスSbを読み取るためのセンサー20とは別に設けているので、スタイラスSbの検出に電磁誘導方式(EMR)を採用することが可能になるとともに、スタイラスSbがホバー状態であるときにも途切れなくスタイラスSbの位置を検出し続けることが可能になる。
【0085】
また、本実施の形態による位置検出装置10によれば、センサー21の役割がヒートマップの生成に限定されることから、ヒートマップの生成に最適化したセンサー21を用いることが可能になる。具体的には、検出用信号FDSのサンプリング周波数が通常のセンサーより高く、したがって感度のよいセンサーを用いることが可能になる。また、寄生容量の影響を低減するために、線状電極15xに検出用信号FDSを供給し、線状電極15yで受信する動作と、線状電極15yに検出用信号FDSを供給し、線状電極15xで受信する動作とを切り替えながら、ヒートマップを生成することが可能になる。
【0086】
なお、本実施の形態による位置検出装置10によっても、第1の実施の形態による位置検出装置10と同様、書き込み中にあるページが変更されたことだけでなく、書き込み中にあるページのページ番号を特定することが可能になる。したがって、センサコントローラ16は、特定したページ番号を、メモリ17に格納するファイルにメタデータとして付加することとしてもよい。こうすれば、タブレット端末30のアプリケーションにおいて、ノートパッドP1のページ番号に応じた処理を行うことが可能になる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施の形態による位置検出装置10について、説明する。
図12は、本発明の第3の実施の形態による位置検出装置10及びタブレット端末30の内部構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態による位置検出装置10は、センサコントローラ16、メモリ17、無線通信部18、センサー20、及びICタグリーダ23を有して構成される。タブレット端末30の構成は、第1及び第2の実施の形態によるものと同一である。
【0088】
図12を
図9と比較すると理解されるように、本実施の形態による位置検出装置10は、センサー21及び読み取り部22を有しない一方、ICタグリーダ23を有する点で、第2の実施の形態による位置検出装置10と相違する。また、本実施の形態では、導電体(導電性マークM)に代え、ICタグRに書き込まれた情報を各ページの識別情報として使用する。その他の点では第2の実施の形態による位置検出装置10と同様であるので、以下では、第2の実施の形態による位置検出装置10との相違点に着目して説明する。
【0089】
初めに、
図13は、本実施の形態によるシート状記録媒体P2と、該シート状記録媒体P2に識別情報を書き込む方法とを示す図である。本実施の形態によるシート状記録媒体P2は綴じられていない一枚紙の集合であり、典型的にはプリンター用紙である。シート状記録媒体P2の各ページには、予めICタグRが埋め込まれている。
【0090】
図13には、中学校などにおいて、教師がテストの答案用紙を作成する場合の例を示している。この例による教師は、パソコンなどのコンピュータ70を用いて原稿を作成し、プリンター60を用いて印刷することによって、本実施の形態による教育用教材(答案用紙)を作成する。プリンター60は、印刷された紙が排紙される排紙口61の近傍にICタグRへの書き込みを行うICタグライタ62を有しており、印刷と同時に、各ページのICタグRに識別情報を書き込むよう構成される。以下、答案用紙の作成について、プリンター60の機能ブロックを参照しながら、より詳しく説明する。
【0091】
図14は、プリンター60の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、プリンター60は、
図13にも示したICタグライタ62の他に、制御部63及び受信部64を有して構成される。
【0092】
ICタグライタ62は、ICタグRに識別情報を書き込む機能を有して構成される。受信部64は、有線又は無線によってコンピュータ70に接続され、コンピュータ70との間で各種の信号を送受信する機能を有する。コンピュータ70から受信部64に送信される信号には、印刷の内容を示す印刷信号と、ICタグRに書き込むための識別情報とが含まれ、受信部64は、受信した印刷信号及び識別情報を制御部63に出力するよう構成される。
