(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】複合プローブ、プローブの取り付け方法及びプローブカードの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20250407BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/067 C
(21)【出願番号】P 2024507322
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022012060
(87)【国際公開番号】W WO2023175800
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2024-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 和男
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 祐輔
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042331(JP,A)
【文献】特開2007-155474(JP,A)
【文献】特開2014-016205(JP,A)
【文献】特開平10-221374(JP,A)
【文献】特開2014-085216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間して配置された第1ガイド板及び第2ガイド板からなるプローブカード用のガイドユニットに収容され、前記第1ガイド板の第1ガイド孔及び前記第2ガイド板の第2ガイド孔により支持されるプローブ本体と、
前記プローブ本体に一端が連結された略直線形状からなり、前記プローブ本体よりも先に前記第1ガイド孔に挿通され、さらに前記第2ガイド孔を通過した後に前記プローブ本体から切り離し可能なリーダーロッドと、を備えた
複合プローブであって、
前記プローブ本体は、
前記第1ガイド孔に支持される略直線形状の第1ロッドと、
前記第2ガイド孔に支持される略直線形状の第2ロッドと、
前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の間に配置され、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを連結する湾曲部と、を備え、
前記リーダーロッドは、前記第2ロッドと同軸に、前記第2ロッドの先端に連結され、
前記リーダーロッド及び前記第2ロッドの合計長さが、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の非対向面の距離よりも長いことを特徴とする複合プローブ。
【請求項2】
前記リーダーロッドが、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の非対向面の距離よりも長いことを特徴とする請求項
1に記載の複合プローブ。
【請求項3】
前記リーダーロッドの長さが、前記プローブ本体の長さ以上であることを特徴とする請求項
1に記載の複合プローブ。
【請求項4】
前記リーダーロッド及び前記第2ロッドが、めっき法により順次に積層された金属層であり、積層方向に略平行な界面において接合されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の複合プローブ。
【請求項5】
前記リーダーロッド及び前記第2ロッドを連結する連結部を備え、
前記連結部が、
めっき法により積層された金属層であり、積層方向の厚さが、前記リーダーロッド及び前記第2ロッドよりも小さいことを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の複合プローブ。
【請求項6】
離間して配置された第1ガイド板及び第2ガイド板からなるプローブカード用のガイドユニットに対し、プローブを取り付ける方法であって、
前記第1ガイド板の第1ガイド孔に支持される第1ロッド及び前記第2ガイド板の第2ガイド孔に支持される第2ロッドと、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の間に配置され、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを連結する湾曲部とを備えたプローブ本体と、前記プローブ本体の先端に連結されたリーダーロッドと、により構成される複合プローブを用いて
、前記リーダーロッドを前記プローブ本体よりも先に前記第1ガイド板の
前記第1ガイド孔に挿通するステップと、
前記第1ガイド孔に挿通した前記リーダーロッドを
、前記湾曲部が前記第1ガイド孔に挿通される前に、前記第2ガイド板の前記第2ガイド孔にさらに挿通するステップと、
前記プローブ本体が前記第1ガイド孔及び前記第2ガイド孔により支持されている状態で、前記リーダーロッドを前記プローブ本体から切り離すステップと、を備えたことを特徴とするプローブの取り付け方法。
【請求項7】
請求項
6に記載のプローブの取り付け方法を用いて、前記ガイドユニットにプローブを取り付けるステップと、
前記プローブが取り付けられた前記ガイドユニットを配線基板に取り付けるステップと、を備えたプローブカードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合プローブ、プローブの取り付け方法及びプローブカードの製造方法に係り、更に詳しくは、2以上のガイド板で構成されるガイドユニットにプローブを取り付けるための複合プローブ、当該複合プローブを用いたプローブの取り付け方法及び当該取り付け方法を含むプローブカードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブカードは、半導体ウエハ上に形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する際に使用される検査装置であり、半導体ウエハ上の電極端子にそれぞれ接触させる多数のプローブが配線基板上に設けられている。
【0003】
