IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】フラッシュメモリ
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/30 20230101AFI20250403BHJP
   H10D 30/69 20250101ALI20250403BHJP
【FI】
H10B43/30
H10D30/69
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023021320
(22)【出願日】2023-02-15
(65)【公開番号】P2024115608
(43)【公開日】2024-08-27
【審査請求日】2023-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】白田 理一郎
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103640(JP,A)
【文献】特開2009-026458(JP,A)
【文献】特開2013-069364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/30
H10D 30/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース線とビット線との間に電気的に並列に接続された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを備えたAND型のフラッシュメモリであって、
基板内に列方向に形成された複数の細長い拡散領域と、
対向する拡散領域の間に形成された複数のゲートと、
行方向のビット線側選択トランジスタの各ゲートに接続された第1の選択線と、
行方向のソース線側選択トランジスタの各ゲートに接続された第2の選択線と、
行方向のメモリセルの各ゲートにそれぞれ接続された複数のワード線とを有し、
ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタおよび複数のメモリセルの各々は、対向する前記拡散領域の間にチャンネル領域を有し、かつそれぞれ行方向に沿うチャンネル面積を有し、
前記拡散領域は、ビット線側選択トランジスタの拡散領域を当該ビット線側選択トランジスタに隣接するメモリセルの拡散領域から電気的に分離する第1の分離領域と、ソース線側選択トランジスタの拡散領域を当該ソース線側選択トランジスタに隣接するメモリセルの拡散領域から電気的に分離する第2の分離領域とを含み、前記第1および第2の分離領域は、他の拡散領域と異なる導電型を有する、フラッシュメモリ。
【請求項2】
ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタの拡散領域は、複数のメモリセルの拡散領域から分離される、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項3】
フラッシュメモリはさらに、前記拡散領域に沿うように前記基板上に形成された複数のビット線および複数のソース線を含み、ビット線は、コンタクトを介してビット線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続され、ソース線は、コンタクトを介してソース線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続される、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項4】
前記拡散領域は、金属シリサイド領域を含む、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項5】
一方の対向する拡散領域と、当該一方の対向する拡散領域に隣接する他方の対向する拡散領域との間には、素子分離領域が形成される、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項6】
メモリセルは、ゲートと基板との間に、電荷蓄積層を含む少なくとも3層以上の積層絶縁体を含む、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項7】
前記積層絶縁体は、メモリセル毎に分離される、請求項に記載のフラッシュメモリ。
【請求項8】
選択メモリセルのゲートにプログラム電圧が印加されたとき、前記電荷蓄積層は、チャンネルからFNトンネリングされた電荷を蓄積する、請求項に記載のフラッシュメモリ。
【請求項9】
ウエル領域に消去電圧が印加されたとき、前記電荷蓄積層は、蓄積した電荷をトンネリングによりチャンネルに放出する、請求項に記載のフラッシュメモリ。
【請求項10】
フラッシュメモリはさらに、前記拡散領域に沿うように前記基板上に形成された複数のビット線を含み、ビット線は、コンタクトを介してビット線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続され、ソース線はワード線と平行に配置され、コンタクトを介してソース線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続される、請求項1に記載のフラッシュメモリ。
【請求項11】
メモリセルアレイは、行列方向に配置された複数のブロックを含み、前記ソース線は、行方向の複数のブロックに共通に接続される、請求項10に記載のフラッシュメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AND型のメモリセルアレイ構造を有するフラッシュメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
