(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】供試魚投入装置
(51)【国際特許分類】
A01K 61/95 20170101AFI20250407BHJP
A01K 61/10 20170101ALI20250407BHJP
【FI】
A01K61/95
A01K61/10
(21)【出願番号】P 2024049367
(22)【出願日】2024-03-26
【審査請求日】2024-04-25
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚美
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 友希子
(72)【発明者】
【氏名】豊久 志朗
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実公平4-15638(JP,Y2)
【文献】国際公開第2022/210397(WO,A1)
【文献】国際公開第2024/080129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/95
A01K 61/10
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試魚を内部に保持する保持用溝の上面側の開放部から当該保持用溝の内部に供試魚を水と共に投入するための供試魚投入装置であって、
内部に前記供試魚を水と共に収容可能な有底筒状の容器本体で構成され、
前記容器本体の内部を、前記供試魚が収容されて当該容器本体の上縁部に位置する所定の放出縁部に通じる上方側の供試魚収容空間と、前記供試魚が収容されずに水のみが収容されて前記放出縁部に通じる下方側の水収容空間とに仕切る仕切体が、前記放出縁部に向けて上向きに傾斜する姿勢で前記容器本体の内部に設けられており、
前記供試魚を水と共に前記容器本体の内部に収容した状態で、当該容器本体を傾けて当該容器本体の収容物を前記保持用溝の内部に注ぐ容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体の内部に収容されている前記供試魚が、前記放出縁部から水と共に放出されて前記保持用溝の内部に投入され、
前記容器傾斜投入操作の実行時において、前記仕切体が前記容器本体の内壁面よりも前に前記放出縁部側に向けて下る放出傾斜状態になることで、前記容器本体の内部からの水の放出完了前に前記供試魚が前記放出縁部から水と共に放出される供試魚投入装置。
【請求項2】
前記仕切体を、前記水収容空間から前記放出縁部への連通部分を閉鎖する放出縁部閉鎖姿勢と、前記水収容空間から前記放出縁部への連通部分を開放する放出縁部開放姿勢との間で揺動自在に支持する仕切体揺動支持部を備え、
前記容器傾斜投入操作の実行時において、前記供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出前の段階では、前記仕切体が前記放出縁部閉鎖姿勢となって前記水収容空間に収容されている水の前記放出縁部からの放出が抑制され、前記供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出後の段階では、前記仕切体が前記放出縁部開放姿勢となって前記水収容空間に収容されている水の前記放出縁部からの放出が許容される請求項
1に記載の供試魚投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゼブラフィッシュが実験対象動物として非常に注目されている。ゼブラフィッシュのような供試魚を用いた動物実験では、例えば、経口投与などの所定の処置を供試魚に施す際に供試魚を保持するにあたり、供試魚に与えるストレスやダメージを最小限に抑えて、つまり、体表面などに損傷を与えず、火傷の症状を引き起こすこともなく、できるだけ優しく供試魚を保持することが重要な課題となる。
そこで、供試魚に与えるストレスやダメージを極力抑制して、供試魚保持部としての保持用溝に投入された供試魚を所定の姿勢で確実に保持することができる供試魚保持装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
更に、特許文献1には、供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置が記載されている。かかる特許文献1記載の供試魚投入装置は、柔軟性を有する保持具に供試魚保持部として形成された保持用溝に対し、供試魚を水と共に誘導するための傾斜パイプ部材を備える。即ち、この傾斜パイプ部材は、水平に対して傾斜されており、上端部分が上向きに開口する投入口として構成され、下端部分が保持用溝の内部に向けて下向きに開口する流出口として構成されている。そして、傾斜パイプ部材の投入口に対して水と共に供試魚を投入すると、その投入された供試魚は、傾斜パイプ部材の内部に形成される水流に乗って流出口に導かれて、当該流出口から保持用溝の内部に向けて水と共に放出されることになる。この供試魚投入装置では、供試魚の姿勢を傾斜パイプ部材の内部を水流に乗って通過させることで適度に安定させることができ、安定した姿勢のままで供試魚を水と共に保持用溝に向けて放出して、当該保持用溝の内部に保持させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1記載の供試魚投入装置は、比較的高い位置に配置された投入口の高さまで供試魚を持ち上げるという作業や、保持用溝に供試魚が投入された保持具を取り出す際に干渉する傾斜パイプ部材を保持具の上方から一時的に退避させるという作業が必要となる。このような作業は、少数の供試魚に対して経口投与する場合には問題にはならない程度に僅かなものであるが、多数の供試魚に対して経口投与を行う場合などでは、より作業効率を向上するために軽減することが望まれる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置において、供試魚に与える負担を軽減して供試魚保持部に対して安定した姿勢で供試魚を投入可能としながら、供試魚保持部の内部に対する供試魚の投入作業の作業性を向上するための技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置であって、
内部に供試魚を水と共に収容可能な有底筒状の容器本体で構成され、
前記容器本体を傾けて当該容器本体の収容物を所定の供試魚保持部に注ぐ容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体の内部に収容されている供試魚が、当該容器本体の上縁部に位置する所定の放出縁部から水と共に放出されて前記供試魚保持部に投入され、
前記容器傾斜投入操作の実行時に、前記容器本体の内部からの水の放出完了前の供試魚の放出を促す供試魚放出促進部を備える点にある。
【0006】
本構成によれば、上記供試魚放出促進部を備えることにより、上記容器傾斜投入操作の実行時において、容器本体の内部に収容されている水の放出縁部からの放出完了前において、容器本体の内部に収容されている供試魚の放出縁部からの放出が促されることになる。このことで、供試魚保持部に対する供試魚の投入作業が容易になるので、作業性を向上することができる。更に、供試魚保持部に対する供試魚の投入時以降においても、一定時間継続して水を投入し続けることができる。このことで、供試魚保持部の内部に保持された供試魚を少なくとも一定時間水に浸された状態に保ち、当該供試魚を暴れることなく落ち着かせて、供試魚に与えるストレスやダメージを軽減することができる。更に、供試魚保持部の内部に水を滞留させることができる場合には、供試魚保持部の内部の保持された供試魚を、泳力が発揮できる程度の水深になるように適度に水に浸した状態にしながら、供試魚保持部の延在方向に沿った水流を形成することができる。そして、魚は一般的に水流に逆らって泳ぐ習性があることから、供試魚保持部の内部に投入された供試魚の姿勢を水流に逆らう姿勢に安定させることができる。
従って、本発明により、供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置において、供試魚に与える負担を軽減して供試魚保持部に対して安定した姿勢で供試魚を投入可能としながら、供試魚保持部の内部に対する供試魚の投入作業の作業性を向上するための技術を提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記容器本体の内壁面側に、前記放出縁部から下方に向けて前記供試魚の全長以上の長さに延在する溝状の供試魚放出促進溝部が形成されており、
前記供試魚放出促進溝部が、前記容器傾斜投入操作の実行時に、前記供試魚を前記放出縁部に向けて案内すると共に当該放出縁部に向かう水流が形成されることで、前記供試魚放出促進部として機能する点にある。
【0008】
