IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 之江実験室の特許一覧

特許7661506衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター
<>
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図1
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図2
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図3
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図4
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図5
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図6
  • 特許-衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置および基地局電力管理センター
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/122 20210101AFI20250407BHJP
   H04W 52/18 20090101ALI20250407BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20250407BHJP
【FI】
H04W12/122
H04W52/18
H04W84/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023547265
(86)(22)【出願日】2023-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2023102017
(87)【国際公開番号】W WO2024152515
(87)【国際公開日】2024-07-25
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202310120786.X
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521162399
【氏名又は名称】之江実験室
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 善贇
(72)【発明者】
【氏名】朱 向明
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅陽
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 楠
(72)【発明者】
【氏名】張 興明
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107949(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107197466(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106131941(CN,A)
【文献】米国特許第5715526(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することであって、前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含むことと、
前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定することと、
前記第1の人工補助雑音電力を前記ユーザから基地局までの区間に加え、前記ユーザ端末の上りリンク送信電力と前記第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行うことと、
前記衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することと、
前記基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、前記基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、前記基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定することと、
前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とを前記基地局から衛星までの区間に加え、前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行うことと、を含む、
ことを特徴とする衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項2】
前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、
第1の安全通信識別子を生成することであって、前記第1の安全通信識別子は、前記ユーザから基地局までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられることをさらに含み、
前記第1の人工補助雑音電力を前記ユーザから基地局までの区間に加えることは、
前記第1の安全通信識別子に基づいて、前記第1の人工補助雑音電力を前記ユーザから基地局までの区間に加えることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項3】
前記ユーザから基地局までの区間が前記第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
前記ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することと、
前記ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、前記ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項4】
前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、第1の盗聴者チャネル状態情報とをさらに含み、
前記衛星-地上通信ネットワークにおけるユーザから基地局までの区間の初期化パラメータは、基地局の全二重自己干渉情報と、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータと、基地局の最大送信電力とを含み、
前記ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することは、
前記第1の盗聴者チャネル状態情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、前記基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定することと、
前記基地局の受信端の雑音情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定することと、を含み、
前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
前記チャネル利得係数が1より大きく、かつ前記基地局の最大送信電力が前記送信影響係数より大きいことに基づいて、前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項5】
前記第1の盗聴者チャネル状態情報は、前記ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、前記ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とを含み、
前記第1の盗聴者チャネル状態情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、前記基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定することは、
前記ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、前記基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を決定することと、
前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、前記ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、ユーザ端末から基地局までのチャネルと、ユーザ端末から盗聴者までのチャネルとの第2のチャネル利得比を決定することと、を含み、
前記基地局の受信端の雑音情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定することは、
前記基地局の全二重自己干渉情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報および前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、前記基地局の全二重自己干渉情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報および前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第1の比を決定することと、
前記基地局の受信端の雑音情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報および前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、前記基地局の受信端の雑音情報と、前記ユーザ端末によって送信されたチャネル情報および前記ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第2の比を決定することと、を含み、
前記チャネル利得係数が1より大きく、かつ前記基地局の最大送信電力が前記送信影響係数より大きいことに基づいて、前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
前記第1のチャネル利得比が1より大きく、前記第1のチャネル利得比と前記第2のチャネル利得比との積が1より大きく、かつ前記基地局の最大送信電力が、前記第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、前記第1のチャネル利得比と前記第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいことを判定することを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項6】
前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、前記基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定することは、
前記ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、前記ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを決定することと、
前記ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータに基づいて、前記ユーザから基地局までの区間の前記第1の人工補助雑音電力を決定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項7】
前記基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、
第2の安全通信識別子を生成することであって、前記第2の安全通信識別子は、前記基地局から衛星までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられることをさらに含み、
前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とを前記基地局から衛星までの区間に加えることは、
