(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】薬物送達製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20250407BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20250407BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20250407BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250407BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250407BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P25/18
A61K47/34
A61K47/14
A61K9/08
A61K47/20
(21)【出願番号】P 2022516406
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2020058474
(87)【国際公開番号】W WO2021048817
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-08
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522099205
【氏名又は名称】メドインセルル エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー レッシュ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ロベルジュ
(72)【発明者】
【氏名】エラン ハラリー
【審査官】宮地 慧
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-502613(JP,A)
【文献】国際公開第03/064634(WO,A1)
【文献】特表2012-504146(JP,A)
【文献】特表2020-527590(JP,A)
【文献】特表2016-512523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神医学的疾患又は障害を治療するための医薬製剤であって、
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w, -ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;及び
c)式:メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー;を含み、
(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該医薬製剤中、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19であり、
該医薬製剤は対象に1mL以下が投与され、かつ
該医薬製剤は、21日毎に1回以下の頻度で該対象に皮下投与される、前記医薬製剤。
【請求項2】
前記リスペリドンがリスペリドン塩基である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記リスペリドン又は前記その医薬として許容し得る塩の濃度がリスペリドン換算で300mg/mL~400mg/mLである、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記トリブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約3%~20%(w/w%)の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記トリブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約5%~15%(w/w%)の量で存在する、請求項4記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記ジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約8%~25%(w/w%)の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記ジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約10%~20%(w/w%)の量で存在する、請求項6記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記トリブロック及びジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約20%~約50%(w/w%)の総量で存在する、請求項1~7のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記トリブロック及びジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約20%~30%(w/w%)の総量で存在する、請求項8記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤がDMSOである水溶性有機溶媒をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記製剤が、トリアセチン、トリプロピオニン、又はこれらの混合物をさらに含む、請求項10記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記有機溶媒が前記製剤の総重量の約35%~約55%(w/w%)の量で存在する、請求項10又は11記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を21日~90日間治療するのに有効である、請求項1~12のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を28日~90日間治療するのに有効である、請求項1~12のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を28日~56日間治療するのに有効である、請求項1~12のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記製剤中のリスペリドンの約15w%未満が投与後24時間で累積的に放出される、請求項1~15のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤中のリスペリドンの約7w%~約15w%が投与後24時間で累積的に放出される、請求項16記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤中のリスペリドンの約50w%~約80w%が投与後30日で累積的に放出される、請求項13~17のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記製剤中のリスペリドンの約70w%~約98w%が投与後60日で累積的に放出される、請求項13~18のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記累積放出がインビトロ放出(IVR)法によって決定される、請求項13~19のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記精神医学的疾患又は障害が統合失調症又は双極性障害である、請求項1~20のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記医薬製剤がローディング用量の又は補助的な経口リスペリドンの非存在下で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項23】
少なくとも6カ月間にわたり投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項24】
少なくとも15カ月間にわたり投与される、請求項23記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤が単一の予充填シリンジ(PFS)中に提示される、請求項1~24のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記予充填シリンジ中の容量が0.1mL~0.8mLである、請求項25記載の医薬製剤。
【請求項27】
腹部への皮下投与のための、請求項1~26のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項28】
上腕への皮下投与のための、請求項1~27のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項29】
前記製剤が前記対象への投与後に切除可能である、請求項1~28のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項30】
精神医学的疾患又は障害を治療するための医薬製剤であって、
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w, -ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;及び
c)式:メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー;
を含み、かつ
ここで、(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該製剤中1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である、前記医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、2019年9月13日に出願された米国仮出願第62/900,061号の恩典を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、リスペリドンに応答性の精神医学的疾患及び障害をトリブロックコポリマー及びジブロックコポリマーを含む高濃度低容量リスペリドン医薬組成物で治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(本発明の背景)