本構成によれば、容器傾斜投入操作の実行時において、容器本体を傾け始めると、当該容器本体の内部に収容されている供試魚が供試魚放出促進溝部に入ることで、当該供試魚の姿勢を供試魚放出促進溝部に沿った姿勢に保持することができる。そして、容器本体の傾斜角度(鉛直方向に対する容器本体の軸芯の角度)を増加させて放出縁部からの水の放出が開始されると、供試魚放出促進溝部には供試魚が泳力を発揮できる程度の水深を保ちながら放出縁部に向かう水流が形成されることになるので、供試魚放出促進溝部において供試魚を水流に逆らう姿勢に安定させることができる。更に、容器本体の傾斜角度を増加させると、供試魚放出促進溝部における水流が強くなるので、その強い水流により、容器本体の内部からの水の放出完了前において、放出縁部から供試魚を安定した姿勢を保ったまま尾びれから放出させることができ、更に、供試魚保持部に対して供試魚を投入した後においても継続して一層良好に水を投入し続けることができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記容器本体の内壁面側において、前記供試魚放出促進溝部の底部が、当該供試魚放出促進溝部を挟む両側の部位よりも、上方ほど外方に傾斜するように形成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、容器傾斜投入操作の実行時において、供試魚放出促進溝部の底部が、供試魚放出促進溝部を挟む両側の部位よりも前に、放出縁部側に向けて下る放出傾斜状態になる。このことで、容器本体の内部に収容されている水が放出縁部から放出されつくす(容器本体の内部からの水の放出完了)前に、容器本体の内部に収容されている供試魚が、供試魚放出促進溝部に保持された状態で供試魚放出促進溝部を挟む両側の部位よりも前に放出傾斜状態となった供試魚放出促進溝部の底部に沿って放出縁部から放出されるので、容器本体の内部からの水の放出完了前において供試魚の放出縁部からの放出が促進されることになる。そして、供試魚保持部に対して供試魚を投入した後においても継続して一層良好に水を投入し続けることができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記容器本体の内部を、前記供試魚が収容されて前記放出縁部に通じる上方側の供試魚収容空間と、前記供試魚が収容されずに水のみが収容されて前記放出縁部に通じる下方側の水収容空間とに仕切る仕切体が、前記放出縁部に向けて上向きに傾斜する姿勢で前記容器本体の内部に設けられており、
前記仕切体が、前記容器傾斜投入操作の実行時において、前記容器本体の内壁面よりも前に前記放出縁部側に向けて下る放出傾斜状態になることで、前記供試魚放出促進部として機能する点にある。
【0012】
本構成によれば、容器傾斜投入操作の実行時において、放出縁部に向けて上向きに傾斜する姿勢で容器本体の内部に設けられた仕切体が、容器本体の内壁面よりも前に、放出縁部側に向けて下る放出傾斜状態になる。このことで、容器本体の内部において仕切体の下方側の水収容空間に収容されている水が放出されつくす(容器本体の内部からの水の放出完了)前に、容器本体の内部において仕切体の上方側の供試魚収容空間に収容されている供試魚が、容器本体の内壁面よりも前に放出傾斜状態となった仕切体に沿って放出縁部から放出される形態で、容器本体の内部からの水の放出完了前において供試魚の放出縁部からの放出が促進されることになる。そして、供試魚保持部に対して供試魚を投入した後においても継続して一層良好に水を投入し続けることができる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記仕切体を、前記水収容空間から前記放出縁部への連通部分を閉鎖する放出縁部閉鎖姿勢と、前記水収容空間から前記放出縁部への連通部分を開放する放出縁部開放姿勢との間で揺動自在に支持する仕切体揺動支持部を備え、
前記容器傾斜投入操作の実行時において、前記供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出前の段階では、前記仕切体が前記放出縁部閉鎖姿勢となって前記水収容空間に収容されている水の前記放出縁部からの放出が抑制され、前記供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出後の段階では、前記仕切体が前記放出縁部開放姿勢となって前記水収容空間に収容されている水の前記放出縁部からの放出が許容される点にある。
【0014】
本構成によれば、容器傾斜投入操作の実行時において、供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出前の段階では、仕切体が水収容空間から放出縁部への連通部分を閉鎖する放出縁部閉鎖姿勢となる。すると、水収容空間に収容されている水の放出縁部からの放出が抑制されるので、供試魚収容空間に収容されている供試魚と水のみが放出縁部から放出されることになるので、水収容空間において比較的多くの水を放出させることなく蓄えておくことができる。そして、供試魚収容空間に収容されている供試魚の放出後の段階では、仕切体が水収容空間から放出縁部への連通部分を開放する放出縁部開放姿勢となる。すると、水収容空間に収容されている比較的多くの水の放出縁部からの放出が許容されるので、供試魚を保持した供試魚保持部に対して比較的長い時間継続して多くの水を投入し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】保持具設置状態の供試魚保持装置において保持用溝の内部への供試魚の投入直後の状態を示す正面視の断面図
【
図6】保持具設置状態の供試魚保持装置において投入具を排出シュート抜去姿勢とした状態を示す正面視の断面図
【
図7】保持用溝の内部に供試魚を保持した保持具を保持具設置ケースから取り出す状態を示す正面視の断面図
【
図8】保持具に保持された供試魚に対する経口投与の実施状態を示す図
【
図12】第1実施形態における供試魚投入方法の第1ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図13】第1実施形態における供試魚投入方法の第2ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図14】第1実施形態における供試魚投入方法の第3ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図15】第1実施形態における供試魚投入方法の第4ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図19】第2実施形態の供試魚投入装置の正面視の断面図
【
図23】第3実施形態における供試魚投入方法の第1ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図24】第3実施形態における供試魚投入方法の第2ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図25】第3実施形態における供試魚投入方法の第3ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図26】第3実施形態における供試魚投入方法の第4ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図30】第4実施形態における供試魚投入方法の第1ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図31】第4実施形態における供試魚投入方法の第2ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図32】第4実施形態における供試魚投入方法の第3ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図33】第4実施形態における供試魚投入方法の第4ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図37】第5実施形態における供試魚投入方法の第1ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図38】第5実施形態における供試魚投入方法の第2ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図39】第5実施形態における供試魚投入方法の第3ステップの状態を示す正面視の断面図
【
図40】第5実施形態における供試魚投入方法の第4ステップの状態を示す正面視の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る供試魚投入装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図4、及び
図5に示すように、本実施形態の供試魚投入装置(以下「供試魚投入装置」と呼ぶ。)5は、詳細については後述するが、供試魚Fを水Wと共に、所定の供試魚保持部に投入するための装置である。また、供試魚保持部は、所定の供試魚保持装置が有する保持用溝12とされている。まず、供試魚保持装置の詳細について、図面に基づいて説明する。
【0017】
[供試魚保持装置]
供試魚保持装置は、例えば
図8に示すように、供試魚Fを保持して各種の生体観察又は生体実験などに供するための設備において、観察又は実験対象の比較的小さな供試魚Fに与える負担を軽減しながら供試魚Fに対して効率良く直接経口投与などの所定の処置を行うことができるものとして構成されている。
【0018】
供試魚保持装置は、
図4、
図5、
図6、及び
図7に示すように、保持具10、保持具設置ケース30、及び投入具40等とからなる。
詳細については後述するが、保持具10は、柔軟性を有する材料からなり、上面10a側で開放されて前後方向Xに沿って延在する保持用溝12が供試魚保持部として形成されている。一方、保持具設置ケース30は、保持具10を内部に収容する容器状の保持具設置部として構成されている。
そして、保持具10を保持具設置ケース30に設置した保持具設置状態(例えば
図4、及び
図5に示す状態)において、保持用溝12が、上面10a側の開放部である溝上開放部12aから水Wと共に投入された供試魚Fを内部に保持するものとして構成されている。
