(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】防草緑化シート
(51)【国際特許分類】
A01G 20/00 20180101AFI20250407BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
A01G20/00
A01M21/00 A
(21)【出願番号】P 2021121216
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000231431
【氏名又は名称】日本植生株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】津下 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 幸憲
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246757(JP,A)
【文献】特開平11-172682(JP,A)
【文献】特開2018-066159(JP,A)
【文献】特開2014-094000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 2/00- 2/38
A01G 5/00- 7/06
A01G 9/28-17/02
A01G17/18
A01G20/00-22/67
A01G24/00-24/60
A01M21/00-21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防草シートに筋状の基材袋を備え
、
前記防草シートは経糸と緯糸を組み合わせてシート状に織成され、前記経糸の一部が、前記基材袋を保持する基材袋保持用経糸部として構成され、
前記基材袋保持用経糸部は、前記経糸の一部を、防草シートにおける防草機能の低い疎部の下方に位置し、前記緯糸と絡まず、前記疎部を跨ぐように構成したものであることを特徴とする防草緑化シート。
【請求項2】
前記基材袋は前記防草シートの下面側に露出するように保持される請求項1に記載の防草緑化シート。
【請求項3】
前記防草シートにおける前記基材袋の保持位置に、防草機能の低い疎部を設けてある請求項1または2に記載の防草緑化シート。
【請求項4】
前記基材袋は、前記防草シートの前記疎部と前記基材袋保持用経糸部との間に挟装される請求項1~3の何れか一項に記載の防草緑化シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、法面等において、防草と緑化とを同時に図ることができる防草緑化シートに関する。
【背景技術】
【0002】
防草と緑化を同時に行うための従来技術として、農業用のいわゆるマルチフィルムを地面等に敷設後、必要な個所に穴を開けてその部分に種や苗を植え付ける方法がある。この方法では、マルチフィルムの持つ雑草抑制効果により防草を図りつつ、穴を開けた箇所において目的種の植物の生育をも図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の方法では、現地でマルチフィルムに穴を開ける作業が必要であり、法面等の現場において作業者の作業が多いことは危険性の増大に直結する懸念がある。また、マルチフィルムは軽量であるため、固定前に風で飛ばされ易いという問題もある。
【0005】
そこで、上記問題を解決し得る技術として、2枚の不織布、ポリシート、ラッセルネットシート、水溶性種子シート、といった複数の部材を一体化した種子付防草シートによる緑化工法(例えば特許文献1)も提案されているが、種子付防草シートの構成が複雑であり高コストになりがちである。
【0006】
また、出願人自らは特願2020-204947(管理軽減型緑化工。メッシュ状部材使用)で、競合種の生育を妨げながら目的種の生育を早期に実現可能としその後の維持管理の軽減を図ることが可能な防草緑化マットを提案しているが、本願発明は同様の効果をより簡単な構成で達成し得る防草緑化製品あるいは筋状緑化に特化した防草緑化製品を提供しようとするものである。
