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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20250404BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20250404BHJP
   C09B 1/22 20060101ALI20250404BHJP
   C09B 1/28 20060101ALI20250404BHJP
   C09B 1/32 20060101ALI20250404BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20250404BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B32B17/10
C09B1/22
C09B1/28
C09B1/32
C09B67/22 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020570990
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2020045435
(87)【国際公開番号】W WO2021124948
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019229105
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡島 萌
(72)【発明者】
【氏名】岸田 怜子
(72)【発明者】
【氏名】角田 竜太
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/182029(WO,A1)
【文献】特開2003-175577(JP,A)
【文献】特開2004-149551(JP,A)
【文献】特開平02-099323(JP,A)
【文献】特開昭63-230540(JP,A)
【文献】国際公開第2007/086217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アントラキノン染料と、ペリノン染料とを含む着色層を備え、
前記着色層が、アゾ顔料又はキノリン染料をさらに含み、
前記着色層における前記アントラキノン染料の含有量の前記ペリノン染料の含有量に対する重量比が0.072/0.027以上60以下である、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
光安定剤を含む、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記光安定剤が、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合している光安定剤である、請求項2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
熱可塑性樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
可塑剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記アントラキノン染料が、青色色素である、請求項1~5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記ペリノン染料が、赤色色素である、請求項1~6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる着色剤として、黄色色素を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記黄色色素が、前記アゾ顔料又は前記キノリン染料である、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
第1の合わせガラス部材と、
第2の合わせガラス部材と、
請求項1~のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
近年、建築物用や自動車用の合わせガラスとして、意匠性、遮光性又はプライバシー保護性等を有する合わせガラスが求められている。意匠性、遮光性又はプライバシー保護性等を有する合わせガラスは、染料及び顔料等の着色剤を含む中間膜を用いて得ることができる。
【0004】
プライバシー保護性を有する合わせガラスの一例として、下記の特許文献1には、不透明な層を有する多層中間膜を用いた合わせガラスが開示されている。この合わせガラスでは、合わせガラスの背後に位置する人又は物体を視認できなくする上記不透明な層によって、プライバシー保護性を実現している。上記不透明な層は、例えば、無機粉末を含んでいてもよく、染料又は顔料を含んでいてもよい。
【0005】
下記の特許文献2には、2枚のガラス板が中間膜を介して互いに接着された車両用合わせガラスが開示されている。上記中間膜は、可視光線について透過率損失を与える減光機能が付与された第1領域と、上記第1領域により囲まれた第2領域又は上記第1領域の端部が部分的に後退して形成された第2領域とを含む。上記第2領域において、上記中間膜が、可視光線について、上記透過率損失よりも小さい透過率損失を有する。上記第1の領域は、例えば、顔料又は染料を含んでいてもよい。上記第1の領域は、帯状のシェード領域であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2006/082800A1
【文献】WO2003/059837A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
着色剤として染料又は顔料を含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性が低いことがある。このため、染料又は顔料を含む中間膜を用いた合わせガラスが太陽光等に長期間晒されると、着色部位の色合いが変化することがある。
【0008】
本発明の目的は、耐候性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、アントラキノン染料と、ペリノン染料とを含む、合わせガラス用中間膜(本明細書において、「合わせガラス用中間膜」を「中間膜」と略記することがある)が提供される。
【0010】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、光安定剤を含む。
【0011】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記光安定剤が、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合している光安定剤である。
【0012】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、熱可塑性樹脂を含む。
【0013】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、可塑剤を含む。
【0014】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記アントラキノン染料が、青色色素である。
【0015】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記ペリノン染料が、赤色色素である。
【0016】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる着色剤として、黄色色素を含む。
【0017】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記黄色色素が、アゾ顔料又はキノリン染料である。
【0018】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、アゾ顔料又はキノリン染料を含む。
【0019】
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、アントラキノン染料と、ペリノン染料とを含むので、耐候性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図3図3は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図2に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0023】
(合わせガラス用中間膜)
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、「中間膜」と略記することがある)は、アントラキノン染料と、ペリノン染料とを含む。
【0024】
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、耐候性を高めることができる。
【0025】
意匠性、遮光性又はプライバシー保護性等を有する合わせガラスを得るために、染料及び顔料等の着色剤が用いられている。しかし、着色剤として染料又は顔料を含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性が低いことがある。このため、染料又は顔料を含む中間膜を用いた合わせガラスが太陽光等に長期間晒されると、着色部位の色合いが変化することがある。また、樹脂の劣化を抑えるために、中間膜に光安定剤が配合されることがある。しかしながら、染料又は顔料と光安定剤とを含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性が低下しやすく、着色部位の色合いがより変化しやすい。さらに、青色色素である染料又は顔料と光安定剤とを含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性がより一層低下しやすく、着色部位の色合いがより一層変化しやすい。なお、着色剤として顔料のみを用いると、染料のみを用いた場合と比べて、合わせガラスの耐候性をある程度高めることができるものの、ヘイズが高くなる傾向がある。このため、着色剤として顔料のみの使用は、好ましくない。
【0026】
本発明者らは、染料を含む中間膜において、耐候性を高めることができる構成を見出した。すなわち、本発明者らは、着色剤として、特定の構造を有する少なくとも2種の化合物を組み合わせるとともに、該特定の構造を有する少なくとも2種の化合物として、染料を用いることで、耐候性をかなり高めることができることを見出した。本発明に係る中間膜では、アントラキノン染料とペリノン染料とが組み合わせて用いられているので、耐候性を高めることができ、合わせガラスが太陽光に長期間晒されたとしても、着色部位の変色をかなり抑えることができる。さらに、本発明に係る中間膜では、光安定剤を含む場合においても、着色部位の変色を効果的に抑えることができる。
【0027】
また、本発明に係る中間膜では、合わせガラスのヘイズを低く抑えることができる。さらに、本発明に係る中間膜では、合わせガラスの端部における発泡を効果的に抑えることができる。
【0028】
上記中間膜は、1層の構造又は2層以上の構造を有する。上記中間膜は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよい。上記中間膜は、2層の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよく、5層以上の構造を有していてもよく、6層以上の構造を有していてもよい。上記中間膜は、第1の層のみを備える1層の構造を有する中間膜(単層の中間膜)であってもよく、第1の層と他の層とを備える2層以上の構造を有する中間膜(多層の中間膜)であってもよい。中間膜は、これらの構造を、中間膜の一部に有していてもよく、中間膜の全体に有していてもよい。中間膜の構造は、部分的に異なっていてもよい。
【0029】
上記中間膜は、平面視にて着色している着色部位と、平面視にて着色していない非着色部位とを有していてもよい。上記中間膜は、幅方向の一端側に、平面視にて着色している着色部位を有し、幅方向の上記一端とは反対の他端側に、平面視にて着色していない非着色部位を有していてもよい。また、上記着色部位では、中間膜の厚み方向において、着色している部分と着色していない部分とが存在していてもよい。この場合に、平面視にて着色している部位が、着色している部分と着色していない部分とを含めて着色部位である(例えば、図1,2の破線の右側部分)。
