(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】画像処理装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/42 20060101AFI20250407BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20250407BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250407BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250407BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250407BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
B41J29/42 F
B41J29/00 Z
B41J29/38 801
G03G21/00 388
G03G21/00 386
H04N1/00 Z
G06F3/12 357
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 367
(21)【出願番号】P 2021157131
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】井戸 一彦
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-212137(JP,A)
【文献】特開2009-180858(JP,A)
【文献】特開2007-208440(JP,A)
【文献】特開2011-152718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/42
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブ実行時の設定値の履歴である設定履歴を記憶する設定履歴記憶部と、
前記設定履歴を一覧表示する一覧表示部と、
前記設定履歴が選択された場合、選択された前記設定履歴に含まれる前記設定値が入力された設定画面を表示する設定画面表示部と、
前記設定画面に入力された前記設定値に基づいてジョブを実行するジョブ実行部と、
を備え、
前記一覧表示部は、前記設定値に基づくジョブを実行する場合に認証情報を必要とする前記設定履歴を含めて一覧表示
し、
前記ジョブ実行部は、前記設定画面が表示されてからジョブを実行するまでの任意の時期に、前記認証情報を取得する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ実行部は、前記設定画面を介してジョブを開始させる操作が行われたことに応じて、前記認証情報を取得することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記認証情報が必要な前記設定値はジョブデータの記憶先及びデータ名であり、
前記ジョブ実行部は、前記記憶先及び前記データ名により特定される前記ジョブデータに基づく画像を表示させる操作が行われたことに応じて、前記認証情報を取得することを特徴とする請求項
2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記認証情報は、前記ジョブデータが記憶された領域に対して設定された第1の認証情報と、前記ジョブデータに対して設定された第2の認証情報との少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項
3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記認証情報が必要な前記設定値はジョブデータの記憶先であり、
前記ジョブ実行部は、前記記憶先に前記ジョブデータとは異なるジョブデータを記憶させる操作が行われたことに応じて、前記認証情報を取得することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
ユーザーを認証するユーザー認証部を更に備え、
前記設定履歴には、ジョブを実行したユーザーの情報がさらに含まれ、
前記設定履歴記憶部は、ジョブを実行した前記ユーザーに対応付けて前記設定履歴を記憶し、
前記ジョブ実行部は、前記ユーザーによって選択された前記設定履歴が前記ユーザー認証部によって認証された前記ユーザーによって実行されたジョブの設定履歴である場合、前記認証情報の取得する処理を省略することを特徴とする請求項
1から
4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
ジョブデータを記憶する領域毎に当該領域に対する前記認証情報の要否を設定する設定部を更に備え、
前記ジョブ実行部は、前記認証情報を必要としない前記領域に記憶された前記ジョブデータに基づく画像を出力するジョブが実行された後、前記設定部により当該領域に前記認証情報が設定された場合であって、当該ジョブに対応する前記設定履歴が選択されたとき、前記設定画面が表示されてからジョブを実行するまでの任意の時期に、前記認証情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理装置の制御方法であって、
ジョブ実行時の設定値の履歴である設定履歴を記憶する設定履歴記憶ステップと、
前記設定履歴を一覧表示する一覧表示ステップと、
前記設定履歴が選択された場合、選択された前記設定履歴に含まれる前記設定値が入力された設定画面を表示する設定画面表示ステップと、
前記設定画面に入力された前記設定値に基づいてジョブを実行するジョブ実行ステップと、
を備え、
前記一覧表示ステップは、前記設定値に基づくジョブを実行する場合に認証情報を必要とする前記設定履歴を含めて一覧表示
し、
前記ジョブ実行ステップは、前記設定画面が表示されてからジョブを実行するまでの任意の時期に、前記認証情報を取得する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
ジョブ実行時の設定値の履歴である設定履歴を記憶する設定履歴記憶部と、
前記設定履歴を一覧表示する一覧表示部と、
前記設定履歴が選択された場合、選択された前記設定履歴に含まれる前記設定値が入力された設定画面を表示する設定画面表示部と、
前記設定画面に入力された前記設定値に基づいてジョブを実行するジョブ実行部と、
ジョブデータを記憶する領域毎に当該領域に対する
認証情報の要否を設定する設定部と、
を備え、
前記一覧表示部は、前記設定値に基づくジョブを実行する場合に
前記認証情報を必要とする前記設定履歴を含めて一覧表示し、
前記ジョブ実行部は、前記認証情報を必要としない前記領域に記憶された前記ジョブデータに基づく画像を出力するジョブが実行された後、前記設定部により当該領域に前記認証情報が設定された場合であって、当該ジョブに対応する前記設定履歴が選択されたとき、前記設定画面が表示されてからジョブを実行するまでの任意の時期に、前記認証情報を取得することを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置には、出力に用いられるデータを画像処理装置内に記憶し、ユーザーの操作に基づき当該データを出力するリテンション機能を備えるものがある。さらに、記憶されたデータを参照するときにパスワード等の認証情報を必要とすることで、当該データを保護し、当該データの出力を制限し、セキュリティを確保する機能を備えるものもある。
【0003】
また、親展印刷機能に関する技術も提案されている。例えば、認証されたユーザーが、該認証されたユーザーとは異なる別のユーザーに割り当てられたユーザー領域へデータを格納した場合であっても、該認証されたユーザー自ら格納したデータに限っては、該データに対する処理の実行を許可する画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置には、ジョブの実行に係る設定値を含む設定履歴を、再利用可能に記憶するものがある。ここで、設定履歴の中には、保護されたデータの記憶先を示す設定値等、そのまま再利用するとセキュリティ上の問題が生じる情報が含まれるものがある。一方で、セキュリティ担保を理由として、保護されたデータの記憶先を示す設定値等を含む設定履歴の内容の表示等を制限すると、ユーザビリティが損なわれる可能性がある。そのため、セキュリティを担保しつつ、設定履歴を適切に利用可能とするといった課題がある。しかし、特許文献1等の従来技術では、上述した課題について考慮されていなかった。
【0006】
本開示は上述した課題に鑑み、認証情報を必要とするジョブの設定履歴を適切に利用可能にする画像処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示に係る画像処理装置は、ジョブ実行時の設定値の履歴である設定履歴を記憶する設定履歴記憶部と、前記設定履歴を一覧表示する一覧表示部と、前記設定履歴が選択された場合、選択された前記設定履歴に含まれる前記設定値が入力された設定画面を表示する設定画面表示部と、前記設定画面に入力された前記設定値に基づいてジョブを実行するジョブ実行部と、を備え、前記一覧表示部は、前記設定値に基づくジョブを実行する場合に認証情報を必要とする前記設定履歴を含めて一覧表示することを特徴とする。
【0008】
本開示に係る制御方法は、画像処理装置の制御方法であって、ジョブ実行時の設定値の履歴である設定履歴を記憶する設定履歴記憶ステップと、前記設定履歴を一覧表示する一覧表示ステップと、前記設定履歴が選択された場合、選択された前記設定履歴に含まれる前記設定値が入力された設定画面を表示する設定画面表示ステップと、前記設定画面に入力された前記設定値に基づいてジョブを実行するジョブ実行ステップと、を備え、前記一覧表示ステップは、前記設定値に基づくジョブを実行する場合に認証情報を必要とする前記設定履歴を含めて一覧表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、認証情報を必要とするジョブの設定履歴を適切に利用可能にする画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における画像処理装置の外観斜視図である。
【
図2】第1実施形態における画像処理装置の機能構成を示した図である。
【
図3】第1実施形態におけるジョブデータ記憶領域の概念図である。
【
図4】第1実施形態における設定履歴情報のデータ構造を示す図である。
【