プローブカードは、プローブを支持するガイドユニットと、当該ガイドユニットが取り付けられた配線基板とにより構成される。ガイドユニットは、所定の距離を隔てて平行に配置された2以上のガイド板で構成され、プローブは、これらのガイド板のガイド孔に順次に挿通され、上下動可能に支持される。プローブカードは、プローブを収容したガイドユニットを配線基板に取り付けることにより製造される。
【0004】
プローブを2以上のガイド板のガイド孔に順次に挿通する場合、1枚目のガイド板のガイド孔にプローブを挿通することは比較的容易であるが、2枚目以降のガイド板のガイド孔にプローブを挿通することは容易ではないという問題があった。特に、プローブが湾曲部を有する場合、2以上のガイド板にプローブを挿通することは容易ではないという問題があった。
【0005】
図14は、プローブ50をガイドユニット30に取り付ける様子を示した図である。ガイドユニット30は、互いに離間して配置された上部ガイド板301及び下部ガイド板302を備え、上部ガイド板301には上部ガイド孔311が設けられ、下部ガイド板302には下部ガイド孔312が設けられている。
【0006】
上部ガイド孔311及び下部ガイド孔312に順次に挿通されるプローブ50が湾曲部503を有する場合、湾曲部503が上部ガイド孔311を通過する際にプローブ50の姿勢が変化し、プローブ50の先端の位置ずれが生じる。このため、プローブ50の先端を下部ガイド孔312に挿通することは容易ではなく、無理に挿通しようとすれば、プローブの破損や変形を生じさせるおそれがあった。なお、プローブ50が湾曲部503を有する場合だけでなく、プローブ50の製造過程において反りが生じているような場合も同様の問題が生じる。
【0007】
従来の技術として、除去可能なタブをプローブに連結し、把持具を用いてタブを把持する方法が提案されているが(例えば、特許文献1)、2以上のガイド板にプローブを挿通する際、プローブの姿勢が変化することによって生じる課題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、2以上のガイド板に対するプローブの挿通を容易化することを目的とする。特に、ガイドユニットに容易に取り付けることができる複合プローブを提供することを目的とする。また、複合プローブを用いてガイドユニットにプローブを取り付けるプローブの取り付け方法を提供することを目的とする。さらに、複合プローブを用いてプローブカードを製造するプローブカードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明の実施態様による複合プローブは、離間して配置された第1ガイド板及び第2ガイド板からなるプローブカード用のガイドユニットに収容され、前記第1ガイド板の第1ガイド孔及び前記第2ガイド板の第2ガイド孔により支持されるプローブ本体と、前記プローブ本体に一端が連結された略直線形状からなり、前記プローブ本体よりも先に前記第1ガイド孔に挿通され、さらに前記第2ガイド孔を通過した後に前記プローブ本体から切り離し可能なリーダーロッドと、を備えた複合プローブであって、前記プローブ本体は、前記第1ガイド孔に支持される略直線形状の第1ロッドと、前記第2ガイド孔に支持される略直線形状の第2ロッドと、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の間に配置され、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを連結する湾曲部と、を備え、前記リーダーロッドは、前記第2ロッドと同軸に、前記第2ロッドの先端に連結され、前記リーダーロッド及び前記第2ロッドの合計長さが、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の非対向面の距離よりも長くなるように構成される。このような構成を採用することにより、湾曲部を有するプローブが、リーダーロッドとともに複合プローブを構成するプローブ本体として提供され、湾曲部が第1ガイド孔に挿通される前に、リーダーロッドを第2ガイド孔に挿通することができ、湾曲部を有するプローブのガイドユニットへの取り付け作業を容易化することができる。
【0011】
第2の本発明の実施態様による複合プローブは、上記構成に加えて、前記リーダーロッドが、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の非対向面の距離よりも長くなるように構成される。このような構成を採用することにより、プローブ本体及びリーダーロッドを連結する連結部が第1ガイド孔に到達する前に、リーダーロッドを第2ガイド孔に挿通することができる。このため、リーダーロッドの第2ガイド孔への挿通前に連結部が破断するのを抑制することができ、プローブのガイドユニットへの取り付けをさらに容易化することができる。
【0012】
第3の本発明の実施態様による複合プローブは、上記構成に加えて、前記リーダーロッドの長さが、前記プローブ本体の長さ以上になるように構成される。このような構成を採用することにより、プローブ本体が取り付け可能なガイドユニットである限り、第1ガイド板及び第2ガイド板の間隔にかかわらず、プローブ本体及びリーダーロッドを連結する連結部が第1ガイド孔に到達する前に、リーダーロッドを第2ガイド孔に挿通することができる。
【0013】
第4の本発明の実施態様による複合プローブは、上記構成に加えて、前記リーダーロッド及び前記第2ロッドが、めっき法により順次に積層された金属層であり、積層方向に略平行な界面において接合されている。このような構成を採用することにより、リーダーロッドをプローブ本体から容易に切り離すことができる。
【0014】
第5の本発明の実施態様による複合プローブは、上記構成に加えて、前記リーダーロッド及び前記第2ロッドを連結する連結部を備え、前記連結部が、めっき法により積層された金属層であり、積層方向の厚さが、前記リーダーロッド及び前記第2ロッドよりも小さくなるように構成される。
【0015】