【0030】
なお、上記中間膜は、平面視にて着色している着色部位のみを有していてもよい。上記中間膜は、平面視にて着色していない非着色部位を有さなくてもよい。
【0031】
上記中間膜は、幅方向の一端側にて、複数の層を備えることが好ましい。上記中間膜は、上記着色部位にて、複数の層を備えることが好ましい。この場合に、上記中間膜は、上記着色部位において、着色剤を含む着色層と、着色層以外の層とを備えていてもよい。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【0033】
図1に示す中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。
【0034】
中間膜1は、第1の層11と、第2の層12と、第3の層13とを備える。第1の層11の第1の表面(一方の方面)側に、第2の層12が配置されている。第1の層11の第1の表面に、第2の層12が積層されている。第1の層11と第2の層12とは接している。第1の層11の第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層13が配置されている。第1の層11の第2の表面に、第3の層13が積層されている。第1の層11と第3の層13とは接している。第1の層11は、第2の層12と第3の層13との間に配置されており、挟み込まれている。
【0035】
なお、第1の層11と第2の層12との間、及び、第1の層11と第3の層13との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。第1の層11と第2の層12、及び、第1の層11と第3の層13とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。
【0036】
中間膜1は、長さ方向と幅方向とを有する。図1の左右方向が、幅方向である。
【0037】
中間膜1は、着色剤を含む着色層14を備える。上記着色剤は、アントラキノン染料とペリノン染料とを含む。したがって、着色層14は、アントラキノン染料とペリノン染料とを含む。着色層14は、第2の層12内に埋め込まれている。中間膜1の一端側において、着色層14は、第2の層12内に埋め込まれている。中間膜1の幅方向の一端側において、着色層14は、第2の層12内に埋め込まれている。
【0038】
中間膜は、1つの着色層のみを備えていてもよく、複数の着色層を備えていてもよい。着色層は、第1の層内に埋め込まれていてもよく、第1の層と第2の層との間に配置されていてもよく、第2の層の第1の層側とは反対側に配置されていてもよく、第3の層内に埋め込まれていてもよく、第1の層と第3の層との間に配置されてもよく、第3の層の第1の層側とは反対側に配置されていてもよい。
【0039】
中間膜1は、着色層14を備える部分において、平面視にて着色している着色部位Xを有する。中間膜1は、着色層14を備えていない部分において、平面視にて着色していない非着色部位Yを備える。図1の破線の右側部分の全体を着色部位Xと呼ぶ。図1の破線の左側部分の全体を非着色部位Yと呼ぶ。
【0040】
中間膜1は、着色部位Xにて、第2の層12と、着色層14と、第2の層12と、第1の層11と、第3の層13とがこの順で並んで配置された多層構造を有する。中間膜1は、着色部位Xにて、5層構造を有する。
【0041】
中間膜1は、非着色部位Yにて、第2の層12と、第1の層11と、第3の層13とがこの順で並んで配置された多層構造を有する。中間膜1は、非着色部位Yにて、3層構造を有する。
【0042】
第2の層12の第1の層11側とは反対側の外側の表面は、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。第3の層13の第1の層11側とは反対側の外側の表面は、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。
【0043】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【0044】
図2に示す中間膜1Aは、第1の層11Aを備える。
【0045】
中間膜1Aは、長さ方向と幅方向とを有する。図2の左右方向が、幅方向である。
【0046】
中間膜1Aは、着色剤を含む着色層14Aを備える。着色層14Aは、第1の層11A内に埋め込まれている。上記着色剤は、アントラキノン染料とペリノン染料とを含む。したがって、着色層14Aは、アントラキノン染料とペリノン染料とを含む。中間膜1Aの一端側において、着色層14Aは、第1の層11A内に埋め込まれている。中間膜1Aの幅方向の一端側において、着色層14Aは、第1の層11A内に埋め込まれている。
【0047】
中間膜1Aは、着色層14Aを備える部分において、平面視にて着色している着色部位Xを有する。中間膜1Aは、着色層14Aを備えていない部分において、平面視にて着色していない非着色部位Yを備える。
【0048】
中間膜1Aは、着色部位Xにて、第1の層11Aと、着色層14Aと、第1の層11Aとの多層構造を有する。中間膜1Aは、着色部位Xにて、3層構造を有する。
【0049】
中間膜1Aは、非着色部位Yにて、第1の層11Aのみの単層構造を有する。中間膜1Aは、非着色部位Yにて、1層の構造を有する。
【0050】
以下、本発明に係る中間膜に用いることができる各材料を詳細に説明する。
【0051】
(着色剤)
上記中間膜は、着色剤として染料を含み、該染料としてアントラキノン染料と、ペリノン染料とを含む。なお、本発明に係る中間膜は、着色剤として、アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる染料を含んでいてもよく、顔料を含んでいてもよい。
【0052】
着色剤が染料と顔料との何れに該当するかは、カラーインデックスによる分類から判別することができる。
【0053】
本明細書において、カラーインデックスに記載されていない着色剤等については、「顔料」及び「染料」は、以下のように定義されてもよい。ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)を用意する。このポリビニルブチラール樹脂100重量部と、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部と、ポリビニルブチラール樹脂と3GOと着色剤との合計量100重量%に対して0.015重量%の含有量となる着色剤とを混練し、押し出して得られる厚さ760μmの樹脂膜(単層)を得る。この樹脂膜と、JIS R3106:1998に準拠して測定された可視光線透過率が90%の2枚のクリアガラス(厚み2.5mm)とを用いて合わせガラスを作製した際に、得られる合わせガラスのヘイズ値が0.35%以上となる着色剤を顔料とする。ヘイズ値が0.35%未満となる着色剤は染料とする。
【0054】
また、本明細書において、色素の色調は、カラーインデックスにより分類された色調を意味する。
【0055】
<アントラキノン染料>
上記中間膜は、アントラキノン染料を含む。上記着色層は、アントラキノン染料を含む。上記アントラキノン染料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
本明細書において、上記アントラキノン染料は、下記式(X)で表される構造を有する染料である。
【0057】
【化1】
【0058】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記アントラキノン染料は、下記式(X1)で表される化合物であることが好ましい。
【0059】
【化2】
【0060】
上記式(X1)中、R1-1、R1-2、R2-1及びR2-2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、又はチオール基を表す。
【0061】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X1)中、R1-1及びR1-2はそれぞれ水素原子を表し、R2-1及びR2-2はそれぞれ水素原子又はアミノ基を表すことが好ましい。
【0062】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X1)で表される上記アントラキノン染料は、下記式(X2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0063】
【化3】
【0064】
上記式(X2)中、R及びRはそれぞれ独立して、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0065】
本発明の効果を更により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X2)中、R及びRはアリール基を表すことが好ましい。
【0066】
本発明の効果を更により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X2)で表される上記アントラキノン染料は、下記式(X3)で表される化合物であることがより好ましい。
【0067】
【化4】
【0068】
上記式(X3)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はスルホニル基を表す。
【0069】
本発明の効果を特により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X3)で表される上記アントラキノン染料は、下記式の化合物(X4)で表される化合物であることが好ましい。
【0070】
【化5】
【0071】
上記式(X4)中、R、R、R、R10、R11及びR12はそれぞれ独立して、アルキル基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立して、水素原子、又はスルホニル基を表す。
【0072】
本発明の効果を特により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(X4)中、R、R、R、R10、R11及びR12は、アルキル基を表すことがより好ましく、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表すことが更に好ましい。上記式(X4)中、R13及びR14は、水素原子、又はスルホニル基を表すことが好ましい。該スルホニル基はスルホンアミド基であることが好ましい。したがって、上記式(X4)中、R13及びR14は、水素原子、又はスルホンアミド基を表すことが好ましい。
【0073】
上記式(X4)で表される上記アントラキノン染料としては、Solvent Blue45(CAS37229-23-5)、Solvent Blue97(CAS61969-44-6、32724-62-2)、及びSolvent Blue104(CAS116-75-6)等が挙げられる。
【0074】
上記アントラキノン染料としては、青色色素、黄色色素、赤色色素、及びバイオレット色色素等が挙げられる。すなわち、上記アントラキノン染料の色調としては、青色、黄色、赤色、及びバイオレット色等が挙げられる。
【0075】
上記青色色素であるアントラキノン染料としては、Solvent Blue45(CAS37229-23-5)、Solvent Blue97(CAS61969-44-6)、Solvent Blue104(CAS116-75-6)、及びDisperse Blue214(CAS104491-84-1)等が挙げられる。
【0076】
上記黄色色素であるアントラキノン染料としては、Solvent Yellow163(CAS13676-91-0)等が挙げられる。
【0077】
上記赤色色素であるアントラキノン染料としては、Disperse Red92(CAS12236-11-2)、Solvent Red111(CAS82-38-2)、Solvent Red207(CAS15958-69-6)、Disperse Red22(CAS2944-28-7)、及びDisperse Red191(CAS103657-51-8)等が挙げられる。
【0078】
