(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】ボトム装置、ベッド装置及びボトム装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A47C 20/08 20060101AFI20250407BHJP
【FI】
A47C20/08 Z
(21)【出願番号】P 2020102727
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2022-11-16
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 誠太郎
(72)【発明者】
【氏名】井原 壽一
(72)【発明者】
【氏名】石本 昭雄
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】小岩 智明
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/171253(WO,A1)
【文献】特開平8-98747(JP,A)
【文献】実開平8-1059(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 20/00-20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰ボトムと、
前記腰ボトムに対して角度を変更可能な背ボトムと、
第1端部が前記腰ボトムに回動可能に連結され、前記背ボトムの角度の変化に伴い、第2端部の前記背ボトムとの相対位置が変化する腰サポートと、
前記背ボトム上に配置され、前記腰サポートの前記第2端部に回動可能に連結された背サポートと、
を備え、
前記背ボトムの角度の変化に伴い、前記背サポートの下面が前記背ボトムの上面に対して摺動
し、
前記第2端部から離れる方向における前記背サポートの剛性は、前記方向における前記腰サポートの剛性よりも低いボトム装置。
【請求項2】
前記背サポートには、前記第1端部に平行な方向に延びる溝が形成されている請求項
1に記載のボトム装置。
【請求項3】
前記背ボトムの角度が所定値未満であるときは、前記腰サポートは前記背ボトム上に重なり、前記背ボトムの角度が前記所定値以上であるときは、前記腰サポートは前記背ボトムから離れる請求項1
または2に記載のボトム装置。
【請求項4】
前記背ボトムの角度が増加するときに、前記背ボトムは前記腰ボトムから離れる方向に移動すると共に、上方に移動する請求項1~
3のいずれか1つに記載のボトム装置。
【請求項5】
前記腰ボトムに回動可能に連結された膝ボトムと、
前記膝ボトムに回動可能に連結された膝サポートと、
前記膝サポートに回動可能に連結された足ボトムと、
をさらに備え、
前記膝サポートは、前記膝ボトムから前記足ボトムに向かう方向に沿って複数の部分で屈曲可能である請求項1~
4のいずれか1つに記載のボトム装置。
【請求項6】
前記膝サポートには、前記第1端部に平行な方向に延びる溝が形成されている請求項
5に記載のボトム装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1つに記載のボトム装置と、
前記ボトム装置を支持するフレームと、
を備えたベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ボトム装置、ベッド装置及びボトム装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド装置においては、ボトム装置を駆動することにより、使用者を様々な姿勢に誘導することができる。ボトム装置は、使用者を適切な姿勢に誘導することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、使用者を適切な姿勢に誘導可能なボトム装置、ベッド装置及びボトム装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るボトム装置は、腰ボトムと、前記腰ボトムに対して角度を変更可能な背ボトムと、第1端部が前記腰ボトムに回動可能に連結され、前記背ボトムの角度の変化に伴い、第2端部の前記背ボトムとの相対位置が変化する腰サポートと、を備える。
【0006】
実施形態に係るベッド装置は、前記ボトム装置と、前記ボトム装置を支持するフレームと、を備える。
【0007】
実施形態に係るボトム装置の制御方法は、腰ボトムと、前記腰ボトムに対して角度を変更可能な背ボトムと、少なくとも一部が前記背ボトムに重なるように設けられ、前記背ボトムの角度の変化に伴い角度が変化する腰サポートと、を備えたボトム装置の制御方法である。前記制御方法において、前記背ボトムの角度を増大させると共に、使用者の骨盤を立たせるよう、前記腰サポートの角度を増大させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、使用者を適切な姿勢に誘導可能なボトム装置、ベッド装置及びボトム装置の制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)~(c)は、第1の実施形態に係るボトム装置を示す図であり、(a)は寝位置を示し、(b)は起き上がり位置を示し、(c)は背上げ機構の例を示し、(d)は背ボトムと腰サポートの係合部分の例を示す。
【
図2】(a)及び(b)は、起き上がり位置における使用者の状態を示す図であり、(a)は第1の実施形態を示し、(b)は比較例を示す。
【
図3】(a)及び(b)は、第2の実施形態に係るベッド装置を示す図であり、(a)は寝位置を示し、(b)は起き上がり位置を示す。
【