【0093】
制御部63はプリンター60の中央処理装置であり、受信部64から供給される印刷信号に応じて紙への印刷を実行するとともに、この紙に埋め込まれたICタグRに対し、ICタグライタ62を用いて、受信部64から供給される識別情報を書き込む役割を果たす。
【0094】
答案用紙を作成しようとする教師は、コンピュータ70において、文書作成ソフトウェアを用いて氏名欄及び回答欄を含む答案用紙の原稿を作成するとともに、表計算ソフトウェアを用いて、生徒氏名と、ICタグRに書き込む各ページの識別情報とを対応付けた対応表を作成する。そして、例えば文書作成ソフトウェアの差し込み印刷機能を用い、対応表の1レコードごとに、対応する生徒氏名を上記原稿内に含む印刷信号を生成し、対応する識別情報とともにプリンター60に出力する。これを受けたプリンター60は、上記のようにして印刷及びICタグRへの書き込みを実施することにより、互いに異なる識別情報が書き込まれた複数のページを有する答案用紙を生成する。
【0095】
図12に戻り、本実施の形態による位置検出装置10の構成について、詳しく説明する。初めに、センサー20は、第2の実施の形態でも説明したように、スタイラスSbの検出に対応する電磁誘導方式のセンサーである。ただし、センサー21が設けられないことから、本実施の形態によるセンサー20は、タッチ面10aの全体にわたって設けられる。したがってユーザは、タッチ面10aの全体でシート状記録媒体への記入を行うことができる。なお、センサー20に代えて、第1の実施の形態で説明した静電容量方式のセンサー15を用いることとしてもよい。
【0096】
ICタグリーダ23は、ICタグRとの電気的な相互作用を通じて各ページの識別情報を読み取り、その結果をメモリ17内の所定エリアに書き込む処理を行う。この読み取りは、第2の実施の形態で説明した読み取り部22による読み取りと同様、周期的に行われる。
【0097】
図15は、本実施の形態によるセンサコントローラ16が行う処理のフロー図である。同図にも、タッチ面10a上にノートパッドP1が載置された状態で
図1に示した電源ボタン11が押下され、位置検出装置10の電源がオンになった後の処理を示している。
【0098】
位置検出装置10の電源がオンになると、まずICタグリーダ23により、ICタグRからの識別情報の読み取りが実行される(ステップS30)。上述したように、ICタグリーダ23は、読み取った識別情報をメモリ17の所定エリア内に格納する。これ以降、ICタグリーダ23は周期的にICタグRからの識別情報の読み取りを実行することにより、メモリ17の所定エリア内の情報を更新し続ける。
【0099】
センサコントローラ16は、メモリ17の所定エリアから識別情報を取得する(ステップS31)。そして、取得した識別情報に基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS32)とともに、手書きデータを書き込むためのファイルを生成する(ステップS33)。ステップS32においてセンサコントローラ16は、検出したページを示す情報をメモリ17に一時的に格納する処理も行う。
【0100】
続いてセンサコントローラ16は、スタイラスSbの位置検出を行い(ステップS34)。検出した位置及び取得したデータを、ステップS33で生成したファイルに書き込む(ステップS35)。ステップS34,S35の処理の詳細は、
図11に示したステップS24,S25の処理と同様である。
【0101】
次にセンサコントローラ16は、メモリ17の所定エリアから、再度、識別情報を取得する(ステップS36)。そして、取得した識別情報に基づいて書き込み中にあるページのページ情報を検出する(ステップS37)。ステップS36,S37の処理の詳細は、上述したステップS31,S32の処理と同様である。その後、センサコントローラ16は、ステップS37で検出したページを、ステップS32又は前回のステップS37においてメモリ17に一時的に格納しておいた情報により示されるページと比較することにより、書き込み中にあるページが変更されたか否かを判定する(ステップS38)。
【0102】
