(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250404BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648F
(21)【出願番号】P 2021049053
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】青木 陸太
(72)【発明者】
【氏名】水上 大乗
(72)【発明者】
【氏名】相原 友明
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-009956(JP,A)
【文献】特開2017-112314(JP,A)
【文献】特開2013-207076(JP,A)
【文献】特開平11-009920(JP,A)
【文献】特開2005-193174(JP,A)
【文献】国際公開第2015/136872(WO,A1)
【文献】特開2019-120158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液によって基板を処理する基板処理装置であって、
前記処理液を貯留する処理液貯留部と、
上流端が前記処理液貯留部に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液が循環する第1循環配管と、
前記第1循環配管に配置され、前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉するフィルターと、
前記第1循環配管に配置されるポンプと、
前記ポンプを制御する制御部と
を備え、
前記ポンプは、回転体を有し、前記回転体を回転させることで、前記処理液を送り出し、
前記制御部は、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記回転体
を、400rpm/秒以下の回転加速度で
かつ120秒以上かけて回転数が目標回転数に到達するように
回転させて、前記ポンプを制御する、基板処理装置。
【請求項2】
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記制御部は、前記回転体が400rpm/秒以下の一定回転加速度で回転するように、前記ポンプを制御し、
前記回転体の回転数が目標回転数に到達した場合、前記制御部は、前記回転体が前記目標回転数を維持するように、前記ポンプを制御する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記回転体が50rpm/秒以下の回転加速度で回転するように、前記制御部は、前記ポンプを制御する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1循環配管に接続され、前記第1循環配管から前記処理液を排出する第1排液配管と、
前記第1排液配管に配置され、前記第1排液配管の流路を開閉する第1排液バルブと
を更に備え、
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1排液バルブが前記第1排液配管の流路を開放するように、前記制御部は、前記第1排液バルブを制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記フィルター
の一次側空間から延び、前記フィルター
の前記一次側空間から前記処理液を排出する第2排液配管と、
前記第2排液配管に配置され、前記第2排液配管の流路を開閉する第2排液バルブと
を更に備え、
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第2排液バルブが前記第2排液配管の流路を開放するように、前記制御部は、前記第2排液バルブを制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1循環配管に配置され、前記第1循環配管の流路を開閉する第1循環バルブと、
前記第1循環配管
において前記ポンプおよび前記フィルターの両方よりも下流に設定された接続位置から前記処理液貯留部ま
で延びる第2循環配管と、
前記第2循環配管に配置され、前記第2循環配管の流路を開閉する第2循環バルブと
を更に備え、
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記制御部は、前記第1循環バルブが前記第1循環配管の流路を閉塞するように、前記第1循環バルブを制御するとともに、前記第2循環バルブが前記第2循環配管の流路を開放するように、前記第2循環バルブを制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
処理液によって基板を処理する基板処理方法であって、
前記処理液が循環する第1循環配管においてフィルターよりも上流に配置される停止状態のポンプを駆動する場合、400rpm/秒以下の回転加速度で
かつ120秒以上かけて回転数が目標回転数に到達するように前記ポンプの回転体を回転させる第1回転工程と、
前記第1回転工程よりも後において、前記回転体によって送り出された前記処理液を前記基板に供給する処理液供給工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項8】
第2回転工程を更に含み、
前記第1回転工程では、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、400rpm/秒以下の一定回転加速度で前記回転体を回転させ、
前記第2回転工程では、前記回転体の回転数が目標回転数に到達した場合、前記回転体に前記目標回転数を維持させ、
前記処理液供給工程では、前記回転体の回転数が前記目標回転数に維持されている状態において、前記基板に前記処理液を供給する、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第1回転工程では、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、50rpm/秒以下の回転加速度で前記回転体を回転させる、請求項7又は請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管から延びる第1排液配管を通して前記第1循環配管から前記処理液を排出する循環配管排液工程を更に含む、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管に配置される前記フィルター
の一次側空間から延びる第2排液配管を通して前記フィルター
の前記一次側空間から前記処理液を排出するフィルター排液工程を更に含む、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管の流路を閉塞するとともに、前記第1循環配管に接続される第2循環配管に前記処理液を供給する循環工程を更に含み、
前記第2循環配管は、前記第1循環配管
において前記ポンプおよび前記フィルターの両方よりも下流に設定された接続位置から、前記処理液を貯留する処理液貯留部まで延びており、
前記循環工程では、前記第2循環配管を前記処理液が循環する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された液処理装置は、タンクと、循環ラインと、ポンプと、フィルターと、背圧弁と、制御部とを備える。タンクは、処理液を貯留する。循環ラインは、タンクから送られる処理液をタンクへ戻す。ポンプは、循環ラインにおける処理液の循環流を形成する。フィルターは、循環ラインにおけるポンプの下流側に設けられる。背圧弁は、循環ラインにおけるフィルターの下流側に設けられる。制御部は、ポンプ及び背圧弁を制御する。そして、制御部は、循環ラインにおける処理液の循環を開始する際に、ポンプの吐出圧力が第1圧力で立ち上がり、所定時間経過後にポンプの吐出圧力が第1圧力より大きい第2圧力に増加するようにポンプの吐出圧力を制御する。
【0003】
ポンプの吐出圧力が第1圧力となるように制御して処理液の循環を開始することにより、フィルターの上流側と下流側との間にかかる差圧を、小さい差圧に抑えることができる。その結果、処理液の循環を開始した直後に、ポンプの吐出圧力に起因して異物(パーティクル)がフィルターを通り抜けることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された液処理装置では、ポンプの種類については何ら開示していない。ポンプの種類としては、例えば、ベローズによって処理液を送り出すベローズポンプ、及び、回転体(例えば、インペラ)を回転させることで処理液を送り出すポンプがある。
【0006】
本願の発明者は、回転体を回転させることで処理液を送り出すポンプに着目して、鋭意研究を重ねた結果、基板に供給された処理液中のパーティクルに関して新たな知見を得た。
【0007】
すなわち、停止状態のポンプが始動し、回転体が大きな回転加速度(例えば、3000rpm/秒)で回転することで、ポンプの内部に差圧が発生する。その結果、状況によっては、回転体によって送り出される処理液中に気泡が発生する可能性がある。
【0008】
具体的には、ベルヌーイの定理よれば、流体の速度が増加すると圧力が下降する。つまり、流体の加速度が大きいほど圧力降下が大きい。従って、処理液の飽和蒸気圧に到達し易くなる。その結果、停止状態のポンプが始動して回転体が大きな回転加速度で回転すると、回転体によって送り出される処理液中に気泡が発生し易くなる可能性がある。
【0009】
そして、処理液中に発生した気泡が、フィルターの二次側に蓄積したパーティクル、フィルターの二次側に蓄積されて流路に拡散したパーティクル、及び/又は、流路に滞留したパーティクルを補足する可能性がある。この場合、パーティクルを含む処理液が、基板に供給される可能性がある。このような可能性が極めて低い場合でも、近年の基板パターンの微細化を考慮すると、対策を講じることが好ましい。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パーティクルを含んだ処理液が基板に供給されることを効果的に抑制できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、処理液によって基板を処理する。基板処理装置は、処理液貯留部と、第1循環配管と、フィルターと、ポンプと、制御部とを備える。処理液貯留部は、前記処理液を貯留する。第1循環配管は、上流端が前記処理液貯留部に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液が循環する。フィルターは、前記第1循環配管に配置され、前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉する。ポンプは、前記第1循環配管に配置される。制御部は、前記ポンプを制御する。前記ポンプは、回転体を有し、前記回転体を回転させることで、前記処理液を送り出す。停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記回転体が400rpm/秒以下の回転加速度で回転するように、前記制御部は、前記ポンプを制御する。