第6の本発明の実施態様によるプローブの取り付け方法は、離間して配置された第1ガイド板及び第2ガイド板からなるプローブカード用のガイドユニットに対し、プローブを取り付ける方法であって、前記第1ガイド板の第1ガイド孔に支持される第1ロッド及び前記第2ガイド板の第2ガイド孔に支持される第2ロッドと、前記第1ガイド板及び前記第2ガイド板の間に配置され、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを連結する湾曲部とを備えたプローブ本体と、前記プローブ本体の先端に連結されたリーダーロッドと、により構成される複合プローブを用いて、前記リーダーロッドを前記プローブ本体よりも先に前記第1ガイド板の前記第1ガイド孔に挿通するステップと、前記第1ガイド孔に挿通した前記リーダーロッドを、前記湾曲部が前記第1ガイド孔に挿通される前に、前記第2ガイド板の前記第2ガイド孔にさらに挿通するステップと、前記プローブ本体が前記第1ガイド孔及び前記第2ガイド孔により支持されている状態で、前記リーダーロッドを前記プローブ本体から切り離すステップと、を備える。このような構成を採用することにより、湾曲部を有するプローブが、リーダーロッドとともに複合プローブを構成するプローブ本体として提供され、湾曲部が第1ガイド孔に挿通される前に、リーダーロッドを第2ガイド孔に挿通することができ、湾曲部を有するプローブのガイドユニットへの取り付け作業を容易化することができる。
【0016】
第7の本発明の実施態様によるプローブカードの製造方法は、上記プローブの取り付け方法を用いて、前記ガイドユニットにプローブを取り付けるステップと、前記プローブが取り付けられた前記ガイドユニットを配線基板に取り付けるステップと、を備える。このような構成を採用することにより、プローブカードの製造を容易化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2以上のガイド板に対するプローブの挿通を容易化することができる。特に、ガイドユニットに容易に取り付けることができる複合プローブを提供することができる。また、ガイドユニットにプローブを容易に取り付けることができるプローブの取り付け方法を提供することができる。さらに、プローブカードを容易に製造することができるプローブカードの製造方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態1による複合プローブ60の一構成例を示した図である。
【
図2】複合プローブ60を用いて、プローブ50をガイドユニット30に取り付ける方法の一例を示した図である。
【
図3】必要な全てのプローブ50が取り付けられたガイドユニット30を示した図である。
【
図4】ガイドユニット30が取り付けられたプローブカード1を示した図である。
【
図5】複合プローブ60の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。
【
図6】本発明の実施の形態2による複合プローブ61の一構成例を示した図である。
【
図7】本発明の実施の形態3による複合プローブ62の一構成例を示した図である。
【
図8】本発明の実施の形態4による複合プローブ63の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。
【
図9】複合プローブ63の製造方法の一例を示した図である。
【
図10】本発明の実施の形態5による複合プローブ64の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。
【
図11】複合プローブ64の製造方法の一例を示した図である。
【
図12】本発明の実施の形態6による複合プローブ65の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。
【
図13】複合プローブ65の製造方法の一例を示した図である。
【
図14】従来の方法によりプローブ50をガイドユニット30に取り付ける様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
(1)複合プローブ60
図1は、本発明の実施の形態1による複合プローブ60の一構成例を示した図であり、複合プローブ60を用いて、ガイドユニット30にプローブ50を取り付ける様子の一例が示されている。
【0020】
複合プローブ60は、プローブ本体600の一端にリーダーロッド610を連結して構成される。プローブ本体600は、ガイドユニット30に取り付けられるプローブ50に相当する。リーダーロッド610は、ガイドユニット30のガイド孔311,312に対し、プローブ本体600よりも先行して挿通されるリーダーである。リーダーロッド610に続いてプローブ本体600をガイド孔311,312に挿通した後、リーダーロッド610をプローブ本体600から切り離すことにより、ガイドユニット30に取り付けられたプローブ50が得られる。
【0021】
(2)ガイドユニット30
ガイドユニット30は、プローブ50を支持する2つのガイド板301,302と、これらのガイド板301,302を互いに連結する連結スペーサ303とを備える。
【0022】
上部ガイド板301は、2以上の上部ガイド孔311が形成された板状部材、例えばセラミック板である。上部ガイド孔311は、上部ガイド板301を板厚方向に貫通する孔であり、プローブ50が挿通され、プローブ50の上端近傍を支持する。
【0023】
下部ガイド板302は、2以上の下部ガイド孔312が形成された板状部材、例えばセラミック板であり、連結スペーサ303により、上部ガイド板301の下面と対向するように配置される。下部ガイド板302は、上部ガイド板301に対し、所定の距離を隔てて平行となるように上部ガイド板301の下方に配置される。下部ガイド孔312は、下部ガイド板302を板厚方向に貫通する孔であり、プローブ50が挿通され、プローブ50の下端近傍を上下動可能に支持する。なお、同一のプローブ50が挿通される上部ガイド孔311及び下部ガイド孔312は、リーダーロッド610の挿通を容易にするためにガイド板301,302に直交する方向において対向して配置されていることが望ましいが、本発明はこのような構成のみに限定されない。
【0024】
(3)プローブ50(プローブ本体600)
