(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】バイク
(51)【国際特許分類】
B62K 9/00 20060101AFI20250407BHJP
B62K 19/36 20060101ALI20250407BHJP
B62J 25/06 20200101ALI20250407BHJP
B62J 1/08 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
B62K9/00
B62K19/36
B62J25/06
B62J1/08 Z
(21)【出願番号】P 2021138115
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 勝太
(72)【発明者】
【氏名】小切間 仁人
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-520853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0052287(US,A1)
【文献】中国実用新案第208021621(CN,U)
【文献】特開2018-027728(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232835(JP,U)
【文献】特開2018-034696(JP,A)
【文献】実開昭53-159060(JP,U)
【文献】米国特許第09731785(US,B1)
【文献】欧州特許第02481660(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0238585(US,A1)
【文献】特開2006-001443(JP,A)
【文献】国際公開第2013/157771(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0114845(US,A1)
【文献】中国実用新案第212473779(CN,U)
【文献】中国実用新案第211969645(CN,U)
【文献】中国実用新案第205931075(CN,U)
【文献】中国実用新案第213384566(CN,U)
【文献】ヨツバモト ヨツバモト ミャウ16(グローバル),日本,Dirtbikeplus (ダートバイクプラス) ,<URL; https://www.dirtbikeplus.jp/products/detail/30009?srsltid=AfmBOopP2_KKfgDjQzoKHNhvw8Q281N4wK047EVo_-QrbcMqRJ7wNvob>
【文献】デイトナが2018モーターサイクルショー出展概要を発表! 新型インカムを初披露!,日本,Motor-Fan.jp,2018年03月08日,<URL: https://car.motor-fan.jp/event/motorcycleshow2018/detail/10003282>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 1/00 - 27/00
B62J 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪と、
前記前輪を操舵可能に保持するヘッド部と、
前記ヘッド部から下方に傾斜しつつ後方に延びる前フレームと、当該前フレームの後端から当該前フレームよりも水平に近い角度で後方に延びる後フレームとを含み、前記ヘッド部と前記後輪とを連結するメインフレームと、
前記前フレームと前記後フレームとが繋がる部分である折曲部に固定され、かつシートを上下方向にスライド可能に支持するシート支持部と、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方を駆動するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備え、
前記後フレームは、前後方向に延びるロアパイプと、前記ロアパイプよりも上方において前後方向に延びるアッパーパイプとを備え、
前記前フレームと前記アッパーパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、
前記前フレームと前記ロアパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、
前記アッパーパイプ及び前記ロアパイプは、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように配置されており、
前記シート支持部の上端の高さは、前記後輪の上端よりも低く、
前記シート支持部は、前記後輪の上端よりも低いレベルまで前記シートがスライドするのを許容し、
前記バッテリが、前記前フレームの内部における前記ヘッド部と前記シート支持部との間に収納され、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に乗員の踏力を伝達するためのペダル及びクランクが省略され
たバイク。
【請求項2】
請求項1に記載のバイクにおいて、
前記アッパーパイプの前端部と前記前フレームの上壁との間に、両者を接合するガセットを更に備えるバイク。
【請求項3】
請求項1に記載のバイクにおいて、
前記アッパーパイプの前端部が、前記シート支持部よりも前方まで延びて前記前フレームに接合されるバイク。
【請求項4】
請求項1に記載のバイクにおいて、
前記乗員の足が載置される左右一対のステップを更に備え、
前記メインフレームは、前記前フレームの後端部と接合される連結部材とを含み、
前記連結部材は、左右両端部に、前記ステップを支持する左右一対の支持部を有し、
前記ロアパイプの前端部は、前記連結部材に接合される、バイク。
【請求項5】
前輪及び後輪と、
前記前輪を操舵可能に保持するヘッド部と、
前記ヘッド部から下方に傾斜しつつ後方に延びる前フレームと、当該前フレームの後端から当該前フレームよりも水平に近い角度で後方に延びる後フレームとを含み、前記ヘッド部と前記後輪とを連結するメインフレームと、
前記前フレームと前記後フレームとが繋がる部分である折曲部に固定され、かつシートを上下方向にスライド可能に支持するシート支持部と、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方を駆動するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備え、
前記後フレームは、前後方向に延びるロアパイプと、前記ロアパイプよりも上方において前後方向に延びるアッパーパイプとを備え、
前記メインフレームは、前記前フレームの後端部と前記ロアパイプの前端部とがそれぞれ接合されて左右方向に延びるパイプ状の連結部材をさらに備え、
前記アッパーパイプの前端部が、前記シート支持部よりも前方まで延びて前記前フレームに接合され、
前記連結部材に設けられた孔に前記ロアパイプの前端部が挿入された状態で、前記連結部材と前記ロアパイプの前端部とが互いに接合され
、
前記アッパーパイプ及び前記ロアパイプは、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように配置されており、
前記シート支持部は、前記後輪の上端よりも低いレベルまで前記シートがスライドするのを許容し、
前記バッテリが、前記前フレームの内部における前記ヘッド部と前記シート支持部との間に収納され、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に乗員の踏力を伝達するためのペダル及びクランクが省略されたバイク。
【請求項6】
請求項
5に記載
のバイクにおいて、
前記乗員の足が載置される左右一対のステップをさらに備え、
前記連結部材は、左右両端部に、前記ステップを支持する左右一対の支持部を有する
