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特許7660178車両の高電圧電気システムの電圧を車両のスイッチング状態及び/又は作動状態に応じて調整する方法
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  • 特許-車両の高電圧電気システムの電圧を車両のスイッチング状態及び/又は作動状態に応じて調整する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】車両の高電圧電気システムの電圧を車両のスイッチング状態及び/又は作動状態に応じて調整する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250403BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20250403BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 P
B60L3/00 J
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178568
(22)【出願日】2023-10-17
(65)【公開番号】P2024068123
(43)【公開日】2024-05-17
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】10 2022 129 047.6
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリク ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マリオ シュルテ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156761(JP,A)
【文献】特開2019-216491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ(218)によって高電圧中間回路(202)から分離された高電圧バッテリ(204)を備える電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の前記高電圧中間回路(202)の電圧を調整するための方法(100)であって、
定電圧中間回路(208)を前記高電圧中間回路(202)に電気的に接続する第1のDC/DCコンバータ(206)を作動させること(104)と、
前記定電圧中間回路(208)及び/又は前記高電圧中間回路(202)における前記電圧が規定値に低下するまで、前記定電圧中間回路(208)に接続された高電圧ヒータ(210)をオンすること(106)と、を含み、
前記定電圧中間回路(208)に電力供給するために、前記車両の低電圧電気システム(212)を前記定電圧中間回路(208)に接続する第2のDC/DCコンバータ(214)を作動させること(116)と、
前記定電圧中間回路(208)から前記規定値に対応する電圧まで前記高電圧中間回路(202)がプリチャージされるまで、前記第1のDC/DCコンバータ(206)を作動させること(118)とを更に含む、方法(100)。
【請求項2】
車両の状態又は電圧低下直後の前記車両の電気システム(200)の構成の変化に応じて、前記高電圧中間回路(202)の電圧調整のデフォルト値を決定すること(102)を更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
高電圧中間回路(202)に切り替え可能に接続された高電圧バッテリ(204)と、双方向の第1のDC/DCコンバータ(206)を介して前記高電圧中間回路(202)に接続された定電圧中間回路(208)とを有する電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の電気システム(200)であって、高電圧ヒータ(210)が、前記定電圧中間回路(208)から電力供給され、低電圧電気システム(212)が、双方向の第2のDC/DCコンバータ(214)を介して前記定電圧中間回路(208)に接続され、制御ユニット(300)が、前記第1のDC/DCコンバータ(206)及び前記第2のDC/DCコンバータ(214)並びに前記高電圧ヒータ(210)を制御するために追加的に提供され、前記制御ユニット(300)が、請求項1に記載の方法に従って前記制御ユニット(300)によって制御される構成要素を作動させるように構成されている、電気システム(200)。
