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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 13/00 20060101AFI20250404BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20250404BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20250404BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20250404BHJP
【FI】
F25B13/00 104
F25B1/00 399Y
F24F5/00 101Z
F24F11/80
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023565721
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2021044893
(87)【国際公開番号】W WO2023105617
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 宗史
(72)【発明者】
【氏名】本村 祐治
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】鷲山 博紀
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 皓亮
(72)【発明者】
【氏名】鳩村 傑
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/133640(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/144996(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/050007(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/073591(WO,A1)
【文献】特開2001-289465(JP,A)
【文献】国際公開第2011/064830(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
F24F 5/00
F24F 11/00 ~ 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路に冷媒を循環させる圧縮機、および前記冷媒が流れる室外熱交換器を有する室外機と、
前記冷媒とは異なる熱媒体と前記冷媒とを熱交換する熱媒体熱交換器、および熱媒体回路に前記熱媒体を循環させるポンプを有する複数の熱媒体熱交換器ユニットと、
前記熱媒体が流れる第一室内熱交換器を有する間接式室内機と、前記冷媒が流れる第二室内熱交換器を有する直膨式室内機とを含み、空調空間に配置される複数の室内機と、
前記室外機と前記複数の熱媒体熱交換器ユニットおよび前記直膨式室内機との間に介在し、前記室外機から流入した前記冷媒を複数の流路に分流し、かつ、前記複数の熱媒体熱交換器ユニットおよび前記直膨式室内機から流入した前記冷媒を合流させる中継機と、を備え、
前記複数の熱媒体熱交換器ユニットは、
少なくとも前記間接式室内機が配置された前記空調空間毎に対応して1つ設けられており、
対応する前記空調空間に配置された前記間接式室内機と接続されており、
接続された前記間接式室内機が、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作し、
定格能力が最も大きい前記間接式室内機の定格能力をその定格風量で除した値が、定格能力が最も小さい前記直膨式室内機の定格能力をその定格風量で除した値よりも小さい
空気調和装置。
【請求項2】
蒸発器として動作する、前記熱媒体熱交換器ユニットの前記熱媒体熱交換器および前記直膨式室内機の前記第二室内熱交換器がある場合、前記第二室内熱交換器の過熱度が前記熱媒体熱交換器の過熱度よりも大きくなるように制御され、
凝縮器として動作する、前記熱媒体熱交換器ユニットの前記熱媒体熱交換器および前記直膨式室内機の前記第二室内熱交換器がある場合、前記第二室内熱交換器の過冷却度が前記熱媒体熱交換器の過冷却度よりも大きくなるように制御される
請求項1記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記複数の熱媒体熱交換器ユニットは、非空調空間に配置されている
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外機と前記中継機とは、前記冷媒が流れる3つの冷媒主配管で接続されている
請求項1~のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記3つの冷媒主配管は、高圧ガス配管、低圧ガス配管、および、液管である
請求項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、たとえばビル用マルチエアコン等に適用される空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室外機と室内機との間に中継機を接続し、中継機において室外機から供給された冷媒と水などの熱媒体とを熱交換し、熱媒体を室内機に循環させて空調空間を冷房または暖房する空気調和装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1では、中継機に複数設けられ、冷媒と熱媒体とを熱交換する複数の熱媒体熱交換器を分割して、それらの一部を凝縮器として、その他を蒸発器として利用することで、冷房運転を実行する室内機と暖房運転を実行する室内機とが混在する冷暖房同時運転を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/197044号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空気調和装置では、冷暖房同時運転時に、凝縮器として利用される熱媒体熱交換器と蒸発器として利用される熱媒体熱交換器とが所定の比率となるように、複数の熱媒体熱交換器を分割している。そのため、冷房負荷もしくは暖房負荷の一方に大きく偏った場合、蒸発器として利用される熱媒体熱交換器もしくは凝縮器として利用される熱媒体熱交換器での熱処理量が過剰となり、蒸発温度低下あるいは凝縮温度上昇が起きるのに伴い、省エネルギー性および快適性が悪化するという課題があった。
【0005】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、冷暖房同時運転時における省エネルギー性および快適性の悪化を抑制することができる空気調和装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空気調和装置は、冷媒回路に冷媒を循環させる圧縮機、および前記冷媒が流れる室外熱交換器を有する室外機と、前記冷媒とは異なる熱媒体と前記冷媒とを熱交換する熱媒体熱交換器、および熱媒体回路に前記熱媒体を循環させるポンプを有する複数の熱媒体熱交換器ユニットと、前記熱媒体が流れる第一室内熱交換器を有する間接式室内機と、前記冷媒が流れる第二室内熱交換器を有する直膨式室内機とを含み、空調空間に配置される複数の室内機と、前記室外機と前記複数の熱媒体熱交換器ユニットおよび前記直膨式室内機との間に介在し、前記室外機から流入した前記冷媒を複数の流路に分流し、かつ、前記複数の熱媒体熱交換器ユニットおよび前記直膨式室内機から流入した前記冷媒を合流させる中継機と、を備え、記複数の熱媒体熱交換器ユニットは、少なくとも前記間接式室内機が配置された前記空調空間毎に対応して1つ設けられており、対応する前記空調空間に配置された前記間接式室内機と接続されており、接続された前記間接式室内機が、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作し、定格能力が最も大きい前記間接式室内機の定格能力をその定格風量で除した値が、定格能力が最も小さい前記直膨式室内機の定格能力をその定格風量で除した値よりも小さいものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の空気調和装置によれば、複数の熱媒体熱交換器ユニットは、少なくとも室内機が配置された空調空間毎に対応して1つ設けられており、かつ、対応する空調空間に配置された室内機と接続されており、接続された室内機が、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作する。そのため、冷暖房同時運転時に冷房負荷もしくは暖房負荷の一方に大きく偏った場合においても、接続された室内機に応じて、熱媒体熱交換器ユニットを凝縮器あるいは蒸発器として動作するようにそれぞれ切り替えることができる。そうすることで、負荷に応じて適正な比率で凝縮器と蒸発器とを動作させることができるため、熱媒体熱交換器での熱処理量が過剰となって、蒸発温度低下あるいは凝縮温度上昇が起きるのが抑制されるので、省エネルギー性および快適性の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る空気調和装置の概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る空気調和装置の回路図である。
図3】実施の形態1に係る空気調和装置の変形例による概略構成図である。
図4】実施の形態1に係る空気調和装置の冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図5】実施の形態1に係る空気調和装置の暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図6】実施の形態1に係る空気調和装置の冷房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。