リスペリドンは、非定型抗精神病薬のセロトニン作動性(5-HT2A受容体)並びにドーパミン作動性(D2、D3、及びD4受容体)アンタゴニストである。この物質は、アルファ-1-アドレナリン作動性受容体、ヒスタミン作動性H1受容体、及び比較的程度は低いが、アルファ-2-アドレナリン作動性受容体にも結合する。これは、コリン作動性受容体に対する親和性を有さない。リスペリドンは、成人及び13~17歳の青年における統合失調症の治療として、1994年以来、FDAによって承認されており、Risperdal(登録商標)という名前で上市されている。現在、経口及び注射用バージョンで利用可能であるが、リスペリドンは、認知症、不安症、いくつかの双極性障害、鬱病、及び躁病又は精神病エピソードの治療を含む、いくつかの他の適応に承認されている。
【0004】
リスペリドンは、その安全性プロファイル及び中長期的な治療勧告のため、統合失調症の第一選択治療において使用される。長期作用型注射剤(LAI)製品は、FDAによって承認されている。Risperdal Consta(登録商標)は、隔週の筋肉内(IM)投与のための注射用リスペリドン製品である。Risperdal Constaは、2mLの希釈剤を有するシリンジとともに、12.5mg、25mg、37.5mg、及び50mgリスペリドン/バイアルの用量で提供される。この製品は、治療開始時の複数回の再構成工程及び経口補給を必要とする。筋肉内注射は、特に、標的集団にとって、通常、痛みを伴い、かつ不安を誘発するものである。毎月の皮下投与のための注射用リスペリドン製品であるPerseris(登録商標)は、投与前の相当な混合及び再懸濁を必要とする2つのシリンジで提供される。Perseris(登録商標)は、90mg(0.6mL)及び120mg(0.8mL)の2つの用量強度で提供される。
【0005】
ジブロック及びトリブロックコポリマーなどのポリマーを含む薬物送達系は、種々の薬物を送達するために使用されており、通常、疎水性薬物であるか又は親水性薬物であるかを問わず、特定の薬物を送達するために製剤化される。薬物溶解度に応じて、これらの薬物製剤は、ポリマー濃度、利用されるポリマーのタイプ、製剤中で使用されるポリマー及び溶媒の分子量が異なる。
【0006】
薬物が送達される環境のタイプは、薬物送達系を製剤化する際の重要な検討事項である。したがって、温度感受性ポリマー、相感受性ポリマー、pH感受性ポリマー、及び光感受性ポリマーを用いて調製される薬物送達組成物が存在する。例えば、K. Al-Tahami及びJ. Singhの文献、「スマートポリマーに基づくペプチド及びタンパク質の送達系(Smart Polymer Based Delivery Systems for Peptide and Proteins)」、Recent Patents on Drug Delivery & Formulation, 1:ページ: 65-71、Bentham Science Publishers, LTD. 2007を参照されたい。
【0007】
米国特許第9,023,897号及び米国特許公開第US2019/160171号には、種々の活性の送達に有用である生分解性トリブロック及びジブロックポリマーで作られた医薬製剤が記載されている。
【0008】
患者コンプライアンスを支援し、患者の投与不安を軽減し、かつ医療専門家が調製及び投与しやすい長期作用型リスペリドン製剤が必要とされている。リスペリドンを用いて精神医学的疾患又は障害を治療する際の課題としては、例えば、注射可能な粘度を有する、低注射容量の高用量の活性剤を有する長期作用型製剤を皮下注射することができることが挙げられる。別の課題は、低い初期バーストの活性剤を有する長期作用型皮下注射製剤の開発である。長期作用型製剤が(有害事象又はその他の理由により)除去されなければならない場合、この長期作用型製剤は、患者から摘出可能でなければならない。本明細書に開示される方法は、これらの必要性及びその他を満たす。
【発明の概要】
【0009】
(発明の概要)
本明細書に提供されるのは、対象の精神医学的疾患又は障害を治療する方法であって、該対象に、21日毎に1回以下の頻度で、
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:
ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w, -ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)
を有する生分解性トリブロックコポリマー;
c)式:
メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)
を有する生分解性ジブロックコポリマー;
:を含み、かつ
ここで、(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該製剤中、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である、1mL以下の医薬製剤
:を皮下投与することを含む、方法である。
【0010】
特に、本発明の注射製剤の活性成分は、250mg/mL以上、例えば、約250mg/mL~400mg/mL、もしくは約300mg/mL~約400mg/mLの濃度で存在するリスペリドン、又は250mg/mL~400mg/mLのリスペリドンと同等の量のその医薬として許容し得る塩である。
【0011】
本発明の注射製剤に関して、活性成分は、21~90日(約3週間~約3カ月)又は30~90日(約1カ月~約3カ月)の放出持続期間を有する。いくつかの態様において、放出持続期間は、約28~31日(約4週間~約1カ月)である。いくつかの態様において、放出持続期間は、約56~63日(約8週間~約2カ月~約9週間)である。いくつかの態様において、放出持続期間は、約84~94日(約12週間~約13週間又は約12週間~約3カ月)である。
【0012】
その他の態様及び実施態様は、以下に記載されているか、又は以下の好ましい実施態様の記載から容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、製剤F84及びF85についての時間の関数としての%累積放出を示している。
【
図2】
図2は、製剤F88及びF89についての時間の関数としての%累積放出を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、トリブロック及びジブロックコポリマーが一定期間後にインビボで腐食又は分解して、より小さい非毒性成分を形成することを意味する。
【0015】
「非経口投与」という用語は、筋肉内、腹腔内、腹部内、皮下、静脈内、及び動脈内を包含する。これは、皮内、空洞内、硝子体内、大脳内、髄腔内、硬膜外、及び骨内投与も包含する。いくつかの実施態様において、投与は、皮下である。
【0016】
「約」という用語は、2つの終点の絶対値によって定義された範囲を開示するもとのみなされるべきである。例えば、「約300~約400」という表現は、300及び400の値も開示している。単一の数を修飾するために使用される場合、「約」という用語は、表示された値のプラス又はマイナス10%を指すことができ、かつ表示された数字を含む。例えば、「約15%」は、13.5%~16.5%の範囲を示すことができ、「約1」は、0.9~1.1を意味する。
【0017】
「対象」という用語は、動物界(Kingdom Animalia)の全てのメンバーを包含する。
【0018】
本発明による活性成分は、リスペリドン及びその医薬として許容し得る塩である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「精神医学的疾患又は障害」は、病因を問わず、精神病を指す。リスペリドンに応答性であることが知られている特定の精神医学的疾患及び障害としては、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、及び自閉症スペクトラムに関する小児期の興奮性が挙げられる。
【0020】
「インプラント」という用語は、薬物送達組成物が注射可能であり、その場形成され、生分解性であり、かつその場で固体(又は半固体)インプラントになることを意味する。したがって、本明細書に開示される製剤は、過度の力を伴わずに、シリンジを介して容易に注射することができる流動性液体である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「反復単位」は、ポリマーの基本的な繰り返し単位である。例えば、乳酸(LA)は、ポリ(乳酸)中の反復単位であり、エチレンオキシド(EO)は、ポリ(エチレングリコール)中の反復単位である。
【0022】
「エンドキャップポリエチレングリコール」(cPEG)は、1つの末端ヒドロキシル基が反応させられるPEGを指し、アルコキシキャップPEG、ウレタンキャップPEG、エステルキャップPEG、及び同様の化合物を含む。キャッピング基は、ラクチド、グリコリド、カプロラクトンなどのような環状エステル又は他のエステル並びにこれらの混合物と反応しやすい化学的機能を含有しない化学基である。エンドキャップPEGポリマーとラクチドとの反応により、ジブロックcPEG-PLAコポリマーが生成する。例えば、mPEG-PLAは、メトキシキャップPEG-ポリラクチドジブロックコポリマーを指す。
【0023】
「PEG」という略語は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、又はポリ(オキシエチレン)を指し、これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0024】
「PLA」という略語は、ポリラクチド、ポリ乳酸、又はポリ(乳酸)を指し、これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0025】
「T」又は「TB」という略語は、トリブロックコポリマーを指し、一方、「D」又はDB」という略語は、ジブロックコポリマーを指す。
【0026】