、バイク。
【請求項7】
前輪及び後輪と、
前記前輪を操舵可能に保持するヘッド部と、
前記ヘッド部から下方に傾斜しつつ後方に延びる前フレームと、当該前フレームの後端から当該前フレームよりも水平に近い角度で後方に延びる後フレームとを含み、前記ヘッド部と前記後輪とを連結するメインフレームと、
前記前フレームと前記後フレームとが繋がる部分である折曲部に固定され、かつシートを上下方向にスライド可能に支持するシート支持部と、を備え、
前記後フレームは、前後方向に延びるロアパイプと、前記ロアパイプよりも上方において前後方向に延びるアッパーパイプとを備え、
前記前フレームと前記アッパーパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、
前記前フレームと前記ロアパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、
前記アッパーパイプ及び前記ロアパイプは、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように配置されており、
前記シート支持部の上端の高さは、前記後輪の上端よりも低く、
前記シート支持部は、前記後輪の上端よりも低いレベルまで前記シートがスライドするのを許容し、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に乗員の踏力を伝達するためのペダル及びクランクが省略されたバイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バランスバイク(登録商標)等を含むバイクに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示されるバランスバイク(キッズバイク)が公知である。バランスバイクは、子供用自転車の一種である。バランスバイクは、地面をキックしながらの走行が可能となるように、ペダルを支持するクランクが省略される。また、バランスバイクの一種として、モータ及びバッテリを搭載した電動バランスバイクも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0130150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バランスバイクは、その性質上、体格の異なる幅広いユーザに適合することが望ましい。
【0005】
本開示は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、乗車可能なユーザの範囲を拡大することが可能なバランスバイクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためのものとして、本開示の一局面に係るバイクは、前輪及び後輪と、前記前輪を操舵可能に保持するヘッド部と、前記ヘッド部から下方に傾斜しつつ後方に延びる前フレームと、当該前フレームの後端から当該前フレームよりも水平に近い角度で後方に延びる後フレームとを含み、前記ヘッド部と前記後輪とを連結するメインフレームと、前記前フレームと前記後フレームとが繋がる部分である折曲部に固定され、かつシートを上下方向にスライド可能に支持するシート支持部と、前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方を駆動するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、を備え、前記後フレームは、前後方向に延びるロアパイプと、前記ロアパイプよりも上方において前後方向に延びるアッパーパイプとを備え、前記前フレームと前記アッパーパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、前記前フレームと前記ロアパイプとが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がり、前記アッパーパイプ及び前記ロアパイプは、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように配置されており、前記シート支持部の上端の高さは、前記後輪の上端よりも低く、前記シート支持部は、前記後輪の上端よりも低いレベルまで前記シートがスライドするのを許容し、前記バッテリが、前記前フレームの内部における前記ヘッド部と前記シート支持部との間に収納され、前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方に乗員の踏力を伝達するためのペダル及びクランクが省略されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のバランスバイクによれば、乗車可能なユーザの範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るバランスバイクの側面図である。
【
図2】前記バランスバイクを上側の斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】前記バランスバイクを下側の斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】前記バランスバイクを下側の斜め前方から見た斜視図である。
【
図6】メインフレームの中間部分を分解状態で示す分解斜視図である。
【
図7】前記メインフレームの前フレームの前端部の断面図である。
【
図9】本開示の第2実施形態に係るバランスバイクにおけるステップの周辺構造を示す分解斜視図である。
【
図10】突出状態の前記ステップを示す斜視図である。
【
図11】格納状態の前記ステップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1実施形態
以下、図面を参照しつつ本開示の第1実施形態について説明する。
【0011】
[バランスバイクの全体構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係るバランスバイクの側面図であり、
図2~
図4は当該バランスバイクの斜視図である。本図に示されるバランスバイクは、主に子供向けのキッズバイクである。バランスバイクは、足でペダルを漕ぐ(回転させる)ことで走行する自転車とは異なり、ペダルを支持するクランクが省略される。バランスバイクは、自転車に乗る前の練習、つまりバランス感覚を養って左右の体重移動の要領を得るための練習に使用されることがある。バランスバイクに乗車したユーザつまり乗員は、シート(サドル)に着座した姿勢で地面を後方にキックする。これにより、地面からの反力が前方への推進力としてバランスバイクに作用し、バランスバイクが前方に走行する。
【0012】
バランスバイクは、メインフレーム1と、前輪2及び後輪3と、フロントフォーク4と、ハンドル5と、ヘッドチューブ6と、シート7と、シートチューブ8と、左右一対のステップ9と、モータ10とを備える。すなわち、本実施形態のバランスバイクは、上述した乗員のキックによる自力走行と、モータ10による電動走行とが可能である。なお、ヘッドチューブ6は本開示における「ヘッド部」に相当する。シートチューブ8は本開示における「シート支持部」に相当する。
【0013】
メインフレーム1は、バランスバイクの車体の主要部をなすフレームであり、前フレーム11及び後フレーム12と、両フレーム11,12の間に介在する連結部材13(
図2~
図4参照)と備える。前フレーム11は、ヘッドチューブ6から下方に傾斜しつつ後方に延び、後フレーム12は、前フレーム11の後端から当該前フレーム11よりも水平に近い角度で後方に延びる。前フレーム11と後フレーム12(詳しくは後述のロアパイプ122)とは、連結部材13を介した溶接により互いに接合されている。すなわち、メインフレーム1は、側面視で浅いV字状をなすように折れ曲がった形状を有する。