図1(A)に従来のNOR型フラッシュメモリの等価回路を示す。同図に示すように、各メモリセルのソース/ドレインがビット線BLとソース線SL(仮想接地)との間に接続され、ゲートがワード線WLに接続され、個々のメモリセルの読出しやプログラムを行うことができる。プログラム動作では、例えば、選択メモリセルのビット線BLに5V、ソース線SLに0V、ワード線WLに12Vを印加し、非選択メモリセルのビット線BL、ソース線SL、ワード線WLに0Vを印加する。
【0003】
NOR型フラッシュメモリでは、メモリセルのゲート長を100nm未満にスケーリングすることができないため、メモリセルのスケーリングに制限がある。ゲート長をスケーリングできない理由の1つは、プログラミング中のパンチスルーの問題である。ビット線BLに大きな電圧を印加するため、ゲート長をスケーリングに従って100nmより小さくすると、メモリセルのソース/ドレイン間でパンチスルーが生じ、ビット線BLからソース線SLへの電流の漏れを抑えることが難しくなる。また、ゲート長をスケーリングできない場合、読み出し動作時に読み出し電流を得るべくチャンネル幅もスケーリングすることができない。それ故、NOR型フラッシュメモリのメモリセルサイズは、概ね限界にきている。
【0004】
図1(B)は、AND型フラッシュメモリの等価回路を示す図である(非特許文献1)。AND型フラッシュメモリでは、ローカルビット線LBLとローカルソース線LSLとの間に複数のメモリセルを並列に接続し、メモリセルの各ゲートがワード線WLに接続される。ローカルビット線LBLは、ビット線側の選択トランジスタを介してビット線BLに接続され、ローカルソース線LSLは、ソース線側の選択トランジスタを介してソース線SLに接続される。メモリセルを選択するとき、選択制御線SG1によりビット線側の選択トランジスタがオンされ、選択制御線SG2によりソース線側の選択トランジスタがオンされる。
【0005】
プログラム動作では、例えば、選択メモリセルのローカルビット線LBLに4.5V、ローカルソース線LSLをフローティング、ワード線WLに-9.5Vを印加し、非選択メモリセルのローカルビット線LBLに0V、ローカルソース線LSLをフローティング、ワード線に3Vを印加する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】“A Shallow-Trench-Isolation Flash Memory Technology with a Source-Bias Programming Method” Masataka Kato, Tetsuo Adachi, and Toshihiro Tanaka, 1996 IEDM, p177-180.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来のAND型フラッシュメモリでは、プログラム動作時、ローカルソース線LSLをフローティングとし、ドレインと浮遊ゲート間の電位差によりフローティングゲートFGからドレインへ電子を排除する。その際ゲート長を微細化するとソースとドレイン間のパンチスルーにより、ソース電位が上がりソースと浮遊ゲート間容量によりフローリングゲートFGの電位が上がってしまう。それによりフローティングゲートFGからドレイン経由でローカルビット線LBLへ電子を排除しにくくなる。そのため、セルサイズを微細化することが難しいという課題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決し、メモリセルサイズの微細化を図り、高集積化が可能なAND型のフラッシュメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のAND型のフラッシュメモリは、ソース線とビット線との間に電気的に並列に接続された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを備えたものであって、基板内に列方向に形成された複数の細長い拡散領域と、対向する拡散領域の間に形成された複数のゲートと、行方向のビット線側選択トランジスタの各ゲートに接続された第1の選択線と、行方向のソース線側選択トランジスタの各ゲートに接続された第2の選択線と、行方向のメモリセルの各ゲートにそれぞれ接続された複数のワード線とを有し、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタおよび複数のメモリセルは、それぞれ行方向に沿うチャンネル面積を有する。
【0010】