プローブ50は、ガイド板301,302と略直交する方向に延びる垂直型プローブである。プローブ50は、細長い形状を有する導電性材料からなる。プローブ50の材料には、ニッケル(Ni)合金、パラジウム(Pd)合金などの弾性特性及び導電特性がともに良好な金属材料が用いられる。プローブ50は、単一の導電性材料のみで構成してもよいが、2以上の導電性材料で構成することもできる。例えば、特に高い導電特性を有する金(Au)、銅(Cu)などを一部に用いることもできる。
【0025】
プローブ50は、上部ロッド501、下部ロッド502、湾曲部503及びストッパー510を備える。上部ロッド501及び下部ロッド502は、湾曲部503を介して連結される。また、ストッパー510は、上部ロッド501に設けられている。
【0026】
上部ロッド501は、略直線形状からなり、上部ガイド孔311に挿通され、上部ガイド板301により支持される。上部ロッド501の上端は、ガイドユニット30から上方へ突出する一方、上部ロッド501の下端は、ガイドユニット30内において湾曲部503と連結される。
【0027】
下部ロッド502は、略直線形状からなり、下部ガイド孔312に挿通され、下部ガイド板302により支持される。下部ロッド502の下端は、ガイドユニット30から下方へ突出する一方、下部ロッド502の上端は、ガイドユニット30内において湾曲部503と連結される。なお、図中には、下部ロッド502が上部ロッド501と同軸である例が示されているが、本発明はこのような構成のみに限定されない。
【0028】
湾曲部503は、湾曲形状からなり、検査時に検査対象物から受ける圧力により弾性変形する。湾曲部503が検査対象物から受ける外力により座屈変形することにより、検査対象物に対しプローブ50を弾性的に接触させることができる。また、湾曲部503を設けることにより、プローブ50の変形する部分や方向を予め規定することができるので、隣接して配置されたプローブ50間における接触を抑制することができる。
【0029】
ストッパー510は、上部ロッド501の側面に設けられた突出部であり、ストッパー510が、上部ガイド板301の上面に係止されることにより、プローブ50がガイドユニット30から脱落するのを防止することができる。なお、プローブ本体600は、プローブ50と同一であるため、対応する構成に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
(4)リーダーロッド610
リーダーロッド610は、プローブ本体600に先行してガイド孔311,312に挿通され、プローブ本体600のガイド孔311,312への挿通を容易化する手段である。リーダーロッド610は、略直線形状からなり、リーダーロッド610の上端は、プローブ本体600の下端、つまり、下部ロッド502の下端に連結される。
【0031】
リーダーロッド610の最大断面積は、下部ロッド502の最大断面積よりも小さいことが望ましい。また、リーダーロッド610は、下部ロッド502と同軸であることが望ましい。つまり、軸方向から見た場合、リーダーロッド610の断面は、下部ロッド502の断面の輪郭内に位置していることが望ましい。なお、リーダーロッド610の材料は、プローブ本体600と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0032】
リーダーロッド610の先端部620は、先端に向かって断面積が小さくなるテーパー形状からなる。リーダーロッド610の下端をテーパー形状にすることにより、リーダーロッド610のガイド孔311,312への挿通を容易化することができる。
【0033】
リーダーロッド610は、連結部630においてプローブ本体600と連結される。連結部630は、複合プローブ60のガイドユニット30への挿通時に破断しない一方、リーダーロッド610の全体が、ガイドユニット30を通過し、ガイドユニット30から突出している状態では容易に破断できることが望ましい。例えば、適切な切り欠き部を設けておくことにより、複合プローブ60の挿通時に破断せず、リーダーロッド610の通過後に容易に破断させることができる。
【0034】
(5)プローブ50の取り付け方法
図2は、プローブ50の取り付け方法の一例を示した図であり、図中の(a)~(c)には、複合プローブ60を用いてプローブ50をガイドユニット30に取り付ける工程が時系列に示されている。図中に示したプローブの取り付け工程は、プローブカードの製造工程の一部であり、また、破損したプローブ50を交換するプローブカードの修理工程の一部でもある。
【0035】
図中の(a)は、
図1と同様の状態を複合プローブ60に着目して示した図であり、リーダーロッド610を上部ガイド孔311に挿通した後、さらに下部ガイド孔312に挿通した状態が示されている。
【0036】
図中の(b)は、リーダーロッド610の全体が下部ガイド板302よりも下方に突出している状態において、リーダーロッド610を切り離す様子が示されている。リーダーロッド610は、例えば、折り曲げ方向の外力が加えられることにより切り離され、あるいは、レーザー光が照射されることにより切り離される。
【0037】
リーダーロッド610の長さL1と、下部ロッド502の長さL2の和が、ガイド板301,302の非対向面の距離L3よりも長ければ、湾曲部503が上部ガイド孔311に挿通され、複合プローブ60の姿勢が変化する前に、リーダーロッド610の先端部620が下部ガイド孔312に挿通される。このため、湾曲部503の影響を受けることなく、リーダーロッド610の先端部620を下部ガイド孔312に挿通することができる。なお、ガイド板301,302の非対向面の距離L3は、上部ガイド板301の上面と、下部ガイド板302の下面との距離を指すものとする。
【0038】
図中の(c)は、リーダーロッド610を切り離した後の状態が示されている。ガイドユニット30にはプローブ本体600のみが残り、ストッパー510が上部ガイド板301に係止され、上部ロッド501が上部ガイド板301に支持されるともに、下部ロッド502が下部ガイド板302に支持されている。つまり、ガイドユニット30に取り付けられたプローブ50が得られる。
【0039】
(6)プローブカード1
図3は、必要な全てのプローブ50が取り付けられたガイドユニット30を示した図である。
図4は、