【0012】
前記制御部は、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記回転体を、400rpm/秒以下の回転加速度でかつ120秒以上かけて回転数が目標回転数に到達するように回転させて、前記ポンプを制御してもよい。
本発明の一態様においては、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記制御部は、前記回転体が400rpm/秒以下の一定回転加速度で回転するように、前記ポンプを制御することが好ましい。前記回転体の回転数が目標回転数に到達した場合、前記制御部は、前記回転体が前記目標回転数を維持するように、前記ポンプを制御することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記回転体が50rpm/秒以下の回転加速度で回転するように、前記制御部は、前記ポンプを制御することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、第1排液配管と、第1排液バルブとを更に備えることが好ましい。第1排液配管は、前記第1循環配管に接続され、前記第1循環配管から前記処理液を排出することが好ましい。第1排液バルブは、前記第1排液配管に配置され、前記第1排液配管の流路を開閉することが好ましい。停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1排液バルブが前記第1排液配管の流路を開放するように、前記制御部は、前記第1排液バルブを制御することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、第2排液配管と、第2排液バルブとを更に備えることが好ましい。第2排液配管は、前記フィルターから延び、前記フィルターから前記処理液を排出することが好ましい。前記第2排液配管が、前記フィルターの一次側空間から延び、前記フィルターの前記一次側空間から前記処理液を排出してもよい。第2排液バルブは、前記第2排液配管に配置され、前記第2排液配管の流路を開閉することが好ましい。停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第2排液バルブが前記第2排液配管の流路を開放するように、前記制御部は、前記第2排液バルブを制御することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、第1循環バルブと、第2循環配管と、第2循環バルブとを更に備えることが好ましい。第1循環バルブは、前記第1循環配管に配置され、前記第1循環配管の流路を開閉することが好ましい。第2循環配管は、前記第1循環配管から前記処理液貯留部まで延びることが好ましい。前記第2循環配管が、前記第1循環配管において前記ポンプおよび前記フィルターの両方よりも下流に設定された接続位置から延びていてもよい。第2循環バルブは、前記第2循環配管に配置され、前記第2循環配管の流路を開閉することが好ましい。停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記制御部は、前記第1循環バルブが前記第1循環配管の流路を閉塞するように、前記第1循環バルブを制御するとともに、前記第2循環バルブが前記第2循環配管の流路を開放するように、前記第2循環バルブを制御することが好ましい。
【0017】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法において、処理液によって基板を処理する。基板処理方法は、前記処理液が循環する第1循環配管においてフィルターよりも上流に配置される停止状態のポンプを駆動する場合、400rpm/秒以下の回転加速度で前記ポンプの回転体を回転させる第1回転工程と、前記第1回転工程よりも後において、前記回転体によって送り出された前記処理液を前記基板に供給する処理液供給工程とを含む。前記第1回転工程において、400rpm/秒以下の回転加速度でかつ120秒以上かけて回転数が目標回転数に到達するように前記ポンプの回転体を回転させてもよい。
【0018】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、第2回転工程を更に含むことが好ましい。前記第1回転工程では、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、400rpm/秒以下の一定回転加速度で前記回転体を回転させることが好ましい。前記第2回転工程では、前記回転体の回転数が目標回転数に到達した場合、前記回転体に前記目標回転数を維持させることが好ましい。前記処理液供給工程では、前記回転体の回転数が前記目標回転数に維持されている状態において、前記基板に前記処理液を供給することが好ましい。
【0019】
本発明の一態様においては、前記第1回転工程では、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、50rpm/秒以下の回転加速度で前記回転体を回転させることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様においては、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管から延びる第1排液配管を通して前記第1循環配管から前記処理液を排出する循環配管排液工程を更に含むことが好ましい。
【0021】
本発明の一態様においては、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管に配置される前記フィルターから延びる第2排液配管を通して前記フィルターから前記処理液を排出するフィルター排液工程を更に含むことが好ましい。前記第2排液配管が、前記フィルターの一次側空間から延びていてもよい。前記フィルター排液工程が、前記フィルターの前記一次側空間から前記処理液を排出してもよい。
【0022】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、停止状態の前記ポンプを駆動する場合、前記第1循環配管の流路を閉塞するとともに、前記第1循環配管に接続される第2循環配管に前記処理液を供給する循環工程を更に含むことが好ましい。前記第2循環配管は、前記第1循環配管から、前記処理液を貯留する処理液貯留部まで延びていることが好ましい。前記循環工程では、前記第2循環配管を前記処理液が循環することが好ましい。前記第2循環配管が、前記第1循環配管において前記ポンプおよび前記フィルターの両方よりも下流に設定された接続位置から延びていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法によれば、パーティクルを含んだ処理液が基板に供給されることを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の内部を示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係る処理ユニットの内部を示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る処理液供給装置の構成を示す図である。
【
図4】(a)は、本実施形態に係るポンプを示す平面図である。(b)は、本実施形態に係るポンプの回転数を示すグラフである。
【
図5】本実施形態に係る処理液供給装置のレディ状態における処理液の流れを示す図である。
【
図6】本実施形態に係る処理液供給装置の循環停止アイドル状態における処理液の流れを示す図である。
【
図7】本実施形態に係る処理液供給装置の排液状態における処理液の流れを示す図である。
【
図8】本実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る基板処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の変形例に係る処理液供給装置のレディ状態を示す図である。
【
図11】本実施形態の変形例に係る処理液供給装置の内循環状態を示す図である。
【
図12】本実施形態の変形例に係る基板処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施例1~3及び比較例におけるポンプの回転数を示すグラフである。
【
図14】本発明の実施例1~3及び比較例に係るポンプの回転加速度とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【
図15】本発明の実施例1~3に係るポンプの回転加速度とパーティクル数との関係を示す別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面には、説明の便宜のため、三次元直交座標系(X、Y、Z)を適宜記載している。そして、図中、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0026】
まず、
図1を参照して、基板処理装置1を説明する。
図1は、基板処理装置1の内部を示す平面図である。
図1に示す基板処理装置1は、基板Wを処理液によって処理する。
【0027】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0028】
処理液は、例えば、薬液である。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。
【0029】