【0014】
メインフレーム1は、前フレーム11と後フレーム12とが繋がる部分において下向きに凸になるように折れ曲がっている。言い換えると、メインフレーム1は、側面視において、その前後方向中間部がヘッドチューブ6と後輪3の中心(後述する車軸31)とを結ぶ仮想直線よりも下方に位置するように折れ曲がっている。以下では、メインフレーム1が折れ曲がる部分、つまり前フレーム11と後フレーム12とが繋がる部分のことを折曲部15と称する。メインフレーム1のさらに詳細な構造については後述する。
【0015】
前輪2は、車軸21と、ホイール本体22と、タイヤ23とを備える。車軸21は、前輪2の回転中心として機能する軸であり、フロントフォーク4(詳しくは後述のレッグ部42)の下端部に固定されている。ホイール本体22は、車軸21を中心に回転可能な剛性部品であり、ベアリングを介して車軸21に取り付けられている。タイヤ23は、ホイール本体22の外周部(リム)に取り付けられるリング状のゴム製部品である。
【0016】
フロントフォーク4は、ハンドル5と前輪2とを連結する部材であり、ステム部41と、左右一対のレッグ部42とを備える。ステム部41は、ハンドル5から前輪2に向かって延びるパイプ材であり、上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜した姿勢で上下方向に延びる。当該ステム部41の中間部は、ヘッドチューブ6に同軸に挿入されている。一対のレッグ部42は、ステム部41の下端部から左右に分岐しつつ下方に延びる。各レッグ部42の下端部は、前輪2の車軸21の両端部が締結部材等を介して固定される固定部42aである。言い換えると、前輪2は、その車軸21がレッグ部42の固定部42aに締結されることにより、フロントフォーク4に対し着脱可能に取り付けられる。
【0017】
ハンドル5は、ハンドルバー51と、アクセルグリップ52と、ブレーキレバー53とを備える。ハンドルバー51は、前輪2を操舵するために設けられた左右方向(車幅方向)に延びる棒材であり、フロントフォーク4のステム部41の上端部にブラケット55を介して固定されている。ハンドルバー51が前後方向に転舵されると、フロントフォーク4が軸回りに回転して前輪2の向きが変更され、バランスバイクの進行方向が変更される。アクセルグリップ52は、バランスバイクを電動走行させる際に乗員が捻り操作するグリップであり、ハンドルバー51の右側部分を覆うように取り付けられている。アクセルグリップ52は、捻り操作が可能なように、左右方向に延びる軸回りに回転可能な状態でハンドルバー51の右側部分に取り付けられている。ブレーキレバー53は、バランスバイクを減速させる際に乗員が握り操作するレバーであり、ハンドルバー51の左側部分に取り付けられている。
【0018】
ヘッドチューブ6は、フロントフォーク4のステム部41を受け入れ可能な円筒状の部材であり、前フレーム11の前端部に固定されている。詳しくは、ヘッドチューブ6は、前フレーム11の前端部を上下に貫通する状態で当該前フレーム11に固定されている。ヘッドチューブ6は、ステム部41の軸回りの回転を許容しつつ当該ステム部41を保持する。言い換えると、ヘッドチューブ6は、フロントフォーク4を介して前輪2を操舵可能に保持している。
【0019】
シート7は、シートポスト71及びサドル72を備える。シートポスト71は、上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜した姿勢で上下方向に延びるパイプ材である。シートポスト71の少なくとも下部は、シートチューブ8に同軸に挿入されている。サドル72は、バランスバイクに乗車する乗員の臀部を支持する部品であり、シートポスト71の上端部に着脱可能に固定されている。
【0020】
シートポスト71は、サドル72の前後方向中間部を支持する。言い換えると、サドル72の前部は、シートポスト71よりも前方に延び、サドル72の後部は、シートポスト71よりも後方に延びる。サドル72の後端部は、前フレーム11の後端部よりも後方に位置する。
【0021】
シートチューブ8は、シートポスト71を受け入れ可能な円筒状の部材であり、前フレーム11の後端部に固定されている。詳しくは、シートチューブ8は、前フレーム11の後端部を上下に貫通する状態で当該前フレーム11に固定されている。前フレーム11の後端部は、上述したとおり、後フレーム12の前端部と非平行に繋がる部分であって、当該後フレーム12の前端部と協働してメインフレーム1の折曲部15を構成している。言い換えると、シートチューブ8は、メインフレーム1の折曲部15に固定されている。なお、シートチューブ8は、ヘッドチューブ6と同様の外形寸法(直径及び高さ)を有するように形成されていてもよい。これにより、前フレーム11の車幅方向寸法を前端から後端にわたって一様に設定し得る。
【0022】
シートチューブ8は、シート7の高さが可変となるように、シートポスト71を軸方向(上下方向)にスライド可能に保持している。シートチューブ8の上端の高さは、後輪3の上端(後述する
図5の高さL1)よりも低い。当該シートチューブ8の上端にはクランプ82が取り付けられている。クランプ82は、シート7を所望の高さでロックするためのロック装置であり、リリース状態とロック状態との間で切り替え可能である。すなわち、クランプ82は、リリース状態のときにシートポスト71のスライドを許容し、ロック状態のときにシートポスト71をクランプしてそのスライドを禁止する。このようなクランプ82を用いることにより、乗員は、シート7のサドル72の高さを所望の高さに調整することが可能である。
【0023】
図5は、シート7の高さ調整範囲を示す図である。
図5では、下限高さにあるシート7を実線で表し、上限高さにあるシート7を二点鎖線で表している。ここで、シート7の下限高さとは、シートポスト71を最大限下方にスライドさせたときのサドル72の上面の高さのことであり、シート7の上限高さとは、シートポスト71を最大限上方にスライドさせたときのサドル72の上面の高さのことである。本図に示すように、シート7が下限高さ(実線)まで下がったとき、サドル72の上面は後輪3の上端に対応する高さL1よりも低くなる。また、シート7が上限高さ(二点鎖線)まで上がったとき、サドル72の上面は後輪3の上端に対応する高さL1よりも高くなる。言い換えると、シート7のサドル72の高さは、後輪3の上端よりも高いレベルから後輪3の上端よりも低いレベルまでの範囲で調整可能である。
【0024】
後輪3は、車軸31と、ホイール本体32と、タイヤ33とを備える。車軸31は、後輪3の回転中心として機能する軸であり、後フレーム12の後端部(後述するエンドプレート123)に固定されている。ホイール本体32は、車軸31を中心に回転可能な剛性部品であり、モータ10を介して車軸31に取り付けられている。タイヤ33は、ホイール本体32の外周部(リム)に取り付けられるリング状のゴム製部品である。
【0025】
モータ10は、電力の供給を受けて駆動される電動モータである。モータ10は、いわゆるインホイールモータであり、後輪3を直接回転させ得るようにホイール本体32の中心部(ハブ)に同軸に取り付けられている。詳細な図示は省略するが、モータ10は、車軸31に対し回転不能なステータと、通電されることでステータに対し回転するロータとを内蔵している。ロータの回転は、ホイール本体32と同軸の出力軸を介してホイール本体32に伝達され、これによって後輪3が回転駆動される。モータ10としてインホイールモータが用いられることにより、駆動系の簡素化及び軽量化が図られている。
【0026】