本明細書で使用される「ジブロック」という用語は、例えば、エンドキャップPEG-ポリエステルコポリマーを指す。「mPEG」は、メトキシポリエチレングリコールを指す。ジブロックコポリマー中のPEGは、メトキシ基以外の既知のキャッピング実体でキャップされていてもよい。エンドキャップポリエチレングリコールの例としては、アルコキシキャップPEG、例えば、メトキシPEG又はエトキシPEG、ウレタンキャップPEG、エステルキャップPEG、アミンキャップPEG、及びアミドキャップPEGが挙げられる。このエンドキャップPEGのリストは網羅的なものではなく、当業者であれば、リスト化されていないさらなるエンドキャップPEGを認識しているであろう。
【0027】
「トリブロック」という用語は、例えば、ポリエステル-PEG-ポリエステルコポリマー、好ましくは、ポリ(乳酸)-PEG-ポリ(乳酸)コポリマーを指す。
【0028】
本発明の方法において使用される生分解性薬物送達組成物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる米国特許第9,023,897号に記載されている。
【0029】
本発明の生分解性トリブロック/ジブロックコポリマーの構造は、次のように表すこともできる:
Av-Bw-Ax(これは、トリブロックコポリマーポリ(乳酸)v-ポリ(エチレンオキシド)w-ポリ(乳酸)xを指し、本明細書において、PaRb(ここで、「a」は、kDa単位のPEGのサイズであり、「b」は、モル比LA/EO(v+x/w)である)としても特定される)
Cy-Az(これは、ジブロックmPEG-PLAコポリマー:メトキシ-ポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)zを指し、本明細書において、dPaRb(ここで、「a」は、kDa単位のPEGのサイズであり、「b」は、モル比LA/EO(z/y)である)としても特定される)。メトキシ基、又は他のキャッピング基は、PEGの2つのヒドロキシル基のうちの1つをキャッピングする。ポリ(乳酸)鎖は、遊離のヒドロキシル基からのみ伸張する。
【0030】
ジブロック組成物中のy及びzの反復単位の数(重合度(DP))は、様々に異なり得る。したがって、yは、例えば、7~43又は3~45の範囲であることができ、かつzは、32~123又は7~327の範囲であることができる。例えば、yは25であることができ、かつzは123であることができるか、yは34.5であることができ、かつzは123であることができるか、又はyは45であることができ、かつzは32であることができる。PEGの重合度(DP-PEG)は、キャップPEGのPEG分子量をEO単位分子量(44Da)で除することにより計算される。PLAの重合度(DP-PLA)は、DP-PEGにLA/EO比を乗じることにより計算される。
【0031】
LA/EO比は、生分解性薬物送達組成物中に存在するブロックコポリマーの各々に存在する乳酸単位とエチレンオキシド単位のモル比を指す。これは、NMRにより実験的に決定される。トリブロックコポリマーのLA/EOモル比は、0.5~3.5の範囲であることができる。別の態様において、トリブロックにおけるLA/EOモル比は、本明細書に記載される医薬製剤において、0.5~2.5の範囲であることができる。また別の態様において、トリブロックにおけるLA/EO比は、0.5~22.3の範囲であることができる。
【0032】
ジブロックにおけるLA/EO比は、2~6の範囲であることができる。別の態様において、ジブロックにおけるLA/EO比は、本明細書に記載される医薬製剤において、3~5の範囲であることができる。別の態様において、ジブロックにおけるLA/EO比は、0.8~13の範囲であることができる。
【0033】
重合度又はDPは、重合反応中の時間tにおける平均的なポリマー鎖中の反復単位の数である。例えば、PEGの重合度は、約45~170であるか、又はそれは、4~273もしくは3~45であることができ、一方、PLAについては、それは、約84~327であることができるか、又はそれは、24~682もしくは7~327であることができる。
【0034】
本発明の方法は、トリブロックコポリマー及びジブロックコポリマーを含む生分解性薬物組成物を使用する。生分解性トリブロックコポリマーは、式:Av-Bw-Ax(式中、Aはポリ(乳酸)であり、Bはポリ(エチレングリコール)であり、v及びxは、ポリ(乳酸)の反復単位の数であり、24~682の範囲であり;かつwは、ポリ(エチレングリコール)の重合度(反復単位の数)であり、4~273の範囲であり、かつv=x又はv≠xである)を有する。DP-PEGの重合度は、PEG分子量をEO単位分子量(44Da)で除することにより計算される。v+xは、PLAの重合度(反復単位の数)に等しい。DP-PLAは、DP-PEGにLA/EO比を乗じることにより計算される。
【0035】
トリブロックコポリマー中のPEGのサイズは、194Da~12,000Daであることができる。
【0036】
トリブロックコポリマーは、式:Cy-Az(式中、Aはポリエステル(すなわち、PLA)であり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、7~371もしくは3~327の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマーと組み合わせることができる。この組合せは、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19の範囲のトリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比を有する。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:5である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:4.5である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:4である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:3.5である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:3である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:2.5である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:2である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:1.5である。いくつかの態様において、トリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比は、3:2~1:1である。
【0037】
いくつかの実施態様において、精神医学的疾患又は障害は、統合失調症、統合失調感情障害、又は双極性障害である。他の実施態様において、精神医学的疾患又は障害は、統合失調症又は双極性障害である。他の実施態様において、精神医学的疾患又は障害は、統合失調症である。他の実施態様において、精神医学的疾患又は障害は、統合失調感情障害である。また他の実施態様において、精神医学的疾患又は障害は、双極性障害である。いくつかの態様において、精神医学的疾患は、認知症である。いくつかの態様において、精神医学的疾患は、双極性障害である。いくつかの態様において、精神医学的疾患は、鬱病である。いくつかの態様において、精神医学的疾患は、躁障害である。いくつかの態様において、精神医学的疾患は、精神病エピソードである。本明細書で使用される治療方法は、精神医学的疾患又は障害の症状を緩和することを指す。いくつかの実施態様において、治療方法は、医薬製剤を受けていない対象と比較した再発までの時間の遅延を含む。いくつかの実施態様において、治療方法は、カプラン・マイヤー法を用いて推定される切迫再発率の低下を含む。いくつかの実施態様において、治療方法は、観測される切迫再発率の低下を含む。いくつかの実施態様において、治療方法は、以下の基準の全てを少なくとも連続4週間満たすことを含む、安定の維持を含む:外来状況; PANSS合計スコア≦80;以下の項目:概念の統合障害、猜疑心、幻覚による行動、及び不自然な思考内容の各々に関して≦4のスコアにより測定される、PANSSでの特定の精神病症状の最小限の存在;重症度に関する臨床上の全般的な印象(CGI-S)スコア≦4(中等度の疾患);並びに臨床上の全般的な印象-自殺傾向の重症度(CGI-SS)スコア パート1で≦2(軽度の自殺願望)及びパート2で≦5(最小限の悪化)。パーセンテージは、終点において安定を維持した患者の数を所与の治療群における患者の数で除したものとして計算される。いくつかの実施態様において、治療方法は、寛解の達成を含む。寛解基準は全て、PANSS項目から得ることができる。
【0038】
いくつかの態様において、本発明は、対象の精神医学的疾患又は障害を治療する皮下投与法を対象とする。特に好ましい実施態様において、対象は、ヒトである。いくつかの実施態様において、対象は、18歳を上回る年齢の成人である。いくつかの実施態様において、対象は、13歳~18歳のヒト青年である。
【0039】
本発明の方法は、対象へのリスペリドンの高濃度低容量製剤の皮下投与を含む。いくつかの実施態様において、皮下投与は、対象の腹部へのものである。他の実施態様において、皮下投与は、対象の上腕へのものである。
【0040】
本発明のリスペリドン製剤の皮下投与は、固体又は半固体インプラントのその場形成をもたらすことができる。これらの実施態様において、固体又は半固体製剤は、対象への投与後に切除可能である(すなわち、対象から除去することができる)。当技術分野の医療従事者は、切除すべき好ましい方法及び時間を決定することができる。
【0041】
