(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用のカートリッジ、カートリッジを含むエアロゾル発生システム、ならびにエアロゾル発生システム用のヒーター組立品およびカートリッジを製造する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20250407BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20250407BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20250407BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20250407BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2022535540
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086817
(87)【国際公開番号】W WO2021123017
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-28
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】サイギリ アリ ムラト
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527064(JP,A)
【文献】特表2019-524121(JP,A)
【文献】特表2019-509110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用のカートリッジであって、
エアロゾル形成基体を収容するハウジングであって、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備える、ハウジングと、
流体透過性ヒーター部分および電気接点部分を備えるヒーター要素であって、前記ヒーター部分および前記電気接点部分が単一のヒーターシートから一体的に形成される、ヒーター要素と、を備え、
前記ヒーター部分が前記ハウジングの中に囲まれ、かつ前記エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられ、また前記電気接点部分が前記ハウジングの外側に延び、
前記カートリッジが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分がその中に保持される外側ハウジングをさらに備え、前記外側ハウジングが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分がその中へと受容されるスリーブを備え、これにより前記外側ハウジングが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分を一緒に圧縮して、それらの間に密封を提供する、カートリッジ。
【請求項2】
前記ヒーター部分が平面状であり、かつ第一の平面内に置かれる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記電気接点部分が前記第一の平面の外で曲げられる、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記上方ハウジング部分および下方ハウジング部分が、前記第一の平面に平行な方向で前記スリーブ内に受容される、請求項2又は3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記ヒーター要素が、第一の電気接点部分から第二の電気接点部分へと流れる電流が前記ヒーター部分を通過するように、前記ヒーター部分の反対側の上に位置付けられた前記第一の電気接点部分および前記第二の電気接点部分を備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記ヒーター部分が、前記ヒーターシートを通る一つ以上の開口またはスロットを備える、請求項1~
5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記ヒーター部分が、前記ハウジング内の前記エアロゾル形成基体と接触する第一の側面と、前記カートリッジを通って延びる気流通路と接触する第二の側面と、を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記ヒーターシートが、前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分との間に締め付けられる、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記外側ハウジングが
前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分を圧縮して、前記ヒーター要素を前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分との間に締め付ける、請求項
8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、シリコンゴムなどの弾性材料から形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のカートリッジと、主要ユニットであって、電源、および前記電源に電気的に接続され、かつ前記カートリッジの前記電気接点部分(複数可)と係合するように構成された電気接点を備える主要ユニットと、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項12】
エアロゾル発生装置のためのカートリッジを製造する方法であって、
流体透過性ヒーター部分および単一のヒーターシートからの少なくとも一つの電気接点部分を有するヒーター要素を一体形成することと、
前記ヒーター要素を上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設することであって、これにより前記ヒーター部分が前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分との間に置かれ、かつ前記電気接点部分が前記下方ハウジング部分および前記上方ハウジング部分の外側に延びることと、
前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分を外側ハウジングのスリーブ内に受容することであって、これにより前記外側ハウジングが前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分を一緒に圧縮して、それらの間に密封を提供することと、を含む、方法。
【請求項13】
平面状のシートを加工して前記ヒーター要素を形成することであって、これにより前記流体透過性ヒーター部分および前記少なくとも一つの電気接点部分が第一の平面内に置かれることと、
前記電気接点部分を前記第一の平面の外で曲げることと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加工する工程が、平面状のシートをスタンピング、機械加工、またはエッチングして、前記ヒーター要素の前記ヒーター部分を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エアロゾル発生装置用のカートリッジであって、
上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備えるハウジングであって、エアロゾル形成基体を収容する、ハウジングと、
流体透過性ヒーター部分および単一のヒーターシートから一体形成された電気接点部分を備えるヒーター要素と、を備え、
前記ヒーター要素が前記上方ハウジング部分と前記下方ハウジング部分との間に保持され、かつ前記ヒーター部分が前記エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられ、また前記電気接点部分が前記ハウジングの外側に延び、
前記カートリッジが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分がその中に保持される外側ハウジングをさらに備え、前記外側ハウジングが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分がその中へと受容されるスリーブを備え、これにより前記外側ハウジングが、前記上方ハウジング部分および前記下方ハウジング部分を一緒に圧縮して、それらの間に密封を提供する、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムに関し、また、特に、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを生成するエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気加熱式の喫煙システムである。電気加熱式の喫煙システムは、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを発生する。電気加熱式の喫煙システムは、様々な形態で提供される。人気がある電気的喫煙システムのタイプの一つは、液体基体を気化してエアロゾルを形成するeシガレットである。最近の設計の一つは、メッシュ発熱体を使用し、気化した基体はメッシュ発熱体を通過する。実施例は、国際公開第2015/117702号に記述されている。