図6は、メインフレーム1の中間部分を分解状態で示す分解斜視図である。本図に示すように、一対のステップ9は、基部91及びステップ本体92を備える。基部91は、メインフレーム1への取付部であり、メインフレーム1における連結部材13の車幅方向の端部(後述する支持部131)に挿入状態で固定される。ステップ本体92は、乗員の足が載置される部品であり、連結部材13に挿入された基部91から車幅方向外側に突出するように設けられる。
【0027】
後フレーム12には、後輪3に制動力を付与するブレーキ35が取り付けられている。ブレーキ35は、前フレーム11の内部を通るように配索されたケーブルC1を介して、ブレーキレバー53と機械的に接続されている。乗員がブレーキレバー53を握る操作を行うと、当該ブレーキレバー53への操作力がケーブルC1を介してブレーキ35に伝達される。これにより、後輪3の回転を規制する制動力がブレーキ35からホイール本体32に付与される。
【0028】
図1に示すように、前フレーム11の内部には、バッテリ101及びコントローラ102が収納されている。バッテリ101は、モータ10に供給する電力を蓄える蓄電装置である。コントローラ102は、モータ10の回転を制御する制御装置である。コントローラ102は、前フレーム11の内部を通るように配索されたケーブルC2を介してモータ10と電気的に接続されるとともに、別のケーブルを介してアクセルグリップ52と電気的に接続されている。乗員がアクセルグリップ52を捻る操作を行うと、当該捻り操作の操作量等を示す信号がコントローラ102に入力される。コントローラ102は、入力された操作信号に基づく所望の回転数でモータ10が回転駆動されるように、バッテリ101からモータ10への給電を制御する。
【0029】
[メインフレームの詳細構造]
次に、メインフレーム1のより詳細な構造について説明する。上述したとおり、メインフレーム1は、側面視で異なる角度をもって前後方向に延びる前フレーム11及び後フレーム12と、両フレーム11,12の間に設けられた連結部材13とを備える。具体的に、前フレーム11は、ヘッドチューブ6から後方かつ下方に延びる傾斜した中心線A1(
図1)に沿って延びる金属製の中空フレームである。後フレーム12は、前フレーム11の中心線A1よりも水平に近い角度で前後方向に延びる複数のパイプ材が組み合わされた金属製のパイプフレームである。連結部材13は、特に
図6に示すように、左右方向に延びる金属製の角パイプ材であり、前フレーム11の後端下部と後フレーム12(詳しくは後述のロアパイプ122)の前端部とを互いに連結するように両者に接合されている。連結部材13は、シートチューブ8の下端部のすぐ後方に配置されている(
図3及び
図4参照)。
【0030】
図7は、前フレーム11の前端部をヘッドチューブ6の軸線に沿って切断した断面図であり、
図8は、前フレーム11の後端部をシートチューブ8の軸線に沿って切断した断面図である。
図7、
図8及び先の
図1~
図6に示すように、前フレーム11は、その中心線A1に沿って直線状に延びる前後方向に長尺なフレームである。前フレーム11は、中心線A1と直交する断面が略矩形を呈する。前フレーム11の断面形状は、車幅方向寸法よりも上下方向寸法が大きくなるように形成される。前フレーム11は、フレーム本体111と、前側下壁112と、後側下壁113と、後壁114とを備える。
【0031】
フレーム本体111は、断面視で逆U字状を呈する金属製のフレームである。すなわち、フレーム本体111は、上壁151と、左右一対の側壁152とを一体に有する。一対の側壁152は、左右方向に一定の間隔をあけて相対向する板状体である。上壁151は、一対の側壁152の上縁どうしを互いに連結する板状体である。上壁151と各側壁152との境界にはそれぞれ稜線R1が形成される。言い換えると、前フレーム11は、前後方向に延びる左右一対の稜線R1を有する中空フレームである。
【0032】
図7に示すように、前側下壁112は、フレーム本体111の前端部の下面開口を塞ぐようにフレーム本体111に接合される金属製の板材である。具体的に、前側下壁112は、フレーム本体111の一対の側壁152間の開口のうちフレーム本体111の前端部に対応する領域のみを覆うように配置され、かつ各側壁152の下端部と溶接により接合される。
【0033】
図8に示すように、後側下壁113は、フレーム本体111の後端部の下面開口を塞ぐようにフレーム本体111に接合される金属製の板材である。具体的に、後側下壁113は、フレーム本体111の一対の側壁152間の開口のうちフレーム本体111の後端部に対応する領域のみを覆うように配置され、かつ各側壁152の下端部と溶接により接合される。
【0034】
図6に示すように、後壁114は、フレーム本体111の後端の開口を塞ぐようにフレーム本体111に接合される金属製の板材である。後壁114は、フレーム本体111における上壁151及び一対の側壁152の各後端部にそれぞれ溶接により接合される。
図2及び
図3に示すように、後壁114には、上述したケーブルC1,C2をフレーム本体111の内部に導入するための孔が形成されている。
【0035】
図7に示すように、前フレーム11は、ヘッドチューブ6に対応する位置つまり前端部に、ヘッドチューブ6を通すための貫通孔h1,h2を有する。貫通孔h1は、フレーム本体111の上壁151の前端部を貫通する孔であり、貫通孔h2は、前側下壁112を貫通する孔である。ヘッドチューブ6は、上壁151及び前側下壁112の各貫通孔h1,h2に挿入されるとともに、各貫通孔h1,h2の周縁部と溶接により接合されている。言い換えると、ヘッドチューブ6は、上壁151及び前側下壁112を共に貫通する状態で前フレーム11の前端部に接合されている。なお、貫通孔h1,h2は、本開示における「前側貫通孔」に相当する。
【0036】
図8に示すように、前フレーム11は、シートチューブ8に対応する位置つまり後端部に、シートチューブ8を通すための貫通孔h3,h4を有する。貫通孔h3は、フレーム本体111の上壁151の後端部を貫通する孔であり、貫通孔h4は、後側下壁113を貫通する孔である。シートチューブ8は、上壁151及び後側下壁113の各貫通孔h3,h4に挿入されるとともに、各貫通孔h3,h4の周縁部と溶接により接合されている。言い換えると、シートチューブ8は、上壁151及び後側下壁113を共に貫通する状態で前フレーム11の後端部に接合されている。なお、貫通孔h3,h4は、本開示における「後側貫通孔」に相当する。
【0037】
前フレーム11には、前カバー115及び下カバー116(
図4)が取り付けられている。前カバー115は、前フレーム11の前端開口を塞ぐように前フレーム11に取り付けられる樹脂製のカバーである。下カバー116は、前フレーム11の下面開口を塞ぐように前フレーム11に取り付けられる樹脂製のカバーである。詳しくは、下カバー116は、前フレーム11の下面開口のうち前側下壁112及び後側下壁113が存在しない残余の領域、つまり前後方向中央部を含む大部分の下面開口を覆うように前フレーム11に取り付けられる。前カバー115及び下カバー116は、ビス等を介して前フレーム11に着脱可能に取り付けられる。下カバー116を取り外した状態で前フレーム11の下面に形成される開口は、バッテリ101を出し入れするための開口として機能する。
【0038】
後フレーム12は、左右一対のアッパーパイプ121と、左右一対のロアパイプ122と、左右一対のエンドプレート123とを備える。一対のエンドプレート123は、後輪3の車軸31の両端部が締結部材等を介して固定される固定部である。言い換えると、後輪3は、その車軸31がエンドプレート123に締結されることにより、後フレーム12に対し着脱可能に取り付けられる。一対のアッパーパイプ121は、各エンドプレート123の上部から前方に延びるパイプ材である。一対のロアパイプ122は、各エンドプレート123の下部から前方に延びるパイプ材である。なお、ロアパイプ122は、本開示における「延設材」に相当する。
【0039】