【0007】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、競合種の生育を妨げながら目的種の生育を早期に実現可能としその後の維持管理の軽減を図ることが可能であり、同時に構成の簡素化によるコストダウンにも資する防草緑化シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る防草緑化シートは、防草シートに筋状の基材袋を備え、前記防草シートは経糸と緯糸を組み合わせてシート状に織成され、前記経糸の一部が、前記基材袋を保持する基材袋保持用経糸部として構成され、前記基材袋保持用経糸部は、前記経糸の一部を、防草シートにおける防草機能の低い疎部の下方に位置し、前記緯糸と絡まず、前記疎部を跨ぐように構成したものである(請求項1)。
【0009】
上記防草緑化シートにおいて、前記基材袋は前記防草シートの下面側に露出するように保持されてもよい(請求項2)。
【0010】
上記防草緑化シートにおいて、前記防草シートにおける前記基材袋の保持位置に、防草機能の低い疎部を設けてもよい(請求項3)。
【0011】
【0012】
【0013】
上記防草緑化シートにおいて、前記基材袋は、前記防草シートの前記疎部と前記基材袋保持用経糸部との間に挟装されてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では、競合種の生育を妨げながら目的種の生育を早期に実現可能としその後の維持管理の軽減を図ることが可能であり、同時に構成の簡素化によるコストダウンにも資する防草緑化シートが得られる。
【0015】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の防草緑化シートでは、防草シートによって競合種の発芽生育を抑制することができる上、例えば基材袋内に目的種の種子や肥料等を収容し、かつ基材袋が目的種の通芽や通根を妨げない程度の強度を有するものとしておくことによって目的種の発芽生育を促進することができる。また、本発明の防草緑化シートは、防草シートと基材袋とのみによって構成することができ、その構成の簡素化によるコストダウンをも期待することができる。
【0016】
請求項2に係る発明の防草緑化シートでは、防草シートの下面側に露出するように設けた基材袋を地山等に接触させることができ、基材袋内に収容した目的種の種子の発芽生育の確実化を図ることができる。
【0017】
請求項3に係る発明の防草緑化シートでは、疎部を基材袋で塞ぐことにより、疎部の防草機能の低さを基材袋で補うことができると共に、疎部の防草機能の低さを利用して、基材袋内に収容した目的種の種子の発芽生育の促進を図ることが可能となる。
【0018】
請求項1に係る発明の防草緑化シートでは、防草シートを構成する経糸の一部(基材袋保持用経糸部)で基材袋を保持するのであり、基材袋の保持に防草シート以外の部材が不要であるので、部材点数の増加によるコストアップの防止を図ることができる。
【0019】
請求項1に係る発明の防草緑化シートでは、疎部に対応する位置に基材袋保持用経糸部を設けるので、疎部を基材袋で塞ぐように配置するのが容易となる。
【0020】
請求項4に係る発明の防草緑化シートでは、防草シートの疎部と基材袋保持用経糸部との間に基材袋を挿入することにより、防草シートに基材袋を保持させることができ、この保持のための作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る防草緑化シートを上側からみた斜視図、(B)は同下側からみた斜視図である。
【
図2】前記防草緑化シートの防草シートの平面図である。
【
図4】(A)は
図2のA部拡大図、(B)は
図3のB部拡大図である。
【
図5】(A)及び(B)は前記防草シートの第1の変形例を示し、それぞれ
図4(A)及び(B)に対応する図である。
【
図6】前記防草シートの第2の変形例を示す平面図である。
【
図7】前記防草シートの第3の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0023】
図1(A)及び(B)に示す防草緑化シートSは、防草シート1に筋状(長尺状)の基材袋2を着脱自在に複数備え、防草と緑化とを同時に図ろうとする法面、平地等の施工対象地に展開した状態で適宜の固定具(アンカーピン等)で固定(敷設)して用いるものである。
【0024】
防草シート1は、
図2及び
