(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 59/122 20230101AFI20250407BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20250407BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20250407BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20250407BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20250407BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20250407BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20250407BHJP
【FI】
H10K59/122
H10K50/818
H10K59/35
H10K59/80
H10K71/20
H10K71/60
H10K102:20
(21)【出願番号】P 2021573011
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047304
(87)【国際公開番号】W WO2021149422
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020008119
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 昭綱
(72)【発明者】
【氏名】山崎 崇
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 宏史
(72)【発明者】
【氏名】根岸 英輔
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-027591(JP,A)
【文献】特開2007-165214(JP,A)
【文献】特開2014-235862(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0072010(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられて
おり、
隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成り、
凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている、
表示装置。
【請求項2】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられており、
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の上部に形成され、基材に対して庇状に突出する形状の金属層とから成り、
隔壁部の金属層の表面には透明導電材料層が形成されている
、
表示装置。
【請求項3】
金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る、
請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1電極上は隔壁部の透明導電材料層と同層の透明導電材料層によって覆われている、
請求項
2に記載の表示装置。
【請求項5】
透明導電材料層は酸化インジウムスズまたは酸化インジウム亜鉛から成る、
請求項
2に記載の表示装置。
【請求項6】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている表示装置の製造方法であって、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有しており、
隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含
み、
隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設け、
隔壁部を形成する工程と第1電極を形成する工程を、
第1電極に対応する領域に下層電極を形成する工程と、
次いで、隣接する下層電極の間に、下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成する工程と、
隔壁部上を含む全面に透明導電材料層を形成し、以って、上層部の庇によって分断された透明導電材料層を含む第1電極を形成する工程、
によって行う、
表示装置の製造方法。
【請求項7】
全面に透明導電材料層を形成した後に連続して全面に有機層を積層する工程を行う、
請求項
6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている表示装置の製造方法であって、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有しており、
隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含み、
隔壁部を、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから形成した後、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜を除去することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける
、
表示装置の製造方法。
【請求項9】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられて
おり、
隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成り、
凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている、
表示装置を備えた電子機器。
【請求項10】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられており、
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の上部に形成され、基材に対して庇状に突出する形状の金属層とから成り、
隔壁部の金属層の表面には透明導電材料層が形成されている、
表示装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置が注目されている。以下、有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置を「有機EL表示装置」あるいは単に「表示装置」と略称する場合がある。有機EL表示装置は、自発光型であり、更には、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有し、商品化が鋭意進められている。
【0003】
眼鏡やゴーグルなどといったアイウェアに装着するための表示装置にあっては、例えば、画素サイズを数マイクロメートルないし10マイクロメートル程度とするといったことに加えて、高輝度化を図ることが求められている。発光部と発光部とを区画する隔壁部によって光を反射させ、光取出し効率を向上させて高輝度化を図るといったことが、例えば、特開2007-165214号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光部と発光部とを区画する隔壁部に光反射面が形成されている場合、光反射面の端部でのリークによって異常発光を生ずることや、発光部を構成する有機層の界面などを介して隣接する画素間でリークすることが考えられる。これらは、輝度低下や信頼性低下といった要因となる。
【0006】
従って、本開示の目的は、光取出し効率を向上させることができ、隣接する画素間におけるリークなどを低減することができる表示装置および係る表示装置の製造方法、並びに、係る表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられている、
表示装置である。
【0008】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置の製造方法は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている表示装置の製造方法であって、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有しており、
隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含む、
表示装置の製造方法である。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示に係る電子機器は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられている、
表示装置を備えた電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図3】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、
図3Cに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、
図4Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、
図5Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、
図6Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の変形例に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、第1の実施形態の変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、
図9Bに引き続き、第1の実施形態の変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図13】
図13Aおよび
図13Bは、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図16】
図16Aおよび
図16Bは、第3の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図18】
図18は、第3の実施形態の変形例に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図19】
図19は、第4の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図20】
図20Aおよび
図20Bは、第4の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図22】
図22は、第5の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図23】
図23Aおよび
図23Bは、第5の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【
図24】
図24は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、
図24Aにその正面図を示し、
図24Bにその背面図を示す。
【
図25】
図25は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【
図26】
図26は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に基づいて本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器、全般に関する説明
2.第1の実施形態と変形例
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.第4の実施形態
6.第5の実施形態と変形例
7.電子機器の説明
8.その他
【0012】
[本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器、全般に関する説明]
上述したように、本開示に係る表示装置、本開示に係る表示装置の製造方法によって得られる表示装置、および、本開示に係る電子機器に用いられる表示装置(以下、単に、これらを「本開示の表示装置」と呼ぶ場合がある。)にあっては、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられている。
【0013】
本開示の表示装置において、隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層とから成る構成とすることができる。
【0014】
上記の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、隔壁部の基材は、第1の絶縁材料層から構成された下層部と、下層部に対して庇状に突出する形状の、第2の絶縁材料層から構成された上層部とから成る構成とすることができる。
【0015】
上記の各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、第1電極は隔壁部の金属層と同層の金属層によって形成されている構成とすることができる。金属層は、例えば、Cr、Au、Pt、Ni、Cu、Mo、W、Ti、Ta、Al、Fe、もしくはAgなどの金属の単体または合金などで形成することができるが、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る構成とすることが好ましい。
【0016】
上記の各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成り、凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている構成とすることができる。
【0017】
あるいは又、本開示の表示装置において、隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の上部に形成され、基材に対して庇状に突出する形状の金属層とから成る構成とすることができる。
【0018】
この場合において、金属層は、例えば、Cr、Au、Pt、Ni、Cu、Mo、W、Ti、Ta、Al、Fe、もしくはAgなどの金属の単体または合金などで形成することができるが、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る構成とすることが好ましい。また、隔壁部の金属層の表面には透明導電材料層が形成されている構成とすることができる。そして、第1電極上は隔壁部の透明導電材料層と同層の透明導電材料層によって覆われている構成とすることができる。透明導電材料層は酸化インジウムスズまたは酸化インジウム亜鉛から成る構成とすることができる。
【0019】
上述したように、本開示に係る表示装置の製造方法は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている表示装置の製造方法であって、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有しており、
隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含む。
【0020】
本開示に係る表示装置の製造方法にあっては、隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する第2の絶縁材料層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける構成とすることができる。
【0021】
この場合において、隔壁部を形成する工程と第1電極を形成する工程を、
隣接する第1電極の間に対応する領域に、下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する第2の絶縁材料層を形成する工程と、
全面に金属層を形成し、以って、隔壁部に金属層から成る光反射面を形成し且つ上層部の庇によって分断された金属層を含む第1電極を形成する工程、
によって行う構成とすることができる。
【0022】
この場合において、全面に金属層を形成した後に連続して全面に有機層を積層する工程を行う構成とすることができる。金属層を形成した後に連続して有機層を形成することによって、第1電極の表面に酸化膜が形成されない状態で有機層を形成することができる。
【0023】
あるいは又、本開示に係る表示装置の製造方法にあっては、隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける構成とすることができる。
【0024】
この場合において、隔壁部を形成する工程と第1電極を形成する工程を、
