(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-03
(45)【発行日】2025-04-11
(54)【発明の名称】故障判定システム及び故障判定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/277 20060101AFI20250404BHJP
G06F 11/26 20060101ALI20250404BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20250404BHJP
【FI】
G06F11/277
G06F11/26
G06F11/22 675N
G06F11/22 675E
G06F11/22 675H
(21)【出願番号】P 2024507442
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2022012740
(87)【国際公開番号】W WO2023175941
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正紘
(72)【発明者】
【氏名】吉村 仁美
(72)【発明者】
【氏名】安井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】菊澤 隆司
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-85152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/277
G06F 11/26
G06F 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを停止後実測データとして取得する実測データ取得部と、
前記機器に想定される複数の故障要因に対応する複数の故障シミュレーションモデルの各々に前記機器の運転条件を適用し、前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを停止後推定データとして取得する推定データ取得部と、
各停止後推定データと前記停止後実測データとを比較し、前記機器に前記複数の故障要因のうちのいずれかによる故障が発生しているか否かを判定する判定部とを有する故障判定システム。
【請求項2】
前記判定部は、
停止後推定データごとに、前記停止後実測データとの類似度を算出し、
前記停止後実測データとの類似度が閾値以上の停止後推定データが存在する場合に、類似度が前記閾値以上の停止後推定データが取得された故障シミュレーションモデルが対応する故障要因による故障が前記機器に発生していると判定する請求項1に記載の故障判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記停止後実測データとの類似度が前記閾値以上の停止後推定データが2以上存在する場合に、前記2以上の停止後推定データのうち最も類似度が高い停止後推定データが取得された故障シミュレーションモデルが対応する故障要因による故障が前記機器に発生していると判定する請求項2に記載の故障判定システム。
【請求項4】
前記実測データ取得部は、
前記機器の正常な運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを前記停止後実測データとして取得し、
前記推定データ取得部は、
前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の正常な運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを前記停止後推定データとして取得する請求項1に記載の故障判定システム。
【請求項5】
前記実測データ取得部は、
前記機器の異常検知による運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを前記停止後実測データとして取得し、
前記推定データ取得部は、
前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の異常検知による運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを前記停止後推定データとして取得する請求項1に記載の故障判定システム。
【請求項6】
前記実測データ取得部は、
前記機器の異常検知による運転停止前に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを停止前実測データとして取得し、
前記推定データ取得部は、
前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の異常検知による運転停止前に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを停止前推定データとして取得し、
前記判定部は、
故障シミュレーションモデルごとに、前記停止前推定データ及び前記停止後推定データと、前記停止前実測データ及び前記停止後実測データとを比較し、前記機器に前記複数の故障要因のうちのいずれかによる故障が発生しているか否かを判定する請求項5に記載の故障判定システム。
【請求項7】
コンピュータが、機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを停止後実測データとして取得し、