図3に示すように、平面視矩形状を呈し、その縦方向(長手方向)であるX方向に間隔をおいてポケット部3を合計三つ有し、各ポケット部3は防草シート1の横方向(短手方向)であるY方向に延び、防草シート1のY方向の一端側から他端側にまで延びる各ポケット部3に対し、基材袋2をその一端側からも他端側からも挿抜自在としてある。
【0025】
斯かる防草緑化シートSでは、防草シート1によって競合種の発芽生育を抑制することができる上、例えば基材袋2内に目的種の種子や肥料等を収容し、かつ基材袋2が目的種の通芽や通根を妨げない(目的種の芽や根が容易に突き破れる)程度の強度を有するものとしておくことによって目的種の発芽生育を促進することができる。また、防草緑化シートSは、防草シート1と基材袋2とのみによって構成することができ、その構成の簡素化によるコストダウンをも期待することができる。
【0026】
基材袋2は防草シート1により少なくともその下面側に露出するように保持される。本例では、ポケット部3の下側を、Y方向(ポケット部3の長手方向)に間隔をあけて並ぶ複数の帯状部4(
図1(B)参照)によって構成してあり、ポケット部3に挿入した基材袋2の下面において帯状部4が接触しない箇所は下面側に露出する。このように構成した防草緑化シートSでは、防草シート1の下面側に露出するように設けた基材袋2を地山等に接触させることができ、基材袋2内に収容した目的種の種子の発芽生育の確実化を図ることができる。
【0027】
また、防草シート1における基材袋2の保持位置(ポケット部3)に、防草機能の低い疎部5を設けてある。ここで、疎部5は、防草シート1における疎部5の周囲の部分より、構成素材の密度が低い、強度が低い、薄い、外力によって変形し易い、といった構造ないし性質の一以上を有し、少なくとも目的種の通芽や生育を妨げ難いようになっていればよい。このように構成した防草緑化シートSでは、疎部5を基材袋2で塞ぐことにより、疎部5の防草機能の低さを基材袋2で補うことができると共に、疎部5の防草機能の低さを利用して、基材袋2内に収容した目的種の種子の発芽生育の促進を図ることが可能となる。
【0028】
図2~
図4に示すように、本例の防草シート1は、経糸6と緯糸7(特に
図4(A)及び(B)参照)を組み合わせてシート状に織成して構成してあり(
図2~
図4では、分かり易さのために、経糸6を黒色、緯糸7を灰色で示してある)、防草シート1の一部に、経糸6が存在し緯糸7が存在しない部分を設けて疎部5としてある。ここで、疎部5はポケット部3の上側に位置し、ポケット部3のX方向の幅よりも疎部5のX方向の幅は小さく、ポケット部3における疎部5のX方向両側には疎部5ではない部分(疎部5以外の部分と防草機能が同等である通常部分)が存在するのであり、換言すれば、ポケット部3の上側におけるX方向の中央全体を疎部5によって構成してある。
【0029】
一方、
図4(B)に示すように、経糸6の一部は、基材袋2を保持する帯状部4を構成する基材袋保持用経糸部6aとしてある。すなわち、基材袋保持用経糸部6aは、経糸6の一部を、防草シート1における疎部5の下方に位置し、緯糸7と絡まず、疎部5をX方向に跨ぐように構成したものである。図示例では、Y方向に連続して並ぶ四つの基材袋保持用経糸部6aが一つの帯状部4を構成しているが、三つ以下又は五つ以上の基材袋保持用経糸部6aが一つの帯状部4を構成するようにしてもよい。
【0030】
このように、防草シート1を構成する経糸6の一部(基材袋保持用経糸部6a)で基材袋2を保持する防草緑化シートSでは、基材袋2の保持に防草シート1以外の部材が不要であるので、部材点数の増加によるコストアップの防止を図ることができる。また、疎部5に対応する位置(疎部5の下方)に基材袋保持用経糸部6aを設けるので、疎部5を基材袋2で塞ぐように配置するのが容易となる。
【0031】
さらに、上述のように、本例の防草緑化シートSでは、ポケット部3に基材袋2を挿抜自在としてあり、つまりはポケット部3の上側を構成する疎部5と下側を構成する基材袋保持用経糸部6aとの間に基材袋2を挟装するようにしてある。このように、疎部5と基材袋保持用経糸部6aとの間に基材袋2を挿入して防草シート1に基材袋2を保持させることができる防草緑化シートSでは、基材袋2の保持のための作業を容易に行える。
【0032】
以下、防草緑化シートSのより具体的な構成について説明する。
【0033】
