(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】空気調和機、空調システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20250407BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
(21)【出願番号】P 2024526137
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2022023214
(87)【国際公開番号】W WO2023238306
(87)【国際公開日】2023-12-14
【審査請求日】2024-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】月野 秀輝
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225262(JP,A)
【文献】特開2019-110698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デマンドレスポンス機能を有する空気調和機であって、
電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御部と、
前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信部と、
を備え、
前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とは、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知可能である、
空気調和機。
【請求項2】
前記デマンド情報には、前記デマンド信号を受信中であるか否かを示す情報、又は前記電力削減要求の内容を示す情報が含まれ、
前記運転状態を示す情報には、消費電力に関する情報または吹き出し温度を示す情報が含まれる、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空気調和機は、圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備え、
前記運転制御部は、
前記電力削減要求に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御し、前記電力削減要求に応じた前記圧縮機の運転周波数が運転保証範囲を逸脱する場合には、前記運転保証範囲に収まるように前記圧縮機の運転周波数を制御する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記運転状態を示す情報には、前記運転保証範囲に収まるように前記圧縮機の運転周波数を制御しているか否かを示す情報が含まれる、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空気調和機は、圧縮機を有する室外機と室外機に接続された室内機とを備え、
前記運転制御部は、
前記受信部により前記デマンド信号が受信された場合、前記電力削減要求に応じて前記圧縮機の運転周波数を制御する第1モードと、前記圧縮機の運転周波数を変更せずに動作させる動作状態と停止状態とを繰り返す間欠動作に制御する第2モードとをユーザに選択させる、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記運転制御部は、
前記ユーザにより前記第2モードが選択された場合、単位時間当たりの積算電力量が前記電力削減要求を満たすように、前記圧縮機を間欠動作させる、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記運転状態を示す情報には、前記第1モードと前記第2モードとのうち選択されているモードを示す情報が含まれる、
請求項5または請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記空気調和機は、1台の室外機に対して複数の室内機が接続されるマルチ形の空気調和機であって、
前記送信部は、
前記デマンド信号を受信中に前記室内機の運転台数を追加すると前記室内機の吹き出し温度が変化することをユーザに通知するための情報を、前記運転状態を示す情報として前記クラウドサーバへ送信する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項9】
デマンドレスポンス機能を有する空気調和機と、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信して前記空気調和機へ送信するクラウドサーバとを備える空調システムであって、
前記空気調和機は、
前記クラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御部と、
前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信部と、
を備え、
前記クラウドサーバは、
前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とに基づく情報を、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知する、
空調システム。
【請求項10】
デマンドレスポンス機能を有する空気調和機における制御方法であって、
受信部が、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信するステップと、
運転制御部が、前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御するステップと、