本発明の方法のいくつかの態様において、投与は、21日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも21日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。いくつかの実施態様において、投与は、28日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも28日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。いくつかの実施態様において、投与は、30日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも30日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。他の実施態様において、投与は、45日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも45日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。他の実施態様において、投与は、56日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも56日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。他の実施態様において、投与は、60日毎に1回以下の頻度のものである。これらの態様において、投与は、少なくとも60日間の精神医学的疾患又は障害の治療をもたらす。
【0042】
本発明の方法によれば、対象に、本明細書に記載されている通りに、1mL以下の医薬製剤が投与される。いくつかの実施態様において、対象に、1mLの医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.9mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.8mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.7mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.6mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.5mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.4mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.3mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.2mL以下の医薬製剤が投与される。他の実施態様において、対象に、0.1mL以下の医薬製剤が投与される。いくつかの実施態様において、対象に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1mLの医薬製剤が投与される。いくつかの実施態様において、対象に、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、又は1mLの医薬製剤が投与される。いくつかの実施態様において、医薬製剤は、リスペリドン換算で250mg/mL~400mg/mLのリスペリドン又はその塩を含む。
【0043】
本発明の方法によれば、投与される医薬製剤は、リスペリドン、又はその医薬として許容し得る塩を含む。いくつかの実施態様において、医薬製剤は、リスペリドンをリスペリドン塩基として含む。他の実施態様において、医薬製剤は、リスペリドンをリスペリドンの医薬として許容し得る塩として含む。また他の実施態様において、医薬製剤は、リスペリドンを、リスペリドン塩基とリスペリドンの医薬として許容し得る塩の混合物として含む。
【0044】
リスペリドンの医薬有効量は、対象の医学的状態の度合い及びリスペリドンを送達するのに必要とされる時間によって様々に異なり得る。本発明の方法は、特に、1mL以下の送達容量の、リスペリドン換算で少なくとも250mg/mLの濃度のリスペリドン(又はその塩)を有する製剤を対象とする。リスペリドン(又はその塩)の量には厳密な上限がないが、製剤は、それが、対象をリスペリドン過剰摂取リスクに曝すことなく、精神医学的疾患又は障害を効果的に治療することができるように、シリンジ針を介する注射に好適な粘度のものであるべきである。
【0045】
本発明の生分解性薬物送達組成物において使用されるリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩の濃度は、リスペリドン換算で少なくとも250mg/mL、好ましくは、リスペリドン換算で少なくとも300mg/mLである。いくつかの実施態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物において使用されるリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩 の濃度は、リスペリドン換算で250~300mg/mLである。他の実施態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物において使用されるリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩の濃度は、リスペリドン換算で300~400mg/mLである。他の実施態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物において使用されるリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩の濃度は、リスペリドン換算で300~350mg/mLである。他の実施態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物において使用されるリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩の濃度は、リスペリドン換算で350~400mg/mLである。
【0046】
製剤中のリスペリドン又は同等量のリスペリドン塩の濃度は、約250mg/mL~400mg/mL、260mg/mL~400mg/mL、270mg/mL~400mg/mL、280mg/mL~400mg/mL、290mg/mL~400mg/mL、300mg/mL~400mg/mL、310mg/mL~440mg/mL、315mg/mL~440mg/mL、320mg/mL~400mg/mL、330mg/mL~400mg/mL、340mg/mL~400mg/mL、350mg/mL~400mg/mL、360mg/mL~400mg/mL、370mg/mL~400mg/mL、380mg/mL~400mg/mL、390mg/mL~400mg/mL、260mg/mL~340mg/mL、270mg/mL~340mg/mL、280mg/mL~340mg/mLの範囲であることができる。様々な実施態様において、製剤中のリスペリドン又は同等量のリスペリドン塩の濃度は、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400(単位はmg/mL)である。
【0047】
いくつかの態様において、製剤中のリスペリドン又は同等量のリスペリドン塩の濃度は、400mg/mL超、例えば、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500(単位はmg/mL)である。
【0048】
ポリエステル鎖の長さは、そのポリエステル対エチレンオキシドモル比によって規定され、これは、トリブロックコポリマーについては、0.5~3.5又は0.5~2.5又は0.5~22.3、ジブロックコポリマーについては、3~5又は2~6又は0.8~13である。したがって、例えば、ポリ乳酸が使用される場合、鎖の長さは、乳酸/エチレンオキシドモル比によって規定される。
【0049】
エンドキャップポリエチレングリコールの質量は、164Da~2,000Da又は100Da~2kDaの範囲であることができる。これは、より低い100~300Daの範囲に及ぶか、又は1kDa~2kDaの範囲に及ぶことができる。
【0050】
ポリエチレングリコール鎖のサイズは、生分解性薬物送達組成物中、200Da~12kDaの範囲であるか、又はこれは、400Da~12kDaもしくは194Da~12kDAの範囲であることができる。
【0051】
トリブロックコポリマーは、組成物の総重量の3.0%~45%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、トリブロックコポリマーは、組成物の総重量の6%~10%(w/w%)の量で存在する。また別の態様において、トリブロックコポリマーは、組成物の総重量の20%~40%(w/w%)の量で存在する。いくつかの実施態様において、トリブロックコポリマーは、製剤の総重量の3%~20%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、トリブロックコポリマーは、製剤の総重量の5%~17%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、トリブロックコポリマーは、製剤の総重量の7%~12%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、トリブロックコポリマーは、製剤の総重量の5%~15%(w/w%)の量で存在する。また別の態様において、トリブロックコポリマーは、製剤の総重量の約3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%(w/w%)の量で存在する。
【0052】
ジブロックコポリマーは、生分解性薬物組成物中、組成物の総重量の8%~50%(w/w%)の量で存在することができる。別の態様において、ジブロックコポリマーは、組成物の総重量の10%~20%(w/w%)の量で存在する。また別の態様において、ジブロックコポリマーは、組成物の総重量の20%~40%(w/w%)の量で存在する。いくつかの態様において、ジブロックコポリマーは、生分解性薬物製剤中、製剤の総重量の6%~30%(w/w%)の量で存在することができる。別の態様において、ジブロックコポリマーは、製剤の総重量の8%~30%(w/w%)の量で存在する。本発明の方法のいくつかの態様において、ジブロックコポリマーは、製剤の総重量の約8%~25%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、ジブロックコポリマーは、製剤の総重量の10%~25%(w/w%)の量で存在する。本発明の方法のいくつかの態様において、ジブロックコポリマーは、製剤の総重量の約10%~20%(w/w%)の量で存在する。また別の態様において、ジブロックコポリマーは、製剤の総重量の6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%(w/w%)の量で存在する。
