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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】電気化学セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/30 20210101AFI20250404BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20250404BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20250404BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250404BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20250404BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20250404BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/105
H01M50/211
H01M50/204 101
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023515957
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2021016215
(87)【国際公開番号】W WO2022224385
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宇都 保之
(72)【発明者】
【氏名】三島 洋光
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/087956(WO,A1)
【文献】特表2018-524759(JP,A)
【文献】特開2011-233747(JP,A)
【文献】特開2010-232188(JP,A)
【文献】特開2003-288883(JP,A)
【文献】特開2012-174590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30 - 50/392
H01M 50/20 - 50/298
H01M 10/00 - 10/04
H01M 10/06 - 10/34
H01M 10/05 - 10/0587
H01M 10/36 - 10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルム、第1集電体及び第1電極を積層することによって第1構造体を製造する工程Aと、
第2フィルム、第2集電体及び第2電極を積層することによって第2構造体を製造する工程Bと、
前記第1構造体と前記第2構造体との間にセパレータを配置する工程Cと、
前記第1フィルムの外周の少なくとも一部に第1非封止領域を残しながら、前記第1電極及び前記第2電極の外側において前記第1フィルムの外周及び前記第2フィルムの外周を封止することによってユニットセルを製造する工程Dと、を備え
前記第1フィルム、前記第1集電体及び前記第1電極の積層方向から見た平面視において、前記第1フィルムの外周は、前記第1電極の外周よりも外側に張り出す第1封止領域と、前記第1電極の外周よりも内側に入り込む第1切欠き領域と、を含み、
前記工程Dは、前記第1封止領域及び前記第1切欠き領域上において、前記第1フィルム及び前記第2フィルムを封止することによって、前記第1切欠き領域に前記第1非封止領域を形成する工程を含む、電気化学セルの製造方法。
【請求項2】
前記工程Dは、前記第2フィルムの外周の少なくとも一部に第2非封止領域を残しながら、前記第1電極及び前記第2電極の外側において前記第1フィルムの外周及び前記第2フィルムの外周を封止する工程を含む、請求項1に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項3】
前記第2フィルム、前記第2集電体及び前記第2電極の積層方向から見た平面視において、前記第2フィルムの外周は、前記第2電極の外周よりも外側に張り出す第2封止領域と、前記第2電極の外周よりも内側に入り込む第2切欠き領域と、を含み、
前記工程Dは、前記第2封止領域及び前記第2切欠き領域上において、前記第1フィルム及び前記第2フィルムを封止することによって、前記第2切欠き領域に前記第2非封止領域を形成する工程を含む、請求項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項4】
前記ユニットセルを包装体内に封止することによってスタックセルを製造する工程Eを備え、
前記工程Eは、前記包装体の内壁と前記ユニットセルとの間に間隙を形成する工程を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項5】
前記工程Aは、前記第1フィルム、前記第1集電体及び前記第1電極の積層方向から見た平面視において、前記第1集電体の外周よりも外側に張り出すように前記第1電極を積層する工程を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項6】
前記工程Bは、前記第2フィルム、前記第2集電体及び前記第2電極の積層方向から見た平面視において、前記第2集電体の外周よりも外側に張り出すように前記第2電極を積層する工程を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項7】