処理液は、例えば、リンス液であってもよい。リンス液は、例えば、脱イオン水(DIW:Deionzied Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0030】
以下、一例として、処理液はIPAである。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置1は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理ユニット2と、制御装置3と、複数の流体ボックス4と、処理液キャビネット5とを備える。
【0032】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。処理ユニット2の各々は、基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する。流体ボックス4の各々は流体機器を収容する。処理液キャビネット5は処理液を収容する。
【0033】
具体的には、複数の処理ユニット2は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1の例では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット2(
図1の例では3つの処理ユニット2)を含む。複数の流体ボックス4は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット5内の処理液は、いずれかの流体ボックス4を介して、流体ボックス4に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット2に供給される。
【0034】
制御装置3は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット2、流体ボックス4、及び、処理液キャビネット5を制御する。制御装置3は、例えば、コンピューターである。
【0035】
制御装置3は、制御部3Aと、記憶部3Bとを含む。制御部3Aは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部3Bは、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部3Bは、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部3Bは、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部3Bは、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0036】
制御部3Aは、記憶部3Bに記憶されたコンピュータープログラムを実行することで、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット2、流体ボックス4、及び、処理液キャビネット5を制御する。
【0037】
次に、
図2を参照して、処理ユニット2を説明する。
図2は、処理ユニット2の内部を示す側面図である。
【0038】
図2に示すように、処理ユニット2は、チャンバー6と、スピンチャック10と、スピンモーター13と、複数のガード14と、ノズル16と、ノズル21と、ノズル移動部26とを含む。基板処理装置1は、処理液供給装置CSと、配管17と、バルブ18とを更に備える。処理液供給装置CSは、配管22と、バルブ23とを含む。なお、配管17及びバルブ18は、処理液供給装置CSに含まれていてもよい。
【0039】
チャンバー6は略箱形状を有する。チャンバー6は、スピンチャック10、スピンモーター13、複数のガード14、ノズル16、ノズル21、ノズル移動部26、配管17の一部、及び、配管22の一部を収容する。なお、バルブ18、23がチャンバー6に収容されていてもよい。
【0040】
スピンチャック10は基板Wを保持する。具体的には、スピンモーター13は、スピンチャック10を回転軸線AX1の周りに回転させる。従って、スピンチャック10は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AX1の周りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック10は、複数のチャック部材11と、スピンベース12とを含む。スピンベース12は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材11を支持する。複数のチャック部材11は基板Wを水平な姿勢で保持する。なお、スピンチャック10は、例えば、バキュームチャック、又は、ベルヌーイ効果を利用したベルヌーイチャックであってもよく、特に限定されない。
【0041】
ノズル21は、基板Wに対して処理液を吐出する。ノズル移動部26は、ノズル21を昇降したり、ノズル21を回動軸線AX2の周りに水平回動させたりする。ノズル移動部26は、ノズル21を昇降させるために、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。また、ノズル移動部26は、ノズル21を水平回動させるために、例えば、電動モーターを含む。
【0042】
処理液供給装置CSは、ノズル21に処理液を供給する。具体的には、処理液供給装置CSの配管22がノズル21に処理液を供給する。従って、配管22には処理液が流れる。バルブ23は、配管22に配置される。そして、バルブ23は、配管22の流路を開閉し、ノズル21に対する処理液の供給と供給停止とを切り替える。
【0043】
ノズル16は、基板Wに向けてリンス液を供給する。その結果、基板Wから処理液が洗い流される。
【0044】
配管17はノズル16にリンス液を供給する。従って、配管17にはリンス液が流れる。バルブ18は、配管17に配置される。そして、バルブ18は、配管17の流路を開閉し、ノズル16に対するリンス液の供給と供給停止とを切り替える。
【0045】
各ガード14は略筒形状を有する。各ガード14は、基板Wから排出された処理液又はリンス液を受け止める。
【0046】
次に、
図3を参照して、処理液供給装置CSの詳細を説明する。
図3は、処理液供給装置CSを示す図である。
図3では、流体ボックス4を一点鎖線で示しており、処理液キャビネット5を二点鎖線で示している。一点鎖線で囲まれた領域に配置された部材は流体ボックス4内に配置されており、二点鎖線で囲まれた領域に配置された部材は処理液キャビネット5内に配置されている。
【0047】
図3に示すように、制御部3Aは、記憶部3Bに記憶されたコンピュータープログラムを実行することで、処理液供給装置CSを制御する。処理液供給装置CSは、基板Wに供給される処理液を貯留する処理液タンク30と、処理液タンク30内の処理液を循環させる循環配管とを含む。処理液タンク30は、本発明の「処理液貯留部」の一例に相当する。
【0048】
循環配管は、第1循環配管31と、第2循環配管32とを含む。第1循環配管31の上流端31aが処理液タンク30に接続されるとともに、第1循環配管31の下流端31bが処理液タンク30に接続される。第2循環配管32は、第1循環配管31から処理液タンク30まで延びる。具体的には、第2循環配管32は、第1循環配管31において分岐接続され、第1循環配管31内の処理液を処理液タンク30に戻すリターン配管である。第1循環配管31は、第2循環配管32が接続されている接続位置P2よりも上流側の上流側部分33と、接続位置P2よりも下流側の下流側部分34とを含む。
【0049】
図3の例では、処理液タンク30と、第1循環配管31とによって、処理液タンク30内の処理液を循環させる第1循環流路C1が形成される。
図3の例では、処理液タンク30と、上流側部分33と、第2循環配管32とによって、処理液タンク30内の処理液を循環させる第2循環流路C2が形成される。
【0050】
第1循環流路C1(第1循環配管31)を処理液が循環することを「外循環」と記載し、第2循環流路C2(第2循環配管32)を処理液が循環することを「内循環」と記載する場合がある。従って、第1循環流路C1は外循環経路であり、第2循環流路C2は内循環経路である。また、第1循環配管31は外循環配管であり、第2循環配管32は内循環配管である。
【0051】
また、
図3の例では、第1循環流路C1は、流体ボックス4まで延びる。換言すると、第1循環流路C1は、複数の処理ユニット2に対して処理液を共通して供給する。そして、処理ユニット2に一対一対応で設けられた配管22が第1循環配管31に分岐接続されることにより、第1循環流路C1を流れる処理液が、配管22を介して処理ユニット2に供給される。
【0052】
また、
図3の例では、第1循環配管31は、処理液タンク30から下流に延びる共通配管35と、共通配管35から分岐した複数の個別配管36とを含む。共通配管35の上流端は、処理液タンク30に接続されている。各個別配管36の下流端は、処理液タンク30に接続されている。共通配管35の上流端は、第1循環配管31の上流端31aに相当する。各個別配管36の下流端は、第1循環配管31の下流端31bに相当する。上流側部分33は、共通配管35に含まれている。接続位置P2は、共通配管35に設定されている。下流側部分34は、共通配管35の一部と、複数の個別配管36とを含む。
【0053】
複数の個別配管36は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。
図3は、1つの個別配管36の全体と残り3つの個別配管36の一部とを示している。
図3は、同じタワーTWに含まれる3つの処理ユニット2を示している。同じタワーTWに含まれる3つの処理ユニット2に対応する3つの配管22は、同じ個別配管36に接続されている。換言すると、配管22は、第1循環配管31において、接続位置P2よりも下流側に設定された接続位置P1に分岐接続されている。
【0054】
各個別配管36には、個別配管36を開閉するための第1循環バルブ40が配置されている。第1循環バルブ40が閉じられている状態では、共通配管35を流れる処理液は、各個別配管36には案内されない。すなわち、上流側部分33を流れる処理液は、下流側部分34に案内されない。そして、第1循環バルブ40が開かれることにより、共通配管35を流れる処理液が各個別配管36に案内される。すなわち、上流側部分33を流れる処理液が、下流側部分34に案内される。