【0003】
典型的には、これらのエアロゾル発生システムは、再使用可能な電源と、液体基体およびヒーターを収容するカートリッジとを備える主要ユニットを備える。カートリッジは典型的に、単回使用の消耗品ユニットであり、これは液体基体が使い果たされた後に廃棄される。
【0004】
しかしながら、消耗品ユニットは多くの場合、複雑かつ製造するのが高価である。一つの広く使用されている設計では、ヒーターは、毛細管材料の周りに巻かれたワイヤのコイルである。これは製造するのが単純ではない。カートリッジはまた、リサイクルするのも困難である。
【0005】
製造および組み立てるのが単純なカートリッジを製造することが望ましいことになる。リサイクルするのが単純なカートリッジを製造することが望ましいことになる。使用時にコンパクトでかつ頑丈なカートリッジを製造することが望ましいことになる。
【0006】
本発明は独立請求項に定義される。有利な特徴は、従属請求項に設定される。
【発明の概要】
【0007】
本開示によると、エアロゾル発生装置用のカートリッジは、エアロゾル形成基体を収容するハウジングと、流体透過性ヒーター部分および電気接点部分を備えるヒーター要素と、を備えてもよい。ヒーター部分および電気接点部分は、単一のヒーターシートから一体的に形成されてもよい。ヒーター部分は、ハウジング内に囲まれ、かつエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられてもよく、また電気接点部分はハウジングの外側に延びてもよい。
【0008】
エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーター部分と、外部電源へと接続することができる接点部分との両方を提供するために単一の要素を使用することは、製造を単純化し、特に組み立てる必要がある別個の構成要素の数を最小化する。ヒーター部分はハウジング内に保持され、そのためハウジングによって保護される。ヒーター部分は、典型的に繊細である。ヒーター部分には、接点部分と比較して比較的高い電気抵抗、したがって、より微細な、すなわちより簡単に損傷される構造が要求される。ヒーター部分は、例えば、薄いフィラメントを備えてもよい。ヒーター部分をハウジング内に保持することは、頑丈なカートリッジを提供する。ユーザーもまた、使用時、ハウジングによってヒーター部分から保護される。電気接点部分は、外部電源からヒーター部分への電気エネルギーの提供を可能にするために、ハウジングの外側に延びる。
【0009】
ヒーター部分は、平面状であってもよく、また第一の平面内に置かれてもよい。平面状のヒーター部分は、製造するのが単純であり、またカートリッジ内に組み立てるのが単純である。本明細書で使用される場合、平面状とは、ユークリッド平面に対して平行に延びることを意味する。平面状のヒーター部分は、表面に沿って二次元で、典型的に三次元よりもより実質的に大きく延びる。特に、その表面内の二次元における平面状の発熱体の寸法は、表面に垂直な三次元での寸法より少なくとも5倍大きい場合がある。
【0010】
エアロゾル形成基体は、室温において凝縮した形態であってもよい。エアロゾル形成基体は、室温において液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、室温において固体であってもよく、または室温においてゲルなどの別の凝縮した形態であってもよい。
【0011】
本明細書および下記で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。
【0012】
本明細書および下記で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、気体中の固体粒子、または液滴、または固体粒子と液滴との組み合わせの分散を指す。エアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよい。エアロゾルは、室温において通常は液体または固体である物質の蒸気だけでなく、固体粒子もしくは液体の液滴、または固体粒子および液体の液滴の組み合わせも含んでもよい。
【0013】
発熱体によるエアロゾル形成基体の加熱は、揮発性化合物を蒸気としてエアロゾル形成基体から放出する場合がある。次いで、蒸気は、ハウジング内で冷却されてエアロゾルを形成する場合がある。
【0014】
発熱体は抵抗加熱によって動作するように構成されてもよい。言い換えれば、発熱体は、電流が発熱体を通過する時に熱を発生するように構成されてもよい。
【0015】
電気接点部分は、第一の平面の外で曲げられてもよい。これは、平面外セクションを形成する。これは、電気接点の頑丈な構成への単純な成形を可能にし、また好都合でかつ信頼性のある電気接点を提供する。電気接点部分は、ハウジングの外側に延びる電気部分の一部が、ハウジングの外部表面と平行になるように曲げられてもよい。電気接点部分は、ハウジングの外側に延びる電気部分の一部が、ハウジングの外部表面と適合するように曲げられてもよい。
【0016】
ヒーター要素は、いくらかの弾力性を有する材料から形成されてもよい。特に、電気接点部分は弾力性であってもよい。これは、電気接点部分が外部電源との接触へと付勢され、それによって信頼性のある電気的接続を確保することを可能にする場合がある。有利なことに、ヒーター要素はまた、可鍛性でもあり、所望の構成へと曲げることも可能にする。
【0017】
動作時、ヒーター部分は、ヒーター部分を通過する電流の結果として加熱されてもよい。ヒーター要素は、第一の電気接点部分と、ヒーター部分の反対側の上に位置付けられた第二の電気接点部分とを備えてもよく、これにより第一の電気接点部分から第二の電気接点部分へと流れる電流はヒーター部分を通過する。
【0018】
ヒーター部分は、ヒーターシートを通る一つ以上の開口またはスロットを備えてもよい。これは、電気接点部分(複数可)と比較して、電気抵抗の増加を提供する場合がある。一つ以上の開口またはスロットは、スパイラル、ジグザグパターン、またはグリッドパターンを備えてもよい。
【0019】
ヒーターシートは、箔であってもよい。本明細書で使用される場合、箔は金属シートを意味する。ヒーターシートは、金属シートを含んでもよい。ヒーターシートは、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、銀、または金を含んでもよい。ヒーターシートは、比較的導電性の包含物を有する電気絶縁性シートを含んでもよい。ヒーターシートは布地を含んでもよい。ヒーターシートはセラミック材料を含んでもよい。ヒーターシートは、炭素繊維を含んでもよい。
【0020】
ヒーター部分は、複数の導電性フィラメントから形成されたメッシュ、アレイ、またはパターンを含んでもよい。導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定してもよく、また隙間は10μm~100μmの幅を有してもよい。フィラメントは、使用時に、気化される液体エアロゾル形成基体が隙間の中へと引き込まれるように隙間内に毛細管作用を生じさせて、ヒーター部分と液体との間の接触面積を増加させることが好ましい。
【0021】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりフィラメントが160~600本(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は150μm~25μmであることが好ましい。隙間の面積のメッシュの総面積に対する比であるメッシュの開口面積の割合は、1%~80%であってもよい。導電性フィラメントは、相互に平行に配設されたフィラメントのアレイから成る。
【0022】
導電性フィラメントは10μm~100μmの、好ましくは10μm~50μmの、そしてより好ましくは20μm~40μmの幅を有してもよい。
【0023】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、またはパターンの面積は、10~100mm2、例えば、10~30mm2、または、例えば、30~100mm2であってもよい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、またはパターンは、例えば、長方形であって、かつ10mm×5mmの寸法を有してもよい。
【0024】
ヒーター部分の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、またはパターンの電気抵抗は、0.3~4オームであることが好ましい。ヒーター部分の電気抵抗は0.3~2オームであることがより好ましく、また0.5~1オーム、もしくは約0.55オームであることがより好ましい。
【0025】
ヒーターシートは、0.01ミリメートル~0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、またより好ましくは0.02ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0026】
動作中、ヒーター部分は摂氏140~240度の温度に到達してもよい。これらの温度は、エアロゾル形成基体の燃焼なく、高密度かつ安定したエアロゾルの生成を可能にする。
【0027】