前記第2の安全通信識別子に基づいて、前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とを前記基地局から衛星までの区間に加えることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項8】
前記基地局から衛星までの区間が前記第2の安全通信条件を満たすと判定することは、
前記基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することと、
前記基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、前記基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、前記基地局から衛星までの区間が前記第2の安全通信条件を満たすと判定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項9】
前記基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、前記基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とを含み、前記第2の盗聴者チャネル状態情報は、前記基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報を含み、
前記衛星-地上通信ネットワークにおける基地局から衛星までの区間の初期化パラメータは、衛星の受信端の雑音情報と、基地局によって送信された初期化パラメータと、衛星の受信端の残留干渉係数とを含み、
前記基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することは、
前記基地局から衛星までのチャネル利得と、前記第2の盗聴者チャネル状態情報とに基づいて、前記基地局から衛星までの区間の前記基地局から衛星までのチャネルと前記基地局から盗聴者までのチャネルとの第3のチャネル利得比を決定することと、
前記衛星の受信端の雑音情報と、前記基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとに基づいて、前記衛星の受信端の雑音と、前記基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとの第3の比を決定することと、を含み、
前記基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、前記基地局から衛星までの区間が前記第2の安全通信条件を満たすと判定することは、
前記第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、前記衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいことを判定することを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項10】
前記基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、前記基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる前記第2の人工補助雑音電力とを決定することは、
前記基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、前記基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを決定することと、
前記基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータに基づいて、前記基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、前記第2の人工補助雑音電力とを決定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項11】
前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、前記衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻ることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項12】
前記基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、前記衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻ることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法。
【請求項13】
ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得するためのユーザから基地局までの区間の情報収集モジュールであって、前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含むユーザから基地局までの区間の情報収集モジュールと、
前記ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定するためのユーザから基地局までの区間の電力決定モジュールと、
前記第1の人工補助雑音電力を前記ユーザから基地局までの区間に加え、前記ユーザ端末の上りリンク送信電力と前記第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行うためのユーザから基地局までの区間の電力割当モジュールと、
前記衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得するための基地局から衛星までの区間の情報収集モジュールと、
前記基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、前記基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、前記基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定するための基地局から衛星までの区間の電力決定モジュールと、
前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とを前記基地局から衛星までの区間に加え、前記基地局正規信号送信電力と前記第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行うための基地局から衛星までの区間の電力割当モジュールと、を含む、
ことを特徴とする衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置を含む、
基地局電力管理センター。
【請求項15】
コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、当該コンピュータ命令がプロセッサによって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法が実施される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークセキュリティの技術分野に関し、特に、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置、基地局電力管理センターおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0002】
<関連出願の相互引用>
本願は、2023年1月18日に中国専利局に提出された出願番号が202310120786.Xである中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は引用により本願に取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
衛星-地上通信ネットワークでは、遠隔地にある基地局やアクセスポイントが衛星を介してコアネットワークに接続されることで、安価で効率的な通信アクセスサービスを地上ユーザに提供する。しかし、衛星-地上通信ネットワークの広域カバレッジとオープンチャネル特性を考慮すると、衛星-地上通信ネットワークが高いセキュリティを必要とする大量の機密データを伝送するという事実と相まって、悪意のあるユーザによる盗聴が発生した場合、政治的・経済的に大きな損失をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法、装置、基地局電力管理センターおよびコンピュータ可読記憶媒体を提供し、悪意のあるユーザの盗聴を抑制し、上りの安全容量を向上させ、通信セキュリティを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することであって、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含むことと、
ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、前記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定することと、
第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加え、ユーザ端末の上りリンク送信電力と第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行うことと、
衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することと、
基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定することと、
基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加え、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行うことと、を含む、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法が提供される。
【0006】
さらに、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、
第1の安全通信識別子を生成することであって、第1の安全通信識別子は、ユーザから基地局までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられることをさらに含み、
第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えることは、
第1の安全通信識別子に基づいて、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えることを含む。
【0007】
さらに、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することと、
ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することと、を含む。
【0008】
さらに、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、第1の盗聴者チャネル状態情報とをさらに含み、
衛星-地上通信ネットワークにおけるユーザから基地局までの区間の初期化パラメータは、基地局の全二重自己干渉情報と、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータと、基地局の最大送信電力とを含み、
ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することは、
第1の盗聴者チャネル状態情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定することと、
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定することと、を含み、
ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
チャネル利得係数が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が送信影響係数より大きいことに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することを含む。
