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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】牽引治具
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20250407BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B62B5/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021118948
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014790
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2024-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2021年5月7日 (TLOG)技術展2021にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸義
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳奈
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-070428(JP,A)
【文献】特開2021-037778(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112478541(CN,A)
【文献】特開2013-232078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
B62B 1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車により、前記搬送車の上面よりも高い位置に、床面と対向する荷台を有する台車を搬送する牽引治具であって、
前記搬送車の上面に取り付けられ、前記搬送車の進行方向に直交する方向に並んで配置された少なくとも一対の受け部、前記搬送車の前記進行方向の前方の上部に設けられ、前記荷台の前面と当接する押さえ部、及び、前記搬送車に設けられ、前記押さえ部からの距離が前記荷台の前記進行方向の幅以上に形成された、前記荷台の後面と当接可能なストッパを有する第1治具と、
前記荷台の下面に前記進行方向に直交する方向に離間して一対設けられ、前記受け部と当接する板状のガイドを有する第2治具と、
を備える牽引治具。
【請求項2】
前記一対のガイドの前記進行方向に直交する方向で離間する幅は、前記進行方向で、前方側及び後方側が中央側よりも大きい、請求項1に記載の牽引治具。
【請求項3】
前記ストッパは、前記荷台よりも低い第1位置、及び、前記荷台よりも高い位置にあり、前記荷台の後面と当接する第2位置の間で移動する、請求項1又は請求項2に記載の牽引治具。
【請求項4】
前記搬送車は、搬送経路に沿って自動的に移動する構成であり、
前記ストッパは、前記搬送経路の終了位置において、自動的に第2位置から第1位置へ移動する、請求項3に記載の牽引治具。
【請求項5】
前記一対のガイドの前記進行方向に直交する方向で離間する幅は、前記少なくとも一対の受け部の前記進行方向に直交する方向の幅よりも大きい、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の牽引治具。
【請求項6】
前記受け部は、前記進行方向に二対設けられる、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の牽引治具。
【請求項7】
前記二対の受け部のうち一方の前記一対の受け部は、前記進行方向で前記搬送車の中心よりも前方に設けられ、前記二対の受け部のうち他方の前記一対の受け部は、前記進行方向で前記搬送車の中心よりも後方に設けられる、請求項6に記載の牽引治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、搬送車で台車を牽引するための牽引治具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ライン等において荷物を積載し、移動するための器具として、台車が知られている。また、搬送車により台車を牽引する技術も知られている。また、搬送車の例として、床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)により台車を搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1)。例えば、搬送車で台車を搬送する技術としては、搬送車の後ろに台車を連結して牽引する技術や、台車の荷台の下面に設けられたピンを挟持して台車を搬送車に固定して搬送する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-146322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した搬送車で台車を搬送する技術として、搬送車の後ろに台車を連結させて牽引する技術では、連結した搬送車と台車の長さが長くなる。特に、搬送車で搬送する搬送経路がカーブすると、連結した台車の走行ラインが膨らむ虞がある。