ヒーターシートは、電気接点部分の少なくとも一部を含むヒーター部分および第一の平面外セクションおよび第二の平面外セクションを含む、概してU字形状の平面状のセクションを備えてもよい。第一の平面外セクションは、U字形状セクションの第一の端に接続されてもよく、また第二の平面外セクションは、U字形状セクションの第二の端に接続されてもよい。第一の平面外セクションおよび第二の平面外セクションは、電気接点パッドを備えてもよい。平面外セクションは、ハウジングの外側に位置付けられてもよい。U字形状セクションは、実質的にハウジング内に置かれてもよい。
【0028】
電気接点部分(複数可)は、金、銀、銅、または亜鉛などの導電性材料で被覆またはメッキされてもよい。これにより、外部電源との改善された接触抵抗を提供する場合がある。これはまた、電気接点部分(複数可)により大きい強度も提供する場合がある。
【0029】
ヒーター部分は、金、銀、銅、または亜鉛などの導電性材料で被覆またはメッキされてもよい。これは、改善された腐食に対する抵抗を提供する場合がある。これはまた、改善された熱伝導率(より速い加熱およびより速い冷却のための)も提供する場合がある。これはまた、ヒーターフィラメントの所与のパターンに対して必要な場合、電気抵抗を低減することもできる。
【0030】
一部の実施形態では、ヒーター部分は、ハウジング内のエアロゾル形成基体と接触する第一の側面と、カートリッジを通って延びる気流通路と接触する第二の側面と、を有する。ヒーター部分は有利なことに蒸気透過性である。この配設を用いて、ヒーター部分の加熱の結果としてエアロゾル形成基体から生成した蒸気は、気流通路の中へとヒーター部分を通過することができる。
【0031】
エアロゾル形成基体は、室温において液体であってもよい。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体をヒーター要素のヒーター部分へと送達するように構成された吸い出し材料を備えてもよい。
【0032】
吸い出し材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。吸い出し材料は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、吸い出し材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細管を含んでもよい。繊維または糸は概して、液体をヒーターに運ぶように整列していてもよい。別の方法として、吸い出し材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。吸い出し材料の構造は複数の小さい穴または管を形成し、それを通して、毛細管作用によって液体を搬送することができる。吸い出し材料は、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。
【0033】
ハウジングは、単一の吸い出し材料のみを含んでもよい。ハウジングは、二つ以上の異なる吸い出し材料を収容してもよく、ヒーター部分と接触している第一の吸い出し材料はより高い熱分解温度を有し、また第一の吸い出し材料とは接触しているが、発熱体とは接触してない第二の吸い出し材料はより低い熱分解温度を有する。第一の吸い出し材料は、第二の吸い出し材料がその熱分解温度を上回る温度に露出されないように、ヒーター部分を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとして効果的に作用する。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解し、かつ気体状の副産物を発生することによって質量を失い始める温度を意味する。第二の吸い出し材料は、有利なことに第一の吸い出し材料より大きい容積を占めてもよく、また第一の吸い出し材料より多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の吸い出し材料は、第一の吸い出し材料よりも優れた吸い出し性能を有してもよい。第二の吸い出し材料は、第一の吸い出し材料より安価であってもよく、またはより高い充填能力を有してもよい。第二の吸い出し材料はポリプロピレンであってもよい。
【0034】
カートリッジは、エアロゾル形成基体で再充填可能であってもよい。貯蔵部再充填ポートは、外部スリーブ内に提供されてもよい。貯蔵部充填ポートは、貯蔵部キャップによって閉鎖されてもよい。貯蔵部は、おおよそ1mLの容量を有してもよい。
【0035】
一部の実施形態では、ハウジングは、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備える。ヒーター要素は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設されてもよい。ヒーター要素は有利なことに、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に締め付けられてもよく、そのためカートリッジの他の構成要素に対して適所に固定されてもよい。ヒーター要素の適所での締め付けは、カートリッジの組み立て中の比較的単純な動作である。上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、ヒーター要素の電気接点部分上の一つ以上の点または区域と接触して、ヒーター要素を適所に保持する場合がある。高い温度へと上昇されることになるヒーター部分は、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分と接触しないように保持されてもよい。
【0036】
カートリッジは、上方ハウジングおよび下方ハウジングがその中に保持される外側ハウジングをさらに備えてもよい。一部の実施形態では、外側ハウジングは、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分がヒーター部分の平面に平行な方向でその中へと受容されるスリーブを備える。これは、単純な組み立てプロセスを可能にする。
【0037】
上方ハウジング部分および下方ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、シリコンゴムなどの弾性材料から形成されてもよい。弾性材料は、外側ハウジングによって圧縮されてもよく、またそれによって、ヒーター要素に締め付け力を加える。弾性材料はまた、外側ハウジングとの液密密封および気密密封を提供してもよい。
【0038】
下方ハウジング部分は、穴を備えてもよく、その穴を横切ってヒーター部分が位置付けられる。これは、ヒーター部分を下方ハウジング部分と接触しないように保持することを可能にする。穴は、液体貯蔵部のすべてまたは一部を形成してもよい。これはまた、エアロゾル形成基体を穴の中に位置付け、ヒーター部分によって加熱することも可能にする。エアロゾル形成基体は、ヒーター部分により伝導によって加熱されてもよい。カートリッジは、下方ハウジング部分の穴に吸い出し材料を含んでもよい。吸い出し材料は、液体エアロゾル形成基体をヒーター部分へと送達するように構成されてもよい。
【0039】
カートリッジは、カートリッジの遠位端から、ヒーター部分を通り過ぎて、カートリッジの近位端へと延びる気流通路を備えてもよい。気流通路の少なくとも一部分は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に画定されてもよい。これは、ハウジング構成要素の単純な製造を可能にする。
【0040】
気流通路は、カートリッジの近位端と遠位端との間で実質的に真っ直ぐであってもよい。これは、複雑な気流経路を有する設計と比較する時、気流通路内の残留物の収集を低減する場合がある。
【0041】
気流通路は、ヒーター部分とカートリッジの近位端との間に少なくとも一つの狭窄部を備えてもよい。少なくとも一つの狭窄部は、エアロゾル形成を補助する場合がある。気流通路内に一つ以上のフィルターが提供されてもよい。気流通路内のフィルターは、大きい液滴がマウスピースを通してカートリッジから出ていくことを防止してもよい。
【0042】
電気接点部分は、カートリッジの遠位端から突出してもよい。これは、カートリッジを外部電源へと簡単に接続することを可能にする。マウスピースは、カートリッジの近位端に提供されてもよい。気流通路は、マウスピース内に出口を有してもよい。マウスピースは、ユーザーが吸煙行為を用いて、空気を遠位端から近位端へと気流通路を通して吸うことを可能にするように構成されてもよい。交換可能なマウスピース要素は、外側ハウジングのマウスピースの外側に定置されてもよい。交換可能なマウスピースは、外側ハウジングより軟らかい材料から作製されてもよい。
【0043】
一部の実施形態では、カートリッジは、直方体形状などの実質的に角柱状の形状を有する。カートリッジは、長さ、幅、および厚さを有してもよい。厚さは、第一の平面と直角な方向に延びてもよく、また長さまたは幅より実質的に小さい。このカートリッジの形状は、エンドユーザーに人気があることが分かっている。長さは、カートリッジの近位端と遠位端との間の線に平行な方向で延びてもよい。長さは、カートリッジの幅より大きくてもよい。厚さは、カートリッジの長さまたは幅の半分以下であってもよい。比較的薄いカートリッジは、カートリッジをユーザーのポケット内に快適に保管することを可能にする。
【0044】
外部スリーブは、金属または頑丈なプラスチック材料から形成されてもよい。上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、耐熱性プラスチック材料から形成されてもよい。有利なことに、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、シリコンゴムなどの弾性材料から形成されてもよい。
【0045】