第1電極に対応する領域に下層電極を形成する工程と、
次いで、隣接する下層電極の間に、下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成する工程と、
隔壁部上を含む全面に透明導電材料層を形成し、以って、上層部の庇によって分断された透明導電材料層を含む第1電極を形成する工程、
によって行う構成とすることができる。
【0025】
この場合において、全面に透明導電材料層を形成した後に連続して全面に有機層を積層する工程を行う構成とすることができる。透明導電材料層を形成した後に連続して有機層を形成することによって、透明導電材料層表面に酸化膜が形成されない状態で有機層を形成することができる。
【0026】
あるいは又、本開示に係る表示装置の製造方法にあっては、隔壁部を、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから形成した後、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜を除去することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける構成とすることができる。
【0027】
本開示の実施に支障がない限り、隔壁部を構成する絶縁材料は特に限定するものではない。例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物およびシリコン酸窒化物などの無機材料や、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0028】
隔壁部の基材は、公知の無機材料や有機材料から適宜選択した材料を用いて形成することができ、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の成膜方法と、エッチング法やリフトオフ法などの周知のパターニング法との組み合わせによって形成することができる。
【0029】
本開示の表示装置において、発光部は、いわゆる上面発光型である構成とすることができる。発光部は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを備えた有機層を、第1電極と第2電極で挟むことによって構成される。カソードを共通化する場合、第2電極がカソード電極、第1電極がアノード電極となる。尚、場合によっては、有機層のうち一部の層あるいは全ての層は画素毎に塗分けられていてもよい。このような場合も、[第1電極上と隔壁部上を含む全面に有機層を積層する]に該当する。
【0030】
光反射面を構成する金属層には、発光部ELPの閾値電圧以下の電圧が印加されることが好ましい。例えば、第2電極がカソード電極となる場合、光反射面を構成する金属層はカソード電極と同電圧とすることができる。光反射面を構成する金属層に電圧を供給する配線とは、画素間において接続されていてもよいし、表示領域の外周において接続されていてもよい。
【0031】
上記の好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、所謂モノクロ表示の構成であってもよいし、カラー表示の構成であってもよい。カラー表示の場合、発光部の発光色自体が、赤色、緑色、青色などといった所定色である構成であってもよい。あるいは又、発光部の発光色は白色であるが、発光部の上方に配置されたカラーフィルタを備えているといった構成であってもよい。カラーフィルタは、例えば、顔料または染料を含ませた樹脂材料などを用いて形成することができる。
【0032】
カラー表示の構成とする場合には、1つの画素は複数の副画素から成る構成、具体的には、1つの画素は、赤色表示副画素、緑色表示副画素、及び、青色表示副画素の3つの副画素から成る構成とすることができる。更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0033】
表示装置の画素(ピクセル)の値として、VGA(640,480)、S-VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S-XGA(1280,1024)、U-XGA(1600,1200)、HD-TV(1920,1080)、Q-XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0034】
本開示に係る表示装置において、発光部の発光を制御する駆動回路などの構成は特に限定するものではない。発光部は、例えば、基板上の或る平面内に形成され、例えば、層間絶縁層を介して、発光部を駆動する駆動回路の上方に配置されているといった構成とすることができる。駆動回路を構成するトランジスタの構成は、特に限定するものではない。pチャネル型の電界効果トランジスタであってもよいし、nチャネル型の電界効果トランジスタであってもよい。
【0035】
基板の構成材料として、半導体材料、ガラス材料、あるいは、プラスチック材料を例示することができる。駆動回路を半導体基板に形成されたトランジスタによって構成するといった場合、例えばシリコンから成る半導体基板にウェル領域を設け、ウェル内にトランジスタを形成するといった構成とすればよい。一方、駆動回路を薄膜トランジスタなどによって構成するといった場合は、ガラス材料やプラスチック材料から成る基板を用いてその上に半導体薄膜を形成し駆動回路を形成することができる。各種の配線は、周知の構成や構造とすることができる。
【0036】
第1電極は、発光部ごとに基板上に設けられており、発光部のアノード電極として機能する。第1電極は、例えば、Cr、Au、Pt、Ni、Cu、Mo、W、Ti、Ta、Al、Fe、もしくはAgなどの金属の単体または合金などで形成されていてもよいし、これらの金属層を複数積層させたもので形成されていてもよい。場合によっては、第1電極は、酸化インジウム亜鉛、または酸化インジウムスズなどの透明導電性材料にて透明電極として形成されてもよい。このような場合、基板との間に金属あるいは合金からなる光反射層が設けられていてもよい。
【0037】
有機層は、有機発光材料を含み、共通の連続膜として、第1電極および隔壁部の上に設けられる。有機層は、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されることによって発光する。有機層は、例えば、第1電極側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、電子注入層を順に積層した構造で構成することができる。有機層を構成する正孔輸送材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、有機発光材料は特に限定するものではなく、周知の材料を用いることができる。
【0038】
尚、有機層は、複数の発光層を電荷発生層または中間電極を介して接続した、いわゆるタンデム型構造で構成されていてもよい。例えば、赤色発光、緑色発光、青色発光の発光層を積層することによって、白色で発光する発光部を構成することができる。
【0039】
第2電極は、有機層の上に、共通した連続膜として設けられる。第2電極は、光透過性が高い材料を用いて形成することができる。例えば、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、またはガリウムドープ酸化亜鉛などの透明導電性材料を用いて形成することができる。あるいは又、金属や合金などを用いて、光透過性を有する程度に薄くして形成することもできる。
【0040】
保護層や充填層は、第2電極上に形成され、水分や酸素が有機層に侵入するのを防止する。保護層や充填層は、光透過性が高く、透水性が低い材料を用いて構成することができ、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、アルミニウム酸化物(AlOx)、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料、またはこれらの組み合わせで構成することができる。
【0041】
本明細書における各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。表示装置において設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。また、以下の説明で用いる図は模式的なものである。例えば、後述する
図2は表示装置の断面構造を示すが、幅、高さ、厚さなどの割合を示すものではない。