図5】第1実施形態におけるジョブ履歴情報のデータ構造を示す図である。
【
図6】第1実施形態における画像処理装置の処理の流れを示したフロー図である。
【
図7】第1実施形態におけるジョブ実行処理の流れを示したフロー図である。
【
図8】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図9】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図10】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図11】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図12】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図13】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図14】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図15】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図16】第2実施形態におけるジョブ実行処理の流れを示したフロー図である。
【
図17】第3実施形態における画像処理装置の機能構成を示した図である。
【
図18】第3実施形態におけるジョブデータ記憶領域の概念図である。
【
図19】第3実施形態におけるユーザー情報のデータ構造を示す図である。
【
図20】第3実施形態におけるフォルダー情報のデータ構造を示す図である。
【
図21】第3実施形態における設定履歴情報のデータ構造を示す図である。
【
図22】第3実施形態における画像処理装置の処理の流れを示したフロー図である。
【
図23】第3実施形態における動作例を示す図である。
【
図24】第3実施形態における動作例を示す図である。
【
図25】第3実施形態における動作例を示す図である。
【
図26】第4実施形態における画像処理装置の機能構成を示した図である。
【
図27】第4実施形態における動作の概要を示す図である。
【
図28】第4実施形態における動作例を示す図である。
【
図29】第4実施形態における動作例を示す図である。
【
図30】第4実施形態における動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0012】
[1.第1実施形態]
[1.1 機能構成]
第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態に係る画像処理装置10の外観斜視図、
図2は、画像処理装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0013】
画像処理装置10は、コピー機能、印刷機能、スキャナ機能、ファクス等の画像送信機能等を有する装置であり、一般的にデジタル複合機(MFP;Multi-Function Peripheral/Printer)と呼ばれる装置である。画像処理装置10は、電子写真方式等の手段を用いて記録用紙上に画像形成を行う手段を備えた画像形成装置であってもよい。
【0014】
画像処理装置10は、制御部100と、画像入力部120と、画像形成部130と、表示部140と、操作部150と、記憶部160と、通信部190とを備えて構成される。
【0015】
制御部100は、画像処理装置10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部160に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central Processing Unit))等により構成される。また、制御部100は、以下に説明する機能のうち、複数の機能を有するSoC(System on a Chip)として構成してもよい。
【0016】
制御部100は、記憶部160に記憶されたプログラムを実行することにより、画像処理部102、ジョブ実行部104、一覧表示部106、設定画面表示部108、設定履歴情報記憶部110として機能する。
【0017】
画像処理部102は、各種画像に関する処理を行う。例えば、画像処理部102は、画像入力部120によって入力された画像に対し、鮮鋭化処理や階調変換処理を実行する。
【0018】
ジョブ実行部104は、画像処理装置10が備えるコピー機能、印刷機能、スキャナ機能、画像送信機能等の各機能の実行に伴う処理をジョブ単位で実行する。特に、ジョブ実行部104は、実行する機能毎に設けられた設定項目の設定値に基づいてジョブを実行する。設定項目は、例えば、出力部数、出力時のカラーモード、出力時の倍率、スキャンしたデータの宛先等である。設定値は、後述する設定画面表示部108によって表示される設定画面を介して入力される。
【0019】
一覧表示部106は、後述する設定履歴情報記憶領域164に記憶された設定履歴情報を読み出して、設定履歴情報に含まれる情報を表示部140に一覧表示する。
【0020】
設定画面表示部108は、画像処理装置10が備える各機能に対応する設定画面を表示する。設定画面は、実行する機能に対応する設定項目毎の設定値を表示したり、設定値の変更の操作を受け付けたりする画面である。さらに、本実施形態の設定画面表示部108は、後述する設定履歴情報に記憶された設定値を読み出し、当該読み出した設定値を反映させた設定画面を表示する。
【0021】
設定履歴情報記憶部110は、ジョブが実行されたときに、ジョブ実行時の設定値を含む設定履歴情報を記憶する。つまり、設定履歴情報は、ジョブ実行時の設定値の履歴の情報である。
【0022】
画像入力部120は、画像処理装置10に画像データを入力する。例えば、画像入力部120は、画像を読み取って画像データを生成することが可能なスキャン装置等により構成される。スキャン装置は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等のイメージセンサによって画像を電気信号に変換し、電気信号を量子化及び符号化することでデジタルデータを生成する。
【0023】
画像形成部130は、記録用紙等の記録媒体に対して画像を形成(印刷)する。画像形成部130は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成される。画像形成部130は、例えば、
図1の給紙トレイ132から記録用紙を給紙し、記録用紙の表面に画像を形成し、記録用紙を排紙トレイ134から排紙する。
【0024】
表示部140は、各種情報を表示する。表示部140は、例えば、LCD(Liquid crystal display)、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0025】
操作部150は、画像処理装置10を使用するユーザーの操作を受け付ける。操作部150は、タッチセンサ等の入力装置によって構成される。タッチセンサにおいて入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、画像処理装置10には、表示部140と、操作部150とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。
【0026】
記憶部160は、画像処理装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部160は、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成される。
【0027】
記憶部160は、記憶領域として、ジョブデータ記憶領域162、設定履歴情報記憶領域164及びジョブ履歴情報記憶領域166を確保する。
【0028】
ジョブデータ記憶領域162は、ジョブデータを記憶する。ジョブデータとは、ジョブの実行に用いるために画像形成装置10に入力されるデータである。例えば、ジョブデータは、画像形成部130を介して画像形成を行うために入力されるデータ(画像形成される画像のデータ)であったり、コピー時やスキャン時に画像入力部120を介して入力されるデータであったりする。ジョブデータは、例えば、画像データやPDF(Portable Document Format)形式のデータや、制御部100が解釈可能なコマンドを含んだデータ(印刷データ)等である。
【0029】
図3を参照して、ジョブデータ記憶領域162の概要について説明する。ジョブデータ記憶領域162に記憶されるジョブデータは、以下の方法により入力されるデータである。なお、以下の符号は、
図3の符号と対応する。
(1)PC(Personal Computer)等の端末装置から入力されるデータ
端末装置から入力されるデータは、画像処理装置10によって、印刷される又は送信されるデータである。端末装置から入力されるジョブデータは、例えば、コピーデータ、プリントデータ、PC-FAX送信データ、スキャン送信データ、ファクス送信データ、インターネットFAX送信データといったデータである。
(2)他のファクシミリ装置から送信されるデータ
他のファクシミリ装置から送信されるデータは、ファクシミリ回線を介して受信したデータであり、例えば、ファクス受信データや、インターネットFAX受信データである。
(3)画像入力部120により入力されたデータ
画像入力部120により入力されたデータは、例えば、画像入力部120を構成するスキャン装置により読み取られた原稿の画像データである。
【0030】
上述したジョブデータは、画像処理装置10において、ファイリング又は自動一時保存される。ファイリングとは、ファイリング用の記憶領域(例えば、
図3のR100)に記憶することをいう。一方、自動一時保存は、自動一時保存用の記憶領域(例えば、
図3のR104)に一時的に記憶することをいう。なお、自動一時保存されたジョブデータは、ジョブ実行時や所定の記憶期間の経過時等、所定の時期に、画像処理装置10によって自動的に削除される場合がある。
【0031】
ファイリングするか自動一時保存するかについては、ユーザーによって選択されたり、画像処理装置10の設定に基づいて自動的に選択されたりする。なお、他のファクシミリ装置から送信されるデータに基づくジョブデータは、ファイリングのみ行われる。
【0032】
ジョブデータは、例えば、所定の形式のファイルとして記憶される。記憶されるファイルは、例えば、PDF形式のファイルや一般的に用いられる形式の画像ファイルである。なお、本実施形態では、ジョブデータ記憶領域162に記憶されるジョブデータはファイルであるとして説明する。本実施形態では、ジョブデータ記憶領域162に記憶されるファイルとして、以下の2種類のファイルがあるとする。