図7】実施の形態1に係る空気調和装置の暖房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。
図8】実施の形態2に係る空気調和装置の回路図である。
図9】実施の形態2に係る空気調和装置の冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図10】実施の形態2に係る空気調和装置の暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図11】実施の形態2に係る空気調和装置の冷房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。
図12】実施の形態2に係る空気調和装置の暖房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。
図13】実施の形態3に係る空気調和装置の概略構成図である。
図14】実施の形態3に係る空気調和装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100の概略構成図である。実施の形態1に係る空気調和装置100は、例えばビルなどの建物500に設置され、建物500内にある複数の空調空間505~509の空調を行うものである。図1に示すように、空気調和装置100が設置される建物500は、空調の対象とならない非空調空間501~504と、空調の対象となる空調空間505~509とを備えている。非空調空間501、502は、例えば天井裏である。非空調空間503、504は、例えば機械室である。空調空間505は、例えば大居室である。空調空間506~509は、例えば小居室である。
【0011】
空気調和装置100は、室外機101と、室内機104と、熱媒体熱交換器ユニット103と、室外機101と熱媒体熱交換器ユニット103との間に接続され、冷媒を複数の流路に分流する分流ユニットである中継機102とを備えている。実施の形態1では、室外機101および中継機102がそれぞれ1つ設けられており、また、空調空間505~509毎に室内機104が1つ設けられており、室内機104と一対となるよう熱媒体熱交換器ユニット103が設けられている。つまり、実施の形態1では、空気調和装置100は、1つの室外機101と、1つの中継機102と、5つの室内機104(後述する図2の室内機104a~104e)と、5つの熱媒体熱交換器ユニット103(後述する図2の熱媒体熱交換器ユニット103a~103e)とを備えている。なお、熱媒体熱交換器ユニット103は、室内機104と一対ではなく、複数の室内機104に対して1台設けられていてもよい。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置100の回路図である。図2に示すように、室外機101と中継機102とは、冷媒が流れる冷媒主配管105a、105bで接続されている。ここで、冷媒主配管105aは高圧冷媒が流れる高圧配管であり、冷媒主配管105bは低圧冷媒が流れる低圧配管である。中継機102と熱媒体熱交換器ユニット103a~103eとは、冷媒が流れる冷媒枝配管106a~106eで接続されている。熱媒体熱交換器ユニット103a~103eと室内機104a~104eとは、熱媒体が流れる熱媒体配管107a~107eで接続されている。各熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、中継機102と並列に接続されている。各室内機104a~104eは、各熱媒体熱交換器ユニット103a~103eと直列に接続されている。室外機101で生成された熱は、冷媒主配管105a、105bを流れる冷媒によって中継機102を介して熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに搬送される。また、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eで変換された熱は、熱媒体配管107a~107eを流れる熱媒体によって室内機104a~104eに搬送される。つまり、室内機104a~104eは、室外機101から供給される冷媒から熱を伝達された熱媒体により、空調空間を冷房または暖房する。なお、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、室内機104a~104eが設置される空調空間505~509とは異なる場所である非空調空間501、502に設置される。これは、冷媒が流れる熱媒体熱交換器ユニット103a~103eを空調空間505~509とは異なる場所に設置することで、空調空間505~509への冷媒漏洩を防止するためである。
【0013】
空気調和装置100で用いられる冷媒は、例えばR32等の単一冷媒、R410A等の擬似共沸混合冷媒、化学式内に二重結合またはCFIを含む地球温暖化係数が比較的小さいとされている冷媒またはその混合物、CFI、COまたはプロパン等の自然冷媒である。空気調和装置100で用いられる熱媒体は、例えば水、ブライン(不凍液)、ブラインと水の混合液、または水と防食効果が高い添加剤の混合液等である。
【0014】
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置100の変形例による概略構成図である。なお、中継機102、室内機104、および、熱媒体熱交換器ユニット103の数は、上記に限定されない。熱媒体熱交換器ユニット103は、空調空間505~509の数以上、かつ、室内機104の数以下設けられていればよい。ここで、同一室内に複数の室内機104が設置される場合も1室を1つの空調空間と定義する。空気調和装置100は、例えば、図3に示すような構成でもよい。実施の形態1の変形例では、室外機101が1つ設けられており、中継機102が2つ設けられている。また、大居室である空調空間505に室内機104が2つ設けられており、小居室である空調空間506~509毎に室内機104が1つ設けられている。また、空調空間505に設けられた2つの室内機104に対して熱媒体熱交換器ユニット103が1つ設けられており、さらに、空調空間506~509に設けられた室内機104と一対となるように熱媒体熱交換器ユニット103が設けられている。つまり、実施の形態1の変形例では、空気調和装置100は、1つの室外機101と、2つの中継機102と、6つの室内機104と、5つの熱媒体熱交換器ユニット103とを備えている。なお、1室を1つの空調空間と定義するのに限定されず、2室など複数の部屋を1つの空調空間と定義してもよい。そして、例えば、図3に示す空調空間508と空調空間509とを1つの空調空間と定義してもよく、この場合、その1つの空調空間に設けられた2つの室内機104に対して、熱媒体熱交換器ユニット103が1つ設けられる。つまり、1つの空調空間は1以上の部屋で構成されており、その1つの空調空間に対して、1つ以上の室内機104が設けられ、かつ、1つ以上の熱媒体熱交換器ユニット103が設けられる。
【0015】
図2に示すように、空気調和装置100は、冷媒が循環する冷媒回路と、熱媒体が循環する熱媒体回路とを備えている。冷媒回路は、室外機101、熱媒体熱交換器ユニット103a~103e、および、中継機102が、冷媒主配管105a、105bおよび冷媒枝配管106a~106eにより接続されて構成されている。熱媒体回路は、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eおよび室内機104a~104eが、熱媒体配管107a~107eにより接続されて構成されている。
【0016】
室外機101は、圧縮機11と、流路切替弁12と、室外熱交換器13と、室外ファン14と、流量調整弁15と、逆止弁16a~16dと、アキュムレータ17と、室外制御装置18とを備えている。
【0017】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機11によって、冷媒回路に冷媒が循環する。圧縮機11は、例えば容量制御可能なインバータタイプの圧縮機である。
【0018】
流路切替弁12は、例えば四方弁である。流路切替弁12は、室内機104a~104eの運転に応じて圧縮機11から吐出された冷媒の流路を切替える。流路切替弁12は、冷房運転時は図2に実線で示す流路に切り替えられ、暖房運転時は図2に破線で示す流路に切り替えられる。なお、流路切替弁12は、三方弁または二方弁を組み合わせたものでもよい。
【0019】
室外熱交換器13は、例えばフィンチューブ式の熱交換器である。室外熱交換器13は、室外ファン14によって供給される空気と冷媒との間で熱交換を行う。室外熱交換器13は、冷房運転時には凝縮器として動作し、冷媒を凝縮して液化させる。また、室外熱交換器13は、暖房運転時には蒸発器として動作し、冷媒を蒸発してガス化させる。
【0020】
室外ファン14は、例えばプロペラファンである。室外ファン14は、室外機101の周辺の空気を室外熱交換器13に供給する。室外ファン14の回転数が室外制御装置18によって制御されることで、室外熱交換器13の凝縮能力または蒸発能力が制御される。
【0021】
流量調整弁15は、冷媒を減圧して膨張させるものである。流量調整弁15は、例えば絞りの開度を調整することができる電子式膨張弁であり、開度を調整することによって、冷房運転時では熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する冷媒圧力を制御し、暖房運転時では室外熱交換器13に流入する冷媒圧力を制御する。
【0022】
逆止弁16a~16dは、所定の方向のみに冷媒の流れを許容するものである。逆止弁16aは、室外熱交換器13から中継機102への方向のみに冷媒の流れを許容するものである。逆止弁16bは、中継機102から流路切替弁12への方向のみに冷媒の流れを許容するものである。逆止弁16cは、流路切替弁12から中継機102への方向のみに冷媒の流れを許容するものである。逆止弁16dは、中継機102から室外熱交換器13への方向のみに冷媒の流れを許容するものである。