【請求項4】
少なくとも前記第1のDC/DCコンバータ(206)及び前記第2のDC/DCコンバータ(214)並びに前記高電圧ヒータ(210)が、前記車両側に設けられた電源ユニット(222)に統合された、請求項に記載の電気システム(200)。
【請求項5】
1つ又は複数のマイクロプロセッサ(302)と、それらマイクロプロセッサに関連付けられた揮発性メモリ(304)及び不揮発性メモリ(306)と、高電圧中間回路(202)と定電圧中間回路(208)の電圧値を表す少なくとも信号のための信号入力部(308)、並びに前記定電圧中間回路(208)に接続された少なくとも1つの高電圧ヒータ(210)と、前記定電圧中間回路(208)と低電圧バッテリ(216)に接続された第2の双方向のDC/DCコンバータ(214)と、前記高電圧中間回路(202)を高電圧バッテリ(204)に接続するための1つ以上のスイッチ(218)とを制御するための制御出力部(310)と、を備える制御ユニット(300)であって、前記の各要素が、1つ以上のデータライン及び/又はバス(312)を介して互いに通信可能に接続され、前記不揮発性メモリ(306)は、前記マイクロプロセッサ(302)によって前記揮発性メモリ(304)において実行されたときに、請求項1に記載の方法(100)を実行するように、前記制御ユニット(300)を設定するコンピュータプログラムコマンドを含む、制御ユニット(300)。
【請求項6】
請求項に記載の制御ユニット(300)のマイクロプロセッサによって実行されるときに、前記制御ユニットに、制御出力部(310)及び前記制御ユニット(300)の信号入力部(308)に接続された、電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の電気システム(200)の構成要素を作動させ、請求項1に従って前記方法(100)を実行するコマンドを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項7】
請求項に記載のコンピュータプログラム製品が記憶されるコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の電気システム(200)を有する電気自動車又はハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧電気中間回路及び1つ以上のバッテリバンクを備える高電圧電気エネルギー(電力)貯蔵システムを有する電気自動車又はハイブリッド車両への電圧の供給に関し、特に、高電圧電気中間回路の電圧を車両のスイッチング状態及び/又は作動状態に応じて調整するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、すなわち、ハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド車(Plugin Hybrid Electric Vehicle、PHEV)、及び純粋な電気自動車(Electric Vehicle、EV)は、概して、高電圧電気システムが搭載される。高電圧電気システムは、高電圧バッテリと、高電圧バッテリに接続されたモータ制御ユニットと、モータ制御ユニットに接続された電気駆動モータとを備え、並びに、電気自動車のタイプ及び装備に応じて、例えば、空調機コンプレッサ、ヒータなどの高電圧構成要素を更に備える。DCモータを使用しない場合、周波数コンバータは、高電圧バッテリによって供給されるDC電流を、通常3相のAC電流に変換し、AC電流で作動するよう設計された電気モータを駆動することができる。
【0003】
現在利用可能なほとんどの電気自動車の高電圧電気システムは、約400ボルトのシステム電圧を有するアーキテクチャに基づいており、約800ボルトのシステム電圧を有する車両はますます一般的である。
【0004】
高電圧バッテリは、一般的に車両中間回路とも呼ばれる高電圧電気中間回路を介して高電圧構成要素に接続される。主に、電流又は電圧リップルを制限することを意図した電子電力回路のキャパシタンスから形成される高電圧中間回路は、例えば、接触器などのスイッチを介してバッテリに分離可能に接続され、車両がオフされたときに、また事故後にも高電圧中間回路を高電圧バッテリから切り離し、それによって高電圧との接触がほぼ回避される。
【0005】