前記コンピュータが、前記機器に想定される複数の故障要因に対応する複数の故障シミュレーションモデルの各々に前記機器の運転条件を適用し、前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを停止後推定データとして取得し、
前記コンピュータが、各停止後推定データと前記停止後実測データとを比較し、前記機器に前記複数の故障要因のうちのいずれかによる故障が発生しているか否かを判定する故障判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器の故障診断に関する。
【背景技術】
【0002】
故障診断に関する技術として、特許文献1に開示の技術がある。
特許文献1の技術では、故障要因ごとに故障時の機器の運転状態が表される時系列データがデータベースに蓄積される。そして、特許文献1の技術では、機器の運転中に機器の運転状態が表される時系列データが収集される。更に、特許文献1の技術では、収集された時系列データに近似する時系列データをデータベースから抽出することで、故障要因が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、機器の運転中に取得された時系列データを用いて故障要因を特定する。
しかしながら、故障要因によっては、機器の運転中に取得された時系列データに故障要因を特定できる特徴的なパターンが表れない場合がある。
特許文献1の技術では、このような機器の運転中に取得された時系列データに特徴的なパターンが表れない故障要因を有効に特定することができないという課題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決することを主な目的としている。具体的には、本開示は、機器の運転中に取得された時系列データに特徴的なパターンが表れない故障要因であっても、故障要因を特定できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る故障判定システムは、
機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測された計測値の時系列データを停止後実測データとして取得する実測データ取得部と、
前記機器に想定される複数の故障要因に対応する複数の故障シミュレーションモデルの各々に前記機器の運転条件を適用し、前記複数の故障シミュレーションモデルの各々から、前記複数の故障要因の各々による故障が前記機器に発生している場合に前記機器の運転停止後に前記機器及び前記機器の設置環境の少なくともいずれかで計測されると推定される計測値の時系列データを停止後推定データとして取得する推定データ取得部と、
各停止後推定データと前記停止後実測データとを比較し、前記機器に前記複数の故障要因のうちのいずれかによる故障が発生しているか否かを判定する判定部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、機器の運転中に取得された時系列データに特徴的なパターンが表れない故障要因であっても、故障要因を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るシステム構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る故障判定システムのハードウェア構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る故障判定システムの機能構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る故障判定システムの動作例を示すフローチャート。
【
図5】実施の形態1に係る故障判定システムの動作例を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1に係る正常停止時の実測データの例を示す図。
【
図7】実施の形態1に係る正常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【
図8】実施の形態1に係る正常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【
図9】実施の形態1に係る正常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【
図10】実施の形態1に係る異常停止時の実測データの例を示す図。
【
図11】実施の形態1に係る異常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【
図12】実施の形態1に係る異常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【
図13】実施の形態1に係る異常停止時の実測データと推定データとの比較例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図を用いて説明する。以下の実施の形態の説明及び図面において、同一の符号を付したものは、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。
本実施の形態では、故障判定システム100と空気調和機200とセンサ300とで構成されるシステムを説明する。
本実施の形態では、機器の例として空気調和機200を用いて説明を行う。機器は空気調和機200でなくてもよい。
【0011】