図4】(a)は第2の実施形態における背サポートを示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A’線による断面図であり、(c)は背サポートが湾曲した状態を示す断面図である。
【
図5】第2の実施形態における背ボトム、背サポート及び腰サポートの係合部分を示す図である。
【
図6】(a)は第2の実施形態における膝サポートを示す平面図であり、(b)は(a)に示すB-B’線による断面図であり、(c)は膝サポートが湾曲した状態を示す断面図である。
【
図7】(a)は身長が高い使用者が第2の実施形態に係るボトム装置を使用した状態を示し、(b)は身長が低い使用者が第2の実施形態に係るボトム装置を使用した状態を示し、(c)は身長が高い使用者が比較例に係るボトム装置を使用した状態を示し、(d)は身長が低い使用者が比較例に係るボトム装置を使用した状態を示し、(e)は身長が高い使用者が比較例に係るボトム装置を不適切に使用した状態を示し、(f)は身長が低い使用者が比較例に係るボトム装置を不適切に使用した状態を示す。
【
図8】第3の実施形態に係るベッド装置を示す斜視図である。
【
図9】第3の実施形態に係るボトム装置を示す分解側面図である。
【
図10】第3の実施形態に係るボトム装置を示す側面図である。
【
図11】(a)~(c)は、第3の実施形態に係るボトム装置を示す側面図であり、(a)は背ボトムの角度が0°である場合を示し、(b)は15°の場合を示し、(c)は30°の場合を示す。
【
図12】(a)~(c)は、第3の実施形態に係るボトム装置を示す側面図であり、(a)は背ボトムの角度が45°である場合を示し、(b)は60°である場合を示し、(c)は75°である場合を示す。
【
図13】第3の実施形態に係るベッド装置の制御方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1(a)~(c)は、本実施形態に係るボトム装置を示す図であり、(a)は寝位置を示し、(b)は起き上がり位置を示し、(c)は背上げ機構の例を示し、(d)は背ボトムと腰サポートの係合部分の例を示す。
図2(a)及び(b)は、起き上がり位置における使用者の状態を示す図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は比較例を示す。
【0011】
なお、各図は模式的なものであり、適宜、強調、簡略化又は省略されている。例えば、実際のベッド装置においては、ボトム装置と使用者との間にマットレスが介在するが、多くの図でマットレスは図示を省略している。また、実際の製品においては、各部品の形状はより複雑である。後述する他の図においても同様である。
【0012】
図1(a)~(c)に示すように、本実施形態に係るボトム装置1においては、背ボトム10、腰サポート30、及び、腰ボトム40が設けられている。なお、ボトム装置1には、膝ボトム及び足ボトムも設けられているが、本実施形態においては省略する。
【0013】
背ボトム10、腰サポート30、及び、腰ボトム40はこの順に配置されている。すなわち、腰サポート30は、背ボトム10と腰ボトム40の間に配置されている。以下、背ボトム10から腰ボトム40に向かう方向を「足側」といい、腰ボトム40から背ボトム10に向かう方向を「頭側」という。
【0014】
例えば、腰ボトム40は後述するフレームに固定されているので、角度は変わらない。本明細書において、「ボトムの角度」とは、ボトムの上面と床面とのなす角度をいい、水平は0°であり、垂直は90°である。腰ボトム40の角度は、例えば、0°である。背ボトム10の角度は、例えば、0°~75°の範囲で調整可能である。したがって、背ボトム10は、腰ボトム40に対して角度を変更可能である。
【0015】
腰サポート30の足側の端部31(第1端部)は、腰ボトム40の頭側の端部41に回動可能に連結されている。例えば、腰サポート30と腰ボトム40とは、柔軟性のある薄い樹脂シートによって連結されている。これにより、樹脂シートが変形又は屈曲することによって、腰サポート30は腰ボトム40に対して回動可能となる。腰サポート30の頭側の端部32(第2端部)は、背ボトム10の上面10aに接触しているが、背ボトム10に連結されてはいない。
【0016】
本実施形態に係るボトム装置1においては、背ボトム10の角度を制御する背上げ機構の自由度が高い。すなわち、背ボトム10がどのような動き方をしても、腰サポート30の長さを適切に設定しておけば、背ボトム10と腰ボトム40との間で腰サポート30がブリッジとなるため、背ボトム10と腰サポート30と腰ボトム40で一連の連続した支持体を構成できる。
図1(c)に示す例では、背ボトム10の裏側に配置された2本のバー13及び14によって、背ボトム10の角度を制御しつつ、腰ボトム40から背ボトム10が離れていく動きをする。
【0017】
次に、本実施形態に係るボトム装置の動作について説明する。
図1(a)に示すように、ボトム装置1が寝位置にあるときは、背ボトム10の角度は例えば0°である。このとき、腰サポート30の頭側の端部32は、背ボトム10の足側の端部11上に乗り上げており、端部11に接触している。
【0018】
なお、腰サポート30は、
図1(a)に示すように、背ボトム10の上面10aから突出していてもよいが、
図1(d)に示すように、背ボトム10の端部11と腰サポート30の端部32を薄くすることにより、端部32の上面が上面10aと同じ高さになるようにしてフラットな面を構成してもよく、上面10aよりも低い位置に配置されるようにしてもよい。いずれの場合も、腰サポート30の端部32は背ボトム10の端部11に接している。
【0019】