例えば、接続された高電圧構成要素などの高電圧中間回路上のキャパシタンスに起因して、スイッチを開いた後でさえも、高電圧中間回路に高電圧が存在することがある、結果として生じる安全リスクは、接触器を切断した後に高電圧中間回路に残っている高電圧を除去する、専用の放電デバイスによって除去される。
【0006】
車両のシステム電圧は、バッテリの充電状態及び回路構成、例えば、複数のバッテリバンクの直列又は並列回路に応じて、300~1000ボルトの範囲内で変化することができる。公称システム電圧が800ボルトの車両では、多くの場合、各400ボルトの電圧が直列に接続された2つのバッテリバンクがある。最も一般的な充電ステーションは、今日では最大400~500ボルトの充電電圧を有する。したがって、車両の2つのバッテリバンクの直列接続は切り離すことができ、バッテリバンクは、例えば、800ボルトのシステム電圧の充電デバイスが利用できない場合など、高電圧中間回路を介して、400ボルトの公称システム電圧のために構成された充電回路によって、別々に又は並列に充電されることができる。この目的のために、高電圧中間回路は、高電圧中間回路に再接続されたときに許容できない過電圧を通して個々のバッテリバンクを損傷又は破壊することを避けるために、直列回路が専用の放電デバイスから取り外された後にも放電されなければならない。この放電はまた、専用の放電デバイスによって実施される。
【0007】
車両がオンされると、スイッチが高電圧中間回路を高電圧バッテリに接続する前に、高電圧中間回路を少なくともおよそ高電圧バッテリの電圧に対応する電圧にプリチャージしなければならない。これは、とりわけ、安全機能が保証されたスイッチのその部品依存の電流制限、及びそれに関連する電磁妨害放射に応じるために、とりわけ、スイッチを通した電流ピークを回避するのに役立つ。高電圧中間回路において存在するキャパシタンスを高電圧バッテリの電圧にプリチャージするために、別個の低電力プリチャージ回路が使用される。最も単純な場合、これは、高電圧バッテリに切り替え可能に接続された抵抗器を介して行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで常に必要とされてきた専用の放電及びプリチャージデバイスはコストがかかることに加えて、さらにエラーの原因となる可能性があるため望ましくない。
【0009】
したがって、本発明によって対処される問題は、他の手段によって電気自動車又はハイブリッド車両における専用の充電デバイスの機能を実装することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の説明
前述の問題は、請求項1に記載の方法、請求項4に記載の電気システム、及び請求項6に記載の制御ユニットによって解決される。有利な更なる開発及び構成は、従属特許請求の範囲に特定される。
【0011】
本発明の第1の態様は、ハイブリッド自動車又は電気自動車に搭載されている、乗員室を暖めたり又は高電圧バッテリの温度制御を行う役目をするヒータ要素が、電力を迅速かつ容易に消費できるという知見を利用するものである。
【0012】
本発明のこの第1の態様によれば、スイッチによって高電圧中間回路から分離された高電圧バッテリを有する電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の高電圧中間回路の電圧を調整するための方法は、以下のステップを含む。すなわち、定電圧中間回路を高電圧中間回路に作動可能に電気的に接続する第1のDC/DCコンバータを作動するステップと、定電圧中間回路及び/又は高電圧中間回路における電圧が規定値に低下するまで、定電圧中間回路に接続された高電圧ヒータをオンするステップと、を含む。高電圧中間回路の電圧は、電圧測定デバイスによって適宜に監視される。第1のDC/DCコンバータは、高電圧中間回路から定電圧中間回路に電力供給するように少なくとも構成される。第1のDC/DCコンバータはまた、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車が充電ステーションに電気的に接続されている場合などに、例えば、定電圧中間回路が外部電圧源から電力供給されるときに、高電圧中間回路、ひいては定電圧中間回路からの高電圧バッテリに電力供給するように構成されてもよい。例えば、第1のDC/DCコンバータは、いわゆるバックブーストコンバータであってもよく、これは入力電圧を降圧させ、及び昇圧させることができる。第1のDC/DCコンバータはまた、好ましくは、双方向に作動可能である。