【0042】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0043】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。表示装置1は、アクティブマトリックス型のカラー表示の表示装置であり、基板上に2次元マトリクス状に配列して形成されている発光部の各々の発光を制御することによって、画像等を表示する表示装置である。平面上に複数配列された発光部は、例えば、赤色表示、緑色表示、および青色表示のいずれかの副画素PXを構成しており、これら3つの副画素PXによって、1つの画素が構成される。画素と画素の間には、後述する隔壁部30が設けられている。
【0044】
図に示すように、副画素PXは、デルタ配列されている。破線で囲んだ1画素の大きさは、例えば、5マイクロメートル×5マイクロメートルといった大きさである。尚、
図1において、赤色表示副画素を符号「R」で示し、緑色表示副画素を符号「G」で示し、青色表示副画素を符号「B」で示した。
【0045】
副画素PX、あるいは又、後述する
図2で示す発光部ELPの平面形状は、円形である。尚、副画素PXの配列はデルタ配列に限るものではない。例えば、所謂ストライプ配列であってもよい。
【0046】
本実施形態に係る表示装置において、副画素PXの発光を制御する駆動回路や、副画素PXに電力を供給する電源回路などの構成は、特に限定するものではない。従って、これらに関する図示や具体的な説明は省略する。
【0047】
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【0048】
表示装置1にあっては、第1電極20と有機層50と第2電極60とが積層されて成る発光部ELPが、基板10上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている。第1電極20は発光部ELPごとに設けられている。隣接する第1電極20の間には隔壁部30が形成されており、第1電極20上と隔壁部30上を含む全面に、有機層50と第2電極60とが積層されている。第2電極60上を含む全面には、保護層70と充填層80とが順次成膜されており、その上に、表示すべき色に応じたカラーフィルタ90が形成されている。隔壁部30は金属層32から成る光反射面RSを有している。隔壁部30における第1電極20側の側面の部分には、隔壁部30の内部に向かう凹部GPが設けられている。後述する他の実施形態においても同様である。
【0049】
第1の実施形態において、隔壁部30は、絶縁材料から成り凹部GPが設けられている基材31と、凹部GPを除く基材31の表面に形成された金属層32とから成る。
【0050】
基板10は、一方の面上に配置された複数の発光部ELPを支持する支持体である。図示されていないが、基板10には、発光部ELPの発光を制御するための駆動回路、電力を供給する電源回路、走査線やデータ線などが設けられている。基板10は、例えば、トランジスタ等の形成が容易な半導体材料で形成されている。
【0051】
第1電極20は、例えば、アルミニウム銅合金(AlCu)から成り、発光部ELPごとに設けられている。第1電極20は発光部ELPのアノード電極として機能する。隔壁部30は、隣接する第1電極20の間に設けられ、発光部ELPの各々を離隔する。隔壁部30の断面形状は、傾斜面を有する略台形形状(テーパー形状)である。隔壁部30と隔壁部30の間には、第1電極20側を底部とし逆側が開いた略円形の開口が形成されている。
【0052】
第1電極20上と隔壁部30上を含む全面に、有機層50と第2電極60とが積層されている。発光部ELPは、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを備えた有機層50が、第1電極20と第2電極60とで挟まれることによって構成される。発光部ELPへの水分の浸透などを防ぐため、第2電極60上には保護層70が積層されている。
【0053】
有機層50は多層構造であるが、図においてはこれを一層で示した。有機層50は、赤色発光層、緑色発光層、及び、青色発光層などが積層された構造であって、白色を発光する。
【0054】
保護層70上には充填層80が形成されており、隔壁部30と隔壁部30との間の凹部は充填層80によって埋められている。そして、充填層80上には、表示すべき色に応じたカラーフィルタ90が設けられている。更に、図示せぬ透明な対向基板が配置されていてもよい。
【0055】
上述したように、隔壁部30における第1電極20側の側面の部分に、隔壁部30の内部に向かう凹部GPが設けられている。凹部GPの高さや幅は、概ね、有機層50の膜厚の10パーセントないし100パーセント程度に設定されており、例えば、30ナノメートル程度といった値である。
【0056】
光反射面RSや基材31の端部と、第1電極20の間に凹部GPによる空隙が設けられているので、第1電極20から注入される電荷が隔壁部30の表面を介して隣接する第1電極20にリークしたり、隔壁部30の端部で有機層50が異常に発光したりすることが抑制される。また、凹部GPに入射する光の一部を反射して外部に取り出すこともできるので、発光効率も向上する。
【0057】
尚、コントラストの向上のために、例えば、所謂ブラックマトリクスを構成する遮光層が設けられていてもよい。遮蔽層は、例えば、クロム(Cr)、あるいは又、グラファイトなどの材料を用いて構成することができる。遮蔽層は、カラーフィルタ90と同層に形成されていてもよいし、カラーフィルタ90とは異なる層に形成されていてもよい。
【0058】
また、発光効率の更なる向上を図るために、発光部の上部に集光用のマイクロレンズが配置されていてもよい。マイクロレンズの形状は特に限定するものではなく、例えば半球状や円筒状といった形状とすることができる。
【0059】
引き続き、表示装置1の製造方法について説明する。
【0060】
以下詳しく説明するように、表示装置1の製造方法は、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有している。隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含む。後述する他の実施形態においても同様である。
【0061】
図3ないし
図7は、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0062】
[工程-100](
図3A,
図3Bおよび
図3C参照)
先ず、基板10上に第1電極20を形成する。具体的には、基板10を準備し(
図3A参照)、その上に、例えばアルミニウム銅合金(AlCu)から成る金属材料層20Aを形成する(
図3B参照)。次いで、第1電極20に相当する部分をマスクで覆い、エッチングを施すことで第1電極20を得る(
図3C参照)。
【0063】
[工程-110](
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6Aおよび
図6B参照)
その後、基板10上に隔壁部30を形成する。先ず、第1電極20上を含む基板10上の全面に、絶縁材料層31Aを形成する(
図4A参照)。次いで、基材31に相当する部分をマスクで覆い、エッチングを施して、基材31を形成する(
図4B参照)。尚、このエッチングでは、基材31と基材31との間の第1電極20が露出するように処理を施す。
【0064】
その後、露出した第1電極20の部分を基材31と同様の材料を用いた絶縁材料層39で覆った後(
図5A参照)、全面に、金属材料層32Aを形成する(
図5B参照)。次いで、絶縁材料層39上の金属材料層32Aを除去して基材31上に金属層32を形成する(
図6A)。その後、絶縁材料層39をエッチングで除去する。基材31の第1電極20側の側面には金属層32は形成されていないので、このエッチング処理によって基材31に凹部GPが形成される(
図6B参照)。
【0065】
[工程-120](
図7Aおよび
図7B参照)
次いで、全面に有機層50を形成し(
図7A参照)、その後、第2電極60を形成する(
図7B参照)。
【0066】
[工程-130](
図2参照)
その後、保護層70、充填層80を順次形成し、次いで、カラーフィルタ90を配置することによって、表示装置1を得ることができる。
【0067】
以上、第1の実施形態に係る表示装置1の製造方法について説明した。
【0068】
引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の変形例について説明する。
【0069】
図8は、第1の実施形態の変形例に係る表示装置の模式的な一部断面図である。変形例に係る表示装置1Aの模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置1Aと読み替えればよい。