故障判定システム100は、空気調和機200に故障が発生しているか否かを判定する。また、故障判定システム100は、空気調和機200に故障が発生している場合には、故障要因を判定する。
故障判定システム100の動作手順は、故障判定方法に相当する。
【0012】
空気調和機200には、室内機と室外機と、室内機と室外機を接続する配管とが含まれる。
【0013】
センサ300は、空気調和機200に設置されている。
図1では、1つのセンサ300のみが図示されているが、複数のセンサ300が存在するものとする。
具体的には、室内機と室外機と配管の各々に複数のセンサ300が設置されている。例えば、圧縮機の前後の各々にセンサ300が設置されている。また、熱交換器の前後の各々にセンサ300が設置されている。また、LEV(リニア膨張弁)の前後の各々にセンサ300が設置されている。空気調和機200の管理者は空気調和機200の任意の位置にセンサ300を設置することができる。また、空気調和機200の設置環境にセンサ300が設置されていてもよい。例えば、室内機が設置されている部屋にセンサ300が設置されていてもよい。また、室外機が設置されている建物にセンサ300が設置されていてもよい。
各センサ300は、空気調和機200の状態及び/又は空気調和機の設置環境の状態を表す値を計測する。例えば、センサ300は、冷媒温度、冷媒圧力、室温等を計測する。各センサ300により計測された値を計測値という。
複数のセンサ300のうちの少なくとも1つのセンサ300は、通信機能を有しており、計測値の時系列データを故障判定システム100に送信する。
なお、以下では、説明の簡明化のため、1つのセンサ300が複数のセンサ300の計測値の時系列データを故障判定システム100に送信するものとする。しかし、各センサ300がそれぞれ個別に計測値の時系列データを故障判定システム100に送信してもよい。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る故障判定システム100のハードウェア構成例を示す。
図3は、故障判定システム100の機能構成例を示す。
まず、
図2を参照して、故障判定システム100のハードウェア構成例を説明する。
【0015】
本実施の形態に係る故障判定システム100は、コンピュータである。
故障判定システム100は、ハードウェアとして、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903及び通信装置904を備える。
また、故障判定システム100は、
図3に示すように、機能構成として、実測データ取得部101、推定データ取得部102、判定部103及びデータベース104を備える。これらのうち、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能は、例えば、プログラムにより実現される。
補助記憶装置903には、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置903から主記憶装置902にロードされる。そして、プロセッサ901がこれらプログラムを実行して、後述する実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の動作を行う。
図2は、プロセッサ901が実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
なお、データベース104は、例えば補助記憶装置903により実現される。
入出力装置905は、例えば、マウス、キーボード、ディスプレイ、マイク、スピーカ等である。
【0016】
次に、
図3を参照して、故障判定システム100の機能構成例を説明する。
【0017】
実測データ取得部101は、センサ300から実測データを受信する。
実測データは、センサ300で計測された計測値の時系列データである。本実施の形態では、実測データ取得部101は、実測データとして、停止前実測データと停止後実測データを受信する。
停止前実測データは、空気調和機200の運転停止前の時系列データである。
具体的には、実測データ取得部101は、空気調和機200の正常な運転停止前にセンサ300で計測された計測値の時系列データを、停止前実測データとして受信する。また、実測データ取得部101は、異常検知による空気調和機200の運転停止前にセンサ300で計測された計測値の時系列データを、停止前実測データとして受信する。
停止後実測データは、空気調和機200の運転停止後の時系列データである。
具体的には、実測データ取得部101は、空気調和機200の正常な運転停止後にセンサ300で計測された計測値の時系列データを、停止後実測データとして受信する。また、実測データ取得部101は、異常検知による空気調和機200の運転停止後にセンサ300で計測された計測値の時系列データを、停止後実測データとして受信する。
停止前実測データと停止後実測データとを区別する必要がない場合は、停止前実測データと停止後実測データとをまとめて実測データという。
【0018】
実測データには、例えば、温度値、圧力値、アクチュエータの信号値が含まれる。
温度値には、例えば、圧縮機の前後の冷媒温度値、熱交換器の前後の冷媒温度値、LEVの前後の冷媒温度値等が含まれる。
圧力値には、例えば、圧縮機の前後の冷媒圧力値、熱交換器の前後の冷媒圧力値、LEVの前後の冷媒圧力値等が含まれる。
アクチュエータの信号値には、室内機に設置されたアクチュエータの信号値、室内機に設置されたアクチュエータの信号値等が含まれる。