各アッパーパイプ121の前端部は、前フレーム11のフレーム本体111の後端部に溶接により接合されている。詳しくは、アッパーパイプ121の前端部は、フレーム本体111の後端部のうち左右の稜線R1に対応する位置に突合せ溶接により接合されている。また、アッパーパイプ121の前端部は、シートチューブ8の左右両側を通って当該シートチューブ8のやや前方まで延びている。言い換えると、アッパーパイプ121の前端部は、シートチューブ8の左右の近傍においてフレーム本体111(前フレーム11)と接合されている。各アッパーパイプ121の前端部とフレーム本体111の上壁151との間には、それぞれガセット125が取り付けられている。各アッパーパイプ121は、ガセット125と共にフレーム本体111に溶接されている。
【0040】
一対のアッパーパイプ121は、後輪3の前部の車幅方向寸法よりも大きい間隔をあけて配置される。また、本実施形態では、後輪3にインホイールモータ10が取り付けられることから、一対のアッパーパイプ121の後端部は、インホイールモータ10の車幅方向寸法よりも大きい間隔をあけて配置される。
【0041】
同様に、一対のロアパイプ122は、後輪3の前部の車幅方向寸法よりも大きい間隔をあけて配置される。また、一対のロアパイプ122の後端部は、インホイールモータ10の車幅方向寸法よりも大きい間隔をあけて配置される。
【0042】
各ロアパイプ122の前端部は、連結部材13を介して前フレーム11の後端部に接合されている。具体的には、
図6に示すように、前フレーム11の後端下部に連結部材13が接合されるとともに、当該連結部材13に各ロアパイプ122の前端部が接合されることにより、各ロアパイプ122と前フレーム11とが互いに接合されている。
【0043】
アッパーパイプ121及びロアパイプ122は、側面視において、それぞれ
図1に示す中心線A2,A3に沿って前後方向に延びるように配設されている。アッパーパイプ121及びロアパイプ122の各中心線A2,A3は、いずれも、前フレーム11の傾斜した中心線A1よりも水平に近い。具体的に、アッパーパイプ121の中心線A2は、水平面と略平行に延びる。ロアパイプ122の中心線A3は、水平面に対しやや傾いているが、その傾斜角度は前フレーム11の中心線A1よりも小さい。言い換えると、アッパーパイプ121及びロアパイプ122は、前フレーム11よりも水平に近い角度で前後方向に延びるように配設されている。
【0044】
上述のとおり、アッパーパイプ121の中心線A2は、略水平なロアパイプ122の中心線A3に対し非平行であり、後下がりにやや傾斜している。すなわち、アッパーパイプ121及びロアパイプ122は、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように配置されている。
【0045】
エンドプレート123は、後輪3の車軸31から前方かつ下方に延びる板材である。このエンドプレート123の上部及び下部に、アッパーパイプ121及びロアパイプ122の各後端部が接合されている。すなわち、アッパーパイプ121の後端部は、車軸31と略同一の高さにおいてエンドプレート123の上部に接合されている。ロアパイプ122の後端部は、車軸31よりも低い高さにおいてエンドプレート123の下部に接合されている。このように、アッパーパイプ121及びロアパイプ122は、互いに非平行な状態でエンドプレート123の異なる高さ位置に接合されている。
【0046】
連結部材13は、角パイプの4つの角が上下及び前後を向く姿勢で前フレーム11の後端下部に接合される。
図6に示すように、前フレーム11の後端下部には、連結部材13の前側の角部132を受け入れるための凹部Wが形成されている。この凹部Wの形成のために、前フレーム11(フレーム本体111)における一対の側壁152は、その後端下部をV字状に切り欠いた切欠部152aを有している。そして、当該切欠部152aを除くフレーム本体111の後端部に後側下壁113及び後壁114がそれぞれ接合されることにより、後方に開放された凹部Wが前フレーム11に形成されている。連結部材13は、その前側の角部132が凹部Wに挿入された状態で前フレーム11に溶接される。具体的に、凹部Wに挿入された連結部材13は、各側壁152の切欠部152aと、後側下壁113の上縁と、後壁114の下縁とにそれぞれ当接する。そして、各々の当接部に対し溶接が行われることにより、連結部材13が前フレーム11の後端下部に接合される。
【0047】
連結部材13には、左右一対の受入孔h10が形成されている。受入孔h10は、連結部材13の後側の角部133の左右2箇所を貫通する後方に開放された孔である。各受入孔h10には、後フレーム12の一対のロアパイプ122の前端部がそれぞれ挿入される。この挿入状態において、各ロアパイプ122の前端部が各受入孔h10の周縁部と溶接されることにより、連結部材13と各ロアパイプ122とが互いに接合される。
【0048】
連結部材13は、その左右両端部に、一対のステップ9を支持する支持部131を有する。各支持部131は、一対のステップ9の各基部91を受け入れる部分であり、車幅方向外側に開放された開口Qをそれぞれ有する。各ステップ9は、その基部91が開口Qを通じて各支持部131に挿入されることにより、連結部材13に固定される。詳しくは、基部91が支持部131に挿入された状態で、基部91と支持部131とを締結するボルト95が止着されることにより、当該ボルト95を介してステップ9が連結部材13に固定される。
【0049】
以上のように、連結部材13は、その左右両側の支持部131において一対のステップ9を支持するとともに、前フレーム11と後フレーム12のロアパイプ122との間に介在して両者を溶接により連結する。言い換えると、連結部材13は、ステップ9を支持する機能と、ロアパイプ122と前フレーム11とを連結する機能とを兼ね備えた部品である。
【0050】
[作用効果]
以上説明したとおり、本実施形態のバランスバイクは、傾斜した前フレーム11とこれよりも水平に近い後フレーム12とを含むメインフレーム1を備える。また、当該メインフレーム1の前フレーム11と後フレーム12とが繋がる部分である折曲部15には、シート7を上下方向にスライド可能に支持するシートチューブ8が固定される。このような構成によれば、仮にメインフレーム1を同一の傾斜角度で直線状に延びるフレームとした場合に比べて、シートチューブ8の固定位置を低くすることができる。例えば、本実施形態のメインフレーム1とは異なる直線状のメインフレーム、つまりヘッドチューブ6から後輪3の車軸31に向かって一定の傾斜角度で延びるメインフレームを想定する。このような直線状のメインフレームの場合、その前後方向中間部の高さは、本実施形態のメインフレーム1における折曲部15の高さよりも必然的に高くなる。言い換えると、本実施形態では、下向きに凸の折曲部15を有するメインフレーム1を用いることにより、当該折曲部15の高さを相対的に低くすることができる。これにより、折曲部15に固定されるシートチューブ8の高さが低くなるので、当該シートチューブ8にスライド可能に支持されたシート7の下限高さ(
図5に実線で示される位置)を低いレベルに抑えることができる。このことは、車輪(前輪2及び後輪3)の外径がある程度大きくてもシート7の下限高さが低くなり得ることを意味する。したがって、共通の車輪径を有しながら幅広い体格(年齢)のユーザが乗車可能なバランスバイクを実現することができる。
【0051】
