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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20250407BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20250407BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
B05B11/00 102G
B05B11/00 102M
B65D47/34 100
F04B9/14 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021077308
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022170984
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127028(JP,A)
【文献】特開2005-007238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 47/34
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を有し、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の前後動に連係して前後動するピストンと、
前記ピストンが挿入されたシリンダと、
前記縦供給筒部内を通した、前記容器体内と前記シリンダ内との連通およびその遮断を切換える弁体と、を備え、
前記噴出器本体には、
前記ピストンの後方移動時に、前記シリンダ内の液体を前記縦供給筒部内に流入させる第1孔と、
前記ピストンの前方移動時に、前記容器体内の液体を前記縦供給筒部内を通して前記シリンダ内に流入させるとともに、前記弁体に開閉される第2孔と、が形成され、
前記弁体は、前後動可能に設けられるとともに、後方移動する前記ピストンに連係して後方移動し、前記第2孔を閉塞し、
前記弁体は、前記ピストンに前後摺動可能に取付けられている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記第2孔は、前記シリンダ内と前記縦供給筒部内とを前後方向に連通し、
前記第2孔のうち、少なくとも前記シリンダ側の前端部は、後方に向かうに従い縮径し、
前記弁体の後端部に、後方に向けて突の曲面部が形成されるとともに、前記ピストンの後方移動時に、前記曲面部が前記第2孔の前端部の内周面に当接する、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記弁体および前記ピストンは、前後方向に延びる前記シリンダの中心軸線回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接している、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、上下方向に延び、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を有し、トリガー機構が、ピストンの後方移動時に、容器体内とシリンダ内との連通を遮断し、かつピストンの前方移動時に、容器体内とシリンダ内とを連通する弁体を備え、弁体が、縦供給筒部内の弁座に、上方に向けて離反可能に配置されたトリガー式液体噴出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-50423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、例えば液体の性状等によっては、弁体が弁座に密着し、ピストンの前方に向けた復元移動時に、弁体が弁座に密着したまま作動せず、容器体内とシリンダ内とが連通しない場合があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、縦供給筒部内を通した、容器体内とシリンダ内との連通およびその遮断を切換える弁体を、確実に作動させることができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を有し、前記トリガー機構は、前記トリガー部の前後動に連係して前後動するピストンと、前記ピストンが挿入されたシリンダと、前記縦供給筒部内を通した、前記容器体内と前記シリンダ内との連通およびその遮断を切換える弁体と、を備え、前記噴出器本体には、前記ピストンの後方移動時に、前記シリンダ内の液体を前記縦供給筒部内に流入させる第1孔と、前記ピストンの前方移動時に、前記容器体内の液体を前記縦供給筒部内を通して前記シリンダ内に流入させるとともに、前記弁体に開閉される第2孔と、が形成され、前記弁体は、前後動可能に設けられるとともに、後方移動する前記ピストンに連係して後方移動し、前記第2孔を閉塞し、前記弁体は、前記ピストンに前後摺動可能に取付けられている
【0007】
本発明によれば、弁体が、前後動可能に設けられるとともに、後方移動するピストンに連係して後方移動し、第2孔を閉塞するので、例えばしばらく放置する等して、弁体が前後動しにくくなっていても、弁体が、ピストンの後方移動に連係することによって、強制的に後方移動させられることとなり、弁体を確実に作動させ、縦供給筒部内を通した、容器体内とシリンダ内との連通を遮断することができる。その後、ピストンが前方に向けて復元移動するのに伴い、弁体が前方に移動させられ、第2孔が開放されることで、容器体内の液体が第2孔を通してシリンダ内に流入する。
【0008】
前記第2孔は、前記シリンダ内と前記縦供給筒部内とを前後方向に連通し、前記第2孔のうち、少なくとも前記シリンダ側の前端部は、後方に向かうに従い縮径し、前記弁体の後端部に、後方に向けて突の曲面部が形成されるとともに、前記ピストンの後方移動時に、前記曲面部が前記第2孔の前端部の内周面に当接してもよい。
【0009】