また、実測データに、空気調和機200の運転モード(冷房、暖房等)の値が含まれていてもよいし、他の値が含まれていてもよい。
これら実測データの値は例示であり、これら以外の値が実測データに含まれていてもよい。
実測データ取得部101は、実測データを判定部103に出力する。
【0019】
推定データ取得部102は、推定データを取得する。
推定データは、複数の故障シミュレーションモデル106の各々により推定された、計測値の時系列データである。
本実施の形態では、故障シミュレーションモデルA106A、故障シミュレーションモデルB106B、故障シミュレーションモデルC106C等が存在する。故障シミュレーションモデルA106A、故障シミュレーションモデルB106B、故障シミュレーションモデルC106C等を区別する必要がない場合は、これらをまとめて故障シミュレーションモデル106という。
各故障シミュレーションモデル106は、異なる故障要因に対応している。
なお、故障シミュレーションモデル106の詳細は後述する。
【0020】
本実施の形態では、推定データ取得部102は、推定データとして、停止前推定データと停止後推定データを取得する。
停止前推定データは、空気調和機200に故障が発生している場合に運転停止前の空気調和機200で計測されると推定される計測値の時系列データである。
より具体的には、推定データ取得部102は、空気調和機200に故障が発生している場合に空気調和機200の正常な運転停止前にセンサ300で計測されると推定される計測値の時系列データを、停止前推定データとして取得する。また、推定データ取得部102は、空気調和機200に故障が発生している場合に異常検知による空気調和機200の運転停止前にセンサ300で計測されると推定される計測値の時系列データを、停止前推定データとして取得する。
また、停止後推定データは、機器に故障が発生している場合に運転停止後の空気調和機200で計測されると推定される計測値の時系列データである。
より具体的には、推定データ取得部102は、空気調和機200に故障が発生している場合に空気調和機200の正常な運転停止後にセンサ300で計測されると推定される計測値の時系列データを、停止後推定データとして取得する。また、推定データ取得部102は、空気調和機200に故障が発生している場合に異常検知による空気調和機200の運転停止後にセンサ300で計測されると推定される計測値の時系列データを、停止後推定データとして取得する。
推定データ取得部102は、運転条件データ105をデータベース104から取得し、運転条件データ105を各故障シミュレーションモデル106に適用する。そして、推定データ取得部102は、各故障シミュレーションモデル106から、停止前推定データ及び停止後推定データを取得する。
以下では、停止前推定データと停止後推定データとを区別する必要がない場合は、停止前推定データと停止後推定データとをまとめて推定データという。
【0021】
推定データに含まれる値の種類は、実測データに含まれる値の種類と同じである。
例えば、実測データに、温度値として、圧縮機の前後の冷媒温度値、熱交換器の前後の冷媒温度値、LEVの前後の冷媒温度値が含まれる場合は、推定データにも、これらの値が含まれる。同様に、実測データに、圧力値として、圧縮機の前後の冷媒圧力値、熱交換器の前後の冷媒圧力値、LEVの前後の冷媒圧力値が含まれる場合は、推定データにも、これらの値が含まれる。
推定データ取得部102は、推定データを判定部103に出力する。
【0022】
判定部103は、各推定データと実測データとを比較し、空気調和機200に複数の故障要因のうちのいずれかによる故障が発生しているか否かを判定する。
具体的には、判定部103は、推定データごとに、実測データとの類似度を算出する。そして、実測データとの類似度が閾値以上の推定データが存在する場合に、判定部103は、類似度が閾値以上の推定データが取得された故障シミュレーションモデル106が対応する故障要因による故障が空気調和機200に発生していると判定する。
判定部103は、判定結果を例えば入出力装置905のディスプレイに出力する。
【0023】
データベース104は、運転条件データ105と複数の故障シミュレーションモデル106を記憶する。
【0024】
運転条件データ105には、空気調和機200の運転条件が示される。
運転条件データ105に示される運転条件には、例えば、室内機の型名、室外機の型名、室内機と室外機とを接続する配管の長さ、当該配管の直径、室内機と室外機の高低差等が含まれる。
また、運転条件に、室内機が設置されている部屋の大きさ、熱容量、壁面積、室温、室内湿度、外気温、外気湿度、日射量等が含まれていてもよい。
これら運転条件は例示であり、これら以外の条件が運転条件に含まれていてもよい。
【0025】
複数の故障シミュレーションモデル106は、空気調和機200に想定される複数の異なる故障要因に対応している。
例えば、故障シミュレーションモデルA106Aは、故障要因Aに対応している。故障シミュレーションモデルA106Aは、故障要因Aによる故障が空気調和機200に発生している場合にセンサ300で計測されると推定される計測値の時系列データを推定データとして生成する。各故障シミュレーションモデル106は、運転条件データ105を用いて、空気調和機200に故障が発生している状態をシミュレートして推定データを生成する。