ある態様では、ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタの拡散領域は、複数のメモリセルの拡散領域から分離される。ある態様では、前記拡散領域は、ビット線側選択トランジスタの拡散領域を当該ビット線側選択トランジスタに隣接するメモリセルの拡散領域から電気的に分離する第1の分離領域と、ソース線側選択トランジスタの拡散領域を当該ソース線側選択トランジスタに隣接するメモリセルの拡散領域から電気的に分離する第2の分離領域とを含む。ある態様では、前記第1および第2の分離領域は、他の拡散領域と異なる導電型を有する。ある態様では、フラッシュメモリはさらに、前記拡散領域に沿うように前記基板上に形成された複数のビット線および複数のソース線を含み、ビット線は、コンタクトを介してビット線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続され、ソース線は、コンタクトを介してソース線側選択トランジスタの拡散領域に電気的に接続される。ある態様では、前記拡散領域は、金属シリサイド領域を含む。ある態様では、一方の対向する拡散領域と、当該一方の対向する拡散領域に隣接する他方の対向する拡散領域との間には、素子分離領域が形成される。ある態様では、メモリセルは、ゲートと基板との間に、電荷蓄積層を含む少なくとも3層以上の積層絶縁体を含む。ある態様では、前記積層絶縁体は、メモリセル毎に分離される。ある態様では、選択メモリセルのゲートにプログラム電圧が印加されたとき、前記電荷蓄積層は、チャンネルからFNトンネリングされた電荷を蓄積する。ある態様では、ウエル領域に消去電圧が印加されたとき、前記電荷蓄積層は、蓄積した電荷をトンネリングによりチャンネルに放出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、AND型のメモリセルアレイにおいて、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタおよび複数のメモリセルがそれぞれ行方向に沿うチャンネル面積を有するように構成したので、メモリセルアレイの設計を容易にし、かつメモリセルアレイの高集積化を図ることができる。また、金属シリサイド領域により拡散領域の抵抗を減少させることで、ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタとの間に並列接続されるメモリセルの数を増加させることでき、メモリセルアレイの高集積化を図ることができる。さらに、メモリセルが電荷蓄積層を含む少なくとも3層以上の積層絶縁体を持つように構成したので、従来のAND型フラッシュメモリと比較してメモリセルの微細化が可能となり、かつ製造工程の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(A)は、NOR型フラッシュメモリの等価回路、図1(B)は、AND型フラッシュメモリの等価回路である。
図2A】本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリの基板の概略断面図である。
図2B】本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイ部分の概略平面図である。
図3】本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリの製造工程を示す平面図であって、メモリセルアレイ部分の概略平面図である。
図4】素子分離領域を形成した後の図3のA-A線断面図である。
図5】マスク材M2を全面に形成した後の図3のA-A線断面図である。
図6】N型不純物拡散層を形成した後のメモリセルアレイ部分の概略平面図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8】マスク材M2を除去した後のメモリセルアレイ部の概略平面図である。
図9図8のA-A線断面図である。
図10】層間絶縁膜を形成した後の図8のA-A線断面図である。
図11】金属材料を基板全面に形成した後のメモリセルアレイ部分の概略平面図である。
図12図11のA-A線断面図である。
図13図13(A)は、金属材料をパターニングした後のメモリセルアレイ部の概略平面図、図13(B)、(C)、(D)、(E)は、図13(A)のB-B線、C-C線、D-D線、A-A線断面図である。
図13A】選択制御線SGD/SGSと拡散領域との関係を模式的に示す概略平面図である。
図14図14(A)は、ビット線およびソース線を形成した後のメモリセルアレイ部の概略平面図、図14(B)は、図14(A)のA-A線断面図である。
図15A】本実施例のAND型フラッシュメモリの2つのブロックを含むメモリセルアレイの等価回路である。
図15B】本実施例のAND型フラッシュメモリの各部に印加される動作バイアスの設定例を示す表である。
図16】本実施例のAND型フラッシュメモリの読出し動作時の電流パスを示す図である。
図17】本実施例のAND型フラッシュメモリのメモリセルのしきい値分布を説明する図である。
図18】本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリの電気的な構成を示すブロック図である。
図19図19(A)は、本発明の別の実施例に係るAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの概略平面図、図19(B)は、図19(A)のA-A線断面図である。
図20】本発明の別の実施例に係るAND型フラッシュメモリの2つのブロックを含むメモリセルアレイの等価回路である。
図21】本発明の別の実施例に係るAND型フラッシュメモリの各部に印加される動作バイアスの設定例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、MONOSタイプまたはSONOSタイプのAND型のメモリセルアレイ構造を有するフラッシュメモリに関し、FNトンネリングによりチャンネルからシリコン窒化膜(SiN)に電荷をトラップさせ、あるいはシリコン窒化膜から電荷をチャンネルに放出させる構成を用いる。これにより、メモリセルのドレインからソースへのパンチスルーの問題を解消し、かつドレインからゲートへのオーバーラップ領域を最小限に抑え、メモリセルの微細化および製造工程の簡易化を図ることができる。
【0014】