尚、本実施形態において、供試魚Fとしては、ゼブラフィッシュ(Zebrafish)を想定しているが、生体実験に用いる小型の魚であればよく、例えば、ファットヘッドミノー(Fathead minnow)、メダカ(Ricefish)、グッピー(Guppy)などを供試魚Fとすることができる。
【0019】
保持具10は、柔軟性に加えて、透水性および保水性を有する材料、例えばスポンジで構成されている。尚、本実施形態では保持具10全体をスポンジで構成するが、柔軟性、透水性、および、保水性を備えた他の材料、例えば、不織布などで構成することもできる。
保持具10は、
図1、
図2、
図3、
図4、及び
図5に示すように、上面10a側で開放されて前後方向Xに沿って延在する保持用溝12が形成されている。即ち、保持具10の形状は平面視で矩形に形成されており、主に
図2及び
図4に示すように、正面視にて、上側部分の幅が下側部分の幅よりも小さくなる略凸状に形成されている。そして、保持具10の上面10a側には、前後方向Xに延びる溝であって、上方が略直線状の溝上開放部12aにより開放され、その下方の空間が供試魚Fを収容する収容部となる保持用溝12が形成されている。また、保持具10の前方側及び後方側の夫々の側面10bには、保持用溝12の前方側及び後方側の夫々の端部が溝端開放部12bとして開放されている。
【0020】
保持具10において、保持用溝12は、前後方向Xに沿った長さが供試魚Fの全長(口の先端から尾びれの後端までの長さ)よりも長くなるように、保持具10の後端から前端に至るまでの全長に亘って設けられる。例えば、供試魚Fが全長40mm程度のゼブラフィッシュである場合、保持用溝12の長さは約50mmに設定することが望ましい。
保持用溝12の深さは、供試魚Fの鉛直方向の高さよりも若干大きくなっており、例えば、供試魚Fが全長40mm程度のゼブラフィッシュである場合、保持用溝12の深さは、5~25mmの範囲内に設定することが望ましい。
尚、上述の保持用溝12に関する寸法値については適宜変更してもよく、例えば3割程度の範囲で増減させても構わない。
【0021】
保持具10の保持用溝12への供試魚Fの投入は、例えば後述する供試魚投入装置5から直接行うことができるが、供試魚Fに与えるダメージをできるだけ軽減するために、所定の投入具40が用いられる。
投入具40は、
図1、
図2、及び
図3にも示すように、下向きに延出する筒状の排出シュート42を有して、上方に開口された投入口41に投入された供試魚Fを水Wと共に排出シュート42の下端の排出口42aから排出するように構成されている。即ち、投入具40は、投入口41から排出シュート42に向けて供試魚Fを傾斜姿勢のパイプ内にスライドさせる構成を採用せずに、排出シュート42の上方に投入口41を設けて投入口41から直接排出シュート42内へ供試魚Fを誘導するように構成されている。よって、
図4、及び
図5に示すように、投入口41に対して後述する供試魚投入装置5により水Wと共に投入された供試魚Fは、傾斜姿勢のパイプ内をスライドすることなく、水Wと共に直接排出シュート42内に誘導された後に、その排出シュート42の下端の排出口42aから保持具10の保持用溝12に向けて排出される。このことで、供試魚Fの負担や損傷が軽減されると共に、供試魚Fが安定して保持用溝12に投入されることになる。
【0022】
また、投入口41において、供試魚投入装置5による供試魚Fの投入位置は、保持用溝12の延在方向である前後方向Xにおける一方側の位置とすることが望ましい。即ち、供試魚Fは、一般的に水流に沿う姿勢になりやすく、更にはその水流に逆らう姿勢になる習性がある。このことから、供試魚投入装置5から放出された供試魚Fは、同時に放出される水Wの水流に沿った前後方向Xに沿う姿勢となり、更にはその水流に逆らって尾びれ側から放出されて、保持用溝12における供試魚投入装置5による投入位置に近い側の供試魚投入部位12Aから保持用溝12の内部に投入されることになる。よって、保持用溝12の内部に対し、供試魚投入装置5から水Wと共に放出された供試魚Fは、保持用溝12の延在方向(前後方向X)に沿った適切な姿勢で、供試魚投入部位12Aから投入されることになる。
更には、保持用溝12の内部に対して供試魚投入部位12Aから供試魚Fが尾びれ側から投入されることで、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢をできるだけ供試魚投入部位12A側に口先Faを向けた姿勢とすることができる。また、保持具10の供試魚投入部位12Aから水Wと共に供試魚Fが投入された保持用溝12の内部では、供試魚Fが水Wに浸された状態となる上に、供試魚投入部位12Aから他方の部位に向かう水流が形成されることになる。そして、供試魚Fは一般的に水流に逆らう姿勢となる習性があることから、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は、供試魚投入部位12A側に口先Faを向けた姿勢になりやすくなる。
【0023】
保持具10の上面10a側には、上方から投入具40の排出シュート42が挿入されるシュート挿入凹部15が形成されており、シュート挿入凹部15の底部15aに保持用溝12が形成されている。即ち、
図4、及び
図5に示すように、投入具40において下方に延出する筒状の排出シュート42が、保持具10に形成されたシュート挿入凹部15に挿入されて、シュート挿入凹部15の底部15aに排出シュート42の下端開口部が当接する。このようにシュート挿入凹部15に排出シュート42が挿入されることにより、排出シュート42の下端の排出口42aから排出された供試魚Fの保持具10外方への脱落が防止される。更に、排出シュート42をシュート挿入凹部15に挿入するだけで簡単に保持具10が投入具40に対して適切な位置に配置される。これらの構成により、排出シュート42内から排出された供試魚Fが、シュート挿入凹部15の底部15aに形成された保持用溝12に対して確実に進入することになる。
【0024】
平面視で前後方向Xに対して直交する左右方向Yに沿ったシュート挿入凹部15の幅は、
図2に示すように、同左右方向Yに沿った排出シュート42の幅よりも若干小さめに設定されている。よって、
図4に示すように、シュート挿入凹部15に対して若干幅が大きい排出シュート42が挿入されると、保持具10における保持用溝12の左右両側の側壁12dが左右に押し広げられて、それら側壁12dの間に形成されている保持用溝12の幅が左右に若干押し広げられることになる。すると、この状態では、排出シュート42内を通じて排出された供試魚Fをスムーズに保持具10の保持用溝12に進入させることができる。
【0025】
本実施形態における保持具10の全体の大きさは、
図2に示す正面図及び
図3に示す左側面図を参照して、上下方向の高さが約50mmとされており、左右方向Yの幅が約100mmとされており、前後方向Xの厚さが約50mmとされている。また、保持具10の上面10a側に形成されたシュート挿入凹部15の大きさは、上下方向の深さが約15mmとされており、左右方向Yの幅が約15mmとされている。
【0026】
保持具10において、保持用溝12は、
図2等に示すように、上方のシュート挿入凹部15の底部15aに開放された溝上開放部12aを頂点とした略二等辺三角形の断面形状を有するものとして形成されている。この保持用溝12の大きさは、上下方向の高さが約15mmで、底辺の左右方向Yの幅が約10mmで、上記溝上開放部12aの幅は約2mmとされている。
溝上開放部12aを頂点とした略二等辺三角形の断面形状を有する保持用溝12の内部に供試魚Fを保持した状態では、比較的広い幅の空間にて供試魚Fを優しく保持しながら、上面10a側の溝上開放部12aの幅が当該空間の幅よりも狭くなることで、当該溝上開放部12aからの供試魚Fの脱落が好適に防止される。更に、
図7に示すように、保持用溝12の左右両側にある側壁12dを利用者が外側から指Hで摘まむようにすれば、当該保持用溝12からの供試魚Fの脱落を一層好適に防止できる。
【0027】
図1及び
図2に示すように、保持具10には、保持用溝12が形成された溝形成部分18と、その当該溝形成部分18の左右両側部の下部から両側方に延出する一対の側翼部分19とを有して形成されている。詳しくは、幅が約50mmの溝形成部分18の左右両側部夫々の下部側から、幅が約25mmの側翼部分19が左右両側方に延出しており、これら溝形成部分18の下面と一対の側翼部分19の下面とが同一平面状に形成されている。更に、溝形成部分18の下端面から高さ約20mmまでの領域に側翼部分19が位置する。
尚、上述の保持具10に関する寸法値については適宜変更してもよく、例えば3割程度の範囲で増減させても構わない。
【0028】
保持具設置ケース30は、
図1、
図2、及び
図3に示すように、保持具10が内部に収容される状態で着脱自在に設置される容器状の保持具設置部として構成されている。即ち、保持具設置ケース30は、
図4、及び
図5にも示すように、角筒状の外周壁部31の底部が底板部34で塞がれて、外周壁部31の内部に水Wを貯留すると共に、保持具10を保持具設置ケース30に設置した保持具設置状態において、上方側から挿入された保持具10を内部の貯留水Wに浸漬させた状態で外周壁部31の内部に収容する保持具収容貯水部として構成されている。
保持具10を保持具設置ケース30内に収容するにあたり、外周壁部31の内寸の大きさは、保持具10の外寸の大きさに対して、略同じに設定したり、若干小さくしたり、若干大きくしたりなどのように、外周壁部31に対する保持具10の支持安定性や着脱のし易さなどを考慮して適宜設定することができる。
【0029】