図1(b)に示すように、ボトム装置1を寝位置から起き上がり位置に移行させる場合には、背ボトム10の角度を増加させる。このとき、腰サポート30の端部32は背ボトム10に接触しており、腰サポート30の端部31は腰ボトム40に回動可能に連結されているため、背ボトム10の角度の増加に伴い、腰サポート30の端部32が背ボトム10に押され、腰サポート30が回動する。このとき、端部32は背ボトム10に対して摺動し、背ボトム10との相対位置が変化する。すなわち、腰サポート30の端部32は背ボトム10の上面10aに接触しながら、上面10aにおける接触位置が変化する。これにより、腰サポート30の角度が増加する。
【0020】
図2(a)に示すように、本実施形態に係るボトム装置1によれば、ボトム装置1が寝位置から起き上がり位置に移行するときに、背ボトム10の角度の増加に伴って、腰サポート30の角度も増加する。これにより、使用者Uの骨盤Upが腰サポート30によって押され、使用者Uは骨盤Upを立てた状態で起き上がることができる。これにより、使用者Uを適切な座位姿勢に誘導することができる。
【0021】
使用者Uが骨盤Upを立てた状態で起き上がることにより、以下の利点がある。
使用者Uにとっては、腹部の圧迫が少ないため、呼吸が楽になる。また、腹部の圧迫が少ないため、食事をしやすい。更に、仙骨でなく座骨で体重を受けるので、縟瘡リスクを低減できる。
一方、介護者にとっても、使用者Uの上体の可動域が広くなるため、使用者Uを動かしやすくなる。例えば、介助リフトのスリングシートを装着させやすい。
【0022】
これに対して、
図2(b)に示すように、比較例に係るボトム装置201においては、腰サポート30が設けられていない。このため、ボトム装置201が寝位置から起き上がり位置に移行するときに、使用者Uは背ボトム10によって背中Ubを押されて起き上がるものの、骨盤Upは押されないため、使用者Uが足側にずれ、骨盤Upは起立しない。このため、使用者Uは猫背の状態で座位姿勢を取る可能性が高い。
【0023】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態に係るボトム装置1によれば、背ボトム10の角度を増加させると、腰サポート30の端部32が背ボトム10に押されて摺動すると共に、端部31を回動軸として腰ボトム40に対して回動するため、腰サポート30の角度も増加する。これにより、使用者Uが腰サポート30によって骨盤Upを押され、骨盤Upを立てた座位姿勢に誘導される。
【0024】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図3(a)及び(b)は、本実施形態に係るベッド装置を示す図であり、(a)は寝位置を示し、(b)は起き上がり位置を示す。
【0025】
図3(a)に示すように、本実施形態に係るベッド装置102においては、フレーム120及びボトム装置2が設けられている。フレーム120はボトム装置2を支持している。
【0026】
ボトム装置2においては、背ボトム10、背サポート20、腰サポート30、腰ボトム40、膝ボトム50、膝サポート60、及び、足ボトム70が設けられており、頭側から足側に向かって、この順に配置されている。背ボトム10、腰サポート30、及び、腰ボトム40の構成は、第1の実施形態と同様である。背ボトム10、腰サポート30、腰ボトム40、膝ボトム50、及び、足ボトム70は、それぞれ、例えば、複数の部品が一体的に組み合わされた板状の部材である。
【0027】
背ボトム10の位置及び角度は、背ボトム10の下面10bに連結されたアクチュエータ(図示せず)によって制御される。アクチュエータは、背ボトム10の角度を増加させるときには、背ボトム10を頭側、すなわち、腰ボトム40から離れる方向に移動させると共に、上方に移動させる。
【0028】
背サポート20の足側の端部22は、腰サポート30の頭側の端部32に回動可能に連結されている。背サポート20の頭側の端部21は、どこにも連結されていない。背サポート20は、背ボトム10上に配置されており、背ボトム10における足側の部分に重ねられている。背サポート20の下面20bは、使用者Uが寝ている状態で、背ボトム10の上面10aに接触しているが、背ボトム10に連結されてはいない。このため、腰サポート30と同様に、背ボトム10の角度の変化に伴い、背サポート20の下面20bは背ボトム10の上面10aに対して摺動する。なお、背サポート20の長さは任意であり、背ボトム10がどのような角度であっても背サポート20の一部が背ボトム10の上面10aに重なるような長さであればよい。
【0029】
足側から頭側に向かう方向(以下、「ベッド長手方向」という)、すなわち、端部32から離れる方向において、背サポート20の剛性は、腰サポート30の剛性よりも低い。このため、背ボトム10の角度が増加し、背サポート20及び腰サポート30が背ボトム10により押圧されたときに、腰サポート30はほとんど湾曲しないが、背サポート20はベッド長手方向に沿って厚さ方向に僅かに湾曲する。なお、本実施形態では、腰サポート30はほとんど湾曲しないが、ある程度湾曲してもよいし、背サポート20は僅かに湾曲するが、湾曲しなくてもよい。
【0030】
図4(a)~(c)は、背サポート20の構成の一例を示す。
図4(a)は本実施形態における背サポートを示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A’線による断面図であり、(c)は背サポートが湾曲した状態を示す断面図である。
【0031】
背サポート20は、全体が柔軟性がある樹脂材料により形成されている。
図4(a)及び(b)に示すように、背サポート20においては、背サポート20の上面20a側から、ベッド長手方向に直交する水平方向(以下、「ベッド幅方向」という)に延びる溝24が複数本、例えば3本形成されている。ベッド幅方向は、腰サポート30の足側の端部31に平行な方向である。