送信部が、前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信するステップと、
を含み、
前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とは、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知可能である、
制御方法。
【請求項11】
デマンドレスポンス機能を有する空気調和機と、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信して前記空気調和機へ送信するクラウドサーバとを備える空調システムにおける制御方法であって、
前記空気調和機が、
前記クラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御ステップと、
前記運転制御ステップにおける制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信ステップと、
前記クラウドサーバが、
前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とに基づく情報を、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機、空調システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は世界各国で使用されており、省エネへの関心が高まってきている。昨今では電力会社から空気調和機に対して電力を削減した運転を要求するデマンド信号に基づいて、電力を削減した運転を行うデマンドレスポンス機能を有する空気調和機が存在する。このデマンドレスポンスは、例えば夏場の電力量のピークカットを目的として行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、電力の削減の要求を受けると、実行すべきデマンドレスポンスの計画を策定し、計画期間ごとに削減の達成を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デマンドレスポンス機能により、過度な電力削減要求を受取った場合、空気調和機の設定温度に対して実際の吹き出し温度の差が大きくなって快適性が損なわれること、或いは、過度な電力削減要求に対して空気調和機側で保護制御が働き、受け入れることができないことがある。このような場合、ユーザにとっては快適性が損なわれることからクレームにつながる懸念がある。一方、電力会社側からすると、電力量の削減要求が常に達成されるわけではないため、達成状況をモニタしたいという要望がある。
【0006】
本開示は、上記した事情に鑑みてなされたもので、電力会社からの電力削減要求に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にする空気調和機、及び空調システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空気調和機は、デマンドレスポンス機能を有する空気調和機であって、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御部と、前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信部と、を備え、前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とは、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知可能である。
【0008】
また、本開示に係る空調システムは、デマンドレスポンス機能を有する空気調和機と、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信して前記空気調和機へ送信するクラウドサーバとを備える空調システムであって、前記空気調和機は、前記クラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御部と、前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信部と、を備え、前記クラウドサーバは、前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とに基づく情報を、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知する。
【0009】
また、本開示に係るデマンドレスポンス機能を有する空気調和機における制御方法は、受信部が、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信するステップと、運転制御部が、前記受信部により受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御するステップと、送信部が、前記運転制御部の制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信するステップと、を含み、前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とは、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知可能である。
【0010】