【0005】
例えば、搬送車が台車の下面に設けられたピンを挟むことで、搬送車に台車を固定する方法では、搬送車の搬送時に、台車の走行ラインが膨らむ虞が少ない。しかしながら、このような搬送車は、ピンを挟む為の機構が必要となり、また、台車に積層する荷物の重量が重いと、搬送車がピンを挟むための力に大きい力を要する等、搬送車の機構に求められる要求が高く、搬送車が高価となる。
【0006】
そこで、本発明は、簡素な構成で、台車を搬送車により牽引できる牽引治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様として、牽引治具は、搬送車により、前記搬送車の上面よりも高い位置に、床面と対向する荷台を有する台車を搬送する牽引治具であって、前記搬送車の上面に取り付けられ、前記搬送車の進行方向に直交する方向に並んで配置された少なくとも一対の受け部、前記搬送車の前記進行方向の前方の上部に設けられ、前記荷台の前面と当接する押さえ部、及び、前記搬送車に設けられ、前記押さえ部からの距離が前記荷台の前記進行方向の幅以上に形成された、前記荷台の後面と当接可能なストッパを有する第1治具と、前記荷台の下面に前記進行方向に直交する方向に離間して一対設けられ、前記受け部と当接する板状のガイドを有する第2治具と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、台車を搬送車により牽引できる牽引治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す斜視図。
図2】同牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す斜視図。
図3】同牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す平面図。
図4】同牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す平面図。
図5】同牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す側面図。
図6】同牽引治具を用いた搬送車及び台車の構成を示す側面図。
図7】同牽引治具の第1治具及び搬送車の構成を示す斜視図。
図8】同牽引治具の第2治具及び台車の構成を示す斜視図。
図9】同牽引治具及び比較例の牽引治具を用いたときの力の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る牽引治具1を図1乃至図9を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る牽引治具1を用いた搬送車100及び台車200の構成を示す斜視図である。図3及び図4は、牽引治具1を用いた搬送車100及び台車200の構成を示す平面図である。図5及び図6は、牽引治具1を用いた搬送車100及び台車200の構成を示す側面図である。
【0012】
図7は、牽引治具1の第1治具5及び搬送車100の構成を示す斜視図であり、図8は、牽引治具1の第2治具6及び台車200の構成を下方から示す斜視図である。図9は、本実施形態の牽引治具1の二対の受け部12の構成、及び、比較例のピン120の構成を示すとともに、受け部12とピン120とにおいて生じる力F1、F2の例を示す説明図である。
【0013】
図1乃至図8に示すように、牽引治具1は、搬送車100及び台車200に設けられる。先ず、搬送車100及び台車200の説明を行う。
【0014】
搬送車100は、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の無人搬送車や、ターレットトラック等の有人搬送車である。本実施形態において、搬送車100をAGV100として、以下説明する。AGV100は、例えば、工場の構内における荷物の搬送のため、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、搬送経路上を無人走行する。
【0015】
図1乃至図7に示すように、AGV100は、例えば、上面に牽引治具1の一部が設けられる。例えば、AGV100の上面は、牽引治具1の一部が固定可能に、平面状に形成される。具体例として、AGV100は、上面に設けられ、牽引治具1の一部を固定するボルト等の締結部材が螺合される雌螺子が形成された平板状の板状部100aを有する。
【0016】
図1乃至図6及び図8に示すように、台車200は、単数又は複数の荷台211と、荷台211に取り付けられる複数のキャスター212と、を備える。荷台211は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。例えば、台車200が複数の荷台211を有する場合には、複数の荷台211に渡って縦方向(重力方向)に延びる4本のフレーム213を有する。台車200は、複数の荷台211が四角において4本のフレーム213により連結される。