本実施形態のAND型フラッシュメモリは、次のような特徴を有する。AND型フラッシュメモリは、図15Aの等価回路に示すように、メモリセルアレイの両端にブロック動作用の2つの選択ゲート(ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタ)を有する。
1.2つの選択ゲートは、メモリセルと同様に、選択制御線SGD、SGSの行方向に沿ったチャンネル面積を持つ新しい構造を有する。
2.メモリセルアレイ内に形成される拡散領域を、選択ゲートに接続された拡散領域から分離するために、拡散領域を物理的に2つの部分に分割した新しい構造を有する。
3.拡散領域の抵抗を減らすために拡散領域をサリサイド化し、2つの選択ゲート間に並列接続されるメモリセル数を32個以上に増やすことができ、セルサイズを縮小することができる。
【実施例
【0015】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は、必ずしも実際のデバイスのサイズを正確に示したものではなく、発明の理解を容易にするために誇張した部分を含むことに留意すべきである。
【0016】
本実施例のAND型フラッシュメモリの等価回路は、図1(B)に示すAND型フラッシュメモリと同じであるが、メモリセルアレイの構造、メモリセルの構造、読出し/プログラム/消去は従来と相違する。
【0017】
図2Aは、本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリのウエル構造を示す概略断面図である。本実施例のフラッシュメモリ100は、P型のシリコン基板10を含み、シリコン基板10には、nウエル12と、nウエル12内にpウエル14とが形成される。pウエル14は、メモリセルを形成するための領域を提供し、他のP型シリコン領域は、周辺回路を形成するための領域を形成する。なお、N型のシリコン基板を用いることも可能であり、その場合、2つのウエルの順序が逆になる。nウエル12とpウエル14は電気的に接続されており、2つのウエル12、14には、消去中に高電圧が印加される。また、図15Bのバイアステーブルに示すように、他の動作では2つのウエル12、14が接地され、P型シリコン基板10は常に接地されたままである。
【0018】
図2Bは、本発明の実施例に係るAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の上面図である。メモリセルアレイを構成する基板上には、細長い複数のビット線BLの各々と複数のソース線SLの各々とが交互になるように列方向に配置され、その下方に、行方向に延在する細長い複数のワード線WL0、WL1、・・・、WLn-1、選択制御線SGD、SGSが形成される。複数のワード線WL0~WLn-1は、選択制御線SGDと選択制御線SGSの間に配置される。
【0019】
ソース線SLおよびビット線BLは、例えば、金属層から構成され、ソース線SLは、ソース線側の選択トランジスタの一方の拡散領域(または、金属シリサイド領域)に電気的に接続されるコンタクトSL_CTを有し、ビット線BLは、ビット線側の選択トランジスタの一方の拡散領域(または、金属シリサイド領域)に電気的に接続されるコンタクトBL_CTを有する。図の例は、ソース線のコンタクトSL_CTとビット線のコンタクトBL_CTとを千鳥状に配置しているが、これに限らず、図16のように配置させてもよい。
【0020】
選択制御線SGD/SGS、ワード線WLは、例えば、導電性のポリシリコン層から構成される。行方向のソース線側選択トランジスタの各ゲートは、対応する選択制御線SGSに共通に接続され、ビット線側選択トランジスタの各ゲートは、対応する選択制御線SGDに共通に接続される。また、行方向のメモリセルの各ゲートは、対応するワード線WLに共通に接続される。
【0021】
図2Bの破線で示す矩形状のエリアは、1つのメモリセルMCを示し、他の矩形状のエリアは、ソース線側選択トランジスタSEL_SL、ビット線側選択トランジスタSEL_BLを示している。ソース線側選択トランジスタSEL_SLとビット線側選択トランジスタSEL_BLは、メモリセルMCと同様に行方向に沿うチャンネル面積、言い換えれば、行方向に沿うソース/ドレインを有する。
【0022】
次に、本実施例のAND型フラッシュメモリの製造方法を参照しながら詳細を説明する。図3は、メモリセルアレイの一部の上面図である。同図には、基板上に形成された列方向の複数のゲート材20と、ゲート材20の側面に形成された側壁SWとが示されている。また、空白部分は、基板内に形成されたトレンチ30または素子分離領域60である。
【0023】
図4は、図3のA-A線断面図である。シリコン基板10にnウエル12、pウエル14を形成した後、シリコン基板表面にボロンなどのP型不純物を注入し、P型注入層40を形成する。P型注入層40は、メモリセルMC、ビット線側選択トランジスタSEL_BL、ソース線側選択トランジスタSEL_SLのしきい値Vtの調整を可能にする。また、後述するように、P型注入層40は、ビット線側選択トランジスタSEL_BLとソース線側選択トランジスタSEL_SLの拡散領域を、メモリセルMCの拡散領域から電気的に分離させる。
【0024】
次に、ゲート絶縁膜として、少なくとも3層以上の絶縁膜を積層した積層絶縁体50をデポジットする。積層絶縁体50は、絶縁膜によって挟まれた電荷蓄積層(例えば、SiN)を含み、例えば、ONO構造(SiO/SiN/SiO)から構成される。電荷蓄積層は、例えば、プログラム時にチャンネルからFNトンネリングされた電子を蓄積する。
【0025】