【0055】
図3に示すように、基板処理装置1の処理液供給装置CSは、処理液タンク30内の処理液を第1循環配管31に送り出すポンプ37と、処理液タンク30内の処理液を加熱して、処理液タンク30内の処理液の温度を調整するヒーター38と、第1循環配管31を流れる処理液に含まれるパーティクルを捕捉するフィルター39とを含む。ポンプ37、ヒーター38およびフィルター39は、上流側部分33に、処理液タンク30側からこの順で配置されている。つまり、ポンプ37、ヒーター38、及び、フィルター39は、この順番で上流から下流に向けて第1循環配管31に配置される。
【0056】
ポンプ37は、駆動状態では、処理液タンク30内の処理液を一定の圧力で第1循環配管31に送り続ける。ポンプ37は、処理液が循環する第1循環配管31においてフィルター39よりも上流に配置される。ポンプ37の詳細は
図4を参照して後述する。
【0057】
ヒーター38は、上流側部分33を流れる処理液を加熱する。ヒーター38は、ジュール熱を発生させるヒーターである。
【0058】
フィルター39は、フィルター39を通過する処理液に含まれるパーティクルを捕捉する。換言すれば、フィルター39は、フィルター39を通過する処理液に含まれるパーティクルを除去する。更に換言すれば、フィルター39は処理液をろ過する。
【0059】
例えば、フィルター39は多数の孔(不図示)を有する。そして、処理液は、フィルター39の孔を通過する。その結果、フィルター39によって処理液がろ過される。具体的には、処理液に含まれるパーティクルは、フィルター39の孔を通過する際に、孔を区画する壁面によって吸着され、孔内に捕捉される。その結果、パーティクルが処理液中から除去される。
【0060】
フィルター39のパーティクルの捕捉能力は、フィルター39に加わる圧力の変動に伴って変化する。フィルター39に圧力が加わった状態では、フィルター39に圧力が加わっていない状態と比較して、より小さなサイズのパーティクルを捕捉可能である。そして、フィルター39に対して加わる圧力が増大するのに従って、より一層小さなサイズのパーティクルを捕捉可能である。
【0061】
図3に示すように、基板処理装置1の処理液供給装置CSは、フィルター39内の一次側の気泡(エア)を抜くためのエア抜き配管64と、フィルター39内の液体を排出するための第2排液配管66とをさらに備えている。エア抜き配管64は、パーティクルの発生の原因になるフィルター39内の気泡を除去するために用いられる。具体的には、フィルター39の一次側に、エア抜き配管64および第2排液配管66の一端(上流端)が接続されている。エア抜き配管64の他端は、処理液タンク30に接続されている。エア抜き配管64には、エア抜き配管64を開閉するためのエア抜きバルブ65が配置されている。第2排液配管66の他端は、排液タンク80に接続されている。第2排液配管66は、フィルター39から延び、フィルター39から処理液を排出する。第2排液配管66には、第2排液バルブ67が配置されている。第2排液バルブ67は、第2排液配管66の流路を開閉する。
【0062】
図3に示すように、基板処理装置1の処理液供給装置CSは、第2循環配管32に配置された第2循環バルブ70と、上流側部分33を流れる処理液の圧力を調整する圧力調整ユニットとを含む。圧力調整ユニットは、第2循環配管32の開度を調整する開度調整ユニットである。開度調整ユニットは、第2循環配管32に配置されている。
図3の例では、開度調整ユニットは、レギュレータ71である。レギュレータ71は、たとえば電空レギュレータである。
【0063】
圧力調整ユニットは、上流側部分33内の処理液の圧力を検出する圧力センサー72をさらに備える。圧力センサー72は、上流側部分33上の所定の検出位置P11で上流側部分33内の処理液の圧力を検出する。検出位置P11で圧力センサー72によって上流側部分33内の処理液の圧力を検出することは、フィルター39を流れる処理液の圧力を検出することと実質的に等価である。検出位置P11は、
図3に示すようにフィルター39の上流であってもよいし、フィルター39の下流であってもよい。
【0064】
図3に示すように、基板処理装置1の処理液供給装置CSは、処理液タンク30から排出された処理液を溜めておくための排液タンク80をさらに含む。処理液タンク30には、排液タンク80に向けて延びた排出配管81が接続されている。排出配管81の途中部には、排出配管81を開閉する排出バルブ82が配置されている。処理液タンク30に貯留されている処理液を、それ以上基板Wの処理のために使用しない場合には、排出バルブ82が開かれる。その結果、処理液タンク30に貯留されている処理液が、処理液タンク30から排液タンク80に導かれ、排液タンク80に貯留される。
【0065】
排液タンク80には、排液配管83が接続されている。排液タンク80に貯留された処理液は、排液配管83に配置された不図示のバルブを開くことによって機外の排液処理設備に送られ、排液処理設備において排液処理される。
【0066】
各個別配管36の下流側付近(すなわち、第1循環配管31の下流端付近)には、第1排液配管85の一端が分岐接続されている。つまり、第1排液配管85は、第1循環配管31に接続される。第1排液配管85の他端は、排液タンク80に接続されている。そして、第1排液配管85は、第1循環配管31から処理液を排出する。第1排液配管85の途中部には、第1排液配管85の流路を開閉する第1排液バルブ86が配置されている。また、各個別配管36において第1排液配管85の接続位置P3よりも下流側には、個別配管36を開閉するための帰還バルブ89が配置されている。
【0067】
第1排液バルブ86と帰還バルブ89とによって、下流側部分34において接続位置P3よりも上流側の処理液の案内先を、下流側部分34における接続位置P3よりも下流側と、第1排液配管85との間で切り換える第1切り換えユニットが構成されている。第1切り換えユニットとして、第1排液バルブ86及び帰還バルブ89に代えて、三方弁が採用されてもよい。
【0068】
第1排液バルブ86が閉じられている状態で帰還バルブ89が開かれることにより、個別配管36において第1排液配管85の接続位置P3よりも上流側を流れる処理液が、接続位置P3よりも下流側を介して、処理液タンク30に案内される。一方、帰還バルブ89が閉じられている状態で第1排液バルブ86が開かれることにより、個別配管36において第1排液配管85の接続位置P3よりも上流側を流れる処理液が、第1排液配管85を介して排液タンク80に案内される。
【0069】
図3に示すように、基板処理装置1の処理液供給装置CSは、処理液の新液を処理液タンク30に補充する処理液補充配管87と、処理液補充配管87を開閉するための処理液補充バルブ88とをさらに含む。
【0070】
基板処理装置1は、電源投入された後、アイドル状態になる。その後、レディ化操作が行われることにより、レディ状態へと移行する。基板処理装置1のレディ状態において、基板処理装置1よる基板処理動作が実現可能になる。
【0071】
基板処理装置1の動作状態は、処理ユニット2において処理を実行可能な動作状態であるレディ状態(実行可能状態、つまりは稼働状態)と、処理ユニット2において処理を実行不能な(準備ができていない)動作状態であるアイドル状態(待機状態)とを含む。基板処理装置1のレディ状態は、処理液供給装置CSに関して言えば、処理ユニット2に対して処理液を供給可能な状態である。基板処理装置1のアイドル状態は、処理液供給装置CSに関して言えば、処理ユニット2に対して処理液を供給不能(準備ができていない)な動作状態である。
【0072】
基板処理装置1では、アイドル状態として、第1循環流路C1および第2循環流路C2の双方において処理液の循環を停止する循環停止アイドル状態(循環停止待機状態)と、第1循環流路C1において処理液の循環を停止しながら、第2循環流路C2において処理液の循環を継続する循環アイドル状態(循環待機状態)とが、用意されている。すなわち、基板処理装置1では、アイドル状態として、2種類のアイドル状態が用意されている。以下、本実施形態では、レディ状態及び循環停止アイドルにのみ着目する。
【0073】
次に、
図4(a)を参照して、ポンプ37を説明する。
図4(a)は、ポンプ37を示す平面図である。
【0074】
図4(a)に示すように、制御部3Aはポンプ37を制御する。ポンプ37は、回転体371と、ハウジング372とを有する。ハウジング372は回転体371を収容する。ハウジング372は、吸込口373と、吐出口374とを有する。回転体371は、回転することで、吸込口373から処理液を吸い込んで、吐出口374から処理液を吐出する。回転体371は、回転する限りにおいて特に限定されないが、例えば、インペラ又はプロペラである。
図4(a)の例では、ポンプ37は、遠心ポンプである。ただし、ポンプ37の方式は、回転体の回転によって処理液を送り出すことのできる限りにおいて特に限定されず、例えば、斜流ポンプ又は軸流ポンプであってもよい。また、回転体371は、軸受(不図示)によって回転可能に支持されていてもよいし、磁気によって非接触状態で浮上していてもよい。回転体371が磁気によって非接触状態で浮上している場合、ポンプ37は、磁気浮上型ポンプである。
【0075】
以上、
図4(a)を参照して説明したように、ポンプ37は、回転体371を有し、回転体371を回転させることで、処理液を送り出す。そして、本実施形態では、停止状態のポンプ37を駆動する場合、回転体371が400rpm/秒以下の回転加速度で回転するように、制御部3Aはポンプ37を制御する。従って、本実施形態によれば、ポンプ37の内部に差圧が発生することを抑制できる。よって、回転体371によって送り出される処理液中に気泡が発生することを抑制できる。その結果、フィルター39の二次側に蓄積したパーティクル、フィルター39の二次側に蓄積されて流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に拡散したパーティクル、及び、流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に滞留したパーティクルが、処理液中の気泡に捕捉された状態で基板Wに供給されることを抑制できる。つまり、パーティクルを含んだ処理液が基板Wに供給されることを効果的に抑制できる。
【0076】