【0009】
さらに、第1の盗聴者チャネル状態情報は、ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とを含み、
第1の盗聴者チャネル状態情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定することは、
ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を決定することと、
ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、ユーザ端末から基地局までのチャネルと、ユーザ端末から盗聴者までのチャネルとの第2のチャネル利得比を決定することと、を含み、
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定することは、
基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第1の比を決定することと、
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第2の比を決定することと、を含み、
チャネル利得係数が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が送信影響係数より大きいことに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定することは、
第1のチャネル利得比が1より大きく、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいことを判定することを含む。
【0010】
さらに、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定することは、
ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを決定することと、
ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の第1の人工補助雑音電力を決定することと、を含む。
【0011】
さらに、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、
第2の安全通信識別子を生成することであって、第2の安全通信識別子は、基地局から衛星までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられることをさらに含み、
基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えることは、
第2の安全通信識別子に基づいて、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えることを含む。
【0012】
さらに、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定することは、
基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することと、
基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定することと、を含む。
【0013】
さらに、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とを含み、第2の盗聴者チャネル状態情報は、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報を含み、
衛星-地上通信ネットワークにおける基地局から衛星までの区間の初期化パラメータは、衛星の受信端の雑音情報と、基地局によって送信された初期化パラメータと、衛星の受信端の残留干渉係数とを含み、
基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定することは、
基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局から衛星までのチャネルと基地局から盗聴者までのチャネルとの第3のチャネル利得比を決定することと、
衛星の受信端の雑音情報と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとに基づいて、衛星の受信端の雑音と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとの第3の比を決定することと、を含み、
基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定することは、
第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいことを判定することを含む。
【0014】
さらに、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定することは、
基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを決定することと、
基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、第2の人工補助雑音電力とを決定することと、を含む。
【0015】
さらに、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法は、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻ることをさらに含む。
【0016】
さらに、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法は、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻ることをさらに含む。
【0017】
本発明により、ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得するためのユーザから基地局までの区間の情報収集モジュールであって、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含むユーザから基地局までの区間の情報収集モジュールと、
ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定するためのユーザから基地局までの区間の電力決定モジュールと、
第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加え、ユーザ端末の上りリンク送信電力と第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行うためのユーザから基地局までの区間の電力割当モジュールと、
衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得するための基地局から衛星までの区間の情報収集モジュールと、
基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定するための基地局から衛星までの区間の電力決定モジュールと、
基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加え、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行うための基地局から衛星までの区間の電力割当モジュールと、を含む、衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置が提供される。
【0018】
さらに、ユーザから基地局までの区間の電力決定モジュールは、さらに、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、第1の安全通信識別子を生成するために用いられ、第1の安全通信識別子は、ユーザから基地局までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられ、
ユーザから基地局までの区間の電力割当モジュールは、具体的に、第1の安全通信識別子に基づいて、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えるために用いられる。
【0019】
さらに、装置は、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するための第1の安全通信条件判定モジュールをさらに含み、第1の安全通信条件判定モジュールは、第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールと、第1の安全通信条件判定サブモジュールと、を含み、
第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定サブモジュールは、ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0020】
さらに、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、第1の盗聴者チャネル状態情報とをさらに含み、
衛星-地上通信ネットワークにおけるユーザから基地局までの区間の初期化パラメータは、基地局の全二重自己干渉情報と、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータと、基地局の最大送信電力とを含み、
第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、チャネル利得係数の決定ユニットと、送信影響係数の決定ユニットと、を含み、
チャネル利得係数の決定ユニットは、第1の盗聴者チャネル状態情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定するために用いられ、
送信影響係数の決定ユニットは、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定サブモジュールは、第1の安全通信条件判定ユニットを含み、
第1の安全通信条件判定ユニットは、チャネル利得係数が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が送信影響係数より大きいことに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0021】
さらに、第1の盗聴者チャネル状態情報は、ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とを含み、
チャネル利得係数の決定ユニットは、具体的に、
ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を決定し、
ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、ユーザ端末から基地局までのチャネルと、ユーザ端末から盗聴者までのチャネルとの第2のチャネル利得比を決定するために用いられ、
送信影響係数の決定ユニットは、具体的に、
基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第1の比を決定し、
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第2の比を決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定ユニットは、具体的に、第1のチャネル利得比が1より大きく、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいことを判定するために用いられる。
【0022】
さらに、ユーザから基地局までの区間の電力決定モジュールは、具体的に、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを決定し、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の第1の人工補助雑音電力を決定するために用いられる。
【0023】
さらに、基地局から衛星までの区間の電力決定モジュールは、さらに、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、第2の安全通信識別子を生成するために用いられ、第2の安全通信識別子は、基地局から衛星までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられ、