【0032】
複数本の溝24は、ベッド長手方向に配列されている。ベッド幅方向から見て、各溝24の形状は、上辺が下辺よりも長い逆台形状である。このため、ベッド幅方向から見て、背サポート20における溝24間の部分25の形状は、下辺が上辺よりも長い台形状である。溝24が3本形成されているため、部分25は4つ形成されている。
【0033】
背サポート20における溝24の底部に位置する部分26には、背サポート20を貫通する貫通孔27が形成されている。例えば、各部分26には、2つの貫通孔27が形成されており、ベッド幅方向に沿って配列されている。貫通孔27のベッド幅方向における長さは、ベッド長手方向における長さよりも長い。
【0034】
背サポート20における溝24の底部に位置する部分26は、溝24間の部分25と比較して、厚さが薄い上に貫通孔27が形成されているため、剛性が低い。このため、
図4(c)に示すように、背サポート20は、ベッド長手方向に関しては、部分26において屈曲しやすい。一方、ベッド幅方向に関しては、屈曲しやすい部分が存在しない。
【0035】
この結果、背サポート20は、全体として、ベッド長手方向においては剛性が相対的に低く、上面20aが凹面となり、下面20bが凸面となるように湾曲しやすいが、ベッド幅方向においては剛性が相対的に高く、湾曲しにくい。ベッド長手方向における背サポート20の剛性は、ベッド長手方向における腰サポート30の剛性よりも低い。また、背サポート20は、貫通孔27が形成されているため、通気性が良好である。
【0036】
図5は、本実施形態における背ボトム、背サポート及び腰サポートの係合部分を示す図である。
図5に示すように、本実施形態においては、背ボトム10の足側の端部11が背ボトム10の他の部分よりも薄くなっている。また、腰サポート30の頭側の端部32が腰サポート30の他の部分よりも薄くなっている。そして、端部11の厚さと端部32の厚さの合計が、背ボトム10における端部11以外の部分、及び、腰サポート30における端部32以外の部分の厚さと略等しくなっている。また、背サポート20の厚さは、端部32の厚さと略同じである。
【0037】
これにより、背ボトム10から腰サポート30にかけて、略均一な厚さの構造体を実現することができる。この結果、この上にマットレスを介して使用者Uが寝たときに、違和感を覚えることを抑制できる。
【0038】
図3(a)に示すように、例えばボトム装置2が寝位置にあり、背ボトム10の角度が所定値未満であるときは、腰サポート30における頭側の部分は、背ボトム10上に重なっている。また、背サポート20は全体が背ボトム10上に重なっている。このため、背ボトム10と、腰サポート30及び背サポート20とが重なった部分は、全体として剛性が高い。
【0039】
一方、
図3(b)に示すように、例えばボトム装置2が起き上がり位置にあり、背ボトム10の角度が所定値以上であるときは、腰サポート30は背ボトム10から離れ、背ボトム10と腰サポート30との間は、背サポート20によってブリッジされる。上述の如く、背サポート20の剛性は低いため、背ボトム10から腰サポート30にかけての部分は、使用者Uの体重によってしなり、使用者Uを包み込むように変形する。
【0040】
図3(a)に示すように、腰ボトム40はフレーム120に固定されている。フレーム120が上下動可能である場合には、腰ボトム40もフレーム120と共に上下動可能である。また、腰ボトム40の側面には、寝位置表示ラベル43が設けられている。
【0041】
膝ボトム50の頭側の端部51は、腰ボトム40の足側の端部42に回動可能に連結されている。膝ボトム50の角度は、アクチュエータによって制御可能である。
【0042】
膝サポート60の頭側の端部61は、膝ボトム50の足側の端部52に回動可能に連結されている。膝サポート60は、ベッド長手方向に沿って複数の部分で屈曲可能である。足ボトム70の頭側の端部71は、膝サポート60の足側の端部62に回動可能に連結されている。アクチュエータによって膝ボトム50の角度が変化すると、これに従動して、膝サポート60及び足ボトム70の位置及び角度も変化する。
【0043】
図6(a)~(c)は、膝サポート60の構成の一例を示す。
図6(a)は本実施形態における膝サポートを示す平面図であり、(b)は(a)に示すB-B’線による断面図であり、(c)は膝サポートが湾曲した状態を示す断面図である。
【0044】
膝サポート60は、全体が柔軟性がある樹脂材料により形成されている。
図6(a)及び(b)に示すように、膝サポート60においては、膝サポート60の下面60b側から、ベッド幅方向に延びる溝64が複数本、例えば2本形成されている。
【0045】
複数本の溝64は、ベッド長手方向に配列されている。ベッド幅方向から見て、各溝64の形状は、下辺が上辺よりも長い台形状である。このため、ベッド幅方向から見て、膝サポート60における溝64間の部分65の形状は、上辺が下辺よりも長い逆台形状である。
【0046】
膝サポート60における溝64の底部に位置する部分66には、膝サポート60を貫通する貫通孔67が形成されている。例えば、各部分66には、2つの貫通孔67が形成されており、ベッド幅方向に沿って配列されている。貫通孔67のベッド幅方向における長さは、ベッド長手方向における長さよりも長い。
【0047】
膝サポート60における溝64の底部に位置する部分66は、溝64間の部分65と比較して、厚さが薄く貫通孔67が形成されているため、剛性が低い。このため、
図6(c)に示すように、膝サポート60は、ベッド長手方向に関しては、部分66において屈曲しやすい。一方、ベッド幅方向に関しては、屈曲しやすい部分が存在しない。
【0048】