保持具設置ケース30は、保持具設置状態の保持具10からみて前方側及び後方側に配置された一対の側壁部32と、保持具設置状態での保持具10からみて左方側及び右方側に配置された一対の側壁部33とを有しており、これら左右一対の側壁部33と前後一対の側壁部32とで保持具設置状態での保持具10の周囲を囲う筒状の外周壁部31が構成されている。
前後一対の側壁部32の夫々は、保持具設置状態での保持具10の前方側及び後方側の夫々の側面10bに沿って延在しており、保持用溝12の前方側及び後方側の溝端開放部12bを通じた保持用溝12からの供試魚Fの脱落が防止される。
一方、左右一対の側壁部33は、保持具設置状態において、保持具10の左方側及び右方側の両側面10cに平行な鉛直面に沿って延在する平板状とされており、当該一対の側壁部33は保持具10の左方側及び右方側の両側面10cに密着する。
【0030】
更に、
図5に示すように、保持具設置状態での保持具10の前方側及び後方側の両側において、側壁部32である隙間用側壁部35と溝端開放部12bとの間に、保持用溝12に保持されている供試魚Fの溝端開放部12bからの当該供試魚Fの口先Faの突出を許容する口先突出用隙間Sが設けられている。即ち、本実施形態では、保持具設置状態での保持具10の前方側及び後方側のうち、供試魚投入部位12Aに近い側に口先突出用隙間Sが設けられていると共に、供試魚投入部位12Aに遠い側にも口先突出用隙間Sが設けられている。
【0031】
更に、保持具設置ケース30において、保持具10の前方側及び後方側の夫々に設けられた隙間用側壁部35は、保持用溝12の底面12cの高さ位置を境界にして、その底面12cの高さ位置よりも上方側に位置する上側部分35aと、その底面12cの高さ位置よりも下方側に位置する下側部分35bとからなる。そして、隙間用側壁部35の上側部分35aは、保持具設置状態での溝端開放部12bよりも数mm程度離間した位置において保持具10の側面10bと平行な垂直面に沿って延在している。このことで、保持具設置状態において、隙間用側壁部35と溝端開放部12bとの間に、前後方向Xに沿った幅が数mm程度の口先突出用隙間Sが介在されることになる。
一方、隙間用側壁部35の下側部分35bは、保持具設置状態での保持具10の側面10bに密着して延在している。このことで、保持具設置状態において、保持具10が前方側及び後方側の隙間用側壁部35の下側部分35bによって安定して保持されることになる。
尚、溝端開放部12bの前後方向Xに沿った幅は、供試魚Fの口先Faのみが突出可能で幅に設定されており、例えば供試魚Fがゼブラフィッシュである場合には2mm程度に設定することが望ましい。
【0032】
そして、
図5に示すように、保持用溝12の内部に水Wと共に供試魚Fが投入されたときには、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fは適度に水Wに浸された状態になる。更に、魚は口先Faを壁面につける位置に自ら移動して落ち着く習性がある。これらのことから、
図5に示すように、保持用溝12の内部に投入された直後の供試魚Fは、口先Fa側の隙間用側壁部35に向かう方向に自ら移動しやすくなり、この移動により溝端開放部12bから口先突出用隙間Sに数mm程度(2mm程度)の口先Faを突出させた口先突出状態になる。
更に、保持用溝12の前方側及び後方側の両側に口先突出用隙間Sが設けられているので、保持用溝12の内部において供試魚Fの向きが定まらない場合であっても、略確実に何れかの口先突出用隙間Sに供試魚Fの口先Faを突出させて口先突出状態とすることができる。
【0033】
また、保持用溝12の前方側又は後方側の部位が、供試魚Fが水Wと共に溝上開放部12aから投入される供試魚投入部位12Aに設定されており、保持具設置状態での保持具10の前方側及び後方側のうちの少なくとも供試魚投入部位12Aに近い側に口先突出用隙間Sが設けられている場合には、上述のように、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は供試魚投入部位12A側に口先Faを向けた姿勢になりやすくなるので、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fが口先Fa側である供試魚投入部位12A側の方向に自ら移動することで、供試魚投入部位12Aに近い側に設けられた口先突出用隙間Sに溝端開放部12bから口先Faが突出される。
【0034】
すると、
図7に示すように供試魚Fを保持した保持具10を保持具設置ケース30から取り出して、
図8に示すように上記口先突出状態とした供試魚Fに対して被験物質の経口投与を行うにあたり、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fの口先Faを溝端開放部12bから突出させるための位置調整が略不要となる。よって、保持用溝12の内部における供試魚Fの位置調整に起因する作業性の悪化が抑制されると共に、その位置調整を実施することによる供試魚Fに与えるストレスやダメージが軽減される。
更に、保持用溝12において供試魚Fの姿勢が供試魚投入部位12A側に口先Faを向けた姿勢になりやすいので、供試魚Fを保持した保持具10を保持具設置ケース30から取り出して当該供試魚Fに対して所定の処理を行うにあたり、供試魚Fの向き調整が略不要となるので、作業性を一層向上することができる。
【0035】
図4、及び
図5に示すように、前後一対の側壁部32で保持具10における保持用溝12の前方側及び後方側夫々の溝端開放部12bを適度に覆うことで、保持用溝12の内部には適度に水Wが滞留している状態となる。即ち、前後一対の側壁部32は、保持具設置状態での保持具10において保持用溝12の内部に水Wを滞留させる水滞留手段Aとして機能する。そして、水Wが適度に滞留する保持用溝12の内部に対して水Wと共に供試魚Fが投入されて、供試魚Fは常に水Wに浸かった状態となるので、供試魚Fは暴れることなく姿勢を安定させた状態で保持用溝12の内部に留まることになる。よって、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fは暴れることなく姿勢を安定させた状態で保持用溝12の内部に留まる。そして、
図5に示すように、滞留する水Wに浸された状態の供試魚Fは、滞留する水Wにより口先Faが向かう方向に自ら移動しやすくなり、容易に口先Faを口先突出用隙間Sに突出させた口先突出状態になり、
図8に示す経口投与において保持用溝12に保持された供試魚Fの位置調整が不要又は簡素化される。
【0036】
本実施形態において、保持具設置ケース30の外周壁部31全体が透明材料で構成されている。即ち、側壁部32が透明材料で構成されているので、側壁部32及びそれで塞がれた溝端開放部12bを通じて、外部から保持用溝12の内部に留まる供試魚Fの状態が観察可能となる。尚、本実施形態では、外周壁部31全体を透明材料としているが、当該外周壁部31を非透明材料で構成した場合であっても、上方側から溝上開放部12aを通じて保持用溝12の内部に留まる供試魚Fの状態が観察することができる。また、供試魚Fに対する処置等の種類毎に、外周壁部31等の色が異なる複数種の保持具設置ケース30を用意して、各処理間のコンタミネーションを抑制することもできる。
【0037】
外周壁部31において、左右一対の側壁部33の少なくとも一部の最低上端高さ(上端部分33aの高さ)が、前後一対の側壁部32の少なくとも一部の最低上端高さ(上端部分32aの高さ)よりも低く設定されている。具体的には、前後一対の側壁部32及び左右一対の側壁部33の夫々の上端部分32a,33aは全体が同じ高さの水平な直線状とされている。更に、一対の側壁部33の上端部分33aが、前後一対の側壁部32の上端部分32aよりも低く設定されている。
よって、保持具設置ケース30は、
図4に示すように、貯留水Wを左右一対の側壁部33の上端部分33a全体から外部にオーバーフローさせる形態で、内部に水Wを貯留するものとされている。即ち、保持具設置ケース30内の貯留水Wが、左右一対の側壁部33の上端部分33a全体からオーバーフローすることから、当該上端部分33aの高さを所定の設定水位WLに位置させることで、保持具設置ケース30内の貯留水Wの水位を当該設定水位WLに維持することができる。
そして、上記外周壁部31の少なくとも一部の最低上端部分となる左右一対の側壁部33の上端部分33aは、上記設定水位WLの高さに位置されることで、保持具設置ケース30内の貯留水Wの水位を所定の設定水位WLに保つ水位維持手段Bとして機能する。
【0038】
更に、内部に保持具10を収容した保持具設置ケース30において、前後一対の側壁部32の上端部分32aの高さが左右一対の側壁部33の上端部分33aの高さよりも高いことから、当該左右一対の側壁部33の上端部分33aでは貯留水Wのオーバーフローが発生し、当該前後一対の側壁部32の上端部分32aでは貯留水Wのオーバーフローが発生しない。このことから、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fが貯留水Wのオーバーフローに誘導されて側壁部32の上端部分32aから逃げ出すことが防止されている。
【0039】
上記設定水位WLは、保持具設置ケース30内に収容された保持具10における保持用溝12の底面12c超の水位であり、且つ、保持具設置ケース30内に収容された保持具10における溝上開放部12a付近以下の水位に設定されている。
図4、及び