【0070】
表示装置1Aにおいても、第1電極20と有機層50と第2電極60とが積層されて成る発光部ELPが、基板10上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている。第1電極20は発光部ELPごとに設けられている。隣接する第1電極20の間には隔壁部130が形成されており、第1電極20上と隔壁部130上を含む全面に、有機層50と第2電極60とが積層されている。第2電極60上を含む全面には、保護層70と充填層80とが順次成膜されており、その上に、表示すべき色に応じたカラーフィルタ90が形成されている。
【0071】
表示装置1Aにおいて、隔壁部130は、絶縁材料から成る基材131と、基材131の上部に形成され、基材131に対して庇状に突出する形状の金属層132とから成る。表示装置1Aにあっては、金属層132の斜面が光反射面RSを構成する。そして、表示装置1と同様に、隔壁部130における第1電極20側の側面の部分には、隔壁部130の内部に向かう凹部GPが設けられている。
【0072】
凹部GPによる空隙が設けられているので、表示装置1において説明したのと同様に、第1電極20から注入される電荷が隔壁部130の表面を介して隣接する第1電極20にリークしたり、隔壁部130の端部で有機層50が異常に発光したりすることが抑制される。また、凹部GPに入射する光の一部を反射して外部に取り出すこともできるので、発光効率も向上する。
【0073】
引き続き、表示装置1Aの製造方法について説明する。
【0074】
図9ないし
図11は、表示装置1Aの製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0075】
[工程-100A]
第1の実施形態において説明した[工程-100]と同様の工程を行い、基板10上に第1電極20を形成する(従前の
図3C参照)。
【0076】
[工程-110A](
図9A、
図9B、
図10A、
図10Bおよび
図11A参照)
その後、基板10上に隔壁部130を形成する。先ず、第1電極20上を含む基板10上の全面に、絶縁材料層131Aを形成する(
図9A参照)。次いで、例えばCMPによって絶縁材料層131Aに平坦化および薄膜化を施す(
図9B参照)。
【0077】
その後、全面に金属材料層132Aを形成し(
図10A参照)、次いで、金属層132に相当する部分をマスクで覆いエッチングを施して、金属層132を形成する(
図10B参照)。尚、このエッチングでは、金属層132の第1電極20側が庇状となるように処理を施す。
【0078】
その後、金属層132をマスクとしてエッチングを施し、絶縁材料層131Aを除去する。この工程によって、基材131に凹部GPが形成される(
図11A参照)。
【0079】
[工程-120A](
図11B参照)
次いで、全面に有機層50を形成し、その後、第2電極60を形成する。
【0080】
[工程-130A]
次いで、保護層70、充填層80を順次形成し、その後、カラーフィルタ90を配置することによって、表示装置1Aを得ることができる。
【0081】
[第2の実施形態]
第2の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0082】
第2の実施形態において、隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成る。そして、凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている。以上の点を除く他は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0083】
図12は、第2の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。第2の実施形態に係る表示装置2の模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置2と読み替えればよい。
【0084】
表示装置2においても、第1電極20と有機層50と第2電極60とが積層されて成る発光部ELPが、基板10上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている。第1電極20は発光部ELPごとに設けられている。隣接する第1電極20の間には隔壁部230が形成されており、第1電極20上と隔壁部230上を含む全面に、有機層50と第2電極60とが積層されている。第2電極60上を含む全面には、保護層70と充填層80とが順次成膜されており、その上に、表示すべき色に応じたカラーフィルタ90が形成されている。
【0085】
表示装置2において、隔壁部230は、絶縁材料から成る基材31と、基材31の表面に形成された金属層32と、金属層32の表面に形成された画素間絶縁膜233とから成る。そして、凹部GPは、隔壁部230における第1電極20側の側面の部分の画素間絶縁膜233が除去されることによって設けられている。以上の点を除く他は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0086】
凹部GPによる空隙が設けられているので、表示装置1において説明したのと同様に、第1電極20から注入される電荷が隔壁部230の表面を介して隣接する第1電極20にリークしたり、隔壁部230の端部で有機層50が異常に発光したりすることが抑制される。また、凹部GPに入射する光の一部を反射して外部に取り出すこともできるので、発光効率も向上する。
【0087】
引き続き、表示装置2の製造方法について説明する。
【0088】
図13および
図14は、表示装置2の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0089】
[工程-200]
第1の実施形態において説明した[工程-100]において、
図3Aないし
図5Bに示す工程を行う。
【0090】
[工程-210](
図13A、
図13B、
図14Aおよび
図14B参照)
次いで、金属層32に相当する部分をマスクで覆い、エッチングを施して、金属層32を形成するとともに、絶縁材料層39も除去する(
図13A参照)。
【0091】
その後、全面に、絶縁材料膜233Aを形成する(
図13B参照)。次いで、基材31と金属層33を覆う部分の絶縁材料膜233Aを残すようにエッチングを施し、画素間絶縁膜233を形成する(
図14A参照)。その後、画素間絶縁膜233にエッチングを施して、全体を薄膜化する。この工程によって、隔壁部230における第1電極20側の側面の部分の画素間絶縁膜233が除去され、凹部GPが形成される。
【0092】
[工程-220]
次いで、第1の実施形態において説明した[工程-120]と[工程-130]と同様の工程を行うことによって、表示装置2を得ることができる。
【0093】
[第3の実施形態]
第3の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0094】
第1の実施形態と同様に、第3の実施形態においても、隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層とから成る。但し、隔壁部の基材は、第1の絶縁材料層から構成された下層部と、下層部に対して庇状に突出する形状の、第2の絶縁材料層から構成された上層部とから成る。また、第1電極は隔壁部の金属層と同層の金属層によって形成されている。以上の点を除く他は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0095】
図15は、第3の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。第3の実施形態に係る表示装置3の模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置3と読み替えればよい。
【0096】
表示装置3においても、第1電極320と有機層50と第2電極60とが積層されて成る発光部ELPが、基板10上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている。第1電極320は発光部ELPごとに設けられている。隣接する第1電極20の間には隔壁部330が形成されており、第1電極320上と隔壁部330上を含む全面に、有機層50と第2電極60とが積層されている。第2電極60上を含む全面には、保護層70と充填層80とが順次成膜されており、その上に、表示すべき色に応じたカラーフィルタ90が形成されている。
【0097】