図3のガイドユニット30が取り付けられたプローブカード1を示した図であり、ウエハプローバー内において水平に配置されたプローブカード1を鉛直面で切断したときの断面が示されている。
【0040】
プローブカード1は、プローブ50の設置面がステージ21上の半導体ウエハ211と対向するようにカードホルダ20に取り付けられ、ステージ21を上下動することにより、プローブ50を半導体ウエハ211上の電極端子212に接触させることができる。プローブカード1は、メイン基板10、補強板103、ガイドユニット30及び2以上のプローブ50により構成される。
【0041】
メイン基板10は、ウエハプローバーに着脱可能に取り付けられる配線基板であり、下面の外周縁部がウエハプローバーのカードホルダ20により支持され、水平に配置される。メイン基板10の上面の中央部には補強板103が取り付けられ、外周縁部には、テスター装置(不図示)の信号端子が接続される2以上の外部端子101が設けられている。また、下面の中央部には、プローブ50を接続するための2以上のプローブ電極102が設けられ、プローブ電極102及び外部端子101は、メイン基板10を介して互いに導通している。
【0042】
ガイドユニット30は、2以上のプローブ50を上下動可能に支持し、水平面内における位置決めを行うプローブ50の支持部材であり、取り付けスペーサ40を介してメイン基板10の下面に対向するように取り付けられる。つまり、上部ガイド板301は、メイン基板10に対し、所定の距離を隔てて平行になるようにメイン基板10の下方に配置される。
【0043】
プローブ50は、メイン基板10と交差する方向に延びる形状を有し、その上端及び下端は、いずれもガイドユニット30から突出し、プローブ50の上端は、プローブ電極102に接続され、プローブ50の下端は、検査対象物上の電極端子212に接触させることができる。
【0044】
(7)連結部630
図5は、複合プローブ60の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。図中の(a)は、連結部630の斜視図、(b)は、積層面と正対したときの正面図、(c)は、複合プローブ60の幅方向の側面図である。
【0045】
連結部630には、一対の切り欠き部631が形成され、プローブ本体600及びリーダーロッド610よりも幅が狭く、断面積が小さくなっている。一対の切り欠き部631は、例えば、互いに頂点を対向させた楔形状からなり、矩形断面を有する複合プローブ60の対向する側面に形成される。
【0046】
複合プローブ60は、めっき法により金属材料を積層して形成される。積層方向Dは、複合プローブ60の軸方向Aと直交し、積層面は、積層方向Dに対し垂直である。本明細書では、複合プローブ60の積層方向Dのサイズを厚さ、積層方向D及び軸方向Aのいずれとも交差する方向のサイズを幅と呼ぶことにする。一対の切り欠き部631は、複合プローブ60の幅方向において対向する一対の側面に形成された凹部であり、積層面上におけるパターンとして実現することができる。なお、リーダーロッド610の先端部620のテーパー形状も、同様のパターンとして実現することができる。
【0047】
プローブ本体600及びリーダーロッド610は、同一の積層工程において同時に積層形成される。つまり、プローブ本体600及びリーダーロッド610は、同一の材料からなり、一体的に形成される。この場合、プローブ本体600及びリーダーロッド610は、強固に連結されているが、形状及び大きさが適切な切り欠き部631を設けることにより、複合プローブ60の挿通時には破断せず、その後、リーダーロッド610の全体がガイドユニット30を通過した状態において容易に破断可能な連結部630を実現することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、プローブ本体600及びリーダーロッド610が同一の材料からなり、一体的に形成される場合の例について説明したが、本発明に係る複合プローブ60は、このような構成のみに限定されない。例えば、プローブ本体600及びリーダーロッド610が異なる材料からなり、あるいは、異なる積層工程において順次に積層される場合であっても、両者が強固に連結されている場合には、切り欠き部631を設ける構成を採用することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、切り欠き部631が、楔形である場合の例について説明したが、本発明に係る切り欠き部631は、このような構成のみに限定されず、任意の形状にすることができる。
【0050】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2による複合プローブ61の一構成例を示した図である。複合プローブ61は、
図2の複合プローブ60(実施の形態1)と比較すれば、リーダーロッド610の長さが異なる。その他の構成は、複合プローブ60と同じであるため、重複する説明を省略する。
【0051】
リーダーロッド610の長さL1は、ガイド板301,302の非対向面の距離L3よりも長くなるように構成される。このような構成を採用することにより、連結部630が上部ガイド孔311に挿通される前に、先端部620が下部ガイド孔312に挿通される。このため、リーダーロッド610が下部ガイド孔312に挿通される前に連結部630が破断するのを抑制することができる。また、下部ロッド502が湾曲している場合や、リーダーロッド610が下部ロッド502と同軸でない場合であっても、リーダーロッド610が直線形状であれば、複合プローブ61の挿通を容易化することができる。
【0052】
さらに、リーダーロッド610の長さL1は、プローブ本体600の長さL4以上であることがより望ましい。プローブ本体600の長さL4は、ガイド板301,302の非対向面の距離L3よりも長いことから、リーダーロッド610の長さL1がプローブ本体600の長さL4以上であれば、実際に使用するガイド板301,302の非対向面の距離L3にかかわらず、リーダーロッド610の長さL1をガイド板301,302の非対向面の距離L3よりも長くすることができ、複合プローブ61の挿通を容易化することができる。なお、プローブ本体600の長さL4は、両端の直線距離を指すものとする。
【0053】
実施の形態3.