停止状態のポンプ37を駆動する際に、回転体371が400rpm/秒以下の回転加速度で回転すると、処理液中のパーティクル数を低減できることは、後述する実施例によって実証されている。「rpm(rotations per minute)」は、単位時間当たりの回転体371の回転数を示す。
【0077】
好ましくは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、回転体371が50rpm/秒以下の回転加速度で回転するように、制御部3Aはポンプ37を制御する。この好ましい例によれば、回転体371の回転加速度が、400rpm/秒以下、かつ、50rpm/秒より大きい場合と比較して、ポンプ37の内部に差圧が発生することを更に抑制できる。従って、回転体371によって送り出される処理液中に気泡が発生することを更に抑制できる。よって、フィルター39の二次側に蓄積したパーティクル、フィルター39の二次側に蓄積されて流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に拡散したパーティクル、及び、流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に滞留したパーティクルが、処理液中の気泡に捕捉された状態で基板Wに供給されることを更に抑制できる。つまり、パーティクルを含んだ処理液が基板Wに供給されることを更に効果的に抑制できる。この点についても、後述する実施例によって実証されている。
【0078】
ここで、本明細書において、回転加速度とは、「単位時間当たりの回転体371の回転速度の変化率」のことである。回転速度とは、「単位時間当たりの回転体371の回転数」又は「単位時間当たりの回転体371の回転数に比例する物理量」のことである。単位時間当たりの回転体371の回転数に比例する物理量は、例えば、単位時間当たりの回転体371の回転角度、つまり、角速度である。
【0079】
次に、
図3を参照して、不可抗力ではあるが、パーティクルが発生する原因を説明する。
【0080】
ポンプ37が停止している場合は、処理液の循環が停止している(例えば、後述の循環停止アイドル状態)。従って、フィルター39における処理液の移動がないため、フィルター39に圧力が加わらない。よって、ポンプ37が停止している状態では、ポンプ37が駆動している状態と比べて、フィルター39によるパーティクルの捕捉能力が低い。その結果、ポンプ37が停止している状態では、フィルター39によって捕捉されていたパーティクルが、フィルター39から二次側に流出して、フィルター39の二次側に蓄積している可能性がある。そして、フィルター39から二次側にパーティクルが蓄積している状態で、ポンプ37が駆動されて処理液の循環が開始されると、フィルター39の二次側に蓄積されていたパーティクルが、第1循環流路C1(第1循環配管31)及び/又は第2循環流路C2(第2循環配管32)の全域に拡散する可能性がある。
【0081】
また、ポンプ37が停止して、処理液の循環が停止している状態(例えば、後述の循環停止アイドル状態)では、処理液である薬液(例えばIPA)がフィルター39によってろ過されずに、第1循環流路C1(第1循環配管31)、第2循環流路C2(第2循環配管32)、及び/又は、処理液タンク30に滞留する。その結果、処理液である薬液(例えばIPA)による配管(樹脂配管)及び/又は処理液タンク30の溶出に起因して発生するパーティクルが増加する可能性がある。そして、溶出に起因して発生するパーティクルが、第1循環流路C1(第1循環配管31)、第2循環流路C2(第2循環配管32)、及び/又は、処理液タンク30に滞留する可能性がある。
【0082】
そこで、本実施形態では、停止状態のポンプ37を駆動する場合、ポンプ37の回転体371を400rpm/秒以下の回転加速度(好ましくは一定回転加速度)で回転させることで、ポンプ37の停止状態からの駆動時において気泡の発生を抑制する。その結果、上記原因によって発生したパーティクル(フィルター39の二次側に蓄積したパーティクル、フィルター39の二次側に蓄積されて流路に拡散したパーティクル、並びに、流路及び処理液タンク30に滞留したパーティクル)が、処理液中の気泡に捕捉された状態で基板Wに供給されることを抑制できる。
【0083】
次に、
図4(b)を参照して、ポンプ37の制御を説明する。
図4(b)は、ポンプ37の回転数を示すグラフである。
図4(b)において、横軸は時間を示し、縦軸は回転数を示す。
【0084】
図4(a)及び
図4(b)の直線Q1に示すように、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、回転体371が400rpm/秒以下の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御する。従って、ポンプ37の内部に差圧が発生することを更に抑制できる。よって、回転体371によって送り出される処理液中に気泡が発生することを更に抑制できる。その結果、パーティクルを捕捉した気泡を含む処理液が基板Wに供給されることを更に効果的に抑制できる。
【0085】
そして、制御部3Aは、回転体371の回転数が目標回転数TGに到達した場合、回転体371が目標回転数TGを維持するように、ポンプ37を制御する。その結果、ポンプ37は、一定の圧力で処理液を送り出すことができる。
【0086】
具体的には、時刻t0において、制御部3Aはポンプ37の回転体371の回転を開始する。そして、制御部3Aは、時刻t0から時刻t1までの期間において、400rpm/秒以下の一定回転加速度で回転体371を回転させる。そして、時刻t1で回転数が目標回転数TGに到達すると、制御部3Aは、回転体371に目標回転数TGを維持させる。つまり、時刻t1以降では、回転体371の回転加速度はゼロである。
【0087】
例えば、目標回転数TGが6000回転であり、回転体371の一定回転加速度が400rpm/秒である場合、時刻t0から15秒で目標回転数TGに到達する。
【0088】
好ましくは、
図4(a)及び
図4(b)の直線Q2に示すように、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、回転体371が50rpm/秒以下の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御する。従って、回転体371の回転加速度が、400rpm/秒以下、かつ、50rpm/秒より大きい場合と比較して、ポンプ37の内部に差圧が発生することを更に抑制できる。よって、回転体371によって送り出される処理液中に気泡が発生することを更に抑制できる。その結果、パーティクルを捕捉した気泡を含む処理液が基板Wに供給されることを更に効果的に抑制できる。
【0089】
そして、制御部3Aは、回転体371の回転数が目標回転数TGに到達した場合、回転体371が目標回転数TGを維持するように、ポンプ37を制御する。その結果、ポンプ37は、一定の圧力で処理液を送り出すことができる。
【0090】
具体的には、時刻t0において、制御部3Aはポンプ37の回転体371の回転を開始する。そして、制御部3Aは、時刻t0から時刻t2までの期間において、50rpm/秒以下の一定回転加速度で回転体371を回転させる。そして、時刻t2で回転数が目標回転数TGに到達すると、制御部3Aは、回転体371に目標回転数TGを維持させる。つまり、時刻t2以降では、回転体371の回転加速度はゼロである。
【0091】
例えば、目標回転数TGが6000回転であり、回転体371の一定回転加速度が50rpm/秒である場合、時刻t0から120秒で目標回転数TGに到達する。
【0092】
次に、
図5~
図7を参照して、処理液供給装置CSのレディ状態、循環停止アイドル状態、及び、排液状態を説明する。この場合、
図5~
図7のバルブ40、65、67、70、82、86、89を示す記号において、白色はバルブが閉じていることを示し、黒色はバルブが開いていることを示す。また、ポンプ37を示す記号において、白色の三角形はポンプ37が停止していることを示し、黒色の三角形はポンプ37が駆動していることを示す。さらに、処理液の流通経路が、太線によって示される。
【0093】
まず、
図5を参照してレディ状態を説明する。
図5は、処理液供給装置CSのレディ状態における処理液の流れを示す図である。
【0094】
図5に示すように、レディ状態では、ポンプ37が駆動状態にある。第1循環バルブ40及び第2循環バルブ70が開かれている。エア抜きバルブ65が開かれており、第2排液バルブ67が閉じられている。帰還バルブ89が開かれており、第1排液バルブ86が閉じられている。また、排出バルブ82が閉じられている。
【0095】
従って、処理液タンク30内の処理液は、ポンプ37によって、第1循環配管31の上流側部分33に送られ、上流側部分33から下流側部分34に流れる。上流側部分33内の処理液は、接続位置P2において下流側部分34に流れ、下流側部分34から処理液タンク30に戻る。この間に、処理液に含まれるパーティクルがフィルター39によって捕捉される。また、処理液タンク30内の処理液が、レシピによって規定された温度になるようにヒーター38によって加熱されて下流側部分34に送り込まれる。その結果、処理液タンク30内の処理液は、処理ユニット2内の雰囲気の温度(たとえば20~26℃)よりも高い一定の温度に維持されつつ下流側部分34に送り込まれる。
【0096】
また、上流側部分33内の処理液は、接続位置P2において下流側部分34だけでなく、第2循環配管32にも案内される。第2循環配管32に案内された処理液は、上流側部分33の下流端(接続位置P2)から処理液タンク30に戻される。
【0097】
すなわち、レディ状態では、第1循環流路C1(第1循環配管31)を処理液が循環し、かつ第2循環流路C2(第2循環配管32)を処理液が循環する(双循環状態)。
【0098】
次に、
図6を参照して循環停止アイドル状態を説明する。
図6は、処理液供給装置CSの循環停止アイドル状態における処理液の流れを示す図である。
【0099】
図6に示すように、処理液供給装置CSの循環停止アイドル状態では、ポンプ37が停止状態にある。第1循環バルブ40及び第2循環バルブ70が閉じられている。その他のバルブも閉じられている。
【0100】
循環停止アイドル状態では、ポンプ37が停止されているから、第1循環流路C1および第2循環流路C2の双方において、処理液の循環が停止されている。そして、循環停止アイドル状態では、第1循環流路C1および第2循環流路C2の途中部に処理液が滞留している。