前記工程Cは、前記第1構造体、前記セパレータ及び前記第2構造体の積層方向から見た平面視において、前記第1構造体の外周及び前記第2構造体の外周よりも外側に張り出すように前記セパレータを配置する工程を含み、
前記工程Dは、前記第1構造体、前記セパレータ及びと前記第2構造体の積層方向から見た平面視において、前記セパレータの外周よりも内側において、前記第1フィルム及び前記第2フィルムとともに前記セパレータを封止する工程を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半固体の電極を使用する電気化学セルが提案されている。電気化学セルは、第1構造体及び第2構造体によってセパレータを挟む構造を有する。第1構造体は、第1集電体及び第1電極を積層した構造を有し、第2構造体は、第2集電体及び第2電極を積層した構造を有する。第1電極は、正極及び負極のいずれか一方であり、第2電極は、正極及び負極のいずれか他方である。
【0003】
このような電気化学セルにおいて、第1電極及び第2電極などの電極で生じ得る気体を逃がすための孔を有する包装体によって、第1構造体、第2構造体及びセパレータを被覆する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/087956号パンフレット
【発明の概要】
【0005】
開示の一態様に係る電気化学セルの製造方法は、第1フィルム、第1集電体及び第1電極を積層することによって第1構造体を製造する工程Aと、第2フィルム、第2集電体及び第2電極を積層することによって第2構造体を製造する工程Bと、前記第1構造体と前記第2構造体との間にセパレータを配置する工程Cと、前記第1フィルムの外周の少なくとも一部に第1非封止領域を残しながら、前記第1電極及び前記第2電極の外側において前記第1フィルムの外周及び前記第2フィルムの外周を封止することによってユニットセルを製造する工程Dと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係るユニットセル100を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るユニットセル100を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るユニットセル100を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るスタックセル200を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るユニットセル100の製造方法を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係るユニットセル100の製造方法を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係るユニットセル100の製造方法を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係るユニットセル100の製造方法を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るユニットセル100の製造方法を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係るスタックセル200の製造方法を説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係るスタックセル200の製造方法を説明するための図である。
図12図12は、実施形態に係る製造方法のまとめを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0008】
[実施形態]
(ユニットセル)
以下において、実施形態に係るユニットセルについて、図1図3を参照しながら説明する。図1は、ユニットセル100を積層方向から見た平面視(以下、単に平面視)を示す図である。図2は、図1に示すユニットセル100のA-A断面を示す図である。図3
図1に示すユニットセル100のB-B-断面を示す図である。ユニットセル100は、電気化学セルの一例である。以下において、正極構造体110、セパレータ130及び負極構造体120が積層される方向を「積層方向」と称する。
【0009】
図1図3に示すように、ユニットセル100は、平面視において矩形形状を有していてもよい。言い換えると、ユニットセル100は、短手方向に沿った1対の短手辺101A及び101Bと、長手方向に沿った1対の長手辺102A及び102Bを有していてもよい。ユニットセル100は、正極構造体110と、負極構造体120と、セパレータ130と、を有する。
【0010】
正極構造体110は、正極フィルム111と、正極集電体112と、正極電極113と、を有する。正極構造体110は、正極フィルム111、正極集電体112及び正極電極113の積層体である。実施形態では、正極構造体110は、第1構造体の一例である。
【0011】
正極フィルム111は、絶縁性及び非通気性を有する材料によって構成される。実施形態では、正極フィルム111は、第1フィルムの一例である。正極フィルム111は、シート状の形状を有する。正極フィルム111は、2以上の層(例えば、3つの層)によって構成される複数層構造を有していてもよい。例えば、正極フィルム111は、ユニットセル100の外側に露出する外層と、ユニットセル100の内側に露出する内層と、外層と内層との間に配置される中間層と、を有していてもよい。