上記バイオレット色色素であるアントラキノン染料としては、Solvent Violet13(CAS81-48-1)、Disperse Violet28(CAS81-24-5)、及びDisperse Violet31(CAS6408-72-6)等が挙げられる。
【0079】
上記着色層及び上記着色部位を良好に青色系統の色調に染色する観点及び本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記アントラキノン染料は、青色色素を含むことが好ましく、青色色素であることがより好ましい。上記着色層、上記着色部位、又は上記中間膜は、青色色素であるアントラキノン染料を含むことが好ましい。
【0080】
上記着色層100重量%中、上記アントラキノン染料の含有量は、好ましくは0.380重量%以上、より好ましくは0.530重量%以上、更に好ましくは0.670重量%以上であり、好ましくは2.700重量%以下、より好ましくは2.500重量%以下、更に好ましくは1.600重量%以下である。上記アントラキノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0081】
上記着色層100重量%中、青色色素であるアントラキノン染料の含有量は、好ましくは0.300重量%以上、より好ましくは0.450重量%以上、更に好ましくは0.500重量%以上であり、好ましくは2.500重量%以下、より好ましくは2.000重量%以下、更に好ましくは1.500重量%以下である。青色色素であるアントラキノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記着色層及び上記着色部位を良好に青色系統の色調に染色することができ、また、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0082】
上記着色部位100重量%中、上記アントラキノン染料の含有量は、好ましくは0.050重量%以上、より好ましくは0.070重量%以上、更に好ましくは0.090重量%以上であり、好ましくは0.350重量%以下、より好ましくは0.300重量%以下、更に好ましくは0.200重量%以下である。上記アントラキノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0083】
上記着色部位100重量%中、青色色素であるアントラキノン染料と黄色色素であるアントラキノン染料との合計の含有量は、好ましくは0.050重量%以上、より好ましくは0.070重量%以上、更に好ましくは0.090重量%以上である。上記着色部位100重量%中、青色色素であるアントラキノン染料と黄色色素であるアントラキノン染料との合計の含有量は、好ましくは0.350重量%以下、より好ましくは0.300重量%以下、更に好ましくは0.200重量%以下である。上記合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0084】
上記着色部位100重量%中、青色色素であるアントラキノン染料の含有量は、好ましくは0.040重量%以上、より好ましくは0.060重量%以上、更に好ましくは0.070重量%以上であり、好ましくは0.300重量%以下、より好ましくは0.270重量%以下、更に好ましくは0.200重量%以下である。青色色素であるアントラキノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記着色層及び上記着色部位を良好に青色系統の色調に染色することができ、また、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0085】
上記着色層、上記着色部位、又は上記中間膜において、上記アントラキノン染料の含有量の、上記ペリノン染料の含有量に対する重量比(アントラキノン染料の含有量/ペリノン染料の含有量)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上である。上記着色層、上記着色部位、又は上記中間膜において、上記アントラキノン染料の含有量の、上記ペリノン染料の含有量に対する重量比(アントラキノン染料の含有量/ペリノン染料の含有量)は、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは15以下である。上記重量比(アントラキノン染料の含有量/ペリノン染料の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0086】
<ペリノン染料>
上記中間膜は、ペリノン染料を含む。上記着色層は、ペリノン染料を含む。上記ペリノン染料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0087】
本明細書において、上記ペリノン染料は、下記式(Y)で表される構造を有する染料である。
【0088】
【化6】
【0089】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記ペリノン染料は、下記式(Y1)で表される化合物であることが好ましい。
【0090】
【化7】
【0091】
上記式(Y1)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、チオール基を表すか、5員環又は6員環の縮環構造を表す。上記式(Y1)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、又はチオール基を表す。
【0092】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記式(Y1)中、R及びRは、5員環又は6員環の縮環構造を表すことが好ましく、R及びRは、水素原子を表すことが好ましい。
【0093】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記式(Y1)で表される上記ペリノン染料は、下記式(Y2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0094】
【化8】
【0095】
上記式(Y2)中、Rは、下記式(Y21)又は下記式(Y22)で表される基を表す。
【0096】
【化9】
【0097】
上記式(Y21)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、又はチオール基を表す。
【0098】
本発明の効果を更により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(Y21)中、Rは水素原子を表すことが好ましい。
【0099】
【化10】
【0100】
上記式(Y22)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、又はチオール基を表す。
【0101】
本発明の効果を更により一層効果的に発揮する観点からは、上記式(Y22)中、Rは、水素原子又はハロゲン原子を表すことが好ましく、ハロゲン原子を表すことがより好ましい。
【0102】
上記式(Y1)で表される上記ペリノン染料としては、Solvent Red135(CAS20749-68-2、71902-17-5)、Solvent Red179(CAS6829-22-7)、及びSolvent Orange60(CAS61969-47-9、6925―69-5)等が挙げられる。
【0103】
上記ペリノン染料としては、赤色色素、及び橙色色素等が挙げられる。すなわち、上記ペリノン染料の色調としては、赤色、及び橙色等が挙げられる。
【0104】
上記赤色色素であるペリノン染料としては、Solvent Red135(CAS20749-68-2、71902-17-5)、及びSolvent Red179(CAS6829-22-7)等が挙げられる。
【0105】
上記橙色色素であるペリノン染料としては、Solvent Orange60(CAS61969-47-9、6925―69-5)等が挙げられる。
【0106】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記ペリノン染料は、赤色色素を含むことが好ましく、赤色色素であることが好ましい。上記着色層、上記着色部位、又は上記中間膜は、赤色色素であるペリノン染料を含むことが好ましい。
【0107】
上記着色層100重量%中、上記ペリノン染料の含有量は、好ましくは0.020重量%以上、より好ましくは0.030重量%以上、更に好ましくは0.070重量%以上であり、好ましくは0.380重量%以下、より好ましくは0.350重量%以下、更に好ましくは0.300重量%以下である。上記ペリノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0108】
上記着色部位100重量%中、上記ペリノン染料の含有量は、好ましくは0.003重量%以上、より好ましくは0.004重量%以上、更に好ましくは0.010重量%以上であり、好ましくは0.050重量%以下、より好ましくは0.040重量%以下、更に好ましくは0.035重量%以下である。上記ペリノン染料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0109】
<アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる着色剤>
上記中間膜は、アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる着色剤(以下、着色剤Aと記載することがある)を含んでいてもよい。上記着色層は、着色剤Aを含んでいてもよい。上記着色剤Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0110】
上記着色剤Aとしては、アントラキノン染料及びペリノン染料の双方とは異なる染料、並びに顔料等が挙げられる。
【0111】
上記着色剤Aとしては、キノリン染料、キノフタロン染料、トリフェニルメタン染料、メチン染料、及びアゾ染料等の染料;アゾ顔料、イソインドリノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクドリン顔料、ペンタフェン顔料、ペリレン顔料、インドール顔料、及びジオキサジン顔料等の有機顔料;カーボンブラック、酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。なお、上記有機顔料は、金属原子を有する有機顔料であってもよく、金属原子を有さない有機顔料であってもよい。
【0112】
上記着色剤Aとしては、黄色色素、橙色色素、赤色色素、バイオレット色色素、青色色素、緑色色素、茶色色素、黒色色素、白色色素及びメタル色色素等が挙げられる。すなわち、上記着色剤Aの色調としては、黄色、橙色、赤色、バイオレット色、青色、緑色、茶色、黒色、白色、及びメタル色等が挙げられる。
【0113】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記着色剤Aは、アゾ顔料又はキノリン染料を含むことが好ましい。上記中間膜は、アゾ顔料又はキノリン染料を含むことが好ましい。上記着色層は、アゾ顔料又はキノリン染料を含むことが好ましい。この場合に、上記着色剤A、上記中間膜、又は上記着色層は、アゾ顔料とキノリン染料との双方を含んでいてもよい。
【0114】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記着色剤Aは、黄色色素を含むことが好ましい。上記中間膜は、上記着色剤Aとして、黄色色素を含むことが好ましい。上記着色層は、上記着色剤Aとして、黄色色素を含むことが好ましい。上記黄色色素は、アゾ顔料又はキノリン染料であることが好ましい。
【0115】
上記着色剤Aの種類及び配合量は、目的とする色調に応じて適宜変更することができる。
【0116】
上記着色剤Aが黄色色素を含む場合に、上記着色層100重量%中、黄色色素の含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aが黄色色素を含む場合に、上記着色層100重量%中、黄色色素の含有量は、0.030重量%以上であってもよく、0.045重量%以上であってもよく、0.075重量%以上であってもよく、0.610重量%以下であってもよく、0.400重量%以下であってもよく、0.310重量%以下であってもよい。