【0053】
ポリマーは、医薬製剤中、組成物の総重量の20%~50%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、生分解性薬物組成物中に存在するポリマーの総重量は、組成物の総重量の30%~50%(w/w%)である。また別の態様において、ポリマーは、生分解性薬物組成物中、組成物の総重量の40%~50%(w/w%)で存在する。
【0054】
好ましい態様において、トリブロック及びジブロックコポリマーの総量は、製剤の総重量の20%~45%(w/w%)の量で存在する。他の好ましい実施態様において、本明細書で使用される医薬製剤中に存在するトリブロック及びジブロックコポリマーの総量は、20%~30%(w/w%)である。本発明の方法のいくつかの実施態様において、トリブロック及びジブロックコポリマーは、製剤の総重量の約25%~約45%(w/w%)の総量で存在する。また別の態様において、ポリマーは、生分解性薬物製剤中、製剤の総重量の約20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、又は45%(w/w%)で存在する。
【0055】
生分解性トリブロックコポリマー(b)と生分解性ジブロックコポリマー(c)の比は、本発明の医薬製剤において、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である。
【0056】
一実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性ジブロックコポリマーの比は、3:2、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、及び1:8又は1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、及び1:19から選択される。
【0057】
いくつかの実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性ジブロックコポリマーの比は、3:2である。他の実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性ジブロックコポリマーの比は、1:4である。また他の実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性CAジブロックコポリマーの比は、2:3である。
【0058】
本開示の方法において使用される医薬製剤は、医薬として許容し得る担体、アジュバント、又はビヒクルをさらに含むことができる。許容し得る担体は、生理食塩水、緩衝生理食塩水などであることができる。アジュバントは、薬物を混合するときに同時に製剤化することができる。これに関して、使用することができるアジュバントは、ミョウバン、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、MPL(商標)、CpGモチーフ、修飾毒素、サポニン、内因性刺激アジュバント、例えば、サイトカイン、フロイントの完全及び不完全アジュバント、ISCOM型アジュバント、ムラミルペプチドなどである。
【0059】
本発明の方法において使用される医薬製剤には、有機溶媒も含まれる。好ましい実施態様において、有機溶媒は、水溶性有機溶媒である。本明細書に記載される方法において使用することができる有機溶媒は、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(Diglyme)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGMEE)、ジメチルイソソルビド(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、安息香酸エチル、乳酸エチル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロールホルマール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ピロリドン-2、テトラグリコール、トリアセチン、トリブチリン、トリプロピオニン(tripro)、又はトリエチレングリコールジメチルエーテル(triglyme)、及びこれらの混合物:の群から選択される。好ましい有機溶媒は、水溶性有機溶媒DMSOである。
【0060】
有機溶媒は、全組成物の40%~74%(w/w%)の量で存在する。別の態様において、生分解性薬物送達組成物の調製において使用される有機溶媒は、全組成物の50%~60%(w/w%)の量で存在する。また別の態様において、生分解性薬物送達組成物の調製において使用される溶媒は、全組成物の60%~70%(w/w%)の量で存在する。有機溶媒は、全製剤の15%~45%又は40%~74%(w/w%)の量で存在することができる。別の態様において、医薬製剤の調製において使用される有機溶媒は、全製剤の40%~50%(w/w%)の量で存在する。
【0061】
いくつかの実施態様において、有機溶媒はDMSOである。トリアセチン又はトリプロピオニンなどのトリグリセリドをDMSOとともに含めることもできる。本発明の方法の医薬製剤において使用することができるDMSOの量は、35%~55%(w/w%)、好ましくは、35%~45%(w/w%)であることができる。一態様において、DMSOは、10%~15%(w/w%)の量のトリグリセリド、例えば、トリアセチン、トリプロピオニン、又はこれらの混合物を含み得る。
【0062】
本明細書において医薬製剤としても言及される、本発明の生分解性薬物送達組成物において、リスペリドンの量は、長期間にわたって徐々に放出される。この緩徐な放出は、連続的又は不連続的、線形又は非線形であることができ、かつトリブロックコポリマー及びジブロックコポリマーの組成によって様々に異なることができる。したがって、ポリエチレングリコール含有量と比較したトリブロック及びジブロックコポリマーの乳酸含有量、並びに生分解性薬物組成物中に存在するトリブロック及びジブロックコポリマーの量が大きければ大きいほど、活性成分又は薬物の放出はより長くなる。すなわち、LA/EOモル比が大きければ大きいほど、かつトリブロック及びジブロックコポリマーの重量パーセンテージが大きければ大きいほど、活性成分が薬物組成物から放出されるのにかかる時間がより長くなる。容量も放出に影響を及ぼす可能性があり、活性成分は、より小さい容量からよりもより大きい容量から、より長期間にわたって放出される[下の実施例2のデータを参照]。
【0063】
一態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを少なくとも21日間送達することができる。一態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを21日~約90日間まで送達することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを約21~30日又は約28~31日間送達することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを少なくとも30日間送達することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを約56~63日間送達することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを少なくとも60日間送達することができる。一態様において、生分解性薬物送達組成物は、リスペリドンを少なくとも90日間送達することができる。
【0064】
本発明の方法において、投与は、リスペリドンの有効量が製剤から放出されて、対象の精神医学的疾患又は障害を長期間治療することをもたらす。いくつかの実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を21日~90日間治療するのに有効である。いくつかの実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を28日~90日間治療するのに有効である。他の実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を28又は30日~56又は60日間治療するのに有効である。いくつかの実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を28日間又は30日間治療するのに有効である。他の実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を45日間治療するのに有効である。他の実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を56日間又は60日間治療するのに有効である。他の実施態様において、投与は、対象の精神医学的疾患又は障害を84日間又は90日間治療するのに有効である。投与は、例えば、28日又は56日の各期間の後、反復されてもよい。
【0065】
本発明の方法の最も好ましい態様において、医薬製剤からのリスペリドンの放出は、治療的に有効なレベルのリスペリドンが皮下投与から24時間以内に達成されるようなものである。治療的に有効なレベルのリスペリドンが皮下投与から24時間以内に達成されれば、代わりの即時放出リスペリドン製剤(例えば、即時放出経口製剤又は即時放出注射製剤)は、対象における十分なリスペリドンレベルを保証するために必要とされない。すなわち、「ローディング用量」又は補助的な経口用量のリスペリドンは、本発明の方法において必要とされない。したがって、いくつかの実施態様において、本方法は、ローディング用量の又は補助的な経口リスペリドンの非存在下で実施される。
【0066】