表示装置3においても、隔壁部330は、絶縁材料から成り凹部GPが設けられている基材331と、凹部GPを除く基材331の表面に形成された金属層332とから成る。但し、隔壁部330の基材331は、第1の絶縁材料層から構成された下層部331Bと、下層部331Bに対して庇状に突出する形状の、第2の絶縁材料層から構成された上層部331Tとから成る。更に、第1電極320は隔壁部330の金属層332と同層の金属層によって形成されている。
【0098】
凹部GPによる空隙が設けられているので、表示装置1において説明したのと同様に、第1電極320から注入される電荷が隔壁部330の表面を介して隣接する第1電極320にリークしたり、隔壁部330の端部で有機層50が異常に発光したりすることが抑制される。また、凹部GPに入射する光の一部を反射して外部に取り出すこともできるので、発光効率も向上する。
【0099】
引き続き、表示装置3の製造方法について説明する。
【0100】
図16および
図17は、表示装置3の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0101】
以下詳しく説明するように、表示装置3の製造方法においては、隔壁部330の下層部331Bと下層部331Bに対して庇状に突出する形状の上層部331Tを形成することによって、隔壁部330における第1電極320側の側面の部分に隔壁部330の内部に向かう凹部GPを設ける。
【0102】
そして、隔壁部330を形成する工程と第1電極320を形成する工程を、
隣接する第1電極320の間に対応する領域に、下層部331Bを構成する第1の絶縁材料層と下層部331Bに対して庇状に突出する形状の上層部331Tを構成する第2の絶縁材料層を形成する工程と、
全面に金属層332を形成し、以って、隔壁部330に金属層332から成る光反射面RSを形成し且つ上層部331Tの庇によって分断された金属層332を含む第1電極320を形成する工程、
によって行う。
【0103】
また、全面に金属層332を形成した後に連続して全面に有機層50を積層する工程を行う。
【0104】
[工程-300](
図16Aおよび
図16B参照)
先ず、基板10上に隔壁部330の基材331を形成する。具体的には、基板10を準備し(
図3A参照)、その上に、第1の絶縁材料層331Bと第2の絶縁材料層331Tとを順次積層する。次いで、隔壁部330に対応する部分にマスクを配置し、エッチング処理を施す。尚、エッチング処理の際に、絶縁材料層331Bの上部側がよりエッチングされるように処理を行う(
図16A参照)。引き続き、第1の絶縁材料層331Bを選択的にエッチングすることによって、下層部331Bを構成する第1の絶縁材料層と下層部331Bに対して庇状に突出する形状の上層部331Tを構成する第2の絶縁材料層を形成する(
図16B参照)。
【0105】
[工程-310](
図17Aおよび
図17B参照)
その後、全面に金属層332を形成する。金属層332の厚さを第1の絶縁材料層331Bよりも薄く設定することによって、第2の絶縁材料層331Tの庇部分で金属層332は分断される(
図17A参照)。基材331上の金属層332によって、金属層332から成る光反射面RSが形成される。また、分断された金属層332によって、第1電極320が形成される。
【0106】
次いで、連続して全面に有機層50を積層する工程を行い、その後、第2電極60を形成する(
図17B参照)。金属層332と有機層50を連続して形成するので、金属層332と有機層50との界面に酸化膜などが形成されることがない。これによって、発光部ELPの発光特性を向上させることができる。尚、有機層50を上層部331Tの庇によって分断させないようにするには、金属層332と有機層50の膜厚の総和が、第1の絶縁材料層331Bの膜厚を超えるようにすればよい。
【0107】
[工程-320]
その後、保護層70、充填層80を順次形成し、次いで、カラーフィルタ90を配置することによって、表示装置3を得ることができる。
【0108】
以上、第3の実施形態に係る表示装置3の製造方法について説明した。
【0109】
引き続き、第3の実施形態に係る表示装置の変形例について説明する。
【0110】
図18は、第3の実施形態の変形例に係る表示装置の模式的な一部断面図である。変形例に係る表示装置3Aの模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置3Aと読み替えればよい。
【0111】
表示装置3Aにあっては、下層部331Bを構成する第1の絶縁材料層と上層部331Tを構成する第2の絶縁材料層とが、それぞれ逆テーパ状となるように形成されている。この構成においても、隔壁部330は、絶縁材料から成り凹部GPが設けられている基材331と、凹部GPを除く基材331の表面に形成された金属層332から構成されている。表示装置3Aの製造方法は、第1の絶縁材料層331Bを逆テーパ状にエッチングする点が相違する他は、表示装置3の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0112】
[第4の実施形態]
第4の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0113】
図19は、第4の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。第4の実施形態に係る表示装置4の模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置4と読み替えればよい。
【0114】
第3の実施形態にあっては、分断された金属層332によって、第1電極320が形成された。第4の実施形態にあっては、第1電極420は、予め基板に設けられた下層電極421上に、分断された金属層332が積層されて構成される点が相違する。以上の点が相違する他、他の構成は表示装置3において説明した構成と同様である。
【0115】
引き続き、表示装置4の製造方法について説明する。
【0116】
図20および
図21は、表示装置4の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0117】
[工程-400](
図20A参照)
先ず、基板10の発光部ELPに対応する部分に下層電極421を形成する。下層電極421は、基板10に設けられた図示せぬコンタクト部を覆うように形成されている。これによって、発光部ELPの駆動回路などとの接続を確実に確保することができる。
【0118】
[工程-410](
図20B参照)
次いで、基板10上に隔壁部330の基材331を形成する。基本的には、第3の実施形態において説明した[工程-300]と同様の工程を行い、下層部331Bを構成する第1の絶縁材料層と下層部331Bに対して庇状に突出する形状の上層部331Tを構成する第2の絶縁材料層を形成する。
【0119】
[工程-420](
図21A参照)
その後、全面に金属層332を形成する。金属層332の厚さを第1の絶縁材料層331Bよりも薄く設定することによって、第2の絶縁材料層331Tの庇部分で金属層332は分断される。基材331上の金属層332によって、金属層332から成る光反射面RSが形成される。また、下層電極421と分断された金属層332によって、第1電極420が形成される。
【0120】
[工程-430](
図21B参照)
次いで、連続して全面に有機層50を積層する工程を行い、その後、第2電極60を形成する。金属層332と有機層50を連続して形成するので、金属層332と有機層50との界面に酸化膜などが形成されることがない。これによって、発光部ELPの発光特性を向上させることができる。尚、有機層50を上層部331Tの庇によって分断させないようにするには、金属層332と有機層50の膜厚の総和が、第1の絶縁材料層331Bの膜厚を超えるようにすればよい。
【0121】
[工程-440]
その後、保護層70、充填層80を順次形成し、次いで、カラーフィルタ90を配置することによって、表示装置4を得ることができる。
【0122】
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0123】
図22は、第5の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。第5の実施形態に係る表示装置5の模式的な平面図は、
図1において表示装置1を表示装置5と読み替えればよい。
【0124】
第5の実施形態において、隔壁部530は、絶縁材料から成る基材531と、基材531の上部に形成され、基材531に対して庇状に突出する形状の金属層532とから成る。そして、隔壁部530の金属層532の表面には透明導電材料層533が形成されている。また、第1電極520上は、隔壁部530の透明導電材料層533と同層の透明導電材料層によって覆われている。
