(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】冷凍冷蔵庫用熱交換器
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20250404BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20250404BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20250404BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20250404BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20250404BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20250404BHJP
【FI】
F25D21/04 D
F25B39/02 H
F25D19/00 520A
F28D1/047 B
F28F1/32 V
F28F1/40 A
(21)【出願番号】P 2020506481
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2019009473
(87)【国際公開番号】W WO2019176803
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2018044306
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 薫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 加奈
(72)【発明者】
【氏名】水田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 直樹
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】鈴木 充
【審判官】飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/013743(WO,A1)
【文献】特開昭59-217465号公報(JP,A)
【文献】特開2009-192148号公報(JP,A)
【文献】特開2009-79807(JP,A)
【文献】特開2013-242104号公報(JP,A)
【文献】実開昭61-79778(JP,U)
【文献】特開2008-14571(JP,A)
【文献】特開2008-64457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D19/00、21/04
F25B39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに所定間隔を隔てて平行に一列に配された複数枚のフィンからなるフィン群を複数段有し、当該複数段のフィン群を冷凍冷蔵庫内を流通する被冷却流体の流通方向に所定間隔を隔てて配列し、上記フィン群における上記フィンを順次貫通して蛇行形態を呈するように配置された1本または複数本の金属配管を有する冷凍冷蔵庫用熱交換器において、
上記フィンは、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板からなり、
上記複数段のフィン群は、上記被冷却流体の流通方向の最上流に位置する1段のフィン群のみから構成された上流フィン群と、最下流に位置する1段のフィン群のみから構成された下流フィン群と、これらの間に位置する複数段のフィン群から構成された中間フィン群とからなり、
上記上流フィン群におけるフィンピッチPb、上記下流フィン群におけるフィンピッチPt、及び上記中間フィン群におけるフィンピッチPmが、
10mm≦Pb≦20mm、
1.8mm≦Pt≦5.0mm、
10mm≦Pm≦15mm、
4.0≦Pb/Pt≦11.1、
3.0≦Pm/Pt≦8.3
、
1<Pb/Pm≦9.1
の関係を有する、冷凍冷蔵庫用熱交換器。
【請求項2】
上記金属配管が、外径φ5~10mmの内面溝付管である請求項1に記載の冷凍冷蔵庫用熱交換器。
【請求項3】
上記金属配管が銅または銅合金製、もしくはアルミニウムまたはアルミニウム合金製である請求項1又は2に記載の冷凍冷蔵庫用熱交換器。