記述されるようなカートリッジは、非常に少ない構成要素を有し、かつ組み立てが単純である。これはいくつかの利点を有する。第一の利点は、良好な信頼性である。比較的少ない構成要素を有することは、構成要素間の相互作用が比較的少ないこと、および接合部分の問題の誤整列問題の可能性がより少ないことを意味する。また、失敗の原因が比較的少ないことも意味する。
【0046】
第二の利点は、コストの低減である。これは、部品数が少ないコンパクトなカートリッジに対する材料コストの低減と、単純なツーリングおよび少ないプロセス工程に関連付けられた製造コストの低減と、の両方からもたらされる。
【0047】
第三の利点は、環境的な影響の低減に対する潜在的可能性である。記述するようなカートリッジは、比較的少ない原材料しか使用しない。使用される材料は、大部分はリサイクル可能または生分解性とすることができる。また、カートリッジは分解するのが単純で、分離した構成要素のより簡単なリサイクルおよび廃棄を可能にする。
【0048】
第四の利点は、カートリッジをヒーター部分の平面に直交する一つの次元において小さくすることができることである。これは、カートリッジは簡単に保管および搬送することを可能にする。
【0049】
また、上述のようにカートリッジおよび主要ユニットを含むエアロゾル発生システムも開示されており、主要ユニットは、電源および電源に電気的に接続された電気接点を備える。主要ユニットの電気接点は、カートリッジの電気接点部分(複数可)と係合するように構成されてもよい。
【0050】
主要ユニットは、電源から電気接点への電力供給を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。制御回路は、ユーザーがシステムを、特にシステムのマウスピースを吸煙したことを検出するように構成された吸煙センサーを備えてもよい。吸煙センサーは、気流センサーを備えてもよい。制御回路は、ユーザーがヒーターを起動することを可能にするユーザーインターフェースを含んでもよい。ユーザーインターフェースは、ボタンまたはスイッチを備えてもよい。
【0051】
主要ユニットは、長さ、幅、および厚さを有してもよい。厚さは、長さまたは幅の半分以下であってもよい。主要ユニットの幅および厚さは、カートリッジの幅および厚さと一致してもよい。
【0052】
システムは、ユーザーが吸煙する間のみ、電源からヒーター部分へと電力が提供されるように構成されてもよい。別の方法として、システムは、ユーザーが吸煙する間、およびユーザーの吸煙とユーザーの吸煙との間の両方に、ヒーター部分への電力が提供されるように構成されてもよい。一部の実施形態では、ユーザーが吸煙する間は、ユーザーの吸煙とユーザーの吸煙との間より多くの電力がヒーター部分に提供されてもよい。動作中、ヒーター部分は摂氏140~240度の温度に到達してもよい。
【0053】
主要ユニットは、特定の加熱戦略に従ってヒーター要素へと電力を供給するように構成されてもよい。制御回路は、ユーザーがシステムを吸煙したことを検出するように構成された吸煙センサーを含んでもよい。制御回路は、吸煙センサーからの出力に依存して、ヒーター要素への電力の供給を制御するように構成されてもよい。制御回路は、ユーザー吸煙の検出の後に続いてヒーター要素へと電力を供給するように構成されてもよい。制御回路は、各ユーザー吸煙の検出の後に続いて所定の期間の間、ヒーター要素へと電力を供給するように構成されてもよい。
【0054】
主要ユニット、そして特に制御回路は、ユーザー吸煙とユーザー吸煙との間、第一のゼロでない電力をヒーター要素に供給する、またはヒーター部分を第一の温度もしくは第一の温度範囲内に維持するために十分な電力を供給するように構成されてもよい。主要ユニット、そして特に制御回路は、ユーザー吸煙中にヒーター要素に第二の電力を供給するように構成されてもよく、第二の電力は第一の電力より大きい。
【0055】
ユーザー吸煙とユーザー吸煙との間のヒーター要素への電力の提供は、有利なことに、システムによって生成されるエアロゾルの体積を増加させることができる。比較的大きい表面積を有するヒーター部分と組み合わせて、これは、大量のエアロゾルをコンパクトな装置で、かつヒーター要素に対して中程度の温度で生成することを可能にする。
【0056】
制御回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路であってもよい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路はヒーター要素への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は、システムの起動の後に続いて連続的に、発熱体へと供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター要素に供給されてもよい。
【0057】
システムは電気加熱式の喫煙システムであってもよい。システムは、ニコチン送達システムであってもよい。貯蔵部部分は、ニコチンを含むエアロゾル形成基体を収容してもよい。
【0058】
システムは手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。喫煙システムは、およそ30mm~およそ150mmの全長を有してもよい。喫煙システムは、およそ10mm~50mmの幅を有してもよい。喫煙システムは、およそ3mm~およそ10mmの厚さを有してもよい。
【0059】
電源は、リン酸鉄リチウム電池などの電池であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間の間エアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、またはヒーター要素の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0060】
システムは、主要ユニットおよびカートリッジから成る二部品システムとして記述されているが、カートリッジが、電池および制御回路などの電源を備える一部品システムを提供することが可能である。こうしたシステムでは、別個の主要ユニットを必要としない場合がある。
【0061】
エアロゾル発生システム用のヒーター要素であって、単一のヒーターシートから形成され、かつ流体透過性ヒーター部分および流体透過性ヒーター部分に接続された電気接点部分を備え、流体透過性ヒーター部分が平面状であり、かつ第一の平面内に置かれ、また電気接点部分が第一の平面の外で曲げられた、ヒーター要素がさらに開示される。
【0062】
ヒーター要素は、第一の電気接点部分と、ヒーター部分の反対側の上に位置付けられた第二の電気接点部分とを備えてもよく、これにより第一の電気接点部分から第二の電気接点部分へと流れる電流はヒーター部分を通過する。
【0063】
ヒーター部分は、ヒーターシートを通る一つ以上の開口またはスロットを備えてもよい。これは、電気抵抗が増加した領域を提供してもよい。開口またはスロットは、スパイラル、ジグザグパターン、またはグリッドパターンを備えてもよい。
【0064】
ヒーターシートは、箔であってもよい。ヒーターシートは、金属シートを含んでもよい。ヒーターシートは、例えば、ステンレス鋼、銅、銀、アルミニウム、または金を含んでもよい。ヒーターシートは、比較的導電性の包含物を有する電気絶縁性シートを含んでもよい。ヒーターシートは布地を含んでもよい。ヒーターシートはセラミック材料を含んでもよい。ヒーターシートは、炭素繊維を含んでもよい。
【0065】
ヒーターシートは、0.01ミリメートル~0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、またより好ましくは0.02ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0066】
ヒーターシートは、電気接点部分の少なくとも一部を含むヒーター部分および第一の平面外セクションおよび第二の平面外セクションを含む、概してU字形状の平面状のセクションを備えてもよい。第一の平面外セクションは、U字形状セクションの第一の端に接続されてもよく、また第二の平面外セクションは、U字形状セクションの第二の端に接続されてもよい。第一の平面外セクションおよび第二の平面外セクションは、電気接点パッドを備えてもよい。
【0067】
電気接点部分(複数可)は、金などの導電性材料で被覆またはメッキされてもよい。これは、外部電源との改善された接触抵抗を提供する場合がある。これはまた、電気接点部分(複数可)により大きい強度も提供する場合がある。
【0068】
ヒーター部分は、金、銀、銅、または亜鉛などの導電性材料で被覆またはメッキされてもよい。これは、改善された腐食に対する抵抗を提供する場合がある。これはまた、改善された熱伝導率(より速い加熱およびより速い冷却のための)も提供する場合がある。これはまた、ヒーターフィラメントの所与のパターンに対して必要な場合、電気抵抗を低減することもできる。
【0069】
記述されるようなヒーターは、製造が単純であり、また完成したカートリッジまたはエアロゾル発生装置への組み立てが簡単である。
【0070】
また、エアロゾル発生装置用のヒーター要素を製造する方法も開示されており、これは、流体透過性ヒーター部分および第一の平面上に置かれたヒーター部分に接続された少なくとも一つの電気接点部分を有するヒーター要素を形成するために平面状のシートを加工することと、電気接点部分を第一の平面の外で曲げることと、を含む。
【0071】