基地局から衛星までの区間の電力割当モジュールは、具体的に、第2の安全通信識別子に基づいて、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えるために用いられる。
【0024】
さらに、装置は、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定するための第2の安全通信条件判定モジュールをさらに含み、第2の安全通信条件判定モジュールは、第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールと、第2の安全通信条件判定サブモジュールと、を含み、
第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定するために用いられ、
第2の安全通信条件判定サブモジュールは、基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0025】
さらに、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とを含み、第2の盗聴者チャネル状態情報は、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報を含み、
衛星-地上通信ネットワークにおける基地局から衛星までの区間の初期化パラメータは、衛星の受信端の雑音情報と、基地局によって送信された初期化パラメータと、衛星の受信端の残留干渉係数とを含み、
第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、具体的に、
基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局から衛星までのチャネルと基地局から盗聴者までのチャネルとの第3のチャネル利得比を決定し、
衛星の受信端の雑音情報と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとに基づいて、衛星の受信端の雑音と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとの第3の比を決定するために用いられ、
第2の安全通信条件判定サブモジュールは、第2の安全通信条件判定ユニットを含み、
第2の安全通信条件判定ユニットは、第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいことを判定するために用いられる。
【0026】
さらに、基地局から衛星までの区間の電力決定モジュールは、具体的に、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを決定し、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、第2の人工補助雑音電力とを決定するために用いられる。
【0027】
本発明により、コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、当該命令がプロセッサによって実行されると、上述のいずれかの方法が実施される、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0028】
さらに、本発明の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法は、ユーザから基地局までの区間と、基地局から衛星までの区間との2つの区間がそれぞれ対応する安全通信条件を満たす場合、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えることで、当該区間の最適な電力割当を実現し、基地局正規信号送信電力と基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えることで、当該区間の最適な電力割当を実現し、最終的に2つの区間の最適な電力割当を実現することで、悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、上りの安全送信容量を向上させ、安全な情報送信を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークのシステムを示す概略図である。
図2】本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
図3】本発明の実施例により提供されるユーザから基地局までの区間の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
図4】本発明の実施例により提供される基地局から衛星までの区間の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
図5】本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの上りの安全容量性能を示す概略図である。
図6】本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置のモジュールを示す概略図である。
図7】本発明の実施例により提供される基地局電力管理センターのモジュールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施例をここで詳細に説明し、その例示は添付の図面に示される。以下の説明が図面に言及している場合、特に断りのない限り、異なる図面の同じ番号は、同じまたは類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記載の実施例は、本発明の1つまたは複数の実施例と一致する全ての実施例を表すものではない。逆に、それらは、添付の特許請求の範囲に詳述されているような、本発明の1つまたは複数の実施例のいくつかの態様と一致する装置および方法の例に過ぎない。
【0031】
なお、他の実施例において、対応する方法のステップは、必ずしも本明細書に示され記載された順序で実行されるわけではない。いくつかの他の実施例において、その方法には、本明細書に記載されるより多いまたは少ないステップが含まれてもよい。また、本明細書に記載される単一のステップは、他の実施例において説明のために複数のステップに分解され得、本明細書に記載される複数のステップは、他の実施例において説明のために単一のステップに組み合わされ得る。
【0032】
悪意のあるユーザによる盗聴を効果的に抑制し、安全な送信を実現するために、本発明の実施例は衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法を提供する。
【0033】
ここで、ユーザ端末(コアネットワークにアクセスされている現在のユーザ端末)による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得し、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定し、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加え、ユーザ端末の上りリンク送信電力と第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行い、衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得し、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを決定し、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加え、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行う。
【0034】
本発明の実施例において、ユーザから基地局までの区間と、基地局から衛星までの区間との2つの区間がそれぞれ対応する安全通信条件を満たす場合、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えることで、当該区間の最適な電力割当を実現することにより、ユーザから基地局までの区間の、悪意のあるユーザによる盗聴を効果的に抑制し、ユーザから基地局までの区間の通信安全性を向上させ、安全な情報送信を促進する。また、基地局正規信号送信電力と基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えることで、当該区間の最適な電力割当を実現することにより、基地局から衛星までの区間の、悪意のあるユーザによる盗聴を効果的に抑制し、基地局から衛星までの区間の通信安全性を向上させ、安全な情報送信を促進する。
【0035】
さらに、衛星-地上通信ネットワークは、ユーザから基地局までの区間と、基地局から衛星までの区間との2つの区間を含むため、最適な安全性とエネルギー効率の観点から、2つの最適な電力割当スキームを設計することで、衛星-地上通信ネットワークの全体的な安全性とエネルギー効率を向上させ、安全な情報送信を促進することができる。
【0036】
図1は本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークのシステムを示す概略図である。
【0037】
図1に示すように、衛星-地上通信ネットワークは、地上区間と宇宙区間とを含み、地上区間はユーザ端末、基地局、地上局を含み、宇宙区間は複数の衛星を含む。
【0038】
ここで、上記各ユーザ端末と、カバーエリアがそれを含む基地局と、関連する衛星とが順番に接続されて通信リンクが形成され、関連する衛星とは、基地局がアクセスすることを選択した、通信ビーム範囲が当該基地局をカバーできる衛星を指す。ユーザ端末に上り送信を必要とするデータがある場合、それをカバーする基地局を1つ選択して通信リンクを構築し、当該通信リンクは、ユーザから基地局までの区間であり、基地局は、通信ビームがそれをカバーする衛星を1つ選択してアクセスし、通信リンクを構築し、当該通信リンクは、基地局から衛星までの区間である。
【0039】
衛星-地上通信ネットワークの宇宙区間の複数の衛星間は、情報送信のための衛星間リンクが存在し、最終的に、地上局に送信することで、ユーザ端末の上り送信データがコアネットワークに転送される。
【0040】
図1を参照し、悪意のあるユーザによる盗聴は、ユーザから基地局までの区間と基地局から衛星までの区間の両方に存在する可能性があり、システムは基地局を介してユーザから基地局までの区間に第1の人工補助雑音電力、基地局から衛星までの区間に第2の人工補助雑音電力をそれぞれ加えることで盗聴を抑制し、基地局電力管理センターを通じて電力割当の管理を行う。
【0041】
いくつかの実施例において、本発明の実施例の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法の実行主体は、基地局電力管理センターであってもよいが、これに限定されない。以下、衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法について詳細に説明する。
【0042】
図2は本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
【0043】
図2に示す実施例において、当該衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法はステップ110a~ステップ130bを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0044】
ステップ110a、ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得し、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含む。こうすると、チャネルはリアルタイムで変化するため、現在チャネル情報を取得して電力割当を行うことで、チャネルのリアルタイム安全性を向上させる。
【0045】
上記ユーザ端末は、単一のユーザ端末であっても、複数のユーザ端末であってもよく、切断後に再アクセスされた旧ユーザ端末であっても、初めてアクセスされた新ユーザ端末であっても、チャネルにアクセスされて上り送信を行うユーザ端末であれば、本発明の実施例の保護範囲に含まれる。
【0046】