【0012】
外層は、絶縁材料によって構成されてもよい。例えば、外層を構成する絶縁材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ナイロン、高純度ポリエチレン(HDPE)、オリエンテッドボリプロピレン(o-PP)、塩化ポリビニル(PVC)、ポリイミド(PI)及びポリスルフォン(PSU)の少なくとも1以上の材料によって構成された重合体フィルムを用いることができる。外層は、難燃性PETによってコ
ーティングされてもよい。
【0013】
中間層は、金属材料によって構成されてもよい。中間層を構成する金属材料としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレススチール(SUS)の中から選択された1以上
の材用によって構成される層(箔、基板又はフィルム等)を用いることができる。
【0014】
内層は、絶縁材料によって構成されてもよい。内層を構成する絶縁材料としては、キャストポリプロピレン(c-PP)、ポリエチレン(PE)、エチレンビニルアセテート(EVA)
、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリアミド(PA)、粘着性アクリル、紫外線(UV)硬化樹脂、電子線(EB)硬化樹脂及び赤外線(I R)
硬化樹脂の中から選択された1以上の材料によって構成される重合体フィルムを用いることができる。
【0015】
内層は、難燃性材料によって構成されてもよい。内層を構成する難燃性材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエーテル
スルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンスルフィド(PPS)及びポリエチレンオキシド(PPO)の中から選択された1以上の材料を用いることができる。
【0016】
ここでは、正極フィルム111が三層構造を有するケースについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。正極フィルム111は、二層構造を有していてもよく、単層構造を有していてもよい。正極フィルム111は、燃焼阻害物質を含んでもよい。
【0017】
正極集電体112は、正極電極113との間で電子を受け渡す機能を有する。実施形態では、正極集電体112は、第1集電体の一例である。正極集電体112は、正極フィルム111と正極電極113との間に配置される。正極集電体112は、シート状の形状を有していてもよく、メッシュ状の形状を有していてもよい。正極集電体112の厚みは、1~40μmであってもよい。
【0018】
正極集電体112は、金属材料によって構成される。正極集電体112を構成する金属材料としては、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケルークロム合金、アルミニウム、チタン、銅、鉛、鉛合金、耐熱金属及び貴金属の中から選択された1以上の材料を用いることができる。正極集電体112は、導電性材料でコーティングされてもよい。導電性材料としては、金属、金属酸化物及び炭素の中から選択された1以上の材料を用いることができる。金属としては、白金(Pt)、金(Au)及びニッケル(Ni)の中から選択された1以上の材料を用いることができる。金属酸化物としては、酸化バナジウムを用いることができる。
【0019】
実施形態では、正極集電体112は、正極端子112Aを含んでもよい。正極端子112Aは、平面視において正極フィルム111の外側に張り出していてもよい。正極端子112Aは、短手辺101Aにおいて、正極フィルム111の外側に張り出していてもよい。正極端子112Aは、正極集電体112と一体として形成されてもよい。正極端子112Aの少なくとも一部に、正極電極113が積層されてもよい。2以上のユニットセル100が積層された態様(後述するスタックセル200)において、正極端子112Aは、他のユニットセル100の正極端子112Aと電気的に接続される(並列接続)。
【0020】
正極電極113は、正極集電体112と電気的に接続される。実施形態では、正極電極は、第1電極の一例である。正極電極113は、放電動作において正極集電体112から電子を受け取り、充電動作において正極集電体112に電子を放出する。正極電極113は、電気化学的に活性な半固体である。言い換えると、正極電極113は、正極活物質と電解液との混合物である。正極電極113は、例えば、粘土状のスラリー、粒子懸濁液、コロイド懸濁液、乳濁液、ゲル又はミセルのような液相と固相との混合物であってもよい。正極電極113は、正極集電体112とセパレータ130との間に配置される。正極電極113は、層状の形状を有する。正極電極の厚みは、250~2000μmであってもよい。
【0021】
正極電極113は、正極活物質として、ニッケルコバルトアルミニウム系リチウム複合酸化物(NCA)、スピネル系マンガン酸リチウム(LMO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケルコバルトマンガン系リチウム複合酸化物(NCM)等を含んでいてもよい。正極電極113は、正極活物質として、例えば、ニッケル水素バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ等で用いられる、当業者にとって既知の固体化合物を含んでいてもよい。正極電極113は、正極活物質として、例えば、MgがドープされたLiCoO、LiNiO等を含んでいてもよい。
