(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するためのセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/18 20060101AFI20250407BHJP
G01L 9/04 20060101ALI20250407BHJP
G01N 25/18 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
G01N27/18
G01L9/04
G01N25/18 K
(21)【出願番号】P 2023530189
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2021080923
(87)【国際公開番号】W WO2022106239
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】102020214581.4
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ブラウアー,インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェル,カール
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,レナーテ
(72)【発明者】
【氏名】ラング,トビアス
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-500356(JP,A)
【文献】特開2016-011889(JP,A)
【文献】特開2004-191164(JP,A)
【文献】特開2017-036935(JP,A)
【文献】特開平08-136490(JP,A)
【文献】特開2010-164367(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0049805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00 - G01L 23/32
G01L 27/00 - G01L 27/02
G01N 25/00 - G01N 25/72
G01N 27/00 - G01N 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定空間(14)内の流体媒体(12)の少なくとも1つの特性を捕捉するための、少なくとも1つの加熱可能な膜(20)および電気測定ブリッジ(48)を備えたセンサ素子(18)を含むセンサ(10)であって、前記膜(20)が前記電気測定ブリッジ(48)と結合されており、前記センサ(10)が、さらに前記電気測定ブリッジ(48)の電気抵抗を捕捉するために形成されており、前記センサ(10)が、さらに前記電気測定ブリッジ(48)の前記捕捉された電気抵抗に基づいて前記流体媒体(12)の圧力を捕捉するために形成されて
おり、
前記膜(20)に印加される電気的な加熱電圧(U
H
)を変化させるように形成されており、前記膜(20)に第1の加熱電圧(U
H
)が印加された場合に前記流体媒体(12)の前記特性を捕捉するために形成されており、前記膜(20)に第2の加熱電圧(U
H
)が印加された場合に前記流体媒体(12)の前記圧力を捕捉するために形成されており、前記第2の加熱電圧(U
H
)が前記第1の加熱電圧(U
H
)より小さいまたは大きく、
前記第1の加熱電圧(U
H
)が、前記膜(20)の温度が上昇するように選択されており、前記第2の加熱電圧(U
H
)が、前記膜(20)の温度が実質的に一定のままであるように選択されている、センサ(10)。
【請求項2】
前記電気測定ブリッジ(48)が電気抵抗(50)を有し、前記電気抵抗(50)が、前記電気抵抗(50)の電気抵抗値が前記流体媒体(12)の前記圧力に比例するように前記膜(20)上に配置されている、請求項
1に記載のセンサ(10)。
【請求項3】
前記流体媒体(12)の前記捕捉された圧力に基づいて、前記流体媒体(12)の前記捕捉された特性のための補正値を生じさせるために形成されている、請求項1
または2に記載のセンサ(10)。
【請求項4】
さらに温度センサ素子(52)を有し、前記温度センサ素子(52)が、前記センサ素子(18)の温度を捕捉するために形成されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のセンサ(10)。
【請求項5】