本発明の方法を用いると、リスペリドンの治療有効量が目標の期日までに放出されていることになる。したがって、「30日製剤」の量で、リスペリドン(又はその塩)の約50w%、又は約50w%~約80w%、例えば、50、55、60、65、70、75、又は80w%が、好ましくは、線形に近い放出プロファイルで、投与後30日までに累積的に放出されていることになる。本明細書で使用される「累積的に放出される」という用語は、製剤中のリスペリドンの総量のパーセンテージとしての特定の時点までに放出される(重量での)リスペリドンの総量を指す。累積放出は、例えば、当技術分野で公知のかつ本明細書に記載されるインビトロ放出(IVR)法によって測定することができる。したがって、「60日製剤」の量で、リスペリドン(又はその塩)の約75w%、又は約75w%~約98w%、例えば、75、70、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は約98w%が、好ましくは、線形に近い放出プロファイルで、投与後60日までに累積的に放出されていることになる。したがって、本発明は、所望の期間にわたる持続的で均一なリスペリドンの放出を提供する。
【0067】
いくつかの実施態様において、製剤中のリスペリドンの約15w%未満は、投与から24時間後に累積的に放出される。他の実施態様において、製剤中のリスペリドンの約7w%~約15w%、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15w%は、投与から24時間後に累積的に放出される。
【0068】
いくつかの実施態様において、製剤中のリスペリドン(又はその塩)の約50w%~約80w%、例えば、50、55、60、65、70、75、又は80w%は、投与から30日後に累積的に放出される。いくつかの実施態様において、製剤中のリスペリドン(又はその塩)の約50w%~約80w%、例えば、50、55、60、65、70、75、又は80w%は、投与から28日後に累積的に放出される。
【0069】
いくつかの実施態様において、製剤中のリスペリドン(又はその塩)の約70w%~約98w%、例えば、75、70、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は約98w%は、投与から60日後に累積的に放出される。いくつかの実施態様において、製剤中のリスペリドン(又はその塩)の約70w%~約98w%、例えば、75、70、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は約98w%は、投与から56日後に累積的に放出される。
【0070】
本開示の方法において使用される医薬製剤は、室温の注射液であり、過度の力を伴わずに、シリンジを介して注射することができる。組成物はまた、その場形成され、生分解性であり、かつ動物に注射されたときに固体又は半固体インプラントになる。
【0071】
本発明の方法のいくつかの態様において、医薬製剤は、予充填シリンジ(PFS)から投与される。PFSは、適量の医薬製剤を含有し、かつ好ましくは、医療専門家による皮下投与の準備ができているシリンジである。本発明の方法のいくつかの実施態様において、医薬製剤は、単一の予充填シリンジから投与される。他の実施態様において、医薬製剤は、複数の予充填シリンジから、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つ、又はそれより多くの予充填シリンジから投与される。
【0072】
本開示によれば、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、1mL以下である。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、0.1mL~0.9mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、0.1mL~0.8mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、0.1mL~0.5mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.1mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.2mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.3mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.4mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.5mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.6mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.7mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.8mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約0.9mLである。いくつかの実施態様において、予充填シリンジ中の医薬製剤の容量は、約1.0mLである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.14mLの容量中、50mgである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.28mLの容量中、100mgである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.42mLの容量中、150mgである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.56mLの容量中、200mgである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.7mLの容量中、250mgである。いくつかの実施態様において、医薬製剤中のリスペリドンの量は、約0.84mLの容量中、300mgである。
【0073】
多くの精神障害は、症状を抑え、再発を予防するために連続的な治療を必要とする慢性疾病である。したがって、本発明の方法は、長期間にわたって実施されることができる。いくつかの実施態様において、本方法は、少なくとも6カ月間にわたって実施される。他の実施態様において、本方法は、少なくとも12カ月間にわたって実施される。他の実施態様において、本方法は、少なくとも15カ月間にわたって実施される。他の実施態様において、本方法は、少なくとも24カ月間にわたって実施される。
【0074】
さらに提供されるのは、精神医学的疾患又は障害の治療において使用するための、1mL以下の:
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:
ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w,-ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)
:を有する生分解性トリブロックコポリマー;
c)式:
メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)
:を有する生分解性ジブロックコポリマー;
を含み、かつ
ここで、(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該製剤中、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である、医薬製剤である。
【0075】
本発明の方法において使用される医薬製剤を調製する方法は、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、U.S.9,023,897号に開示されている。
【0076】
いくつかのmPEG-OHには、少量のOH-PEG-OHが混入している。本発明の方法に従い、混入したmPEG-OHを使用することにより、最終生成物は、少量のPLA-PEG-PLAが混入したmPEG-PLAとなり、これは、本発明によって包含される。
【0077】
前述の実施態様について、本明細書に開示される各々の実施態様は、他の開示されている実施態様の各々に適用可能であると考えられる。例えば、本方法の実施態様において列挙された要素を本明細書に記載される医薬組成物又は製剤の実施態様において使用することができ、逆もまた同じである。
【0078】
以下の実施例は、例示目的のものであり、非限定的であることが意図される。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更又は修飾することができる種々の特徴を容易に認識するであろう。
【実施例】
【0079】
(実施例)
(実施例1.インビトロ放出(IVR)モデル)
インビトロモデルの設定は、USP II溶解試験技法を基にした。この技法では、薬物製剤のインビトロ放出を、一定の撹拌下、+37℃で維持された水性バッファーを含有するチューブ中で追跡調査する。約100又は170mgの製剤を、23G針が取り付けられた0.5-mLシリンジを用いて、50mLのクレブス・リンガー-トリスバッファー(KRT、pH 7.4)が予充填されたFalcon(登録商標)チューブの内部に注入し、一定の軌道撹拌速度(180rpm)下、+37℃ですぐにインキュベートした。コポリマーが水に溶けないため、デポ剤は、バッファーと接触した後すぐに、自由に形成された。これは、インビボの皮下組織におけるインプラント形成を模倣することが意図されている。
【0080】
各々の製剤のインビトロ放出を2連で実施した。予め決められた時点で、放出バッファーをサンプリングし、新たに交換した。バッファー交換中にデポ剤の断片(存在する場合)を失わないようにすることに特別の注意を払った。IVRが終了したとき、物質収支を評価し、デポ剤中の活性剤の残量が累積放出と相関することを確かめるために、残りのデポ剤中の活性剤の量をHPLCにより決定した。簡単に説明すると、残りのデポ剤を10mLのアセトニトリルに溶解させた。溶液を完全に溶解するまでボルテックスミキサーを用いて混合し、その後、10mLの超純水を添加した。混合物をHPLC分析前にもう一度振盪させた。
【0081】
(ストック溶液、標準、及び品質管理試料の調製)
200μg/mLのリスペリドン溶液を獲得するために、リスペリドンをアセトニトリル/H2O混合物(50/50 v/v)に溶解させることにより、ストック溶液を調製した。この「母溶液」を+2~8℃で保存し、最低5カ月間にわたって安定性を示した。この母溶液から始めて、上記と同じ試料溶媒混合物への希釈により較正標準を調製した。6回の希釈を行って、1、5、10、25、50、100、及び200μg/mLの較正標準を得た。
【0082】