【0117】
上記着色剤Aが黄色色素を含む場合に、上記着色部位100重量%中、黄色色素の含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aが黄色色素を含む場合に、上記着色部位100重量%中、黄色色素の含有量は、0.004重量%以上であってもよく、0.006重量%以上であってもよく、0.010重量%以上であってもよく、0.080重量%以下であってもよく、0.050重量%以下であってもよく、0.040重量%以下であってもよい。
【0118】
上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色層100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色層100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0.030重量%以上であってもよく、0.045重量%以上であってもよく、0.075重量%以上であってもよい。上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色層100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0.400重量%以下であってもよく、0.350重量%以下であってもよく、0.300重量%以下であってもよい。
【0119】
上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0.004重量%以上であってもよく、0.006重量%以上であってもよく、0.010重量%以上であってもよい。上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0.050重量%以下であってもよく、0.040重量%以下であってもよく、0.038重量%以下であってもよい。
【0120】
上記着色剤Aがアゾ顔料又はキノリン染料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、アゾ顔料及びキノリン染料の各含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aが顔料を含む場合に、上記着色層100重量%中、上記顔料の含有量は、好ましくは0.008重量%以上、より好ましくは0.015重量%以上、更に好ましくは0.065重量%以上であり、好ましくは0.460重量%以下、より好ましくは0.400重量%以下、更に好ましくは0.300重量%以下である。上記顔料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記顔料の含有量が上記上限以下であると、合わせガラスのヘイズをより一層低くすることができる。
【0121】
上記着色剤Aが顔料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、上記顔料の含有量は、0重量%を超える。上記着色剤Aが顔料を含む場合に、上記着色部位100重量%中、上記顔料の含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.002重量%以上、更に好ましくは0.010重量%以上であり、好ましくは0.060重量%以下、より好ましくは0.050重量%以下、更に好ましくは0.030重量%以下である。上記顔料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記顔料の含有量が上記上限以下であると、合わせガラスのヘイズをより一層低くすることができる。
【0122】
上記着色層が上記着色剤Aを含む場合に、上記着色層100重量%中、上記着色剤Aの含有量は、0重量%を超える。上記着色層100重量%中、上記着色剤Aの含有量は、好ましくは0.030重量%以上、より好ましくは0.045重量%以上、更に好ましくは0.075重量%以上であり、好ましくは0.610重量%以下、より好ましくは0.400重量%以下、更に好ましくは0.310重量%以下である。上記着色剤Aの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0123】
上記着色部位が上記着色剤Aを含む場合に、上記着色部位100重量%中、上記着色剤Aの含有量は、0重量%を超える。上記着色部位100重量%中、上記着色剤Aの含有量は、好ましくは0.004重量%以上、より好ましくは0.006重量%以上、更に好ましくは0.010重量%以上であり、好ましくは0.080重量%以下、より好ましくは0.050重量%以下、更に好ましくは0.040重量%以下である。上記着色剤Aの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0124】
(光安定剤)
上記中間膜は、光安定剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、光安定剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、光安定剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、光安定剤を含むことが好ましい。上記着色層は、光安定剤を含むことが好ましい。上記光安定剤を用いることにより、樹脂の劣化を効果的に抑えることができ、例えば、合わせガラスの端部における発泡を効果的に抑えることができる。また、上記光安定剤を用いることにより、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0125】
なお、染料と光安定剤とを含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性がより一層低下しやすく、着色部位の色合いがより一層変化しやすい。これに対して、本発明に係る中間膜では、特定の染料が用いられているので、着色層がアントラキノン染料及びペリノン染料に加えて光安定剤を含む場合でも、合わせガラスの耐候性をより一層高めることができ、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0126】
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記光安定剤は、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合している光安定剤であることが好ましく、ヒンダードアミン光安定剤であることがより好ましい。
【0127】
上記ヒンダードアミン光安定剤としては、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子、アルコキシ基の酸素原子又は水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤等が挙げられる。変色をより一層抑える観点からは、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子又はアルコキシ基の酸素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤が好ましい。上記ヒンダードアミン光安定剤は、ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることが好ましく、ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基の酸素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることも好ましい。
【0128】
上記ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合している光安定剤において、ピペリジン構造の窒素原子に結合している炭素原子は、ピペリジン構造の窒素原子に結合しているアルキル基又はアルキレン基の炭素原子であることが好ましい。
【0129】
上記ピペリジン構造の窒素原子に炭素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin765」及び「Tinuvin622SF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA-52」等が挙げられる。
【0130】
上記ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「TinuvinXT-850FF」及び「TinuvinXT-855FF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA-81」等が挙げられる。
【0131】
上記ピペリジン構造の窒素原子に水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin770DF」、及びクラリアント社製「Hostavin N24」等が挙げられる。
【0132】
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記光安定剤の分子量は、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは700以下である。上記光安定剤の分子量は、100以上であってもよい。
【0133】
上記中間膜100重量%中又は光安定剤を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記光安定剤の含有量は、好ましくは0.0025重量%以上、より好ましくは0.025重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。上記光安定剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0134】
(熱可塑性樹脂)
中間膜は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。中間膜は、熱可塑性樹脂(0)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(2)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(3)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記着色層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(4)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記着色層は、熱可塑性樹脂(4)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(4)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(1)と上記熱可塑性樹脂(2)と上記熱可塑性樹脂(3)と上記熱可塑性樹脂(4)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記熱可塑性樹脂(1)は、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)と異なっていることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)と上記ポリビニルアセタール樹脂(4)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)と異なっていることが好ましい。上記熱可塑性樹脂(0)、上記熱可塑性樹脂(1)、上記熱可塑性樹脂(2)、上記熱可塑性樹脂(3)及び上記熱可塑性樹脂(4)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(0)、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(4)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0135】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アイオノマー樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0136】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70モル%~99.9モル%の範囲内である。