防草シート1(経糸6及び緯糸7)の外面(少なくとも上面)全体を黒色等の暗色系とすれば、防草シート1が遮光性に優れたものとなり、防草シート1(防草緑化シートS)を地面等に敷設した際に埋土種(雑草)の生育を抑えるという効果を奏する上で有利になるとともに、防草シート1は紫外線劣化しづらく耐候性に優れたものにもなる。また、特に、防草シート1の外面(少なくとも上面)全体を赤外線の吸収性の良い黒色とした場合には、太陽光入射時に防草シート1が昇温し易くなり、その熱により埋土種(雑草)を枯死させ易くなる。
【0034】
ただし、防草シート1において、疎部5またはポケット部3の上側を、暗色系とはせず、白色系にして、太陽光入射時に昇温し難くなるようにしてもよい。
【0035】
防草シート1(経糸6及び緯糸7)の材質は、いわゆるブルーシートに用いられているポリエチレン等と同様のものとすることが考えられる。
【0036】
防草シート1を構成する経糸6及び緯糸7は、例えば共に幅約3mmのフラットヤーンとすることができる。
【0037】
ポケット部3に直径30mmの基材袋2を装着する場合、疎部5のX方向の幅(緯糸7が存在しない筋幅)は約40~50mmとし、基材袋保持用経糸部6a(帯状部4)のX方向の幅(すなわちポケット部3のX方向の幅)は約80mmとし、帯状部4をY方向に約30mmピッチで設けることが考えられる。ここで、経糸6において疎部5を構成する部分と、基材袋保持用経糸部6aとは、ともに緯糸7と絡んでいない(交錯していない)点で共通するが、前者より後者の方が、X方向に長く、かつY方向のピッチも大きい分、ポケット部3に基材袋2を収容したときの浮き具合(変形容易性)が比較的大きくなる。
【0038】
基材袋2には、目的種の植生基(例えば、種子、球根、ランナー等)の他に、肥料、土壌改良材、保水材等、植生基の生育に好適な材料(基材)を収容する。
【0039】
上記構成の防草緑化シートSを施工対象地に敷設するに際して、予め防草シート1の各ポケット部3に基材袋2を装着した状態にしておけば、現地でのこの装着作業の手間が減るのであり、こうした作業の減少は、特に現地が急こう配な法面等の場合に、危険性を減らす上で有利である。また、防草シート1単体は軽量であるが、重量のある基材袋2を防草シート1に一つでも装着しておけば、敷設の際に防草シート1が風で飛ばされ難くなるという効果も得られる。
【0040】
しかし、これに限らず、予め防草シート1のポケット部3の各々に基材袋2を装着しておくのではなく、一部のポケット部3にのみ基材袋2を装着しておくか、全く基材袋2を装着しない状態で現地に搬送し、現地で未装着状態のポケット部3に基材袋2を装着するようにしてもよい。なお、防草シート1が風で飛ばされ難くするという観点からは、防草シート1に予め基材袋2を一つだけでも装着してあるのが好ましい。
【0041】
上記のように構成した防草緑化シートSを法面に敷設した場合、雨水が疎部5からその下側の基材袋2の内部又は外側を経て、地山に供給されるのであり、防草シート1の裏側乾燥により法面が弱くなる(地盤が緩くなる)という防草シート1の弱点を克服でき、この弱点克服のために穴を開けるといった作業も不要である。
【0042】
また、防草緑化シートSを法面に敷設した場合、防草シート1上を流れる雨水の流下速度が大きくなり易いという防草シート1の弱点も、雨水を防水シート1上面から下面側(地山側)へ排水・分散する機能を有する疎部5により克服できる。
【0043】
また、施工対象地に防草緑化シートSを敷設した際の景観低下は、筋状に延びる疎部5に沿って配される基材袋2からの目的種の発芽生育によって達成される筋状緑化で低減できる。しかも、防草緑化シートSでは、競合種の植物(主として雑草)の繁茂が防止されるので、除草の手間や管理コストの軽減、除草作業による怪我等の防止を図ることができる上、ポケット部3(疎部5)どうし、あるいは基材袋2どうしをX方向に適宜に離し、かつ、各ポケット部3(疎部5、基材袋2)を防草シート1のX方向の両端部から離間した位置に設けて筋状緑化を行うことにより、各基材袋2から育つ目的種の植物は、周辺の競合種の植物によって日光が遮られたり被圧されたりし難く、また、X方向に隣接する他の基材袋2から育つ目的種の植物によっても日光が遮られ難くなるので、目的種の植物につき極めて好適な生育環境を整えることが容易となり、ひいては早期緑化にも資するものとなる。
【0044】