図5に示す保持具設置状態において、保持具10が保持具設置ケース30内の貯留水Wに浸漬した状態で設置され、その保持具設置ケース30内の貯留水Wの水位が保持用溝12の底面12c超の設定水位WLに保たれて、保持用溝12の内部には適度に水Wが滞留している状態となる。即ち、周一対の側壁部33の上端部分33aが機能する水位維持手段Bは、保持具設置状態での保持具10において保持用溝12の内部に水Wを滞留させる水滞留手段Aとして機能する。そして、水Wが適度に滞留する保持用溝12の内部に対して水Wと共に供試魚Fが投入されて、供試魚Fは常に水Wに浸かった状態となる。すると、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fは、暴れることなく姿勢を安定させた状態となって、保持用溝12の内部に留まることになる。
【0040】
更に、
図4、及び
図5に示す保持具設置状態において、保持具設置ケース30内の貯留水Wの水位が溝上開放部12a付近以下の設定水位WLに保たれる。よって、溝上開放部12a付近の上方には水Wが存在しないことから、保持具設置ケース30内に収容された保持具10の保持用溝12の内部に保持された供試魚Fが、溝上開放部12aから上方に逃げ出すことが抑制される。
尚、上記設定水位WLは、溝上開放部12aの若干上の高さから若干下の高さまでの範囲を含む溝上開放部12a付近に設定することが好ましく、溝上開放部12aと同じ高さに設定することが更に好ましい。
【0041】
保持具設置ケース30は、
図4、及び
図5に示す保持具設置状態において、シュート挿入凹部15に対する排出シュート42の挿入深さが所定の設定挿入深さ超となることを阻止する挿入深さ規制部Cを有する。即ち、投入具40は、排出シュート42の上端側部分から外方に向けて水平に延出する鍔部43を有する。そして、投入具40の排出シュート42を保持具10のシュート挿入凹部15に挿入するにあたり、外周壁部31において左右一対の側壁部33よりも上方に突出する前後一対の側壁部32の上端部分32aが、投入具40の鍔部43の下面に当接することにより、上記挿入深さ規制部Cとして機能して、シュート挿入凹部15に対する排出シュート42の挿入深さが、所望の挿入深さを超えることが阻止される。よって、投入具40の排出シュート42を保持具10のシュート挿入凹部15にしっかりと挿入した場合であっても、排出シュート42の下端により保持具10のシュート挿入凹部15の底部15aが押し付けられることが抑制されるので、当該底部15aに溝上開放部12aが開放された保持用溝12の状態を適切なものに保つことができる。
【0042】
[供試魚投入装置]
次に、これまで説明した供試魚保持装置が有する保持用溝12(供試魚保持部の一例)に対して供試魚Fを投入するための供試魚投入装置5の各実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0043】
〔第1実施形態〕
供試魚投入装置5の第1実施形態として、供試魚投入装置50の詳細構成について
図9~
図15に基づいて説明する。
尚、本実施形態において、前述の供試魚保持装置に関する構成については図面において同じ符号を付すと共に、説明を割愛する。
【0044】
本実施形態の供試魚投入装置50は、
図12に示すように、内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状の容器本体51で構成されている。容器本体51は、
図9~
図11にも示すように、平面視ひし形で平板状の底板部53と当該底板部53の各辺から上方ほど外方に傾斜する姿勢で立設されて上底が下底よりも長い逆台形で平板状の4つの側壁部52とを組み合わせてなる逆四角錘台状に構成されている。更に、
図11の平面図に示すように、上端部分が左右方向Yの幅よりも前後方向Xの幅が大きなひし形に開口している。そして、
図14等にも示すように、その前方側(
図11の左方側)の上縁部が、内部に収容された供試魚Fを水Wと共に放出する放出縁部59とされており、容器本体51の内壁面側には、放出縁部59の両側に配置された側壁部52が交差する隅部が、放出縁部59から下方に向けて供試魚Fの全長以上の長さに延在する断面略V字状の供試魚放出促進溝部55として形成されている。
【0045】
尚、平面視ひし形の容器本体51には、側壁部52が交差してなる隅部が4箇所に形成されており、この隅部の何れでも供試魚放出促進溝部55として利用することもできるが、
図11に示すように、前後方向Xに配置された前後の隅部の方が、左右方向Yに配置された左右の隅部よりも、両側の側壁部52が鋭角に交差していることから、後述する供試魚Fの姿勢の安定化の点で供試魚放出促進溝部55として有効に利用できる。
更に、
図11及び
図12に示すように、供試魚放出促進溝部55の内壁面には、内部に収容された供試魚Fが視認可能な模様56(例えば前後方向Xに沿って並ぶ縞模様)が付されている。尚、この模様56は、少なくとも供試魚放出促進溝部55の内壁面に付されていればよく、例えば容器本体51の内壁面全体に付されていても構わない。
【0046】
供試魚投入装置50を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法(以下「本投入方法」と呼ぶ。)について、
図12~
図15に基づいて説明を加える。
まず、
図12に示すように、容器本体51の内部に水Wと共に供試魚Fが収容される。
このとき、容器本体51は、上方ほど拡径する広口のものとされているので、容器本体51の内部に対して供試魚F及び水Wを容易に収容することができる。
【0047】
次に、
図13~
図15に示すように、投入口41の縁部に放出縁部59を近づけた状態で、当該放出縁部59付近を通り供試魚放出促進溝部55の延在方向に直交する軸周りに容器本体51を回転させる形態で容器本体51を徐々に傾けることで、当該容器本体51の収容物を放出縁部59から放出して保持用溝12に注ぐ容器傾斜投入操作が実行される。このような容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体51の内部に収容されている供試魚Fが、当該容器本体51の放出縁部59から水Wと共に放出されて保持用溝12に投入される。
そして、供試魚Fに与える負担を軽減して保持用溝12に対して安定した姿勢で供試魚Fを投入可能としながら、保持用溝12の内部に対する供試魚Fの投入作業の作業性を向上するために、供試魚投入装置50には、上記容器傾斜投入操作の実行時に、容器本体51の内部からの水Wの放出完了前の供試魚Fの放出を促す供試魚放出促進部Dが備えられている。
【0048】
具体的には、供試魚放出促進溝部55が、上記容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部59に向けて案内すると共に当該放出縁部59に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能する。
即ち、容器傾斜投入操作の実行時において、
図13に示すように、容器本体51を傾け始めると、当該容器本体51の内部に収容されている供試魚Fが供試魚放出促進溝部55に近づいて入る。このことで、当該供試魚Fの姿勢が供試魚放出促進溝部55に沿った姿勢に保持される。そして、容器本体51の傾斜角度(鉛直方向に対する容器本体51の中心軸の角度)を増加させて放出縁部59からの水Wの放出が開始されると、供試魚放出促進溝部55には供試魚Fが泳力を発揮できる程度の水深を保ちながら放出縁部59に向かう水流WFが形成される。すると、供試魚放出促進溝部55において供試魚Fは水流WFに逆らう姿勢(口先Faを水流WFの上流側に向けた姿勢)に安定する。このとき、放出縁部59から放出された水Wが供試魚投入部位12A側から保持用溝12に投入されるので、保持用溝12の内部においても、適度に水Wが滞留して供試魚投入部位12Aから他方の部位に向かう水流WFが形成された状態となる。
【0049】
図14に示すように、容器本体51の傾斜角度を更に増加させると、供試魚放出促進溝部55における水流WFが強くなるので、その強い水流WFにより、容器本体51の内部からの水Wの放出完了前において、容器本体51の内部に収容されている供試魚Fの放出縁部59からの放出が促されて、放出縁部59から供試魚Fが安定した姿勢を保ったまま尾びれから放出されることになる。このことで、保持用溝12に対する供試魚Fの投入作業が容易になり、作業性が向上される。
更に、供試魚放出促進溝部55から放出縁部59に移動する供試魚Fに対して、模様56に対する相対移動を明確に視認させることで、水流WFに逆らって泳ぐことを促すこともできる。
尚、供試魚放出促進溝部55の幅は、放出縁部59からの水Wの放出する際に供試魚放出促進溝部55に生じる水深の状態に応じて適宜設定可能であり、例えば、供試魚放出促進溝部55の幅を比較的小さくすることで、放出縁部59からの水Wの放出する際に、供試魚放出促進溝部55に生じる水深を比較的大きくして供試魚Fの泳力を十分に発揮させるように構成することもできる。
【0050】
そして、
図15に示すように、保持用溝12に対して供試魚Fを投入した後においても継続して良好に水Wが投入し続けられることになる。このことで、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fは少なくとも一定時間水Wに浸された状態に保たれるので、供試魚Fを暴れることなく落ち着かせて、供試魚Fに与えるストレスやダメージを軽減できる。更に、保持用溝12の内部に水Wが滞留しているので、保持用溝12の内部の保持された供試魚Fを、泳力が発揮できる程度の水深になるように適度に水Wに浸した状態にしながら、保持用溝12の延在方向に沿った水流WFを形成できる。よって、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は水流WFに逆らう姿勢に安定することになる。