【請求項4】
1枚の上記フィンに複数本の上記金属配管が貫通している請求項1~3のいずれか1項に記載の冷凍冷蔵庫用熱交換器。
【請求項5】
上記金属配管内を循環させる冷媒は、R134a、R600a、CO
2のいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷凍冷蔵庫用熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵庫用熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍冷蔵庫に搭載される熱交換器としては、通常、サーペンタイン熱交換器が用いられる。サーペンタイン熱交換器は、互いに所定間隔を隔てて平行に1列に配された複数枚のプレートフィンと、これらのフィンを貫通する1本又は複数本の冷媒を流通させる金属配管とによって構成される。そして、1列に並んだ複数枚のフィンからなるフィン群を複数段並べ、そのフィン群の配列方向に被冷却流体である冷蔵庫内空気が流通し、複数段のフィン群を順次通過するように配置される。
【0003】
冷凍冷蔵庫においては、冷凍冷蔵性能を十分に維持しつつ、食品等を収容する内容積をできる限り大きくするために、熱交換器の小型化が求められる。一方、冷凍冷蔵庫内では、熱交換器の温度が0度を下回ることがあるため、空気中に含まれる水蒸気が熱交換器のフィンに付着して霜となる。このような特殊な使用環境において、冷凍冷蔵性能、つまり熱交換性能を向上させて小型化できる構成がどのような構成であるかは、未だ解明されていない。
【0004】
例えば、特許文献1においては、空気入り口側の面、又は/及び冷媒入口の上側面の一部の熱交換フィンを切り取ることにより、その面の熱交換フィンの間隔を拡げ、霜閉塞を抑制し、除霜運転の間隔を延長させ、空間内の温度上昇を抑制しようとしている。しかしながら、上述したように霜が付着することを避けられない冷凍冷蔵庫用熱交換器においては、特許文献1の構成では十分に効果を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、熱交換器内にフィンをより効率的に配置することにより、熱交換性能と着霜時間の両立ができる冷凍冷蔵庫用熱交換器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、互いに所定間隔を隔てて平行に一列に配された複数枚のフィンからなるフィン群を複数段有し、当該複数段のフィン群を冷凍冷蔵庫内を流通する被冷却流体の流通方向に所定間隔を隔てて配列し、上記フィン群における上記フィンを順次貫通して蛇行形態を呈するように配置された1本または複数本の金属配管を有する冷凍冷蔵庫用熱交換器において、
上記フィンは、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板からなり、
上記複数段のフィン群は、上記被冷却流体の流通方向の最上流に位置する1段のフィン群のみから構成された上流フィン群と、最下流に位置する1段のフィン群のみから構成された下流フィン群と、これらの間に位置する複数段のフィン群から構成された中間フィン群とからなり、
上記上流フィン群におけるフィンピッチPb、上記下流フィン群におけるフィンピッチPt、及び上記中間フィン群におけるフィンピッチPmが、
10mm≦Pb≦20mm、
1.8mm≦Pt≦5.0mm、
10mm≦Pm≦15mm、
4.0≦Pb/Pt≦11.1、
3.0≦Pm/Pt≦8.3、
1<Pb/Pm≦9.1
の関係を有する、冷凍冷蔵庫用熱交換器にある。
【発明の効果】
【0008】
上記冷凍冷蔵庫用熱交換器は、上記のごとく、冷凍冷蔵庫内を流通する被冷却流体の入側から出側に向かって、フィンピッチを狭くなるよう変化させる一方で、その具体的な寸法を上記特定の範囲に限定している。これにより、熱交換性能を維持しながら着霜時間を比較的長くすることができ、熱交換性能と着霜時間の両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1における、冷凍冷蔵庫用熱交換器の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記フィンは、上述したごとく、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板を用いる。より具体的には、JIS A1050,JIS A1100,JIS A1200,JIS A7072等の材質の板を用いることができる。