平面状のシートは、箔であってもよい。平面状のシートは、金属シートを含んでもよい。平面状のシートは、ステンレス鋼、銅、銀、アルミニウム、または金を含んでもよい。平面状のシートは、比較的導電性の包含物を有する電気絶縁性シートを含んでもよい。平面状のシートは布地を含んでもよい。平面状のシートはセラミック材料を含んでもよい。平面状のシートは、炭素繊維を含んでもよい。平面状のシートは積層を含んでもよい。積層は、異なる材料から形成された層を備えてもよい。
【0072】
加工の工程は、化学エッチング、スタンピング、または機械加工を含んでもよい。加工の工程は、平面状のシート上に導電性トラックを印刷することを含んでもよい。印刷する工程は、レーザー印刷を含んでもよい。
【0073】
このようにしてヒーター要素を製造することは、大量製造プロセスで安価かつ確実に達成することができる。結果として得られたヒーター要素は、カートリッジまたはエアロゾル発生装置の組み立てプロセスにおいて簡単に取り扱うことができる。
【0074】
エアロゾル発生装置用のカートリッジを製造する方法がさらに開示されており、この方法は、流体透過性ヒーター部分およびヒーター部分に接続された少なくとも一つの電気接点部分を有するヒーター要素を形成することと、ヒーター要素を上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設することであって、これによりヒーター部分が上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に置かれ、かつ電気接点部分が下方ハウジング部分および上方ハウジング部分の外側に延びることと、を含む。
【0075】
これは、比較的少ない構成要素が関与する、カートリッジに対する単純な組み立てプロセスである。これは、迅速で、信頼性のある、そして安価な製造を可能にする。
【0076】
形成する工程は、平面状のシートをスタンピング、機械加工、またはエッチングして、ヒーター要素のヒーター部分を形成することを含んでもよい。形成の工程は、平面状のシート上に導電性トラックを印刷することを含んでもよい。
【0077】
ヒーター要素は、ヒーター部分および少なくとも一つの電気接点部分が第一の平面に置かれるように、最初に形成されてもよい。方法は、電気接点部分を第一の平面の外で曲げることをさらに含んでもよい。
【0078】
方法は、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分およびヒーター要素を外側ハウジングの中へと挿入することをさらに含んでもよい。外側ハウジングは、スリーブであってもよい。上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、外側ハウジングスリーブに機械的に固定されてもよい。例えば、外側ハウジングスリーブと、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、スナップ嵌めを提供するように成形されてもよい。外側ハウジングは、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を外側ハウジングに固定するために、上方ハウジング部分、または下方ハウジング部分、または上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との両方を圧縮してもよい。外側ハウジングは、液密密封を提供するために、上方ハウジング部分、または下方ハウジング部分、または上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との両方を圧縮してもよい。
【0079】
方法は、外側ハウジングスリーブ内の貯蔵部を液体エアロゾル形成基体で充填することを含んでもよい。
【0080】
配設する工程は、上方ハウジング部分と下方ハウジングとの間にヒーター要素を締め付けることを含んでもよい。このようにして、ヒーター要素をカートリッジ内に固定するためのいかなるさらなる手段も提供することが必ずしも必要ない場合があり、単純な組み立てプロセスを提供する。外側ハウジングスリーブは、ヒーター要素上に締め付け力を提供してもよい。
【0081】
エアロゾル発生装置用のカートリッジもまた提供され、これは、方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備えるハウジングであって、エアロゾル形成基体を収容する、ハウジングと、流体透過性ヒーター部分および電気接点部分を備えるヒーター要素と、を備え、ヒーター要素は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に保持され、ヒーター部分はエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられ、また電気接点部分はハウジングの外側に延びる。
【0082】
ハウジングは、外側ハウジング、外側ハウジング内に保持される上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備えてもよい。
【0083】
上方ハウジング部分および下方ハウジング部分のうちの少なくとも一方は、シリコンゴムなどの弾性材料から形成されてもよい。弾性材料は、外側ハウジングによって圧縮されてもよい。これは、ヒーター要素に締め付け力を提供して、ヒーター要素を保持してもよい。これはまた、外側ハウジングと上方ハウジング部分および下方ハウジング部分との間に、液密密封も提供する場合がある。
【0084】
液体エアロゾル形成基体は、外側ハウジング内に保持されてもよい。外側ハウジングは、スリーブであってもよい。上方ハウジング部分、または下方ハウジング部分、または上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との両方は、随意に外側ハウジングとともに、液体がその中に保持される液体貯蔵部を画定してもよい。下方ハウジング部分は、穴を備えてもよく、その穴を横切ってヒーター部分が位置付けられる。吸い出し材料は、下方ハウジング部分の穴の中に提供されてもよい。吸い出し材料は、貯蔵部からヒーター部分へと液体を輸送してもよい。これは、一定量の液体をヒーター部分へと送達する利点を有する。
【0085】
カートリッジは、カートリッジの遠位端から、ヒーター部分を通り過ぎて、カートリッジの近位端へと延びる気流通路を備えてもよい。エアロゾルまたは蒸気は、気流通路を通してカートリッジの外へと引き出されてもよい。気流通路の少なくとも一部分は、上方ハウジングと下方ハウジングとの間に画定される。これは、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分が、複雑な成形プロセスおよびツールを必要としない比較的単純な形状で形成されることを可能にする。
【0086】
気流通路は、カートリッジの近位端と遠位端との間で実質的に真っ直ぐであってもよい。気流通路は、ヒーター部分とカートリッジの近位端との間に少なくとも一つの狭窄部を備えてもよい。
【0087】
気流通路内に、一つ以上のフィルターが提供されてもよい。気流通路内のフィルターは、大きい液滴がマウスピースを通してカートリッジから出ていくことを防止してもよい。
【0088】
電気接点部分は、カートリッジの遠位端から突出してもよい。
【0089】
マウスピースは、カートリッジの近位端に提供されてもよい。交換可能なマウスピース要素は、外側ハウジングのマウスピースの外側に定置されてもよい。交換可能なマウスピースは、外側ハウジングより軟らかい材料から作製されてもよい。
【0090】
カートリッジは、実質的に角柱状の形状を有してもよい。カートリッジは、直方体形状を有してもよい。カートリッジは、厚さが、第一の平面と直角な方向に延び、かつ長さまたは幅より実質的に小さい、長さ、幅、および厚さを有してもよい。厚さは、カートリッジの長さまたは幅の半分以下であってもよい。前述したように、カートリッジのこの形状は、消費者に人気があることが証明されている。
【0091】
記述されるすべての実施形態では、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。
【0092】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作の動作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、およびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリンなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤および水など)を含んでもよい。
【0093】
記述されるようなカートリッジは、非常に少ない構成要素を有し、かつ組み立てが単純である。これはいくつかの利点を有する。第一の利点は、良好な信頼性である。比較的少ない構成要素を有することは、構成要素間の相互作用が比較的少ないこと、および接合部分の問題の誤整列問題の可能性がより少ないことを意味する。また、失敗の原因が比較的少ないことも意味する。
【0094】
第二の利点は、コストの低減である。これは、部品数が少ないコンパクトなカートリッジに対する材料コストの低減と、単純なツーリングおよび少ないプロセス工程に関連付けられた製造コストの低減と、の両方からもたらされる。
【0095】
第三の利点は、環境的な影響の低減に対する潜在的可能性である。記述するようなカートリッジは、比較的少ない原材料しか使用しない。使用される材料は、大部分はリサイクル可能または生分解性とすることができる。また、カートリッジは分解するのが単純で、分離した構成要素の簡単なリサイクルおよび廃棄を可能にする。
【0096】