この結果、膝サポート60は、全体として、ベッド長手方向においては剛性が相対的に低く、上面60aが凸面となり、下面60bが凹面となるように湾曲しやすいが、ベッド幅方向においては剛性が相対的に高く、湾曲しにくい。また、膝サポート60は、貫通孔67が形成されているため、通気性が良好である。
【0049】
このように、膝サポート60自体は、例えば2ヶ所の部分66において屈曲する。また、膝ボトム50の端部52と膝サポート60の端部61とは回動可能であり、膝サポート60の端部62と足ボトム70の頭側の端部71とも回動可能である。このため、膝サポート60は、膝ボトム50と足ボトム70との間において、合計4ヶ所で屈曲することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係るベッド装置の動作について説明する。
図3(a)に示すように、ボトム装置2が寝位置にあるときは、背ボトム10の角度は例えば0°である。このとき、腰サポート30の頭側の端部32は、背ボトム10の足側の端部11上に乗り上げており、端部11に接触している。また、端部32に連結された背サポート20も背ボトム10上に乗り上げており、背ボトム10に接触している。そして、使用者Uは、寝位置表示ラベル43が設けられた位置に大転子の位置を合わせて、ボトム装置2上にマットレスを介して寝た状態である。使用者Uが、寝位置表示ラベル43が設けられた位置に大転子位置を合わせて寝た状態で、背ボトム10が上がるときに、腰サポート30により骨盤Upが立ち、ずれや圧迫が軽減される。
【0051】
このように、ボトム装置2が寝位置にあるときは、背ボトム10の足側の部分に、腰サポート30の一部及び背サポート20の全体が重なる。このため、この部分の剛性は高い。ボトム装置2が寝位置にあり、使用者Uが寝姿勢をとるときは、背ボトム10の足側部分が使用者Uの背中を受け止めるため、大きな荷重がかかる。このため、この部分の剛性を高めることにより、使用者に安定感を与えることができる。
【0052】
図3(b)に示すように、ボトム装置2を寝位置から起き上がり位置に移行させるときは、アクチュエータが背ボトム10の角度を増加させると共に、背ボトム10を頭側に移動させ、背ボトム10の上面10aに沿って上方にも移動させる。
【0053】
このとき、背サポート20及び腰サポート30の端部32は背ボトム10に接触しており、腰サポート30の端部31は腰ボトム40に対して回動可能に連結されている。このため、背ボトム10の角度の増加に伴い、背サポート20及び腰サポート30の端部32が背ボトム10に押され、背ボトム10に対して相対的に上方に摺動する。これにより、腰サポート30の角度が増加する。このとき、背サポート20は腰サポート30の頭側の端部32に回動可能に連結されていると共に、背サポート20自体が外力に応じて湾曲できる。これにより、背サポート20の下面20bが背ボトム10の上面10aに面状に接触し、背ボトム10の上面10a上を滑らかに移動することができる。
【0054】
また、背ボトム10の角度が所定値以上になると、背サポート20は背ボトム10に接しているものの、腰サポート30は背ボトム10から離れる。したがって、腰サポート30は背ボトム10に重ならなくなり、腰サポート30と背ボトム10との間は、比較的剛性が低い背サポート20によってブリッジされる。このため、背ボトム10の足側の部分から腰サポート30までの部分は、全体として剛性が低くなる。この結果、使用者Uの体重によってこの部分がしなり、使用者Uの上半身を包み込むように変形する。これにより、使用者Uとボトム装置2との(マットレスを介した)接触面積が増加し、ずれや圧迫を軽減できる。また、背ボトム10の角度が同じでも、荷重によって背サポート20の形状が変わり、腰サポート30の角度が変わる。これにより、使用者Uのホールド感が向上する。
【0055】
このようにして、背ボトム10の角度が増加すると、背ボトム10が使用者Uの背中Ubを押すと共に、腰サポート30が使用者Uの骨盤Upを押し、使用者Uを骨盤Upを立てた状態で起き上がらせることができる。これにより、使用者Uを適切な座位姿勢に誘導することができる。一例では、背ボトム10の角度が30°以上になると、腰サポート30の角度が増加し始め、使用者Uの骨盤Upを立てていく。このとき、腰サポート30は、使用者Uの骨盤Upを支える。また、背サポート20は、使用者Uの胸郭若しくは腰椎、又は、胸郭及び腰椎の双方を支える。なお、背下げ時には、この動作が逆になる。
【0056】
一方、膝ボトム50が腰ボトム40に対して回動し、膝ボトム50の足側の端部52が頭側の端部51よりも上方に変位する。これに伴い、膝サポート60が上に凸になるように湾曲し、足ボトム70の頭側の端部71が上昇する。これにより、使用者Uの膝Ukが持ち上げられる。この結果、背ボトム10の動作による使用者Uの起き上がりに起因して、使用者Uの身体が足側にずれることを防止できる。
【0057】
このとき、膝ボトム50と足ボトム70との間には膝サポート60が設けられており、膝サポート60は、膝ボトム50との連結部分及び足ボトム70との連結部分も含めて、複数の部分で屈曲することができる。これにより、膝ボトム50から足ボトム70にわたって、上に凸の大きなアーチを形成できる。この結果、使用者Uの体格によらず、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70を、使用者Uの下半身によりフィットさせることができる。
【0058】
以下、この動作について、詳細に説明する。
図7(a)~(f)は、膝サポートの効果を比較例と比較して示している。