(1)親展属性ファイル
親展属性ファイルは、読み出されるときにパスワード等の認証情報を必要とするジョブデータ(親展データ)のファイルである。認証情報は、ファイルの属性やファイルの内容として親展属性ファイル自体に含まれていてもよいし、親展属性ファイルと対応付けて管理されていてもよい。
(2)共有ファイル
共有ファイルは、読み出されるときに、認証情報を必要としないジョブデータ(共有データ)のファイルである。
【0033】
親展属性ファイルと共有ファイルとは、ファイルの属性から区別可能であってもよい。例えば、ジョブデータとして記憶されるファイルには、認証情報が必要であることを示す親展設定の属性が含まれてもよい。この場合、親展属性ファイルは、親展設定の属性の属性値を「親展」や「Yes」とする。また、共有ファイルは、親展設定の属性の属性値が「共有」や「No」としたり、属性値を記憶しなかったりする。これにより、親展設定の属性値から、ファイルが親展属性ファイルであるか否かが区別可能となる。
【0034】
ジョブデータ記憶領域162は、ジョブデータを記憶する領域を複数設けてもよい。ジョブデータを記憶する領域は、例えば、フォルダーである。ジョブデータ記憶領域162は、例えば、ファイリング用のフォルダー(ファイリングフォルダー)として、ファイリング用の記憶領域に、共有フォルダー(例えば、
図3の「共有フォルダー」F100)と親展フォルダー(例えば、
図3の「親展フォルダー」F102)とを設けてもよい。
【0035】
共有フォルダー及び親展フォルダーは、ファイル名やユーザー名等が設定されたジョブデータが記憶されるフォルダーであり、親展属性ファイル及び共有ファイルが記憶可能である。例えば、「共有フォルダー」F100には、親展属性ファイル(例えば、
図3の「コピーデータ」F100a)や、共有ファイル(例えば、
図3の「プリントデータ」F100b)が含まれる。
【0036】
一方、共有フォルダーと親展フォルダーとは、フォルダーを参照する場合における認証情報の要否が異なる。共有フォルダーは、参照時(アクセス時)には認証情報を必要としない。一方、親展フォルダーは、認証情報が設定されたフォルダーであり、参照時(アクセス時)に認証情報を必要とする。親展フォルダーに対する認証情報は、例えば、PIN(Personal Identification Number)やフォルダーパスワードである。認証情報は、フォルダーの属性として親展属性ファイル自体に含まれていてもよいし、親展フォルダーと対応付けて管理されていてもよい。
【0037】
また、ジョブデータ記憶領域162は、自動一時保存用の記憶領域に、一時保存フォルダー(
図3の「一時保存フォルダー」F104)を設ける。一時保存フォルダーには、ジョブデータが一時保存される。なお、一時保存フォルダーは、参照時に認証情報を必要としない共有フォルダーであり、共有ファイルのみ記憶可能である。
【0038】
以上より、本実施形態では、ジョブデータ記憶領域162に記憶されたファイル(ジョブデータ)のうち、以下のファイルは、読み出されるときに認証情報が必要となる。
(1)親展フォルダーに記憶された親展属性ファイル
親展フォルダーに記憶された親展属性ファイルを参照するときは、当該親展フォルダーに設定された認証情報と、当該親展属性ファイルに設定された認証情報とが必要となる。
(2)親展フォルダーに記憶された共有ファイル
親展フォルダーに記憶された共有ファイルを参照するときは、当該親展フォルダーに設定された認証情報が必要となる。
(3)共有フォルダーに記憶された親展属性ファイル
共有フォルダーに記憶された親展属性ファイルを参照するときは、当該親展属性ファイルに設定された認証情報が必要となる。
【0039】
なお、本実施形態では、読み出されるときに認証情報が必要となるファイルを、保護されたファイルと記載する。一方、共有フォルダーに記憶された共有ファイルは、読み出されるときに認証情報を必要としない。
【0040】
設定履歴情報記憶領域164は、設定履歴情報を記憶する。設定履歴情報には、例えば、
図4に示すように、ジョブを識別するジョブID(例えば、「0025」)と、実行されたジョブの種類(例えば、「印刷」)と、当該ジョブの実行ステープル時の設定値(例えば、「出力トレイ:トレイ1、片面両面:片面→片面、ステープル:針なしステープル、記憶先:親展フォルダー、ファイル名:Copy_20210401_162050」)と、当該ジョブの実行日時(例えば、「2021/04/01 16:20:50」)とが含まれる。
【0041】
設定履歴情報に含まれるジョブ種別は、ユーザーによって実行されたジョブに対応する画像処理装置10の機能(例えば、コピー、印刷、スキャン、画像送信)を示す情報である。ジョブ種別として、機能の名称や機能を特定するためのコードが記憶される。
【0042】
また、設定値には、ジョブ実行時に出力したり記憶したりしたファイル(ジョブデータ)の記憶先やファイル名(データ名)に関する情報が含まれる。例えば、設定値には、ファイルの記憶先であるフォルダーの情報(例えば、「親展フォルダー」)や、当該フォルダーに記憶されたファイルのファイル名(例えば、「Copy_20210401_162050」)が含まれる。
図4のD100に示す設定履歴情報は、親展フォルダーに記憶された「Copy_20210401_162050」というファイル名のジョブデータを出力した印刷ジョブの設定履歴情報であることを示す。
【0043】
ジョブ履歴情報記憶領域166は、実行したジョブの履歴の情報(ジョブ履歴情報)を記憶する。ジョブ履歴情報には、例えば、
図5に示すように、ジョブを識別するジョブID(例えば、「0025」)と、実行されたジョブの種類(例えば、「印刷」)と、当該ジョブの実行日時(例えば、「2021/04/01 16:20:50」)と、当該ジョブの処理のステータス(例えば、「終了」)とが含まれる。ジョブ履歴情報は設定履歴情報とは異なり、ジョブの実行履歴を示す情報である。そのため、ジョブ実行時の設定値の情報は含まれない。ジョブ履歴情報は、例えば、ジョブの完了直後や設定履歴情報が生成された後に生成され、記憶される。
【0044】
通信部190は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を介して外部の装置と通信を行う。通信部190は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)等の通信装置や通信モジュールにより構成される。
【0045】
なお、通信部190は、電話回線を介して他の装置と通信を行ってもよい。この場合、通信部190は、電話回線に接続するためのケーブルを差し込むことが可能なインターフェイス(端子)により構成され、G3/G4規格等の公知の規格やプロトコルを利用してファクシミリ通信を行うことで、他の装置と画像の送受信を行う。
【0046】
[1.2 処理の流れ]
つづいて、
図6及び
図7を参照して、本実施形態における画像処理装置10が実行する処理の流れを説明する。
図6及び
図7に示した処理は、画像処理装置10の制御部100によって記憶部160に記憶されたプログラムが読み出されることにより実行される。
【0047】
なお、以下の説明においては、画像処理装置10の記憶部160には、所定の設定履歴情報及び当該設定履歴情報に対応するジョブデータが記憶されていることとする。また、本実施形態の画像処理装置10は、画像処理装置10を使用するユーザーのユーザー認証を行わない場合(ユーザー認証が無効で、非認証状態である場合)について説明する。
【0048】
[1.2.1 メイン処理]
はじめに、
図6を参照して、画像処理装置10が実行する主な処理(メイン処理)について説明する。はじめに、制御部100は、ユーザーにより、設定履歴情報を一覧表示させる操作がされたか否かを判定する(ステップS100)。
【0049】
制御部100(一覧表示部106)は、設定履歴情報を一覧表示させる操作がされた場合、認証情報が必要な設定履歴情報を含めて、設定履歴情報を表示部140に一覧表示する(ステップS100;Yes→ステップS102)。認証情報が必要な設定履歴情報とは、当該設定履歴情報が呼び出され、当該設定履歴情報に記憶された設定値を利用したジョブが実行される場合、認証情報の入力が必要になる設定履歴情報をいう。
【0050】
認証情報が必要な設定履歴情報とは、以下の設定履歴情報である。
(1)保護されたファイルを出力するジョブの設定履歴情報
保護されたファイルを出力するジョブは、保護されたファイル(ジョブデータ)に基づく画像を印刷により出力する印刷ジョブ(親展印刷ジョブ)や、保護されたファイルを送信することにより外部の装置に出力する画像送信ジョブである。したがって、これらのジョブの設定履歴情報の設定値には、保護されたファイルの記憶先やファイル名が含まれる。保護されたファイルを出力するジョブの設定履歴情報に基づくジョブが実行される場合、ジョブ実行部104によって、保護されたファイルが読み出されるため、親展フォルダーに設定された認証情報や親展属性ファイルに設定された認証情報が必要となる。なお、以下の説明において、ファイル(ジョブデータ)に基づく画像を印刷により出力するジョブを、ファイルを印刷(出力)するジョブとも記載する。
【0051】
(2)親展フォルダーにファイルを記憶するジョブの設定履歴情報
親展フォルダーにファイルを記憶するジョブは、コピー時やスキャン時に、画像入力部120によって入力された画像データを親展フォルダーに記憶するジョブである。したがって、これらのジョブの設定履歴情報の設定値には、記憶先として親展フォルダーの情報が含まれる。親展フォルダーにファイルを記憶するジョブの設定履歴情報に基づくジョブが実行される場合、ジョブ実行部104によって、親展フォルダーが参照されるため、親展フォルダーに設定された認証情報が必要となる。
【0052】
なお、実施形態では、保護されたファイルを出力するジョブ及び親展フォルダーにファイルを記憶するジョブを親展ジョブともいう。親展ジョブの設定履歴情報は、出力の対象となる保護されたファイルの記憶先やファイル名や、記憶の対象となるファイルの記憶先の設定値が呼び出されることとなる。このような設定値を利用するジョブが実行されるとき、認証情報が必要となる。
【0053】
なお、親展ジョブではないジョブの設定履歴情報は、認証情報が不要である。ステップS102において、例えば、一覧表示部106は、設定履歴情報記憶領域164から設定履歴情報を実行日時が新しい方から所定数(例えば、5件)読み出し、読み出した設定履歴情報に含まれる情報を設定履歴情報毎にリストの項目とした画面(設定履歴情報表示画面)を表示する。