【0101】
本実施形態では、一例として、
図6に示す循環停止アイドル状態から
図5に示すレディ状態に移行する際に、制御部3Aは、ポンプ37の回転体371が400rpm/秒以下の回転加速度(好ましくは一定回転加速度)で回転するように、ポンプ37を制御する。その結果、ポンプ37内での気泡の発生が抑制されて、基板Wに供給される処理液に含まれるパーティクル数を効果的に低減できる。
【0102】
好ましくは、本実施形態では、処理液供給装置CSは、循環停止アイドル状態(
図6)において、システム再開ボタン(不図示)が操作されると、排液状態を経て、レディ状態に移行する。
【0103】
図7は、処理液供給装置CSの排液状態における処理液の流れを示す図である。
図7に示すように、循環停止アイドル状態解除後の所定排液期間Tにおいて、処理液供給装置CSは排液状態になる。
【0104】
具体的には、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動し、かつ第1循環バルブ40を開く。また、制御部3Aは、第2循環バルブ70、帰還バルブ89、及び、エア抜きバルブ65を閉じた状態で第1排液バルブ86を開く。
【0105】
すなわち、停止状態のポンプ37を駆動する場合、制御部3Aは、第1排液バルブ86が第1排液配管85の流路を開放するように、第1排液バルブ86を制御する。従って、所定排液期間Tでは、第1循環流路C1及び第2循環流路C2に滞留していた処理液が、処理液タンク30に戻されずに、第1排液配管85を介して排液タンク80に排液される。よって、処理液とともに、フィルター39の二次側に蓄積したパーティクル、フィルター39の二次側に蓄積されて流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に拡散したパーティクル、並びに、流路(第1循環流路C1及び/又は第2循環流路C2)に滞留したパーティクルを排液タンク80に排出できる。その結果、基板Wに対して供給される処理液に含まれるパーティクルを更に低減できる。
【0106】
加えて、制御部3Aは、第2排液バルブ67を開く。すなわち、停止状態のポンプ37を駆動する場合、制御部3Aは、第2排液バルブ67が第2排液配管66の流路を開放するように、第2排液バルブ67を制御する。従って、所定排液期間Tでは、フィルター39の内部の一次側空間に存在する処理液が、第2排液配管66を介して排液タンク80に排液される。よって、処理液中のパーティクルもまた、第2排液配管66から排液タンク80に排出される。その結果、基板Wに対して供給される処理液に含まれるパーティクルを更に低減できる。
【0107】
ここで、所定排液期間Tは、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。例えば、所定排液期間Tは、第1循環流路C1および第2循環流路C2内の滞留処理液の全てを、ポンプ37の駆動再開後に供給される新たな処理液で置換できるように、ポンプ37の供給能力、処理液粘性、配管径、及び、配管長に基づいて設定されている。
【0108】
第1排液バルブ86及び第2排液バルブ67が開かれてから所定排液期間Tが経過すると、制御部3Aは、第1排液バルブ86及び第2排液バルブ67を閉じ、帰還バルブ89及び第2循環バルブ70を開く。その結果、処理液供給装置CSの状態は、
図5に示すレディ状態に移行する。レディ状態において、処理ユニット2において基板Wに対する処理が施される。
【0109】
次に、
図3及び
図8を参照して、本実施形態に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法においては、処理液によって基板Wが処理される。
図8は、本実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態に係る基板処理方法は、工程S1~工程S11を含む。基板処理方法は、基板処理装置1によって実行される。基板処理方法の開始時では、処理液供給装置CSの状態は、レディ状態(
図5)にある。つまり、基板処理方法の開始時では、ポンプ37が駆動しており、第1循環流路C1及び第2循環流路C2を処理液が循環している。
【0110】
そして、
図3及び
図8に示すように、まず、工程S1において、制御部3Aは、操作装置(不図示)から、ダウン操作を示す操作信号を受け付ける。ダウン操作とは、レディ状態から循環停止アイドル状態に移行することを指示する操作のことである。
【0111】
次に、工程S2及び工程S3が並行して実行される。
【0112】
すなわち、工程S2において、制御部3Aは、ポンプ37を停止する(
図6)。
【0113】
一方、工程S3において、制御部3Aは、処理液の外循環及び内循環の流路を閉塞するように、処理液供給装置CSを制御する(
図6)。具体的には、制御部3Aは、第1循環バルブ40及び帰還バルブ89を閉じる。その結果、第1循環配管31の流路が閉塞されて、処理液の外循環が停止される。加えて、制御部3Aは、第2循環バルブ70及びエア抜きバルブ65を閉じる。その結果、第2循環配管32の流路が閉塞されて、処理液の内循環が停止される。
【0114】
工程S2及び工程S3が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、レディ状態(
図5)から循環停止アイドル状態(
図6)に移行する。
【0115】
次に、工程S4において、制御部3Aは、操作装置(不図示)から、レディ操作を示す操作信号を受け付けたか否かを判定する。レディ操作とは、循環停止アイドル状態からレディ状態に移行することを指示する操作のことである。
【0116】
工程S4でレディ操作を示す操作信号を受け付けていないと判定された場合(No)、処理は工程S4を待機する。
【0117】
一方、工程S4でレディ操作を示す操作信号を受け付けたと判定された場合(Yes)、処理は工程S5及び工程S8に進む。
【0118】
次に、工程S5~工程S7と、工程S8、S9とが並行して実行される。
【0119】
すなわち、工程S5において、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する(
図7)。具体的には、工程S5では、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、400rpm/秒以下の回転加速度でポンプ37の回転体371を回転させる。本実施形態では、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、400rpm/秒以下の一定回転加速度でポンプ37の回転体371を回転させる。工程S5は、本発明の「第1回転工程」の一例に相当する。
【0120】
次に、工程S6において、制御部3Aは、回転体371の回転数が目標回転数TGに到達したか否かを判定する。
【0121】
工程S6で回転体371の回転数が目標回転数TGに到達していないと判定された場合(No)、回転数が目標回転数TGに到達するまで工程S6が繰り返される。
【0122】
一方、工程S6で回転体371の回転数が目標回転数TGに到達したと判定された場合(Yes)、処理は工程S7に進む。
【0123】
次に、工程S7において、制御部3Aは、回転体371に目標回転数TGを維持させる。工程S7は、本発明の「第2回転工程」の一例に相当する。
【0124】
一方、工程S8において、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合(工程S5)、処理液が外循環する第1循環配管31から延びる第1排液配管85を通して第1循環配管31から処理液を排出するように、処理液供給装置CSを制御する(
図7)。具体的には、制御部3Aは、第1循環バルブ40及び第1排液バルブ86を開く。その結果、処理液が第1循環配管31から第1排液配管85を通って排液タンク80に排出される。工程S8は、本発明の「循環配管排液工程」の一例に相当する。
【0125】
次に、工程S9において、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合(工程S5)、第1循環配管31に配置されるフィルター39から延びる第2排液配管66を通してフィルター39から処理液を排出するように、処理液供給装置CSを制御する(
図7)。具体的には、制御部3Aは、第2排液バルブ67を開く。その結果、フィルター39の内部の一次側空間に存在する処理液が、第2排液配管66を通って排液タンク80に排出される。工程S9は、本発明の「フィルター排液工程」の一例に相当する。
【0126】
工程S8及び工程S9が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、循環停止アイドル状態(
図6)から排液状態(
図7)に移行する。制御部3Aは、所定排液期間T、排液状態を維持する。そして、制御部3Aは、所定排液期間Tが経過すると、処理を工程S10に進める。
【0127】
次に、工程S10において、制御部3Aは、処理液が外循環及び内循環を開始するように、処理液供給装置CSを制御する(
図5)。具体的には、制御部3Aは、第1排液バルブ86を閉じ、帰還バルブ89を開ける。その結果、第1循環配管31の流路が開放されて、処理液の外循環が開始される。加えて、制御部3Aは、第2排液バルブ67を閉じて、第2循環バルブ70及びエア抜きバルブ65を開く。その結果、第2循環配管32の流路が開放されて、処理液の内循環が開始される。
【0128】
工程S10が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、排液状態(
図7)からレディ状態(
図5)に移行する。制御部3Aは、レディ状態においても、ポンプ37の回転体371の回転数を、目標回転数TG(工程S7)に維持する。
【0129】
次に、工程S11において、処理ユニット2(
図2)は、処理液によって基板Wを処理する。つまり、工程S5~工程S10よりも後において、処理ユニット2は、ポンプ37の回転体371によって送り出された処理液を基板Wに供給する。具体的には、工程S11では、処理ユニット2は、ポンプ37の回転体371の回転数が目標回転数TGに維持されている状態において、基板Wに処理液を供給する。その結果、処理液によって基板Wが処理される。そして、基板処理方法は終了する。工程S11は、本発明の「処理液供給工程」の一例に相当する。