前記膜(20)の温度に基づいて前記流体媒体(12)の前記特性を捕捉するために形成されている、請求項
4に記載のセンサ(10)。
【請求項6】
前記センサ(10)が、前記捕捉された圧力が所定の閾値を上回るまたはそれに達する場合に異常信号を出力するために形成されている、請求項1から
5のいずれか一項に記載のセンサ(10)。
【請求項7】
前記膜(20)を加熱するための電気発熱素子(22)をさらに含んでいる、請求項1から
6のいずれか一項に記載のセンサ(10)。
【請求項8】
測定ガス中のH
2割合を捕捉するために形成されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のセンサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体媒体用のセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するための多くのセンサ、センサ素子、および方法が知られている。この特性は、基本的に、ガス状または液状の流体媒体の任意の特性であってよく、1つまたは複数の特性が捕捉され得る。以下では本発明が、とりわけ、ガスを、特に測定ガス中のH2割合を捕捉するためのセンサを参照しながら、さらなる実施形態および適用を制限することなく説明される。
【0003】
ここで説明される種類のセンサは、多くの分野で、例えば自動車技術、プロセス技術、化学、および機械製造で、とりわけガス濃度を決定するために適用される。例えば水素濃度の決定、例えば空気水素混合物中の水素濃度の決定は、水素燃料電池システムの適用に大きな役割を果たす。ここで安全関連の適用例についても述べられるべきである。空気水素混合物は、およそ4%の水素割合で発火性になる。水素を捕捉するためのセンサは、例えば水素燃料電池車では、例えば損傷または欠陥によって流出している水素を検出するために、ならびに相応のシステムへのカップリングによって警告信号および/または保護措置を作動するために用いられ得る。したがって、燃料電池車ごとに複数の水素センサが必要とされ、これらの水素センサは、排気系内に取り付けられるか(exhaust)または大気条件下で働く(ambient)。
【0004】
このような水素センサには、多くの測定原理が活用され得る。これに属しているのはなかでも以下の測定原理、すなわち熱伝導、触媒ペリスター、電気化学セル、半導電性金属酸化物、ケミレジスタ、電界効果トランジスタである。
【0005】
DE102005058830A1およびDE102005058832A1からそれぞれ、複数の成分を含むガス状流体の1つの成分を捕捉するためのセンサが知られている。このセンサは、測定空間を画定するハウジングを含み、測定空間内には、加熱可能な膜を備えた測定チップが収容されている。加熱される水素センサの原理は、関与するガス成分の異なる熱伝導度に基づいている。それによって生成される、熱システム内の非対称性が、電圧信号に変換される。
【0006】
流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するための従来技術から知られているセンサの利点にもかかわらず、これらのセンサはまだ改善の余地を含む。
現在の車両では排気系内の圧力は検出されない。これにより、排気系が閉塞している(例えば意図的におよび意図せずその中に持ち込まれたものにより)かどうかは認識できない。排気系内の圧力上昇は、その前から存在している成分に害を及ぼす原因となり得る。前述のセンサの場合、膜は非常に薄くなければならず、したがって約1~2barの超過圧で破損する。
【発明の概要】
【0007】
それゆえ本発明の枠内では、測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するための既知のセンサ素子の欠点を少なくとも広範囲で回避し、とりわけ、流体媒体の特性、例えばH2濃度に加えてさらに流体媒体の圧力も捕捉するよう形成されている、測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するためのセンサ素子が提案される。
【0008】
少なくとも1つの測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するための本発明によるセンサは、少なくとも1つの加熱可能な膜および電気測定ブリッジを備えたセンサ素子を含む。膜は電気測定ブリッジと結合されている。センサは、さらに測定ブリッジの電気抵抗を捕捉するために形成されている。センサは、さらに電気測定ブリッジの捕捉された電気抵抗に基づいて流体媒体の圧力を捕捉するために形成されている。