【0023】
アキュムレータ17は、圧縮機11の吸入側に設けられ、液冷媒とガス冷媒とを分離する機能と、余剰冷媒を貯留する機能とを有している。
【0024】
室外制御装置18は、圧縮機11、流路切替弁12、室外ファン14、および、流量調整弁15の動作を制御する。室外制御装置18は、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUとを備える処理装置、またはASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアもしくはその両方で構成されている。室外制御装置18は、室外機101に搭載された冷媒圧力を検知する圧力センサ(不図示)および冷媒温度または外気温度を検知する温度センサ(不図示)の検知結果に基づき、圧縮機11の駆動周波数、流路切替弁12の流路、室外ファン14の回転数、および、流量調整弁15の開度を制御する。なお、温度センサは、例えばサーミスタである。室外制御装置18は、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに搭載される熱媒体制御装置34a~34e、室内機104a~104eに搭載される室内制御装置43a~43e、および、中継機102に搭載される制御装置29との間でデータ通信を行うことができる。
【0025】
中継機102は、冷媒間熱交換器21と、流量調整弁22と、冷媒間熱交換器23と、流量調整弁24と、冷房用逆止弁25a~25eと、暖房用逆止弁26a~26eと、冷房用電磁弁27a~27eと、暖房用電磁弁28a~28eと、制御装置29a~29eとを備えている。
【0026】
冷媒間熱交換器21、23は、例えば二重管式またはプレート式、もしくはシェルアンドチューブ式の熱交換器である。冷媒間熱交換器21、23は、冷媒と冷媒との間で熱交換を行う。流量調整弁22、24は、開度が可変に制御される電磁弁である。流量調整弁22は、冷媒間熱交換器21と直列に接続され、冷媒間熱交換器21を流れる熱媒体の流量を調整する。流量調整弁24は、冷房用逆止弁25a~25eと並列に接続され、冷媒間熱交換器23および冷媒間熱交換器21を介して冷房用電磁弁27a~27eの下流に流れる熱媒体の流量を調整する。
【0027】
冷房用逆止弁25a~25eおよび暖房用逆止弁26a~26eは、所定の方向のみに冷媒の流れを許容するものである。冷房用逆止弁25a~25dは、冷房運転時に熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する冷媒が流れる。暖房用逆止弁26a~26dは、暖房運転時に熱媒体熱交換器ユニット103a~103eから流出した冷媒が流れる。冷房用電磁弁27a~27eおよび暖房用電磁弁28a~28eは、選択的に開閉が制御されて、冷媒を導通したり、しなかったりするものである。冷房用電磁弁27a~27dは、冷房運転時に冷媒を導通し、暖房運転時に冷媒を導通しないように制御される。暖房用電磁弁28a~28dは、暖房運転時に冷媒を導通し、冷房運転時に冷媒を導通しないように制御される。
【0028】
制御装置29は、流量調整弁22、24、冷房用電磁弁27、および、暖房用電磁弁28の動作を制御する。制御装置29は、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUとを備える処理装置、またはASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアもしくはその両方で構成されている。
【0029】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、流量調整弁31a~31eと、熱媒体熱交換器32a~32eと、ポンプ33a~33eと、熱媒体制御装置34a~34eとを備えている。
【0030】
流量調整弁31a~31eは、開度が可変に制御される電子式膨張弁である。流量調整弁31a~31eは、熱媒体熱交換器32a~32eと直列に接続され、熱媒体熱交換器32a~32eから流出する冷媒または熱媒体熱交換器32a~32eに流入する冷媒を減圧して膨張させる。
【0031】
熱媒体熱交換器32a~32eは、例えばプレート式熱交換器である。熱媒体熱交換器32a~32eは、室外機101から供給された冷媒とポンプ33a~33eにより循環される熱媒体との間で熱交換を行う。これにより、室外機101から供給される冷媒に蓄えられた熱が熱媒体に伝達される。熱媒体熱交換器32a~32eは、暖房運転時には凝縮器として動作し、冷媒を凝縮して液化させる。また、熱媒体熱交換器32a~32eは、冷房運転時には蒸発器として動作し、冷媒を蒸発してガス化させる。
【0032】
ポンプ33a~33eは、例えば容量制御可能なインバータ式の遠心ポンプである。ポンプ33a~33eは、インバータによって駆動されるモータを有しており、モータを動力源として駆動し、熱媒体に圧力を加え、熱媒体回路内を循環させる。なお、図2では、ポンプ33a~33eは、暖房運転時の冷媒の流れと熱媒体の流れが対向する暖房対向流となるよう配置されているが、冷房運転時の冷媒の流れと熱媒体の流れが対向する冷房対向流となるよう配置されてもよい。
【0033】
熱媒体制御装置34a~34eは、流量調整弁31a~31eおよびポンプ33a~33eの動作を制御する。熱媒体制御装置34a~34eは、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUとを備える処理装置、またはASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアもしくはその両方で構成されている。
【0034】
室内機104a~104eは、空調空間505~509の冷房負荷または暖房負荷に対し、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eによって変換された熱を供給する。室内機104a~104eは、室内熱交換器41a~41eと、室内ファン42a~42eと、室内制御装置43a~43eとを備えている。
【0035】
室内熱交換器41a~41eは、例えばフィンチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器41a~41eは、室内ファン42a~42eにより供給される空気と熱媒体との間で熱交換を行う。
【0036】
室内ファン42a~42eは、例えばクロスフローファンである。室内ファン42a~42eは、空調空間505~509の空気を室内熱交換器41a~41eに供給する。室内ファン42a~42eの回転数が室内制御装置43a~43eによって制御されることで、室内熱交換器41a~41eの暖房能力または冷房能力が制御される。
【0037】
室内制御装置43a~43eは、室内ファン42a~42eの動作を制御する。室内制御装置43a~43eは、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUとを備える処理装置、またはASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアもしくはその両方で構成されている。
【0038】
実施の形態1に係る空気調和装置100は、室内機104a~104eに対するリモコン(不図示)等からの指示に基づいて、冷房運転または暖房運転を実施する。冷房運転と暖房運転は、室外機101の流路切替弁12を切り替えることで実現する。また、空気調和装置100は、複数の室内機104a~104eのうち、一部が冷房運転し、その他が暖房運転することで、冷暖房同時運転を実現する。
【0039】
図4は、実施の形態1に係る空気調和装置100の冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。図4および後述する図5図7における実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示し、破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示す。各運転における冷媒の流れについて以下に説明する。
【0040】
冷房運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替弁12を通って室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン14により供給される空気と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。室外熱交換器13から流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁15、逆止弁16a、冷媒主配管105aを通って、中継機102に流入する。
【0041】
中継機102に流入した低温高圧の液冷媒は、冷媒間熱交換器21、23で冷媒と熱交換してさらに冷却される。その後、低温高圧の液冷媒は、一部がバイパスされ、大部分は冷房用逆止弁25a~25e、冷媒枝配管106a~106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する。一方、バイパスされた低温高圧の液冷媒は、流量調整弁24で減圧されて低温低圧の二相冷媒となったのち、冷媒間熱交換器23、21で冷媒と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。
【0042】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32a~32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32eから流出した高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106a~106e、冷房用電磁弁27a~27eを通った後、バイパスされた高温低圧のガス冷媒と合流し、冷媒主配管105bを通って、室外機101に流入する。