【0051】
〔第2実施形態〕
供試魚投入装置5の第2実施形態として、供試魚投入装置60の詳細構成について
図16~
図19に基づいて説明する。
尚、本実施形態において、供試魚投入装置60を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法については、上記第1実施形態と同様のため、説明を割愛する。
【0052】
本実施形態の供試魚投入装置60は、
図19に示すように、内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状の容器本体61で構成されている。容器本体61は、
図16~
図18にも示すように、前側(
図16~
図18における左側)を頂点とした平面視しずく形(楕円の一部を頂点として尖らせたような形)で平板状の底板部63と当該底板部63の外周縁部から上方ほど外方に傾斜する姿勢で立設された側壁部62とを組み合わせてなる逆錘台状に構成されている。更に、
図18の平面図に示すように、上端部分が前側(
図18における左側)を頂点とした平面視しずく形に開口している。そして、
図19等にも示すように、その前方側(
図19の左方側)の上縁部が、内部に収容された供試魚Fを水Wと共に放出する放出縁部69とされており、容器本体71の内壁面側には、放出縁部69の両側に配置された側壁部62が交差する隅部が、放出縁部69から下方に向けて供試魚Fの全長以上の長さに延在する断面略V字状の供試魚放出促進溝部65として形成されている。
更に、
図18及び
図19に示すように、供試魚放出促進溝部65の内壁面には、内部に収容された供試魚Fが視認可能な模様66(例えば前後方向Xに沿って並ぶ縞模様)が付されている。尚、この模様66は、少なくとも供試魚放出促進溝部65の内壁面に付されていればよく、例えば容器本体61の内壁面全体に付されていても構わない。
【0053】
そして、供試魚投入装置60を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法では、上述の第1実施形態と同様に、供試魚放出促進溝部65が、上記容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部69に向けて案内すると共に当該放出縁部69に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能する。このことで、供試魚Fに与える負担を軽減して供試魚保持部に対して安定した姿勢で供試魚Fを投入可能としながら、供試魚保持部の内部に対する供試魚Fの投入作業の作業性を向上することができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
供試魚投入装置5の第3実施形態として、供試魚投入装置70の詳細構成について
図20~
図26に基づいて説明する。
尚、本実施形態において、前述の供試魚保持装置に関する構成については図面において同じ符号を付すと共に、説明を割愛する。
【0055】
本実施形態の供試魚投入装置70は、
図23に示すように、内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状で略角形の容器本体71で構成されている。容器本体71は、
図20~
図22にも示すように、平面視略矩形で平板状の底板部73と当該底板部73の外周縁部から垂直に立設された側壁部72とを組み合わせてなる略直方体状に構成されている。更に、
図22の平面図のように、上端部分が略矩形に開口しており、その開口部の前方側(
図22の左方側)の上縁部が、前方に突出して、内部に収容された供試魚Fを水Wと共に放出する放出縁部79とされている。そして、容器本体71の内壁面側には、放出縁部79から下方に向けて供試魚Fの全長以上の長さに延在する断面略V字状の供試魚放出促進溝部75が形成されており、この供試魚放出促進溝部75の底部75aは、容器本体71の内壁面において当該供試魚放出促進溝部75を挟む両側の部位72aよりも、上方ほど外方に傾斜するように形成されている。
更に、
図22及び
図23に示すように、供試魚放出促進溝部75の内壁面には、内部に収容された供試魚Fが視認可能な模様76(例えば前後方向Xに沿って並ぶ縞模様)が付されている。尚、この模様76は、少なくとも供試魚放出促進溝部75に付されていればよく、例えば容器本体71の内壁面全体に付されていても構わない。
【0056】
供試魚投入装置70を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法(以下「本投入方法」と呼ぶ。)について、
図23~
図26に基づいて説明を加える。
まず、
図23に示すように、容器本体71の内部に水Wと共に供試魚Fが収容される。
【0057】
次に、
図24~
図26に示すように、投入口41の縁部に放出縁部79を近づけた状態で、当該放出縁部79付近を通り供試魚放出促進溝部75の延在方向に直交する軸周りに容器本体71を回転させる形態で容器本体71を徐々に傾けることで、当該容器本体71の収容物を放出縁部79から放出して保持用溝12に注ぐ容器傾斜投入操作が実行される。このような容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体71の内部に収容されている供試魚Fが、当該容器本体71の放出縁部79から水Wと共に放出されて保持用溝12に投入される。
そして、供試魚Fに与える負担を軽減して保持用溝12に対して安定した姿勢で供試魚Fを投入可能としながら、保持用溝12の内部に対する供試魚Fの投入作業の作業性を向上するために、供試魚投入装置70には、上記容器傾斜投入操作の実行時に、容器本体71の内部からの水Wの放出完了前の供試魚Fの放出を促す供試魚放出促進部Dが備えられている。
【0058】
具体的には、供試魚放出促進溝部75が、上記容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部79に向けて案内すると共に当該放出縁部79に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能する。
即ち、容器傾斜投入操作の実行時において、
図24に示すように、容器本体71を傾け始めると、当該容器本体71の内部に収容されている供試魚Fが供試魚放出促進溝部75に近づいて入る。このことで、当該供試魚Fの姿勢が供試魚放出促進溝部75に沿った姿勢に保持される。そして、容器本体71の傾斜角度(鉛直方向に対する容器本体71の中心軸の角度)を増加させて放出縁部79からの水Wの放出が開始されると、供試魚放出促進溝部75には供試魚Fが泳力を発揮できる程度の水深を保ちながら放出縁部79に向かう水流WFが形成される。すると、供試魚放出促進溝部75において供試魚Fは水流WFに逆らう姿勢(口先Faを水流WFの上流側に向けた姿勢)に安定する。このとき、放出縁部79から放出された水Wが供試魚投入部位12A側から保持用溝12に投入されるので、保持用溝12の内部においても、適度に水Wが滞留して供試魚投入部位12Aから他方の部位に向かう水流WFが形成された状態となる。
【0059】
図25に示すように、容器本体71の傾斜角度を更に増加させると、供試魚放出促進溝部75の底部75aが、その両側の部位72aよりも前に、放出縁部79側に向けて下る放出傾斜状態になる。すると、供試魚放出促進溝部75における水流WFが強くなるので、その強い水流WFにより、容器本体71の内部からの水Wの放出完了前において、容器本体71の内部に収容されている供試魚Fの放出縁部79からの放出が促されて、放出縁部79から供試魚Fが安定した姿勢を保ったまま尾びれから放出されることになる。このことで、保持用溝12に対する供試魚Fの投入作業が容易になり、作業性が向上される。
【0060】
更に、供試魚放出促進溝部75から放出縁部79に移動する供試魚Fに対して、模様76に対する相対移動を明確に視認させることで、水流WFに逆らって泳ぐことを促すこともできる。
尚、供試魚放出促進溝部75の幅は、放出縁部79からの水Wの放出する際に供試魚放出促進溝部75に生じる水深の状態に応じて適宜設定可能であり、例えば、供試魚放出促進溝部75の幅を比較的小さくすることで、放出縁部79からの水Wの放出する際に、供試魚放出促進溝部75に生じる水深を比較的大きくして供試魚Fの泳力を十分に発揮させるように構成することもできる。
【0061】
そして、
図26に示すように、容器本体71の傾斜角度を更に増加させると、供試魚放出促進溝部75の両側の部位72aが、供試魚放出促進溝部75の底部75aよりも遅れて、放出縁部79側に向けて下る放出傾斜状態になる。すると、容器本体71の内部に残っていた水Wが放出縁部79から放出されることになって、保持用溝12に対して供試魚Fを投入した後においても継続して良好に水Wが投入し続けられることになる。このことで、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fは少なくとも一定時間水Wに浸された状態に保たれるので、供試魚Fを暴れることなく落ち着かせて、供試魚Fに与えるストレスやダメージを軽減できる。更に、保持用溝12の内部に水Wが滞留しているので、保持用溝12の内部の保持された供試魚Fを、泳力が発揮できる程度の水深になるように適度に水Wに浸した状態にしながら、保持用溝12の延在方向に沿った水流WFを形成できる。よって、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は水流WFに逆らう姿勢に安定することになる。