故障要因として、具体的には、室内LEV弁座摩耗、冷媒不足、室外ファン停止、室内LEV開固定等が想定される。室内LEV弁座摩耗とは、室内機のLEVの弁座が摩耗している状態である。冷媒不足とは、室内機及び室外機を環流する冷媒が不足している状態である。室外ファン停止とは、室外機のファンが停止している状態である。室内LEV開固定とは、室内機のLEVが開いたままで固定されている状態である。
以上の故障要因は例示であり、これら以外の故障要因に対応した故障シミュレーションモデル106を設けてもよい。
【0026】
***動作の説明***
図4は、定期点検、動作確認等の後に空気調和機200が正常に停止した際の故障判定システム100の動作例を示す。
「空気調和機200が正常に停止」とは、空気調和機200において異常が検知されず、予定通りに空気調和機200が停止することを意味する。
【0027】
空気調和機200が正常に停止したことがセンサ300から通知された場合(ステップS11でYES)に、ステップS12において、実測データ取得部101がセンサ300から実測データを取得する。
ここでは、実測データ取得部101は、停止後実測データを取得する。
そして、実測データ取得部101は、停止後実測データを判定部103に出力する。
【0028】
次に、ステップS13において、推定データ取得部102が推定データを取得する。
ここでは、推定データ取得部102は、各故障シミュレーションモデル106から停止後推定データを取得する。
より具体的には、推定データ取得部102は、データベース104から運転条件データ105を取得する。そして、推定データ取得部102は、運転条件データ105を各故障シミュレーションモデル106に適用し、各故障シミュレーションモデル106から、停止後推定データを取得する。
そして、推定データ取得部102は、各故障シミュレーションモデル106から取得した停止後推定データを判定部103に出力する。
【0029】
次に、ステップS14において、判定部103が、推定データごとに、実測データとの類似度を算出する。
つまり、判定部103は、停止後推定データごとに、停止後実測データとの類似度を算出する。
例えば、判定部103は、DTW(Dynamic Time Warping)等の既存技術を用いて類似度を算出する。
【0030】
類似度が閾値以上の停止後推定データがある場合(ステップS15でYES)に、ステップS16において、判定部103は類似度が最も高い停止後推定データを選択する。つまり、類似度が閾値以上の停止後推定データが2以上存在していれば、ステップS16において、判定部103は類似度が最も高い停止後推定データを選択する。
そして、ステップS17において、判定部103は、選択した停止後推定データの故障要因による故障が発生していると判定する。
例えば、故障シミュレーションモデルA106Aにより生成された停止後推定データの類似度が最も高い場合は、判定部103は、故障シミュレーションモデルA106Aが対応する故障要因Aによる故障が空気調和機200に発生していると判定する。
【0031】
一方、類似度が閾値以上の停止後推定データがない場合(ステップS15でNO)は、ステップS18において、判定部103は空気調和機200に故障が発生していないと判定する。
【0032】
その後、判定部103は、ステップS17又はステップS18の判定結果を例えば入出力装置905のディスプレイに出力する。
【0033】
図4に示した動作手順を、
図6~
図9に示す具体例を用いて説明する。
図6は、空気調和機200が正常に運転を停止した場合の実測データの例を示す。
図7~
図9は、故障が発生している状態で空気調和機200が正常に運転を停止した場合に推定される推定データの例を示す。
【0034】
図6において、「運転」は空気調和機200が運転している期間を示す。「停止」は空気調和機200が運転を停止している期間を示す。
図6の「運転」の期間に計測された計測値の時系列データが停止前実測データに相当する。また、
図6の「停止」の期間にセンサ300により計測された計測値の時系列データが停止後実測データに相当する。
前述したように、空気調和機200が正常停止した場合は、実測データ取得部101は、ステップS12において、センサ300から停止後実測データを取得する。なお、
図6では理解の容易化のために、停止前実測データも図示している。
図6の(a)は、センサ300により計測された温度値を示す。
図6の(b)は、センサ300により計測されたLEV開度信号を示す。
【0035】
図6の(a)において、「室温」は、室内機が設置されている部屋の温度である。
「室内ガス温度」は、室内機でのガス状の冷媒の温度である。「室内液温度」は、室内機での液状の冷媒の温度である。
【0036】
図7は、故障要因「室内LEV弁座摩耗」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図7は、「室内LEV弁座摩耗」が発生している状態で空気調和機200が正常に運転を停止した場合の推定データの例を示す。
図8は、故障要因「冷媒不足」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図8は、「冷媒不足」が発生している状態で空気調和機200が正常に運転を停止した場合の推定データの例を示す。
図9は、故障要因「室外ファン停止」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図9は、「室外ファン停止」が発生している状態で空気調和機200が正常に運転を停止した場合の推定データの例を示す。
【0037】
図7の(a)、
図8の(a)及び