【0043】
室外機101に流入した高温低圧のガス冷媒は、逆止弁16b、流路切替弁12、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0044】
図5は、実施の形態1に係る空気調和装置100の暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。暖房運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替弁12、逆止弁16c、冷媒主配管105aを通って、中継機102に流入する。中継機102に流入したガス冷媒は、暖房用電磁弁28a~28e、冷媒枝配管106a~106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する。
【0045】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入した高温高圧のガス冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32eに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32a~32eで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32eから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管106a~106e、暖房用逆止弁26a~26e、冷媒間熱交換器23、流量調整弁24、冷媒間熱交換器23、冷媒間熱交換器21、冷媒主配管105bを通って、室外機101に流入する。
【0046】
室外機101に流入した低温低圧の二相冷媒は、逆止弁16d、流量調整弁15を通って、室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン14により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。室外熱交換器13から流出した高温低圧のガス冷媒は、流路切替弁12、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0047】
図6は、実施の形態1に係る空気調和装置100の冷房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。暖房運転の室内機104よりも冷房運転の室内機104の比率が多い、つまり冷房比率が多い冷暖房同時運転では、冷房運転している室内機104(図6では室内機104b~104e)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図6では熱媒体熱交換器ユニット103b~103e)が蒸発器として、暖房運転している室内機104(図6では室内機104a)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図6では熱媒体熱交換器ユニット103a)が凝縮器として動作する。
【0048】
冷房比率が多い冷暖房同時運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替弁12を通って室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン14により供給される空気と熱交換して凝縮液化し、中温高圧の二相冷媒となる。室外熱交換器13から流出した中温高圧の二相冷媒は、流量調整弁15、逆止弁16a、冷媒主配管105aを通って、中継機102に流入する。
【0049】
中継機102に流入した中温高圧の二相冷媒は、ガスリッチな冷媒と液リッチな冷媒とに分離される。ガスリッチな冷媒は、暖房用電磁弁28aを通って熱媒体熱交換器ユニット103aに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32aで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。熱媒体熱交換器32aから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31aで減圧されて低温中圧の液もしくは二相冷媒となったのち、冷媒枝配管106a、暖房用逆止弁26aを通って、流量調整弁22を流出した液リッチな冷媒と合流する。
【0050】
液リッチな冷媒は、冷媒間熱交換器21で冷却されて、凝縮液化し、低温高圧の液となる。低温高圧の液は、流量調整弁22で減圧されて、低温中圧の液もしくは二相冷媒となったのち、熱媒体熱交換器32aで凝縮液化した冷媒と合流する。その後、低温中圧の液もしくは二相冷媒は、冷媒間熱交換器23で冷却されて、凝縮液化し、低温中圧の液冷媒となる。
【0051】
低温中圧の液冷媒は、冷房用逆止弁25b~25e、冷媒枝配管106b~106eを通って熱媒体熱交換器ユニット103b~103eに流入し、流量調整弁31b~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32b~32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32b~32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。熱媒体熱交換器32b~32eから流出した高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106b~106e、冷房用電磁弁27b~27e、冷媒主配管105bを通って、室外機101に流入する。
【0052】
室外機101に流入した高温低圧のガス冷媒は、逆止弁16b、流路切替弁12、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0053】
図7は、実施の形態1に係る空気調和装置100の暖房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。冷房運転の室内機104よりも暖房運転の室内機104の比率が多い、つまり暖房比率が多い冷暖房同時運転では、冷房運転している室内機104(図7では室内機104e)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図7では熱媒体熱交換器ユニット103e)が蒸発器として、暖房運転している室内機104(図7では室内機104a~104d)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図7では熱媒体熱交換器ユニット103a~103d)が凝縮器として動作する。
【0054】
暖房比率が多い冷暖房同時運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替弁12、逆止弁16c、冷媒主配管105aを通って、中継機102に流入する。中継機102に流入したガス冷媒は、暖房用電磁弁28a~28d、冷媒枝配管106a~106dを通って、熱媒体熱交換器ユニット103a~103dに流入する。
【0055】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103dに流入した高温高圧のガス冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32dに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32a~32dで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32dから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31dで減圧されて低温中圧の液もしくは二相冷媒となる。その後、低温中圧の液もしくは二相冷媒は、冷媒枝配管106a~106d、暖房用逆止弁26a~26dを通って、冷媒間熱交換器23で冷却されて、凝縮液化し、低温中圧の液冷媒となる。低温中圧の液冷媒は、一部がバイパスされ、大部分は流量調整弁24で減圧されて低温低圧の二相冷媒となったのち、冷媒間熱交換器23、21で加熱される。
【0056】
一方、バイパスされた低温中圧の液冷媒は、冷房用逆止弁25e、冷媒枝配管106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103eに流入する。熱媒体熱交換器ユニット103eに流入した低温中圧の液冷媒は、流量調整弁31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。そして、高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106eを通って中継機102に流入する。
【0057】
冷媒間熱交換器23、21で加熱された低温低圧の二相冷媒は、冷房用電磁弁27aを通ってきた高温低圧のガス冷媒と合流した後、冷媒主配管105bを通って、室外機101に流入する。
【0058】
室外機101に流入した低温低圧の二相冷媒は、逆止弁16d、流量調整弁15を通って、室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン14により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガスもしくは二相冷媒となる。室外熱交換器13から流出した高温低圧のガスもしくは二相冷媒は、流路切替弁12、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0059】