【0054】
なお、一覧表示部106は、設定履歴情報を一覧表示するとき、認証情報が必要な設定履歴情報と、認証情報が不要な設定履歴情報とを区別可能に表示してもよい。また、一覧表示部106は、ジョブの実行時に認証情報が必要となる設定値(保護されたファイルの記憶先やファイル名)を表示してもよい。
【0055】
なお、制御部100は、ユーザーによって設定履歴情報を表示するための操作以外の操作がされた場合、ユーザーによって入力された操作に応じた所定の処理を実行し、ステップS100に戻る(ステップS100;No→ステップS104→ステップS100)。
【0056】
つづいて、制御部100は、設定履歴情報表示画面において、1の設定履歴情報が選択されたか否かを判定する(ステップS106)。制御部100は、設定履歴情報が選択されない場合は、ステップS106における処理を繰り返す(ステップS106;No)。
【0057】
一方、制御部100(設定画面表示部108)は、設定履歴情報が選択された場合、選択された設定履歴情報に基づく設定画面を表示部140に表示する(ステップS106;Yes→ステップS108)。例えば、設定画面表示部108は、設定履歴情報に含まれるジョブ種別に応じた設定項目を含む設定画面を表示する。また、設定画面表示部108は、選択された設定履歴情報に含まれる設定値が、対応する設定項目の設定値として入力された状態にする。このようにして、設定画面表示部108は、設定履歴情報に含まれる設定値が入力された設定画面(設定履歴情報が呼び出され、当該設定履歴情報の設定値が反映された設定画面)を表示する。なお、設定画面表示部108は、設定画面にジョブの実行時に認証情報が必要となる設定値(保護されたファイルの記憶先やファイル名)を表示してもよいし、ジョブの実行時に認証情報が必要であることを示す識別表示を表示してもよい。
【0058】
つづいて、制御部100は、選択された設定履歴情報に、認証情報が必要な設定値が含まれるか否かを判定する(ステップS110)。認証情報が必要な設定値が含まれる場合とは、以下の場合である。
(1)ジョブ種別に「印刷」「画像送信」等のファイルの出力に関する機能の情報が含まれ、設定値に保護されたファイルの記憶先やファイル名が含まれる場合。
(2)ジョブ種別に「スキャン保存」等のファイルの記憶に関する機能の情報が含まれ、設定値に親展フォルダーが記憶先として含まれる場合。
【0059】
制御部100は、選択された設定履歴情報に、認証情報が必要な設定値が含まれる場合、認証情報の入力が必要と判定する(ステップS110;Yes→ステップS112)。一方、制御部100は、選択された設定履歴情報に、認証情報が必要な設定値が含まれない場合、認証情報の入力が不要と判定する(ステップS110;No→ステップS114)。
【0060】
つづいて、制御部100(ジョブ実行部104)は、設定画面に入力された設定値に基づきジョブを実行する処理(ジョブ実行処理)を実行する(ステップS116)。ジョブ実行処理については後述する。なお、ジョブ実行部104は、ジョブを実行時又はジョブ実行後にジョブIDを発行し、当該ジョブIDを含むジョブ履歴情報を、ジョブ履歴情報記憶領域166に記憶する。
【0061】
つづいて、制御部100(設定履歴情報記憶部110)は、実行したジョブに関する設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域164に記憶する(ステップS118)。例えば、設定履歴情報記憶部110は、ステップS114において発行されたジョブIDと、実行したジョブのジョブ種別と、実行したジョブの設定値と、ジョブの実行日時を含んだ設定履歴情報を生成し、設定履歴情報記憶領域164に記憶する。
【0062】
[1.2.2 ジョブ実行処理]
ジョブ実行処理について、
図7を参照して説明する。ジョブ実行処理は、ジョブ実行部104によって実行される。
【0063】
はじめに、ジョブ実行部104は、ユーザーによって設定を変更する操作がされた場合、ジョブの設定を変更する(ステップS120;Yes→ステップS122)。例えば、制御部100は、ユーザーの操作に応じて、印刷部数、カラーモード、用紙サイズ、印刷濃度等の設定を変更する。このとき、ジョブ実行部104は、ファイルを出力する設定画面が表示されている場合にファイルの記憶先やファイル名の変更を許可しなかったり、ファイルを記憶する設定画面が表示されている場合にファイルの記憶先の変更を許可しなかったりしてもよい。つまり、ジョブ実行部104は、設定値を変更可能な設定項目を制限してもよい。なお、制御部100は、設定を変更する操作がされなかった場合は、ステップS122における処理を省略する(ステップS120;No)。
【0064】
つづいて、ジョブ実行部104は、ユーザーによってジョブを実行する操作がされたか否かを判定する(ステップS124)。ジョブを開始する操作は、例えば、スタートボタンといった、各機能のトリガーボタンを選択する操作である。ジョブ実行部104は、ジョブを開始する操作がされなかった場合、ステップS120に戻る(ステップS124;No→ステップS120)。
【0065】
一方、ジョブを実行する操作がされた場合、ジョブ実行部104は、
図6のステップS112及びステップS114の判定結果に基づき、認証情報の入力が必要であるか否かを判定する(ステップS124;Yes→ステップS126)。認証情報の入力が必要でない場合、ジョブ実行部104は、設定画面を介して入力された設定値に基づき、ジョブを実行する(ステップS126;No→ステップS134)。
【0066】
一方、ジョブ実行部104は、認証情報の入力が必要である場合、ユーザーから正しい認証情報を取得しているか否かを判定する(ステップS126;Yes→ステップS128)。ジョブ実行部104は、正しい認証情報が未取得である場合、ユーザーに対して、認証情報を要求する(ステップS128;Yes→ステップS130)。例えば、ジョブ実行部104は、認証情報を取得するためのメッセージダイアログを表示したパスワード入力画面を表示部140に表示する。ここで、ジョブ実行部104は、保護されたファイルを出力する場合、当該ファイルの読み出しに必要な認証情報を要求する。また、ジョブ実行部104は、親展フォルダーにファイルを記憶する場合、親展フォルダーに設定された認証情報を要求する。
【0067】
つづいて、ジョブ実行部104は、ユーザーによって入力された認証情報を取得する(ステップS132)。なお、ジョブ実行部104は、取得した認証情報と設定された認証情報とが異なる場合、エラーメッセージを表示したりした上で、再度ステップS130の処理を実行し、ユーザーに対して、認証情報を要求してもよい。ジョブ実行部104は、正しい認証情報を取得した場合、ステップS120に戻る(ステップS132→ステップS120)。
【0068】
なお、ジョブ実行部104は、ステップS128において、既に正しい認証情報を取得していると判定した場合は、ジョブを実行する(ステップS128;No→ステップS134)。つまり、ジョブ実行部104は、認証情報の入力が必要な場合において、ジョブを実行する操作が最初にされたときは認証情報を要求し、ジョブを実行する操作が再度されたときは認証情報を要求せずにジョブを実行する。このように、ジョブ実行部104は、設定画面を介してジョブを開始させる操作が行われたことに応じて、認証情報を取得し、認証情報を取得した後、再度ジョブを開始させる操作が行われたときに、当該ジョブを実行する。
【0069】
[1.3 動作例]
つづいて、本実施形態の動作例について説明する。
図8は、ホーム画面W100の画面例を示した図である。ホーム画面W1000は、電源投入時、待機時、スリープ状態からの復旧時等において表示部140に表示される基本画面である。
【0070】
ホーム画面W1000には、画像処理装置10の動作モードを切り替えるためのボタン等が配置された領域E1000を含む。特に、領域E1000には、設定履歴情報を表示させるための「最近のジョブ」ボタンB1000が含まれる。
【0071】
図8(b)は、ユーザーによって「最近のジョブ」ボタンB1000が選択されたときに表示される設定履歴情報表示画面W1010の画面例を示した図である。設定履歴情報表示画面W1010は、「最近のジョブ」として、最近実行されたジョブの設定履歴情報が表示される。例えば、設定履歴情報表示画面W1010には、設定履歴情報が選択可能に一覧表示されたリストE1010が含まれる。ユーザーは、リストE1010から、1の選択履歴情報を選択することができる。
【0072】
リストE1010には、認証情報が必要な設定履歴情報と、認証情報が不要な設定履歴情報とが表示される。これにより、ユーザーは、認証情報の要否に関わらず、設定履歴情報の内容を確認することができる。なお、認証情報が必要な設定履歴情報には、識別表示(例えば、アイコンP1010)が表示されてもよい。ユーザーは、アイコンP1010が表示された設定履歴情報が、認証情報が必要な設定履歴情報であることを把握することができる。
【0073】
ユーザーが、リストE1010に含まれる1の設定履歴情報E1012を選択した場合、選択された設定履歴情報に基づく設定画面が表示される。例えば、設定履歴情報E1012が保護されたファイルを印刷するジョブ(親展印刷ジョブ)の設定履歴情報である場合、当該保護されたファイルを印刷するための設定画面が表示される。
【0074】
図9(a)は、設定履歴情報E1012が選択されたときに表示される設定画面W1020の画面例を示した図である。設定画面W1020は、コピー機能の基本画面であり、設定履歴情報E1012に含まれる設定値が反映された設定画面である。
【0075】
設定画面W1020において、出力するファイルの設定値として保護されたファイルの情報が入力(保持)されている状態となっている。しかしながら、設定画面W1020が表示された時点では、保護されたファイルを印刷するジョブの実行が未確定であるため、認証情報の入力は要求されない。ユーザーは、設定画面W1020を介して、印刷部数など、設定を変更することができる。
【0076】
図9(b)は、ジョブの開始が指示されたときに表示される設定画面W1030の画面例を示した図である。例えば、ユーザーは、「白黒スタート」ボタンB1030を選択する操作を行うことで、画像処理装置10に対して、保護されたファイルを印刷するジョブの実行を指示することができる。これにより、保護されたファイルを印刷するジョブの実行が確定したため、認証情報が要求される。
【0077】