また、防草緑化シートSを法面に敷設する際に、疎部5(基材袋2、ポケット部3)の長手方向(Y方向)が等高線に沿うように配した場合、厚みのある基材袋2が山側からの流亡土砂を堰き止めて小段を形成し、いわゆる小段効果により、その小段に飛来植物が定着し易くなる恐れがあるが、上述したように、経糸6において疎部5を構成する部分(ポケット部3の上側)と、基材袋保持用経糸部6a(ポケット部3の下側)とでは、前者より後者の方がポケット部3に基材袋2を収容したときの浮き具合(変形容易性)が比較的大きくなるのであり、つまりはポケット部3の下側よりも上側の方が変形しにくいため、基材袋2の厚みによる防草シート1の変形は下面側に顕著に現れ、上面側には現れ難くなる結果、上記小段が形成され難くなるので、飛来植物の定着、生育を阻害しやすく、目的種の生育が行い易くなる。
【0045】
加えて、基材袋2に対応する箇所に設けた疎部5にはX方向に延びる経糸6は存在するがY方向に延びる緯糸7は存在しないので、流亡土砂は、疎部5に引っ掛かり難く、疎部5上を流下し易くなり、つまりはこの疎部5によっても小段の形成が抑えられることになる。
【0046】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0047】
図1(A)及び(B)の例では、一つの防草シート1に三つのポケット部3を設けてあるが、ポケット部3の数は任意に変更可能である。また、各ポケット部3に収容する基材袋2の数も、一つに限らず二つ以上としてもよい。
【0048】
図1(B)、
図4(B)の例では、経糸6の一部である基材袋保持用経糸部6aによって帯状部4を構成しているが、これに限らず、例えば防草シート1とは別体の筋状部材を防草シート1の下面側に取り付けて帯状部4として構成してもよい。
【0049】
図4(A)及び(B)の例では、防草シート1の一部に、経糸6が存在し緯糸7が存在しない部分を設けて疎部5としてあるが、これに限らず、例えば防草シート1において一部に切り込みを入れる、一部を取り除く等により疎部5を構成してもよい。
【0050】
図4(A)及び(B)に示す疎部5を構成する経糸6は、緯糸7が絡んでいないため、ひらひらと動き易く、この動き易さは、基材袋2をポケット部3に挿入する際に邪魔になる恐れがある。そこで、疎部5を構成する経糸6の動きを抑えるために、
図5(A)及び(B)に示すように、Y方向に延びて疎部5を構成する経糸6と絡み、緯糸7よりも細幅の細糸8を織り込むようにしてもよい。この図示例では、X方向に約10mm間隔でモノフィラメントである細糸8を計四本設けてあり、例えば、太さ約440デシテックス(400デニール。材質は経糸6、緯糸7と同じポリエチレン等とすることができる)のものを細糸8として用いることが考えられる。
【0051】
図3及び
図4(B)の例では、疎部5とポケット部3(基材袋保持用経糸部6a、帯状部4)とはX方向の中心が略一致するようにしてあるが、この場合、防草緑化シートSを法面に敷設する際に、疎部5(基材袋2、ポケット部3)の長手方向(Y方向)が等高線に沿うように配すると、基材袋2が重力によってポケット部3(基材袋保持用経糸部6a、帯状部4)内において法尻寄りに偏った位置で保持され、疎部5の一部(法肩側の部分)が基材袋2で覆われなくなる可能性がある。
【0052】
そこで、この可能性を懸念する場合には、例えば
図6に示すように、疎部5をポケット部3(基材袋保持用経糸部6a、帯状部4)に対してX方向の一方(図示例では下方)に適宜に偏らせて設けることにより、上述のように基材袋2が重力によってポケット部3(基材袋保持用経糸部6a、帯状部4)内において法尻寄りに偏った位置で保持されたときに、その基材袋2によって塞がれるようにしてもよい。
【0053】
あるいは、例えば
図7に示すように、疎部5に対してX方向の一方(図示例では下方)に適宜に偏らせた帯状部4と、他方(図示例では上方)に適宜に偏らせた帯状部4とをY方向に間隔をあけて交互に設けることにより、基材袋2がポケット部3内においてX方向に殆ど偏らずに保持されるようにしてもよい。
【0054】
なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 防草シート
2 基材袋
3 ポケット部
4 帯状部
5 疎部
6 経糸
6a 基材袋保持用経糸部
7 緯糸
8 細糸
S 防草緑化シート