図9の(a)に示す実測データは、
図6の(a)に示したものと同様である。
図7の(b)、
図8の(b)及び
図9の(b)に示す実測データは、
図6の(b)に示したものと同様である。
図7の(c)は、「室内LEV弁座摩耗」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される温度値を示す。
図7の(c)の推定データは、
図6の(a)の実測データに対応する。
図7の(d)は、「室内LEV弁座摩耗」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図7の(d)の推定データは、
図6の(b)の実測データに対応する。
図8の(c)は、「冷媒不足」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される温度値を示す。
図8の(c)の推定データは、
図6の(a)の実測データに対応する。
図8の(d)は、「冷媒不足」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図8の(d)の推定データは、
図6の(b)の実測データに対応する。
図9の(c)は、「室外ファン停止」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される温度値を示す。
図9の(c)の推定データは、
図6の(a)の実測データに対応する。
図9の(d)は、「室外ファン停止」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図9の(d)の推定データは、
図6の(b)の実測データに対応する。
推定データ取得部102は、ステップS13において、各故障シミュレーションモデル106から、
図7~
図9に例示する停止後推定データを取得する。
図6と同様に、
図7~
図9では理解の容易化のために、停止前推定データも図示している。
図7~
図9に示す故障要因は、空気調和機200の運転中に取得された時系列データ(停止前実測データ)には故障要因を特定可能な特徴的なパターンが表れない故障要因である。
【0038】
ステップS14において、判定部103は、停止後推定データごとに、停止後実測データとの類似度を算出する。
つまり、判定部103は、
図7~
図9の停止後推定データの各々について、
図6の停止後実測データとの類似度を算出する。
図7の(c)の停止後の波形が
図6の(a)(
図7の(a))の停止後の波形に完全に一致する。また、
図7の(d)の停止後の波形が
図6の(b)(
図7の(b))の停止後の波形に完全に一致する。このため、
図7の停止後推定データについては、判定部103は「類似度:100%」を得る。
図8の(c)の停止後の波形は
図6の(a)(
図8の(a))の停止後の波形に一致しない。一方、
図8の(d)の停止後の波形は
図6の(b)(
図8の(b))の停止後の波形に完全に一致する。このため、
図8の停止後推定データについては、判定部103は「類似度:50%」を得る。
図9の(c)の停止後の波形は
図6の(a)(
図9の(a))の停止後の波形に一致しない。一方、
図9の(d)の停止後の波形は
図6の(b)(
図9の(b))の停止後の波形に完全に一致する。このため、
図9の停止後推定データについては、判定部103は「類似度:50%」を得る。
【0039】
以上より、判定部103は、ステップS17において、空気調和機200に「室内LEV弁座摩耗」が発生していると判定する。そして、判定部103は、空気調和機200に「室内LEV弁座摩耗」が発生している旨の判定結果を出力する。
【0040】
このように、本実施の形態に係る故障判定システム100は、停止後実測データと、複数の故障要因に対応した複数の停止後推定データとを比較することで、空気調和機200の運転中に取得された時系列データに特徴的なパターンが表れない故障要因であっても、故障要因を特定することができる。
【0041】
なお、
図4、
図6~
図9を用いた説明では、故障判定システム100が停止後実測データ及び停止後推定データのみを用いた解析を行って空気調和機200の故障要因を特定する例を説明した。故障判定システム100は、停止後実測データ及び停止後推定データに加えて、停止前実測データ及び停止前推定データを用いた解析を行って空気調和機200の故障要因を特定してもよい。
【0042】
次に、
図5を用いて、異常検知により空気調和機200が停止した際の故障判定システム100の動作例を示す。
「異常検知により空気調和機200が停止」とは、空気調和機200において異常が検知され、空気調和機200が緊急に停止することを意味する。
【0043】
例えば、空気調和機200が異常検知により停止したことがセンサ300から通知された場合(ステップS21でYES)に、ステップS12において、実測データ取得部101がセンサ300から実測データを取得する。
ここでは、実測データ取得部101は、停止前実測データ及び停止後実測データを取得する。
そして、実測データ取得部101は、停止前実測データ及び停止後実測データを判定部103に出力する。
【0044】
次に、ステップS13において、推定データ取得部102が推定データを取得する。
ここでは、推定データ取得部102は、各故障シミュレーションモデル106から停止前推定データ及び停止後推定データを取得する。
より具体的には、推定データ取得部102は、データベース104から運転条件データ105を取得する。そして、推定データ取得部102は、運転条件データ105を各故障シミュレーションモデル106に適用し、各故障シミュレーションモデル106から、停止前推定データ及び停止後推定データを取得する。