図7(a)は身長が高い使用者UTが本実施形態に係るボトム装置2を使用した状態を示し、(b)は身長が低い使用者USが本実施形態に係るボトム装置2を使用した状態を示し、(c)は身長が高い使用者UTが比較例に係るボトム装置202を使用した状態を示し、(d)は身長が低い使用者USが比較例に係るボトム装置202を使用した状態を示し、(e)は身長が高い使用者UTが比較例に係るボトム装置202を不適切に使用した状態を示し、(f)は身長が低い使用者USが比較例に係るボトム装置202を不適切に使用した状態を示す。
【0059】
図7(a)に示すように、身長が高い使用者UTが本実施形態に係るボトム装置2を使用した場合は、膝ボトム50と膝サポート60との間、膝サポート60の各部分66、及び、膝サポート60と足ボトム70との間が屈曲し、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70にわたって、上に凸の大きなアーチが形成される。このアーチにより使用者UTの下腿が足ボトム70に接することで、使用者UTの下半身にフィットすることができる。
【0060】
図7(b)に示すように、身長が低い使用者USが本実施形態に係るボトム装置2を使用した場合も、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70にわたって大きなアーチが形成され、このアーチの頭側の部分が、身長が低い使用者USの膝裏に当接し、使用者USの下腿がアーチに乗ることで、使用者UTの下半身にフィットすることができる。
【0061】
一方、比較例に係るボトム装置202においては、長さが相互に異なる2種類の膝ボトム50L及び50Sを用意する。そして、使用者の身長に合わせて、膝ボトムを交換する。
すなわち、
図7(c)に示すように、身長が高い使用者UTが比較例に係るボトム装置202を使用する場合は、ボトム装置202に長い膝ボトム50Lを装着する。
一方、
図7(d)に示すように、身長が低い使用者USが比較例に係るボトム装置202を使用する場合は、ボトム装置202に短い膝ボトム50Sを装着する。
【0062】
なお、
図7(e)に示すように、身長が高い使用者UTが短い膝ボトム50Sを使用すると、領域Cに示すように、ふくらはぎの裏に空間ができ、下肢はかかとでマットレス80に点接触する。このため、使用者UTの位置が安定しない。
また、
図7(f)に示すように、身長が低い使用者USが長い膝ボトム50Lを使用すると、膝裏が膝ボトム50上に位置するため、膝を曲げることができず、下肢が足ボトム70から離れて宙に浮いてしまう。この結果、使用者USにとってつらい姿勢となる。また、この姿勢のまま背上げすると、身体が足側にずれやすい。
【0063】
このように、比較例に係るボトム装置202を使用する場合は、使用者の身長に合わせて膝ボトムを交換する手間が発生する。また、不使用の膝ボトムを収納するスペースが必要となる。更に、使用者の身長によっては、用意してある膝ボトムがうまくフィットしない場合もある。
【0064】
これに対して、本実施形態によれば、使用者の身長によらず、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70を、使用者の下半身に確実にフィットさせることができる。
【0065】
なお、上述の背上げ動作及び膝上げ動作のタイミングを制御することにより、様々な効果を得ることができる。例えば、使用者Uを寝姿勢から座位姿勢に移行させるためは、以下のステップが有効である。
【0066】
(ステップ1)寝位置から背ボトム10と膝ボトム50を同時に上げ始める。
(ステップ2)膝ボトム50が最大角度に達したら停止し、使用者Uの膝を止める。一方、背ボトム10は更に角度を上げ、使用者Uの背中を上げる。
(ステップ3)背ボトム10をそのまま上げ続け、膝ボトム50は下げ始める。
(ステップ4)背ボトム10が最大角度になるタイミングで、膝ボトム50を0°にする。
【0067】
このように、ステップ1から4のとおりに制御すれば、ずれと圧迫を抑えながら、腰サポート30が上がるので、使用者Uの座位姿勢がより良好になる。また、ステップの途中で、各部位がいったん動きを止めてもよいし、最終的に背ボトム10が最大角度になる前に、膝ボトム50が0°になることが無ければ、なおよい。
【0068】
また、使用者Uを寝姿勢から起き上がり姿勢に移行させるためには、以下のステップが有効である。
【0069】
(ステップ1)寝位置から背ボトム10と膝ボトム50を同時に上げ始める。
(ステップ2)膝ボトム50が20°に達したら停止し、背ボトム10はそのまま上げ続ける。
(ステップ3)背ボトム10が40°になるタイミングで膝ボトム50を0°まで下げる。
(ステップ4)背ボトム10を最大角度まで上げる。
【0070】
このようにすれば、ステップ3で背ボトム10が40°の低角度の段階で膝ボトム50を0°とすることにより、使用者Uに起き上がり・立ち上がりを意図させ、また、ステップ4で腰サポート30により骨盤が立ち上がり、動きやすくなるため、使用者Uが離床動作に移行しやすくなる。また、ステップの途中で、各部位がいったん動きを止めてもよいし、最終的に背ボトム10が最大角度になる前に、膝ボトム50が0°になることが無ければ、なおよい。低角度は40°には限らず、約30°から約50°の間で、適宜変更することが可能である。
【0071】
なお、このような背ボトム10の背上げ動作は、スマートフォンアプリで操作することも可能である。この場合、操作者はベッド装置102の使用者Uであってもよく、使用者Uの家族や医療介護従事者であってもよい。
【0072】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、背ボトム10の角度を増加させたときに、腰サポート30の角度も増加し、腰サポート30が使用者Uの骨盤Upを押す。これにより、使用者Uを骨盤Upを立てた座位姿勢に誘導することができる。この結果、使用者Uは骨盤Upが立った適切な起き上がり姿勢をとることができる。