【0022】
負極構造体120は、負極フィルム121と、負極集電体122と、負極電極123と、を有する。負極構造体120は、負極フィルム121、負極集電体122及び負極電極123の積層体である。実施形態では、負極構造体120は、第2構造体の一例である。
【0023】
負極フィルム121は、絶縁性及び非通気性を有する材料によって構成される。実施形態では、負極フィルム121は、第2フィルムの一例である。負極フィルム121は、シート状の形状を有する。負極フィルム121は、2以上の層(例えば、3つの層)によって構成される複数層構造を有していてもよい。負極フィルム121の構成は、正極フィルム111と同様であってもよいため、負極フィルム121の詳細については省略する。
【0024】
負極集電体122は、負極電極123との間で電子を受け渡す機能を有する。実施形態では、負極集電体122は、第2集電体の一例である。負極集電体122は、負極フィルム121と負極電極123との間に配置される。負極集電体122は、シート状の形状を有していてもよく、メッシュ状の形状を有していてもよい。負極集電体122の厚みは、1~20μmであってもよい。
【0025】
負極集電体122は、金属材料によって構成される。負極集電体122を構成する金属材料としては、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケルークロム合金、チタン、酸化鉛及び貴金属の中から選択された1以上の材料を用いることができる。負極集電体122は、導電性材料でコーティングされてもよい。導電性材料としては、
【0026】
実施形態では、負極集電体122は、負極端子122Aを含んでもよい。負極端子122Aは、平面視において負極フィルム121の外側に張り出していてもよい。負極端子122Aは、短手辺101Aにおいて、負極フィルム121の外側に張り出していてもよい。負極端子122Aは、負極集電体122と一体として形成されてもよい。負極端子122Aの少なくとも一部に、負極電極123が積層されてもよい。2以上のユニットセル100が積層された態様(後述するスタックセル200)において、負極端子122Aは、他のユニットセル100の負極端子122Aと電気的に接続される(並列接続)。
【0027】
負極電極123は、負極集電体122と電気的に接続される。実施形態では、負極電極123は、第2電極の一例である。負極電極123は、放電動作において負極集電体122から電子を放出し、充電動作において負極集電体122に電子を受け取る。負極電極123は、電気化学的に活性な半固体である。言い換えると、負極電極123は、負極活物質と電解液との混合物である。負極電極123は、例えば、粘土状のスラリー、粒子懸濁液、コロイド懸濁液、乳濁液、ゲル又はミセルのような液相と固相との混合物であってもよい。負極電極123は、負極集電体122とセパレータ130との間に配置される。負極電極123は、層状の形状を有する。正極電極の厚みは、250~2000μmであってもよい。
【0028】
負極電極123は、負極活物質として、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素系材料を含んでいてもよい。また、負極電極123は、例えば、チタン酸リチウム、二酸化チタン等のチタン系酸化物を含んでいてもよい。また、負極電極123は、例えば、鉄、コバルト、銅、マンガン、ニッケル等を含有する遷移金属化合物を含んでいてもよい。
【0029】
正極電極113および負極電極123は、電解液を含んでいてもよい。電解液としては、カーボネート系溶媒であってもよい。カーボネート系溶媒としては、γ-ブチロラクトンであってもよいし、エチレンカーボネートであってもよいし、γ-ブチロラクトンとエチレンカーボネートとの両方であってもよい。また、カーボネート系溶媒として、少なくともγ-ブチロラクトンとエチレンカーボネートとのいずれか一方を含んでいれば、他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。γ-ブチロラクトンおよびエチレンカーボネートと、これら他の溶媒とを併用する場合、カーボネート系溶媒は、25℃において、蒸気圧が0.1kPaよりも小さいものとすればよい。
【0030】
正極電極113および負極電極123は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、無水マレイン酸またはリチウムビス(オキサラト)ボレートまたはビフェニルの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0031】
セパレータ130は、正極構造体110と負極構造体120との間に配置される。ユニットセル100において、正極構造体110と負極構造体120との間の短絡を抑制する機能を有する。セパレータ130は、絶縁体によって構成されてもよい。セパレータ130は、延性及び弾性を有するポリマーによって構成されてもよい。例えば、セパレータ130は、ポリオレフィン、塩化ポリビニル、ナイロン、フルオロカーボン及びポリスチレンの中から選択された1以上の材料によって構成されてもよい。
【0032】
ここで、正極フィルム111及び負極フィルム121は、平面視において、正極電極113及び負極電極123の外側において封止され、正極電極113及び負極電極123は、正極フィルム111及び負極フィルム121によって構成される包装体内に収容される。
【0033】