いくつかの実施例において、ユーザから基地局までの区間は、ユーザ端末と、それをカバーする基地局との間で構築された上り通信リンクであり、基地局は全二重モードを使用し、ユーザ端末によってアップロードされた正規信号の収集と人工補助雑音の送信とを同時に行う。
【0047】
ステップ120a、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定する。
【0048】
ステップ130a、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加え、ユーザ端末の上りリンク送信電力と第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行う。
【0049】
ステップ110b、衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得する。
【0050】
いくつかの実施例において、基地局から衛星までの区間は、ユーザ端末がアクセスした基地局と、それをカバーする衛星との間で構築された上り通信リンクであり、当該リンクにおいて、基地局は、受信したユーザ端末正規信号と、盗聴を抑制するために加えられた人工補助雑音信号を同時に送信する。
【0051】
ステップ120b、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定する。
【0052】
上記基地局は、ユーザ端末をカバーし、ユーザ端末との接続を構築した基地局であってもよい。
【0053】
上記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報および基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、いずれも衛星-地上通信ネットワークの現在チャネル情報であってもよく、安全な送信の電力割当のための必要な情報でもある。衛星-地上通信ネットワークの現在チャネル情報は、ユーザ端末から基地局までのチャネル利得
【数1】
、基地局から衛星までのチャネル利得
【数2】
、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報
【数3】
、ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報
【数4】
、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報
【数5】
を含んでもよいが、これらに限定されない。uは現在のユーザuserの頭文字であり、ユーザ側を表し、bは基地局base stationの頭文字であり、基地局側を表し、sは衛星satelliteの頭文字であり、衛星側を表し、eは盗聴者eavesdropperの頭文字であり、盗聴者を表す。bsは基地局から衛星までを表し、bseは基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までを表す。本実施例において、上記衛星-地上通信ネットワークの現在チャネル情報はパイロットによって得られる。
【0054】
ステップ130b、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加え、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行い、最終的にユーザから基地局までの区間と基地局から衛星までの区間との最適な電力割当を実現する。
【0055】
図2に示すような第1の実施例において、本発明の実施例の方法は、ステップ110a、ステップ120a、ステップ130a、ステップ110b、ステップ120b、およびステップ130bを順次実行してもよい。
【0056】
さらに、ユーザ端末による上り送信中に、ユーザから基地局までの区間において、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得し、ユーザから基地局までの区間の最適な電力割当スキームを決定した後、基地局がユーザ端末によって送信された正規信号を収集するようにしてもよい。合法信号が基地局に届いてから、基地局が衛星と通信する際に基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得し、基地局から衛星までの区間の最適な電力割当スキームを決定した後、基地局がユーザ端末によって送信された正規信号を転送するようにしてもよい。
【0057】
図2に示す実施例において、チャネル状態が変化しているため、ユーザ端末による上り送信中に、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得してもよく、チャネル情報取得の精度を向上させ、より正確に第1の人工補助雑音電力を得ることができ、それにより、衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、ユーザから基地局までの区間の上りの安全容量を最大化する。同時に、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得してもよく、基地局から衛星までの区間の取得の精度を向上させ、より正確に第2の人工補助雑音電力を得ることができ、それにより、最終的に、衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、基地局から衛星までの区間の上りの安全容量を最大化する。
【0058】
もちろん、上記図2におけるステップ110a、ステップ120a、ステップ130a、ステップ110b、ステップ120b、ステップ130bの番号は、ステップの順序を限定するものではなく、上記ステップ110a~上記ステップ130bを使用できる実施例であれば、いずれも本発明の実施例の保護範囲に含まれる。
【0059】
他の第2の実施例は、図2に示す実施例と類似する。図2に示す実施例と比べて、他の第2の実施例において、ステップ110aおよび110bが並列に実行されてもよく、ステップ120aおよび120bも並列に実行されてもよく、ステップ130aおよび130bが並列に実行されてもよい。こうすると、第1の人工補助雑音電力と第2の人工補助雑音電力を並列に素早く得ることができ、処理の効率を向上させ、衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴の抑制能力をある程度向上させる。
【0060】
他の第3の実施例は、図2に示す実施例と類似する。図2に示す実施例と比較して、他の第3の実施例において、ステップ110a、ステップ120a、ステップ130aの3つのステップは、ステップ110b、ステップ120b、ステップ130bの3つのステップの後に実行されてもよく、ここでは限定しない。こうすると、衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴をある程度抑制する。
【0061】
図3は本発明の実施例により提供されるユーザから基地局までの区間の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
【0062】
図3に示すように、上記図2に関連して、上記ステップ120aは、以下のステップ210aをさらに含んでもよく、上記ステップ130aは、以下のステップ310aをさらに含んでもよく、方法は、ステップ100a、ステップ111a、およびステップ410aをさらに含み、詳細は以下の通りである。
【0063】
ステップ100a、衛星-地上通信ネットワークのパラメータを初期化し、衛星-地上通信ネットワークの初期化パラメータを得る。衛星-地上通信ネットワークの初期化パラメータは、ユーザ端末の最大送信電力、基地局の最大送信電力、ユーザから基地局までの区間の信号帯域幅、基地局から衛星までの区間の信号帯域幅、基地局の受信端の雑音パワースペクトル密度Nub0、衛星の受信端の残留干渉係数、基地局の全二重自己干渉チャネル利得、各衛星によってサービスされる基地局の数M、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすか否かの初期化通信識別子、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすか否かの初期化通信識別子などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0064】
上記ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザから基地局までの区間の盗聴者チャネル状態情報とを含む。
【0065】
上記衛星-地上通信ネットワークにおけるユーザから基地局までの区間の初期化パラメータは、基地局の全二重自己干渉情報と、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータと、基地局の最大送信電力とを含み、ここで、基地局の全二重自己干渉情報は、基地局の全二重自己干渉チャネル利得
【数6】
と、基地局の全二重自己干渉係数
【数7】
とを含んでもよい。
【0066】
ステップ111a、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすか否かを判定する。
【0067】
上記ステップ111aは、さらに、以下のステップ(1)とステップ(2)とを含んでもよい。
【0068】
ステップ(1)、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定する。ステップ(2)、ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすか否かを判定する。ここで、物理層安全容量は、チャネルの伝送容量を反映するために使用され、安全容量が大きいほど、盗聴干渉に直面しても安全に伝送できる能力が強くなる。
【0069】
ユーザから基地局までの区間の上りの安全容量の計算式は、
【数8】
となる。
【0070】
当該式における一部のパラメータと関数は、以下のように定義される。
【数9】
はユーザから基地局までの送信レートを表し、
【数10】
はユーザから盗聴者までの送信レートを表し、
【数11】
となり、
【数12】
となる。
【0071】
ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件を通じて、ユーザから基地局までの区間の上りの安全容量
【数13】
がより大きいことを保証し、
【数14】
を満たし、当該式は、
【数15】
と書き換えてもよい。
【0072】
ここで、
【数16】
は、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を表す。
【数17】
は、盗聴者が正規受信者と比べてより大きな人工補助雑音の干渉を受けていることを表し、即ち、同じ人工雑音電力の下で、盗聴者がより大きな干渉を受け、こういうときこそ、人工補助雑音を加える意味があり、したがって、
【数18】
と設定する必要がある。
【0073】
ここで、上記ステップ(1)は一つ目のステップと二つ目のステップとを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0074】
上記一つ目のステップ、盗聴者チャネル状態情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定する。
【0075】
ここで、盗聴者チャネル状態情報は、ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とを含む。
【0076】
上記一つ目のステップはステップ1)とステップ2)とを含んでもよいが、これらに限定されない。ステップ1)、基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を決定する。
【0077】
具体的に、下式で上記第1のチャネル利得比を算出する。
【数19】
【0078】
ステップ2)、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、ユーザ端末から基地局までのチャネルと、ユーザ端末から盗聴者までのチャネルとの第2のチャネル利得比を決定する。
【0079】
具体的に、下式で上記第2のチャネル利得比を算出する。
【数20】
【0080】
上記二つ目のステップ、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定する。
【0081】
上記二つ目のステップはステップ3)とステップ4)とを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0082】