10μg/mLの標準をさらに希釈することにより、0.10、0.25、0.50、及び0.75μg/mLを含有する追加の作業溶液を同様に調製した。これらのさらに希釈した試料を特別に用いて、クロマトグラフィー法の検出限界(LOD)及び定量限界(LOQ)を調べた。
【0083】
一連の3つの精度標準(10、100、及び200μg/mL)も、上記と同じ試料溶媒を用いて、出発母溶液(200μg/mL)の希釈により独立に調製した。これらの標準を用いて、開発された方法の精度のレベルを評価した。
【0084】
(装置及びクロマトグラフィー条件)
280nm(リスペリドンの最大吸収波長に対応)に設定されたWaters 2487二重波長UV検出器を備えたWaters 269S分離モジュールのHPLC装置を使用した。分離カラム(150mm×4.6mm)に、5-μm粒径のKinetex C18を充填した。以下の表1は、この試験で使用された移動相勾配をまとめたものである。1mL/分の流量を使用し、カラム温度を+30℃に設定した。試料の注入容量は10μLとした。
表1
【表1】
【0085】
上記の条件に従って、リスペリドンの保持時間を5.5分とした。標準(1、5、10、25、50、100、及び200μg/mL)の分析の全体を通じて、線形性を評価した。各々の標準ピーク面積に基づいて、較正を設定した。線形回帰分析を用いて、最良適合の曲線を決定し、r2>0.9999が与えられた。精度は、3つの精度標準、すなわち、10、100、及び200μg/mLの平均測定濃度間の相対標準偏差(RSD)を計算することにより決定した。RSDは、全ての精度標準について<0.1%であり、回収は、目標濃度の99.7~101.9%の範囲であった。LODは、0.1μg/mL(平均ベースラインノイズの3倍に相当)であると計算された。LOQは、目標薬物濃度の90%回収を可能にする最低濃度と評価された。LOQは、0.5μg/mLであることが分かった。
【0086】
標準作業手順(SOP、テクスチュロメータ使用(LA-PR-EQ-6-1-EN))に従って、注射可能性を測定した。この方法は、F.Cilurzoらの以前の研究から着想を得た。注射可能性の測定に使用された装置は、Nexygen Plusソフトウェアが接続されたFriction Tester FTPlus(Lloyd Instruments)であった。簡単に説明すると、注射可能性試験は、クロスヘッド速度を1.1mL/分に固定し、23G又は25G針が取り付けられた1-mLのCODANシリンジを使用することにより実施した。シリンジに、試験されることになる少なくとも0.5mLの製剤を予充填した。その後、動的滑り力(DGF)(すなわち、製剤をシリンジから排出するためにプランジャーの動きを持続させるのに必要とされるニュートン(N)単位の平均力)を各々の試験で測定した。F.Cilurzoらは、「このパラメータは、患者への手動シリンジ送達を表すものである」ことを示した(Cilurzo, Fらの文献、注射可能性評価:未解決の問題(Injectability Evaluation: An Open Issue). AAPS PharmSciTech. 2011 2: 604-609)。
【0087】
(実施例2.リスペリドン製剤)
≦1mLの注射容量について、少なくとも250mg/mL、例えば、少なくとも300mg/mL、及び最大約400mg/mLの量のリスペリドンを有するリスペリドンの製剤。
【0088】
(リスペリドン粒子の調製)
リスペリドンの粒子は、超微粒子化、微粒子化、又は粉砕ソーシング(milled sourcing)を用いて調製することができる。
【0089】
(大量注入による用量調整)
125mgデポ剤と250mgデポ剤の間の75%累積放出の変化によって明らかなように、注射容量の2倍増加は、放出速度の非比例増加をもたらした。250mgデポ剤は、125mgデポ剤よりも長期間にわたってそのリスペリドンカーゴを放出した。
【0090】
例示的な製剤は、表2に示されている。示されたパーセンテージは、全製剤組成からの重量パーセンテージである。
表2
【表2】
*PaRbは、TBコポリマーを表し、ここで、aは、PEG鎖のサイズ(単位はkDa)であり、bは、乳酸/エチレンオキシド(LA/EO)モル比である。
【0091】
表2に示されている製剤の累積放出は、表3及び4に提供されている。「平均」は、全放出の%を指す。
表3
【表3】
表4
【表4】
【0092】
(実施例3 切除試験)
皮下(sc)空間から組成物を切除する可能性を試験した。任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、医療専門家は、有害事象の場合に備えて、投与後のインプラント切除を考慮してもよい。
【0093】
組成物を、ラット、イヌ、ミニブタ、及びブタの肩甲骨間及び脇腹部分に皮下注射した。
【0094】
1つの試験では、ミニブタにおける臨床的に関連するイメージング技法の超音波及びMRIによるリスペリドンの長時間作用放出のためのsc注射されたインプラントの位置決め及び切除の実現可能性。ユカタンミニブタという2頭のイノシシ(Sus scrofa)に、それぞれ、140及び420μLの容量に相当する、50及び150mgのリスペリドン製剤を、動物の脇腹にsc注射した。さらに、これらの動物に、動物当たり合計5つのインプラント(2つのリスペリドン、3つのビヒクル)について、70~840μLの容量範囲を有する3つのビヒクル製剤(非API対照製剤)をsc注射した。
【0095】
MRI(Magnetom Sonata Syngo 1.5 T; Siemens)、超音波(15、30、及び50MHzの周波数用のFujiFilm Vevo MD装置)、並びにSiemens Acuson SC2000アパレル(9MHzの周波数用)イメージングモダリティを用いて、注射後4時間、並びに1、3、6、14、20、27、及び35日目のインプラントの位置を特定した。インプラントの切除は、注射後14日目に実施し、PK試料を72時間前及び72時間後まで回収して、完全な除去を確認した。
【0096】
MRIは、本試験の全体にわたってインプラントの深さ及びサイズについての有用な視覚的支援となった。投与から4時間後の超音波イメージングは難易度が高く、70~140μLの容量を有するインプラントは、位置を特定するのが難しかった。1~6日目、デポ剤のエコー輝度は変動していたが、より低い周波数(9及び15MHz)を用いて視認可能であった。14~35日目、9MHzプローブと15MHzプローブの両方を用いた超音波画像は明瞭であり、少ない注射容量の位置決めに役立った。より高い周波数(30及び50MHz)のプローブは、インプラントの位置決めに役立たなかった。リスペリドンインプラントを、注射後14日目に、注射部位の位置でのイメージング及び触診の後、外科的に切除した。インプラントの痕跡をイメージングすることができず、リスペリドンの血漿レベルは、切除後すぐに低下した。切除部位は、手術後数日以内に治癒し、切除後2週間までモニタリングされた動物の回復は良好であった。全体としては、9MHzプローブ及び15MHzプローブを用いる超音波などの、臨床的に関連のあるイメージング技法によってscインプラントを位置決めし、MRIが実現可能であることが証明された。切除は良好かつ完璧であり、必要な場合、体循環からのリスペリドンの除去が可能であった。
【0097】
(実施例4 薬物動態試験)
(パート1)皮下注射用の本明細書に開示されるリスペリドン持続放出懸濁液の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するために、並びに(パート2)リスペリドンの薬物動態に対する注射部位及び投与部位の操作の影響を評価するために、2つのパートからなる臨床試験を実施した。
【0098】
この試験は、53人の健常ボランティアとリスペリドンなしの製剤ビヒクルの注射を受ける6人の他の患者に対して実施した。
【0099】
この試験のパート1は、非盲検非無作為化用量漸増試験(5つのコホート)であり、この試験のパート2は、非盲検非無作為化用量漸増試験(2つのコホート)であった。
【0100】
(実施例5 SAD/MAD試験)
統合失調症又は統合失調感情障害を有する患者における皮下用途の本明細書に開示されるリスペリドン持続放出注射用懸濁液の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するために、連続的な単回用量漸増試験及び複数回用量漸増試験を実施した。
【0101】
試験集団は、99人の統合失調症患者であり、88人の患者が本試験の安全性要素に含まれた。
【0102】
試験設計は、非盲検単回用量漸増(SAD)試験及び複数回用量漸増(MAD)試験(8つのコホート)とした。
【0103】
実施例3及び4の試験を合わせて、いくつかの点が示された:
・本明細書に開示される製剤の安全性プロファイルは、他のリスペリドン製剤と一致していた;
・本明細書に開示される製剤と関連する重篤な有害反応はなかった
・治療方法は、望ましいリスク/ベネフィットプロファイルを示した
・注射領域の変化の間に、薬物動態パラメータの顕著な変化は観察されなかった
・用量及び目標期間の検証: 1カ月(Q1M)及び2カ月(Q2M)製品
【0104】
実施例4及び5の治験の結果は、様々な用量の1カ月及び2カ月放出プロファイルを有する本明細書に開示される製剤が、最初の24時間でピークに達し、治療開始後の経口補完の必要性を回避する臨床的に関連するリスペリドン血漿濃度の速やかな確立をもたらし、その後、それぞれ、1~2カ月かけてゆっくりと減少することを示している。用量は、投与期間の全体にわたる十分な曝露を保証することを目的として、血漿濃度と24時間の投与間隔にわたる経口リスペリドンで観察されたものとの比較可能性に基づいて選択した。
【0105】
注射部位での局所忍容性を含む安全性を実施例4及び5の2つの臨床試験において試験した。合計147人についての2つの治験の結果から、注射部位での良好な局所忍容性とともに、リスペリドンの既知の安全性プロファイルと一致する安全性プロファイルが示された。2つの重篤な有害事象が実施例5の試験のコホート8から報告され、両事象とも、リスペリドン製剤化と関わらない研究者と資金提供者の両者によって評価された。この試験でリスペリドン製剤を受けた患者において、その他の重篤な有害事象はなかった。
【0106】
実施例5の試験の安全性解析は、表5に示されている。
表5
【表5】
Abd=腹部sc注射
【0107】
(実施例6:リスペリドン製剤を用いた第3相臨床試験)
(試験の目的:)