このような前提下において、正極フィルム111及び負極フィルム121によって構成される包装体は、開口105A及び開口105Bを有する。例えば、開口105Aは、セパレータ130よりも正極電極113側において、包装体の内側と外側に連通する開口であってもよい。開口105Bは、セパレータ130よりも負極電極123側において、包装体の内側と外側に連通する開口であってもよい。
【0034】
開口105Aは、短手辺101Aの反対側に設けられる短手辺101Bに形成されてもよい。開口105Aは、短手辺101Aと長手辺102Bとによって構成される角に形成されてもよい。すなわち、開口105Aは、正極端子112Aに対して、ユニットセル100の対角位置に形成されてもよい。開口105Aのサイズは、ユニットセル100の短手方向において、0.1~10mmであってもよく、ユニットセル100の長手方向において、10~30mmであってもよい。
【0035】
開口105Bは、短手辺101Aの反対側に設けられる短手辺101Bに形成されてもよい。開口105Bは、短手辺101Aと長手辺102Aとによって構成される角に形成されてもよい。すなわち、開口105Bは、負極端子122Aに対して、ユニットセル100の対角位置に形成されてもよい。開口105Bのサイズは、ユニットセル100の短手方向において、0.1~10mmであってもよく、ユニットセル100の長手方向において、10~30mmであってもよい。
【0036】
(スタックセル)
以下において、実施形態に係るスタックセルについて説明する。図4は、スタックセル200の断面を示す図である。スタックセル200は、電気化学セルの一例であってもよい。
【0037】
図4に示すように、スタックセル200は、2以上のユニットセル100が積層された積層体である。2以上のユニットセル100は、正極構造体110、セパレータ130及び負極構造体120の積層方向と同じ方向で積層される。言い換えると、2以上のユニットセル100の積層方向は、正極構造体110、セパレータ130及び負極構造体120の積層方向と同義であると考えてもよい。積層体は、包装体150内に封止される。包装体150の内壁とユニットセル100の積層体との間に間隙が形成されてもよい。
【0038】
ここで、包装体150は、シート状の形状を有する2つの部材(第1包装部材150A及び第2包装部材150B)によって構成されてもよい。第1包装部材150Aは、第1凹み部分151A及び第1フランジ部分152Aを有するトレー形状を有する。第1包装部材150Aに形成された第1凹み部分151Aの内壁とユニットセル100との間に間隙を形成しながら、第1凹み部分151Aにユニットセル100が配置される。同様に、第2包装部材150Bは、第2凹み部分151B及び第2フランジ部分152Bを有するトレー形状を有する。第2包装部材150Bに形成された第2凹み部分151Bの内壁とユニットセル100との間に間隙を形成しながら、第2凹み部分151Bにユニットセル100が配置される。第1フランジ部分152Aは、第1凹み部分151Aの外周の全体に亘って形成されており、第2フランジ部分152Bは、第2凹み部分151Bの外周の全体に亘って形成される。従って、第1フランジ部分152A及び第2フランジ部分152Bを封止することによって、第1包装部材150A及び第2包装部材150Bによって構成される包装体150によってユニットセル100の積層体が収容される。
【0039】
包装体150は、非通気性部材によって構成されてもよい。包装体150は、疎水性部材によって構成されてもよい。例えば、包装体150は、金属材料によって構成されてもよい。金属材料としては、ステンレススチール、アルミニウム及び銅の中から選択された1以上の材料を用いることができる。
【0040】
ユニットセル100の正極端子112Aは、他のユニットセル100の正極端子112Aと電気的に接続される(並列接続)。同様に、ユニットセル100の負極端子122Aは、他のユニットセル100の負極端子122Aと電気的に接続される(並列接続)。最終的には、スタックセル200として1対の取出端子210が包装体150の外側に露出する。1対の取出端子210は、スタックセル200に含まれる少なくとも1以上のユニットセル100の正極端子112A及び負極端子122Aによって構成されてもよく、ユニットセル100の正極端子112A及び負極端子122Aとは別部材によって構成されてもよい。
【0041】
なお、包装体150と区別するために、正極フィルム111及び負極フィルム121によって構成される包装体は第1包装体と称されてもよい。同様の趣旨で、包装体150は第2包装体と称されてもよい。
【0042】
(ユニットセルの製造方法)
以下において、ユニットセル100の製造方法について説明する。以下においては、図1に示すB-B断面を用いて製造方法を説明する。
【0043】
第1に、正極構造体110の製造方法について、図5を参照しながら説明する。
【0044】
図5に示すように、正極フィルム111上に正極集電体112が積層される。正極集電体112を正極フィルム111に接合することによって、正極集電体112が積層されてもよい。正極集電体112を構成する材料を正極フィルム111に印刷することによって、正極集電体112が積層されてもよい。
【0045】
続いて、正極電極113が正極集電体112上に積層される。正極電極113を構成する材料が正極集電体112に塗布されることによって、正極電極113が積層されてもよい。ここで、正極電極113は、平面視において、正極集電体112の外側に張り出すように積層されてもよい。
【0046】
第2に、負極構造体120の製造方法について、図6を参照しながら説明する。
【0047】