そして、推定データ取得部102は、各故障シミュレーションモデル106から取得した停止前推定データ及び停止後推定データを判定部103に出力する。
【0045】
次に、ステップS14において、判定部103が、推定データごとに、実測データとの類似度を算出する。
つまり、判定部103は、停止前推定データ及び停止後推定データの組ごとに、停止前実測データ及び停止後実測データの組との類似度を算出する。
例えば、判定部103は、DTW等の既存技術を用いて類似度を算出する。
【0046】
類似度が閾値以上の推定データがある場合(ステップS15でYES)は、ステップS16において、判定部103は類似度が最も高い推定データを選択する。
そして、ステップS17において、判定部103は、選択した推定データの故障要因による故障が発生していると判定する。
【0047】
一方、類似度が閾値以上の推定データがない場合(ステップS15でNO)は、ステップS22において、判定部103は他の故障要因、すなわち、想定されていない故障要因による異常が発生していると判定する。
【0048】
その後、判定部103は、ステップS17又はステップS22の判定結果を例えば入出力装置905のディスプレイに出力する。
【0049】
図5に示した動作手順を、
図10~
図13に示す具体例を用いて説明する。
図10は、空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合の実測データの例を示す。
図11~
図13は、故障が発生している状態で空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合に推定される推定データの例を示す。
【0050】
図10において、
図6と共通する要素については説明を省略する。
前述したように、空気調和機200が異常検知により停止した場合は、実測データ取得部101は、ステップS12において、センサ300から実測データ(停止前実測データ及び停止後実測データ)を取得する。
図10の(a)は、センサ300により計測された圧力値及び温度値を示す。
図10の(b)は、センサ300により計測されたLEV開度信号を示す。
【0051】
図10の(a)において、「吐出温度」は、圧縮機での冷媒の吐出温度である。「高圧」は、圧縮機での冷媒の吐出圧力である。「低圧」は、圧縮機での冷媒の吸入圧力である。
【0052】
図11は、故障要因「室内LEV開固定」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図11は、「室内LEV開固定」が発生している状態で空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合の推定データの例を示す。
図12は、故障要因「冷媒不足」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図12は、「冷媒不足」が発生している状態で空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合の推定データの例を示す。
図13は、故障要因「室外ファン停止」に対応する故障シミュレーションモデル106で生成された推定データの例を示す。つまり、
図13は、「室外ファン停止」が発生している状態で空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合の推定データの例を示す。
図11の(a)、
図12の(a)及び
図13の(a)に示す実測データは、
図10の(a)に示したものと同様である。
図11の(b)、
図12の(b)及び
図13の(b)に示す実測データは、
図10の(b)に示したものと同様である。
図11の(c)は、「室内LEV開固定」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される圧力値及び温度値を示す。
図11の(c)の推定データは、
図10の(a)の実測データに対応する。
図11の(d)は、「室内LEV開固定」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図11の(d)の推定データは、
図10の(b)の実測データに対応する。
図12の(c)は、「冷媒不足」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される圧力値及び温度値を示す。
図12の(c)の推定データは、
図10の(a)の実測データに対応する。
図12の(d)は、「冷媒不足」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図12の(d)の推定データは、
図10の(b)の実測データに対応する。
図13の(c)は、「室外ファン停止」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定される圧力値及び温度値を示す。
図13の(c)の推定データは、
図10の(a)の実測データに対応する。
図13の(d)は、「室外ファン停止」が空気調和機200に発生している場合に計測されると推定されるLEV開度信号を示す。
図13の(d)の推定データは、
図10の(b)の実測データに対応する。
推定データ取得部102は、ステップS13において、各故障シミュレーションモデル106から、