例えば、メインフレームが直線状とされたバランスバイクでは、シートを十分に下げられないので、ユーザの体格もしくは年齢に応じて車輪の外径が異なる複数種の商品をラインアップする必要がある。これに対し、本実施形態では、シート7の下限高さが低く抑えられるので、車輪径を共通化しながらも、乗車可能なユーザの範囲を拡大することができる。例えば、本実施形態のバランスバイクでは、高い年齢層の子供(例えば5~8歳児)に適すると考えられる比較的大きい車輪径(例えば16インチ)を、低い年齢層の子供(例えば3~5歳児)向けにも適用し得る。すなわち、車輪径が比較的大きくても、シート7を下限高さまで下げれば、股下寸法(足裏から股間までの距離)が小さい低年齢層の子供に適したシート高さを実現することができる。また、シート7を上限高さまで上げれば、股下寸法が大きい高年齢層の子供に適したシート高さを実現することができる。このように、本実施形態では、共通の車輪径を有しながら幅広い体格(年齢)のユーザが乗車可能なバランスバイクを実現できるので、体格差に応じて車輪径を設定し分ける必要がなくなり、商品の種類を減らすことができる。
【0052】
特に、本実施形態では、シート7が下限高さまでスライドしたとき、シート7のサドル72の上面が後輪3の上端に対応する高さL1よりも低くなる(
図5参照)。したがって、車輪径が比較的大きくても、低年齢層の子供に適した十分に低いレベルまでシート7を下げることが可能になり、乗車可能なユーザの範囲をより拡大することができる。
【0053】
ここで、仮にメインフレームが直線状であったとしても、シートチューブ8の固定位置を後輪3に十分に近づければ、シート7の高さをある程度抑制することが可能になる。しかしながら、シートチューブ8の後輪3への接近は、サドル72からハンドル5までの前後方向の距離の拡大をもたらす。このことは、体格が小さい子供のユーザにとって、サドル72に着座した状態でハンドル5にアクセスすることが困難になることを意味する。このように、メインフレームが直線状であった場合は、シート7の下限高さの抑制とハンドル5の操作性とを両立させることが困難である。
【0054】
これに対し、本実施形態では、下向きに凸の折曲部15を有するメインフレーム1が採用されるので、シートチューブ8をそれほど後輪3に近づけなくても、シート7の下限高さを低く抑えることができる。すなわち、本実施形態では、後輪3に対し比較的前方に離れた位置にシートチューブ8を固定できるので、サドル72からハンドル5までの前後方向の距離を短くすることができ、体格の小さい子供に対しても良好な操作性を提供することができる。言い換えると、本実施形態では、シート7の下限高さの抑制とハンドル5の操作性とを両立させることができる。
【0055】
しかも、本実施形態において、シートチューブ8は、その上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜している。このため、シート7が上方にスライドしたときには、スライド前に比べてサドル72が後方に移動し、サドル72からハンドル5までの前後方向の距離が拡大する。このことは、体格の大きい子供のユーザに対しても良好な操作性を提供できることを意味する。すなわち、本実施形態では、シート7の上方スライドによりサドル72からハンドル5までの距離が拡大するので、体格の大きい子供が乗車した場合でも、ハンドル操作時の姿勢が窮屈になり難い。このように、本実施形態では、シート7の上下スライドに応じてサドル72の前後位置が自然に調整されるので、幅広い体格のユーザに対し良好な操作性を提供することができる。
【0056】
上述したとおり、メインフレーム1が折れ曲がっている本実施形態では、シートチューブ8から後輪3までの前後方向の距離が確保され易く、よってサドル72の後端から後輪3までの距離も確保され易い。これにより、本実施形態では、十分に低い下限位置(
図5に実線で示す位置)までシート7を下げることを許容しながら、サドル72と後輪3との干渉を防止することができる。特に、本実施形態では、シート7の下方スライドに応じてサドル72が前方に移動するようにシートチューブ8が傾斜しているので、前記のようなサドル72と後輪3との干渉をより起き難くすることができる。また、本実施形態では、ヘッドチューブ6及びシートチューブ8が前フレーム11に貫通状態で取り付けられる。このような構成によれば、前フレーム11の剛性を高めることができ、前フレーム11の変形を抑制することができる。
【0057】
より具体的に、本実施形態では、前フレーム11の前端部の貫通孔h1,h2にヘッドチューブ6が挿入された状態でヘッドチューブ6と前フレーム11とが溶接により接合され、前フレーム11の後端部の貫通孔h3,h4にシートチューブ8が挿入された状態でシートチューブ8と前フレーム11とが溶接により接合される。このような構成によれば、前フレーム11の貫通孔に挿入して接合するという共通の方法で、ヘッドチューブ6及びシートチューブ8をいずれも前フレーム11に固定することができ、構造を簡素化しつつ両チューブ6,8の接合強度を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態では、後フレーム12ではなく前フレーム11にシートチューブ8が支持されるので、シートチューブ8を支持するための構造を後フレーム12に構築する必要がなく、後フレーム12の設計自由度を向上させることができる。また、前フレーム11の前端部及び後端部に、同様の形状のヘッドチューブ6及びシートチューブ8がそれぞれ支持されるので、前フレーム11の前端から後端にかけて前フレーム11の断面形状を変更する必要がない。これにより、前フレーム11の形状が複雑になるのを回避しつつ、当該前フレーム11にヘッドチューブ6及びシートチューブ8をそれぞれ支持させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、前フレーム11と後フレーム12とが連結部材13を介して互いに接合される。特に、後フレーム12と連結部材13とは、連結部材13の受入孔h10に後フレーム12のロアパイプ122の前端部が挿入された状態で溶接により接合される。このような構成によれば、受入孔h10に相当する孔がない連結部材にロアパイプ122の前端部を接合する場合(例えばロアパイプの前端部を連結部材の表面に接着等により接合する場合)と比べて、ロアパイプ122と連結部材13とを強固に接合することができ、連結部材13を介した前フレーム11と後フレーム12との接合強度を高めることができる。これにより、メインフレーム1の剛性ひいてはバランスバイクの車体剛性を十分に確保することができる。
【0060】
特に、本実施形態のバランスバイクは電動式であり、比較的重たいバッテリ101等の部品が前フレーム11の内部に配置される。これに対し、前フレーム11と後フレーム12とが連結部材13を介して強固に接合される本実施形態によれば、バッテリ101の追加に伴う重量増加を補い得る十分な剛性をメインフレーム1に付与することができる。
【0061】
また、本実施形態では、連結部材13の左右両端部の支持部131に一対のステップ9が支持される。このような構成によれば、前フレーム11と後フレーム12とを連結する連結部材13を、ステップ9を支持する支持部材としても兼用することができる。これにより、部品点数を削減しながらステップ9の支持剛性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態では、バッテリ101が、前フレーム11の内部におけるヘッドチューブ6とシートチューブ8との間に配置される。このような構成によれば、バッテリ101と他の部品との干渉を防止しつつ、前フレーム11の内部に効率よくバッテリ101を配置することができる。
【0063】