図6に示すように、負極フィルム121上に負極集電体122が積層される。負極集電体122を負極フィルム121に接合することによって、負極集電体122が積層されてもよい。負極集電体122を構成する材料を負極フィルム121に印刷することによって、負極集電体122が積層されてもよい。
【0048】
続いて、負極電極123が負極集電体122上に積層される。負極電極123を構成する材料が負極集電体122に塗布されることによって、負極電極123が積層されてもよい。ここで、負極電極123は、平面視において、負極集電体122の外側に張り出すように積層されてもよい。
【0049】
第3に、ユニットセル100の組立工程について、図7を参照しながら説明する。
【0050】
図7に示すように、正極構造体110及び負極構造体120との間にセパレータ130が配置される。セパレータ130は、平面視において、正極構造体110の外周及び負極構造体120の外周よりも外側に張り出すように配置される。
【0051】
続いて、正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周が封止される。封止方法は、超音波シールであってもよく、熱圧着シールであってもよい。平面視において、セパレータ130の外周よりも内側において、正極フィルム111及び負極フィルム121とともにセパレータ130が封止される。
【0052】
ここで、封止では、正極フィルム111の少なくとも一部に正極非封止領域を残しながら、正極電極113及び負極電極123の外側において、正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周が封止される。
【0053】
具体的には、図8に示すように、正極フィルム111の外周は、正極電極113の外周よりも外側に張り出す正極封止領域111Aと、正極電極113の外周よりも内側に入り込む正極切欠き領域111Bと、を含む。正極封止領域111A及び正極切欠き領域111B上において、正極フィルム111及び負極フィルム121を封止することによって、正極切欠き領域111B上に正極非封止領域が形成される。例えば、正極フィルム111と負極フィルム121との封止位置が短手方向及び長手方向に沿った直線状であるケースを想定すると、正極切欠き領域111Bが封止位置よりも内側に入り込むため、正極切欠き領域111Bでは、封止位置において正極フィルム111が存在していないため、上述した正極非封止領域が形成される。すなわち、正極切欠き領域111Bによって構成される正極非封止領域は、上述した開口105Aを構成する。正極切欠き領域111Bは、正極端子112Aに対して、ユニットセル100(正極構造体110)の対角位置に形成されてもよい。なお、図8では、説明の便宜から、負極構造体120及びセパレータ130が省略されていることに留意すべきである。平面視において、封止位置は、セパレータ130の外周よりも内側であってもよい。
【0054】
同様に、封止では、負極フィルム121の少なくとも一部に負極非封止領域を残しながら、正極電極113及び負極電極123の外側において、正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周が封止される。
【0055】
具体的には、図9に示すように、負極フィルム121の外周は、負極電極123の外周よりも外側に張り出す負極封止領域121Aと、負極電極123の外周よりも内側に入り込む負極切欠き領域121Bと、を含む。負極封止領域121A及び負極切欠き領域121B上において、正極フィルム111及び負極フィルム121を封止することによって、負極切欠き領域121B上に負極非封止領域が形成される。例えば、正極フィルム111と負極フィルム121との封止位置が短手方向及び長手方向に沿った直線状であるケースを想定すると、負極切欠き領域121Bが封止位置よりも内側に入り込むため、負極切欠き領域121Bでは、封止位置において負極フィルム121が存在しないため、上述した負極非封止領域が形成される。すなわち、負極切欠き領域121Bによって構成される負極非封止領域は、上述した開口105Bを構成する。負極切欠き領域121Bは、負極端子122Aに対して、ユニットセル100(負極構造体120)の対角位置に形成されてもよい。なお、図9では、説明の便宜から、正極構造体110が省略されていることに留意すべきである。平面視において、封止位置は、セパレータ130の外周よりも内側であってもよい。
【0056】
開口105A及び開口105Bは、充放電の副反応、特にプリチャージ、により生じた気体をユニットセル100(正極構造体110または負極構造体120)の内側から外側に逃がすことができる。そのため、正極集電体112と正極電極113との間、負極集電体122と負極電極123との間、正極電極113とセパレータ130との間または負極電極123とセパレータ130との間に気体が留まりにくくすることができる。その結果、充放電の主反応の効率を低下しにくくすることができ、電池容量を低下しにくくすることができる。
【0057】
(スタックセルの製造方法)
以下において、スタックセル200の製造方法について説明する。以下においては、図1に示すA-A断面を用いて製造方法を説明する。
【0058】
第1に、図10に示すように、2以上のユニットセル100を積層することによって、ユニットセル100の積層体が得られる。続いて、ユニットセル100の正極端子112Aは、他のユニットセル100の正極端子112Aと電気的に接続される(並列接続)。同様に、ユニットセル100の負極端子122Aは、他のユニットセル100の負極端子122Aと電気的に接続される(並列接続)。
【0059】