この場合、第2孔のうち、少なくともシリンダ側の前端部が、後方に向かうに従い縮径し、弁体の後端部に、後方に向けて突の曲面部が形成されているので、ピストンの後方移動に伴い、弁体に、例えば前後方向に交差する方向の力が加えられた場合等であっても、弁体の曲面部を第2孔の前端部の内周面に当接させることで、第2孔を通した、シリンダ内と縦供給筒部内との連通を確実に遮断することができる。
【0011】
体が、ピストンに前後摺動可能に取付けられているので、ピストンの前後動に弁体を確実に追従させることができる。
【0012】
前記弁体および前記ピストンは、前後方向に延びる前記シリンダの中心軸線回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接してもよい。
【0013】
この場合、弁体およびピストンが、前後方向に延びるシリンダの中心軸線回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接しているので、弁体とピストンとの間に、密閉された空間が生ずるのを防ぐことが可能になり、例えば、トリガー部の後方に向けた牽引力が高くなること、およびピストンの後方に向けた移動量が不十分になること等を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、縦供給筒部内を通した、容器体内とシリンダ内との連通およびその遮断を切換える弁体を、確実に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態として示したトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図2図1のII部を示す拡大図である。
図3】第2実施形態として示したトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図4図3のIV部を示す拡大図である。
図5】第3実施形態として示したトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1および図2を参照し、トリガー式液体噴出器の第1実施形態について説明する。本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Aに装着される噴出器本体11と、噴出器本体11に装着されたノズル部材12と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0017】
噴出器本体11は、縦供給筒部13と、トリガー機構Tと、を有している。
以下、縦供給筒部13の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体Aの底部側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部13に対してノズル部材12が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0018】
ノズル部材12は、噴出器本体11の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔15を有している。
【0019】
縦供給筒部13は、口部A1内に挿入され、容器体A内の液体を吸上げる。
トリガー機構Tは、トリガー部14と、ピストン16と、シリンダ17と、第1弁体(弁体)10と、を備えている。トリガー機構Tは、トリガー部14の後方への移動によって、液体を縦供給筒部13内から噴出孔15側に向けて流通させる。
【0020】
トリガー部14は、縦供給筒部13の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられている。トリガー部14は、上下方向に延び、上端部を中心に前後方向に回転可能に支持されている。
ピストン16は、トリガー部14の前後動に連係して前後動する。ピストン16は、前方が前端壁16aにより閉塞されて後方が開放された筒状に形成されている。ピストン16の前端壁16aが、トリガー部14に連結されている。
シリンダ17は、前後方向に延びる筒状に形成され、内側にピストン16が摺動可能に嵌合されている。
第1弁体10は、縦供給筒部13内を通した、容器体A内とシリンダ17内との連通およびその遮断を切換える。第1弁体10は、シリンダ17内に設けられている。
【0021】
縦供給筒部13の前方に、射出筒部20が設けられている。
射出筒部20は、縦供給筒部13内の液体を、噴出孔15側に向けて流通させる。射出筒部20は、縦供給筒部13の上端部から前方に向けて延びている。射出筒部20の内部は縦供給筒部13の内部に連通している。
【0022】
縦供給筒部13内には、第2弁体23が設けられている。
第2弁体23は、トリガー部14の後方移動に伴うシリンダ17の内圧の上昇時に、シリンダ17内と射出筒部20内とを連通し、トリガー部14の前方に向けた復元移動に伴うシリンダ17内の負圧時に、シリンダ17内と射出筒部20内との連通を遮断する。第2弁体23は、縦供給筒部13の上端部内に設けられている。
【0023】
射出筒部20に対して前方から中継部材18が組み付けられている。
中継部材18は、射出筒部20の前端開口を前方から覆う隔壁19と、隔壁19から後方に向けて延び、射出筒部20に外嵌された外嵌筒部21と、隔壁19から前方に向けて延び、ノズル部材12が装着された装着筒部22と、を備えている。
隔壁19のうち、装着筒部22の内側に位置する部分に、射出筒部20内に連通する連通孔24が形成されている。
【0024】
そして、本実施形態では、噴出器本体11に、ピストン16の後方移動時に、シリンダ17内の液体を縦供給筒部13内に流入させる第1孔25と、ピストン16の前方移動時に、容器体A内の液体を縦供給筒部13内を通してシリンダ17内に流入させるとともに、第1弁体10に開閉される第2孔26と、が形成されている。
【0025】