ステップ3)、基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第1の比を決定する。ここで、基地局の全二重自己干渉情報は、基地局の全二重自己干渉係数と、基地局の全二重自己干渉チャネル利得とを含んでもよく、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータは、ユーザ端末の最大送信電力を含み、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報は、ユーザ端末から基地局までのチャネル利得を含む。
【0083】
具体的に、下式で上記第1の比を算出する。
【数21】
ここで、
【数22】
は基地局の全二重自己干渉係数であり、
【数23】
は基地局の全二重自己干渉チャネル利得であり、
【数24】
はユーザ端末の最大送信電力であり、
【数25】
はユーザ端末から基地局までのチャネル利得である。
【0084】
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第2の比を決定する。ここで、基地局の受信端の雑音情報は、基地局の受信端の雑音パワースペクトル密度を含み、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報はユーザ端末から基地局までのチャネル利得を含み、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータは、ユーザから基地局までの区間の信号帯域幅とユーザ端末の最大送信電力とを含んでもよい。
【0085】
具体的に、下式で上記第2の比を算出する。
【数26】
ここで、
【数27】
はユーザから基地局までの区間の信号帯域幅である。
【0086】
次に、上記ステップ(2)は三つ目のステップを含んでもよいが、これに限定されない。三つ目のステップ、チャネル利得係数が1より大きいか否か、基地局の最大送信電力が送信影響係数より大きいか否かに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすか否かを判定する。したがって、チャネル利得係数はできるだけ大きく、送信影響係数はできるだけ小さくなる。
【0087】
上記三つ目のステップは、さらに、ステップ5)を含んでもよい。ステップ5)、第1のチャネル利得比が1より大きいか否か、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きいか否か、基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいか否かを計算することで、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすか否かを判定する。
【0088】
上記調整された第2の比は、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積を用いて第2の比を調整することにより得られる。詳細は下記の条件c)を参照する。
【0089】
第1のチャネル利得比が1より大きくない場合、または第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きくない場合、または基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きくない場合、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定する。
【0090】
第1のチャネル利得比が1より大きく、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きい場合、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定する。
【0091】
上記第1のチャネル利得比が1より大きいこと、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きいこと、基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいことは、具体的に、それぞれa)、
【数28】
b)、
【数29】
c)、
【数30】
であってもよい。
【数31】
は基地局の最大送信電力である。
【0092】
a)、b)、c)の3つの条件がいずれも成立する場合、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定し、以下のステップ210aを実行する。
【0093】
ステップ210a、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、第1の安全通信識別子を生成し、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定し、第1の安全通信識別子は、ユーザから基地局までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられる。
【0094】
上記第1の安全通信識別子は、第1の安全通信フラグFLAG1または他のコードを含んでもよいが、これらに限定されない。もちろん、この第1の安全通信フラグFLAG1は、アルファベットと、文字と、数字とのいずれかまたは組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0095】
上記ステップ210aにおける、第1の安全通信識別子を生成することは、様々な実施例によって実現され得る。
【0096】
ステップ210aにおける、第1の安全通信識別子を生成する1つの実施例では、通信識別子を第1の安全通信識別子として設定することを含んでもよいが、これに限定されない。例示的に、初期化時に、第1の安全通信条件を満たすか否かのフラグFLAG1を0に設定する。ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たす場合、フラグFLAG1を1に設定する。
【0097】
上記ステップ210aにおける、第1の安全通信識別子を生成する別の実施例では、第1の安全通信条件を満たす、ユーザから基地局までの区間に関連する安全通信識別子を生成してもよい。もちろん、他の実施例によっても実現され得、いずれも本発明の実施例の保護範囲に含まれ、ここでは一々例示しない。
【0098】
上記ステップ210aにおける、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定することは、ステップ1とステップ2とを含んでもよい。ステップ1、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを決定する。
【0099】
具体的に、下式でユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを算出する。
【数32】
【0100】
ここで、
【数33】
となる。
【0101】
ステップ2、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の第1の人工補助雑音電力を決定する。
【0102】
具体的に、下式でユーザから基地局までの区間の第1の人工補助雑音電力を算出する。
【数34】
【0103】
ステップ310a、第1の安全通信識別子に基づいて、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間のユーザ端末の上りリンク送信電力に加える。こうすると、第1の安全通信識別子により、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすことを迅速に判定することができ、第1の人工補助雑音電力を取得する効率を向上させ、より効率的な方式で衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、ユーザから基地局までの区間の上りの安全容量を最大化する。
【0104】
ステップ410a、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻る。こうすると、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末または現在のユーザ端末の再アクセスのためにチャネルを切り替えることができ、新たなユーザ端末又は現在のユーザ端末の再アクセスを容易にするとともに、チャネルの利用効率を向上させることができる。
【0105】
ステップ410aは、さらに、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、ユーザから基地局までの区間の通信識別子を初期化することを含んでもよい。例示的に、第1の安全通信条件を満たすか否かのフラグFLAG1を0に設定する。
【0106】
ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した別の実施例では、ユーザ端末の通信フローを終了する。
【0107】
図4は本発明の実施例により提供される基地局から衛星までの区間の衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法のフローを示す概略図である。
【0108】
図4に示すように、上記図2に関連して、上記ステップ120bは、以下のステップ210bをさらに含んでもよく、上記ステップ130bは、以下のステップ310bをさらに含んでもよい。方法は、ステップ100b、ステップ111b、およびステップ410bをさらに含み、詳細は以下の通りである。
【0109】
ステップ100b、衛星-地上通信ネットワークのパラメータを初期化し、衛星-地上通信ネットワークの初期化パラメータを得る。
【0110】
ステップ111b、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすか否かを判定する。
【0111】
上記ステップ111bは、さらに、以下のステップ<1>とステップ<2>とを含んでもよい。
【0112】
ステップ<1>、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定する。ステップ<2>、基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすか否かを判定する。
【0113】
上記基地局から衛星までの区間の上りの安全容量の計算式は、
【数35】
となる。
【0114】
ここで、一部のパラメータと関数は、
【数36】
となり、
【数37】
となり、
【数38】
は基地局から衛星までの区間の衛星の受信端の雑音パワースペクトル密度を表し、
【数39】
は基地局に割り当てられた上りリンク送信タイムスロットを表し、
【数40】
は基地局から衛星までの送信レートを表し、
【数41】
は基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までの送信レートを表す。
【0115】
基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件を通じて、基地局から衛星までの区間の上りの安全容量を保証する。
【0116】
ここで、上記ステップ<1>は1つ目のステップと2つ目のステップとを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0117】
基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、基地局から衛星までのチャネル利得と、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報を含み、衛星-地上通信ネットワークにおける基地局から衛星までの区間の初期化パラメータは、衛星の受信端の雑音情報と、基地局によって送信された初期化パラメータと、衛星の受信端の残留干渉係数とを含む。
【0118】
1つ目のステップはステップ1>とステップ2>とを含んでもよいが、これらに限定されない
【0119】
ステップ1>、基地局から衛星までのチャネル利得と、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、基地局から衛星までのチャネルと基地局から盗聴者までのチャネルとの第3のチャネル利得比を決定する。
【0120】
具体的に、下式で第3のチャネル利得比を算出する。
【数42】
ここで、
【数43】
は基地局から衛星までのチャネル利得であり、
【数44】
は基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル利得の最大推定値である。
【0121】