【0009】
センサ素子とは、本発明の枠内では基本的に、流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉可能で、例えば捕捉された特性に相応する少なくとも1つの測定信号、例えば電気的な測定信号、例えば電圧または電流を生成可能な任意の装置のことである。特性は、例えば物理的および/または化学的な特性であり得る。特性の組合せも捕捉可能であり得る。センサ素子は、とりわけ、ガスの少なくとも1つの特性、特に測定ガス中のH2割合を捕捉するために形成されていてもよい。その他の特性および/または特性の組合せも捕捉可能であり得る。
【0010】
センサ素子は、とりわけ水素燃料電池車で使用するために適応され得る。測定空間は、基本的に、流体媒体、とりわけ測定ガスが収容されているおよび/または流体媒体、とりわけ測定ガスによって貫流される任意の開放的または閉鎖的な空間であり得る。
【0011】
電気抵抗の捕捉は、例えばいわゆるセルフセンシングによって行われ得る。
膜とは、本発明の枠内では、皮またはフィルムのようにその厚さに比べて大きな平面的な広がりを有する薄い構造のことであり得る。
【0012】
捕捉とは、とりわけ、流体媒体の特性が量的に確定される測定のことであり得る。例えば、測定空間内のガス、例えば空気の少なくとも1つの目標ガス成分、例えばH2の割合が量的に確定される。少なくとも1つの目標ガス成分の割合は、例えば目標ガス成分の分圧および/またはパーセンテージであり得る。目標ガス成分の割合は、例えば1つの目標ガス成分の複数の割合でもあり得る。目標ガス成分は、原則的に、ガス中のその割合が捕捉され得るあらゆる任意のガスであり得る。目標ガス成分が水素であり得ることが好ましい。ガスは、原則的に、任意のガス、とりわけガス混合物であり得る。ガスは、とりわけ自動車分野では空気であり得ることが好ましい。測定空間は、例えばセンサのガスセルであり得る。原則的に、測定空間とは、その中に流体媒体またはガスが存在しており、したがって膜に接触している空間のことであり得る。
【0013】
センサはハウジングを有し得る。ハウジングは少なくとも1つの開口部を有し、この開口部を通じてセンサ素子は流体媒体と接触可能である。
ハウジングとは、本発明の枠内では、基本的に、センサ素子を完全にもしくは部分的に包囲可能な、および/または外に向かって密閉可能な、およびセンサ素子に機械的安定性を付与可能な任意の部品または部品群のことである。とりわけ、ハウジングは少なくとも1つの内部空間を包囲し得る。ハウジングは、例えば内部空間を少なくとも部分的に包囲して、内部空間をその周囲に対して少なくとも部分的に区切り得る。ハウジングは、とりわけ完全にまたは部分的に、以下の材料、すなわち半導体材料、プラスチック、金属の少なくとも1つから製造されていてもよい。
【0014】
ハウジングはキャップウエハであり得る。キャップウエハとは、本発明の枠内では、内部空間を少なくとも部分的に画定する任意のウエハのことであり得る。キャップウエハは、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、および炭化シリコンから成る群から選択された少なくとも1つの材料を有し得る。
【0015】
センサは、膜に印加される電気的な加熱電圧を変化させるように形成されていてもよく、センサは、膜に第1の加熱電圧が印加された場合に流体媒体の特性を捕捉するために形成されており、センサは、膜に第2の加熱電圧が印加された場合に流体媒体の圧力を捕捉するために形成されており、第2の加熱電圧は第1の加熱電圧より小さいまたは大きい。これに相応して、2つの相違する測定量を決定するために加熱電圧が変更される。
【0016】
第1の加熱電圧は、膜の温度が上昇するように選択されていてもよく、第2の加熱電圧は、膜の温度が実質的に一定のままであるように選択されている。熱伝導度測定に関しては、測定ブリッジに、膜が暖まる程度に高い加熱電圧が供給される。圧力測定に関しては、膜に非常に小さな電圧が供給され、したがって膜は暖まらず、ただし同時に抵抗上昇が測定され得る。
【0017】
電気測定ブリッジは電気抵抗を有することができ、これらの抵抗は、抵抗の電気抵抗値が流体媒体の圧力に比例するように膜上に配置されている。電気測定ブリッジの捕捉された電気抵抗に基づく流体媒体の圧力の捕捉は、膜が、その上面と下面で圧力差があると変形し、とりわけ湾曲するという知見に基づいている。このとき、膜上の抵抗がより長くなり、それに伴って抵抗値がより大きくなる。これに相応して、膜に作用する圧力は、抵抗の変形に、したがって抵抗値に比例する。
【0018】