次いで、ポリシリコン等のゲート材20とマスク材M1(例えば、レジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜など)を蒸着した後、図3に示すように、マスク材M1とゲート材20と積層絶縁体50とを縦縞状にパターニングする。このとき、P型注入層40は、エッチングされずに残存する。
【0026】
次に、基板全面に側壁材をデポジットし、ゲート材20とマスク材M1の側面に側壁材が残るように側壁材を異方性エッチングし、側壁SWを形成する。次に、側壁SWとマスク材M1とをマスクとして用い、シリコン基板表面をエッチングし、図4に示すように素子分離用の溝(トレンチ)30を形成する。側壁SWおよび積層絶縁体50の直下には、P型注入層40が残存する。次に、基板全面に層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜など)60をデポジットし、その後、層間絶縁膜60を平坦化(例えば、CMP)を行い、マスク材M1の頂部を露出させる。トレンチ30に形成された層間絶縁膜60は、素子分離領域となる。
【0027】
層間絶縁膜60の平坦化後、図5に示すようにシリコン表面およびP型注入層40が露出するまで、層間絶縁膜60と側壁SWをエッチングする。これにより、側壁SWによって覆われていた領域、すなわちP型注入層40の一部が露出される。次に、図5に示すように、基板全面にマスク材M2(例えば、レジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜など)をデポジットする。
【0028】
次に、図6に示すようにマスク材M2を部分的にエッチングし、矩形MRの領域にマスク材M2を残す。図7は、マスク材M2をエッチングした後の図6のA-A線断面である。マスク材M2のエッチング後に、マスク材M2をマスクに用いて高濃度のN型不純物(例えば、リンやヒ素)をイオン注入する。これにより、層間絶縁膜60とマスク材M1、M2によって覆された領域を除くシリコン基板表面にN型の拡散領域70を形成する。N型の拡散領域70は、メモリセル、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタのソース/ドレインを提供する。
【0029】
マスク材M2によって覆われた領域は、P型注入層40であるため、N型の拡散領域70は、P型注入層40によって物理的に分離される。つまり、マスク材M2は、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタのN型の拡散領域70を、メモリセルのN型の拡散領域70から分離するための領域を規定する。
【0030】
好ましい態様では、N型の拡散領域70を形成した後、基板全面に高融点金属(例えば、コバルトやニッケルなど)をデポジットし、次いで熱処理を行い、N型の拡散領域70の表面に金属シリサイド領域(例えば、CoSiやNiSi)を形成する。N型の拡散領域70の表面をシリサイド化することでN型の拡散物領域70の抵抗が低減される。その後、未反応の高融点金属をエッチングにより除去する。ここで留意すべきは、金属シリサイド領域を、シリコン基板表面に露出したN型の拡散領域70に自己整合的に形成するサリサイドプロセスを用いていることである。
【0031】
N型の拡散領域70に金属シリサイド領域を形成した後、マスク材M2を除去する。このときの上面図を図8に示す。マスク材M2によって覆われていた領域は、P型注入層40であり、N型の拡散領域70は、中間のP型注入層40によって電気的に隔離される。図9は、図8のA-A線断面図である。
【0032】
次に、図10に示すように、基板全面に層間絶縁膜62(例えば、シリコン酸化膜など)をデポジットし、ゲート材20が露出するまで層間絶縁膜62を平坦化する。次に、図11に示すように、基板全面に金属材料80をデポジットする。図12は、図11のA-A線断面図である。金属材料80は、ゲート材20と電気的に接続される。
【0033】
次に、金属材料80、ゲート材20および積層絶縁体50を同時にエッチングし、図13に示すように、選択制御線SGD/SGS、ワード線WL0~WLn-1、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタ、メモリセルを形成する。図13(A)は、メモリセルアレイ部の上面図であり、図13(B)、(C)、(D)、(E)は、図13(A)のB-B線、C-C線、D-D線、A-A線断面図である。また、図13Aは、選択制御線SGD/SGSおよびワード線WL0~WLn-1が、N型の拡散領域70およびP型注入層40にオーバーラップするときの位置関係を模式的に示している。
【0034】
図13(E)に示すように、パターニングされたゲート材20がトランジスタのゲート、積層絶縁体50がゲート絶縁膜、N型の拡散領域70がソース/ドレイン、積層絶縁体50の直下のシリコン領域がチャンネルとなる。また、パターニングされた金属材料80が選択制御線SGD/SGS、ワード線WLとなる。選択制御線SGD/SGSは、ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタのゲート材20に電気的に接続され、選択制御線SGDと選択制御線SGSとの間に配置されたワード線WL0~WLn-1がメモリセルのゲート材20に電気的に接続される。
【0035】