試験の目的は、統合失調症を有する成人及び青年患者における維持治療期の、プラセボと比較した、皮下投与された本明細書に記載されるリスペリドン製剤の様々な用量レジメンの有効性、安全性、及び忍容性を評価することである。
【0108】
(試験設計:)
1:1:1の比のプラセボSC(月1回、Q1M)を含む治療用量の本開示の2つのリスペリドン製剤を比較した二重盲検無作為化再発予防試験。
【0109】
(試験集団:)
統合失調症の確定診断を有し、臨床的に安定しており、かつリスペリドン治療に適格である、13~65歳の男性及び女性患者。
【0110】
(試験薬:)
本明細書に開示される製剤中の250~400mg/mLリスペリドン。治験薬は、一定量のリスペリドン製剤を含むガラスバイアル又は一定量のリスペリドン製剤を含む予充填シリンジ(PFS)中に提示される。治験薬は、28~30日毎に1回(Q1M)又は56~60日毎に1回(Q2M)の皮下投与時のリスペリドン曝露と経口リスペリドン錠剤の比較可能性について試験される。
【0111】
(主要評価項目及び副次評価項目:)
(主要評価項目:)
1.切迫再発までの時間[時間枠:15カ月]
患者が≧1の切迫再発基準を満たす最も早い日として計算される
【0112】
(副次評価項目:)
1.切迫再発までの時間[時間枠:15カ月]
全集団(成人及び青年)における主な目的の下で定義される通り
2.統合失調症を有する青年患者における切迫再発までの時間
3.切迫再発率[時間枠:24週間]
この率は、カプラン・マイヤー法を用いて推定される。
4.観測される切迫再発率[時間枠:15カ月]
終点までに再発した患者の数を各々の治療群の患者の数で除したものとして計算される
5.安定を維持している患者のパーセンテージ[時間枠:15カ月]
安定は、少なくとも連続4週間、以下の基準の全てを満たすものと定義される:
外来状況; PANSS合計スコア≦80;以下の項目:概念の統合障害、猜疑心、幻覚による行動、及び不自然な思考内容の各々に関して≦4のスコアにより測定される、PANSSでの特定の精神病症状の最小限の存在;重症度に関する臨床上の全般的な印象(CGI-S)スコア≦4(中等度の疾患);並びに臨床上の全般的な印象-自殺傾向の重症度(CGI-SS)スコア パート1で≦2(軽度の自殺願望)及びパート2で≦5(最小限の悪化)。パーセンテージは、終点において安定を維持した患者の数を所与の治療群における患者の数で除したものとして計算される。
6.寛解を達成している患者のパーセンテージ[時間枠:15カ月]
陽性症状、陰性症状、及び全体的な症状寛解を調べ、重症度及び持続期間の基準を含めて、Andreasenらの文献(2005)により定義する。寛解基準は全て、PANSS項目から得ることができる。
7.有害事象を有する参加者のパーセンテージ[時間枠:15カ月]
【0113】
本明細書に開示及び特許請求される組成物及び方法は全て、本開示を考慮して、過度な実験をすることなく作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施態様に関して記載されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変化形を適用し得ることが当業者には明白であろう。
【0114】
本明細書に開示される特許、特許出願、及び刊行物は全て、各々の個々の刊行物が引用により具体的かつ個別的に組み込まれることが示される場合と同じ程度に引用により本明細書中に組み込まれる。本発明は、好ましい実施態様及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正及び変形が当業者によって使用され得ること、並びにそのような修正及び変形が添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれると考えられることが理解されるべきである。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
対象の精神医学的疾患又は障害を治療する方法であって、該対象に、21日毎に1回以下の頻度で、
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:
ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w, -ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)
を有する生分解性トリブロックコポリマー;
c)式:
メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)
を有する生分解性ジブロックコポリマー;
:を含み、かつ
ここで、(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該製剤中、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である、1mL以下の医薬製剤
:を皮下投与することを含む、前記方法。
(態様2)
前記リスペリドンがリスペリドン塩基である、態様1記載の方法。
(態様3)
前記リスペリドン又は前記その医薬として許容し得る塩の濃度がリスペリドン換算で300mg/mL~400mg/mLである、態様1又は2記載の方法。
(態様4)
前記トリブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約3%~20%(w/w%)の量で存在する、態様1~3のいずれか一項記載の方法。
(態様5)
前記トリブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約5%~15%(w/w%)の量で存在する、態様4記載の方法。
(態様6)
前記ジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約8%~25%(w/w%)の量で存在する、態様1~5のいずれか一項記載の方法。
(態様7)
前記ジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約10%~20%(w/w%)の量で存在する、態様6記載の方法。
(態様8)
前記トリブロック及びジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約20%~約50%(w/w%)の総量で存在する、態様1~7のいずれか一項記載の方法。
(態様9)
前記トリブロック及びジブロックコポリマーが前記製剤の総重量の約20%~30%(w/w%)の総量で存在する、態様8記載の方法。
(態様10)
前記製剤がDMSOである水溶性有機溶媒をさらに含む、態様1~9のいずれか一項記載の方法。
(態様11)
前記製剤が、トリアセチン、トリプロピオニン、又はこれらの混合物をさらに含む、態様10記載の方法。
(態様12)
前記有機溶媒が前記製剤の総重量の約35%~約55%(w/w%)の量で存在する、態様10又は11記載の方法。
(態様13)
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を21日~90日間治療するのに有効である、態様1~12のいずれか一項記載の方法。
(態様14)
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を28日~90日間治療するのに有効である、態様1~12のいずれか一項記載の方法。
(態様15)
前記投与が対象の精神医学的疾患又は障害を28日~56日間治療するのに有効である、態様1~12のいずれか一項記載の方法。
(態様16)
前記製剤中のリスペリドンの約15w%未満が投与後24時間で累積的に放出される、態様1~15のいずれか一項記載の方法。
(態様17)
前記製剤中のリスペリドンの約7w%~約15w%が投与後24時間で累積的に放出される、態様16記載の方法。
(態様18)
前記製剤中のリスペリドンの約50w%~約80w%が投与後30日で累積的に放出される、態様13~17のいずれか一項記載の方法。
(態様19)
前記製剤中のリスペリドンの約70w%~約98%w%が投与後60日で累積的に放出される、態様13~18のいずれか一項記載の方法。
(態様20)
前記累積放出が本明細書に開示されるインビトロ放出(IVR)法によって決定される、態様13~19のいずれか一項記載の方法。
(態様21)
前記精神医学的疾患又は障害が統合失調症又は双極性障害である、態様1~20のいずれか一項記載の方法。
(態様22)
前記方法がローディング用量の又は補助的な経口リスペリドンの非存在下で実施される、態様1~21のいずれか一項記載の方法。
(態様23)
少なくとも6カ月間にわたる実施のための、態様1~22のいずれか一項記載の方法。
(態様24)
少なくとも15カ月間にわたる実施のための、態様23記載の方法。
(態様25)
前記製剤が単一の予充填シリンジ(PFS)中に提示される、態様1~24のいずれか一項記載の方法。
(態様26)
前記予充填シリンジ中の容量が0.1mL~0.8mLである、態様25記載の方法。
(態様27)
腹部への皮下投与のための、態様1~26のいずれか一項記載の方法。
(態様28)
上腕への皮下投与のための、態様1~27のいずれか一項記載の方法。
(態様29)
前記製剤が前記対象への投与後に切除可能である、態様1~28のいずれか一項記載の方法。
(態様30)
精神医学的疾患又は障害を治療するための医薬製剤であって、1mL以下の:
a)リスペリドン換算で約250~400mg/mLの濃度のリスペリドン又はその医薬として許容し得る塩;
b)式:
ポリ(乳酸)v-ポリ(エチレングリコール)w, -ポリ(乳酸)x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、かつwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、かつv=x又はv≠xである)
を有する生分解性トリブロックコポリマー;
c)式:
メトキシポリ(エチレングリコール)y-ポリ(乳酸)z
(式中、y及びzは反復単位の数であり、ここで、yは、3~45の範囲の反復単位の数であり、かつzは、7~327の範囲の反復単位の数である)
を有する生分解性ジブロックコポリマー;
を含み、かつ
ここで、(b)の生分解性トリブロックコポリマーと(c)の生分解性ジブロックコポリマーの比が、水性環境中で不溶性である該製剤中、1:3~1:8又は1:1~1:19又は3:2~1:19である、前記医薬製剤。