実施の形態1では、上部ガイド板301側からガイドユニット30に挿入される複合プローブ60の例について説明したが、本実施形態では、下部ガイド板302側からガイドユニット30に挿入される複合プローブ62について説明する。
【0054】
図7は、本発明の実施の形態3による複合プローブ62の一構成例を示した図であり、図中の(a)~(c)は、複合プローブ62を用いてプローブ50をガイドユニット30に取り付ける工程が時系列に示されている。なお、図中に示したプローブの取り付け工程は、プローブカードの製造工程の一部であり、また、破損したプローブ50を交換するプローブカードの修理工程の一部でもある。
【0055】
複合プローブ62は、複合プローブ60(実施の形態1)と比較すれば、リーダーロッド610がプローブ本体600の上端に連結され、また、ストッパー510がガイド孔311,312を下側から上側へ通過可能である点で異なる。その他の構成は、複合プローブ60と同じであるため、重複する説明を省略する。
【0056】
リーダーロッド610は、上部ロッド501の上端に連結されている。リーダーロッド610の最大断面積は、ストッパー510を除く上部ロッド501の最大断面積よりも小さいことが望ましい。また、リーダーロッド610は、上部ロッド501と同軸であることが望ましい。つまり、軸方向から見た場合、リーダーロッド610の断面は、上部ロッド501の断面の輪郭内に位置していることが望ましい。
【0057】
ストッパー510は、ガイド孔311,312を上に向かって通過できる一方、下に向かって通過できないように構成されている。例えば、ストッパー510は、上部ロッド501の側面から斜め下方向に向かって延びる弾性変形可能な部材からなり、ガイド孔311,312に対し下側から挿入すれば、突出量が減少するように弾性変形しながら、ガイド孔311,312を通過することができる一方、ガイド孔311,312に対し上側から挿入しようとすれば、突出量が増大するように弾性変形し、ガイド孔311,312を通過することができない。このため、上部ガイド孔311を上に向かって通過したストッパー510は、上部ガイド板301の上面に係止される。
【0058】
図中の(a)は、リーダーロッド610を下部ガイド孔312に挿通した後、さらに上部ガイド孔311に挿通した状態が示されている。
【0059】
図中の(b)は、リーダーロッド610の全体が上部ガイド板301よりも上方に突出している状態において、リーダーロッド610を切り離す様子が示されている。リーダーロッド610は、例えば、折り曲げ方向の外力が加えられることにより切り離され、あるいは、レーザー光が照射されることにより切り離される。
【0060】
なお、本実施の形態では、ストッパー510が、上部ロッド501に設けられ、上部ガイド板301の上面に係止される場合の例について説明したが、本発明はこのような構成のみに限定されない。例えば、ストッパー510が、下部ロッド502に設けられ、下部ガイド孔312のみを上に向かって通過し、下部ガイド板302の上面に係止される構成を採用することもできる。
【0061】
図中の(c)は、リーダーロッド610を切り離した後の状態が示されている。ガイドユニット30にはプローブ本体600のみが残り、ストッパー510が上部ガイド板301に係止され、上部ロッド501が上部ガイド板301に支持されるともに、下部ロッド502が下部ガイド板302に支持されている。つまり、ガイドユニット30に取り付けられたプローブ50が得られる。
【0062】
実施の形態4.
実施の形態1では、連結部630に切り欠き部631が設けられる場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、連結部630においてプローブ本体600及びリーダーロッド610が界面接合されている場合について説明する。
【0063】
図8は、本発明の実施の形態4による複合プローブ63の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。図中の(a)は、連結部630の斜視図、(b)は、積層面と正対したときの正面図、(c)は、複合プローブ63の幅方向の側面図である。
【0064】
複合プローブ63は、
図5の複合プローブ60(実施の形態1)と比較すれば、連結部630の構成のみが異なる。その他の構成は同一であるため、重複する説明は省略する。
【0065】
連結部630には、プローブ本体600及びリーダーロッド610の接合面632が形成されている。プローブ本体600及びリーダーロッド610は、いずれもめっき法により形成される金属層であるが、互いに異なる積層工程において順次に形成され、リーダーロッド610の軸方向Aと直交する界面(接合面632)において互いに接合されている。
【0066】
同時に積層されない2つの金属層の接合面632が積層方向Dに平行である場合、積層面に平行である場合に比べて、接合面における接合力がより脆弱になる。このため、プローブ本体600及びリーダーロッド610を順次に形成し、積層方向Dに平行な界面で接合させることにより、外力を加えたときに、接合面632において破断させ、プローブ本体600からリーダーロッド610を切り離すことが容易になる。
【0067】
図9は、複合プローブ63の製造方法の一例を示した図であり、図中の(a)~(e)には、複合プローブ63の製造プロセスを構成する主な工程が時系列に示されている。複合プローブ63は、電気めっき法を用いて製造される。まず、プローブ形成用の基板700上に、プローブ本体600が電気めっきにより形成される(
図9(a))。プローブ本体600は、上部ロッド501、下部ロッド502及び湾曲部503で構成されるようにパターニングされている。
【0068】
次に、フォトレジスト701が形成される。フォトレジスト701は、基板700の全面に形成された後に選択的露光及び現像が行われ、リーダーロッド610に対応する領域に開口702が形成される(
図9(b))。開口702を形成することにより、プローブ本体600の端面と基板700が露出する。
【0069】
次に、開口702内に金属層703が電気めっきにより形成される(
図9(c))。その後、積層面を平坦化させる研磨処理が行われ、プローブ本体600と同一の厚さを有し、プローブ本体600の端面に接合された金属層703が得られる。この金属層703がリーダーロッド610になる(
図9(d))。その後、フォトレジストを除去し、さらに基板700から分離することにより、複合プローブ63が得られる(
図9(e))。
【0070】
なお、本実施の形態では、プローブ本体600の形成後にリーダーロッド610を形成する複合プローブの製造方法について説明したが、本発明は、このような製造方法のみに限定されない。例えば、リーダーロッド610の形成後にプローブ本体600を形成する構成を採用することもできる。
【0071】
実施の形態5.