【0011】
また、上記フィンは、その厚さが0.08~0.25mmであることが好ましい。フィンの厚さが0.08mm未満の場合には、放熱効率、すなわち、放熱面全体が熱源と同じ温度であった場合の放熱量と実際の放熱量との比率を表す「フィン効率」が低下するおそれがあり、一方、フィン厚さが0.25mmを超える場合には、フィン効率の向上効果が飽和し、かつ、全体重量の増大を招くおそれがある。
【0012】
また、上記フィン群における上記フィンの配列ピッチは、被冷却流体(空気)の入側は広く、出側にいくに従い、狭くする。つまり、上記被冷却流体の流通方向の最上流に位置する上記フィン群におけるフィンピッチPb、最下流に位置する上記フィン群におけるフィンピッチPt、これらの間に位置する上記フィン群におけるフィンピッチPmが、10mm≦Pb≦20mm、1.8mm≦Pt≦11.2、2.2≦Pm≦15mmの範囲となるように設定する。
【0013】
被冷却流体入側(最上流側)のフィンピッチPbが10mm未満であると、霜による閉塞が早く、早期に通風抵抗が高くなる。また、フィンピッチPbが20mmより広くなると、フィンの枚数が少なくなるため、熱交換性能への影響がある。
【0014】
被冷却流体入側(最上流側)から2段目以降のフィンピッチPmは、温度・湿度ともやや低くなることから、入側(最上流側)よりもフィンピッチを狭くし、フィンの枚数を増やすことで熱交換性能を向上させる必要がある。そのため、フィンピッチPmは15mm以下とする。一方、フィン間の空気の流れを考慮した場合、フィンピッチPmが2.2mm未満では熱交性能の向上は期待できず、通風抵抗があがることから、2.2mm以上とする。
【0015】
被冷却流体出側(最下流側)は、最も温度・湿度の低い空気が流れることから、できるだけフィン枚数を増やす必要がある。そのため、被冷却流体出側(最下流側)のフィンピッチPtは、5mm以下とする。一方、狭くしすぎると早期に霜が付着し、通風路の確保が困難になるという問題があるため、フィンピッチPtは、1.8mm以上とし、より好ましくは、2.2mm以上とするのがよい。
【0016】
さらに、フィンピッチPb、フィンピッチPt、フィンピッチPmは、2≦Pb/Pt≦11.2、1≦Pm/Pt≦8.4の関係を満たすようにする。Pb/Ptが2未満の場合には、Pmがその中間になることから、フィンピッチの比率を変化させる効果を十分に発揮できなくなるおそれがあり、Pb/Ptが11.2を超える場合には、入側での空気の冷却が不十分となり、中段以降に早期に霜が付着するという不具合が生じるおそれがある。そのため、より好ましくは、Pb/Ptは5以下が良い。一方、Pm/Ptが1未満の場合には、中間部分に早期に霜が付着して通風抵抗が増加し、空気出側での熱交換面積が不足し熱交換性能も下がるという不具合が生じるおそれがあり、Pm/Ptが8.4を超える場合には、中間部分での空気の冷却が不十分となり、空気出側のフィンに早期に霜が付着するという不具合が生じるおそれがある。そのため、より好ましくは、Pm/Ptは6.8以下が良い。
【0017】
また、フィンピッチPbとフィンピッチPmとの関係は、1<Pb/Pm≦9.1である。これら関係に調整することで、熱交換性能と着霜時間との効果達成をより確実に行うことができる。これら範囲を逸脱すると、隣り合うフィン同士が接触し、冷媒の通路をふさぐため着霜しやすくなったり、熱交換性能が劣化する場合がある。
【0018】
また、上記金属配管は、銅又は銅合金製、あるいはアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。金属配管用のアルミニウム又はアルミニウム合金としては、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A1200、JIS A3003がある。また、金属配管用の銅又は銅合金としては、例えば、JIS H3300 C1220、JIS H3300 C5010がある。
【0019】
また、上記金属配管内を循環させる冷媒は、R134a、R600a、CO2のいずれかから選択することができる。これらの冷媒の中で、R600aが最も一般的であり環境負荷が低いため、冷凍冷蔵庫用熱交換器に利用するのに好適である。ただし、コスト面から、より安価なR134aを用いる場合もあり、また、環境負荷の低いCO2などを用いることもできる。