【0125】
引き続き、表示装置5の製造方法について説明する。
【0126】
図23は、表示装置5の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0127】
以下詳しく説明するように、表示装置5の製造方法においては、隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける。
【0128】
そして、隔壁部530を形成する工程と第1電極520を形成する工程を、
第1電極520に対応する領域に下層電極421を形成する工程と、
次いで、隣接する下層電極421の間に、下層部を構成する第1の絶縁材料層531と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層532を形成する工程と、
隔壁部530上を含む全面に透明導電材料層533を形成し、以って、上層部の金属層532の庇によって分断された透明導電材料層533を含む第1電極520を形成する工程、
によって行う。
【0129】
[工程-500](
図23A参照)。
先ず、基板10の発光部ELPに対応する部分に下層電極421を形成する。基本的には、第4の実施形態における[工程-400]と同様の工程を行う。次いで、基板10上に隔壁部530を形成する。上層部532が金属材料から構成されている点が相違する他は、第3の実施形態において説明した[工程-300]と同様の工程を行い、下層部531を構成する第1の絶縁材料層と下層部531に対して庇状に突出する形状の上層部532を構成する金属層を形成する。金属層532の斜面によって光反射面RSが形成される。
【0130】
[工程-510](
図23B参照)
その後、全面に、例えば酸化インジウムスズから成る透明導電材料層533を形成する。透明導電材料層533の厚さを第1の絶縁材料層531よりも薄く設定することによって、金属層532の庇部分で透明導電材料層533は分断される。下層電極421と分断された透明導電材料層533によって、第1電極520が形成される。
【0131】
[工程-520]
次いで、連続して全面に有機層50を積層する工程を行い、その後、第2電極60を形成する。透明導電材料層533と有機層50を連続して形成するので、透明導電材料層533と有機層50との界面に酸化膜などが形成されることがない。これによって、発光部ELPの発光特性を向上させることができる。尚、有機層50を金属層532の庇によって分断させないようにするには、透明導電材料層533と有機層50の膜厚の総和が、下層部531の膜厚を超えるようにすればよい。
【0132】
[工程-530]
その後、第4の実施形態において説明した[工程-430]と[工程-440]を行うことによって、表示装置5を得ることができる。
【0133】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、プロセスなどを用いてもよい。
【0134】
例えば、隔壁部の金属層を省略し、隔壁部の絶縁材料とその上に形成される有機層との間の屈折率差を利用して界面で光を全反射させるといった構成においても、隔壁部における第1電極側の側面の部分に凹部を設けることによって、光取出し効率を向上させることができ、隣接する画素間におけるリークなどを低減することができる。
【0135】
尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0136】
[電子機器の説明]
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。一例として、例えば、テレビジョンセット、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)等の表示部として用いることができる。
【0137】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ及びヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0138】
(具体例1)
図24は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、
図24Aにその正面図を示し、
図24Bにその背面図を示す。レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)711の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)712を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部713を有している。
【0139】
そして、カメラ本体部711の背面略中央にはモニタ714が設けられている。モニタ714の上部には、ビューファインダ(接眼窓)715が設けられている。撮影者は、ビューファインダ715を覗くことによって、撮影レンズユニット712から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0140】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、そのビューファインダ715として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、そのビューファインダ715として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0141】
(具体例2)
図25は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、眼鏡形の表示部811の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部812を有している。このヘッドマウントディスプレイにおいて、その表示部811として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るヘッドマウントディスプレイは、その表示部811として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0142】
(具体例3)
図26は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。シースルーヘッドマウントディスプレイ911は、本体部912、アーム913および鏡筒914で構成される。
【0143】
本体部912は、アーム913および眼鏡900と接続される。具体的には、本体部912の長辺方向の端部はアーム913と結合され、本体部912の側面の一側は接続部材を介して眼鏡900と連結される。なお、本体部912は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0144】
本体部912は、シースルーヘッドマウントディスプレイ911の動作を制御するための制御基板や、表示部を内蔵する。アーム913は、本体部912と鏡筒914とを接続させ、鏡筒914を支える。具体的には、アーム913は、本体部912の端部および鏡筒914の端部とそれぞれ結合され、鏡筒914を固定する。また、アーム913は、本体部912から鏡筒914に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵する。
【0145】
鏡筒914は、本体部912からアーム913を経由して提供される画像光を、接眼レンズを通じて、シースルーヘッドマウントディスプレイ911を装着するユーザの目に向かって投射する。このシースルーヘッドマウントディスプレイ911において、本体部912の表示部に、本開示の表示装置を用いることができる。
【0146】
[その他]
なお、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
【0147】
[A1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられている、
表示装置。
[A2]
隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層とから成る、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A3]
隔壁部の基材は、第1の絶縁材料層から構成された下層部と、下層部に対して庇状に突出する形状の、第2の絶縁材料層から構成された上層部とから成る、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A4]