【0017】
台車200が搬送される床面と対向する荷台211の下面は、牽引治具1の一部が固定される。ここで、床面と対向する荷台211とは、単数の荷台211が設けられる台車200においては、当該荷台211であり、複数の荷台211が設けられる台車200においては、最下段の荷台211である。床面と対向する荷台211の下面は、AGV100の上面よりも高い位置に配置される。
【0018】
キャスター212は、荷台211を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台211の四隅に一つずつ設けられる。四つのキャスター212は、例えば自在輪である。
【0019】
次に、牽引治具1について説明する。図1乃至図8に示すように、牽引治具1は、AGV100に設けられる第1治具5と、台車200の床面と対向する荷台211の下面に設けられる第2治具6と、を備える。
【0020】
第1治具5は、固定部11と、少なくとも一対の受け部12と、押さえ部13と、ストッパ14と、取付部15と、を備える。第1治具5は、AGV100の上部に設けられる。第1治具5の受け部12、押さえ部13、ストッパ14及び取付部15は、一体、又は、別体に形成され、固定部11により、AGV100に取り付けられる。具体例として、固定部11は、押さえ部13に台車200の荷台211の前面が当接したときに、複数の受け部12が第2治具6とAGV100の進行方向に直交する方向で対向する位置であって、且つ、ストッパ14が荷台211の背面(後面)に当接できる位置で、複数の受け部12、押さえ部13及びストッパ14をAGV100に固定する。
【0021】
固定部11は、AGVに固定される。固定部11は、例えば、複数の受け部12及びストッパ14を固定する第1固定部21と、押さえ部13及び取付部15を固定する第2固定部22と、を備える。
【0022】
第1固定部21は、複数の受け部12及びストッパ14を一体に接続する第1フレーム21aと、第1フレーム21aをAGV100の上面、例えば、AGV100の板状部100aに締結部材によって固定される第1フランジ21bと、を備える。
【0023】
第1フレーム21aは、複数の受け部12が一体に設けられる。また、第1フレーム21aは、AGV100の進行方向で後端に、ストッパ14が移動可能に固定される。例えば、第1フレーム21aは、AGV100の進行方向及び進行方向に直交する方向に延びるフレームである。また、第1フレーム21aの後端は、ストッパ14を移動可能に固定可能な形状に形成される。第1フランジ21bは、例えば、AGV100の板状部100aに設けられたボルト穴の数や配置によって単数又は複数設けられる。本実施形態において、第1フランジ21bは、2つ設けられる。なお、第1フランジ21bの数や形状、締結するためのAGV100の板状部100aのボルト穴の数や配置は、適宜設定できる。
【0024】
第2固定部22は、例えば、押さえ部13及び取付部15を一体に接続する第2フレーム22aと、第2フレーム22aをAGV100の上面、例えば、AGV100の板状部100aに締結部材によって固定される第2フランジ22bと、を備える。
【0025】
このような固定部11は、例えば、AGV100の進行方向において、第1固定部21によって複数の受け部12を板状部100aの中央側から後端までの間に配置し、第2固定部22によって、押さえ部13及び取付部15を板状部100a前端に固定する。
【0026】
受け部12は、例えば、AGV100の進行方向に直交する方向に並んで少なくとも、一対設けられる。換言すると、受け部12は、少なくとも、AGV100の進行方向に直交する方向に並ぶ2つが設けられる。2つの受け部12は、例えば、AGV100の上面、具体例として、板状部100aの進行方向に直交する方向の両端にそれぞれ設けられる。好適な例として、受け部12は、例えば、二対設けられる。換言すると、受け部12は、例えば、4つ設けられる。4つの受け部12は、2つずつが対を成し、二対の受け部12は、AGV100の進行方向で所定の距離を空けて配置される。
【0027】
具体例として、図7及び図9に示すように、二対の受け部12のうち一方の一対の受け部12は、AGV100の進行方向でAGV100の中心と同じ位置か、又は、該中心よりも前方に設けられ、二対の受け部12のうち他方の一対の受け部12は、進行方向でAGV100の中心よりも後方に、該進行方向で一方の一対の受け部12と所定の距離を空けて設けられる。
【0028】
押さえ部13は、AGV100の進行方向の前方において、AGV100の上部に設けられ、台車200の荷台211の前面と当接する。即ち、押さえ部13は、荷台211と当接する高さ位置に設けられる。押さえ部13は、AGV100の進行方向で、台車200の前方への移動を規制する。
【0029】
例えば、押さえ部13は、当接した台車200の衝撃を緩衝可能に形成される。第2固定部22に設けられた単数又は複数のゴム板13aにより形成される。本実施形態において、押さえ部13は、第2フレーム22aに、AGV100の進行方向に直交する方向に並んで設けられた3つの矩形板状のゴム板13aにより構成される。なお、押さえ部13は、ゴム板13aにより形成されることに限定されず、例えば、第2固定部22の一部が台車200の前面に当接する押さえ部13を構成してもよい。