以上、実施の形態1に係る空気調和装置100は、冷媒回路に冷媒を循環させる圧縮機11、および冷媒が流れる室外熱交換器13を有する室外機101と、冷媒とは異なる熱媒体と冷媒とを熱交換する熱媒体熱交換器32a~32e、および熱媒体回路に熱媒体を循環させるポンプ33a~33eを有する複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eと、熱媒体が流れる室内熱交換器41a~41eを有し、空調空間505~509に配置される複数の室内機104a~104eと、室外機101と複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eとの間に介在し、室外機1から流入した冷媒を複数の流路に分流し、かつ、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eから流入した冷媒を合流させる中継機102と、を備えている。また、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、少なくとも室内機104a~104eが配置された空調空間505~509毎に対応して1つ設けられており、対応する空調空間505~509に配置された室内機104a~104eと接続されており、接続された室内機104a~104eが、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作するものである。
【0060】
実施の形態1に係る空気調和装置100によれば、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、少なくとも室内機104a~104eが配置された空調空間505~509毎に対応して1つ設けられており、かつ、対応する空調空間505~509に配置された室内機104a~104eと接続されており、接続された室内機104a~104eが、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作する。そのため、冷暖房同時運転時に冷房負荷もしくは暖房負荷の一方に大きく偏った場合においても、接続された室内機104a~104eに応じて、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eを凝縮器あるいは蒸発器として動作するようにそれぞれ切り替えることができる。そうすることで、負荷に応じて適正な比率で凝縮器と蒸発器とを動作させることができるため、熱媒体熱交換器32a~32eでの熱処理量が過剰となって、蒸発温度低下あるいは凝縮温度上昇が起きるのが抑制されるので、省エネルギー性および快適性の悪化を抑制することができる。
【0061】
また、室内機104には冷媒が流れない構成となっているため、室内機104からの冷媒漏洩を防止することができる。
【0062】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、非空調空間501~504に配置されている。
【0063】
実施の形態1に係る空気調和装置100によれば、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、非空調空間501~504に配置されているため、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eから空調空間505~509への冷媒漏洩を防止することができる。
【0064】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、室内機104a~104eと一対となるように設けられている。
【0065】
実施の形態1に係る空気調和装置100によれば、複数の熱媒体熱交換器ユニット103a~103eが室内機104a~104eと一対となるように設けられているため、負荷に応じてより適正な比率で凝縮器と蒸発器とを動作させることができる。その結果、熱媒体熱交換器32a~32eでの熱処理量が過剰となって、蒸発温度低下あるいは凝縮温度上昇が起きるのがより抑制されるので、省エネルギー性および快適性の悪化をより抑制することができる。
【0066】
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0067】
実施の形態2では、室外機101Aおよび中継機102Aの構成が、実施の形態1と相違する。また、実施の形態2では、室外機101Aと中継機102Aとを接続する冷媒配管の構成が、実施の形態1と相違する。
【0068】
図8は、実施の形態2に係る空気調和装置100Aの回路図である。図8に示すように、室外機101Aと中継機102Aとは、冷媒が流れる冷媒主配管105c~105eで接続されている。ここで、冷媒主配管105cは高圧のガス冷媒が流れる高圧ガス配管であり、冷媒主配管105dは低圧のガス冷媒が流れる低圧ガス配管であり、冷媒主配管105eは液冷媒が流れる液管である。中継機102Aと熱媒体熱交換器ユニット103a~103eとは、冷媒が流れる冷媒枝配管106a~106eで接続されている。熱媒体熱交換器ユニット103a~103eと室内機104a~104eとは、熱媒体が流れる熱媒体配管107a~107eで接続されている。各熱媒体熱交換器ユニット103a~103eは、中継機102Aと並列に接続されている。各室内機104a~104eは、各熱媒体熱交換器ユニット103a~103eと直列に接続されている。室外機101Aで生成された熱は、冷媒主配管105c~105eを流れる冷媒によって中継機102Aを介して熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに搬送される。また、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eで変換された熱は、熱媒体配管107a~107eを流れる熱媒体によって室内機104a~104eに搬送される。つまり、室内機104a~104eは、室外機101Aから供給される冷媒から熱を伝達された熱媒体により、空調空間505~509を冷房または暖房する。
【0069】
室外機101Aは、圧縮機11と、流路切替弁12a、12bと、室外熱交換器13a、13bと、室外ファン14と、流量調整弁15a、15bと、アキュムレータ17と、室外制御装置18とを備えている。また、中継機102Aは、冷媒間熱交換器23と、流量調整弁24と、冷房用逆止弁25a~25eと、暖房用逆止弁26a~26eと、冷房用電磁弁27a~27eと、暖房用電磁弁28a~28eと、制御装置29a~29eとを備えている。その他の構成については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
図9は、実施の形態2に係る空気調和装置100Aの冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。図9および後述する図10図12における実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示し、破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示す。各運転における冷媒の流れについて以下に説明する。
【0071】
冷房運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、一部は流路切替弁12aを通って室外熱交換器13aに流入し、残りは流路切替弁12bを通って室外熱交換器13bに流入する。室外熱交換器13a、13bに流入した冷媒は、それぞれ室外ファン14により供給される空気と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。室外熱交換器13a、13bから流出した低温高圧の液冷媒は、それぞれ流量調整弁15a、15bを通った後で合流した後、冷媒主配管105eを通って、中継機102Aに流入する。
【0072】
中継機102Aに流入した低温高圧の液冷媒は、冷媒間熱交換器23で冷媒と熱交換して凝縮してさらに冷却される。その後、低温高圧の液冷媒は、一部がバイパスされ、大部分は冷房用逆止弁25a~25e、冷媒枝配管106a~106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する。一方、バイパスされた低温高圧の液冷媒は、流量調整弁24で減圧されて低温低圧の二相冷媒となったのち、冷媒間熱交換器23で冷媒と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。
【0073】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32a~32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32eから流出した高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106a~106e、冷房用電磁弁27a~27eを通って、バイパスされた高温低圧のガス冷媒と合流した後、冷媒主配管105dを通って、室外機101Aに流入する。
【0074】
室外機101Aに流入した高温低圧のガス冷媒は、流路切替弁12a、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0075】
図10は、実施の形態2に係る空気調和装置100Aの暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。暖房運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、一部は流路切替弁12a、冷媒主配管105dを通って、中継機102Aに流入し、残りは冷媒主配管105cを通って、中継機102Aに流入する。中継機102Aに流入した一部のガス冷媒は、冷房用電磁弁27a~27eを通って、冷媒枝配管106a~106eで暖房用電磁弁28a~28eを通ってきた残りのガス冷媒と合流後、熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入する。