第1孔25および第2孔26は、シリンダ17内と縦供給筒部13内とを前後方向に連通している。第1孔25は、第2孔26より上方に位置している。第1孔25は、縦供給筒部13内のうち、第2弁体23が上方に向けて離反可能に着座する弁座13aより下方に位置する部分に開口している。第2孔26は、シリンダ17と同軸に配設されている。第2孔26のうち、少なくともシリンダ17側の前端部は、縦供給筒部13側の後方に向かうに従い縮径している。
縦供給筒部13の内周面には、縦供給筒部13内のうち、第1孔25が開口している部分と、第2孔26が開口している部分と、の上下方向の連通を遮断する仕切壁13bが形成されている。
【0026】
ここで、第1弁体10は、前後動可能に設けられるとともに、後方移動するピストン16に連係して後方移動し、第2孔26を閉塞する。第1弁体10は、ピストン16の内側に挿入されている。第1弁体10は、前後方向に延びる筒状に形成され、シリンダ17と同軸に配設されている。第1弁体10の後部は、ピストン16から後方に突出している。
【0027】
第1弁体10は、シリンダ17の内面のうち、後端に位置して前方を向く底面から前方に向けて突出したガイド筒29の内側に挿入されている。ガイド筒29の前部は、ピストン16内に挿入されている。第1弁体10は、ガイド筒29によって前後方向に対して傾くことが抑止されている。
【0028】
第1弁体10およびガイド筒29には、第1弁体10のこれ以上の前方移動を規制する規制部28が設けられている。規制部28は、第1弁体10の外周面の後端部に設けられた突起と、ガイド筒29に形成され、かつ第1弁体10の突起に突起の前方から当接する係止面と、により構成されている。図1に示されるような、ピストン16が後方移動する前の待機時に、規制部28における前記突起および前記係止面は、前後方向で互いに当接している。
【0029】
第1弁体10の後端部に、後方に向けて突の曲面部10aが形成されるとともに、ピストン16の後方移動時に、曲面部10aが第2孔26の前端部の内周面に当接する。曲面部10aは、球面の一部となっている。第1弁体10の後端部は、前述の待機時に、第2孔26を開放した状態で、第2孔26の前端部内に挿入されている。なお、この待機時に、第1弁体10の後端部は、第2孔26より前方に位置してもよい。
【0030】
第1弁体10は、ピストン16に前後摺動可能に取付けられている。第1弁体10およびピストン16は、前後方向に延びるシリンダ17の中心軸線(以下、横軸という)O2回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接している。
【0031】
図示の例では、ピストン16に、トリガー部14が連結された前端壁16aから後方に向けて延び、第1弁体10内に挿入された摺動体27が形成されている。摺動体27は、棒状に形成され、横軸O2と同軸に配設されている。摺動体27の外周面には、第1弁体10の内周面に対して前後方向に摺動可能に当接した摺動突起27aが形成されている。摺動突起27aは、横軸O2回りに間隔をあけて複数設けられている。第1弁体10およびピストン16は、横軸O2回りに間隔あけた複数個所で、前後方向に摺動可能に互いに当接している。
なお、摺動突起27aは、横軸O2回りに沿う方向の一部に、第1弁体10の内周面との間に隙間が設けられるように、1箇所にのみ設けられてもよい。例えば、摺動突起27aは、前後方向から見てC字状を呈するように、横軸O2回りに延び、1つ設けられてもよい。
【0032】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
なお、トリガー部14の複数回の操作によって、噴出器本体11の各部内に液体が充填されているものとする。
【0033】
トリガー部14を前方付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部14の後方移動に伴ってピストン16が後退するので、シリンダ17内の液体が、第1孔25を通して縦供給筒部13内に流入する。縦供給筒部13内に流入した液体は、第2弁体23を弁座13aから押し上げて開弁させるので、液体が加圧された状態で射出筒部20内に供給される。射出筒部20内に供給された液体は、連通孔24および装着筒部22内を通じて噴出孔15から噴出される。
【0034】
ここで、ピストン16が後方移動する際、摺動突起27aが第1弁体10の内周面を後方に向けて摺動することで、第1弁体10が後方移動し、第1弁体10の曲面部10aが第2孔26の前端部の内周面に当接することで、第2孔26を通したシリンダ17内と縦供給筒部13内との連通が遮断される。この際、摺動突起27aが、横軸O2回りに間隔をあけた状態で設けられているので、第1弁体10内は、密閉されることなく、ピストン16内を通してシリンダ17内に連通している。
【0035】
液体の噴出後、トリガー部14を解放すると、トリガー部14が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴ってピストン16が前方移動する。そのため、摺動突起27aが第1弁体10の内周面を前方に向けて摺動することで、第1弁体10が前方移動させられ、第1弁体10の曲面部10aが第2孔26の前端部の内周面から前方に離れ、第2孔26が開放されることで、容器体A内の液体が、シリンダ17内に生じた負圧によって、縦供給筒部13内および第2孔26を通してシリンダ17内に流入する。この際、シリンダ17内の負圧によって、第2弁体23は閉弁した状態に保たれる。
【0036】
なお、ピストン16が前方に向けて復元移動する際、ピストン16は第1弁体10を摺動しなくてもよい。
この場合、シリンダ17内に生じた負圧によって、容器体A内の液体を、縦供給筒部13内を通して第2孔26に到達させ、このときの液体の流動によって、第1弁体10を前方に移動させ、第2孔26を完全に開放するようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、第1弁体10が、前後動可能に設けられるとともに、後方移動するピストン16に連係して後方移動し、第2孔26を閉塞するので、例えばしばらく放置する等して、第1弁体10が前後動しにくくなっていても、第1弁体10が、ピストン16の後方移動に連係することによって、強制的に後方移動させられることとなり、第1弁体10を確実に作動させ、縦供給筒部13内を通した、容器体A内とシリンダ17内との連通を遮断することができる。