【0073】
また、本実施形態においては、腰サポート30に背サポート20が回動可能に連結されており、背サポート20自体も湾曲可能である。このため、背ボトム10に背サポート20が面状に接触し、背ボトム10に対して腰サポート30及び背サポート20を滑らかに摺動させることができる。なお、背サポート20を設ける場合は、腰サポート30の端部32は必ずしも背ボトム10に接触していなくてもよい。この場合でも、背ボトム10の角度の変化に伴い、背サポート20に連動して端部32の位置が変化する。
【0074】
更に、本実施形態においては、ボトム装置2が寝位置のときは、背ボトム10に腰サポート30及び背サポート20が重なり、全体として高い剛性を実現するため、使用者Uに安定感を与えることができる。また、起き上がり位置のときは、腰サポート30が背ボトム10から離れ、背ボトム10と腰サポート30との間は剛性が低い背サポート20によってブリッジされる。このため、この部分が使用者Uの体重に変形してホールド感を高め、ずれや圧迫を軽減することができる。
【0075】
更にまた、本実施形態においては、膝ボトム50と足ボトム70との間に膝サポート60が設けられており、膝サポート60はベッド長手方向に沿って複数の部分66で屈曲可能である。このため、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70によって上に凸の大きなアーチを形成できる。これにより、使用者Uの身長によらず、膝ボトム50、膝サポート60及び足ボトム70からなるアーチのいずれかの部分を使用者Uの膝裏当接させることができる。この結果、長さが異なる複数の膝ボトム50を用意し、使用者に応じて交換する必要がない。
【0076】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜視図である。
図9は、本実施形態に係るボトム装置を示す分解側面図である。
図10は、本実施形態に係るボトム装置を示す側面図である。
図11(a)~(c)は、本実施形態に係るボトム装置を示す側面図であり、(a)は背ボトムの角度が0°である場合を示し、(b)は15°の場合を示し、(c)は30°の場合を示す。
図12(a)~(c)は、本実施形態に係るボトム装置を示す側面図であり、(a)は背ボトムの角度が45°である場合を示し、(b)は60°である場合を示し、(c)は75°である場合を示す。
本実施形態は、第2の実施形態に係るベッド装置を具現化した例である。
【0077】
図8~
図10に示すように、本実施形態に係るベッド装置103においては、ベースフレーム130、フレーム131、ヘッドボード132、フットボード133、アクチュエータ134、及び、ボトム装置3が設けられている。
【0078】
ベースフレーム130は床面に設置され、フレーム131を支持している。ベースフレーム130はフレーム131の高さ及び角度を調整することができる。フレーム131の頭側の端部には、ヘッドボード132が取り付けられている。また、フレーム131の足側の端部には、フットボード133が取り付けられている。フレーム131は、アクチュエータ134及びボトム装置3を支持している。アクチュエータ134は、ボトム装置3の背ボトム10の位置及び角度、並びに、膝ボトム50の角度を制御する。
【0079】
ボトム装置3の構成は、第2の実施形態に係るボトム装置2の構成と同様である。ボトム装置3の腰ボトム40は、フレーム131に固定されている。なお、背ボトム10、腰サポート30、腰ボトム40、膝ボトム50、及び、足ボトム70には、背サポート20及び膝サポート60と同様に、貫通孔が設けられていてもよい。これにより、通気性の向上及び軽量化を図ることができる。
【0080】
また、腰サポート30には、背サポート20と同様に、ベッド幅方向に延びる溝及び貫通孔が形成されていてもよい。これにより、腰サポート30もある程度、ベッド長手方向に沿って湾曲することができる。これにより、腰サポート30自体も使用者Uの体重に応じて変形し、ホールド感をより一層高めることができる。
【0081】
ベッド装置103におけるボトム装置3の背上げ動作は、
図11(a)~
図12(c)に示すとおりである。
【0082】
ベッド装置103は、例えば、ケーブルでベッドと接続された手元スイッチにより操作することができる。手元スイッチには、フレーム131(及び腰ボトム40)の昇降、並びに、背ボトム10及び膝ボトム50の角度の上げ・下げを操作するための押しボタンが設けられている。操作者は、手元スイッチの押しボタンを操作することにより、フレーム131を昇降したり、背ボトム10や膝ボトム50を上げたり、下げたりすることができる。
【0083】
また、手元スイッチには、背ボトム10や膝ボトム50を共に操作することができる連動ボタンが設けられていてもよい。操作者は、連動ボタンを操作することにより、背ボトム10及び膝ボトム50を一つのボタンで操作することができる。背ボトム10と膝ボトム50が連動して動くことにより、例えばずれを抑制するなどして、ベッド操作に伴うベッド上の使用者Uの負担を軽減することができる。また、ワンタッチ操作で食事やテレビ視聴などに最適なベッド姿勢に変更することができる。逆に、ワンタッチ操作で就寝に最適なベッド姿勢に復帰できる。
【0084】