【0076】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103eに流入した高温高圧のガス冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32eに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32a~32eで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32eから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管106a~106e、暖房用逆止弁26a~26e、冷媒主配管105eを通って、室外機101Aに流入する。
【0077】
室外機101Aに流入した低温低圧の二相冷媒が、一部は流量調整弁15aを通って、室外熱交換器13aに流入し、残りは流量調整弁15bを通って、室外熱交換器13bに流入する。室外熱交換器13a、13bに流入した冷媒は、それぞれ室外ファン14により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒または二相冷媒となる。室外熱交換器13a、13bから流出した高温低圧のガス冷媒または二相冷媒は、それぞれ流路切替弁12a、12bを通った後で合流した後、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0078】
図11は、実施の形態2に係る空気調和装置100Aの冷房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。冷房比率が多い冷暖房同時運転では、冷房運転している室内機104(図10では室内機104b~104e)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図10では熱媒体熱交換器ユニット103b~103e)が蒸発器として、暖房運転している室内機104(図10では室内機104a)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図10では熱媒体熱交換器ユニット103a)が凝縮器として動作する。
【0079】
冷房比率が多い冷暖房同時運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、一部は冷媒主配管105cを通って中継機102Aに流入し、残りが流路切替弁12aを通って室外熱交換器13aに流入する。中継機102Aに流入した冷媒は、暖房用電磁弁28aを通って熱媒体熱交換器ユニット103aに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32aで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。その後、低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31aを通って、中継機102Aに流入する。
【0080】
一方、室外熱交換器13aに流入した冷媒は、室外ファン14により供給される空気と熱交換して一部が凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。室外熱交換器13aから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁15a、冷媒主配管105eを通って、中継機102Aに流入する。中継機102Aに流入した低温高圧の液冷媒は、暖房用逆止弁26aを通ってきた低温高圧の液冷媒と合流した後、冷媒間熱交換器23で冷却されて、凝縮液化し、低温中圧の液冷媒となる。低温中圧の液冷媒は、一部がバイパスされ、大部分は冷房用逆止弁25b~25e、冷媒枝配管106b~106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103b~103eに流入する。一方、バイパスされた低温中圧の液冷媒は、流量調整弁24で減圧されて低温低圧の二相冷媒となったのち、冷媒間熱交換器23で冷媒と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。
【0081】
熱媒体熱交換器ユニット103b~103eに流入した低温中圧の液冷媒は、流量調整弁31b~31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32b~32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32b~32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。熱媒体熱交換器32b~32eから流出した高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106b~106e、冷房用電磁弁27b~27eを通って、バイパスされた高温低圧のガス冷媒と合流した後、冷媒主配管105dを通って、室外機101Aに流入する。
【0082】
室外機101Aに流入した高温低圧のガス冷媒は、流路切替弁12a、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0083】
図12は、実施の形態2に係る空気調和装置100Aの暖房比率が多い冷暖房同時運転時における冷媒の流れを示す図である。暖房比率が多い冷暖房同時運転では、冷房運転している室内機104(図12では室内機104e)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図12では熱媒体熱交換器ユニット103e)が蒸発器として、暖房運転している室内機104(図12では室内機104a~104d)に接続された熱媒体熱交換器ユニット103(図12では熱媒体熱交換器ユニット103a~103d)が凝縮器として動作する。
【0084】
暖房比率が多い冷暖房同時運転では、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が、冷媒主配管105cを通って、中継機102Aに流入する。中継機102Aに流入した高温高圧のガス冷媒は、暖房用電磁弁28a~28d、冷媒枝配管106a~106dを通って、熱媒体熱交換器ユニット103a~103dに流入する。
【0085】
熱媒体熱交換器ユニット103a~103dに流入した高温高圧のガス冷媒は、熱媒体熱交換器32a~32dに流入し、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器32a~32dで熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。熱媒体熱交換器32a~32dから流出した低温高圧の液冷媒は、流量調整弁31a~31dで減圧されて低温中圧の液もしくは二相冷媒となる。その後、低温中圧の液もしくは二相冷媒は、冷媒枝配管106a~106d、暖房用逆止弁26a~26dを通過する。暖房用逆止弁26a~26dを通過した低温中圧の液もしくは二相冷媒は、一部がバイパスされ、大部分が冷媒主配管105eを通って、室外機101Aに流入する。室外機101Aに流入した低温中圧の液もしくは二相冷媒は、流量調整弁15bで減圧され、低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、室外熱交換器13aに流入し、室外ファン14により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガスもしくは二相冷媒となる。
【0086】
一方、バイパスされた低温中圧の液もしくは二相冷媒は、冷媒間熱交換器23、冷房用逆止弁25e、冷媒枝配管106eを通って、熱媒体熱交換器ユニット103eに流入する。熱媒体熱交換器ユニット103eに流入した低温中圧の液もしくは二相冷媒は、流量調整弁31eで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、熱媒体熱交換器32eに流入し、蒸発器として動作する熱媒体熱交換器32eで熱媒体と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。熱媒体熱交換器32eから流出した高温低圧のガス冷媒は、冷媒枝配管106e、冷房用電磁弁27e、冷媒主配管105dを通って、室外機101Aに流入する。
【0087】
そして、高温低圧のガスもしくは二相冷媒は、流路切替弁12bを通った後、流路切替弁12aを通ってきた高温低圧のガス冷媒と合流し、アキュムレータ17を通って、再び圧縮機11へと戻る。
【0088】
以上、実施の形態2に係る空気調和装置100Aにおいて、室外機101Aと中継機102Aとは、冷媒が流れる3つの冷媒主配管105c~105eで接続されている。また、3つの冷媒主配管105c~105eは、高圧ガス配管、低圧ガス配管、および、液管である。
【0089】
実施の形態2に係る空気調和装置100Aによれば、室外機101Aと中継機102Aとを、高圧ガス配管である冷媒主配管105c、低圧ガス配管である冷媒主配管105d、および、液管である冷媒主配管105eで接続している。こうすることで、冷媒充填量への影響が大きい液管である冷媒主配管105eを細管化することができ、冷媒充填量を削減することができる。
【0090】
また、こうすることで、中継機102Aを、冷媒間熱交換器23と、流量調整弁24と、冷房用逆止弁25と、暖房用逆止弁26と、冷房用電磁弁27と、暖房用電磁弁28と、制御装置29とを備えた構成とすることができる。この中継機102Aは、実施の形態1に係る中継機102よりも構成要素が少ないため、中継機102Aの小型化を図ることができ、設置スペースの確保および設置の自由度を向上させることができる。
【0091】
実施の形態3.