また、本実施形態では、アッパーパイプ121の前端部が、シートチューブ8よりも前方まで延びて前フレーム11に接合される。このような構成によれば、シートチューブ8付近の前フレーム11をアッパーパイプ121によって補強することができ、シートチューブ8の支持剛性を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態では、シートチューブ8の左右両側(車幅方向外側)にアッパーパイプ121が配置される。このような構成によれば、シートチューブ8及びこれを支持する前フレーム11の後端部が障害物と衝突するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、アッパーパイプ121及びロアパイプ122が、前方に向かうほど上下間隔が拡大するように非平行に配置される。このような構成によれば、圧縮力及び引張力に対するアッパーパイプ121及びロアパイプ122の剛性を高めることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上下方向に延びるシートチューブ8と左右方向に延びる連結部材13とが前フレーム11の後端部にそれぞれ接合される。このような構成によれば、シートチューブ8及び連結部材13からなる上下左右に延びる補強部材を前フレーム11の後端部に構築することができ、前フレーム11の後端部(換言すればメインフレーム1の折曲部15)の変形を効果的に抑制することができる。また、連結部材13はシートチューブ8よりも後方に配置されるので、両者の干渉を回避しつつ前記補強部材を構築することができる。
【0067】
また、本実施形態では、前フレーム11の後端部とロアパイプ122の前端部とが連結部材13を挟んで前後方向に対向する。このような構成によれば、バランスバイクの加減速時に、ロアパイプ122に入力される圧縮力及び引張力を前フレーム11に効率よく伝達することができる。
【0068】
(2)第2実施形態
上述した第1実施形態では、ステップ9を折り曲げて格納する機能を持たせなかったが、バランスバイクを主に自力走行させたいユーザにとっては、ステップに格納機能が備わっていた方が都合がよい場合がある。自力走行のために足で地面をキックする際にステップが邪魔にならないからである。そこで、ステップに格納機能をもたせる例を第2実施形態として説明する。なお、ここでは第1実施形態との相違点を中心に説明することとし、その余の構造は第1実施形態と同様なものとする。
【0069】
図9は、第2実施形態に係るバランスバイクにおけるステップ209の周辺構造を示す分解斜視図であり、
図10は、ステップ209の取付状態を示す斜視図である。本図に示すように、ステップ209は、基部211及びステップ本体212を備える。基部211は、連結部材213の車幅方向(左右方向)の端部に挿入状態で固定される。ステップ本体212は、乗員の足が載置される部品であり、連結部材213の端部に挿入された基部211から車幅方向外側に突出するように設けられる。
【0070】
連結部材213は、上述した第1実施形態の連結部材13(
図2~
図4、及び
図6参照)と同様、前フレーム11と後フレーム12のロアパイプ122とを連結する部材である。連結部材213は、車幅方向(左右方向)に延びる角パイプを基調とした形状を有し、ステップ209の基部211を支持する支持部231を左右両端部に有する。各支持部231は、連結部材213の相対向する2つの壁を車幅方向外側に延長した一対の対向壁231aにより構成されている。言い換えると、連結部材213は、その左右両端部に、一対の対向壁231aの間の壁を切り欠いた切欠部Xを有している。
【0071】
支持部231には、一対の対向壁231aの間に亘ってボルト240が止着される。ステップ209の基部211は、当該ボルト240を介して支持部231に支持される。具体的に、基部211には、ボルト240が挿通される貫通孔211aが形成されている。ステップ209は、当該貫通孔211aに挿通されたボルト240の軸部を中心に回動可能な状態で支持部231に支持される。これにより、ステップ209は、連結部材213から車幅方向外側に突出するように連結部材213と同軸に配置される突出状態と、連結部材213に対し折れ曲がる格納状態との間で変位可能とされる。
【0072】
図11は、格納状態にあるステップ209を示す斜視図である。本図に示すように、ステップ209は、
図10に示す突出状態から、ボルト240の軸部を中心に後方に(詳しくは後方かつ上方に)回動することにより、
図11に示す格納状態へと移行する。このとき、ステップ209の基部211は、連結部材213の後側の切欠部Xを通じて後方に支障なく回動することができる。すなわち、支持部231の一対の対向壁231aの間が切欠部Xであることにより、後方に回動する基部211が連結部材213の端部と干渉することが避けられる。
【0073】
図11に示す格納状態において、ステップ209は、その軸心が車幅方向と直交する方向を向くように配置される。言い換えると、ステップ209が格納状態に移行することにより、ステップ209が連結部材213に対し後方に折れ曲がったような状態が得られる。これにより、連結部材213に対するステップ209の車幅方向の突出量が減少するので、バランスバイクを自力走行させる乗員の脚にステップ209が干渉するのを防止することができる。例えば、バランスバイクを自力走行させるとき、乗員は、サドル72に着座した姿勢で、ステップ209の近くの地面を足で後方にキックし、これによってバランスバイクを前方に進行させる。このとき、ステップ209が格納状態にあれば、乗員の脚にステップ209が干渉し難くなる。すなわち、第2実施形態では、ステップ209が突出状態と格納状態に変位可能であることにより、自力走行時のバランスバイクの走行性を向上させることができる。
【0074】
(3)変形例
前記各実施形態では、前フレーム11と後フレーム12とを溶接により接合することによってメインフレーム1を構築したが、前フレーム11と後フレーム12とをボルト等の締結部材により結合することでメインフレーム1を構築してもよい。
【0075】
前記各実施形態では、後フレーム12のロアパイプ122の前端部を前フレーム11の後端部に連結部材13を介して接合したが、ロアパイプ122の前端部を前フレーム11の後端部に直接接合してもよい。言い換えると、連結部材13は必須ではなく、省略してもよい。
【0076】
前記各実施形態では、別体の前フレーム11と後フレーム12とを接合することでメインフレーム1を構築したが、メインフレーム1は、前フレームと後フレームとを一体に有するものあってもよい。すなわち、メインフレームは、下向きに凸の折曲部を前後方向の途中に有するフレームであればよく、単一のフレーム部品から構成されるか複数のフレーム部品を接合した接合体から構成されるかを問わない。
【0077】
前記各実施形態では、角パイプ材からなる連結部材13(213)の両端に各ステップ9(209)を取り付けるために、連結部材13(213)の両端の開口に各ステップ9(209)の基部91(211)を挿入したが、これとは逆に、ステップに連結部材を挿入することも可能である。すなわち、連結部材の両端に凸部を設け、かつ各ステップの端部に凹部を設けるとともに、連結部材の凸部をステップの凹部に挿入することにより、ステップを連結部材に取り付けてもよい。
【0078】
前記各実施形態では、連結部材13(213)の左右両端部の支持部131(231)にそれぞれステップ9(209)を支持させたが、ステップ9(209)はメインフレーム1の左右両側に取り付いていればよく、必ずしも連結部材13(213)に取り付けられる必要はない。例えば、ステップを支持し得る支持部をメインフレームの左右の側面にそれぞれ設け、各支持部にステップを支持させてもよい。
【0079】
前記第2実施形態では、車幅方向外側に突出する突出状態と後方に折れ曲がる格納状態との間でステップ209が変位可能となるように、ステップ209の基部211を連結部材213の支持部231に回動可能に軸支させたが、ステップ209を格納する方法はこれに限られない。例えば、車幅方向に伸縮可能なステップをメインフレームに取り付けてもよい。この場合、ステップは、車幅方向外側に進出することで突出状態となり、車幅方向内側に後退することで格納状態となる。
【0080】