【0038】
第2孔26のうち、少なくともシリンダ17側の前端部が、後方に向かうに従い縮径し、第1弁体10の後端部に、後方に向けて突の曲面部10aが形成されているので、ピストン16の後方移動に伴い、第1弁体10に、例えば前後方向に交差する方向の力が加えられた場合等であっても、第1弁体10の曲面部10aを第2孔26の前端部の内周面に当接させることで、第2孔26を通した、シリンダ17内と縦供給筒部13内との連通を確実に遮断することができる。
第1弁体10の後端部が、後方に向けて膨出した半球形状に形成されているので、第2孔26を通した、シリンダ17内と縦供給筒部13内との連通をより一層確実に遮断することができる。
【0039】
第1弁体10が、ピストン16に前後摺動可能に取付けられているので、ピストン16の前後動に第1弁体10を確実に追従させることができる。
【0040】
第1弁体10およびピストン16が、横軸O2回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接しているので、第1弁体10とピストン16との間に、密閉された空間が生ずるのを防ぐことが可能になり、例えば、トリガー部14の後方に向けた牽引力が高くなること、およびピストン16の後方に向けた移動量が不十分になること等を抑えることができる。
【0041】
次に、第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器2を、図3および図4を参照しながら説明する。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0042】
本実施形態では、ピストン16に、摺動体27に代えて摺動体31が形成されている。摺動体31は、ピストン16の内周面に形成され、ピストン16の前端壁16aから後方に向けて延び、ガイド筒29の後述するスリット29aに後方に向けて移動可能に差し込まれている。摺動体31は、表裏面が横軸O2回りを向く板状に形成されている。摺動体31は、横軸O2回りに間隔をあけて複数設けられている。
なお、摺動体31は、前後方向から見てC字状を呈するように、横軸O2回りに延び、1つ設けられてもよい。
ガイド筒29には、ガイド筒29の前端開口縁から後方に向けて延びるスリット29aが、横軸O2回りに間隔をあけて複数形成されている。スリット29aを通して、摺動体31が第1弁体10の外周面に当接している。
図示の例では、第1弁体10の外周面に、横軸O2回りに延びる突条部10bが形成されており、この突条部10bが摺動体31に当接している。
【0043】
以上より、本実施形態においても、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1と同様に、第1弁体10およびピストン16が、横軸O2回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接することとなり、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1と同様の作用効果を奏する。
【0044】
次に、第3実施形態に係るトリガー式液体噴出器3を、図5を参照しながら説明する。
なお、第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態では、ピストン16に、摺動体27に代えて摺動体32が形成されている。
摺動体32は、ピストン16の内周面から後方に向けて突出し、後方に向かうに従い第1弁体10の外周面に向けて延びている。摺動体32の後端部は、第1弁体10の外周面に当接している。摺動体32は、横軸O2回りに間隔をあけて複数設けられている。
なお、摺動体32は、前後方向から見てC字状を呈するように、横軸O2回りに延び、1つ設けられてもよい。
ガイド筒29は、ピストン16より後方に位置している。ガイド筒29は、ピストン16が後退端位置に位置したときに、ピストン16の内側に進入する。
【0046】
以上より、本実施形態においても、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1と同様に、第1弁体10およびピストン16が、横軸O2回りに間隔あけた状態で、前後方向に摺動可能に互いに当接することとなり、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1と同様の作用効果を奏する。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、第1弁体10に曲面部10aを形成しなくてもよい。
第1弁体10およびピストン16は、横軸O2回りにおける全長にわたって互いに当接してもよい。
第1弁体10およびピストン16は、横軸O2回りにおける全長にわたって連続して、前後方向に摺動可能に互いに当接してもよい。この場合、第1弁体10とピストン16との間に画成される密閉空間の内圧を考慮して、例えばトリガー部14の前方付勢力等を設計してもよい。
【0049】
第2弁体23を設けなくてもよい。
第2弁体が離反可能に着座する弁座が後方を向き、かつこの弁座に第2弁体が後方に向けて離反可能に着座する構成を採用してもよい。この構成において、第2弁体は、第1孔25と前後方向で対向してもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3 トリガー式液体噴出器
10 第1弁体(弁体)
10a 曲面部
11 噴出器本体
12 ノズル部材
13 縦供給筒部
14 トリガー部
15 噴出孔
16 ピストン
17 シリンダ
25 第1孔
26 第2孔
A 容器体
A1 口部
O2 横軸(中心軸線)
T トリガー機構
図1
図2
図3
図4
図5