【0130】
図9は、
図8の工程S11を示すフローチャートである。
図9に示すように、工程S11によって実行される基板処理は、工程S111~工程S115を含む。
【0131】
まず、工程S111において、センターロボットCR(
図1)は、基板Wを処理ユニット2に搬入する。そして、処理ユニット2(
図2)において、スピンチャック10は基板Wを保持する。更に、スピンモーター13は、スピンチャック10を回転させることで、基板Wを回転させる。
【0132】
次に、工程S112において、処理ユニット2のノズル21は、回転中の基板Wに処理液を供給する。具体的には、制御部3Aは、バルブ23を開く。従って、処理液は、第1循環配管31から配管22を介してノズル21に供給される。その結果、ノズル21は、基板Wに向けて処理液を供給する。工程S112は、本発明の「処理液供給工程」の一例に相当する。
【0133】
バルブ23が開かれてから所定処理期間が経過すると、バルブ23が閉じられ、ノズル21からの処理液の供給が停止される。なお、所定処理期間は、基板Wの処理目的に応じて予め定められる。
【0134】
次に、工程S113において、ノズル16は、回転中の基板Wにリンス液を供給する。その結果、基板W上の処理液が、リンス液によって洗い流される。
【0135】
具体的には、バルブ18が開かれると、ノズル16は、リンス液を基板Wに供給する。バルブ18が開かれてから所定リンス期間が経過すると、バルブ18が閉じられ、ノズル16からのリンス液の供給が停止される。なお、所定リンス期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0136】
次に、工程S114において、処理ユニット2は、基板Wの高速回転によって基板Wを乾燥させる。
【0137】
具体的には、スピンモーター13が基板Wを回転方向に加速させ、工程S112及び工程S113での基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度で基板Wを回転させる。その結果、液体が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定乾燥期間が経過すると、スピンモーター13が回転を停止する。そして、基板Wの回転が停止される。なお、所定乾燥期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0138】
次に、工程S115において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット2から搬出する。つまり、処理済みの基板Wがチャンバー6から搬出される。そして、処理は
図8のメインルーチンに戻り、基板処理方法は終了する。
【0139】
(変形例)
図10~
図12を参照して、本実施形態の変形例に係る基板処理装置1を説明する。変形例に係る基板処理装置1のハードウェア構成は、
図1~
図3を参照して説明した基板処理装置1のハードウェア構成と同様である。変形例では、レディ状態において外循環のみを実行し、排液状態に代えて内循環状態が存在する点で、変形例は
図5及び
図7を参照して説明した本実施形態と主に異なる。以下、変形例が本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0140】
図10は、変形例に係る処理液供給装置CSのレディ状態を示す図である。
図10に示すように、レディ状態では、第2循環バルブ70が閉じている。従って、処理液は第2循環配管32を流れない。つまり、処理液は内循環しない。処理液供給装置CSのその他の状態は、
図5に示すレディ状態と同じである。従って、レディ状態では、第1循環配管31(第1循環流路C1)を処理液が流れる。つまり、処理液の外循環のみが実行される。
【0141】
変形例では、制御部3Aは、
図6に示す循環停止アイドル状態から
図10に示すレディ状態への移行指示を受け付けると、直ちにレディ状態に移行するのではなく、処理液供給装置CSの状態が内循環状態になるように処理液供給装置CSを制御する。
【0142】
図11は、変形例に係る処理液供給装置CSの内循環状態を示す図である。
図11に示すように、内循環状態では、第1循環バルブ40を閉じた状態で、第2循環バルブ70及びエア抜きバルブ65が開かれている。その結果、第2循環配管32(第2循環流路C2)を処理液が流れる。つまり、処理液が内循環する。
【0143】
具体的には、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、第1循環バルブ40が第1循環配管31の流路を閉塞するように、第1循環バルブ40を制御するとともに、第2循環バルブ70が第2循環配管32の流路を開放するように、第2循環バルブ70を制御する。その結果、第1循環配管31(第1循環流路C1)における処理液の外循環が実行されず、第2循環配管32(第2循環流路C2)における処理液の内循環が実行される。処理液の内循環は、処理液の温度が目標温度に到達するまで実行される。そして、例えば、処理液の温度が目標温度に到達すると、処理液供給装置CSの状態が内循環状態(
図11)からレディ状態(
図10)に移行する。
【0144】
変形例によれば、内循環の実行中に並行して、ポンプ37の回転体371の回転数を目標回転数TGに到達させることができる。一方、内循環によって処理液の温度が目標温度に到達しているため、レディ状態に移行後速やかに、処理液の温度が安定する。
【0145】
例えば、内循環状態における処理液の内循環は、所定循環期間だけ実行される。所定循環期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に定められ、処理液の温度が目標温度に到達するまでの時間である。この場合、例えば、所定循環期間を、ポンプ37の回転体371の回転数がゼロから目標回転数TGに到達するまでの時間に設定してもよい。この場合、「回転数がゼロから目標回転数TGに到達するまでの時間」は、停止状態のポンプ37の回転体371を、400rpm以下の回転加速度(好ましくは一定回転加速度)で回転させた場合において、目標回転数TGに到達するまでの時間を示す。
【0146】
なお、制御部3Aは、温度センサー(不図示)によって検出された処理液の温度を監視しながら、内循環する処理液の温度が目標温度になるように、ヒーター38を制御する。
図11に図示していないが、例えば、温度センサーは、上流側部分33に配置される。
【0147】
次に、
図3及び
図12を参照して、変形例に係る基板処理方法を説明する。
図12は、変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図12に示すように、変形例に係る基板処理方法は、工程S21~工程S31を含む。基板処理方法は、基板処理装置1によって実行される。基板処理方法の開始時では、処理液供給装置CSの状態は、レディ状態(
図10)である。つまり、基板処理方法の開始時では、ポンプ37が駆動しており、第1循環流路C1を処理液が循環している。
【0148】
そして、
図3及び
図12に示すように、まず、工程S21において、制御部3Aは、操作装置(不図示)から、ダウン操作を示す操作信号を受け付ける。その他、工程S21は
図8の工程S1と同様である。
【0149】
次に、工程S22及び工程S23が並行して実行される。
【0150】
すなわち、工程S22において、制御部3Aは、ポンプ37を停止する(
図6)。
【0151】
一方、工程S23において、制御部3Aは、処理液の外循環の流路を閉塞するように、処理液供給装置CSを制御する(
図6)。具体的には、制御部3Aは、第1循環バルブ40及び帰還バルブ89を閉じる。その結果、第1循環配管31の流路が閉塞されて、処理液の外循環が停止される(
図11)。なお、変形例では、レディ状態(
図10)では内循環が実行されていない。
【0152】
工程S22及び工程S23が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、レディ状態(
図10)から循環停止アイドル状態(
図6)に移行する。
【0153】
次に、工程S24において、制御部3Aは、操作装置(不図示)から、レディ操作を示す操作信号を受け付けたか否かを判定する。その他、工程S24は
図8の工程S4と同様である。
【0154】
工程S24でレディ操作を示す操作信号を受け付けたと判定された場合(Yes)、処理は工程S25及び工程S28に進む。
【0155】
次に、工程S25~工程S27と、工程S28、S29とが並行して実行される。
【0156】
すなわち、工程S25において、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する。具体的には、工程S25では、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合、400rpm/秒以下の回転加速度(好ましくは一定回転加速度)でポンプ37の回転体371を回転させる。その他、工程S25は
図8の工程S5と同様である。工程S25は、本発明の「第1回転工程」の一例に相当する。
【0157】
次に、工程S26において、制御部3Aは、回転体371の回転数が目標回転数TGに到達したか否かを判定する。その他、工程S26は
図8の工程S6と同様である。
【0158】
次に、工程S27において、制御部3Aは、回転体371に目標回転数TGを維持させる。その他、工程S27は
図6の工程S7と同様である。工程S27は、本発明の「第2回転工程」の一例に相当する。
【0159】
一方、工程S28において、制御部3Aは、処理液が内循環を開始するように、処理液供給装置CSを制御する(
図11)。つまり、制御部3Aは、停止状態のポンプ37を駆動する場合(工程S25)、第1循環配管31の流路を閉塞するとともに、第1循環配管31に接続される第2循環配管32に処理液を供給する。具体的には、制御部3Aは、第1循環バルブ40の閉じた状態を維持しつつ、第2循環バルブ70及びエア抜きバルブ65を開く。その結果、第2循環配管32の流路が開放されて、処理液の内循環が開始される。つまり、処理液が第2循環配管32(第2循環流路C2)を流れる。工程S28は、本発明の「循環工程」の一例に相当する。
【0160】