【0137】
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上であり、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0138】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0139】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3~5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は4又は5であってもよい。
【0140】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドであることが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドであることがより好ましく、n-ブチルアルデヒドであることが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0141】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0142】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上であり、好ましくは28モル%以下、より好ましくは27モル%以下、更に好ましくは25モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の機械強度がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また28モル%以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0143】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率の好ましい範囲と同じである。上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率の好ましい範囲と同じである。
【0144】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、より好ましくは30モル%以上、より一層好ましくは31.5モル%以上、更に好ましくは32モル%以上、特に好ましくは33モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは38モル%以下、より好ましくは37モル%以下、更に好ましくは36.5モル%以下、特に好ましくは36モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0145】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率の好ましい範囲と同じである。上記着色層が中間膜の表面層である場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率の好ましい範囲と同じである。
【0146】
遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値を絶対値Aとし、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値を絶対値Bとする。遮音性を更に一層高める観点からは、絶対値A及び絶対値Bはそれぞれ、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。絶対値A及び絶対値Bはそれぞれ、好ましくは20モル%以下である。
【0147】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合がある。これらの場合に、遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値を絶対値Cとし、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値を絶対値Dとする。遮音性を更に一層高める観点からは、絶対値C及び絶対値Dはそれぞれ、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。絶対値C及び絶対値Dはそれぞれ、好ましくは20モル%以下である。
【0148】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が中間膜の表面層である場合がある。これらの場合に、遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性を更に一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(4)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは20モル%以下である。
【0149】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0150】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0151】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは24モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度が0.1モル%以上25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
【0152】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセチル化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度の好ましい範囲と同じである。上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセチル化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度の好ましい範囲と同じである。
【0153】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0154】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセチル化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセチル化度の好ましい範囲と同じである。上記着色層が中間膜の表面層である場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセチル化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセチル化度の好ましい範囲と同じである。
【0155】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0156】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0157】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0158】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセタール化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度の好ましい範囲と同じである。上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセタール化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度の好ましい範囲と同じである。
【0159】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0160】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセタール化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセタール化度の好ましい範囲と同じである。上記着色層が中間膜の表面層である場合の上記ポリビニルアセタール樹脂(4)のアセタール化度の好ましい範囲は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセタール化度の好ましい範囲と同じである。
【0161】
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
【0162】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0163】
上記中間膜中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記中間膜中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは100重量%以下である。上記中間膜の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0164】
上記第1の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記第1の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは100重量%以下である。上記第1の層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0165】
上記第2の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記第2の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは100重量%以下である。上記第2の層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0166】
上記第3の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記第3の層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは100重量%以下である。上記第3の層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0167】
上記着色層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記着色層中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは100重量%以下である。上記着色層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0168】
(可塑剤)
中間膜の接着力をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜は、可塑剤(以下、可塑剤(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記着色層は、可塑剤(以下、可塑剤(4)と記載することがある)を含むことが好ましい。中間膜に含まれている熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、中間膜(各層)は、可塑剤を含むことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を含む層は、可塑剤を含むことが好ましい。
【0169】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0170】