【実施例】
【0020】
<実施形態1>
本願の
実施形態1にかかる冷凍冷蔵庫用熱交換器1について、
図1を用いて説明する。同図に示すごとく、冷凍冷蔵庫用熱交換器1は、互いに所定間隔を隔てて平行に一列に配された複数枚のフィン20からなるフィン群2を複数段有し、当該複数段のフィン群2と冷凍冷蔵庫内を流通する被冷却流体の流通方向(矢印X方向)に所定間隔Cを隔てて配列し、フィン群2におけるフィン20を順次貫通して蛇行形態を呈するように配置された1本ないし複数本の金属配管3を有する。
【0021】
フィン20は、長方形を呈するアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板からなる。そして、被冷却流体(空気)の流通方向(矢印X方向)の最上流に位置するフィン群2(a)におけるフィンピッチPb、最下流に位置するフィン群2(g)におけるフィンピッチPt、これらの間に位置するフィン群2(m)におけるフィンピッチPmが、10mm≦Pb≦20mm、1.8≦Pt≦5.0mm、2.2≦Pm≦15mm、2≦Pb/Pt≦11.2、1≦Pm/Pt≦8.4の関係を有する。以下、さらに詳説する。
【0022】
(参考例1)
参考例1の冷凍冷蔵庫用熱交換器1は、フィン20として、材質JIS A1050、厚さ0.20mmの板材からなるプレートフィンを有する。フィン20は、それぞれ、短辺21の長さHが20mm、長辺21の長さWが60mmの長方形形状を有している。そして、各フィン20は、2箇所の貫通穴25を有し、この貫通穴25に金属配管3がそれぞれ挿通されている。
【0023】
フィン20における貫通穴25の内径dは8mmφであり、これは、金属配管3の外径に相当する寸法である。金属配管3としては、本例では、材質がJIS A3003からなり、外径φが8mmで、内周面に溝を有する内面溝付管を用いた。金属配管3は、溝底の部分の肉厚が0.65mm、溝深さ0.65mm、溝条数30である。
【0024】
本例では、フィン20と金属配管3の接合は、外径が若干小さい金属配管3をフィン20の貫通穴25に挿通させた状態で、金属配管3を拡管させることによって行っている。金属配管3の拡管は、図示しないマンドレルを金属配管3の中に圧入して移動させる機械式拡管方法と、金属配管3の中に油を充填して加圧する油圧式拡管方法のいずれかを採用することによって実施することができる。
【0025】
金属配管3は、
図1に示すごとく、末端31(
図1)から伸びて最も下流側(
図1における最も上側)のフィン群2(g)を貫通した後、複数のU字状連結部35を介して順次上流側の複数段のフィン群2を貫通するよう蛇行して最も上流側(
図1における最も下側)のフィン群2(a)を貫通し、さらに、U字状連結部35を介して再度フィン群2(a)を貫通した後、複数のU字状連結部35を介して順次下流側の複数段のフィン群2を貫通するよう蛇行して最も下流側(
図1における最も上側)のフィン群2(g)を貫通して末端32に到達するように配置されている。冷凍冷蔵庫用熱交換器1の使用時には、末端31及び末端32に、図示しない圧縮機その他の冷凍機に必要な装置が接続されることとなる。
【0026】
本例のフィン群2は、フィン群2(a)~2(g)の7段の仕様とした。隣り合うフィン群2の間隔Cは、いずれも3.0mmとした。7段のフィン群2におけるフィン20の配列ピッチであるフィンピッチは、最上流のフィン群2(a)のフィンピッチPbは10.0mmと一番広く、最下流のフィン群2(g)のフィンピッチPtは2.2mmと一番狭く、これらの間のすべてのフィン群2(m)のフィンピッチPmは4.0mmにした。
【0027】
(比較例1、2)
比較例1は、基本構成は参考例1と同様とし、最上流から最下流の全てのフィン群2のフィンピッチPb、Pt、Pmを、2.2mmに揃えた例である。比較例2は、基本構成は参考例1と同様とし、最上流から最下流の全てのフィン群2のフィンピッチPb、Pt、Pmを、10.0mmに揃えた例である。
【0028】
(評価試験)
上述した参考例1、比較例1及び比較例2の熱交換器を、実際の冷凍冷蔵システムに組み込み、その性能を評価する実験を行った。具体的には、各熱交換器に膨張弁、圧縮機その他の必要部品を接続して公知の冷凍システムを構成し、所定条件で冷凍性能を評価した。