工程S28が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、循環停止アイドル状態(
図6)から内循環状態(
図11)に移行する。
【0161】
次に、工程S29において、制御部3Aは、所定循環期間が経過すると、処理液が内循環を停止するように、処理液供給装置CSを制御する。具体的には、制御部3Aは、第2循環バルブ70を閉じることで、第2循環配管32(第2循環流路C2)を閉塞する。その結果、処理液の内循環が停止される。この場合、所定循環期間は、例えば、ポンプ37の回転体371の回転数がゼロから目標回転数TGに到達するまでの時間以上に設定される。
【0162】
次に、工程S30において、制御部3Aは、処理液が外循環を開始するように、処理液供給装置CSを制御する(
図10)。具体的には、制御部3Aは、第1循環バルブ40及び帰還バルブ89を開ける。その結果、第1循環配管31の流路が開放されて、処理液の外循環が開始される。つまり、処理液が第1循環配管31(第1循環流路C1)を流れる。
【0163】
工程S30が実行されると、処理液供給装置CSの状態は、内循環状態(
図11)からレディ状態(
図10)に移行する。制御部3Aは、レディ状態においても、ポンプ37の回転体371の回転数を、目標回転数TG(工程S27)に維持する。
【0164】
次に、工程S31において、処理ユニット2(
図2)は、処理液によって基板Wを処理する。その他、工程S31は
図8の工程S11と同様である。そして、基板処理方法は終了する。
【0165】
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
【実施例】
【0166】
図13~
図15を参照して本発明の実施例1~3及び比較例を説明する。実施例1~3では、
図1~
図3を参照して説明した本実施形態に係る基板処理装置1を使用した。また、比較例に係る基板処理装置のハードウェア構成は、
図1~
図3を参照して説明した本実施形態に係る基板処理装置1のハードウェア構成と同じであった。なお、説明の便宜上、比較例に係る基板処理装置の各構成には、実施例1~3に係る基板処理装置1の各構成と同じ参照符号を付して説明する。
【0167】
(1)ポンプ37の回転体371の回転加速度は、下記の通りであった。
実施例1:400rpm/秒
実施例2:50rpm/秒
実施例3:10rpm/秒
比較例 :3000rpm/秒
【0168】
(2)実施例1~3及び比較例の目標回転数TGは、6000rpmであった。
【0169】
(3)
図13は、実施例1~3及び比較例におけるポンプ37の回転数を示すグラフである。
図13において、横軸は時間(秒)を示し、縦軸は回転数を示す。
【0170】
図13の直線RT1に示すように、実施例1では、制御部3Aは、ポンプ37が停止している状態から、回転体371が400rpm/秒の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御した。そして、回転体371の回転数は、始動から15秒で目標回転数TGに到達し、目標回転数TGに維持された。
【0171】
直線RT2に示すように、実施例2では、制御部3Aは、ポンプ37が停止している状態から、回転体371が50rpm/秒の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御した。そして、回転体371の回転数は、始動から120秒で目標回転数TGに到達し、目標回転数TGに維持された。
【0172】
直線RT3に示すように、実施例3では、制御部3Aは、ポンプ37が停止している状態から、回転体371が10rpm/秒の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御した。そして、回転体371の回転数は、始動から600秒で目標回転数TGに到達し、目標回転数TGに維持された。なお、紙面の都合上、実施例3における回転数のグラフでは、目標回転数TGに到達する前の部分のみが示され、他は省略されている。
【0173】
直線RT0に示すように、比較例では、制御部3Aは、ポンプ37が停止している状態から、回転体371が3000rpm/秒の一定回転加速度で回転するように、ポンプ37を制御した。そして、回転体371の回転数は、始動から2秒で目標回転数TGに到達し、目標回転数TGに維持された。
【0174】
(4)処理液供給装置CSの制御については、排液状態(
図7)を経由することなく、ポンプ37が停止している循環停止アイドル状態(
図6)から、直ちにレディ状態(
図5)に移行した。そして、ポンプ37の回転体371の回転数が目標回転数TGに到達した時点からレディ状態を30分以上維持した。この場合、ポンプ37の回転体371の回転数が6000回転に到達した時点から30分後に、第1循環配管31及び配管22からノズル21に処理液を供給し、ノズル21から基板Wに向けて処理液を供給した。基板Wへの処理液の供給時間は、8秒であった。そして、粒子計測装置(KLAテンコール社製、Surfscan(登録商標)SP7)を使用して、基板W上面の処理液において、パーティクル数を計数した。この場合、粒径が30nmよりも大きいパーティクルの数、粒径が19nmよりも大きいパーティクルの数、及び、粒径が15nmよりも大きいパーティクルの数を計数した。粒径はパーティクルにおいて最も大きな部分の長さであった。
【0175】
(5)
図14は、実施例1~3及び比較例に係るポンプ37の回転加速度とパーティクル数との関係を示すグラフである。
図14において、横軸は回転加速度(rpm/秒)を示し、縦軸は、粒径が30nmよりも大きいパーティクル数を示す。また、バーA0は比較例におけるパーティクル数を示し、バーA1は実施例1におけるパーティクル数を示し、バーA2は実施例2におけるパーティクル数を示し、バーA3は、実施例3におけるパーティクル数を示している。
【0176】
図14に示すように、比較例(バーA0)のパーティクル数は63個であった。これに対して、実施例1(バーA1)のパーティクル数は33個であり、実施例2(バーA2)のパーティクル数は25個であり、実施例3(バーA3)のパーティクル数は23個であった。
【0177】
実施例1~3から明らかなように、ポンプ37の始動時の回転加速度を400rpm/秒以下にすることで、基板Wに供給した処理液中のパーティクル数は、比較例と比べて、約1/2以下になった。つまり、ポンプ37の始動時の回転加速度を400rpm/秒以下にすることで、基板Wに供給した処理液中のパーティクル数を低減できた。
【0178】
また、実施例2(バーA2)及び実施例3(バーA3)では、実施例1(バーA1)と比べて、パーティクル数が少なかった。つまり、ポンプ37の始動時の回転加速度を50rpm/秒以下にすることで、基板Wに供給した処理液中のパーティクル数をより低減できた。
【0179】
(6)
図15は、実施例1~3に係るポンプ37の回転加速度とパーティクル数との関係を示す別のグラフである。
図15において、横軸は回転加速度(rpm/秒)を示し、縦軸はパーティクル数を示す。
【0180】
(6-1)
図15において、バーB1は、実施例1における粒径が19nmより大きいパーティクル数を示す。バーB2は実施例2における粒径が19nmより大きいパーティクル数を示す。バーB3は、実施例3における粒径が19nmより大きいパーティクル数を示している。
【0181】
実施例1(バーB1)のパーティクル数は583個であり、実施例2(バーB2)のパーティクル数は240個であり、実施例3(バーB3)のパーティクル数は255個であった。
【0182】
実施例2(バーB2)及び実施例3(バーB3)では、実施例1(バーB1)と比べて、パーティクル数は約1/2以下になった。つまり、ポンプ37の始動時の回転加速度を50rpm/秒以下にすることで、基板Wに供給した処理液中のパーティクル数をより低減できた。
【0183】
(6-1)
図15において、バーE1は、実施例1における粒径が15nmより大きいパーティクル数を示す。バーE2は実施例2における粒径が15nmより大きいパーティクル数を示す。バーE3は、実施例3における粒径が15nmより大きいパーティクル数を示している。
【0184】
実施例1(バーE1)のパーティクル数は927個であり、実施例2(バーE2)のパーティクル数は365個であり、実施例3(バーE3)のパーティクル数は386個であった。
【0185】
実施例2(バーE2)及び実施例3(バーE3)では、実施例1(バーE1)と比べて、パーティクル数は約1/2.5以下になった。つまり、ポンプ37の始動時の回転加速度を50rpm/秒以下にすることで、基板Wに供給した処理液中のパーティクル数をより低減できた。
【0186】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0187】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0188】
(1)
図8及び
図12では、ポンプ37が停止している状態として、循環アイドル停止状態を説明した。ただし、本発明は、停止状態のポンプ37を駆動する限りにおいては、ポンプ37の停止状態は循環アイドル停止状態に限定されない。例えば、ある工場において基板処理装置1を導入した直後においてポンプ37が停止している状態からポンプ37を初めて駆動する場合にも、本発明は適用される。
【0189】
(2)
図8において、工程S8、S9は実行されなくてもよいし、工程S8及び工程S9のいずれか一方が実行されてもよい。また、工程S9の後に工程S8が実行されてもよい。更に、工程S8、S9の後に、工程S5~工程S7が実行されてもよい。更に、工程S2の後に工程S3が実行されてもよいし、工程S3の後に工程S2が実行されてもよい。
【0190】
(3)
図12において、工程S28、S29は実行されなくてもよい。また、工程S28、S29の後に、工程S25~工程S27が実行されてもよい。更に、工程S22の後に工程S23が実行されてもよいし、工程S23の後に工程S22が実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0192】
1 基板処理装置
3A 制御部
30 処理液タンク(処理液貯留部)
31 第1循環配管
37 ポンプ
39 フィルター
40 第1循環バルブ
66 第2排液配管
67 第2排液バルブ
70 第2循環バルブ
85 第1排液配管
86 第1排液バルブ