図13(C)には、N+の拡散領域70が示され、図13(D)には、行方向のメモリセルを隔離する、列方向に延在する素子分離領域60が示されている。図13(E)には、行方向の2つのメモリセルが示されている。また、図13Aに示すうに、ビット線側選択トランジスタの一方のN型の拡散領域70は、メモリセルの一方のN型の拡散領域70からP型注入層40によって分離され、ソース線側選択トランジスタの他方のN型の拡散領域70は、メモリセルの他方のN型の拡散領域70からP型注入層40によって分離される。
【0036】
次に、複数のワード線間のそれぞれの空間、およびワード線と選択制御線SGD/SGSとの間の空間を層間絶縁膜で充填し、次いで、図14に示すように、メモリセルアレイの端部に、N型の拡散領域70に電気的に接続されるソース線のコンタクトSL_CTおよびビット線のコンタクトCT_BLを有するソース線SLおよびビット線BLが形成される。こうして、図2Bに示すメモリセルアレイが形成される。
【0037】
本実施例のAND型フラッシュメモリでは、従来のAND型フラッシュメモリとは異なり、行方向に延在する選択制御線SGD/SGSとワード線WLの形成を同時に行うことができる。また、従来のように、電荷蓄積層にフローティングゲート(FG)を使用せず、電荷蓄積層として誘電体(SiN:窒化ケイ素層)を使用するため、メモリセルを製造するための工程をより簡易にすることが可能である。
【0038】
また、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタを、メモリセルと同様に、対向するN型の拡散領域70間に行方向(水平方向)に形成することで、トランジスタのレイアウト効率を改善し、メモリセルアレイの高集積化を図ることができる。さらに、N型の拡散領域70にシリサイド領域を形成することで、N型の拡散領域70の抵抗を低減させることができ、これにより、並列接続されるメモリセルの数を増加させることができる。さらに、電荷蓄積層を含む絶縁体層50は、メモリセル間で分離されるため、1つのメモリセルから隣接するメモリセルへの電荷の拡散が回避され、データ保持が向上する。
【0039】
次に、本実施例のAND型フラッシュメモリの等価回路および動作について説明する。本実施例のAND型フラッシュメモリは、電荷蓄積層(例えばSiN)とチャンネルとの間の電子トンネリングを利用する独自のものである。図15Aは、2つのブロックを含むメモリセルアレイの等価回路を例示し、例えば、ブロックiでは、ビット線側選択トランジスタとソース線側選択トランジスタとの間に、並列に接続されたn個のメモリセルが並列に接続され、ブロックiの上端の選択トランジスタの各ゲートに選択制御線SGSが共通に接続され、下端の選択トランジスタの各ゲートに選択制御線SGDが共通に接続され、行方向のメモリセルの各ゲートにWL0、WL1、・・・、WLn-1が共通に接続される。
【0040】
1つのブロックは、セルアレイの消去の単位である。1つのAND型アレイは、ゲートのセット(SGS、SGDおよびWL0~WLn-1)と1セットのソース線SLおよびビット線BLで構成され、1つのブロックは、複数セットのソース線SLとビット線BLとを有する。
【0041】
メモリセルアレイの動作バイアスの設定を図15Bの表に示す。読出し/書込み(プログラム)/消去の動作は、選択されたブロックにおいて実行される。「CG」は、ワード線WLと同義であり、コトンロールゲートである。ここでは、選択ブロックのCG1に接続されたメモリセルが選択されるものと仮定する。2次元NAND型フラッシュメモリと同様に、読出しおよびプログラムはワード線単位(ページ単位)で行うことが可能であり、消去はブロック単位で行うことが可能である。図15Bは、読出し時、プログラム時、消去時に、選択ブロックと非選択ブロックの各部に印加する電圧を示している。
【0042】
[読出し動作]
メモリセル当たりシングルビットの場合、選択メモリセルのCG1に約4Vが印加され、ビット線BLに約0.6V、ソース線SLが読み出し用に接地される。非選択のメモリセルのCGには、-0.6~0Vが印加される。選択制御線SGS/SGDには、選択トランジスタのしきい値Vtよりも高い電圧が印加される。例えば、選択ブロックのCG1に接続されたメモリセルのしきい値Vtが、CG1に印加された電圧より低い場合、セル電流はビット線BLからソース線SLに流れる。他方、CG1に接続されたメモリセルのしきい値Vtが、CG1に印加された電圧よりも高い場合、ビット線BLからソース線SLに電流は流れない。メモリセルのデータを正しく読み取るには、非選択メモリセルのしきい値Vtが、非選択のメモリセルのCGバイアスよりも高くなければならない。
【0043】
図16に、読出し動作時におけるビット線BLからソース線SLへの電流パスを例示する。ビット線側選択トランジスタのソースとドレインは、ソース線SLとビット線BLに沿ったN+拡散領域70によって形成され、チャンネルは、選択制御線SGDの下方のソースとドレインの間に形成される。読出しのために、ソース線側選択トランジスタおよびビット線側選択トランジスタのしきい値Vtよりも高い電圧が選択制御線SGS、SGDに印加され、ソース線側選択トランジスタおよびビット線側選択トランジスタがオンする。
【0044】
ビット線BLに印加された電流は、コンタクトBL_CTを介してビット線BLに沿って形成されたN+拡散領域70を流れる。N+拡散領域70を流れる電流は、領域QにおいてP型注入層40によって分離されるため、メモリセルのN+拡散領域70には流れない。次いで、N+拡散領域70を流れる電流は、オンしたビット線側選択トランジスタのチャネルを流れ(図16の“1”)、次いで、ソースSLに沿って形成されたN+拡散領域70を通過する(図16の“2”)。
【0045】