第四の利点は、カートリッジをヒーター部分の平面に直交する一次元において小さくすることができることである。これは、カートリッジは簡単に保管および搬送することを可能にする。
【0097】
一実施例または実施形態に関して記述される特徴または要素は、その他の記述される実施例または実施形態にも適用されてもよいことが明確であろう。例えば、同じ吸い出し材料および同じエアロゾル形成基体が、各実施形態で使用されてもよい。同様に、同じ主要ユニットが、記述される異なるカートリッジとともに使用されてもよい。
【0098】
好ましい特徴を設定する条項
【0099】
1.エアロゾル発生装置用のカートリッジであって、
エアロゾル形成基体を収容するハウジングと、
流体透過性ヒーター部分および電気接点部分を備えるヒーター要素であって、ヒーター部分および電気接点部分が単一のヒーターシートから一体的に形成される、ヒーター要素と、を備え、
ヒーター部分がハウジングの中に囲まれ、かつエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられ、また電気接点部分がハウジングの外側に延びる、カートリッジ。
【0100】
2.ヒーター部分が平面状であり、かつ第一の平面内に置かれる、第1項に記載のカートリッジ。
【0101】
3.電気接点部分が第一の平面の外で曲げられる、第2項に記載のカートリッジ。
【0102】
4.ヒーター要素が、第一の電気接点部分から第二の電気接点部分へと流れる電流がヒーター部分を通過するように、ヒーター部分の反対側の上に位置付けられた第一の電気接点部分および第二の電気接点部分を備える、第1項~第3項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0103】
5.ヒーター部分が、ヒーターシートを通る一つ以上の開口またはスロットを備える、第1項~第4項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0104】
6.一つ以上の開口またはスロットが、スパイラル、ジグザグパターン、またはグリッドパターンを備える、第5項に記載のカートリッジ。
【0105】
7.シートが0.01ミリメートル~0.5ミリメートル、より好ましくは0.02ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有する、第1項~第6項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0106】
8.電気接点部分(複数可)が、金などの導電性材料で被覆またはメッキされる、第1項~第7項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0107】
9.ヒーター部分が、ハウジング内のエアロゾル形成基体と接触する第一の側面と、カートリッジを通って延びる気流通路と接触する第二の側面と、を有する、第1項~第8項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0108】
10.エアロゾル形成基体が室温において液体である、第1項~第9項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0109】
11.液体エアロゾル形成基体をヒーター要素のヒーター部分に送達するように構成された吸い出し材料を備える、第10項に記載のカートリッジ。
【0110】
12.ハウジングが、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備え、ヒーターシートが上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設される、第1項~第11項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0111】
13.上方ハウジングおよび下方ハウジングが保持される外側ハウジングをさらに備える、第12項に記載のカートリッジ。
【0112】
14.外側ハウジングが、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分がヒーター部分の平面に平行な方向でその中へと受容されるスリーブを備える、第13項に記載のカートリッジ。
【0113】
15.上方ハウジング部分および下方ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、シリコンゴムなどの弾性材料から形成される、第12項、第13項、または第14項に記載のカートリッジ。
【0114】
16.下方ハウジング部分が穴を備え、ヒーター部分がその穴を横切って位置付けられる、第12項~第15項に記載のカートリッジ。
【0115】
17.下方ハウジング部分の穴の中に吸い出し材料を備える、第16項に記載のカートリッジ。
【0116】
18.カートリッジの遠位端から、ヒーター部分を通り過ぎて、カートリッジの近位端へと延びる気流通路を備える、第1項~第17項のいずれかに記載のカートリッジ。
【0117】
19.カートリッジの遠位端から、ヒーター部分を通り過ぎて、カートリッジの近位端へと延びる気流通路を備え、気流通路の少なくとも一部分が上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に画定される、第12項~第17項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0118】
20.気流通路がカートリッジの近位端と遠位端との間で実質的に真っ直ぐである、第18項または第19項に記載のカートリッジ。
【0119】
21.気流通路が、ヒーター部分とカートリッジの近位端との間に少なくとも一つの狭窄部を備える、第18項、第19項、または第20項に記載のカートリッジ。
【0120】
22.電気接点部分が、カートリッジの遠位端から突出する、第1項~第21項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0121】
23.マウスピースが、カートリッジの近位端に提供される、第1項~第22項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0122】
24.カートリッジが実質的に直方体形状を有する、第1項~第23項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0123】
25.厚さが、第一の平面と直角な方向に延び、かつ長さまたは幅より実質的に小さい、長さ、幅、および厚さを有する、第1項~第24項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0124】
26.厚さが、カートリッジの長さまたは幅の半分以下である、第25項に記載のカートリッジ。
【0125】
27.カートリッジの長さが、カートリッジの近位端と遠位端との間に延び、かつカートリッジの幅より大きい、第25項または26項に記載のカートリッジ。
【0126】
28.第1項~第27項のいずれか一項に記載のカートリッジと、主要ユニットであって、電源、およびその電源に電気的に接続され、かつそのカートリッジの電気接点部分(複数可)と係合するように構成された電気接点を備える主要ユニットと、を備えるエアロゾル発生システム。
【0127】
29.主要ユニットが、電源から電気接点への電力供給を制御するように構成された制御回路を備える、第28項に記載のエアロゾル発生システム。
【0128】
30.主要ユニットが、長さ、幅、および厚さを有し、厚さが長さまたは幅の半分以下である、第28項または第29項に記載のエアロゾル発生システム。
【0129】
31.エアロゾル発生システム用のヒーター要素であって、単一のヒーターシートから形成され、かつ流体透過性ヒーター部分および流体透過性ヒーター部分に接続された電気接点部分を備え、流体透過性ヒーター部分が平面状であり、かつ第一の平面内に置かれ、また電気接点部分が第一の平面の外で曲げられた、ヒーター要素。
【0130】
32.第一の電気接点部分から第二の電気接点部分へと流れる電流がヒーター部分を通過するように、ヒーター部分の反対側の上に位置付けられた第一の電気接点部分および第二の電気接点部分を備える、第31項に記載のヒーター要素。
【0131】
33.ヒーター部分が、ヒーターシートを通る一つ以上の開口またはスロットを備える、第31項または第32項に記載のヒーター要素。
【0132】
34.開口またはスロットが、スパイラル、ジグザグパターン、またはグリッドパターンを備える、第33項に記載のヒーター要素。
【0133】
35.シートが0.01ミリメートル~0.5ミリメートル、より好ましくは0.02ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有する、第31項~第34項のいずれか一項に記載のヒーター要素。
【0134】
36.電気接点部分(複数可)が、金などの導電性材料で被覆またはメッキされる、第31項~第35項のいずれか一項に記載のヒーター要素。
【0135】
37.エアロゾル発生装置用のヒーター要素の製造方法であって、
流体透過性ヒーター部分および第一の平面内に置かれたヒーター部分に接続された少なくとも一つの電気接点部分を有するヒーター要素を形成するために、平面状のシートを加工することと、
電気接点部分を第一の平面の外で曲げることと、を含む、方法。
【0136】
38.形成する工程が、平面状のシートをスタンピング、機械加工、またはエッチングして、ヒーター要素のヒーター部分を形成することを含む、第37項に記載の方法。
【0137】