このようなベッド操作は、無線で接続されたスマートフォンのアプリを通じて実現することも可能である。ベッド操作の専用アプリには、ベッド姿勢のイメージ画面と、この姿勢を変更するための手元スイッチの操作ボタンを模したタッチ操作領域が設けられる。ベッド姿勢のイメージ画面には、ベッド装置103のフレーム131の高さ、背ボトム10、膝ボトム50の角度が数値表示されると共に、背ボトム10、膝ボトム50の角度に対応したベッドの横からみたボトム姿勢がイメージ表示される。タッチ操作領域には、フレーム131の昇降、背ボトム10や膝ボトム50の角度の変更、又は、背ボトム10と膝ボトム50の連動を操作するための押しボタンを模したボタン画像が表示される。
【0085】
操作者は、ボタン画像を指でタッチすることにより、ベッドの動きを画面で確認しながら、フレーム131の昇降や、背ボトム10及び膝ボトム50の角度を変更するよう操作できる。ボタン画像のタッチ操作は、操作者がタッチ画面を押し続けることによりベッド操作を続けることができるが、一度タッチしたら動作開始(継続)、次にタッチしたら動作終了(継続)、再度タッチしたら改めて動作開始(継続)するトグル操作を採用してもよい。
【0086】
また、利用者の好みや、補助が必要な度合いに応じて、背上げ角度やベッドの高さなどを記憶する「メモリポジション機能」を備えることも可能である。記憶された背上げ角度やベッド高さを一つまたは複数のメモリ領域に記憶して、これらのメモリ領域に対応するボタンを画面に表示することにより、同メモリ領域に記憶した背上げ角度やベッド高さにワンタッチでベッド姿勢を変更することができる。
【0087】
また、ベッド操作に用いるスマートフォンのアプリには、手元スイッチとの通信機能が設けられていてもよい。ベッド利用者が手元スイッチの「呼出しボタン」を押して、スマートフォンのアプリを通じて「呼び出し音」を鳴らすことができる。このようなベッド操作アプリを搭載したスマートフォンとベッドとの無線接続は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線方式を利用して実現することができる。
【0088】
介護ベッドなどの電動ベッドでは、介護される使用者Uの寝姿勢や身体状態を確認して、安全にベッド操作することが求められる。そのため、原則的には、スマートフォンのアプリでベッドを操作する場合にも、ベッドの動作状態を直接確認できる程度の近距離で操作することが望ましい。
【0089】
一方、もっと広範囲のインターネット公衆網(携帯電話ネットワークなど)を経由して、スマートフォンのアプリで電動ベッドを操作することも可能である。ただし、その場合にも、ベッド利用者(使用者U)の安全性を確保するため、例えば使用者Uやベッドの動画像をリアルタイムで確認しながらスマートフォンのアプリを操作するなどの対策が必要である。
【0090】
図13は、本実施形態に係るベッド装置の制御方法の一例を示すフロー図である。
(ステップ1)手元スイッチの背上げボタンを押すことで、操作が開始される。(S1)
(ステップ2)背ボトム10の角度が増加する。(S2)
(ステップ3)腰サポート30が摺動を開始する。もしくは、腰サポートの30の角度が増加する。摺動と同時に角度が増加しても構わない。(S3)
(ステップ4)背ボトム10の角度が最大かどうかを判定する。(S4)
(ステップ5)背ボトム10の角度が最大であれば、背ボトム30の動きは停止する。(S5)
(ステップ6)手元スイッチの背上げボタンの押し操作が終了する。(S6)
(ステップ7)ステップ4で背ボトム10の角度が最大ではなければ、手元スイッチの背上げボタンの押し操作が継続する。(S7)
(ステップ8)背ボトム10の角度が増加する。(S8)
(ステップ9)腰サポート30の摺動が継続する。もしくは、腰サポート30の角度の増加が継続する。摺動と同時に角度が増加しても構わない。腰サポート30と背サポート20にたわみが発生しても構わない。(S9)
このステップにより、使用者Uの骨盤Upが腰サポート30によって押され、骨盤Upが立たせることができる。
【0091】
背ボトム10と腰サポート30の重なり部分を生ずる本実施形態のメリットは次の通りである。
(1)背上げ動作にはいくつかの種類がある。回動軸に沿って回動する場合、腰サポート30は背上げと共に上昇する。
背ボトム10が腰サポート30から離れることは無い。
背ボトム10の動きによって腰サポート30が脱落しない長さを、ベッドのフラット時の姿勢に基づき決定することができる。
(2)背ボトム10の長手方向の長さが決まると、それに合わせて腰サポート30のベッド長手方向の長さで腰サポート30の傾き、腰角度をすべて一意に決めることができる。設計の自由度が増加する。
(3)一方腰サポート30のベッドの長手方向の長さありきならば、背ボトム10の動きに応じて腰サポート30から一番遠ざかる時に背ボトム10と腰ボトム20が重なればよい。背ボトム10の長手方向の長さが無駄に大きくなるデメリットを解消できる。
【0092】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の実施形態と同様である。
【0093】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3:ボトム装置
10:背ボトム
10a:上面
10b:下面
11:端部
13、14:バー
20:背サポート
20a:上面
20b:下面
21、22:端部
24:溝
25、26:部分
27:貫通孔
30:腰サポート
31、32:端部
40:腰ボトム
41、42:端部
43:寝位表示ラベル
50、50L、50S:膝ボトム
51、52:端部
60:膝サポート
60a:上面
60b:下面
61、62:端部
64:溝
65、66:部分
67:貫通孔
70:足ボトム
71:端部
80:マットレス
102、103:ベッド装置
120:フレーム
130:ベースフレーム
131:フレーム
132:ヘッドボード
133:フットボード
134:アクチュエータ
201、202:ボトム装置
U、US、UT:使用者
Ub:背中
Uk:膝
Up:骨盤