図10(a)は、認証情報の入力が要求されたときに表示されるパスワード入力画面W1040の画面例を示した図である。例えば、保護されたファイルが親展フォルダーに記憶された共有ファイルである場合、親展フォルダーを参照するために必要となる親展フォルダーに設定された認証情報の入力が要求される。パスワード入力画面W1040には、認証情報の入力欄を含むメッセージダイアログM1040が表示される。メッセージダイアログM1040には、「10キーで親展フォルダーのパスワードを入力してください。」といった、親展フォルダーに設定された認証情報の入力を促すメッセージが表示される。
【0078】
図10(b)は、ユーザーによって認証情報が入力されたときに表示される設定画面W1050の画面例を示した図である。ユーザーは、設定画面W1050内のメッセージダイアログM1050に含まれる入力欄に対して認証情報を入力し、「OK」ボタンB1050を選択することで、画像処理装置10に認証情報を取得させる。正しい認証情報が取得された場合、メッセージダイアログM1050が非表示となる。なお、認証情報が誤っている場合、「パスワードが違います」といったメッセージが表示されてもよい。
【0079】
なお、保護されたファイルが共有フォルダーに記憶された親展属性ファイルである場合、
図11(a)に示すパスワード入力画面W1060のように、親展属性ファイルに設定された認証情報の入力を要求する画面が表示される。パスワード入力画面W1060には、認証情報の入力欄を含むメッセージダイアログM1060が表示される。メッセージダイアログM1060には、「親展ファイルのパスワードを半角英数記号4文字以上32文字以内で入力してください。」といった、親展属性ファイルに設定された認証情報の入力を促すメッセージが表示される。
【0080】
なお、保護されたファイルが、親展フォルダーに記憶された親展属性ファイルである場合、親展フォルダーに設定された認証情報の入力と、親展属性ファイルに設定された認証情報の入力とが要求される。
【0081】
図11(b)は、正しい認証情報が取得された後の設定画面W1070の画面例を示した図である。ユーザーは、再度「白黒スタート」ボタンB1070を選択することで、画像処理装置10に対して、ジョブを開始させることができる。このとき、すでに正しい認証情報が取得されているため、認証情報の入力を要求されずにジョブが実行される。
【0082】
このような動作により、ユーザーは、例えば、親展印刷ジョブを再度実行させる場合、当該親展印刷ジョブの設定履歴情報を選択することができ、当該親展印刷ジョブの設定値を反映させた設定画面を表示させることができる。さらに、設定画面を表示させた段階では認証情報が要求されないため、ユーザーは選択した設定履歴情報が誤っていても、認証情報を入力することなく、別の設定履歴情報を選択することができる。つまり、ユーザーは、設定履歴情報を効率的に選択し、設定値を確認することができる。
【0083】
上述の説明では、保護されたファイルを印刷する親展印刷ジョブについて説明したが、保護されたファイルを他の装置に送信するジョブ(画像送信ジョブ)も同様に、ジョブの開始が指示されたときに、認証情報が要求される。
【0084】
つづいて、別の動作例として、コピー時や画像送信時に、画像入力部120によって入力された画像データを記憶させたファイリングジョブの設定履歴情報が選択された場合について説明する。
【0085】
図12(a)は、設定履歴情報表示画面W1100の画面例を示した図である。設定履歴情報表示画面W1100に表示されたリストには、コピー時に画像データを親展フォルダーに記憶したファイリングジョブの設定履歴情報E1100が含まれている。
【0086】
図12(b)は、設定履歴情報E1100が選択された場合に表示される設定画面W1110の画面例を示した図である。設定画面W1110は、コピー機能の基本画面である。設定画面W1110の領域E1110には、画像データのファイルをファイリングする設定が有効であることが示される。また、設定画面W1110において、ファイルの記憶先の設定値として、親展フォルダーの情報が設定された状態となっている。しかしながら、設定画面W1110が表示された時点では、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行が未確定であるため、認証情報の入力は要求されない。
【0087】
ユーザーは、「カラースタート」ボタンB1110を選択する操作を行うことで、画像処理装置10に対して、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行を指示することができる。これにより、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行が確定したため、認証情報が要求される。
【0088】
図13(a)は、認証情報の入力が要求されたときに表示されるパスワード入力画面W1120の画面例を示した図である。ファイルの記憶先が親展フォルダーであるため、パスワード入力画面W1120には、親展フォルダーに設定された認証情報を入力するためのメッセージダイアログM1120が表示される。
【0089】
正しい認証情報が入力され、再度「カラースタート」ボタンが選択されることで、コピーが実行され、併せて、コピー時に読み取られた原稿の画像データが、親展フォルダーに記憶される。
【0090】
なお、選択された設定履歴情報の設定値に含まれるファイルの記憶先及びファイル名から特定されるファイルが親展属性ファイルである場合、設定画面において、親展属性ファイルを記憶することを示す設定値が設定された状態が保持されてもよい。この場合、「カラースタート」ボタンが選択されたとき、新たに記憶する画像データのファイルに設定する認証情報の入力が要求されてもよい。
【0091】
図13(b)は、親展属性ファイルを記憶することを示す設定値が設定された状態において「カラースタート」ボタンが選択されたときに表示されるパスワード入力画面W1130の画面例を示した図である。パスワード入力画面W1130には、新たに記憶する画像データのファイルに設定する認証情報を入力するためのメッセージダイアログM1130が表示される。ユーザーは、メッセージダイアログM1130を介してパスワードを入力し、ファイルに設定する認証情報を設定することができる。パスワードが入力された後、再度ジョブを実行する操作がされることで、当該パスワードが設定された親展属性ファイルが記憶される。
【0092】
さらに別の例として、スキャンされた画像データを記憶させたファイリングジョブの設定履歴情報が選択された場合について説明する。
【0093】
図14(a)は、設定履歴情報表示画面W1200の画面例を示した図である。設定履歴情報表示画面W1200に表示されたリストには、スキャンされた画像データを親展フォルダーに記憶したファイリングジョブの設定履歴情報E1200が含まれている。
【0094】
図12(b)は、設定履歴情報E1200が選択された場合に表示される設定画面W1210の画面例を示した図である。設定画面W1210は、スキャン保存機能の基本画面である。設定画面W1210の領域E1210に示すように、スキャンされた画像データのファイルの記憶先として、親展フォルダーの情報が設定(入力)された状態が保持されている。この時点では、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行が未確定であるため、認証情報の入力は要求されない。
【0095】
ユーザーは、「スタート」ボタンB1210を選択する操作を行うことで、画像処理装置10に対して、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行を指示することができる。これにより、ファイルを親展フォルダーに記憶するファイリングジョブの実行が確定したため、認証情報が要求される。
【0096】
図15(a)は、認証情報の入力が要求されたときに表示されるパスワード入力画面W1220の画面例を示した図である。ファイルの記憶先が親展フォルダーであるため、パスワード入力画面W1220には、親展フォルダーに設定された認証情報を入力するためのメッセージダイアログM1220が表示される。
【0097】
正しい認証情報が入力され、再度「スタート」ボタンが選択されることで、スキャンが実行され、併せて、スキャン時に読み取られた原稿の画像データが、PDF形式のファイルや一般的に用いられる形式の画像ファイルとして、親展フォルダーに記憶される。
【0098】
なお、ファイルの保存フォーマットが暗号化PDFである場合や、選択された設定履歴情報の設定値に含まれるファイルの記憶先及びファイル名から特定されるファイルが親展属性ファイルである場合、暗号化PDFのパスワードやファイルに設定する認証情報の入力が要求されてもよい。
【0099】
図15(b)は、暗号化PDFのパスワードやファイルに設定する認証情報を入力する入力欄を含むメッセージダイアログM1230が表示されたパスワード入力画面W1230の画面例を示す図である。ユーザーによって入力されたパスワードは、暗号化PDFのパスワードや、記憶されるファイルの認証情報として設定される。
【0100】
なお、上述した実施形態では、認証情報の入力を要求するタイミングが、ジョブを開始する操作がされたときとして説明した。しかし、認証情報の入力を要求するタイミングは、設定履歴情報が選択されてから当該設定履歴情報に基づくジョブを実行するまでであれば、任意のタイミングでよい。例えば、認証情報の入力を要求するタイミングは、ユーザーによって、設定が変更されたタイミング(
図7のステップS122)であってもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、認証情報がパスワードやPINであるとして説明した。この場合、認証情報を入力する手段(認証手段)は、知識認証となる。しかしながら、認証手段は、所有物認証や生体認証であってもよい。
【0102】
このように、本実施形態の画像処理装置は、保護されたファイルを出力したり参照時に認証情報が必要となる領域にファイルを記憶したりするジョブの設定履歴情報を、認証情報の入力を要求せずに、表示することができる。また、本実施形態の画像処理装置は、設定履歴情報に含まれる設定値が反映された設定画面が表示されても、認証情報を即時要求するのではなく、ジョブを実行するまで(例えば、印刷開始まで)に認証情報を要求する。これにより、本実施形態の画像処理装置は、ユーザーに対して容易に設定値を確認させることができ、ユーザビリティを維持することができる。
【0103】