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は有機エステル可塑剤であることが好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0171】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸、デシル酸及び安息香酸等が挙げられる。
【0172】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0173】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0174】
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0175】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0176】
【化11】
【0177】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基であることが好ましく、炭素数6~10の有機基であることがより好ましい。
【0178】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエートを含むことが好ましい。上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)を含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
【0179】
上記中間膜における上記熱可塑性樹脂(0)100重量部に対する上記可塑剤(0)の含有量を、含有量(0)とする。上記含有量(0)は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは25重量部以上、更に好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは60重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。上記含有量(0)が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記含有量(0)が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0180】
上記第1の層において、上記熱可塑性樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量を、含有量(1)とする。上記含有量(1)は、好ましくは50重量部以上、より好ましくは55重量部以上、更に好ましくは60重量部以上である。上記含有量(1)は、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、更に好ましくは85重量部以下、特に好ましくは80重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0181】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合に、上記着色層において、上記熱可塑性樹脂(4)100重量部に対する上記可塑剤(4)の含有量(以下、含有量(4)と記載することがある)の好ましい範囲は、含有量(1)の好ましい範囲と同じである。上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合に、上記着色層において、上記熱可塑性樹脂(4)100重量部に対する上記可塑剤(4)の含有量(以下、含有量(4)と記載することがある)の好ましい範囲は、含有量(1)の好ましい範囲と同じである。
【0182】
上記第2の層において、上記熱可塑性樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。上記第3の層において、上記熱可塑性樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量を、含有量(3)とする。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、より一層好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上、特に好ましくは24重量部以上、最も好ましくは25重量部以上である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは35重量部以下、特に好ましくは32重量部以下、最も好ましくは30重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0183】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合の上記熱可塑性樹脂(4)100重量部に対する上記可塑剤(4)の含有量(以下、含有量(4)と記載することがある)の好ましい範囲は、含有量(2)及び上記含有量(3)の好ましい範囲と同じである。上記着色層が中間膜の表面層である場合の上記熱可塑性樹脂(4)100重量部に対する上記可塑剤(4)の含有量(以下、含有量(4)と記載することがある)の好ましい範囲は、含有量(2)及び上記含有量(3)の好ましい範囲と同じである。
【0184】
合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましい。
【0185】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が中間膜の表面層ではない場合に、合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(4)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(4)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましい。
【0186】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が中間膜の表面層である場合に、合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(1)は上記含有量(4)よりも多いことが好ましい。
【0187】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
【0188】
上記着色層が上記第1の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が上記第2の層及び上記第3の層に埋め込まれておらず、かつ上記着色層が中間膜の表面層ではない場合がある。この場合に、合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(4)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(4)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(4)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(4)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
【0189】
上記着色層が上記第2の層又は上記第3の層内に埋め込まれている場合、及び上記着色層が中間膜の表面層である場合に、合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(4)と上記含有量(1)との差の絶対値は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。上記含有量(4)と上記含有量(1)との差の絶対値は、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
【0190】
(遮熱性物質)
上記中間膜は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第1の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記着色層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記遮熱性物質は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0191】
上記遮熱性物質は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。なお、遮熱性物質は、上記着色剤に該当することがある。
【0192】
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記着色層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性物質である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0193】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
【0194】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0195】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0196】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0197】
上記中間膜100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上である。上記中間膜100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0198】
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記着色層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性物質である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0199】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
【0200】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0201】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0202】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0203】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WOで表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0204】
上記遮熱粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上であり、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0205】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA-EX150」)等を用いて測定できる。
【0206】
上記中間膜100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量(特に酸化タングステン粒子の含有量)は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。上記中間膜100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量(特に酸化タングステン粒子の含有量)は、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
【0207】