また、本開示に係る、デマンドレスポンス機能を有する空気調和機と、電力会社に対応するサーバから送信されるデマンド信号を受信して前記空気調和機へ送信するクラウドサーバとを備える空調システムにおける制御方法は、前記空気調和機が、前記クラウドサーバから送信された前記デマンド信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにより受信された前記デマンド信号による電力削減要求に応じて前記空気調和機の運転を制御する運転制御ステップと、前記運転制御ステップにおける制御による運転状態を示す情報を前記クラウドサーバへ送信する送信ステップと、前記クラウドサーバが、前記デマンド信号に関するデマンド情報と前記運転状態を示す情報とに基づく情報を、前記電力会社側の端末及び前記空気調和機のユーザの端末のそれぞれに通知するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、電力会社からの電力削減要求に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る空調システムの概要を示すシステム図。
【
図2】実施形態に係る空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係る通常モードの制御の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る間欠動作モードの制御の一例を示す図。
【
図5】実施形態に係るデマンドレスポンス処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施形態に係る
図5のステップS1の詳細例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態に係る
図5のステップS3の詳細例を示すフローチャート。
【
図8】実施形態に係る
図5のステップS4の詳細例を示すフローチャート。
【
図9】実施形態に係る
図5のステップS9の詳細例を示すフローチャート。
【
図10】実施形態に係る
図5のステップS8の詳細例を示すフローチャート。
【
図11】実施形態に係る
図5のステップS11の詳細例を示すフローチャート。
【
図12】実施形態に係るクラウドサーバへアップロードする情報の一例を示す図。
【
図13】実施形態に係るユーザが端末で確認可能な通知の一例を示す図。
【
図14】実施形態に係るユーザが端末で閲覧可能な表示情報の第1例を示す図。
【
図15】実施形態に係る
図5のステップS15の詳細例を示すフローチャート。
【
図16】実施形態に係るユーザが端末で閲覧可能な表示情報の第2例を示す図。
【
図17】実施形態に係る
図5のステップS16の詳細例を示すフローチャート。
【
図18】実施形態に係る
図5のステップS18の詳細例を示すフローチャート。
【
図19】実施形態に係るユーザが端末で閲覧可能な表示情報の第3例を示す図。
【
図20】実施形態に係るユーザ及び電力会社の両方で閲覧可能な表示情報の第1例を示す図。
【
図21】実施形態に係るユーザ及び電力会社の両方で閲覧可能な表示情報の第2例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
まず、電力会社からのデマンド信号に基づいて空気調和機の電力を規制する空調システムの概要について説明する。
【0014】
(空調システムの概要)
図1は、本実施形態に係る空調システムの概要を示すシステム図である。
図示する空調システムSYSは、デマンドレスポンス機能を有する空気調和機30と、電力会社に対応するサーバである電力会社サーバ40と、クラウド上のクラウドサーバ50と、端末60と、端末70とを備えている。
【0015】
電力会社サーバ40とクラウドサーバ50とは、通信ネットワークを介してクラウドサーバ50と通信可能である。また、空気調和機30とクラウドサーバ50とは、通信ネットワークを介してクラウドサーバ50と通信可能である。通信ネットワークには、インターネット、携帯電話通信網、LAN(Local Area Network)などが含まれる。
【0016】
また、端末60及び端末70も通信ネットワークを介してクラウドサーバ50と通信可能である。端末60及び端末70は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの機器である。端末60は、空気調和機30のユーザ(使用者)が使用する機器である。一方、端末70は、電力会社側で使用される機器である。
【0017】
なお、ここでは、空気調和機30の一つを例示しているが、実際には、電力会社が送電している各家庭及び施設等に設置されている複数台の空気調和機30が、空調システムSYSの対象となる。複数台の空気調和機30のそれぞれのユーザは、それぞれの端末60を使用する。
【0018】
電力会社サーバ40は、電力会社自身が運営するサーバであってもよいし、電力会社から委託されたサーバ(電力会社以外が運営するサーバ)であってもよい。電力会社サーバ40は、消費される電力量の削減(例えば、夏場のピークカットなど)を要求するデマンド信号を、クラウドサーバ50を介して空気調和機30へ送信する。
【0019】
クラウドサーバ50は、電力会社サーバ40から送信されたデマンド信号を受信し、受信したデマンド信号を空気調和機30へ送信する。
【0020】
空気調和機30は、1台の室外機Xに複数台の室内機Yが接続されるマルチ形の空気調和機である。空気調和機30は、室外機Xと室内機Yとが冷媒配管で接続されており、冷媒を循環させることにより、暖房運転または冷房運転を行う。
【0021】
また、空気調和機30は、クラウドサーバ50を介して電力会社サーバ40から送信されたデマンド信号を受信すると、受信したデマンド信号による電力削減要求に応じて空気調和機30の運転を制御する。例えば、複数台の室内機Yのそれぞれは、内部又は外部に通信部35を備えている。通信部35は、クラウドサーバ50から送信されたデマンド信号を受信する受信部として機能する。また、通信部35は、クラウドサーバ50へアップロードする情報を送信する送信部としても機能する。室内機Yは、通信部35により受信されたデマンド信号を室外機Xへ送信する。室外機Xは、デマンド信号による電力削減要求に応じて圧縮機の周波数を制御する。
【0022】