【0030】
ストッパ14は、AGV100に設けられ、AGV100による台車200の搬送時に、台車200のAGV100の進行方向で後方への移動を規制する。ストッパ14は、該搬送時に、AGV100上に配置された台車200の荷台211の背面(後面)と当接する。AGV100の進行方向における押さえ部13の台車200の荷台211の前面と当接部位(押さえ部13の後面)からストッパ14が荷台211の後面と当接する部位(ストッパ14の後述する第2位置における前面)は、台車200の荷台211のAGV100の進行方向の幅以上に設定される。
【0031】
具体例として、ストッパ14は、図1図3及び図5に示す、台車200の地面と対向する荷台211の下端よりも低く、且つ、荷台211と離間する第1位置と、図2図4及び図6に示す、該地面と対向する荷台211の下端よりも高い位置にあり、且つ、荷台211の後面と当接する第2位置と、の間で移動する。即ち、ストッパ14は、AGV100に第1固定部21に固定された状態において、第1位置及び第2位置の間で姿勢を変更できる。
【0032】
ストッパ14は、第1位置及び第2位置の間における姿勢の変更を手動及び/又は自動で行うことができる。具体例として、ストッパ14は、第1固定部21の第1フレーム21aの後端に回転可能に固定される。ストッパ14の一端は、例えば、ボルト等の回転軸14aによって、第1フレーム21aの後端に回転可能に固定される。なお、ストッパ14の一端を回転可能に保持する回転軸14aは、ボルトではなくピンであってもよい。
【0033】
ストッパ14は、図1図3及び図5に示す、第1フレーム21aの長手方向に沿った横姿勢(第1位置)及び図2図4及び図6に示す、第1フレーム21aの長手方向に直交する方向に沿った立姿勢(第2の位置)の2つの姿勢間で回転する。また、ストッパ14は、横姿勢及び立姿勢のそれぞれにおいて、固定され、該姿勢を維持できる。ストッパ14の各姿勢における固定方法は適宜設定できる。例えば、固定ピンによって固定してもよく、また、ロック機構を設ける構成であってもよい。また、ストッパ14の各姿勢における固定及び固定解除は、モータやピストンシリンダ等の駆動源を用いて固定ピン及びロック機構を駆動する構成であってもよく、また、駆動源による自動駆動及び手動操作の二つの方法によって、ストッパ14の各姿勢の固定及び固定解除を行う構成としてもよい。
【0034】
具体例として、ストッパ14は、AGV100が、搬送経路の開始位置において、手動でストッパ14を操作可能に形成される。また、ストッパ14は、AGV100が搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気等の指令により誘導されて搬送経路の終了位置に移動すると、該終了位置における磁気等の指令に基づいて、第2位置から第1位置に自動的に移動可能に形成される。
【0035】
また、図6に示すように、ストッパ14は、立姿勢において、立姿勢における上面(先端)が、第1フレーム21aよりも高く、且つ、台車200の荷台211の下面よりも高い。即ち、図6に示すように、立姿 のストッパ14は、荷台211の側面と当接可能に形成される。また、ストッパ14は、立姿勢において荷台211の側面と当接する位置に、当接した台車200の衝撃を緩衝可能な、単数又は複数のゴム板14bを備える。
【0036】
このような押さえ部13及びストッパ14は、ストッパ14が横姿勢において、AGV100上に荷台211が位置するように台車200をAGV100に配置可能とし、そして、ストッパ14が立姿勢において、AGV100に配置された台車200の進行方向で前後方向における移動を規制する。
【0037】
取付部15は、例えば、矩形枠状に形成され、重力方向及びAGV100の進行方向に直交する方向に延設されるフレームである。取付部15は、例えば、タブレット端末等の外部端末300を取り付け可能に形成される。取付部15への外部端末300の取り付けは、例えば、取り付けスタンドやアーム等の取付部材15aを介して外部端末300を取付部15に間接的に取り付ける構成であってもよく、また、取付部15に直接外部端末300を取り付ける構成であってもよい。例えば、取付部15の高さは、取り付けた外部端末300を立った姿勢の作業車が視認できる高さに形成される。具体例として、取付部15の高さは、高さ方向で台車200の中央よりも高く設定される。
【0038】
なお、取付部15は、台車200の荷台211の最上段以上の高さとし、台車200の傾斜に加えて、各荷台211に載置された製品等の物品の落下を防止する構成としてもよい。また、取付部15は、さらに、ネット等を有し、荷台211上の物品の落下防止を可能とする構成としてもよい。
【0039】
第2治具6は、床面に対向する荷台211の下面に、AGV100の進行方向に直交する方向に離間して一対設けられるガイド31と、一対のガイド31をそれぞれ、荷台211の下面に固定するフランジ32と、を備える。
【0040】