【0029】
まず、
図1における下側のフィン群2(a)の下面を熱交換器における被冷却媒体である空気の入口、同図の上側を出口とする。そして、入口に導入する空気の条件(空気側条件)については、その乾球温度を5.0℃、湿球温度を3.8℃、風速を0.5m/sとした。
【0030】
また、金属配管3の入口に導入する冷媒の条件(冷媒側条件)については、図示しない膨張弁の入側の圧力を1.826MPa、膨張弁の入側の温度を25℃、熱交換器の出口における圧力を0.485MPa、熱交換器の出口における温度を-8℃とした。
【0031】
そして、被冷却流体である空気と冷媒を流通させ、約150分間における、熱交換器の入口及び出口の空気温度と、熱交換器の入口及び出口の冷媒の温度を測定した。そして、熱交換器の入口及び出口の空気の温度差から、空気を基準にした熱交換能力(空気側能力[W])を算出した。また、熱交換器の入口及び出口の冷媒の温度差から、冷媒を基準にした熱交換能力(冷媒側能力[W])を算出した。また、算出値としては、実験期間中の平均値と、瞬間的な最高値(瞬間値)の両方を求めた。
【0032】
また、微差圧計により熱交換器(フィン群)の空気の入口と出口の差圧測定を行って、その値を通風抵抗(圧損)とした。そして、着霜時間は、評価開始から通風抵抗(圧損)が150Paに到達するまでの時間で評価した。
【0033】
得られた最大熱交換能力、平均熱交換能力、及び着霜時間について、参考例1の結果を1とし、それに対する比率で比較例1及び比較例2を評価した。評価結果を表1に示す。
【0034】
【0035】
表1に示すごとく、参考例1は、比較例1に比べて、最大熱交換能力及び平均熱交換能力は劣るものの、着霜時間については3倍以上に延長できた結果となった。また、参考例1は、比較例2に比べて、着霜時間は劣るものの、最大熱交換能力及び平均熱交換能力が大幅に向上する結果となった。これらの結果から、参考例1は、比較例1及び2と比較して、熱交換性能と着霜時間の両立ができるものといえる。
【0036】
<実施形態2>
実施形態1における
図1に示す構成(
参考例1の構成)を基準とし、表2に示すごとく、フィンピッチPb、Pt、Pmを変更した複数種類の異なる構成の熱交換器において、実施形態例1の評価試験の場合と同様の条件で、フィンピッチの組合せの許容範囲を評価した。
【0037】
被冷却媒体である空気の出口温度については、-5.2℃以下となった場合に適正、それを超える場合を冷却性能不足と評価した。
【0038】
圧損(Pa)は、通風する流路において熱交換器(フィン群)の空気の入口と出口の差圧(圧損)を微差圧計により測定し、通風を開始してから1時間後の圧損を調べた。圧損が10Pa以下の場合を適正、それを超える場合を高圧損と評価した。
【0039】
着霜性能については、通風を開始してから48時間後の圧損を上記と同様に測定し、その時の圧損が10Pa以下の場合を着霜性能が適格、フィンの着霜により圧損が10Paを超える場合を着霜性能が不適格と評価した。評価結果を表2に示す。
【0040】
【0041】
表2からわかるように、フィンピッチPb、Pt及びPmが、10mm≦Pb≦20mm、1.8mm≦Pt≦5.0mm、2.2≦Pm≦15mm、2≦Pb/Pt≦11.2、1≦Pm/Pt≦8.4の関係を全て具備する構成E1、E4、E9~E11、E13、及びE14については、全ての評価項目について適正又は合格となった。そのうち、さらに、Pt≧2.2mmであり、かつ、Pb/Pt≦5、Pm/Pt≦6.8の関係を有する構成E1及びE4は、特に圧損が小さく、バランスのよい優れた特性を示すことがわかる。
【0042】
一方、構成C2及びC3は、最上流におけるフィンピッチPbが狭すぎ、Pb/Ptの範囲も適正範囲を外れ、着霜が不合格となった。
【0043】
構成C5は、最上流におけるフィンピッチPbが広すぎ、冷却性能不足となった。
【0044】
構成C6は、中間位置のフィンピッチPmが狭すぎ、Pm/Ptの範囲も適正範囲を外れ、圧損が高くなりすぎる結果になった。
【0045】
構成C7は、中間位置のフィンピッチPmが広すぎ、冷却性能不足となった。
【0046】
構成C8は、最下流におけるフィンピッチPtが狭すぎ、Pb/Ptの範囲及びPm/Ptの範囲が適正範囲を外れ、圧損が高くなりすぎる結果になった。
【0047】
構成C12は、最下流におけるフィンピッチPtが広すぎ、冷却性能不足となった。