ステップS38で変化していないと判定したセンサコントローラ16は、ステップS34に戻って処理を続ける。一方、ステップS38で変化したと判定したセンサコントローラ16は、手書きデータを書き込むためのファイルを新たに生成し、メモリ17に書き込む(ステップS39)。これ以降、こうして生成された新しいファイルが、ステップS35における書き込みの対象となる。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態による位置検出装置10によれば、ICタグリーダ23がICタグRとの電気的な相互作用を通じて各ページの識別情報を読み取り、その結果に基づいてセンサコントローラ16が書き込み中にあるページのページ情報を検出しているので、タッチ面10aにページ検出のための突出部分を設けることなく、光学的又は磁気的な検出手段や二次元コードなどの符号を読み取るセンサーを用いることもなく、かつユーザ操作によらずに、書き込み中にあるページのページ情報を検出することが可能になる。
【0104】
また、本実施の形態による位置検出装置10によれば、識別情報を読み取るためのICタグリーダ23がセンサコントローラ16とは別の装置になることから、第2の実施の形態と同様に、スタイラスSbの検出に電磁誘導方式(EMR)を採用することが可能になるとともに、スタイラスSbがホバー状態であるときにも途切れなくスタイラスSbの位置を検出し続けることが可能になる。
【0105】
また、本実施の形態によるプリンター60によれば、ユーザが各ページのICタグRに識別情報を書き込めるので、テストの答案用紙のように綴じられていないシート状記録媒体にも、本発明を適用することが可能になる。したがって、例えば教師が複数の生徒から答案用紙を回収し、タッチ面10a上にまとめて置いて1枚ずつめくりながら採点する、という場合に、教師が各答案用紙に記入した内容を示す手書きデータを、答案用紙ごとに1つのファイルにまとめて、メモリ35内に蓄積していくことが可能になる。
【0106】
なお、本実施の形態によるセンサコントローラ16は、取得した識別情報を、メモリ17に格納するファイルにメタデータとして付加することとしてもよい。また、タブレット端末30は、コンピュータ70から上述した対応表(生徒氏名と、ICタグRに書き込む各ページの識別情報とを対応付けた表)を取得し、ファイルに付加された識別情報を生徒氏名に変換することとしてもよい。こうすることで教師は、タブレット端末30のアプリケーションにおいて、答案用紙を作成した生徒の氏名と対応付けて、自身が答案用紙に記入した手書きデータを確認することが可能になる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0108】
例えば、上記各実施の形態では、位置検出装置10内のセンサコントローラ16が書き込み中にあるページのページ情報を検出し、ファイルを分割する処理を行うこととしたが、位置検出装置10においては、これらの処理の一部のみを行い、残りの処理をタブレット端末30で行うこととしてもよい。具体的な例を挙げると、センサコントローラ16からタブレット端末30に対して書き込み中にあるページを示す情報を送信し、タブレット端末30において、受信した情報に基づいてファイルを分割することとしてもよい。
【0109】
また、第1及び第2の実施の形態では、シート状記録媒体の例として綴じ代が上部にあるノートパッドP1を用いる例を説明したが、本発明は、雑誌のような見開き形式、すなわち、各ページが右ページ部と左ページ部で構成されているシート状記録媒体にも適用可能である。この場合、右ページ部又は左ページ部の一方に導電性マークMを配置すればよい。
【符号の説明】
【0110】
10 位置検出装置
10a タッチ面
11 電源ボタン
12 電源ランプ
13 記録媒体固定部
14 スタイラス保持部
15,21 投影型静電容量方式のセンサー
15x,15y 線状電極
16 センサコントローラ
16a シフトレジスタ
16b 相関器
17 メモリ
18 無線通信部
20 電磁誘導方式のセンサー
22 読み取り部
23 ICタグリーダ
30 タブレット端末
31 タッチスクリーン
32 無線通信部
33 ストロークビルダー
34 エディター
35 メモリ
50 キャパシタ
51 インダクタ
60 プリンター
61 排紙口
62 ICタグライタ
63 制御部
64 受信部
70 コンピュータ
FDS 検出用信号
LC ループコイル
M 導電性マーク
P 筆圧値
P1 ノートパッド
P2 シート状記録媒体
R ICタグ
Sa アクティブ静電方式のスタイラス
Sb 電磁誘導方式のスタイラス
SW1,SW2 スイッチ情報