【0062】
〔第4実施形態〕
供試魚投入装置5の第4実施形態として、供試魚投入装置80の詳細構成について
図27~
図33に基づいて説明する。
尚、本実施形態において、前述の供試魚保持装置に関する構成については図面において同じ符号を付すと共に、説明を割愛する。
【0063】
本実施形態の供試魚投入装置80は、
図30に示すように、内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状の容器本体81で構成されている。更に、容器本体81の内部の上方側には、当該容器本体81よりも小さく内部に供試魚Fを水Wと共に収容する供試魚収容容器83が内装されている。そして、容器本体81及び供試魚収容容器83は、
図27~
図29にも示すように、一部に注ぎ口としての放出縁部89が設けられた容器として構成されており、夫々の放出縁部89を重ね合わせた状態で、容器本体81の上部側に供試魚収容容器83が配置されている。即ち、供試魚収容容器83は、容器本体81の内部を、供試魚Fが収容されて放出縁部89に通じる上方側の供試魚収容空間Afと、供試魚Fが収容されずに水Wのみが収容されて放出縁部89に通じる下方側の水収容空間Awとに仕切る仕切体として機能する。そして、この供試魚収容容器83の底板部84は、放出縁部89に向けて上向きに傾斜する姿勢で容器本体81の内部に設けられている。
図32等にも示すように、供試魚投入装置80の前方側(
図32の左方側)の上縁部が、内部に収容された供試魚Fを水Wと共に放出する放出縁部89とされており、供試魚収容容器83の内壁面側には、放出縁部89から下方に向けて供試魚Fの全長以上の長さに延在する断面略U字状で前方ほど幅が狭くなる供試魚放出促進溝部85として形成されている。
更に、
図29及び
図30に示すように、供試魚放出促進溝部85の内壁面には、内部に収容された供試魚Fが視認可能な模様86(例えば前後方向Xに沿って並ぶ縞模様)が付されている。尚、この模様86は、少なくとも供試魚放出促進溝部85に付されていればよく、例えば供試魚収容容器83の内壁面全体に付されていても構わない。
【0064】
また、容器本体81の内部における放出縁部89とは反対側には、供試魚収容容器83が上下に変位する形態で揺動可能なように当該供試魚収容容器83における放出縁部89とは反対側における下縁部を支持する支持部87(仕切体揺動支持部の一例)が設けられている。即ち、支持部87は、供試魚収容容器83を下方側に位置させて、水収容空間Awから放出縁部89への連通部分を閉鎖する放出縁部閉鎖姿勢(
図30~
図32に示す姿勢)と、供試魚収容容器83を上方側に位置させて、水収容空間Awから放出縁部89への連通部分を開放する放出縁部開放姿勢(
図33に示す姿勢)との間で、供試魚収容容器83を揺動自在に支持するものとして構成されている。
【0065】
供試魚投入装置80を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法(以下「本投入方法」と呼ぶ。)について、
図30~
図33に基づいて説明を加える。
まず、
図30に示すように、容器本体81の内部の供試魚収容空間Af及び水収容空間Awに水Wが収容されると共に、供試魚収容容器83の内部の供試魚収容空間Afに供試魚Fが収容される。
【0066】
次に、
図31~
図33に示すように、投入口41の縁部に放出縁部89を近づけた状態で、当該放出縁部89付近を通り供試魚放出促進溝部85の延在方向に直交する軸周りに容器本体81を回転させる形態で容器本体81を徐々に傾けることで、当該容器本体81の収容物を放出縁部89から放出して保持用溝12に注ぐ容器傾斜投入操作が実行される。このような容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体81の内部に収容されている供試魚Fが、当該容器本体81の放出縁部89から水Wと共に放出されて保持用溝12に投入される。
そして、供試魚Fに与える負担を軽減して保持用溝12に対して安定した姿勢で供試魚Fを投入可能としながら、保持用溝12の内部に対する供試魚Fの投入作業の作業性を向上するために、供試魚投入装置80には、上記容器傾斜投入操作の実行時に、容器本体81の内部からの水Wの放出完了前の供試魚Fの放出を促す供試魚放出促進部Dが備えられている。
【0067】
具体的には、供試魚放出促進溝部85が、上記容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部89に向けて案内すると共に当該放出縁部89に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能する。
即ち、容器傾斜投入操作の実行時において、
図31に示すように、容器本体81を傾け始めると、当該容器本体81と共に傾く供試魚収容容器83の内部の供試魚収容空間Afに収容されている供試魚Fが供試魚放出促進溝部85に近づいて入る。このことで、当該供試魚Fの姿勢が供試魚放出促進溝部85に沿った姿勢に保持される。そして、容器本体81の傾斜角度(鉛直方向に対する容器本体81の中心軸の角度)を増加させて放出縁部89からの水Wの放出が開始されると、供試魚放出促進溝部85には供試魚Fが泳力を発揮できる程度の水深を保ちながら放出縁部89に向かう水流WFが形成される。すると、供試魚放出促進溝部85において供試魚Fは水流WFに逆らう姿勢(口先Faを水流WFの上流側に向けた姿勢)に安定する。更に、放出縁部89から放出された水Wが供試魚投入部位12A側から保持用溝12に投入されるので、保持用溝12の内部においても、適度に水Wが滞留して供試魚投入部位12Aから他方の部位に向かう水流WFが形成された状態となる。
このとき、供試魚収容容器83は、その自重や収容物の重さにより放出縁部閉鎖姿勢となって、水収容空間Awから放出縁部89への連通部分が閉鎖されているので、水収容空間Awに収容されている水Wの放出縁部89からの放出が抑制された状態となっている。
【0068】
図32に示すように、容器本体81の傾斜角度を更に増加させると、供試魚放出促進溝部85における水流WFが強くなるので、その強い水流WFにより、容器本体81の内部からの水Wの放出完了前において、供試魚収容容器83の内部に収容されている供試魚Fの放出縁部89からの放出が促されて、放出縁部89から供試魚Fが安定した姿勢を保ったまま尾びれから放出されることになる。このことで、保持用溝12に対する供試魚Fの投入作業が容易になり、作業性が向上される。
更に、供試魚放出促進溝部85から放出縁部89に移動する供試魚Fに対して、模様86に対する相対移動を明確に視認させることで、水流WFに逆らって泳ぐことを促すこともできる。
尚、供試魚放出促進溝部85の幅は、放出縁部89からの水Wの放出する際に供試魚放出促進溝部85に生じる水深の状態に応じて適宜設定可能であり、例えば、供試魚放出促進溝部85の幅を比較的狭くすることで、放出縁部89からの水Wの放出する際に、供試魚放出促進溝部85に生じる水深を比較的大きくして供試魚Fの泳力を十分に発揮させるように構成することもできる。
【0069】
そして、
図33に示すように、保持用溝12に対して供試魚Fを投入した後においては、供試魚収容容器83は、その自重や収容物の重さが水収容空間Awからの水圧に負けて上方側に変位することで放出縁部開放姿勢となって、水収容空間Awから放出縁部89への連通部分が開放されるので、水収容空間Awに収容されている水Wの放出縁部89から放出が許容された状態となる。すると、保持用溝12に対して供試魚Fを投入した後においても継続して良好に水Wが投入し続けられることになる。このことで、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fは少なくとも一定時間水Wに浸された状態に保たれるので、供試魚Fを暴れることなく落ち着かせて、供試魚Fに与えるストレスやダメージを軽減できる。更に、保持用溝12の内部に水Wが滞留しているので、保持用溝12の内部の保持された供試魚Fを、泳力が発揮できる程度の水深になるように適度に水Wに浸した状態にしながら、保持用溝12の延在方向に沿った水流WFを形成できる。よって、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は水流WFに逆らう姿勢に安定することになる。
【0070】
〔第5実施形態〕
供試魚投入装置5の第5実施形態として、供試魚投入装置90の詳細構成について
図34~
図40に基づいて説明する。
尚、本実施形態において、前述の供試魚保持装置に関する構成については図面において同じ符号を付すと共に、説明を割愛する。
【0071】
本実施形態の供試魚投入装置90は、
図37に示すように、内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状の容器本体91で構成されている。そして、容器本体91は、
図34~
図36にも示すように、一部に注ぎ口としての放出縁部99が設けられた容器として構成されている。更に、容器本体91の内部には、当該内部を上下に仕切る仕切板部92が設けられている。即ち、仕切板部92は、容器本体91の内部を、供試魚Fが収容されて放出縁部99に通じる上方側の供試魚収容空間Afと、供試魚Fが収容されずに水Wのみが収容されて放出縁部99に通じる下方側の水収容空間Awとに仕切る仕切体として機能する。そして、この仕切板部92は、放出縁部99に向けて上向きに傾斜する姿勢で容器本体91の内部に設けられている。
図39等にも示すように、供試魚投入装置90の前方側(