前記各実施形態では、電動走行用の駆動源として、後輪3を駆動するモータ10のみを設けたが、駆動源は前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動するものであればよい。すなわち、駆動源は、前輪のみを駆動するモータであってもよいし、前輪及び後輪の両方を駆動するモータであってもよい。
【0081】
前記各実施形態では、電動走行用の駆動源として、車輪に同軸に取り付けられるインホイールモータからなるモータ10を設けたが、駆動源はインホイールモータでなくてもよい。例えば、ギヤ等を介して車軸と連動連結されたモータを車輪と非同軸に取り付けてもよい。
【0083】
前記各実施形態では、格納可能な(突出状態と格納状態との間で変位可能な)一対のステップ9(209)を備えたバランスバイクを例示したが、ステップは格納可能でなくてもよい。さらに、ステップは必須でなく、省略してもよい。
【0084】
一方、バランスバイクに格納可能なステップが備わる場合、バランスバイクのメインフレームは、上記各実施形態で示したような折れ曲がったフレームでなくてもよく、従来型の直線状のフレームであってもよい。
【0085】
(4)まとめ
前記各実施形態及びその変形例をまとめると以下のとおりである。
【0086】
バランスバイクは、前輪及び後輪と、前記前輪を操舵可能に保持するヘッド部と、前記ヘッド部から下方に傾斜しつつ後方に延びる前フレームと、当該前フレームの後端から当該前フレームよりも水平に近い角度で後方に延びる後フレームとを含み、前記ヘッド部と前記後輪とを連結するメインフレームと、前記前フレームと前記後フレームとが繋がる部分である折曲部に固定され、かつシートを上下方向にスライド可能に支持するシート支持部と、を備える。
【0087】
この態様では、メインフレームの前フレームと後フレームとが繋がる部分である折曲部に、シートをスライド可能に支持するシート支持部が固定されるので、仮にメインフレームを同一の傾斜角度で直線状に延びるフレームとした場合に比べて、シート支持部の固定位置を低くすることができる。これにより、車輪(前輪及び後輪)の外径を大きくしつつシートの下限高さを抑制することができ、幅広い体格のユーザが乗車可能なバランスバイクを実現することができる。
【0088】
例えば、シートを下限高さまで下げれば、股下寸法(足裏から股間までの距離)が小さい低年齢層の子供がバランスバイクに乗車し易くなる。また、シートを上限高さまで上げれば、股下寸法が大きい高年齢層の子供がバランスバイクに乗車し易くなる。このように、ユーザの体格(年齢)に応じてシート高さを適切に調整できるので、ユーザの範囲を十分に拡大することができる。
【0089】
また、折れ曲がったメインフレームが採用される本態様では、メインフレームが直線状である場合と異なり、シート支持部が後輪に対し前方にある程度離れていても、シート支持部の高さを低く保つことができる。すなわち、本態様では、シート支持部の固定位置を、可及的に低く、かつ後輪から前方に離れた位置に設定することができる。シート支持部が後輪から前方に離れることは、シートからハンドルまでの距離が短くなることを意味する。これにより、シートに着座した状態でハンドルにアクセスすることが容易になるので、バランスバイクの操作性を向上させることができる。
【0090】
好ましくは、前記ヘッド部は、前記前フレームの前部に形成された前側貫通孔に挿入された状態で前記前フレームに接合され、前記シート支持部は、前記前フレームの後部に形成された後側貫通孔に挿入された状態で前記前フレームに接合される。
【0091】
この態様では、前フレームの貫通孔に挿入して接合するという共通の方法で、ヘッド部及びシート支持部をいずれも前フレームに固定することができ、構造を簡素化しつつヘッド部及びシート支持部の接合強度を高めることができる。
【0092】
好ましくは、前記シート支持部は、前記後輪の上端よりも低いレベルまで前記シートがスライドするのを許容する。
【0093】
この態様では、車輪径が比較的大きくても、低年齢層の子供に適した十分に低いレベルまでシートを下げることが可能になり、ユーザの年齢層をより拡大することができる。
【0094】
好ましくは、前記後フレームは、前記前フレームと別体でかつ前後方向に延びる延設材を有する。前記メインフレームは、前記前フレームの後端と前記延設材の前端とがそれぞれ接合される連結部材を備える。前記連結部材及び前記延設材は、前記連結部材に設けられた孔に前記延設材の前端部が挿入された状態で互いに接合される。
【0095】
この態様では、後フレームの延設材と連結部材とが強固に接合されるので、連結部材を介した前フレームと後フレームとの接合強度を高めることができ、メインフレームの剛性ひいてはバランスバイクの車体剛性を十分に確保することができる。
【0096】
好ましくは、前記バランスバイクは、乗員の足が載置される左右一対のステップをさらに備える。前記連結部材は、その左右両端部に、前記ステップを支持する一対の支持部を有する。
【0097】
この態様では、前フレームと後フレームとを連結する連結部材を、ステップを支持する支持部材としても兼用することができる。これにより、部品点数を削減しながらステップの支持剛性を高めることができる。
【0098】
好ましくは、前記ステップは、前記連結部材から車幅方向外側に突出する突出状態と当該突出状態に対して車幅方向の突出量が小さくなる格納状態との間で変位可能である。具体的に、格納状態は、ステップが前記突出状態に対し折れ曲がった状態とすることができる。
【0099】
この態様では、乗員がバランスバイクを自力走行させる際の走行性を向上させることができる。すなわち、バランスバイクを自力走行させるとき、乗員は、シートに着座した姿勢で、ステップ近くの地面を足で後方にキックし、これによってバランスバイクを前方に進行させる。このような自力走行時に、ステップを突出状態から格納状態に変位させておけば、乗員の脚にステップが干渉するのを防止することができる。言い換えると、乗員は、ステップとの干渉を避けるために両脚を大きく広げる必要がなく、車幅中心に近い地面を足でキックすることができる。このように、乗員は、自然な姿勢で地面をキックできるので、バランスバイクを円滑に自力走行させることができる。
【0100】
さらに、前記ステップが前記突出状態と前記格納状態との間で変位可能であることは、乗車可能なユーザの範囲を拡大することにつながる。
【0101】
例えば、体格が小さく股下寸法が小さい(脚が短い)ユーザは、バランスバイクに乗車したときに、シート(サドル)から直線的に脚を延ばした状態で、車幅中心に近い地面を足でキックする傾向にある。このような場合に、ステップが格納状態になっていれば、脚にステップが干渉し難くなるので、地面をキックする動作が行い易くなり、当該キックによるバランスバイクの走行性が向上する。
【0102】
一方、体格が大きく股下寸法が大きい(脚が長い)ユーザは、バランスバイクに乗車したときに、脚を開き気味にしながら車幅中心から離れた地面を足でキックする傾向にある。このため、ステップが突出状態にあっても、ステップが脚に干渉することは起こり難い。むしろ、ステップが突出状態にあれば、走行中に足をステップに載せることができるので、走行中の疲労を軽減することができる。
【0103】
このように、ステップを格納可能とした本態様では、体格の異なるユーザにそれぞれ利便性を提供することができる。これにより、乗車可能なユーザの範囲を拡大することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 :メインフレーム
2 :前輪
3 :後輪
6 :ヘッドチューブ(ヘッド部)
7 :シート
8 :シートチューブ(シート支持部)
9 :ステップ
11 :前フレーム
12 :後フレーム
13 :連結部材
15 :折曲部
122 :ロアパイプ(延設材)
131 :支持部
209 :ステップ
213 :連結部材
231 :支持部
h1,h2:貫通孔(前側貫通孔)
h3,h4:貫通孔(後側貫通孔)
h10 :受入孔(孔)