一対のガイド31は、AGV100の進行方向に直交する方向で所定の幅で離間する。一対のガイド31の該進行方向に直交する方向で離間する幅は、AGV100の進行方向で前方側及び後方側が中央側よりも大きい。具体例として、一対のガイド31の離間する幅は、AGV100の進行方向で前端及び後端から中央側に向かって小さくなり、そして、中央側において一定に設定される。また、一対のガイド31の離間する幅は、二対の受け部12の進行方向で直交する方向で離間する幅よりも大きく設定される。
【0041】
ガイド31は、板状に形成される。ガイド31は、一方向に延びるストレート部31aと、ストレート部31aの両端において、一方向に対して傾斜する傾斜部31bと、を備える。ガイド31の傾斜部31bによって、一対のガイド31のAGV100の進行方向に直交する方向で離間する幅が、前方側及び後方側で中央側よりも広い。
【0042】
ガイド31のストレート部31aは、台車200(AGV100)の進行方向に沿って延びる。ストレート部31aの長さは、二対の受け部12の進行方向に離間する距離よりも長く設定される。また、一対のガイド31は、台車200がAGV100に搬送のためにセットされたときに、該ストレート部31aが二対の受け部12と対向する。
【0043】
一対のガイド31の該進行方向に直交する方向で離間する幅は、一対の受け部12の該進行方向に直交する方向の幅よりも大きく設定される。
【0044】
フランジ32は、ガイド31に一体に設けられ、ボルト等の締結部材により荷台211の下面に固定される。具体例として、フランジ32は、一対のガイド31にそれぞれ複数設けられるフランジ片32aを有する。フランジ片32aは、例えば、矩形板状に形成されるとともに、中途部において90°曲げられることで形成される。フランジ片32aの一端は、それぞれ溶接等によってガイド31に固定される。フランジ片32aのガイド31に設けられる端部と他方側の端部(他端)は、ボルト孔が形成され、締結部材の座面を構成する。
【0045】
例えば、一つのガイド31に対して4つのフランジ片32aが設けられる。例えば、4つのフランジ片32aは、ガイド31の前後の傾斜部31bの端部に一つずつ設けられ、そして、ガイド31の直線状のストレート部31aに二つ設けられる。また、ガイド31のストレート部31aに設けられる2つのフランジ片32aの間隔は、前後の傾斜部31bに設けられたフランジ片32aと、傾斜部31bのフランジ片32aと隣り合うストレート部31aに設けられたフランジ片32aとの間隔よりも大きく設定される。即ち、ガイド31のストレート部31aに設けられた2つのフランジ片32aは、例えば、それぞれ、前後の傾斜部31bに隣接して設けられる。
【0046】
また、例えば、一つのガイド31を固定する4つのフランジ片32aは、ガイド31を固定する方向が異なる方向に設定される。具体例として、4つのフランジ片32aのうち、二つのフランジ片32aは、ガイド31のストレート部31aに、ストレート部31aの延設方向(進行方向)に沿った面で当接し、固定される。また、4つのフランジ片32aのうち、残りの二つのフランジ片32aは、傾斜部31bの端部に形成された進行方向に直交する方向に延びる部位に、進行方向に直交する方向に沿った面で当接し、固定される。このように、4つのフランジ片32aは、ガイド31に加わる力を、二つの異なる方向で受けることが可能に、ガイド31の中央側の二つと両端側の二つの向きを90°変える構成である。
【0047】
このように構成された牽引治具1は、第1治具5がAGV100に設けられ、第2治具6が台車200に設けられる。また、牽引治具1は、搬送経路の開始位置において台車200をAGV100に配置し、ストッパ14を第1位置から第2位置に移動させることで、押さえ部13及びストッパ14によって台車200の進行方向における前後への移動を規制できる。よって、牽引治具1は、押さえ部13及びストッパ14によって台車200の進行方向における前後への移動を規制し、二対の受け部12及び一対のガイド31によって、台車200の進行方向に直交する左右への移動を規制する。これにより、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気等の指令により誘導されてAGV100が搬送経路に沿って移動したときに、台車200をAGV100に追従させることができる。
【0048】
また、牽引治具1は、搬送経路の終了位置において、終了位置に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気等の指令によってストッパ14が第2位置から第1位置に自動的に移動することで、AGV100及び台車200の進行方向に沿ったに規制を解除できる。よって、ストッパ14が第2位置から第1位置に移動した後にAGV100が走行することで、終了位置に搬送された台車200からAGV100が離間し、台車200だけを搬送経路の終了位置に配置できる。このように、牽引治具1は、容易にAGV100を台車200から移動させることができる。
【0049】