第2に、ユニットセル100の積層体が包装体150内に配置される。例えば、第1包装部材150Aに形成された第1凹み部分151Aの内壁とユニットセル100との間に間隙を形成しながら、第1凹み部分151Aにユニットセル100が配置される。第2包装部材150Bに形成された第2凹み部分151Bの内壁とユニットセル100との間に間隙を形成しながら、第2凹み部分151Bにユニットセル100が配置される。ユニットセル100が配置された第1包装部材150A及びユニットセル100が配置された第2包装部材150Bが積層される。この段階において、第1包装部材150A(第1フランジ部分152A)及び第2包装部材150B(第2フランジ部分152B)の第1部分が封止されずに、第1包装部材150A(第1フランジ部分152A)及び第2包装部材150B(第2フランジ部分152B)の第2部分が封止されてもよい。第1部分は、取出端子210が包装体150の外側に引き出すための部分であってもよい。第2部分は、第1部分以外の部分であってもよい。
【0060】
第3に、図11に示すように、2以上のユニットセル100が積層された状態で、積層方向において2以上のユニットセル100を加圧しながら、2以上のユニットセル100の充電が実行される。このような充電は、プリチャージと称されてもよい。プリチャージによって、ユニットセル100の製造段階で正極電極113及び負極電極123で気体を生じさせ、正極電極113及び負極電極123で生じた気体を予め逃がすことができる。プリチャージは、減圧雰囲気下で実行されてもよい。減圧雰囲気は、例えば、50kPa以下であってもよい。また、減圧雰囲気は、100Pa以下であってもよい。減圧雰囲気は、真空雰囲気を含んでもよい。この段階において、第1部分が封止されていなくてもよい。
【0061】
第4に、第1包装部材150A及び第2包装部材150Bの全体が封止される。言い換えると、上述した第1部分が封止される。第1部分は、取出端子210が包装体150の外側に引き出すための部分であってもよい。
【0062】
(製造方法のまとめ)
以下において、実施形態に係る製造方法のまとめについて説明する。
【0063】
図12に示すように、ステップS11において、正極フィルム111、正極集電体112及び正極電極113を積層することによって正極構造体110を製造する(図5を参照)。ステップS11は、工程Aの一例である。
【0064】
ステップS12において、負極フィルム121、負極集電体122及び負極電極123を積層することによって負極構造体120を製造する(図6を参照)。ステップS12は、工程Bの一例である。
【0065】
ステップS13において、正極構造体110と負極構造体120との間にセパレータ130を配置する(図7を参照)。ステップS13は、工程Cの一例である。
【0066】
ステップS14において、正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周を封止することによって、ユニットセル100を製造する(図7を参照)。ステップS14では、正極フィルム111の外周の少なくとも一部に正極非封止領域(正極切欠き領域111B)を残しながら封止が実行される。ステップS14は、工程Dの一例である。
【0067】
ここで、ステップS11~ステップS14は、ユニットセル100を製造する工程である。図12では、ステップS11がステップS12の前に実行されるが、ステップS12がステップS11の前に実行されてもよい。
【0068】
ステップS21において、2以上のユニットセル100を積層するとともに、ユニットセル100の積層体を包装体150内に配置する(図10を参照)。
【0069】
ステップS22において、第1包装部材150A及び第2包装部材150Bの第2部分を封止する(図10を参照)。第2部分の封止は第1封止と称されてもよい。
【0070】
ステップS23において、2以上のユニットセル100の積層方向において2以上のユニットセル100を加圧しながら2以上のユニットセル100を充電する(図11を参照)。ステップS23(プリチャージ)は、減圧雰囲気下で実行されてもよい。減圧雰囲気は、真空雰囲気を含んでもよい。
【0071】
ステップS24において、第1包装部材150A及び第2包装部材150Bの第1部分を封止することによって、スタックセル200を製造する(図11を参照)。第1部分の封止は第2封止と称されてもよい。第1部分は、取出端子210が包装体150の外側に引き出すための部分であってもよい。
【0072】
すなわち、プリチャージ(ステップS23)は、包装体150内にユニットセル100が配置された後であって、包装体150を完全に封止される前に実行される。
【0073】
ここで、ステップS21~ステップS24は、スタックセル200を製造する工程である。図12では、第1封止(ステップS22)及び第2封止(ステップS24)が別々に実行されるが、第1封止及び第2封止は同時に実行されてもよい。このようなケースにおいて、第1封止及び第2封止は、プリチャージ(ステップS23)の後に実行されてもよい。
【0074】
(作用及び効果)
実施形態では、正極フィルム111の外周の少なくとも一部に正極非封止領域(例えば、正極切欠き領域111B)を残しながら、正極電極113及び負極電極123の外側において正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周を封止することによってユニットセル100を製造してもよい。このような構成によれば、正極フィルム111及び負極フィルム121の封止工程の一環として、正極非封止領域(開口105A)を形成することができる。特に、封止位置と重なる位置に正極切欠き領域111Bが形成されているため、開口105Aを簡易に形成することができる。従って、正極電極113で生じ得る気体を逃がすことが可能なユニットセル100を適切に製造することができる。