【0013】
上述のように、場合によっては、高電圧中間回路を高電圧バッテリの電圧に対応する電圧へプリチャージすることが望ましい、または必要となる場合がある。これはまた、上述のように、高電圧バッテリが高電圧中間回路に電気的に接続する前に、高電圧バッテリの2つのバッテリバンクを直列回路から並列回路へ、又はその逆に切り替える場合にも必要となる場合がある。特に、直列接続から並列接続に2つのバッテリバンクを切り替えるときに、まず高電圧中間回路及び定電圧中間回路の電圧低減が必要とされ、これは上述の第1の態様に従って実施され得る。
【0014】
1つの実施形態では、IEC60449に準拠した電圧範囲Iの制限値よりも著しく大きい規定値に達した時点で、電圧低減を終了することができる。高電圧ヒータが十分に早くオフ(電源オフ)された場合、又はオフ後に高電圧中間回路に残っている電圧が規定値に対応するようにオフ時間が選択される場合、より高い電圧レベルへのその後の調整は必ずしも必要ではない。この構成は、例えば、高電圧バッテリの2つのバッテリバンクの直列接続から並列接続に切り替えるとき、又は1つのバッテリバンクのみの高電圧中間回路への接続の前に使用され得る。
【0015】
更なる実施形態では、高電圧中間回路の電圧は、IEC60449に準拠した電圧範囲Iの制限値よりも低く、例えば0ボルト近くまで低くすることができる。この構成では、例えば、前述のスイッチで、高電圧バッテリの2つのバッテリバンクを直列接続から並列接続へ切り替える場合、又は1つのバッテリバンクのみの高電圧中間回路への接続の前に、高電圧中間回路における電圧をその後より高い値に上昇させる必要がある場合がある。
【0016】
高電圧バッテリの電圧は、その充電状態(SOC)によって変動するため、高電圧中間回路が、電圧低下後に、高電圧バッテリ又は高電圧バッテリの少なくとも1つのバッテリバンクに直接接続される場合、デフォルト値は、高電圧バッテリのSOCから導出され得る。例えば、車両がオフ(電源オフ)されたとき又は事故後など、IEC60449に従った電圧範囲Iに対する制限値より電圧を下げる必要がある場合は、固定のデフォルト値を使用することができる。
【0017】
したがって、1つ又は複数の実施形態では、方法はまた、電圧低下直後の車両状態又は車両の電気システムの構成の変化に応じて、高電圧中間回路の電圧のデフォルト値を決定することを含む。用語「車両状態」は、例えば、オフされた車両を意味してもよく、車両の電気システムの構成の変化は、高電圧バッテリの2つのバッテリバンクの直列接続から並列接続への切り替え、又は1つのバッテリバンクのみの高電圧中間回路への接続を表す。
【0018】
電圧調整で高電圧中間回路の電圧を上げる必要がある場合、例えば、車両がオン(電源オン)された場合、高電圧中間回路における電圧をIEC60449に準拠した電圧範囲Iの閾値未満の値に低下させた場合、又は2つのバッテリバンクを並列接続から直列接続に切り替えた場合、高電圧中間回路のプリチャージが行われなければならない、以下で更に説明する本発明の第2の態様による車両の電気システムでは、プリチャージは、車両において更に存在する12ボルト回路のバッテリから行われる。この目的のために、12ボルトのバッテリは、双方向の第2のDC/DCコンバータを介して定電圧中間回路に接続され、高電圧中間回路の充電は、第1のDC/DCコンバータによって定電圧中間回路から行われる。プリチャージのために大量の電力を必要としないため、概してキャパシタンスが低い12ボルトのバッテリに過大な負荷はかからない。
【0019】
したがって、方法の1つ又は複数の実施形態は、定電圧中間回路に電力供給するために、例えば、12ボルト電流回路である、車両の低電圧電気システムを、定電圧中間回路に接続する第2のDC/DCコンバータを作動させるステップ、及び高圧中間回路が定電圧中間回路から規定値に対応する電圧までプリチャージされるまで、第1のDC/DCコンバータを作動させるステップと、を含む。
【0020】
少なくとも電圧調整中、制御ユニットは、高電圧バッテリ及び高電圧中間回路の電圧を監視する。電圧の差が所定の閾値よりも小さくなり、高電圧バッテリが高電圧中間回路に接続されると、制御ユニットは、電気的接続を確立するためにスイッチを制御する。
【0021】