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記着色層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。なお、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaの6種の金属を意味する。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0208】
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
【0209】
また、上記金属塩Mとして、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩、及び炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩を用いることができる。上記金属塩Mは、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩、又は、炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩を含んでいてもよい。
【0210】
上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0211】
上記金属塩Mを含む中間膜、又は上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上であり、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜と合わせガラス部材(ガラス板等)との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
【0212】
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記着色層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0213】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0214】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0215】
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0216】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤である。上記紫外線遮蔽剤は、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
【0217】
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0218】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0219】
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を遮蔽する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0220】
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0221】
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0222】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0223】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0224】
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0225】
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0226】
上記中間膜100重量%中又は上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量及びベンゾトリアゾール化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。この場合には、期間経過後の可視光線透過率の低下がより一層抑えられる。上記中間膜100重量%中又は上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量及びベンゾトリアゾール化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0227】
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記着色層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0228】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0229】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0230】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0231】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0232】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H-BHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
【0233】
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層、第3の層又は着色層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.03重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0234】
(他の成分)
上記中間膜、上記第1の層、上記第2の層、上記第3の層及び上記着色層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0235】
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
上記中間膜の一端と他端との距離は、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、特に好ましくは1m以上であり、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、特に好ましくは1.5m以下である。中間膜が長さ方向と幅方向とを有する場合には、一端と他端との距離は、中間膜の長さ方向の距離である。中間膜が正方形の平面形状を有する場合には、一端と他端との距離は、対向し合う一端と他端との距離である。
【0236】
上記中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性を充分に高める観点からは、上記中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上であり、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性がより一層高くなる。上記中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの透明性がより一層良好になる。
【0237】
中間膜の厚みをTとする。多層の中間膜の場合に、合わせガラスの端部において空隙をより一層生じ難くし、かつ合わせガラスの透明性の低下をより一層抑える観点からは、上記第1の層の厚み(好ましくは非着色部位での厚み)は、好ましくは0.0625T以上、より好ましくは0.1T以上であり、好ましくは0.375T以下、より好ましくは0.25T以下である。
【0238】
上記第2の層及び上記第3の層の各厚み(好ましくは非着色部位での厚み)は、好ましくは0.3125T以上、より好ましくは0.375以上、さらに好ましくは0.625T以上、特に好ましくは0.75T以上であり、好ましくは0.9375T以下、より好ましくは0.9T以下である。上記第2の層及び上記第3の層の各厚み(好ましくは非着色部位での厚み)が上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの端部において空隙をより一層生じ難くし、かつ合わせガラスの透明性の低下をより一層抑えることができる。また、上記第2の層及び上記第3の層の各厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
【0239】
合わせガラスの端部において空隙をより一層生じ難くする観点からは、中間膜が上記第2の層と上記第3の層とを備える場合に、上記第2の層と上記第3の層との合計の厚み(好ましくは非着色部位での厚み)は、好ましくは0.625T以上、より好ましくは0.75T以上であり、好ましくは0.9375T以下、より好ましくは0.9T以下である。また、上記第2の層と上記第3の層との合計の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
【0240】
上記中間膜は、厚みが均一な中間膜であってもよく、厚みが変化している中間膜であってもよい。上記中間膜の断面形状は矩形であってもよく、楔形であってもよい。
【0241】
中間膜は、巻かれて、中間膜のロール体とされてもよい。ロール体は、巻き芯と、該巻き芯の外周に巻かれた中間膜とを備えていてもよい。
【0242】
上記中間膜の製造方法は特に限定されない。上記中間膜の製造方法としては、単層の中間膜の場合に、樹脂組成物を押出機を用いて押出する方法が挙げられる。上記中間膜の製造方法としては、多層の中間膜の場合に、例えば、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、得られた各層を積層する方法が挙げられる。さらに、上記中間膜の製造方法としては、各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
【0243】
中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましい。中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましい。中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とが同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。
【0244】
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、リップエンボス法、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
【0245】
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備える。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上述した合わせガラス用中間膜が配置されている。
【0246】
図3は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
【0247】
図3に示す合わせガラス21は、第1の合わせガラス部材31と、第2の合わせガラス部材32と、中間膜1とを備える。中間膜1は、第1の合わせガラス部材31と第2の合わせガラス部材32との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜1の第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材31が積層されている。中間膜1の第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材32が積層されている。中間膜1における第2の層12の外側の表面に第1の合わせガラス部材31が積層されている。中間膜1における第3の層13の外側の表面に第2の合わせガラス部材32が積層されている。