第1電極は隔壁部の金属層と同層の金属層によって形成されている、
上記[A2]または[A3]に記載の表示装置。
[A5]
金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る、
上記[A2]ないし[A4]のいずれかに記載の表示装置。
[A6]
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成り、
凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A7]
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の上部に形成され、基材に対して庇状に突出する形状の金属層とから成る、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A8]
金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る、
上記[A7]に記載の表示装置。
[A9]
隔壁部の金属層の表面には透明導電材料層が形成されている、
上記[A7]または[A8]に記載の表示装置。
[A10]
第1電極上は隔壁部の透明導電材料層と同層の透明導電材料層によって覆われている、
上記[A9]に記載の表示装置。
[A11]
透明導電材料層は酸化インジウムスズまたは酸化インジウム亜鉛から成る、
上記[A9]または[A10]に記載の表示装置。
【0148】
[B1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている表示装置の製造方法であって、
各発光部に対応した第1電極を形成する工程、
隣接する第1電極の間に対応する領域に隔壁部を形成する工程、及び、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とを積層する工程、
を有しており、
隔壁部を形成する工程は、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける工程と、隔壁部に金属層から成る光反射面を設ける工程とを含む、
表示装置の製造方法。
[B2]
隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する第2の絶縁材料層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける、
上記[B1]に記載の表示装置の製造方法。
[B3]
隔壁部を形成する工程と第1電極を形成する工程を、
隣接する第1電極の間に対応する領域に、下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する第2の絶縁材料層を形成する工程と、
全面に金属層を形成し、以って、隔壁部に金属層から成る光反射面を形成し且つ上層部の庇によって分断された金属層を含む第1電極を形成する工程、
によって行う、
上記[B2]に記載の表示装置の製造方法。
[B4]
全面に金属層を形成した後に連続して全面に有機層を積層する工程を行う、
上記[B3]に記載の表示装置の製造方法。
[B5]
隔壁部の下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける、
上記[B1]に記載の表示装置の製造方法。
[B6]
隔壁部を形成する工程と第1電極を形成する工程を、
第1電極に対応する領域に下層電極を形成する工程と、
次いで、隣接する下層電極の間に、下層部を構成する第1の絶縁材料層と下層部に対して庇状に突出する形状の上層部を構成する金属層を形成する工程と、
隔壁部上を含む全面に透明導電材料層を形成し、以って、上層部の庇によって分断された透明導電材料層を含む第1電極を形成する工程、
によって行う、
上記[B5]に記載の表示装置の製造方法。
[B7]
全面に透明導電材料層を形成した後に連続して全面に有機層を積層する工程を行う、
上記[B6]に記載の表示装置の製造方法。
[B8]
隔壁部を、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから形成した後、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜を除去することによって、隔壁部における第1電極側の側面の部分に隔壁部の内部に向かう凹部を設ける、
上記[B1]に記載の表示装置の製造方法。
【0149】
[C1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る発光部が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は発光部ごとに設けられており、
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されており、
第1電極上と隔壁部上を含む全面に、有機層と第2電極とが積層されており、
隔壁部は金属層から成る光反射面を有しており、
隔壁部における第1電極側の側面の部分には、隔壁部の内部に向かう凹部が設けられている、
表示装置を備えた電子機器。
[C2]
隔壁部は、絶縁材料から成り凹部が設けられている基材と、凹部を除く基材の表面に形成された金属層とから成る、
上記[C1]に記載の電子機器。
[C3]
隔壁部の基材は、第1の絶縁材料層から構成された下層部と、下層部に対して庇状に突出する形状の、第2の絶縁材料層から構成された上層部とから成る、
上記[C2]に記載の電子機器。
[C4]
第1電極は隔壁部の金属層と同層の金属層によって形成されている、
上記[C2]または[C3]に記載の電子機器。
[C5]
金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る、
上記[C2]ないし[C4]のいずれかに記載の電子機器。
[C6]
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の表面に形成された金属層と、金属層の表面に形成された画素間絶縁膜とから成り、
凹部は、隔壁部における第1電極側の側面の部分の画素間絶縁膜が除去されることによって設けられている、
上記[C2]に記載の電子機器。
[C7]
隔壁部は、絶縁材料から成る基材と、基材の上部に形成され、基材に対して庇状に突出する形状の金属層とから成る、
上記[C1]に記載の電子機器。
[C8]
金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金および銀のいずれかから成る、
上記[C7]に記載の電子機器。
[C9]
隔壁部の金属層の表面には透明導電材料層が形成されている、
上記[C7]または[C8]に記載の電子機器。
[C10]
第1電極上は隔壁部の透明導電材料層と同層の透明導電材料層によって覆われている、
上記[C9]に記載の電子機器。
[C11]
透明導電材料層は酸化インジウムスズまたは酸化インジウム亜鉛から成る、
上記[C9]または[C10]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0150】
1,1A,2,3,3A,4,5・・・表示装置、10・・・基板、20・・・第1電極、20A・・・金属材料層、30・・・隔壁部、31・・・基材、31A・・・絶縁材料層、32・・・金属層、32A・・・金属材料層、39・・・絶縁材料層、50・・・有機層、60・・・第2電極、70・・・保護層、80・・・充填層、90・・・カラーフィルタ、130・・・隔壁部、131・・・基材、131A・・・絶縁材料層、132・・・金属層、132A・・・金属材料層、230・・・隔壁部、233・・・画素間絶縁膜、233A・・・絶縁材料膜、320・・・第1電極、330・・・隔壁部、331・・・基材、331B・・・基材の下層部、331T・・・基材の上層部、332・・・金属層、420・・・第1電極、421・・・下層電極、520・・・第1電極、530・・・隔壁部、531・・・基材、基材の下層部、第1の絶縁材料層、532・・・金属層、533・・・透明導電材料層、711・・・カメラ本体部、712・・・撮影レンズユニット、713・・・グリップ部、714・・・モニタ、715・・・ビューファインダ、811・・・眼鏡形の表示部、812・・・耳掛け部、900・・・眼鏡(アイウェア)、911・・・シースルーヘッドマウントディスプレイ、912・・・本体部、913・・・アーム、914・・・鏡筒、RS・・・光反射面、GP・・・凹部、R・・・赤色表示画素、G・・・緑色表示画素、B・・・青色表示画素