実施の形態1では、幅方向の側面に切り欠き部631が設けられた連結部630の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、さらに積層面にも切り欠き部635が設けられた連結部630について説明する。
【0072】
図10は、本発明の実施の形態5による複合プローブ64の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。図中の(a)及び(b)は、異なる方向から見た連結部630の斜視図、(c)は、幅方向の側面を示した側面図である。
【0073】
複合プローブ64は、
図5の複合プローブ60(実施の形態1)と比較すれば、連結部630の構成のみが異なる。その他の構成は同一であるため、重複する説明は省略する。
【0074】
連結部630は、プローブ本体600及びリーダーロッド610を連結する連結チップ633により構成される。プローブ本体600及びリーダーロッド610は、軸方向Aに離間して配置され、連結チップ633の一端がプローブ本体600に連結され、他端がリーダーロッド610に連結される。連結チップ633と、プローブ本体600及びリーダーロッド610とは、積層面に平行な界面において接合されているため、当該界面では容易に破断しないように強固に連結される。
【0075】
連結チップ633の幅は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の幅と同一であるが、連結チップ633の幅方向において対向する一対の側面には、一対の切り欠き部634が形成されている。切り欠き部634の形状や形成方法は、
図5の切り欠き部631(実施の形態1)と同様である。
【0076】
また、連結チップ633の厚さは、プローブ本体600及びリーダーロッド610の厚さよりも薄い。このため、プローブ本体600及びリーダーロッド610間の積層面にも切り欠き部635が形成される。切り欠き部635は、連結チップ633と、プローブ本体600及びリーダーロッド610との段差によって形成された積層面上の凹部である。
【0077】
このような構成を採用することにより、連結部630の断面積は、切り欠き部634により幅方向が狭小化されるとともに、切り欠き部635により厚さ方向が狭小化され、容易に破断することができる。
【0078】
連結チップ633は、プローブ本体600及びリーダーロッド610に対し強固に連結される一方、形状及び大きさが適切な切り欠き部634,635を設けることにより、複合プローブ60の挿通時には破断せず、リーダーロッド610の全体がガイドユニット30を通過した後に容易に破断可能な連結部630を実現することができる。
【0079】
図11は、複合プローブ64の製造方法の一例を示した図であり、図中の(a)~(e)には、複合プローブ64の製造プロセスを構成する主な工程が時系列に示されている。複合プローブ64は、電気めっき法を用いて製造される。まず、プローブ形成用の基板700上に、連結チップ633が電気めっきにより形成される(
図11(a))。連結チップ633は、一対の切り欠き部634を有するようにパターニングされている。
【0080】
次に、フォトレジスト711が形成される。フォトレジスト711は、基板700の全面に形成された後に選択的露光及び現像が行われ、プローブ本体600及びリーダーロッド610に対応する領域に開口712が形成される(
図11(b))。開口712を形成することにより、連結チップ633の両端の上面と基板700が露出する。
【0081】
次に、開口712内に金属層713が電気めっきにより形成される(
図11(c))。その後、積層面を平坦化させる研磨処理が行われ、連結チップ633よりも大きな厚さを有し、連結チップ633の両端の上面にそれぞれ接合された2つの金属層713が得られる。この金属層713がプローブ本体600及びリーダーロッド610になる(
図11(d))。その後、フォトレジスト711を除去し、さらに基板700から分離することにより、複合プローブ64が得られる(
図11(e))。
【0082】
本実施の形態では、幅方向の側面の切り欠き部634と、積層面の切り欠き部635とを有する連結部630の例について説明したが、本発明は、このような構成のみに限定されない。例えば、連結部630は、積層面の切り欠き部635のみを有するように構成することもできる。
【0083】
また、本実施の形態では、連結チップ633の幅が、プローブ本体600及びリーダーロッド610の幅と同一である例について説明したが、本発明は、このような構成のみに限定されない。例えば、連結チップ633の幅は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の幅より小さくてもよい。
【0084】
実施の形態6.
実施の形態4では、プローブ本体600及びリーダーロッド610が界面接合された連結部630の例について説明した。また、実施の形態5では、プローブ本体600及びリーダーロッド610が連結チップ633により連結された連結部630の例について説明した。本実施の形態では、これらを組み合わせた連結部630について説明する。
【0085】
図12は、本発明の実施の形態6による複合プローブ65の詳細構成の一例を示した図であり、連結部630の外観が示されている。図中の(a)及び(b)は、異なる方向から見た連結部630の斜視図、(c)は、幅方向の側面を示した側面図である。
【0086】
複合プローブ65は、
図5の複合プローブ60(実施の形態1)と比較すれば、連結部630の構成のみが異なる。その他の構成は同一であるため、重複する説明は省略する。
【0087】
連結部630は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の接合面632と、プローブ本体600及びリーダーロッド610を連結する連結チップ633とを備える。接合面632と連結チップ633は、連結部630における厚さ方向の異なる位置に形成されている。図中の(a)及び(c)では、上側に接合面632が設けられ、下側に連結チップ633が設けられている。
【0088】
プローブ本体600及びリーダーロッド610は、いずれもめっき法により形成される金属層であるが、互いに異なる積層工程において順次に形成され、積層面と直交する界面(接合面632)において互いに接合されている。このため、積層面に平行な接合面に比べて、接合力がより脆弱である。このため、外力を加えたときに、接合面632において破断させ、プローブ本体600からリーダーロッド610を切り離すことが容易になる。