一方で、本実施形態の画像処理装置は、保護されたファイルを出力したり参照時に認証情報が必要となる領域にファイルを記憶したりするジョブの設定履歴情報に基づく設定画面が表示されてから、ジョブを実行するまでに認証情報を要求する。これにより、保護されたファイルの機密性や秘匿性を担保することができ、また、親展フォルダーへのアクセスを制限することができる。
【0104】
特に、認証情報が必要となるファイル(ジョブデータ)に関するジョブの設定履歴情報は、無条件に呼び出すとセキュリティ上の問題が考えられる。そのため、セキュリティ担保を理由として、認証情報が入力されてからでないと認証情報が必要となるファイルに関するジョブの設定履歴情報が表示されなかったり、表示されたとしても設定値が反映された設定画面を表示する前に認証情報が要求されたりした。しかし、認証情報が必要となるファイルに関するジョブの設定履歴情報を呼び出したとしても、当該設定履歴情報に基づくジョブの実行は未確定である。したがって、ジョブの実行が確定していない状態で認証情報が要求されることにより、不必要な認証情報の入力の要求が生じ、結果としてユーザビリティが損なわれる恐れがあった。本実施形態の画像処理装置は、設定履歴情報に基づく設定画面が表示されてから、ジョブを実行するまでに認証情報を要求することで、セキュリティを担保しつつ、ユーザビリティを維持することが可能となる。
【0105】
[2.第2実施形態]
つづいて、第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態において説明した処理に加え、保護されたファイル(例えば、画像データ)のプレビュー表示やサムネイル表示といった画像データ表示について、表示前に認証情報を要求する実施形態である。本実施形態は、
図7を
図16に置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0106】
図16を参照して、本実施形態におけるジョブ実行処理について説明する。ジョブ実行部104は、ステップS120又はステップS122における処理を実行したあと、ファイルの表示操作がされたか否かを判定する(ステップS200)。ファイルの表示操作とは、例えば、ファイルに基づくプレビュー画像や、サムネイル画像を表示させる操作である。また、表示対象のファイルは、
図6のステップS106において、ユーザーによって選択された設定履歴情報に対応するファイルであり、当該設定履歴情報の設定値に記憶された、ファイルの記憶先やファイル名に関する情報によって特定されるファイルである。
【0107】
つづいて、ジョブ実行部104は、
図6のステップS112及びステップS114の判定結果に基づき、認証情報の入力が必要であるか否かを判定する(ステップS202)。ジョブ実行部104は、認証情報の入力が必要でない場合、ファイルに基づく画像を表示する(ステップS202;No→ステップS210)。
【0108】
一方、ジョブ実行部104は、認証情報の入力が必要である場合、正しい認証情報を取得しているか否かを判定する(ステップS202;Yes→ステップS204)。ジョブ実行部104は、正しい認証情報が未取得である場合、ユーザーに対して、認証情報を要求し(ステップS204;Yes→ステップS206)、ユーザーによって入力された認証情報を取得する(ステップS208)。ジョブ実行部104は、正しい認証情報を取得した場合、ファイルに基づく画像を表示する(ステップS210)。なお、ステップS202からステップS208までの処理は、ステップS126からステップS132までの処理と同様の処理である。
【0109】
なお、ジョブ実行部104は、ステップS204において、既に正しい認証情報を取得している場合、ステップS206及びステップS208の処理を省略して、ファイルに基づく画像を表示する(ステップS204;No→ステップS210)。
【0110】
なお、ジョブ実行部104は、ステップS208において認証情報を取得している場合、ステップS128の処理において正しい認証情報を取得していると判定することとなる。この場合、ジョブ実行部104は、ジョブを実行時に、認証情報を要求することなく、ジョブを実行することができる。
【0111】
本実施形態の動作例として、例えば、画像処理装置10は、第1実施形態の
図9(a)に示した設定画面W1020に含まれるプレビューボタンを選択する操作が、ファイルを表示する操作に対応する。画像処理装置10は、プレビューボタンが選択された場合、認証情報を取得し、認証情報取得後に、ユーザーによって選択された設定履歴情報に対応するファイルのプレビュー画像を表示する。
【0112】
本実施形態の画像処理装置によれば、保護されたファイルに基づく画像データを表示する場合、認証情報を要求することにより、当該ファイルの機密性や秘匿性を担保することができる。一方、ユーザーは保護されたファイルに基づく画像データを確認することができるため、選択した設定履歴情報に対応するファイルの内容を、より明確に把握することが可能となる。
【0113】
[3.第3実施形態]
つづいて、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態における画像処理装置にユーザー認証機能が備えられた場合における実施形態である。本実施形態は、
図2を
図17に、
図3を
図18に、
図4を
図21に、
図6を
図22にそれぞれ置き換えたものである。なお、同一の機能部及び同一の処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0114】
[3.1 機能構成]
図17を参照して、本実施形態における画像処理装置12の機能構成を説明する。画像処理装置12は、画像処理装置10と異なり、記憶部160には、記憶領域として、ユーザー情報記憶領域168とフォルダー情報記憶領域170とがさらに確保される。
【0115】
まず、
図18を参照して、本実施形態におけるジョブデータ記憶領域162の概要について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様に、ファイリング用の記憶領域(例えば、
図16のR400)と自動一時保存用の記憶領域(例えば、
図16のR404)とが確保される。
【0116】
ファイリング用の記憶領域には、ファイリングフォルダーとして、標準フォルダー(例えば、
図16の「標準フォルダー」F400)やユーザーフォルダー(例えば、
図16の「登録フォルダー1」F402及び「登録フォルダー2」F404)が含まれる。標準フォルダーは、どのユーザーも利用可能な共有フォルダーである。一方、ユーザーフォルダーは、画像処理装置10によって認証されたユーザーが利用可能なフォルダーである。ユーザーは、利用する1又は複数のフォルダーを登録フォルダーとして登録することができる。
【0117】
例えば、あるユーザーは、登録フォルダー1と登録フォルダー2とを、使用するフォルダーとして登録する。この場合、当該ユーザーは、標準フォルダー又は自身のユーザーフォルダーである登録フォルダー1又は登録フォルダー2のうちの何れかのフォルダーを指定して、ファイル名、ユーザー名等を設定したファイルを記憶させることができる。なお、標準フォルダー及びユーザーフォルダーは、何れも、親展属性ファイル及び共有ファイルが記憶可能である。
【0118】
また、画像処理装置10にユーザーの情報が記憶されるとき(例えば、アカウントユーザー登録時)に、任意のユーザーフォルダーが当該ユーザーのマイフォルダーとして指定されてもよい。マイフォルダーは、ファイルのデフォルトの記憶先として指定されるフォルダーである。マイフォルダーは、フォルダーのショートカット機能等の簡易な操作により閲覧可能であってもよい。
【0119】
また、ユーザーフォルダーのフォルダーの種別は、共有フォルダー又は親展フォルダーの何れかであってもよい。例えば、登録フォルダー1が親展フォルダーであり、登録フォルダー2が共有フォルダーであってもよい。フォルダーの種別は、ユーザーによって設定されてもよいし、画像処理装置12の管理者によって設定されてもよい。ユーザーフォルダーが共有フォルダーであるか親展フォルダーであるかを示す情報は、後述するフォルダー情報にフォルダー種別として記憶される。
【0120】
ユーザー情報記憶領域168は、画像処理装置10を使用するユーザーの情報(ユーザー情報)を記憶する。ユーザー情報には、例えば、
図19に示すように、ユーザーを識別するための識別情報であるユーザーID(例えば、「UserA」)と、当該ユーザーのユーザー名(例えば、「ユーザーA」)と、当該ユーザーの認証を行うために用いられる情報であるパスワード(例えば、「abc123」)と、当該ユーザーのマイフォルダーの名称(例えば、「登録フォルダー1」)とが含まれる。
【0121】
なお、マイフォルダーは、ユーザーによって記憶されていてもよいし、記憶されていなくてもよい。また、ユーザー情報には、上述した情報以外の情報が含まれてもよい。
【0122】
フォルダー情報記憶領域170は、ジョブデータ記憶領域162に含まれるフォルダーの情報(フォルダー情報)を記憶する。フォルダー情報には、例えば、
図20に示すように、ユーザーID(例えば、「UserA」)と、フォルダーの登録名(例えば、「登録フォルダー1」)と、当該フォルダーの位置を示すパス(例えば、「/usr/UserA/fld1」)と、フォルダー種別(例えば、「親展フォルダー」)と、当該フォルダーの認証情報であるフォルダーパスワード(例えば、「aaa12345」)とが記憶される。
【0123】
フォルダー種別は、本実施形態では、「親展フォルダー」「共有フォルダー」「保護フォルダー」の何れかが記憶される。フォルダー種別が「親展フォルダー」であるフォルダー情報は、当該フォルダー情報に含まれるパスによって特定されるフォルダーが親展フォルダーであることを示す。同様にして、フォルダー種別が「共有フォルダー」であるフォルダー情報は、当該フォルダー情報に含まれるパスによって特定されるフォルダーが共有フォルダーであることを示す。また、フォルダー種別が「保護フォルダー」であるフォルダー情報は、当該フォルダー情報に含まれるパスによって特定されるフォルダーに記憶されたファイルのページの移動、削除、白紙挿入等の編集操作を禁止するフォルダーであることを示す。なお、本実施形態では、フォルダー種別が「保護フォルダー」であるフォルダーは、共有フォルダーの一種であるとする。
【0124】
また、フォルダー情報記憶領域170には、
図20に示すように、標準フォルダー(
図20のD400)や一時保存フォルダー(
図20のD402)のフォルダー情報が記憶されてもよい。
【0125】
つづいて、
図21を参照して、本実施形態における設定履歴情報について説明する。