センサは、流体媒体の捕捉された圧力に基づいて、流体媒体の捕捉された特性のための補正値を生じさせるために形成されていてもよい。これにより、測定すべきガス濃度に関するセンサの測定精度が上昇し得る。
【0019】
センサは、さらに温度センサ素子を有することができ、この温度センサ素子は、センサ素子の温度を捕捉するために形成されている。
センサは、膜の温度に基づいて流体媒体の特性を捕捉するために形成されていてもよい。これにより、流体媒体の熱伝導度が確実に捕捉され得る。
【0020】
センサは、捕捉された圧力が所定の閾値を上回るまたはそれに達する場合に異常信号を出力するために形成されていてもよい。これにより例えば、燃料電池車の制御システムに、排気系内の圧力が例えば目詰まりによって高くなりすぎていることを信号で知らせ得る。同時にセンサは自己診断の意味において、測定膜が、割れて故障する前に許容されない高い圧力を受けていたことを報告し得る。
【0021】
センサは、膜を加熱するための電気発熱素子をさらに含み得る。これにより、膜の温度が確実に制御または調節され得る。
センサは、測定ガス中のH2割合を捕捉するために形成されていてもよい。
【0022】
供給される測定ガス中の測定すべきH2濃度についての情報は、熱伝導度センサ素子の形態でのセンサ素子によってもたらされる。ガスの熱伝導度は、第一近似では、ガス分子の質量の平方根に反比例し、したがって軽い原子、例えばH2分子またはHe原子を含むガスは、実質的にN2およびO2分子から成る空気より明らかに高い熱伝導度を有する。測定された熱伝導度が高ければ高いほど、軽い分子の割合がより大きい。熱伝導度の測定は、膜が、測定すべきガスによって冷却されることに基づいている。測定すべきガスの熱伝導度が高ければ高いほど、膜がより強く冷却される。つまり膜の温度測定により、ガスの熱伝導度および間接的にガスのH2含有率が類推され得る。
【0023】
本発明のさらなる任意選択の詳細および特徴は、図に概略的に示されている好ましい例示的実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】少なくとも1つの測定空間内の流体媒体の少なくとも1つの特性を捕捉するためのセンサの概略図である。
【
図2】センサのセンサ素子の電気回路図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、少なくとも1つの測定空間14内の流体媒体12の少なくとも1つの特性を捕捉するための、とりわけ測定ガス16中のH
2割合を捕捉するためのセンサ10の概略図を示す。センサ10は、とりわけ水素燃料電池車で使用するために適応されていてもよい。しかしながらその他の適用も可能である。センサ10は、とりわけ、図には示されていない1つまたは複数のさらなる機能素子、例えば電極、電極リード線、および接点、複数の層、またはその他の素子を含み得る。これに相応してセンサ10は、水素燃料電池車の排気系内に取り付けられ得るか(exhaust)または大気条件下で働き得る(ambient)。したがって測定空間は、水素燃料電池車の排気系、アノード系、または内部空間であり得る。
【0026】
センサ10はセンサ素子18を有する。センサ素子18は、少なくとも1つの加熱可能な膜20を有する。膜20上に第1の電気発熱素子22が配置されている。膜20の上面24は第1の基準空間26に曝されており、第1の基準空間26は測定空間14に対して密閉されている。第1の基準空間26は、既知の組成の流体媒体で満たされている。膜20の下面30は流体媒体12に曝され得る。
【0027】
センサ素子18はさらに基準膜32を有する。基準膜32上にはさらなる電気発熱素子28が配置されている。基準膜32の上面36は第2の基準空間34に曝されており、第2の基準空間34は測定空間14に対して密閉されている。第2の基準空間34は、既知の組成の流体媒体で満たされている。基準膜32の下面42は第3の基準空間38に曝されており(これは基準空間34内と同じ媒体であり得る)、例えば媒体分離部44によって流体媒体12から隔離されている。第1の発熱素子22と第2の発熱素子28が一体的に形成されていてもよいことを明示的に強調する。基準膜32は任意選択であることを明示的に強調する。全体の構造は、例えばシリコンチップウエハの形態で実施され得る。センサ10はさらにハウジング40を有することができ、ハウジング40内にセンサ素子18が配置されている。
【0028】
図2は、センサ10のセンサ素子18の電気回路図の概略図を示す。膜20および基準膜32を備えたセンサ素子18が示されている。第1の発熱素子22に、膜20を加熱するための加熱電圧U