1つ又は複数の実施形態では、高電圧中間回路のプリチャージは、例えばランプ関数に従って、高電圧中間回路の電圧を連続的に増加することによって行われる。高電圧中間回路の電圧の目標値に到達するとすぐに、必要に応じて、高電圧中間回路と高電圧バッテリとの間の電気的接続が確立された後に、プリチャージを終了することができる。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の電気システムは、高電圧中間回路に切り替え可能に接続された高電圧バッテリ、及び双方向の第1のDC/DCコンバータを介して高電圧中間回路に接続された定電圧中間回路を含む。電気システムはまた、定電圧中間回路から電力供給される高電圧ヒータを備える。制御ユニットは、第1及び第2のDC/DCコンバータ及び高電圧ヒータを制御するために、電気システムと関連付けられる。制御ユニットは、本発明の第1の態様による方法に従って制御ユニットによって制御される構成要素を制御するように構成される。
【0023】
電気システムの1つ又は複数の実施形態では、少なくとも第1及び第2のDC/DCコンバータ及び高電圧ヒータが、車両側に提供される電源ユニットに組み込まれている。
【0024】
本発明による方法は、電子制御ユニットで実施することができ、電子制御ユニットは、1つ以上のマイクロプロセッサと、それらマイクロプロセッサに関連付けられた揮発性及び不揮発性メモリと、高電圧中間回路と電圧中間回路の電圧値を表す少なくとも信号に対する信号入力部、並びに定電圧中間回路に接続された少なくとも1つの高電圧ヒータと、定電圧中間回路と低電圧バッテリに接続された第2の双方向のDC/DCコンバータと、高電圧中間回路を高電圧バッテリに接続するための1つ以上のスイッチとを制御するための制御出力部とを備える。前述の要素は、1つ以上のデータライン及び/又はバスを介して互いに通信可能に接続される。不揮発性メモリは、マイクロプロセッサによって揮発性メモリ内で実行されるとき、制御ユニットが上述の方法の1つ以上の実施形態又は更なる発展を実行するコンピュータプログラムコマンドを含む。
【0025】
本発明による方法を実施するコンピュータプログラム製品は、制御回路のプロセッサによって実行されると、制御ユニットの制御出力部及び信号入力部に接続された電気自動車又はハイブリッド車両の電気システムの構成要素を制御するコマンドを含む。上述の方法の1つ又は複数の構成又は更なる発展を実行する。
【0026】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体又はデータキャリア上に記憶され得る。媒体又はデータキャリアは、例えば、ハードドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、又はこれに類するものとして物理的に具現化することができるが、媒体又はデータキャリアは、対応する受信機によるコンピュータによって受信され、コンピュータのメモリに記憶され得る変調された電気信号、電磁信号、又は光学信号も含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を記載する。図面は、以下に示される。
図1】本発明による方法の例示的なフローチャートである。
図2】本発明による方法を実施するのに適した電気システムの例示的な概略図である。
図3】本発明による方法を実施するための例示的な制御回路の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、接触器218によって高電圧中間回路202から分離された高電圧バッテリ204を備える電気自動車又はハイブリッド自動車である車両の当該高電圧中間回路202の電圧を調整するための本発明による方法100の例示的なフローチャートを示す。第1に、ステップ102では、例えば、車両状態に応じて、デフォルト値が決定される。その後、ステップ104では、第1のDC/DCコンバータ206が作動可能とされ、定電圧中間回路208を高電圧中間回路202に作動可能に電気的に接続し、かつ高電圧中間回路202から定電圧中間回路208に電力供給する。ステップ106では、定電圧中間回路208に接続された高電圧ヒータ210がスイッチオンになる。代替的に、高電圧中間回路202は、定電圧中間回路208から分離されてもよく、また高電圧ヒータ210によって、後者のみが放電されてもよい。ステップ108では、デフォルト値に到達しているかどうかがチェックされる。そうでない場合、ステップ108の「いいえ」分岐では、高電圧ヒータ210はオンのままである。デフォルト値に達した場合、ステップ108の「はい」分岐では、高電圧ヒータ210はステップ110でオフになり、ステップ112では、新しいデフォルト値が存在するかどうかがチェックされる。