図21に示すように、本実施形態の設定履歴情報には、ジョブを識別するジョブID(例えば、「0025」)と、実行されたジョブの種類(例えば、「印刷」)と、当該ジョブを実行したユーザーを識別するユーザーID(例えば、「UserA」)と、当該ジョブの実行時の設定値(例えば、「出力トレイ:トレイ1、片面両面:片面→片面、ステープル:針なしステープル、記憶先:登録フォルダー1、ファイル名:Copy_20210401_162050」)と、当該ジョブの実行日時(例えば、「2021/04/01 16:20:50」)とが含まれる。
【0126】
このように、本実施形態では、設定履歴情報はジョブを実行したユーザーの情報と設定値やジョブ種別とが対応付けられる。したがって、例えば、
図21のD300に示す設定履歴情報は、ユーザーIDが「UserA」であるユーザーの登録フォルダー1に、「Copy_20210401_162050」というファイル名のジョブデータを出力した印刷ジョブを示す。
【0127】
[3.2 処理の流れ]
つづいて、
図22を参照して、本実施形態における画像処理装置12が実行する主な処理(メイン処理)について説明する。なお、本実施形態の画像処理装置12は、ユーザー認証機能が有効であるとする。また、画像処理装置12は、複数のユーザーの間で、設定履歴情報を共有する機能を実現していることとして説明する。なお、設定履歴情報を共有するユーザーのグループは、予め設定されていることとして説明する。
【0128】
はじめに、制御部100は、ユーザー認証を行う(ステップS400)。例えば、制御部100は、表示部140に、ユーザーIDとパスワードとを入力させるための画面(ログイン画面)を表示する。制御部100は、ログイン画面を介して、ユーザーによって入力されたユーザーIDとパスワードとを取得し、取得したユーザーIDとパスワードとが含まれるユーザー情報がユーザー情報記憶領域168に記憶されているか否かを判定する。制御部100は、取得したユーザーIDとパスワードとを含むユーザー情報が記憶されている場合、当該ユーザーIDによって識別されるユーザーを認証し、画像処理装置10を操作するユーザーを特定する。
【0129】
制御部100は、ユーザーの認証を行った後、ステップS100からステップS108における処理を実行する。なお、制御部100(一覧表示部106)は、ステップS102において、ステップS400において認証されたユーザーのユーザーID及び当該ユーザーと設定履歴情報を共有する他のユーザーのユーザーIDの何れかを含む設定履歴情報を表示する。
【0130】
また、制御部100は、ユーザーによって選択された設定履歴情報に認証情報が必要な設定値が含まれると判定した場合(ステップS110;Yes)、当該設定履歴情報がステップS400において認証したユーザーの設定履歴情報であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0131】
例えば、制御部100は、ユーザーによって選択された設定履歴情報に含まれるユーザーIDが、ステップS400において認証したユーザーのユーザーIDと一致する場合、認証したユーザーの設定履歴情報であると判定する。この場合、ユーザーによって選択された設定履歴情報は、当該ユーザー自身によって実行されたジョブの設定履歴情報である。一方、制御部100は、ユーザーによって選択された設定履歴情報に含まれるユーザーIDが、ステップS400において認証したユーザーのユーザーIDと一致しない場合、認証したユーザーの設定履歴情報ではないと判定する。この場合、ユーザーによって選択された設定履歴情報は、当該ユーザー以外のユーザーによって実行されたジョブの設定履歴情報である。
【0132】
制御部100は、ユーザーによって選択された設定履歴情報が認証したユーザーの設定履歴情報である場合は、認証情報の入力が不要と判定する(ステップS402;Yes→ステップS114)。つまり、制御部100は、保護されたファイルを読み出すために必要な認証や、認証したユーザーに対応する親展フォルダーを参照するために必要な認証がされていると判定する。
【0133】
一方、制御部100は、ユーザーによって選択された設定履歴情報が認証したユーザーの設定履歴情報ではない場合は、認証情報の入力が必要であると判定する(ステップS402;No→ステップS112)。
【0134】
[3.3 動作例]
つづいて、本実施形態の動作例について説明する。なお、本実施形態の動作例の説明では、ユーザーAとユーザーBとが、設定履歴情報を共有するグループのメンバーであるとして説明する。
【0135】
本実施形態では、画像処理装置10によりユーザー認証が実行され、画像処理装置10を操作するユーザーが特定される。例えば、ユーザーAが画像処理装置10を操作するユーザーとして特定される。また、ユーザーAは、ファイルを記憶するジョブ(ファイリングジョブ)を実行することができる。
【0136】
例えば、
図23は、スキャン保存機能の設定画面W3000の画面例を示した図である。ユーザーAは、スキャンされた画像データのファイルを、親展属性ファイルとして記憶する。このとき、ユーザーAは、ファイルの記憶に関する設定として、親展設定の属性値として「親展」を選択したり(例えば、
図23のE3000)、パスワード(認証情報)を設定したりする(例えば、
図23のE3002)。これにより、スキャンされた画像データのファイルが、保護されたファイルとして記憶される。
【0137】
さらに、ユーザーAは、保護されたファイルを印刷することができる。これにより、当該保護されたファイルを印刷するジョブ(親展印刷ジョブ)を実行することができる。この結果、保護されたファイルを印刷するジョブの設定履歴情報が記憶される。
【0138】
つづいて、
図24を参照して、ユーザーAが認証されている状態で、ユーザーAが実行したジョブの設定履歴情報が選択された場合について説明する。
図24(a)は、設定履歴情報表示画面W3010の画面例を示した図である。設定履歴情報表示画面W3010には、認証されたユーザー(ユーザーA)の設定履歴情報と、設定履歴情報を共有する他のユーザー(ユーザーB)の設定履歴情報とが表示される。ここで、ユーザーAは、ユーザーAが実行したジョブの設定履歴情報を選択する。なお、選択された設定履歴情報は、保護されたファイルを印刷するジョブ(親展印刷ジョブ)の設定履歴情報とする。
【0139】
図24(b)は、ユーザーAによって選択された設定履歴情報に基づく設定画面W3020の画面例を示した図である。ユーザーAは、「カラースタート」ボタンB3020を選択する操作を行うことで、保護されたファイルを印刷するジョブを実行させることができる。
【0140】
ここで、画像処理装置12は、認証したユーザーAによって選択された設定履歴情報が、ユーザーAによって実行されたジョブであるため、認証情報の入力が不要と判定する。そのため、保護されたファイルを印刷するジョブを実行する操作がされた場合であっても、認証情報は要求されない。
【0141】
つづいて、
図25を参照して、ユーザーBが認証されている状態で、ユーザーAが実行したジョブの設定履歴情報が選択された場合について説明する。
図25(a)は、設定履歴情報表示画面W3030の画面例を示した図である。設定履歴情報表示画面W3030には、認証されたユーザー(ユーザーB)の設定履歴情報と、設定履歴情報を共有する他のユーザー(ユーザーA)の設定履歴情報とが表示される。ここで、ユーザーBは、ユーザーAが実行したジョブの設定履歴情報を選択する。なお、選択された設定履歴情報は、保護されたファイルを印刷するジョブ(親展印刷ジョブ)の設定履歴情報とする。
【0142】
このように、認証されたユーザーは、当該ユーザー以外の他のユーザーによって実行されたジョブの設定履歴情報を選択することで、他のユーザーの登録フォルダーや、他のユーザーによって記憶されたファイルを出力するジョブを実行することができる。同様にして、認証されたユーザーは、他のユーザーの登録フォルダーに、ファイルを記憶するジョブを実行することができる。
【0143】
図25(b)は、ユーザーBによって選択された設定履歴情報に基づく設定画面W3040の画面例を示した図である。ユーザーBは、「カラースタート」ボタンB3040を選択する操作を行うことで、保護されたファイルを印刷するジョブを実行させることができる。
【0144】
ここで、画像処理装置12は、認証したユーザーBによって選択された設定履歴情報が、ユーザーBとは異なるユーザーAによって実行されたジョブであるため、認証情報の入力が必要と判定する。この結果、認証情報が要求される。
【0145】
図25(c)は、認証情報の入力が要求されたときに表示されるパスワード入力画面W3050の画面例を示した図である。パスワード入力画面W3050には、認証情報の入力欄を含むメッセージダイアログM3050が表示される。ユーザーBは、保護されたファイルを読み出すために必要な認証情報を入力し、再度「カラースタート」ボタンを選択することで、保護されたファイルを印刷するジョブを実行させることができる。
【0146】
なお、上述した実施形態では、ユーザーは複数のユーザーフォルダーを登録することが可能であるとして説明したが、1人のユーザーに対して、1つのユーザーフォルダーが割り当てられる構成であってもよい。また、ユーザーの認証は、1又は複数のユーザーが所属するグループの認証であってもよい。さらに、ユーザーを認証するための認証手段は、知識認証の他、所有物認証や生体認証等の方法が用いられてもよい。
【0147】
また、上述した実施形態では、認証されたユーザーと選択された設定履歴情報に対応するユーザーとが一致するか否かに応じて、認証情報の要否を判定したが、認証情報の要否は、他の方法によって判定されてもよい。例えば、認証されたユーザーと選択された設定履歴情報に対応するユーザーとが一致する場合であっても、マイフォルダーではない親展フォルダーに記憶されたファイルを出力したり、マイフォルダーではない親展フォルダーにファイルを記憶したりする場合、認証情報の入力が必要であると判定されてもよい。
【0148】
本実施形態の画像処理装置によれば、ジョブを実行したユーザーが当該ジョブに対応する設定履歴情報を選択した場合で、当該設定履歴情報に認証情報を必要とする設定値が含まれるときであっても、認証情報が要求されない。この結果、ユーザーの利便性を向上させることができる。一方で、ジョブを実行したユーザー以外のユーザーが、当該ジョブに対応する設定履歴情報を選択した場合で、当該設定履歴情報に認証情報を必要とする設定値が含まれるときは、認証情報が要求される。これにより、ファイルの機密性や秘匿性を担保することができる。
【0149】
[4.第4実施形態]