Hが印加可能である(基準膜32の加熱のために発熱素子28にも)。加熱電圧U
Hは電圧源46からもたらされる。膜20および基準膜32は電気測定ブリッジ48と結合されている。測定ブリッジ48は、例えばホイートストンブリッジである。測定ブリッジ48はこのために例えば4つの抵抗50によって構成されており、4つの抵抗50の内、2つの抵抗50が膜20上に、および2つの抵抗50が基準膜32上に配置されている。膜20と基準膜32の抵抗50の間の2箇所で、測定ブリッジ48の電気ブリッジ電圧U
Bが取り出され得る。
【0029】
図3は、センサ素子18の断面図を示す。センサ10はさらに温度センサ素子52を有する。温度センサ素子52は、センサ素子18またはそのシリコンチップの温度を捕捉するために形成されている。この目的のために温度センサ素子52は、膜20の縁にまたは膜20と隣接して配置されている。センサ10は、膜20の温度に基づいて流体媒体12の特性を捕捉するために形成されている。
【0030】
図4は、センサ素子18のさらなる断面図を示す。
図4は、とりわけ、変形した膜20を備えたセンサ素子18を示す。センサ10は、さらに測定ブリッジ48の電気抵抗を捕捉するために形成されている。つまりセンサ10は、さらに電気測定ブリッジ48の捕捉された電気抵抗に基づいて流体媒体12の圧力を捕捉するために形成されている。上で解説したように、電気測定ブリッジ48は電気抵抗50を有する。抵抗50は、以下でより詳細に解説するように、抵抗50の電気抵抗値が流体媒体12の圧力に比例するように膜20上に配置されている。
【0031】
センサ10は、膜20に印加される電気的な加熱電圧UHを変化させるように形成されている。とりわけ、センサ10は、膜20に第1の加熱電圧UHが印加された場合に流体媒体12の特性を捕捉するために形成されている。センサ10は、膜20に第2の加熱電圧UHが印加された場合に流体媒体12の圧力を捕捉するために形成されており、第2の加熱電圧UHは第1の加熱電圧UHより小さいまたは大きい。第1の加熱電圧UHは、膜20の温度が上昇するように選択されている。第2の加熱電圧UHは、膜20の温度が実質的に一定のままであるようにまたは上昇しないように選択されている。センサ10は、さらに、流体媒体12の捕捉された圧力に基づいて、流体媒体12の捕捉された特性のための補正値を生じさせるために形成されている。センサ10は、さらに捕捉された圧力が所定の閾値を上回るまたはそれに達する場合に異常信号を出力するために形成されている。
【0032】
以下に、本発明によるセンサ10の動作方式または機能を説明する。第1の発熱素子22に、膜20を加熱するための第1の電気的な加熱電圧U
Hが印加される。その際、測定ブリッジ48には、膜20が暖まる程度に高い電圧が供給される。これにより、加えて基準膜32も第2の発熱素子28によって加熱され得る。この場合、膜20と基準膜32に接触するガスの異なる熱伝導度により、膜20と基準膜32の領域で異なる温度が生じる。センサ素子18またはそのシリコンチップの温度が温度センサ素子52によって捕捉される。この温度は、センサ素子18が追加的に加熱されない限り、第一近似では周囲温度に相当する。測定膜20と基準膜32の温度差を表すブリッジ信号が、
図2に示されたように取り出される。熱伝導度の測定は、膜20が、測定すべき流体媒体12によって冷却されることに基づいている。測定すべき流体媒体12の熱伝導度が高ければ高いほど、膜20がより強く冷却される。つまり膜20の温度測定により、流体媒体の熱伝導度および間接的に流体媒体のH
2含有率が類推され得る。
【0033】
流体媒体12の圧力を捕捉するために、センサ10は加熱電圧U
Hを変更する。第1の発熱素子22に第2の電気的な加熱電圧U
Hが印加される。その際、測定ブリッジ48には非常に小さな電圧が供給され、したがって膜20は暖まらない。膜20の下面30で、流体媒体12に起因して膜20の上面24より高い圧力がかかる場合、膜20は、
図4に示されているようにたわむ。膜20上の抵抗50がより長くなり、それに伴って抵抗値がより大きくなる。第2の加熱電圧U
Hが印加されると、抵抗上昇が測定され得る。膜20の下面30と上面24の間の圧力差が大きければ大きいほど、抵抗50の抵抗値はより大きい。H
2測定に関し、センサ精度を高めるために圧力割合が補正率として考慮され得る。
【0034】
本発明は、熱伝導度原理に基づくセンサの信号が分析されることで実証され得る。このようなセンサが圧力の印加時に信号を送信する場合、相応の圧力認識が存在していなければならない(別の圧力センサが取り付けられていない限り)。