ステップ2>、衛星の受信端の雑音情報と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとに基づいて、衛星の受信端の雑音と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとの第3の比を決定する。ここで、衛星の受信端の雑音情報は、衛星の受信端の雑音パワースペクトル密度を含んでもよい。基地局によって送信された初期化パラメータは、基地局の最大送信電力を含む。
【0122】
具体的に、下式で第3の比を算出する。
【数45】
ここで、
【数46】
は基地局から衛星までの区間の信号帯域幅である。
【0123】
上記ステップ<2>はステップ3>を含んでもよいが、これに限定されない。ステップ3>、第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいか否かを計算することで、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすか否かを判定する。
【0124】
第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さくない場合、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定する。
【0125】
第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さい場合、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定する。
【0126】
上記第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいことは、具体的に、
【数47】
であってもよく、ここで、
【数48】
は衛星の受信端の残留干渉係数である。基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、以下のステップ210bを実行する。
【0127】
ステップ210b、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、第2の安全通信識別子を生成し、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定し、第2の安全通信識別子は、基地局から衛星までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられる。
【0128】
上記第2の安全通信識別子は第1の安全通信識別子と類似し、第2の安全通信識別子は、第2の安全通信フラグFLAG2または他のコードを含んでもよいが、これらに限定されない。もちろん、この第2の安全通信フラグFLAG2は、アルファベットと、文字と、数字とのいずれかまたは組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0129】
上記ステップ210bにおける、第2の安全通信識別子を生成することは、様々な実施例によって実現され得る。
【0130】
ステップ210bにおける、第2の安全通信識別子を生成する1つの実施例では、第2の安全通信識別子を生成することは、通信識別子を第2の安全通信識別子として設定することを含んでもよいが、これに限定されない。例示的に、初期化時に、第2の安全通信条件を満たすか否かのフラグFLAG2を0に設定する。基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たす場合、フラグFLAG2を1に設定する。
【0131】
上記ステップ210bにおける、第2の安全通信識別子を生成する別の実施例では、第2の安全通信条件を満たす、基地局から衛星までの区間に関連する安全通信識別子を生成してもよい。もちろん、他の実施例によっても実現され得、いずれも本発明の実施例の保護範囲に含まれ、ここでは一々例示しない。
【0132】
上記ステップ210bにおける、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定することは、第1のステップと第2のステップとを含んでもよい。第1のステップ、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを決定する。
【0133】
具体的に、下式で基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを算出する。
【数49】
【0134】
第2のステップ、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、第2の人工補助雑音電力とを決定する
【0135】
具体的に、下式で基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力を算出する。
【数50】
【0136】
具体的に、下式で第2の人工補助雑音電力を算出する。
【数51】
【0137】
ステップ310b、第2の安全通信識別子に基づいて、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加える。こうすると、第2の安全通信識別子により、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすことを迅速に判定することができ、第2の人工補助雑音電力を取得する効率を向上させ、より効率的な方式で衛星-地上通信ネットワークにおける悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、基地局から衛星までの区間の上りの安全容量を最大化する。
【0138】
ステップ410b、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻る。こうすると、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末または現在のユーザ端末の再アクセスのためにチャネルを切り替えることができ、新たなユーザ端末又は現在のユーザ端末の再アクセスを容易にするとともに、チャネルの利用効率を向上させることができる。
【0139】
ステップ410bは、さらに、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、基地局から衛星までの区間の通信識別子を初期化することを含んでもよい。例示的に、第2の安全通信条件を満たすか否かのフラグFLAG2を0に設定する。
【0140】
基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した別の実施例では、ユーザ端末の通信フローを終了する。
【0141】
上記基地局電力管理センターによって実行された電力割当に基づいて、基地局は、ユーザから基地局までの区間と基地局から衛星までの区間とを区別し、ユーザから基地局までの区間に対応する電力に第1の人工補助雑音電力を加えて悪意のあるユーザによる盗聴を抑制し、基地局から衛星までの区間に対応する電力に第2の人工補助雑音電力を加えて悪意のあるユーザによる盗聴を抑制する。FLAG1とFLAG2がともに1の場合、ユーザから基地局までの区間において、ユーザ端末の上り送信電力は、ユーザ端末の最大送信電力
【数52】
と基地局によって加えられた第1の人工補助雑音電力
【数53】
に基づいて最適な電力割当を行われ、基地局から衛星までの区間において、基地局によって割り当てられる基地局正規信号送信電力
【数54】
と基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力
【数55】
に基づいて最適な電力割当が行われる。
【0142】
上記2つの段階を組み合わせて衛星-地上通信ネットワークの最適な上り電力割当を行うことで、衛星-地上通信ネットワークの安全性能を最適化する。それ以外の場合、安全な送信は利用できず、最適な上り電力割当スキームがないことをユーザ端末に通知する。
【0143】
図5は本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの上りの安全容量性能を示す概略図である。
【0144】
図1および図5に関連して、図1における衛星は500kmの軌道に配置されており、地上ネットワークの帯域幅は、
【数56】
MHzとなり、雑音パワースペクトル密度は
【数57】
dBm/Hzとなり、基地局から衛星までの上りリンクはKaバンドを採用し、帯域幅は
【数58】
MHzとなり、地上チャネルはレイリーチャネル(Rayleigh channel)モデルを使用し、衛星チャネルはライスチャネル(Rician channel)モデルを使用し、ユーザ端末と基地局との最大送信電力は
【数59】
dBmと
【数60】
dBmであり、ユーザ端末から基地局までの上り送信における、全二重モードの自己干渉係数を
【数61】
と仮定し、基地局から衛星までの残留干渉係数を
【数62】
と仮定し、ユーザ端末と基地局の距離を50mと仮定する。ユーザ端末から基地局までのリンクと盗聴者から基地局までのリンクとの間の角度は30°であり、盗聴チャネル推定差(即ち、実際の経路損失と盗聴チャネル推定値との間の差)は、実際の経路損失と比較して0.2であり、1つの衛星によってサービスされる基地局の数は100~500である。図5を参照すると、本発明の実施例により提出される電力割当方法は、衛星-地上通信ネットワークの安全容量性能を効果的に向上させることができ、人工補助雑音なしの場合と比較して、平均安全容量が少なくとも242%向上し、ユーザから基地局までの区間では最大電力、基地局から衛星までの区間では平均電力の割当方式と比較して、平均安全容量が6.6%~31.2%向上したことが分かる。
【0145】
図6は、本発明の実施例により提供される衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置のモジュールを示す概略図である。当該衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置は、
ユーザ端末による上り送信中に、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得するためのユーザから基地局までの区間の情報収集モジュールであって、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末の上りリンク送信電力を含むユーザから基地局までの区間の情報収集モジュール61と、
ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局によって割り当てられる第1の人工補助雑音電力を決定するためのユーザから基地局までの区間の電力決定モジュール62と、
第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加え、ユーザ端末の上りリンク送信電力と第1の人工補助雑音電力とで電力割当を行うためのユーザから基地局までの区間の電力割当モジュール63と、
衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得するための基地局から衛星までの区間の情報収集モジュール64と、
基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報に基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、基地局によって割り当てられる第2の人工補助雑音電力とを決定するための基地局から衛星までの区間の電力決定モジュール65と、
基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加え、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とで電力割当を行うための基地局から衛星までの区間の電力割当モジュール66と、を含み得る。
【0146】
いくつかの実施例において、ユーザから基地局までの区間の電力決定モジュール62は、さらに、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定した場合、第1の安全通信識別子を生成するために用いられ、第1の安全通信識別子は、ユーザから基地局までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられ、
ユーザから基地局までの区間の電力割当モジュール63は、具体的に、第1の安全通信識別子に基づいて、第1の人工補助雑音電力をユーザから基地局までの区間に加えるために用いられる。
【0147】