つづいて、第4実施形態について説明する。第4実施形態は第3実施形態において説明した処理に加え、ファイルが共有フォルダーに記憶されたあと、当該共有フォルダーが親展フォルダーに変更された場合に、認証情報が要求される実施形態である。本実施形態は、第3実施形態の
図17を
図26に置き換えた実施形態である。なお、同一の機能部には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0150】
図26を参照して、本実施形態における画像処理装置14の機能構成を説明する。画像処理装置14は、画像処理装置12と異なり、制御部100は、さらに、フォルダー情報設定部112として機能する。フォルダー情報設定部112は、ファイリング領域に含まれるフォルダーの情報を設定するフォルダー情報設定処理を実行する。
【0151】
フォルダー情報設定処理として、フォルダー情報設定部112は、以下の処理を実行する。
(1)フォルダー情報設定部112は、ユーザーフォルダーを選択可能に表示したユーザーフォルダー設定画面を表示する。
(2)フォルダー情報設定部112は、ユーザーによって選択されたユーザーフォルダーが共有フォルダーである場合で、パスワードを入力する操作がされたとき、当該入力されたパスワードを選択されたユーザーフォルダーの認証情報として設定して親展フォルダーにする。例えば、フォルダー情報設定部112は、選択されたフォルダーに対応するフォルダー情報のフォルダー種別を「親展フォルダー」にするとともに、フォルダーパスワードに入力されたパスワードを記憶する。
(3)ユーザーによって選択されたユーザーフォルダーが親展フォルダーである場合で、認証情報を削除する操作がされたとき、選択されたユーザーフォルダーに設定された認証情報を解除して、共有フォルダーにする。例えば、フォルダー情報設定部112は、選択されたフォルダーに対応するフォルダー情報のフォルダー種別を「共有フォルダー」にするとともに、フォルダーパスワードに記憶された情報を削除する。
【0152】
フォルダー情報設定処理は、例えば、画像処理装置14の管理者の操作に応じて実行される。これにより、ユーザーフォルダーのフォルダー種別の設定が変化する。また、ユーザーフォルダー設定画面は、画像処理装置14の表示部140に表示されてもよいし、画像処理装置14に接続された端末装置が表示制御する表示装置に表示されてもよい。
【0153】
つづいて、本実施形態の動作例について説明する。はじめに、
図27を参照して、本実施形態の動作の概要を説明する。なお、
図27の説明において、画像処理装置14が実行するユーザー認証により認証されたユーザーはユーザーCであるとして説明する。
【0154】
はじめに、ユーザーCは、ユーザーCのユーザーフォルダーであるユーザーCフォルダーに、共有ファイルを記憶させる(
図27(a))。なお、ユーザーCフォルダーは共有フォルダーであるとする。次に、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイル(ジョブデータ)に基づく画像を出力するジョブを実行する(
図27(b))。このとき、ユーザーCの設定履歴情報として、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを出力するジョブの設定履歴情報が記憶される。
【0155】
次に、フォルダー情報設定処理が実行されることにより、ユーザーCフォルダーが親展フォルダーに変更される(
図27(c))。この結果、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルが読み出される場合、ユーザーCフォルダーの認証情報が必要となる。
【0156】
つづいて、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを出力するジョブの設定履歴情報を選択し、設定値を呼び出す。このとき、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを読み出す場合、ユーザーCフォルダーの認証情報が必要となるため、ユーザーCは、当該認証情報を入力する(
図27(d))。これにより、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルに基づく画像を出力することができる。
【0157】
このように、本実施形態では、設定履歴情報が記憶された後、当該設定履歴情報が呼び出されるまでの間に、共有ファイルが記憶されたフォルダーの設定が変わったことにより、当該設定履歴情報の呼び出しが制限されることとなる。
【0158】
つづいて、本実施形態における画面例を説明する。
図28(a)は、ユーザーフォルダー設定画面W4000の画面例を示した図である。ユーザーフォルダー設定画面W4000には、例えば、ユーザーフォルダーを選択可能に列挙したリストと、選択されたフォルダーのフォルダーパスワードを入力するための入力欄とが含まれる。ユーザーは、ユーザーフォルダーとして、例えば、「ユーザーCフォルダー」E4000を選択する。このとき、入力欄E4002には、ユーザーCフォルダーのフォルダーパスワードが示される。
図28(a)では、入力欄E4002が空欄である。これは、ユーザーCフォルダーには認証情報であるフォルダーパスワードが設定されておらず、ユーザーCフォルダーが共有フォルダーであることを示す。
【0159】
図28(b)は、ユーザーCが、共有フォルダーであるユーザーCフォルダーに共有ファイルを記憶させるための設定画面W4010の画面例を示した図である。例えば、ユーザーCは、親展設定では無いことを示す属性値である「共有」を選択したり(例えば、
図28(b)のE4010)、ジョブデータの記憶先として、ユーザーフォルダー(例えば、
図28(b)のE4012の「ユーザーCフォルダー」)を選択したりする。
【0160】
例えば、ユーザーCは、スキャン保存のジョブを実行し、スキャンデータのファイルを共有ファイルとしてユーザーCフォルダーに記憶させる操作を行う。さらに、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを印刷することで、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを印刷するジョブの設定履歴情報が記憶される。なお、当該設定履歴情報には、共有フォルダーに記憶された共有ファイルの情報が設定値として含まれるため、認証情報の入力は不要である。
【0161】
図29(a)は、ユーザーフォルダー設定画面W4020の画面例を示した図である。ここで、ユーザーは、ユーザーフォルダーとして、例えば、「ユーザーCフォルダー」E4020を選択し、認証情報の入力欄E4022にフォルダーパスワードを入力する。さらに、ユーザーは、「更新」ボタンB4020を選択する。これにより、「ユーザーCフォルダー」に対して、入力欄E4022に入力されたフォルダーパスワードが設定される。この結果、「ユーザーCフォルダー」は、親展フォルダーに変更される。
【0162】
図29(b)は、設定履歴情報表示画面W4030の画面例を示した図である。ここで、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに記憶された共有ファイルを出力するジョブの設定履歴情報E4030を選択する。ここで、ユーザーCフォルダーは親展フォルダーに変更されているため、設定履歴情報E4030は、認証情報が必要な設定履歴情報である。
【0163】
図30(a)は、ユーザーCによって設定履歴情報E4030が選択されたときに表示される設定画面W4040の画面例を示した図である。設定画面W4040は、コピーの基本画面であり、設定履歴情報E4030に含まれる設定値が展開された設定画面である。なお、設定画面が表示された時点では、認証情報の入力は要求されない。
【0164】
ユーザーCは、設定画面W4040に含まれる「カラースタート」ボタンB4040を選択することで、画像処理装置14に対して、ジョブを実行させることができる。
【0165】
ここで、実行されるジョブは親展ジョブであるため、認証情報が要求される。
図30(b)は、認証情報を入力するための入力欄を含むメッセージダイアログM4050を含むパスワード入力画面W4050の画面例である。ここで、ユーザーCフォルダーは親展フォルダーに変更されているため、ユーザーCは、ユーザーCフォルダーに設定された認証情報を入力する必要がある。
【0166】
このように、設定履歴情報が記憶された時点から、当該設定履歴情報が呼び出されるまでの間に、当該設定履歴情報に対応するファイルの記憶先のフォルダーが、共有フォルダーから親展フォルダーに変更される場合がある。このような場合であっても、上述した動作例のように、親展フォルダーに設定された認証情報の入力が要求され、当該履歴情報に対応するジョブの実行が制限される。
【0167】
なお、上述した動作例では、ジョブデータの記憶先のフォルダーが共有フォルダーから親展フォルダーに変更された場合について説明したが、親展フォルダーから共有フォルダーに変更された場合は、ジョブ実行時に認証情報の入力が要求されなくなる。
【0168】
本実施形態の画像処理装置によれば、ファイルを記憶した後、当該ファイルの記憶先の設定が変更された場合であっても、適切に認証情報の要否を判定することができる。
【0169】
[5.変形例]
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0170】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0171】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0172】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標) Disk) 等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0173】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0174】
10、12、14 画像処理装置
100 制御部
102 画像処理部
104 ジョブ実行部
106 一覧表示部
108 設定画面表示部
110 設定履歴情報記憶部
112 フォルダー情報設定部
120 画像入力部
130 画像形成部
140 表示部
150 操作部
160 記憶部
162 ジョブデータ記憶領域
164 設定履歴情報記憶領域
166 ジョブ履歴情報記憶領域
168 ユーザー情報記憶領域
170 フォルダー情報記憶領域
190 通信部