【0089】
また、プローブ本体600及びリーダーロッド610は、連結チップ633を介して連結されている。連結チップ633と、プローブ本体600及びリーダーロッド610とは、積層面に平行な界面において接合されているため、容易に破断しないように強固に連結される。
【0090】
連結チップ633の幅は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の幅と同一であるが、連結チップ633の幅方向において対向する一対の側面には、一対の切り欠き部634が形成されている。切り欠き部634の形状や形成方法は、
図5の切り欠き部631(実施の形態1)と同様である。また、連結チップ633の厚さは、プローブ本体600及びリーダーロッド610の厚さよりも薄い。このため、連結チップ633の断面積は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の断面積よりも小さい。さらに切り欠き部634によって幅が狭小化され、最小断面積はさらに小さくなり、容易に破断することができる。
【0091】
従って、接合面632及び切り欠き部634の軸方向Aの位置を一致させておくことにより、外力を加えたときに、当該位置において破断させることができる。複合プローブ65は、連結部630に接合面632及び連結チップ633が設けられているため、ガイドユニット30に対する複合プローブ65の挿通時には破断せず、リーダーロッド610の全体が通過した後に容易に破断可能な連結部630を実現することができる。
【0092】
図13は、複合プローブ65の製造方法の一例を示した図であり、図中の(a)~(f)には、複合プローブ65の製造プロセスを構成する主な工程が時系列に示されている。複合プローブ65は、電気めっき法を用いて製造される。まず、プローブ形成用の基板700上に、連結チップ633が電気めっきにより形成される(
図13(a))。連結チップ633は、一対の切り欠き部634を有するようにパターニングされている。
【0093】
次に、フォトレジスト721が形成される。フォトレジスト721は、基板700の全面に形成された後に選択的露光及び現像が行われ、プローブ本体600に対応する領域に開口722が形成される。開口722内には、連結チップ633の上面の左半分及び基板700の一部が露出する。その後、開口722内に金属層723が電気めっきにより形成される(
図13(b))。
【0094】
次に、積層面を平坦化させる研磨処理が行われ、連結チップ633の上面の左半分に接合された金属層723が得られる(
図13(c))。この金属層723は、フォトレジスト721のパターニングにより、上部ロッド501、下部ロッド502及び湾曲部503を備えたプローブ本体600となる。
【0095】
その後、フォトレジスト721を除去した後、さらにフォトレジスト724が形成される。フォトレジスト724は、基板700の全面に形成された後に選択的露光及び現像が行われ、リーダーロッド610に対応する領域に開口725が形成される。開口725内には、連結チップ633の上面の右半分及び基板700の一部が露出する。その後、開口725内に金属層726が電気めっきにより形成される(
図13(d))。
【0096】
次に、積層面を平坦化させる研磨処理が行われ、連結チップ633の上面の右半分に接合されるとともに、接合面632においてプローブ本体600にも接合された金属層726が得られる(
図13(e))。この金属層726がリーダーロッド610となる。
【0097】
その後、フォトレジスト724を除去し、さらに基板700から分離することにより、複合プローブ65が得られる(
図13(f))。
【0098】
なお、本実施の形態では、連結チップ633の幅がプローブ本体600及びリーダーロッド610の幅と同一である例について説明したが、連結チップ633の幅は、プローブ本体600及びリーダーロッド610の幅より小さくてもよい。また、プローブ本体600の形成後にリーダーロッド610を形成する複合プローブの製造方法の例について説明したが、リーダーロッド610の形成後にプローブ本体600を形成してもよい。
【0099】
また、本発明によるプローブの取り付け方法は、プローブカード1の製造だけでなく、破損したプローブ50を交換するプローブカード1の修理にも適用することができる。プローブカード1の修理時には、プローブ50の長さが摩耗により減少している場合がある。このため、修理時におけるプローブ50の長さを測定し、プローブ本体600の長さL4が測定した長さに一致する複合プローブ60をプローブカード1の修理に用いることが望ましい。
【0100】
この場合、プローブ本体600の長さL4が異なる2以上の複合プローブ60で構成される複合プローブセットを用いることが望ましい。プローブ50の長さを測定し、複合プローブセットの中から適切な複合プローブ60を選択すれば、プローブカード1の修理を迅速に行うことができる。
【0101】
複合プローブセットを構成する複合プローブ60は、その全長、例えば、プローブ本体600の長さL4とリーダーロッド610の長さL1の和が、互いに一致していることが望ましい。複合プローブ60の全長を一致させることにより、複合プローブセットの保管及び運搬が容易になるとともに、製造コストを抑制することができる。例えば、
図9に示した製造方法を採用する場合、プローブ本体600の長さが異なれば、(a)の製造工程で用いるマスクパターンも異なるが、複合プローブ60の全長を同一にすることにより、(b)以降の製造工程では同一のマスクパターンを用いることができ、製造コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 プローブカード
10 メイン基板
101 外部端子
102 プローブ電極
103 補強板
20 カードホルダ
21 ステージ
211 半導体ウエハ
212 電極端子
30 ガイドユニット
301 上部ガイド板
302 下部ガイド板
303 連結スペーサ
311 上部ガイド孔
312 下部ガイド孔
40 取り付けスペーサ
50 プローブ
501 上部ロッド
502 下部ロッド
503 湾曲部
510 ストッパー
60~65 複合プローブ
600 プローブ本体
610 リーダーロッド
620 先端部
630 連結部
631,634,635 切り欠き部
632 接合面
633 連結チップ
700 基板
701,711,721,724 フォトレジスト
702,712,722,725 開口
703,713,723,726 金属層