また、例えば、牽引治具1は、ストッパ14の第1位置及び第2位置の間を、自動及び手動により移動可能とすることで、例えば、搬送経路の開始位置において、台車200を作業者が操作してAGV100へ搬送し、ストッパ14を第1位置及び第2位置へ移動させる。このように、作業車が台車200をAGV100にセットすることで、例えば、開始位置において、AGV100に台車200をセットするためのステーション等の別治具を要しない。このような構成とし、牽引治具1を用いることで、AGV100により台車200を搬送する設備のコストを低減することができる。
【0050】
また、牽引治具1は、台車200の進行方向で前後、及び、進行方向に直交する左右方向で、AGV100に対して台車200の移動を規制する構成である。このため、例えば、従来の技術のように、台車に設けられた二本のピンをAGVに設けられた電気的に駆動する機構によって挟み込んで固定する装置構成を要さないことから、AGV100に要するコストを低減することができる。また、従来の技術の電気的に駆動する機構によってピンを挟み込んで固定する装置構成を駆動すると、AGV100の消費電力が増大するところ、本実施形態の牽引治具1は、搬送時に台車200の移動を規制するために電力を要さないことから、AGV100の消費電力低減することができる。このため、牽引治具1は、AGV100の稼働時間を増加させることができる。
【0051】
また、牽引治具1は、押さえ部13及びストッパ14の間の進行方向の距離を、台車200の荷台211の進行方向の幅よりも大きくし、そして、二対の受け部12の進行方向に直交する方向の間の距離を、一対のガイド31の間の距離よりも小さくした。これにより、一対のガイド31を含む台車200の荷台211と第1治具5とは、所定の隙間が生じることから、一対のガイド31を含む荷台211の形状に精度を要さない。よって、牽引治具1及び台車200の製造コストを低減することができる。
【0052】
また、一対のガイド31は、板状でよく、第2治具の構成を簡素化することができるため、牽引治具1の製造コストを低減することができる。また、一対のガイド31は、進行方向で前後の端部に、一対のガイド31の幅が端部側に向かって広がるように傾斜部31bを有する構成とした。これにより、AGV100及び台車200を進行方向に沿った方向に相対的に移動させることで、一対のガイド31の間に、受け部12を配置することが容易となる。
【0053】
また、一対のガイド31に当接する受け部12を二対設ける構成とすることで、牽引治具1は、台車200の搬送時に、進行方向に直交する左右方向において、少なくとも二箇所の受け部12で一対のガイド31と当接する。このため、台車200の搬送時に受け部12及びガイド31に印加される応力を分散することができることから、牽引治具1が破損することを防止できる。
【0054】
また、フランジ32は、各ガイド31を取り付ける4つのフランジ片32aを、ガイド31の中央側の二つと両端側の二つの向きを90°変える構成とした。これにより、フランジ32は、ガイド31に加わる力を、二つの異なる方向で受けることが可能となることから、ガイド31を荷台211に取り付けたときの強度を向上できる。即ち、牽引治具1の使用時において、一対のガイド31には、進行方向に沿った力及び/進行方向に直交する幅方向の力が印加される。しかし、フランジ32は、フランジ片32aの向きを変える構成とすることで、4つのフランジ片32aの二つを進行方向に沿った力に、残り二つを進行方向に直交する方向の力を保持しやすい姿勢とすることで、台車200の搬送時に繰り返し印加される力に対して強度を向上することができる。
【0055】
また、第1治具5が二対の受け部12を有することで、AGV100が搬送経路のカーブを通過するときに旋回しても、旋回時に受け部12に生じる力を小さくすることができる。例えば、図9に示すように本実施形態の比較例としての従来の技術に用いられる台車に設けられるピン120を二本有する構成においては、ピン120間の距離が小さくなる。これに対し、本実施形態において、二対の受け部12のうち一方の受け部12をAGV100の進行方向で中央側に設け、そして、二対の受け部12のうち他方の受け部12をAGV100の進行方向で後端側ことから、二対の受け部12の進行方向の距離は、従来に比べて確保することができる。よって、従来のピン120に旋回時に生じる力F2に対して、二対の受け部12に旋回時に生じる力F1は小さくなる。台車200の搬送時に、牽引治具1に生じる力を低減することから、牽引治具1は、少ない力で台車200を旋回させることができる。
【0056】
また、牽引治具1は、外部端末300を取り付ける取付部15を有することから、取付部15は、AGV100の急停止時等において、台車200が前方に転倒する方向に傾いたときに、台車200の移動を規制できることから、台車200の転倒防止を行うことが可能となる。
【0057】
上述したように本発明の一実施形態に係る牽引治具1によれば、簡素な構成で、台車200をAGV100により牽引できる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、牽引治具1は、上述した例では、第1治具5及び第2治具6を、フランジ21b、22b、32を介してボルト等の締結部材によってAGV100の板状部100a及び台車200の荷台211に固定する例を説明した。また、第1治具5は、第1フランジ21bを2つ、第2フランジ22bを1つ設ける構成を説明し、第2治具6は、フランジ32として、8つのフランジ片32aを有する構成を説明した。