【0248】
図4は、図2に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
【0249】
図4に示す合わせガラス21Aは、第1の合わせガラス部材31Aと、第2の合わせガラス部材32Aと、中間膜1Aとを備える。中間膜1Aは、第1の合わせガラス部材31Aと第2の合わせガラス部材32Aとの間に配置されており、挟み込まれている。中間膜1Aの第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材31Aが積層されている。中間膜1Aの第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材32Aが積層されている。
【0250】
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明に係る合わせガラス用中間膜である。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記中間膜が配置されている。
【0251】
上記第1の合わせガラス部材は、第1のガラス板であることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材は、第2のガラス板であることが好ましい。
【0252】
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。上記合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれ、ガラス板又はPETフィルムであり、かつ上記合わせガラスは、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方として、ガラス板を備えることが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0253】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0254】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の各厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0255】
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。先ず、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、積層体を得る。次に、例えば、得られた積層体を押圧ロールに通したり又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりすることにより、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70℃~110℃で予備接着して予備圧着された積層体を得る。次に、予備圧着された積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120℃~150℃及び1MPa~1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0256】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築物用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラス又はバックライト用ガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記中間膜は、自動車の合わせガラスを得るために好適に用いられる。
【0257】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0258】
用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn-ブチルアルデヒドが用いられている。ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0259】
以下の材料を用意した。
【0260】
(着色剤)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.38)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.45)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.97)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.104)
アントラキノン染料(カラーインデックス:D.V.28)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.R.111)
アントラキノン染料(カラーインデックス:S.Y.163)
ペリノン染料(カラーインデックス:S.R.135)
ペリノン染料(カラーインデックス:S.R.179)
フタロシアニン染料(カラーインデックス:S.B.70)
キノリン染料(カラーインデックス:S.Y.33)
キノリン染料(カラーインデックス:D.Y.54)
その他の染料(カラーインデックス:S.R.118)
その他の染料(カラーインデックス:S.R.160)
アゾ染料(カラーインデックス:S.Y.16)
アゾ染料(カラーインデックス:S.Y.21)
アゾ染料(カラーインデックス:S.O.62)
イソインドリノン顔料(カラーインデックス:P.Y.110)
アゾ顔料(カラーインデックス:P.Y.93)
アゾ顔料(カラーインデックス:P.Y.150)
【0261】
なお、上記「その他の染料」とは、アントラキノン染料、ペリノン染料、及びキノリン染料の3種の染料とは異なる染料である。
【0262】
(光安定剤)
Tinuvin765(BASF社製、ヒンダードアミン光安定剤、N-C(炭素原子)型)
【0263】
(熱可塑性樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂、平均重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度(ブチラール化度)69モル%)
【0264】
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)
【0265】
(金属塩M)
Mg混合物(2-エチル酪酸マグネシウムと酢酸マグネシウムとの50:50(重量比)混合物)
【0266】
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
【0267】
(酸化防止剤)
BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
IRGANOX 1010(BASF社製「IRGANOX 1010」)
【0268】
(実施例1)
中間膜を形成するための組成物の作製:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、中間膜を形成するための組成物を得た。
【0269】
ポリビニルブチラール樹脂100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる中間膜中で70ppmとなる量の金属塩M(Mg混合物)
得られる中間膜中で0.2重量%となる量の酸化防止剤(BHT)
得られる中間膜中で0.2重量%となる量の紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)
得られる中間膜中で0.072重量%となる量のアントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.104)
得られる中間膜中で0.027重量%となる量のペリノン染料(カラーインデックス:S.R.179)
得られる中間膜中で0.007重量%となる量のキノリン染料(カラーインデックス:S.Y.33)
【0270】
中間膜の作製:
中間膜を形成するための組成物を、押出機を用いて押出しすることにより、第1の層のみを備える単層の中間膜(厚み800μm)を作製した。得られた中間膜は、平面視にて着色している着色部位のみを有する。
【0271】
(実施例2~35、参考例36~48及び比較例1~11)
配合成分の種類及び含有量を表1~12に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、単層の中間膜(厚み800μm)を作製した。なお、金属塩Mは、実施例1と同一の種類及び配合量で用いた。なお、比較例4,5,10,11における「中間膜中の着色剤の含有量」の色素3と色素4の含有量は、色素3と色素4との合計量を示す。
【0272】
(評価)
(1)耐候性
得られた中間膜を、縦6.5cm×横5cmに切り出した。次に、2枚のクリアガラス(縦6.5cm×横5cm×厚み2.5mm)の間に中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、合わせガラスを得た。
【0273】
スガ試験機社製「SX75」を用いて以下を行った。
【0274】
得られた合わせガラスの一方の主面を光源(キセノンランプ)側とし、光源から260mm~270mmの距離に合わせガラスを設置した。なお、合わせガラスの一方の端部が露出するように、サンプル固定具に合わせガラスを固定した。固定された合わせガラスの上記一方の主面に対して、放射照度60W/m(放射照度測定波長300nm~400nm)のキセノン光を、ブラックパネル温度63℃、槽内温度50℃及び湿度50%RHの条件で500時間照射した。このようにして、光照射後の合わせガラスを得た。
【0275】
光照射前の合わせガラスと、光照射後の合わせガラスとについて、分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS K8781-4:2013に準拠して、照射前後における色調変化を色差ΔEで求めた。なお、測定は合わせガラスの中央部において行った。色差ΔEから耐候性を以下の基準で判定した。
【0276】
[耐候性の判定基準]
○○:ΔEが3以下
○:ΔEが3を超え10以下
×:ΔEが10を超える
【0277】
詳細及び結果を下記の表1~12に示す。なお、表中、金属塩Mの記載は省略した。
【0278】
【表1】
【0279】
【表2】
【0280】
【表3】
【0281】
【表4】
【0282】
【表5】
【0283】
【表6】
【0284】
【表7】
【0285】
【表8】
【0286】
【表9】
【0287】
【表10】
【0288】
【表11】
【0289】
【表12】
【0290】
表中、使用した熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であり、使用した可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートである。
【0291】
また、実施例22で用いた組成物のうち、着色剤の含有量を下記の通りに変更した組成物を着色層の材料として用い、図1に相当する中間膜及び図3に相当する合わせガラスを作製した。なお、着色部位100重量%中の着色剤の含有量は、実施例22に示す中間膜中の着色剤の含有量と同一とした。
【0292】
着色層中で1.074重量%となる量のアントラキノン染料(カラーインデックス:S.B.45)
着色層中で0.080重量%となる量のペリノン染料(カラーインデックス:S.R.179)
着色層中で0.240重量%となる量のキノリン染料(カラーインデックス:P.Y.93)
【0293】
得られた合わせガラスでは、耐候性及び合わせガラスの端部における発泡抑制に優れていることを確認した。
【符号の説明】
【0294】
1,1A…中間膜
11,11A…第1の層
12…第2の層
13…第3の層
14,14A…着色層
21,21A…合わせガラス
31,31A…第1の合わせガラス部材
32,32A…第2の合わせガラス部材
X…着色部位
Y…非着色部位
図1
図2
図3
図4