39.エアロゾル発生装置用のカートリッジの製造方法であって、
流体透過性ヒーター部分およびヒーター部分に接続された少なくとも一つの電気接点部分を有するヒーター要素を形成することと、
ヒーター要素を上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設することであって、これによりヒーター部分が上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に置かれ、かつ電気接点部分が下方ハウジング部分および上方ハウジング部分の外側に延びる、ことと、を含む方法。
【0138】
40.形成する工程が、平面状のシートをスタンピング、機械加工、またはエッチングして、ヒーター要素のヒーター部分を形成することを含む、第39項に記載の方法。
【0139】
41.ヒーター要素が、ヒーター部分および少なくとも一つの電気接点部分が第一の平面内に置かれるように最初に形成され、かつ方法が電気接点部分を第一の平面の外で曲げることをさらに含む、第39項または第40項に記載の方法。
【0140】
42.上方ハウジング部分および下方ハウジング部分およびヒーター要素を外側ハウジングの中へと挿入することをさらに含む、第39項~第41項のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
43.外側ハウジング内の貯蔵部をエアロゾル形成基体で充填することを含む、第39項~第42項のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
44.エアロゾル発生装置用のカートリッジであって、
上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備えるハウジングであって、エアロゾル形成基体を収容する、ハウジングと、
流体透過性ヒーター部分および電気接点部分を備えるヒーター要素と、を備え、
ヒーター要素が上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に締め付けられ、かつヒーター部分がエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられ、また電気接点部分がハウジングの外側に延びる、カートリッジ。
【0143】
45.ハウジングが、外側ハウジング、外側ハウジング内に保持される上方ハウジング部分および下方ハウジング部分を備える、第44項に記載のカートリッジ。
【0144】
46.上方ハウジング部分および下方ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、シリコンゴムなどの弾性材料から形成される、第44項または第45項に記載のカートリッジ。
【0145】
47.下方ハウジング部分が穴を備え、ヒーター部分がその穴を横切って位置付けられる、第44項、第45項、または第46項に記載のカートリッジ。
【0146】
48.下方ハウジング部分の穴の中に吸い出し材料を備える、第47項に記載のカートリッジ。
【0147】
49.カートリッジの遠位端から、ヒーター部分を通り過ぎて、カートリッジの近位端へと延びる気流通路を備える、第1項~第48項のいずれかに記載のカートリッジ。
【0148】
50.気流通路の少なくとも一部分が、上方ハウジングと下方ハウジングとの間に画定される、第49項に記載のカートリッジ。
【0149】
51.気流通路がカートリッジの近位端と遠位端との間で実質的に真っ直ぐである、第49項または第50項に記載のカートリッジ。
【0150】
52.気流通路が、ヒーター部分とカートリッジの近位端との間に少なくとも一つの狭窄部を備える、第49項、第50項、または第51項に記載のカートリッジ。
【0151】
53.電気接点部分が、カートリッジの遠位端から突出する、第44項~第52項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0152】
54.マウスピースが、カートリッジの近位端に提供される、第44項~第53項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0153】
55.カートリッジが実質的に直方体形状を有する、第44項~第54項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0154】
56.長さ、幅、および厚さを有し、厚さが、第一の平面と直角な方向に延び、かつ長さまたは幅より実質的に小さい、第44項~第55項のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【0155】
57.厚さが、カートリッジの長さまたは幅の半分以下である、第56項に記載のカートリッジ。
【0156】
ここで、例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を記述する。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【
図1A】
図1Aは、使い捨てカートリッジを備えるエアロゾル発生システムの概略側面図である。
【
図2A】
図2Aは、使い捨てカートリッジの構成要素の図である。
【
図4】
図4は、別の使い捨てカートリッジの斜視図である。
【
図5】
図5は、カートリッジの組み立てプロセスを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図1Aおよび
図1Bは、エアロゾル発生システムを概略的に例示する。エアロゾル発生システムは、ユーザーの吸入のためのエアロゾルを発生するように構成された手持ち式喫煙システムである。特に、
図1Aおよび
図1Bに示すシステムは、ニコチンおよび風味化合物を含有するエアロゾルを発生する喫煙システムである。
図1Aは、概略側面図である。
図1Bは、概略上面図である。
【0159】
図1Aおよび
図1Bのシステムは、主要ユニット10とカートリッジ20との二つの部分を備える。使用時に、カートリッジ20は主要ユニット10へと取り付けられる。
【0160】
主要ユニット10は、再充電可能電池12および電気制御回路14を保持する装置ハウジング18を備える。再充電可能電池12は、リン酸鉄リチウム電池である。制御回路14は、プログラマブルマイクロプロセッサおよび気流センサーを備える。
【0161】
カートリッジ20は、外部スリーブとも呼ばれる外側ハウジング34を備え、これは主要ユニット18へと取り付けられる。この実施形態では、カートリッジは磁気的接続によって主要ユニット上に保持される。
【0162】
カートリッジの外部スリーブ内には、上方ハウジング部分39および下方ハウジング部分38がある。上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、外部スリーブとともに、エアロゾル形成基体のための貯蔵部30と、カートリッジを通る気流通路22とを画定する。ヒーター要素32は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に保持される。ヒーター要素32の流体透過性ヒーター部分36は、貯蔵部と気流通路22との間に位置付けられる。これは、
図2Aおよび
図2Bを参照しながら、より詳細に記述される。
【0163】
ヒーター要素32は抵抗発熱体であってもよい。ヒーター要素32は、単一のシートから形成され、この実施形態では、ステンレス鋼箔である。
図1Bで最も良好に見られるように、ヒーター要素32は、二つの接点部分35と37との間に位置付けられたヒーター部分36を備える。ヒーター部分36は、それを通してエッチングされた複数のスロットを有し、二つの接点部分35、37を接続するヒーターフィラメントのスパイラルパターンを残す。ヒーター部分のフィラメントは、接点部分より著しく高い電気抵抗を有し、そのため電流がヒーター部分のフィラメントを通過する時、ヒーター部分は著しく加熱される。
【0164】
接点部分35、37は、ヒーター部分の両側からカートリッジの外部の位置へと延びる。特に、カートリッジハウジング部分の外部である接点部分35、37の各々のセクションは、主要ユニット内の対応する電気接点15、17への接続用の電気接点パッドを提供するために曲げられる。主要ユニット内の電気接点15、17は、制御回路14を通して電池12に接続される。記述するように、制御回路の制御下で電池12からヒーター要素へと電力が提供される。
【0165】
カートリッジは、貯蔵部30内にエアロゾル形成基体を保持する。この例では、エアロゾル形成基体は、室温で液体混合物であり、またニコチン、風味、エアロゾル形成体(グリセロールまたはプロピレングリコールなど)、および水を含む。貯蔵部は、下方ハウジング部分と外部スリーブとの間に画定される。穴が、貯蔵部の一部を形成する下方ハウジング部分内に形成される。ヒーター要素のヒーター部分は、穴を横切って延び、また穴を気流通路22から分離する。毛細管材料33は、下方ハウジング部分の穴の中に提供され、かつ重力に対するシステムの向きにかかわらず、エアロゾル形成基体の発熱体への送達を促進するように配設される。
【0166】
この例では、気流通路の一部分はカートリッジ20を通り、また気流通路の一部分は主要ユニット10を通る。制御回路内に含まれる気流センサーは、主要ユニット内の気流通路の部分を通る気流を検出するように位置付けられる。気流通路は、空気吸込み口16から空気出口28へと延びる。空気出口28は、カートリッジのマウスピース端にある。ユーザーがカートリッジのマウスピース端を吸煙する時、空気は、空気吸込み口16から気流通路22を通して空気出口28へと引き出される。