【0059】
しかしながら、第1治具5及び第2治具6をAGV100及び台車200に取り付ける方法はこれらに限定されない。例えば、第1治具5は、複数の受け部12、押さえ部13及びストッパ14を固定する第1フレーム21a並びに取付部15を、一枚の板部材に一体に固定し、この板部材をAGV100の板状部100aに取り付ける構成であってもよく、また、この板部材を、板状部100aを有さないAGV100に直接取り付ける構成としてもよい。同様に、一対のガイド31をフランジ32に変えて、一枚の板部材に固定し、この板部材を荷台211に固定する構成としてもよい。
【0060】
また、例えば、第1治具5及び第2治具6は、締結部材によってAGV100及び台車200に取り付けられる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第1治具5及び第2治具6を、マグネットや磁石等の磁力によってAGV100及び台車200に固定する構成としてもよく、また、ベルト等によって、第1治具5及び第2治具6をAGV100及び台車に固定する構成であってもよい。また、例えば、第1治具5及び第2治具6は、例えば、AGV100や台車200を挟み込むことで、AGV100や台車200に取り付けられる構成であってもよい。
【0061】
また、上述した例では、ストッパ14は、回転軸14aにより第1位置及び第2位置の間で回転可能に第1フレーム21aに固定される例を説明したがこれ員限定されない。例えば、ストッパ14は、第1位置及び第2位置の間で、上下方向にスライド移動する構成であってもよい。
【0062】
また、ストッパ14は、手動及び自動により第1位置及び第2位置の間で移動する例を説明したが例えば、ストッパ14の手動による操作できる構成としては、例えば、作業者の直接的な操作以外に、足で操作するとストッパ14が第1位置及び第2位置の間で移動する機構を有する構成や、ボタンを操作すると電気的な駆動源が駆動してストッパ14が第1位置及び第2位置の間で移動する機構を有する構成であってもよい。また、ストッパ14は、第1フレーム21aに着脱可能な構成としてもよい。
【0063】
また、ストッパ14は、自動でのみストッパ14が移動する構成とし、搬送経路の開始位置及び終了位置に位置したときに、自動的にストッパ14が第1位置及び第2位置に移動する構成としてもよい。
【0064】
即ち、ストッパ14は、手動及び/又は自動により第1位置及び第2位置を移動できる構成であれば、上述のいずれかの構成であってもよく、上述のいくつかの構成を組み合わせても良い。
【0065】
即ち、上述した例においては、AGV100が、搬送経路の開始位置において、手動でストッパ14を操作して、台車200をAGV100にセットし、そして、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気等の指令により誘導されてAGV100が台車200を搬送する例を説明した。また、搬送経路の終了位置において、AGV100が搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気等の指令によってストッパ14を第2位置から第1位置に自動的に操作し、その後AGV100が走行することで、台車200が終了位置に搬送され、AGV100から台車200が離間できる例を説明した。しかしながら、搬送経路の開始位置及び終了位置において、手動及び自動のいずれで台車200をAGV100にセットし、そしてAGV100から取り出すかは、使用態様によって適宜設定することが可能である。
【0066】
また、上述した例では、AGV100は、台車200の荷台211の下方に配置される例を説明した。しかしながら、台車200の下方にAGV100が潜り込むと、AGV100の構成によっては、AGV100の操作ボタン、例えば、緊急停止ボタンが台車200に隠れる虞もある。このため、例えば、AGV100の操作ボタンを、取付部15に配切する等、取付部15にAGV100の操作を行う操作部を設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、牽引治具1及びAGV100は、操作性を向上することが可能となる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0068】
1…牽引治具、5…第1治具、6…第2治具、11…固定部、12…受け部、13…押さえ部、13a…ゴム板、14…ストッパ、14a…回転軸、14b…ゴム板、15…取付部、15a…取付部材、21…第1固定部、21a…第1フレーム、21b…第1フランジ、22…第2固定部、22a…第2フレーム、22b…第2フランジ、31…ガイド、31a…ストレート部、31b…傾斜部、32…フランジ、32a…フランジ片、100…搬送車(AGV)、100a…板状部、120…ピン、200…台車、211…荷台、212…キャスター、213…フレーム、300…外部端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9