そうでない場合、ステップ112の「いいえ」分岐では、第1のDC/DCコンバータ206は、他の目的のために更に作動させる必要がない限り、オフとされて、処理が完了する。新しいデフォルト値が、ステップ114の「はい」分岐にて存在する場合、第2のDC/DCコンバータ214は、ステップ116で作動し、低電圧電気システム212から定電圧中間回路208に電力供給する。更に、ステップ118では、第1のDC/DCコンバータ206が作動し、ここで、定電圧中間回路208から高電圧中間回路202に電力供給する。ステップ120では、新しいデフォルト値に到達しているかどうかがチェックされる。到達していない場合、ステップ120の分岐「いいえ」では、第1及び第2のDC/DCコンバータ206、214はオンのままである。新しいデフォルト値に到達した場合、ステップ120の「はい」分岐では、ステップ122において、高電圧中間回路に電力供給するための第2のDC/DCコンバータ214の作動が終了し、定電圧中間回路208から高電圧中間回路202に電力を供給するための第1のDC/DCコンバータ206の作動も終了し、処理は完了する。
【0029】
図1では、逐次作動を示すように見えるが、第1のDC/DCコンバータ及び高電圧ヒータ210又は第1のDC/DCコンバータ206及び第2のDC/DCコンバータ206の作動は並列して行うことができることに留意されたい。
【0030】
図2は、本発明による方法を実施するのに適した電気システム200の例示的な概略図を示す。高電圧バッテリ204は、スイッチ218を介して高電圧中間回路に分離可能に接続される。高電圧電力消費器(図面には示されていない)、例えば、駆動モータ等は、高電圧中間回路に接続される。キャパシタンスは、高電圧中間回路内に存在することができ、これは、スイッチ218が開放された後であっても、少なくともある延長期間、高電圧中間回路における高電圧を維持することができる。高電圧中間回路は、第1のDC/DCコンバータ206を介して、定電圧中間回路208に双方向で作動可能に接続される。高電圧ヒータ210及び双方向の第2のDC/DCコンバータ214は、定電圧中間回路208に接続される。第2のDC/DCコンバータ214は、低電圧電気システム212を定電圧中間回路208に作動可能に接続する。定電圧中間回路208には、AC/DCコンバータ220によって外部から電力供給することができる。図面に示されていない充電ステーションから電力供給されてもよい。第1及び第2のDC/DCコンバータ206、214、定電圧中間回路208、高電圧ヒータ210、及びAC/DCコンバータ220は、統合電源ユニット222に組み合わせることができる。
【0031】
図3は、本発明による方法100を実施するための例示的な制御ユニット300の概略ブロック図を示す。マイクロプロセッサ302、揮発性メモリ304、不揮発性メモリ306、及び制御出力部310又は信号入力部308は、1つ以上のデータライン又はバス312を介して互いに通信可能に接続される。不揮発性メモリ306は、コンピュータプログラムコマンドを含み、このコンピュータプログラムコマンドは、マイクロプロセッサ302によって揮発性メモリ304において実行されるとき、制御ユニット300が、制御ユニット300の制御出力部310及び信号入力部308に接続された電気自動車又はハイブリッド自動車の電気システム200の構成要素を作動させて、本発明による方法100の1つ又は複数の実施形態を実行するように構成する。
【符号の説明】
【0032】
100 方法
102 デフォルト値の決定
104 第1のDC/DCコンバータの作動
106 高電圧ヒータのスイッチオン
108 デフォルト値に達したか?
110 高電圧ヒータをスイッチオフ
114 新しいデフォルト値か?
116 第2のDC/DCコンバータの作動
118 第1のDC/DCコンバータの作動
120 新しいデフォルト値に達したか?
122 第1及び第2のDC/DCコンバータの作動
200 電気システム
202 高電圧中間回路
204 高電圧バッテリ
206 第1のDC/DCコンバータ
208 定電圧中間回路
210 高電圧ヒータ
212 低電圧電気システム
214 第2のDC/DCコンバータ
218 スイッチ/接触器
220 AC/DCコンバータ
222 統合電源ユニット
300 制御ユニット
302 マイクロプロセッサ
304 揮発性メモリ
306 不揮発性メモリ
308 信号入力部
310 制御出力部
312 データライン/バス
図1
図2
図3