以下、実施の形態3について説明するが、実施の形態1および2と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1および2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0092】
実施の形態3では、熱媒体熱交換器ユニット103が設けられて冷媒によって間接的に熱搬送される室内機(以下、間接式室内機とも称する)と、熱媒体熱交換器ユニット103が設けられず冷媒によって直接的に熱搬送される室内機(以下、直膨式室内機とも称する)とが混在する点で、実施の形態1および2と相違する。
【0093】
図13は、実施の形態3に係る空気調和装置100Bの概略構成図である。図14は、実施の形態3に係る空気調和装置100Bの回路図である。図13および図14に示すように、空気調和装置100Bは、室外機101Bと、室内機と、熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdと、中継機102とを備えている。実施の形態3では、室外機101Bおよび中継機102がそれぞれ1つ設けられており、また、空調空間505~509毎に室内機が1つ設けられている。また、空調空間505、507~509に設けられた室内機(間接式室内機104Ba~104Bd)と一対となるように熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdが設けられているが、空調空間506に設けられた室内機(直膨式室内機108)に対しては熱媒体熱交換器ユニット103が設けられていない。つまり、実施の形態3では、室内機に間接式室内機104Ba~104Bdと直膨式室内機108とが混在しており、空気調和装置100Bは、1つの室外機101と、1つの中継機102と、4つの間接式室内機104Ba~104Bdと、1つの直膨式室内機108と、4つの熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdとを備えている。
【0094】
室外機101は、圧縮機11と、流路切替弁12と、室外熱交換器13と、室外ファン14と、流量調整弁15と、逆止弁16a~16dと、アキュムレータ17と、室外制御装置18と、圧縮機11の吐出側の冷媒圧力を検知する吐出圧力センサ19とを備えている。熱媒体熱交換器ユニット103a~103dは、流量調整弁31a~31dと、熱媒体熱交換器32a~32dと、ポンプ33a~33dと、熱媒体制御装置34a~34dと、熱媒体熱交換器32a~32dの冷媒側の暖房運転時の入口における冷媒温度を検知するガス側温度センサ91a~91dと、熱媒体熱交換器32a~32dの冷媒側の暖房運転時の出口における冷媒温度を検知する液側温度センサ92a~92dとを備えている。
【0095】
間接式室内機104Ba~104Bdは、室内熱交換器(以下、第一室内熱交換器とも称する)41a~41dと、室内ファン42a~42dと、室内制御装置43a~43dとを備えている。また、直膨式室内機108は、流量調整弁81と、室内熱交換器(以下、第二室内熱交換器とも称する)82と、室内ファン83と、室内制御装置84と、室内熱交換器82の暖房運転時の入口における冷媒温度を検知するガス側温度センサ85と、室内熱交換器82の暖房運転時の出口における冷媒温度を検知する液側温度センサ86とを備えている。その他の構成については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
また、実施の形態3に係る空気調和装置100Bでは、全ての室内機(=間接式室内機104Ba~104Bd+直膨式室内機108)が設置される空調空間の床面積の合計に対して、間接式室内機104Ba~104Bdを設置することができる空調空間の最大の床面積の比率(以下、間接式室内機比率と称する)が、73[%]以下である。
【0097】
ここで、間接式室内機比率は、下記の式(1)~(3)に基づいて算出した。
【0098】
間接式室内機比率≦(A全面積-A直膨)/A全面積・・・(1)
全面積:全ての室内機が設置される空調空間の床面積の合計[m]、A直膨:直膨式室内機が設置される空調空間において冷媒が漏洩しても燃焼下限濃度(LFL: Lower Flammability Limit)を超えない最大の床面積[m
【0099】
全面積=Q冷房/q・・・(2)
冷房:空気調和装置の冷房能力[kW]、q:単位熱負荷(0.128kW/m※オフィス想定の値)
【0100】
直膨=M/(h×LFL)・・・(3)
M:冷媒量(R32:0.357[kg/kW]、R1234yf:0.428[kg/kW]、R1234ze(E):0.464[kg/kW])、h:天井高さ(2.2[m])、LFLR32=0.307[kg/m]、LFL1234yf=0.289[kg/m]、LFLR1234ze=0.303[kg/m
【0101】
また、下記の表1~4に記載の条件に基づいて、式(1)~(3)を用いて間接式室内機比率を算出した。
【0102】
表1は、冷房能力:56[kW]を想定した場合の間接式室内機比率の試算例である。
【表1】
【0103】
表2は、冷房能力:56[kW]を想定し、配管長による冷媒量増加を考慮した場合の間接式室内機比率の試算例である。
【表2】
【0104】
表3は、冷房能力:28[kW]を想定した場合の間接式室内機比率の試算例である。
【表3】
【0105】
表4は、冷房能力:28[kW]を想定し、配管長による冷媒量増加を考慮した場合の間接式室内機比率の試算例である。
【表4】
【0106】
上記のように、間接式室内機比率が73%以下であれば、上記のいかなる条件であっても、要求された冷房能力を発揮することができ、かつ、直膨式室内機108を設置した空調空間505~509において冷媒が漏洩してもLFLを超えなくすることができる。そのため、冷媒が漏洩しても安全性が確保できる大空間、あるいは換気装置(不図示)が設置された空間などの空調空間505~509に直膨式室内機108を設置することができる。
【0107】
また、定格能力が最も大きい間接式室内機104Ba~104Bdの定格能力をその定格風量で除した値が、定格能力が最も小さい直膨式室内機108の定格能力をその定格風量で除した値よりも小さくなっている。つまり、間接式室内機104Ba~104Bdの性能を直膨式室内機108の性能よりも高くする。そうすることで、間接式室内機104Ba~104Bdと直膨式室内機108との性能差を小さくし、それらの間に生じる、空調空間505~509の空気温度と冷媒温度との温度差ΔTのギャップをなくすことができる。
【0108】
また、熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdと直膨式室内機108とで、過熱度および過冷却度に関して異なる制御目標値を設定する。間接式室内機104Ba~104Bdに接続された熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dのうちいずれか一つもしくは複数、および、直膨式室内機108の室内熱交換器82が蒸発器として動作する場合、熱媒体熱交換器32a~32dの過熱度に対して、室内熱交換器82の過熱度が大きくなるように制御する。ここで、熱媒体熱交換器32a~32dの過熱度は、(ガス側温度センサ91a~91dの検知値)-(液側温度センサ92a~92dの検知値)で算出される。また、室内熱交換器82の過熱度は、(ガス側温度センサ85の検知値)-(液側温度センサ86の検知値)で算出される。
【0109】
また、間接式室内機104Ba~104Bdに接続された熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dのうちいずれか一つもしくは複数、および、直膨式室内機108の室内熱交換器82が凝縮器として動作する場合、熱媒体熱交換器32a~32dの過冷却度に対して、室内熱交換器82の過冷却度が大きくなるように制御する。ここで、熱媒体熱交換器32a~32dの過冷却度は、(吐出圧力センサ19の検知値に基づいて算出された凝縮温度)-(液側温度センサ92a~92dの検知値)で算出される。また、室内熱交換器82の過冷却度は、(吐出圧力センサ19の検知値に基づいて算出された凝縮温度)-(液側温度センサ86の検知値)で算出される。