【0075】
実施形態では、負極フィルム121の外周の少なくとも一部に負極非封止領域(例えば、負極切欠き領域121B)を残しながら、正極電極113及び負極電極123の外側において正極フィルム111の外周及び負極フィルム121の外周を封止することによってユニットセル100を製造してもよい。このような構成によれば、正極フィルム111及び負極フィルム121の封止工程の一環として、負極非封止領域(開口105B)を形成することができる。特に、封止位置と重なる位置に正極切欠き領域111Bが形成されているため、開口105Aを簡易に形成することができる。従って、負極電極123で生じ得る気体を逃がすことが可能なユニットセル100を適切に製造することができる。
【0076】
実施形態では、スタックセル200の製造工程において、包装体150の内壁とユニットセル100との間に間隙が形成されてもよい。従って、正極電極113又は負極電極123で生じ得る気体を間隙に収容することができ、少なくともユニットセル100内に気体が滞留することを抑制することができる。
【0077】
実施形態では、平面視において、正極構造体110の外周及び負極構造体120の外周の外側に張り出すようにセパレータ130が配置され、正極フィルム111及び負極フィルム121とともにセパレータ130が封止されてもよい。このような構成によれば、正極構造体110と負極構造体120との間の短絡を適切に抑制することができる。
【0078】
実施形態では、正極構造体110、セパレータ130及び負極構造体120の積層方向においてユニットセル100を加圧しながら充電してもよい(プリチャージ)。このような構成によれば、プリチャージによって、ユニットセル100の製造段階で正極電極113及び負極電極123で気体を生じさせ、正極電極113及び負極電極123で生じた気体を予め逃がすことができる。従って、正極電極113及び負極電極123で生じる気体を予め効果的に逃がすことができる。
【0079】
実施形態では、減圧雰囲気下においてプリチャージが実行されてもよい。このような構成によれば、正極電極113及び負極電極123で生じた気体を効率的に逃がすことができる。
【0080】
実施形態では、ユニットセル100について、正極非封止領域(例えば、正極切欠き領域111B)が形成されていてもよい。このような構成によれば、正極電極113で生じる気体を予め効果的に逃がすことができる。同様に、ユニットセル100について、ユニットセル100について、負極非封止領域(例えば、負極切欠き領域121B)が形成されていてもよい。このような構成によれば、負極電極123で生じる気体を予め効果的に逃がすことができる。
【0081】
実施形態では、スタックセル200について、2以上のユニットセル100が積層された状態でプリチャージが実行されてもよい。このような構成によれば、2以上のユニットセル100のプリチャージを同時に実行することができ、プリチャージを効率的に実行することができる。
【0082】
実施形態では、包装体150を完全に封止される前にプリチャージが実行されてもよい。このような構成によれば、正極電極113及び負極電極123で生じた気体を効率的に逃がすことができる。
【0083】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0084】
上述した開示では、正極構造体110が第1構造体であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。正極構造体110は、第2構造体であってもよい。このようなケースにおいて、「正極」は「第2」と読み替えられてもよい。同様に、負極構造体120が第2構造体であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。負極構造体120は、第1構造体であってもよい。このようなケースにおいて、「負極」は「第1」と読み替えられてもよい。
【0085】
上述した開示では、包装体150は、2以上のユニットセル100の積層体を被覆する。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。包装体150は、1つのユニットセル100を被覆してもよい。
【0086】
上述した開示では、プリチャージ(図12に示すステップS23)は、2以上のユニットセル100が積層された状態で実行されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、1つのユニットセル100毎にプリチャージが実行されてもよい。
【0087】
上述した開示では、ユニットセル100の製造工程で気体を逃がすための工程として、ユニットセル100の充電について例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した工程は、ユニットセル100の充電に加えて、ユニットセル100の放電を含んでもよい。
【0088】
上述した開示では、包装体150が第1包装部材150A及び第2包装部材150Bによって構成されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、包装体150は、第2部分が存在しない袋状の形状を有していてもよい。このようなケースでは、第2部分を封止する工程(図12に示すS22)は省略されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12