【0167】
気流通路22は、少なくとも部分的に、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に画定される。下方ハウジング部分38は、外部スリーブと上方ハウジングとの間に圧縮されるシリコンゴムから形成され、これはより剛直な材料から作製される。この実施形態では、上方ハウジング部分は、Tritan(商標)から形成される。有利なことに、すべてのハウジング要素は、生分解性プラスチックまたは堆肥化可能プラスチックで作製することができる。下方ハウジング部分の圧縮は、貯蔵部の液密密封を提供する。これはまた、気流通路の気密密封も提供する。
【0168】
ヒーター要素32のヒーター部分36は、気流チャネル22内に位置付けられる。ヒーター部分は概して平面状であり、一方の側は貯蔵部30内の液体と流体連通(例えば、直接的接触または間接的接触)の状態にあり、反対側は気流チャネルを通過する空気と流体連通(例えば、直接的接触または間接的接触)の状態にある。動作時、ヒーター要素によって加熱される液体エアロゾル形成基体は、気化されて蒸気を形成する。蒸気は、ヒーター部分を通過して気流チャネルの中へと通ることができる。
【0169】
動作時、システムは、主要ユニット上のボタン(図示せず)を押圧するユーザーによって起動されてもよい。次いで、制御回路は、気流チャネルを通る気流が流れセンサーによって検出された時、ヒーター要素に電力を供給する。この実施形態では、ユーザーの吸煙が検出されるたびに、一貫した量の電力がヒーター要素に供給される。これは結果として、ヒーター部分の加熱をもたらし、次に、記述されるように、気流チャネルに蒸気を生成する。蒸気は、気流チャネルを通って流れる空気内に同伴され、そして冷却されて、空気出口26を通ってシステムを出る前にエアロゾルを形成する。
【0170】
図2Aおよび
図2Bは、
図1Aおよび
図1Bで例示したシステムと一致するカートリッジの実施形態を示す。
図2Aは、ヒーター要素が曲げられていない状態にある、分解組立の形態のカートリッジの構成要素を示す。
図2Bは、ヒーター要素32の接点部分が曲げられて電気接点パッドを形成している、分解組立の形態のカートリッジの構成要素を示す。
【0171】
図2Aから、ヒーター要素32は、上方ハウジング部分39と下方ハウジング部分38との間に締め付けられ、さらなる固定を必要としないことがわかる。上方ハウジング部分は、外部スリーブ34上の開口44の中へとパチンと嵌って、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分とを外部スリーブ34へと固定する突起部42を含む。外部スリーブは透明であり、また内部管を見ることができ、気流通路22のマウスピース端を形成する。内部管は、外部スリーブの一体的に成形された一部である。外部スリーブ、上方ハウジング部分、および下方ハウジング部分はすべて成形された構成要素である。吸い出し材料33は、下方ハウジング部分38内の穴の中へと適合する。
【0172】
図2Aでは、ヒーター要素32は平面状であり、曲げられていない。ヒーター要素はU字形状を有する。
図2Bは、その最終的な形態にあるヒーター要素を例示する。ヒーター部分から最も遠い電気接点部分のセクションに対応するU字形状の自由端は、曲げられて、二つの電気接点パッド50、52を形成する。二つの電気接点パッドは、気流通路22の対向する面上に互いに位置付けられる。ヒーター要素は、電気接点パッドがヒーター要素の残りの部分の平面に垂直に延びるように曲げられる。電気接点パッドは、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分によって形成された、カートリッジの外部表面の近くに適合される。この実施形態では、電気接点部分は、電気接点パッドが実質的にカートリッジの厚さ全体の外側に延びるように、各々二回、すなわち一回は90度まで、次いで180度まで折り曲げられる。
【0173】
図3は、ヒーター要素のヒーター部分のスパイラル設計をより詳細に示す。
図3は、外部スリーブ34および吸い出し材料が透明として示される、
図2Aのカートリッジの底面図である。ヒーター部分36のスパイラルヒーターフィラメントを明瞭に見ることができる。気化したエアロゾル形成基体は、フィラメントの間を通り、気流チャネルの中へと通ることができる。この例では、フィラメントの厚さおよび幅はおおよそ0.1mmであり、またフィラメント間の間隔はおおよそ0.1mmである。しかしながら、0.01mmほど低い箔厚さが、ヒーター部分に使用されてもよい。電気接点パッド50、52は、下方ハウジング部分38をちょうど超えて延びていることが示されている。
【0174】
図4は、カートリッジの別の実施形態の斜視図である。
図4の実施形態は、
図2A、
図2B、および
図3の実施形態と同様であるが、ヒーター部分は、スパイラルパターンの代わりにグリッドまたはメッシュの形態である。
【0175】
図4では、外部スリーブ34および上方ハウジング部分39は、ヒーター部分56を見ることができるように透明に示されている。ヒーター部分56は、下方ハウジング部分38内の穴の上方で気流チャネル22を横切って延びる。気流チャネルのマウスピース端を形成する外部スリーブ34内の内部管23も見ることができる。
【0176】
図2Aおよび
図2Bの実施形態のように、ヒーター要素は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に締め付けられる。カートリッジハウジングの外部にあるヒーター要素の部分は曲げられて、電気接点パッド50、52を形成する。この実施形態では、電気接点パッドは、前述の実施形態のように、気流チャネルの反対側の上に位置付けられる。
【0177】
記述されたカートリッジは各々、外部スリーブ、上方ハウジング部分、下方ハウジング部分、ヒーター要素、および吸い出し材料という五つの構成要素のみを備える。構成要素は、リサイクル可能材料または生分解性材料から作製することができ、またリサイクルおよび廃棄のために使用後に単純に分解することができる。
【0178】
ここで、
図1~
図4に示すタイプのカートリッジについての例示的な製造および組立プロセスを、
図5を参照しながら記述する。
図5は、製造プロセスの工程を示すフローチャートである。
【0179】
第一の工程500では、ヒーター要素用の平面状の材料のシートを加工して、ヒーター部分および電気接点部分を形成する。この加工工程は、適切な導電性および機械的特性の箔またはシート材料のスタンピング、化学エッチング、レーザー切断、または機械加工を含んでもよい。この加工工程は、導電性材料を平面状のヒーター基体の上へと印刷または別の方法で堆積することを含んでもよい。例えば、基体として流体透過性膜が使用されてもよく、またヒーター部分および電気接点部分を形成する導電性材料が膜上に堆積されてもよい。
【0180】
工程500はまた、金などの導電性材料で電気接点パッドを形成するよりも、電気接点部分、または電気接点部分の少なくともそれらの部分を被覆することも含んでもよい。これは、電気接点の抵抗を低減する場合がある。
【0181】
工程510で、平面状のヒーター要素は、上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に配設される。上方ハウジング部分および下方ハウジング部分は、前述したように、成形プラスチック構成要素である。ヒーター要素は、ヒーター部分が下方ハウジング部分の穴と整列し、かつ上方ハウジング部分と下方ハウジング部分との間に画定される気流通路と整列するように位置付けられる。ヒーター部分は、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分の中に囲まれる。ヒーター要素の二つの接点部分は、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分の外側に延びる。
【0182】
工程520では、吸い出し材料は、下方ハウジング部分の穴の中へと挿入される。アトマイザーサブアセンブリ用のヒーター要素、上方ハウジング部分、下方ハウジング部分、および吸い出し材料。
【0183】
工程500~520と平行して実行されてもよい、工程530では、外部スリーブの貯蔵部部分は、液体エアロゾル形成基体で充填される。
【0184】
工程540では、アトマイザーサブアセンブリは、充填された外部スリーブの中へと挿入される。記述されるように、アトマイザーサブアセンブリを外部スリーブへと固定するために、単純なスナップ嵌めまたは他の機械的相互係止を使用することができる。下方ハウジング部分は、外部スリーブによって圧縮されて、貯蔵部のための液密密封および気流チャネルのための気密密封を提供する。
【0185】
工程550では、ヒーター要素の露出した接点部分は曲げられて電気接点パッドを形成し、上方ハウジング部分および下方ハウジング部分の表面と平行に延びる。工程500の後の任意の段階で工程550を実行することができることが明確であろう。工程540の後に実施する必要はない。
【0186】
工程530の代替として、外部スリーブを充填すること、または工程530に加えて、吸い出し材料を液体またはゲルエアロゾル形成基体に浸漬してから、吸い出し材料を下方ハウジング部分の穴の中へと挿入することができる。
【0187】
図5に例示される製造および組立プロセスは、実施が単純である。これは五つの構成要素の組立のみを必要とし、またねじまたは何らかの接着剤などのいかなる固定要素も必要としない。ヒーター要素は、カートリッジ内に非常に単純に固定される。平面状であるヒーター要素はまた、取り扱いも簡単にする。