読出しのための選択メモリセルがワード線WL1にあり、かつ、ワード線WL1の電圧VWL1がメモリセルのしきい値Vtよりも高い場合、電流は、ワード線WL1の下のチャンネルを通過することができる(図16の“3”)。もし、ワード線の電圧VWL1がメモリセルのしきい値Vtより低ければ、電流は流れない。
【0046】
ワード線WL1のチャンネルを流れた電流は、ビット線BLに沿って形成されたN+拡散領域70を流れる(図16の“4”)。最後に、電流は、オンしたソース線側選択トランジスタのチャンネルを通り(図16の“5”)、N+拡散領域70およびコンタクトSL_CTを介してソース線SLに流れる経路となる。ここでも、領域Qにおける隣接する2つのN+拡散領域70の間の電流経路は、P型注入層40のストッパーによって阻止される。
【0047】
他のメモリセル(ワード線WL0、ワード線2~WLn-1)からのリーク経路を回避するため、これらのメモリセルのしきい値Vtは、これらのワード線のバイアス(-0.6~0V)よりも高くなければならない。つまり、図17に示されるように、メモリセルのしきい値VtはVunselectedより高く設定される必要が有る。尚、読み出しの際にソース線SLを約0.2Vと正にすると基板バイアス効果によりメモリセルのしきい値が上がる。又それ故、図17に示すように、“1”を記憶するメモリセル(消去状態のメモリセル)のしきい値分布と“0”を記憶するメモリセル(プログラム状態のメモリセル)のしきい値分布との間に、読出しのための選択ワード線に印加する電圧Vreadが存在するようにしなければならない。図15Bの表では、選択ワード線に印加する電圧Vreadは、~4Vであり、非選択ワード線に印加する電圧Vunselected-WLは、-0.6から0Vである。但し、この値は一例であり、変更することが可能である。さらに、非選択ブロックのリーク電流を抑制するため、非選択ブロックの選択制御線SGS/SGDは接地される。
【0048】
[プログラム動作]
プログラミングでは、選択されたCG1に高電圧(例えば、8~14V)が印加され、非選択のCGに中間電圧(例えば、5~7V)が印加される。「0」プログラミングの場合(電荷蓄積層に電子を注入する場合)、ビットBLには0Vが印加され、ソース線SLにもビット線BLと同じ電圧が印加される。「1」プログラミングの場合(電荷蓄積層に電子を注入しない、プログラム禁止の場合)、ビット線BLには、正の電圧(例えば、~1.6V)が印加され、ソース線SLにもビット線BLと同じ電圧が印加される。
【0049】
「0」プログラムでは、選択制御線SGDには、選択トランジスタのしきい値Vt(例えば、~1V)よりも高い電圧(~1.5V)が印加され、選択トランジスタをオンさせ、ビット線BLをN+拡散領域70に電気的に接続する。選択制御線SGSにも選択トランジスタのしきい値Vt(例えば、~1V)よりも高い電圧(~1.5V)が印加される。これにより、選択メモリセルの電荷蓄積層には、チャンネルからトンネリングされた電子が注入され、電子が電荷蓄積層に蓄積される。非選択メモリセルのゲートには、チャンネルからのトンネリングには十分ではない中間電圧が印加されるため、「0」プログラムはされない。
【0050】
「1」プログラムでは、ビット線に正の電圧が印加されているため、選択制御線SGDに高い電圧が与えられても選択トランジスタがオフし、N+拡散領域70がフローティング状態になる。また、ソース線も正の電圧が印加されているため、選択トランジスタがオフとなる。それによりCG1に高電圧が印加され、他のCGにCG1と0Vの中間の電位が印可されると、拡散領域およびチャンネルの電位がカップリングによりセルフブーストされ、チャンネルと電荷蓄積層との間の電位差はトンネリングに十分な大きさにならない。このため、選択メモリセルや非選択メモリセルにプログラムは行われない。
【0051】
また、非選択ブロックの選択制御線SGS、SGDには0Vが印加され、選択トランジスタをオフさせ、ソース線SL/ビット線BLからメモリセルのN+拡散領域70が分離される。
【0052】
ある実施態様では、積層絶縁体50は少なくとも3層の絶縁層を含む。1つ目は、シリコン表面に面した下部絶縁層(例えば、酸化物層)であり、2つ目は、データ識別のために電荷を蓄えているSiN層であり、3つ目は、ゲート/ワード線WLに面した上部絶縁層(例えば、酸化物層)である。下部絶縁層の有効な酸化物の厚さは、上部絶縁層の有効酸化物の厚さよりも薄い。逆の場合も可能であるが、この場合、プログラミング時と消去時のSiN層への電荷の流れが異なる。下部絶縁層の実効酸化物の膜厚が薄い場合、プログラミングおよび消去中に電荷がシリコン表面とSiN層との間を流れる。他方、両者の絶縁層体の厚さが逆の場合、プログラミングおよび消去中に電荷がSiNとゲート/ワード線WLと間を流れる。
【0053】
ここでは、代表的な例として最初のケース(下部絶縁層の厚さが上部絶縁層の厚さよりも薄い)を説明する。ビット線BLが接地されると、CG1に接続されたメモリセルセルは、「0」プログラムされる(チャンネルからSiN層への電子注入)。ビット線BLとソース線に正の電圧(~1.6V)を印加すると、ソース線側とビット線側の2つのN+拡散領域70がビット線BLとソース線SLから分離される。このため、拡散領域70とチャネルの領域の両方が、CG1および他のCGに高電圧と中間電圧を印加することによって自己ブーストされ、拡散領域70とCG1との電圧差が小さくなり、CG1に接続されたメモリセルでは、基板からSiN層への電子注入が生じない。
【0054】
[消去動作]