図11~
図13に例示する推定データ(停止前推定データ及び停止後推定データ)を取得する。
【0053】
ステップS14において、判定部103は、推定データごとに、実測データとの類似度を算出する。
つまり、判定部103は、
図11~
図13の推定データの各々について、
図10の実測データとの類似度を算出する。
図11の(c)の波形が
図10の(a)(
図11の(a))の波形に完全に一致する。また、
図11の(d)の波形が
図10の(b)(
図11の(b))の波形に完全に一致する。このため、
図11の推定データについては、判定部103は「類似度:100%」を得る。
図12の(c)の「高温」の波形は
図10の(a)(
図12の(a))の「高温」の波形に一致しない。一方、
図12の(d)の波形は
図10の(b)(
図12の(b))の波形に完全に一致する。このため、
図12の推定データについては、判定部103は「類似度:75%」を得る。
図13の(c)の「低温」の波形は
図10の(a)(
図13の(a))の「低温」の波形に一致しない。また、
図13の(d)の波形は
図10の(b)(
図13の(b))の波形に一致しない。このため、
図13の推定データについては、判定部103は「類似度:50%」を得る。
【0054】
以上より、判定部103は、ステップS17において、空気調和機200に「室内LEV開固定」が発生していると判定する。そして、判定部103は、空気調和機200に「室内LEV開固定」が発生している旨の判定結果を出力する。
【0055】
なお、
図5、
図10~
図13を用いた説明では、故障判定システム100が停止前実測データ及び停止後実測データと停止前推定データ及び停止後推定データとを用いた解析を行って空気調和機200の故障要因を特定する例を説明した。
空気調和機200が異常検知により運転を停止した場合でも、故障要因によっては、故障判定システム100は、停止後実測データと停止後推定データのみを用いた解析を行って空気調和機200の故障要因を特定してもよい。
【0056】
***実施の形態の効果の説明***
このように、本実施の形態では、
図4、
図6~
図9を用いて説明したように、停止後実測データと、複数の故障要因に対応した複数の停止後推定データとを比較する。このため、本実施の形態によれば、機器の運転中に取得された時系列データに故障要因を特定可能な特徴的なパターンが表れない故障要因であっても、故障要因を特定することができる。
【0057】
また、本実施の形態で説明した手順の一部のみを実施しても構わない。
また、本実施の形態で説明した手順の少なくとも一部と、本実施の形態で説明していない手順とを組み合わせて実施しても構わない。
また、本実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。
【0058】
***ハードウェア構成の補足説明***
最後に、故障判定システム100のハードウェア構成の補足説明を行う。
図2に示すプロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図2に示す主記憶装置902は、RAM(Random Access Memory)である。
図2に示す補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
図2に示す通信装置904は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0059】
また、補助記憶装置903には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ901により実行される。
プロセッサ901はOSの少なくとも一部を実行しながら、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ901がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
また、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0060】
また、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103の「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」又は「サーキットリー」に読み替えてもよい。
また、故障判定システム100は、処理回路により実現されてもよい。処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
この場合は、実測データ取得部101、推定データ取得部102及び判定部103は、それぞれ処理回路の一部として実現される。
なお、本明細書では、プロセッサと処理回路との上位概念を、「プロセッシングサーキットリー」という。
つまり、プロセッサと処理回路とは、それぞれ「プロセッシングサーキットリー」の具体例である。
【符号の説明】
【0061】
100 故障判定システム、101 実測データ取得部、102 推定データ取得部、103 判定部、104 データベース、105 運転条件データ、106 故障シミュレーションモデル、106A 故障シミュレーションモデルA、106B 故障シミュレーションモデルB、106C 故障シミュレーションモデルC、200 空気調和機、300 センサ、901 プロセッサ、902 主記憶装置、903 補助記憶装置、904 通信装置、905 入出力装置。