【0110】
ここで、間接式室内機104Ba~104Bdにおいては、室外機101Bで生成された熱は、冷媒によって熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdに搬送され、そこで、冷媒から熱熱媒体に伝達された後、その熱媒体によって間接式室内機104Ba~104Bdに搬送される。一方、直膨式室内機108においては、室外機101Bで生成された熱が、冷媒によってそのまま直膨式室内機108に搬送される。そのため、間接式室内機104Ba~104Bdでは、直膨式室内機108と比べて熱ロスが大きく、間接式室内機104Ba~104Bdに接続された熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dでの熱交換量と直膨式室内機108の室内熱交換器82での熱交換量とでアンバランスが生じる。そこで、上記のように、過熱度および過冷却度を制御することで、間接式室内機104Ba~104Bdに接続された熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dでの熱交換量と直膨式室内機108の室内熱交換器82での熱交換量とのアンバランスを改善することができる。
【0111】
また、複数の室内機のうち、一部を直膨式室内機108とすることで、低コスト化でき、また、冷媒と熱媒体との熱交換による熱ロスを低減することができ、省エネルギー性を向上させることができる。
【0112】
以上、実施の形態3に係る空気調和装置100Bは、冷媒回路に冷媒を循環させる圧縮機11、および冷媒が流れる室外熱交換器13を有する室外機101と、冷媒とは異なる熱媒体と冷媒とを熱交換する熱媒体熱交換器32a~32d、および熱媒体回路に熱媒体を循環させるポンプ33a~33dを有する複数の熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdと、熱媒体が流れる第一室内熱交換器を有する間接式室内機104Ba~104Bdと、冷媒が流れる第二室内熱交換器を有する直膨式室内機108とを含み、空調空間505~509に配置される複数の室内機と、室外機101と複数の熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdおよび直膨式室内機108との間に介在し、室外機101から流入した冷媒を複数の流路に分流し、かつ、複数の熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdおよび直膨式室内機108から流入した冷媒を合流させる中継機102と、を備えている。また、複数の熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdは、少なくとも間接式室内機104Ba~104Bdが配置された空調空間505~509毎に対応して1つ設けられており、対応する空調空間505~509に配置された間接式室内機104Ba~104Bdと接続されており、接続された間接式室内機104Ba~104Bdが、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作するものである。
【0113】
実施の形態1に係る空気調和装置100Bによれば、複数の熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdは、少なくとも間接式室内機104Ba~104Bdが配置された空調空間505~509毎に対応して1つ設けられており、かつ、対応する空調空間505~509に配置された室内機104a~104dと接続されており、接続された室内機104a~104dが、暖房運転をする際に凝縮器として動作し、冷房運転をする際に蒸発器として動作する。そのため、冷暖房同時運転時に冷房負荷もしくは暖房負荷の一方に大きく偏った場合においても、接続された室内機104a~104dに応じて、熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdを凝縮器あるいは蒸発器として動作するようにそれぞれ切り替えることができる。そうすることで、負荷に応じて適正な比率で凝縮器と蒸発器とを動作させることができるため、熱媒体熱交換器32a~32dでの熱処理量が過剰となって、蒸発温度低下あるいは凝縮温度上昇が起きるのが抑制されるので、省エネルギー性および快適性の悪化を抑制することができる。
【0114】
また、実施の形態3に係る空気調和装置100Bは、蒸発器として動作する、熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dおよび直膨式室内機108の第二室内熱交換器がある場合、第二室内熱交換器の過熱度が熱媒体熱交換器32a~32dの過熱度よりも大きくなるように制御され、凝縮器として動作する、熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dおよび直膨式室内機108の第二室内熱交換器がある場合、第二室内熱交換器の過冷却度が前記熱媒体熱交換器の過冷却度よりも大きくなるように制御されるものである。
【0115】
実施の形態3に係る空気調和装置100Bによれば、このように過熱度および過冷却度を制御することで、間接式室内機104Ba~104Bdに接続された熱媒体熱交換器ユニット103Ba~103Bdの熱媒体熱交換器32a~32dでの熱交換量と直膨式室内機108の第二室内熱交換器での熱交換量とのアンバランスを改善することができる。
【0116】
また、実施の形態3に係る空気調和装置100Bは、定格能力が最も大きい間接式室内機104Ba~104Bdの定格能力をその定格風量で除した値が、定格能力が最も小さい直膨式室内機108の定格能力をその定格風量で除した値よりも小さいものである。
【0117】
実施の形態3に係る空気調和装置100Bによれば、このようにすることで、間接式室内機104Ba~104Bdの性能が直膨式室内機108の性能よりも高くなる。そのため、間接式室内機104Ba~104Bdと直膨式室内機108との性能差を小さくし、それらの間に生じる、空調空間505~509の空気温度と冷媒温度との温度差ΔTのギャップをなくすことができる。
【符号の説明】
【0118】
1 室外機、11 圧縮機、12、12a、12b 流路切替弁、13、13a、13b 室外熱交換器、14 室外ファン、15、15a、15b 流量調整弁、16a~16d 逆止弁、17 アキュムレータ、18 室外制御装置、19 吐出圧力センサ、21 冷媒間熱交換器、22 流量調整弁、23 冷媒間熱交換器、24 流量調整弁、25、25a~25e 冷房用逆止弁、26、26a~26e 暖房用逆止弁、27、27a~27e 冷房用電磁弁、28、28a~28e 暖房用電磁弁、29、29a~29e 制御装置、31a~31e 流量調整弁、32a~32e 熱媒体熱交換器、33a~33e ポンプ、34a~34e 熱媒体制御装置、41a~41e 室内熱交換器、42a~42e 室内ファン、43a~43e 室内制御装置、81 流量調整弁、82 室内熱交換器、83 室内ファン、84 室内制御装置、85 ガス側温度センサ、86 液側温度センサ、91a~91d ガス側温度センサ、92a~92d 液側温度センサ、100、100A、100B 空気調和装置、101、101A、101B 室外機、102、102A 中継機、103、103Ba~103Bd、103a~103e 熱媒体熱交換器ユニット、104 室内機、104Ba~104Bd 間接式室内機、104a~104e 室内機、105a~105e 冷媒主配管、106a~106e 冷媒枝配管、107a~107e 熱媒体配管、108 直膨式室内機、500 建物、501~504 非空調空間、505~509 空調空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14