消去の場合、選択したブロックのメモリセルが同時に消去される。基板内に形成されたnウエルとpウエルの2つのウエルが電気的に接続され、消去中、pウエルに高電圧(例えば、8~14V)が印加され、選択したブロック内の全てのCGが接地され、ビット線BLとソース線SLがフローティングにされる。そして、電子がSiN層からpウエルにトンネルされるか、正孔がpウエルからメモリセルのSiN層に注入され、電子と再結合される。これにより、メモリセルのしきい値Vtが、読出し動作時に選択したCGに印加された読出し電圧よりも低下する。一方、選択されていないブロックでは、すべてのCGがフローティングである。pウエルに高電圧が印加されると、フローティングのCGが自己ブーストされ、選択されていないブロックでは消去が生じない。なお、消去は、ブロック単位で行うことが好ましいが、ワード線単位で行うことも可能である。
【0055】
図18は、本実施例のAND型フラッシュメモリの主要な電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、フラッシュメモリ100は、AND型のメモリセルアレイ構造を有するメモリセルアレイ110、外部から入力されたアドレス等を保持するアドレスバッファ120、行アドレスに基づきワード線等を選択し、選択したワード線等を駆動する行選択・駆動回路130、列アドレスに基づきビット線やソース線等を選択する列選択回路140、外部のホスト装置等との間でデータやコマンド等の送受を行う入出力回路150、読出し動作時に選択メモリセルから読み出されたデータをセンスしたり、プログラム動作時に選択メモリセルに書込むためのバイアス電圧をビット線等に印加したり、消去動作時にPウエル等に消去電圧等を印加する読み書き制御部160などを含んで構成される。各部は、アドレス、データ、制御信号等を送受可能な内部バス等によって接続され、また、ここには図示しないが、各種のバイアス電圧を生成するための電圧生成回路等が含まれている。
【0056】
行選択・駆動回路130は、行アドレスに基づきワード線WLを選択し、選択ワード線WLおよび非選択ワード線を動作に応じた電圧で駆動する。行選択・駆動回路130は、ワード線WL(CG)、選択制御線(SG)に図8Bに示すような電圧を印加する。列選択回路140は、列アドレスに基づきビット線BLおよびソース線SLを選択し、選択したビット線BLおよびソース線SLに動作に応じた電圧を印加し、あるいはフローティング状態にする。
【0057】
読み書き制御部160は、外部のホスト装置から受け取ったコマンドに応じて読出し、プログラム、消去などの動作を制御する。読み書き制御部160は、センスアンプや書込みアンプなどを含み、センスアンプは、読出し動作時に選択メモリセルに接続されたビット線BLとソース線SLに流れる電流や電圧をセンスし、書込みアンプは、読出し動作時に選択ビット線に読出し電圧を印加したり、プログラム動作時に選択ビット線や非選択ビット線に電圧を印加し、さらに消去動作時にビット線やソース線をフローティング状態にする。
【0058】
次に、本発明の別の実施例に係るAND型フラッシュメモリについて説明する。先の実施例では、メモリセルアレイ上に形成されるビット線とソース線とがそれぞれ平行になるようにレイアウトしたが、本実施例では、ビット線とソース線とが互いに直交するようにレイアウトする。
【0059】
図19(A)は、本実施例に係るAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの概略平面図、図19(B)は、図19(A)のA-A線断面図である。図示するように、共通ソース線SLは、ワード線WLおよび選択制御線SGS/SGDとともに行方向に延在し、共通ソース線SLと直交するようにビット線BLが列方向に延在する。
【0060】
ある態様では、ワード線WLおよび選択制御線SGS/SGDが第1レベルの金属配線によって形成され、共通ソース線SLが第1レベルよりも上層の第2レベルの金属配線によって形成される。これにより、共通ソース線SLは、行方向の複数のブロックのソース線側選択トランジスタの拡散領域(または、金属シリサイド領域)にコンタクトSL_CTを介して共通に接続される。
【0061】
ビット線BLとソース線SLを形成するまでのプロセス工程は、先の実施例と同一である。なお、共通ソース線SLの上層にビット線BLを形成したが、この関係は反対でもよく、ビット線BLの上層に共通ソース線SLを形成するようにしてもよい。
【0062】
図20は、本実施例に係るAND型フラッシュメモリの2つのブロックを含むメモリセルアレイの等価回路である。先の実施例の等価回路(図15A)と相違する点は、共通ソース線SLが、ワード線WLと平行に延在し、行方向の複数のブロックに共通に接続されることである。
【0063】
図21は、本実施例に係るAND型フラッシュメモリの各部に印加される動作バイアスの設定例を示す表である。先の実施例の動作バイアス(図15B)と相違する点は、書込み時の選択制御線SGSと共通ソース線SLの電位である。すなわち、選択制御線SGSを0Vにし、選択制御線SGSに繋がるソース線側選択トランジスタをオフにする。また、ソース線SLの電位を0.5~1Vとし、これにより、「1」プログラム時にチャンネル部のセルフブーストされた電位がソース線SLに抜けることを防止する。
【0064】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10:P型シリコン基板 12:nウエル
14:pウエル 20:ゲート材
30:素子分離領域 40:P型注入層
50:積層絶縁体 60:層間絶縁膜(素子分離領域)
70:N型の拡散領域 80:金属材料
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21