図39の左方側)の上縁部が、内部に収容された供試魚Fを水Wと共に放出する放出縁部99とされており、供試魚収容空間Afの内壁面側には、放出縁部99から下方に向けて供試魚Fの全長以上の長さに延在する断面略U字状で前方ほど幅が狭くなる供試魚放出促進溝部95として形成されている。
更に、
図36及び
図37に示すように、供試魚放出促進溝部95の内壁面には、内部に収容された供試魚Fが視認可能な模様96(例えば前後方向Xに沿って並ぶ縞模様)が付されている。尚、この模様96は、少なくとも供試魚放出促進溝部95に付されていればよく、例えば供試魚収容空間Afの内壁面全体に付されていても構わない。
【0072】
また、仕切板部92における放出縁部99とは反対側には、上側の供試魚収容空間Afと下側の水収容空間Awとを連通させる連通孔94が複数形成されている。尚、夫々の連通孔94の形状は適宜変更可能であるが、その大きさは、供試魚Fの通過は阻止しながら、水Wや空気の通流は許容する大きさに設定することが望ましい。更に、仕切板部92における放出縁部99側の縁部にも、上側の供試魚収容空間Afと下側の水収容空間Awとを連通させる水吐出口93が形成されている。尚、水吐出口93の形状は、水収容空間Awに収容されている水Wが水吐出口93を通じて放出縁部99から放出される際に、その水Wの放出を適切に抑制しながら左右方向Yにおいて均等なものとするために左右方向Yに沿って延出するスリット状とされている。また、その水吐出口93の形状は適宜変更可能であるが、その大きさは、供試魚Fの通過は阻止しながら、水Wや空気の通流は許容する大きさに設定することが望ましい。
【0073】
供試魚投入装置90を用いて供試魚Fを水Wと共に保持用溝12に投入する供試魚投入方法(以下「本投入方法」と呼ぶ。)について、
図37~
図40に基づいて説明を加える。
まず、
図37に示すように、容器本体91の内部の供試魚収容空間Af及び水収容空間Awに水Wが収容されると共に、供試魚収容空間Afに供試魚Fが収容される。尚、供試魚収容空間Afに供給された水Wが仕切板部92に形成された連通孔94を通じて水収容空間Awに供給される。
【0074】
次に、
図38~
図40に示すように、投入口41の縁部に放出縁部99を近づけた状態で、当該放出縁部99付近を通り供試魚放出促進溝部95の延在方向に直交する軸周りに容器本体91を回転させる形態で容器本体91を徐々に傾けることで、当該容器本体91の収容物を放出縁部99から放出して保持用溝12に注ぐ容器傾斜投入操作が実行される。このような容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体91の内部に収容されている供試魚Fが、当該容器本体91の放出縁部99から水Wと共に放出されて保持用溝12に投入される。
そして、供試魚Fに与える負担を軽減して保持用溝12に対して安定した姿勢で供試魚Fを投入可能としながら、保持用溝12の内部に対する供試魚Fの投入作業の作業性を向上するために、供試魚投入装置90には、上記容器傾斜投入操作の実行時に、容器本体91の内部からの水Wの放出完了前の供試魚Fの放出を促す供試魚放出促進部Dが備えられている。
【0075】
具体的には、供試魚放出促進溝部95が、上記容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部99に向けて案内すると共に当該放出縁部99に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能する。
即ち、容器傾斜投入操作の実行時において、
図38に示すように、容器本体91を傾け始めると、仕切板部92の上側の供試魚収容空間Afに収容されている供試魚Fが供試魚放出促進溝部95に近づいて入る。このことで、当該供試魚Fの姿勢が供試魚放出促進溝部95に沿った姿勢に保持される。そして、容器本体91の傾斜角度(鉛直方向に対する容器本体91の中心軸の角度)を増加させて放出縁部99からの水Wの放出が開始されると、供試魚放出促進溝部95には供試魚Fが泳力を発揮できる程度の水深を保ちながら放出縁部99に向かう水流WFが形成される。すると、供試魚放出促進溝部95において供試魚Fは水流WFに逆らう姿勢(口先Faを水流WFの上流側に向けた姿勢)に安定する。更に、放出縁部99から放出された水Wが供試魚投入部位12A側から保持用溝12に投入されるので、保持用溝12の内部においても、適度に水Wが滞留して供試魚投入部位12Aから他方の部位に向かう水流WFが形成された状態となる。
このとき、水収容空間Awに収容されている水Wについても、水吐出口93を通じて放出縁部99から放出されるが、当該水吐出口93の開口が比較的小さいことから、その水Wの放出は抑制された状態となる。尚、水収容空間Awに収容されている水Wが水吐出口93を通じて放出される際に、連通孔94は、放出された水Wの分の空気を水収容空間Awに導入するための空気導入孔として機能する。
【0076】
図39に示すように、容器本体91の傾斜角度を更に増加させると、供試魚放出促進溝部95における水流WFが強くなるので、その強い水流WFにより、容器本体91の内部からの水Wの放出完了前において、供試魚収容空間Afに収容されている供試魚Fの放出縁部99からの放出が促されて、放出縁部99から供試魚Fが安定した姿勢を保ったまま尾びれから放出されることになる。このことで、保持用溝12に対する供試魚Fの投入作業が容易になり、作業性が向上される。
更に、供試魚放出促進溝部95から放出縁部99に移動する供試魚Fに対して、模様96に対する相対移動を明確に視認させることで、水流WFに逆らって泳ぐことを促すこともできる。
尚、供試魚放出促進溝部95の幅は、放出縁部99からの水Wの放出する際に供試魚放出促進溝部95に生じる水深の状態に応じて適宜設定可能であり、例えば、供試魚放出促進溝部95の幅を比較的狭くすることで、放出縁部99からの水Wの放出する際に、供試魚放出促進溝部95に生じる水深を比較的大きくして供試魚Fの泳力を十分に発揮させるように構成することもできる。
【0077】
そして、
図40に示すように、保持用溝12に対して供試魚Fを投入した後においても水収容空間Awに収容されている水Wが水吐出口93を通じて継続して良好に投入し続けられることになる。このことで、保持用溝12の内部に保持された供試魚Fは少なくとも一定時間水Wに浸された状態に保たれるので、供試魚Fを暴れることなく落ち着かせて、供試魚Fに与えるストレスやダメージを軽減できる。更に、保持用溝12の内部に水Wが滞留しているので、保持用溝12の内部の保持された供試魚Fを、泳力が発揮できる程度の水深になるように適度に水Wに浸した状態にしながら、保持用溝12の延在方向に沿った水流WFを形成できる。よって、保持用溝12の内部に投入された供試魚Fの姿勢は水流WFに逆らう姿勢に安定することになる。
【0078】
〔他の実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0079】
(1)上記実施形態では、供試魚投入装置5を、供試魚保持具10の保持用溝12に対して供試魚Fを水Wと共に投入するものとして説明したが、別の形態の供試魚保持部に対して供試魚Fを水Wと共に投入するように構成しても構わない。
【0080】
(2)上記実施形態では、投入具40を用いて、供試魚Fを水Wと共に保持具10の保持用溝12に投入したが、投入具40の構成については適宜変更することができ、またこのような投入具40を用いることなく別の手段で供試魚Fを水Wと共に保持具10の保持用溝12に投入しても構わない。
【0081】
(3)上記実施形態では、供試魚放出促進溝部55,65,75,85,95を、容器傾斜投入操作の実行時に、供試魚Fを放出縁部59,69,79,89,99に向けて案内すると共に当該放出縁部59,69,79,89,99に向かう水流WFが形成されることで、供試魚放出促進部Dとして機能させるように構成したが、供試魚放出促進溝部55,65,75,85,95ではなく、例えば容器傾斜投入操作に伴って作動して供試魚Fを押し出すような機構部を供試魚放出促進部Dとして設けても構わない。
【符号の説明】
【0082】
5 供試魚投入装置
12 保持用溝(供試魚保持部)
51 容器本体
55 供試魚放出促進溝部
59 放出縁部
60 供試魚投入装置
61 容器本体
65 供試魚放出促進溝部
69 放出縁部
70 供試魚投入装置
71 容器本体
72a 両側の部位
75 供試魚放出促進溝部
75a 底部
79 放出縁部
80 供試魚投入装置
81 容器本体
83 供試魚収容容器(仕切体)
85 供試魚放出促進溝部
87 支持部(仕切体揺動支持部)
89 放出縁部
90 供試魚投入装置
91 容器本体
92 仕切板部(仕切体)
95 供試魚放出促進溝部
99 放出縁部
Af 供試魚収容空間
Aw 水収容空間
D 供試魚放出促進部
F 供試魚
W 水
WF 水流
【要約】
【課題】供試魚を水と共に所定の供試魚保持部に投入するための供試魚投入装置において、供試魚に与える負担を軽減して供試魚保持部に対して安定した姿勢で供試魚を投入可能としながら、供試魚保持部の内部に対する供試魚の投入作業の作業性を向上する。
【解決手段】内部に供試魚Fを水Wと共に収容可能な有底筒状の容器本体51で構成され、容器本体51を傾けて当該容器本体51の収容物を所定の供試魚保持部12に注ぐ容器傾斜投入操作が実行されることにより、当該容器本体51の内部に収容されている供試魚Fが、容器本体51の上縁部に位置する所定の放出縁部59から水Wと共に放出されて供試魚保持部12に投入され、容器傾斜投入操作の実行時に、容器本体51の内部からの水Wの放出完了前の供試魚Fの放出を促す供試魚放出促進部Dを備える。
【選択図】
図14