いくつかの実施例において、装置は、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するための第1の安全通信条件判定モジュールをさらに含み、第1の安全通信条件判定モジュールは、第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールと、第1の安全通信条件判定サブモジュールと、を含み、
第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定サブモジュールは、ユーザから基地局までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0148】
いくつかの実施例において、ユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報は、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、第1の盗聴者チャネル状態情報とをさらに含み、
衛星-地上通信ネットワークにおけるユーザから基地局までの区間の初期化パラメータは、基地局の全二重自己干渉情報と、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータと、基地局の最大送信電力とを含み、
第1のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、チャネル利得係数の決定ユニットと、送信影響係数の決定ユニットと、を含み、
チャネル利得係数の決定ユニットは、第1の盗聴者チャネル状態情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、チャネル利得係数を決定するために用いられ、
送信影響係数の決定ユニットは、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、雑音干渉が送信に与える影響の送信影響係数を決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定サブモジュールは、第1の安全通信条件判定ユニットを含み、
第1の安全通信条件判定ユニットは、チャネル利得係数が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が送信影響係数より大きいことに基づいて、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0149】
いくつかの実施例において、第1の盗聴者チャネル状態情報は、ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とを含み、
チャネル利得係数の決定ユニットは、具体的に、
ユーザから基地局までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報と、基地局の全二重自己干渉情報とに基づいて、基地局から盗聴者までのチャネルと基地局自己干渉チャネルとの第1のチャネル利得比を決定し、
ユーザ端末によって送信されたチャネル情報と、ユーザから基地局までの区間のユーザ端末から盗聴者までのチャネル状態情報とに基づいて、ユーザ端末から基地局までのチャネルと、ユーザ端末から盗聴者までのチャネルとの第2のチャネル利得比を決定するために用いられ、
送信影響係数の決定ユニットは、具体的に、
基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の全二重自己干渉情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第1の比を決定し、
基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとに基づいて、基地局の受信端の雑音情報と、ユーザ端末によって送信されたチャネル情報およびユーザ端末によって送信された初期化パラメータとの第2の比を決定するために用いられ、
第1の安全通信条件判定ユニットは、具体的に、第1のチャネル利得比が1より大きく、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比との積が1より大きく、かつ基地局の最大送信電力が、第2のチャネル利得比によって調整された第1の比と、第1のチャネル利得比と第2のチャネル利得比とによって調整された第2の比との比より大きいことを判定するために用いられる。
【0150】
いくつかの実施例において、ユーザから基地局までの区間の電力決定モジュール62は、具体的に、ユーザから基地局までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータを決定し、ユーザから基地局までの区間の電力補助パラメータに基づいて、ユーザから基地局までの区間の第1の人工補助雑音電力を決定するために用いられる。
【0151】
いくつかの実施例において、基地局から衛星までの区間の電力決定モジュール65は、さらに、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定した場合、第2の安全通信識別子を生成するために用いられ、第2の安全通信識別子は、基地局から衛星までの区間が安全通信状態にあることを識別するために用いられ、
基地局から衛星までの区間の電力割当モジュール66は、具体的に、第2の安全通信識別子に基づいて、基地局正規信号送信電力と第2の人工補助雑音電力とを基地局から衛星までの区間に加えるために用いられる。
【0152】
いくつかの実施例において、装置は、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定するための第2の安全通信条件判定モジュールをさらに含み、第2の安全通信条件判定モジュールは、第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールと、第2の安全通信条件判定サブモジュールと、を含み、
第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータを決定するために用いられ、
第2の安全通信条件判定サブモジュールは、基地局から衛星までの区間の安全容量の最大化という制約条件の下で、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たすと判定するために用いられる。
【0153】
いくつかの実施例において、基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報は、基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とを含み、第2の盗聴者チャネル状態情報は、基地局から衛星までの区間の基地局から盗聴者までのチャネル状態情報を含み、
衛星-地上通信ネットワークにおける基地局から衛星までの区間の初期化パラメータは、衛星の受信端の雑音情報と、基地局によって送信された初期化パラメータと、衛星の受信端の残留干渉係数とを含み、
第2のチャネル利得比補助パラメータサブモジュールは、具体的に、
基地局から衛星までのチャネル利得と、第2の盗聴者チャネル状態情報とに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局から衛星までのチャネルと基地局から盗聴者までのチャネルとの第3のチャネル利得比を決定し、
衛星の受信端の雑音情報と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとに基づいて、衛星の受信端の雑音と、基地局から衛星までのチャネル利得および基地局によって送信された初期化パラメータとの第3の比を決定するために用いられ、
第2の安全通信条件判定サブモジュールは、第2の安全通信条件判定ユニットを含み、
第2の安全通信条件判定ユニットは、第3のチャネル利得比によって調整された第3の比と、衛星の受信端の残留干渉係数との和が1より小さいことを判定するために用いられる。
【0154】
いくつかの実施例において、基地局から衛星までの区間の電力決定モジュール65は、具体的に、基地局から衛星までの区間のチャネル利得比補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータを決定し、基地局から衛星までの区間の電力補助パラメータに基づいて、基地局から衛星までの区間の基地局正規信号送信電力と、第2の人工補助雑音電力とを決定するために用いられる。
【0155】
いくつかの実施例において、衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置は第1のアクセス決定モジュールをさらに含み、第1のアクセス決定モジュールは、ユーザから基地局までの区間が第1の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークのユーザから基地局までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻るように、前記ユーザから基地局までの区間の情報収集モジュール61をトリガするために用いられる。
【0156】
いくつかの実施例において、衛星-地上通信ネットワークの電力割当装置は第2のアクセス決定モジュールをさらに含み、第2のアクセス決定モジュールは、基地局から衛星までの区間が第2の安全通信条件を満たさないと判定した場合、新たなユーザ端末が上り送信を行うか、または現在のユーザ端末が再び上り送信を行うと、衛星-地上通信ネットワークの基地局から衛星までの区間の現在チャネル情報を取得することの実行に戻るように、前記基地局から衛星までの区間の情報収集モジュール64をトリガするために用いられる。
【0157】
本発明により、上記のような装置を含む、基地局電力管理センターが提供される。
【0158】
図7は本発明の実施例により提供される基地局電力管理センターのモジュールを示すブロック図である。
【0159】
図7に示すように、基地局電力管理センター70は、上記衛星-地上通信ネットワークの電力割当方法を実施するための1つまたは複数のプロセッサ71を含む。
【0160】
いくつかの実施例において、基地局電力管理センター70は、コンピュータ可読記憶媒体79を含んでもよく、コンピュータ可読記憶媒体79は、プロセッサ71によって呼び出され得るプログラムを記憶してもよく、不揮発性記憶媒体を含んでもよい。いくつかの実施例において、基地局電力管理センター70は、メモリ78およびインターフェース77を含んでもよい。いくつかの実施例において、基地局電力管理センター70は、さらに、実際のアプリケーションに応じて他のハードウェアを含んでもよい。
【0161】
本発明は、その中にプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体79(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)上で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用してもよい。コンピュータ可読記憶媒体79は不揮発性および揮発性媒体、移動可能および非移動可能な媒体を含み、任意の方法または技術により情報記憶を実現し得る。情報はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体79は、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶、磁気カセットテープ、磁気テープ磁気ディスク記憶または他の磁気記憶デバイス、またはコンピューティングデバイスからアクセス可能な情報を記憶するために使用され得る任意の他の非伝送媒体を含むがこれらに限定されない。
【0162】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するために使用されるものではなく、本発明の精神および原則の範囲内で行われた任意の修正、同等な置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとするべきである。
【0163】
また、用語「含む」、「含有」またはそのいずれかの他の変形は、非排他的な含有を含むことを意図し、それにより一連の要素を含むプロセス、方法、商品またはデバイスはそれらの要素を含むだけでなく、また明確に列挙されていない他の要素も含み、または、このようなプロセス、方法、商品またはデバイスの固有の要素も含む。より多くの制限がない場合、文「1つの…を含む」により限定された要素については、前記要素を含むプロセス、方法、商品またはデバイスにさらに他の同じ要素が存在することを排除しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7