また、室内機Yは、通信部35を介して空気調和機30の運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信する。運転状態を示す情報には、消費電力に関する情報(電力量、電流値など)または吹き出し温度を示す情報、保護制御動作中であるか否かを示す情報などが含まれる。
【0023】
クラウドサーバ50は、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号に基づいて、デマンド情報を保存する。デマンド情報には、デマンド信号を受信中であるか否かを示す情報および電力削減要求の内容を示す情報の少なくともいずれか又は両方が含まれる。例えば、クラウドサーバ50は、デマンド情報を日時情報と対応付けて保存する。つまり、クラウドサーバ50は、現在のデマンド情報およびこれまでのデマンド情報の履歴(時系列での変化)などを記録している。
【0024】
また、クラウドサーバ50は、空気調和機30から送信される運転状態を示す情報を受信して保存する。例えば、クラウドサーバ50は、運転状態を示す情報を日時情報と対応付けて保存する。つまり、クラウドサーバ50は、現在の運転状態およびこれまでの運転状態の履歴(時系列での変化)などを記録している。
【0025】
クラウドサーバ50は、デマンド情報と運転状態を示す情報とに基づく情報を、空気調和機30のユーザの端末60及び電力会社側の端末70のそれぞれに通知する。これにより、電力会社からの電力削減要求に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。以下、このデマンドレスポンス機能に関する構成について、詳しく説明する。
【0026】
(空気調和機の構成)
図2は、本実施形態に係る空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。図示する例では、1台の室外機Xに4台の室内機Yが接続されている。
【0027】
室外機Xは、冷媒を圧縮する圧縮機1、冷媒の流通方向を切り替える四方弁2、外気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器である室外熱交換器3、室外熱交換器3に送風する送風機である室外ファン4、室外ファン4を回転駆動する室外ファンモータ5、冷媒を減圧する膨張弁6、液側バルブ10、ガス側バルブ11、圧縮機1の吐出温度を検出する吐出温度検出部12、室外熱交換器3の冷媒飽和温度を検出する室外熱交冷媒飽和温度検出部13、外気の温度を検出する外気温度検出部14、室外熱交換器3の温度を検出する室外熱交冷媒温度検出部15、余剰冷媒を保持するための液溜め19、および室外機Xを制御する室外機制御部21を備えている。
【0028】
室内機Yは、室内空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器である室内熱交換器7、室内熱交換器7に送風する送風機である室内ファン8、室内ファン8を回転駆動する室内ファンモータ9、室内熱交換器7の冷媒飽和温度を検出する室内熱交冷媒飽和温度検出部16、室内熱交換器7の冷媒温度を検出する室内熱交冷媒温度検出部17、室内の空気温度を検出する室内空気温度検出部18、および室内機Yを制御する室内機制御部20を備えている。
【0029】
なお、この図では、4台の室内機Yのそれぞれを室内機Ya、室内機Yb、室内機Yc、室内機Ydとして、4台の室内機Yのそれぞれが備える各部の符号の後ろにya、yb、yc、ydを付けて表している。例えば、室内機Ya、室内機Yb、室内機Yc、室内機Ydのそれぞれの室内熱交換器7を、室内熱交換器7ya、室内熱交換器7yb、室内熱交換器7yc、室内熱交換器7ydとして表している。
【0030】
室内機制御部20及び室外機制御部21は、空気調和機30の運転を制御する運転制御部の一例であって、連携して各種の制御を行う。室外機Xの圧縮機1は、室外機制御部21の制御により、デマンド信号による電力削減要求(以下、「デマンド要求」と称する)に応じて周波数を変化させて運転可能な圧縮機である。膨張弁6は、室内機Ya、室内機Yb、室内機Yc、室内機Ydのそれぞれに対応して、膨張弁6a、膨張弁6b、膨張弁6c、膨張弁6dが設けられている。各膨張弁6は、各室内機Yの運転状態に応じて開度を可変に制御することができる構造となっている。
【0031】
室内機Yは、室外機Xと冷媒配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路を構成している。次に、このような構成により、空気調和機30において冷房運転を実施する場合の動作を説明する。
【0032】
空気調和機30おいて、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2へと向かう。冷房運転時の四方弁2の流路は
図2の実線方向へ設定されている。高温高圧のガス冷媒は四方弁2を通り、室外熱交換器3へ流入する。室外熱交換器3へ流入した高温高圧のガス冷媒は、室外ファン4から送風される室外の空気に放熱しながら凝縮液化し、高圧の液冷媒となる。その後、この高圧の液冷媒は、膨張弁6で減圧され、低圧二相状態となり、室内熱交換器7へ流入する。室内熱交換器7へ流入した液冷媒は、室内ファン8により室内熱交換器7へ送風された室内空気から吸熱し、低圧ガス冷媒となる。その後、この低圧ガス冷媒は、四方弁2を介して、液溜め19を経由し、圧縮機1へ戻る。圧縮機1は低圧ガス冷媒を高圧まで圧縮して吐出する。この冷房運転により、室内空気の温度を下げることができる。
【0033】
この冷房運転において、空気調和機30が電力会社からのデマンド信号を受信した場合の制御の一例について説明する。室内機制御部20は、ユーザのリモコン(リモートコントローラ)操作などにより、運転開始指令を受信すると、室内機Y側でユーザにより設定された設定温度などの情報を含む運転開始司令を室外機制御部21へ送信する。室外機制御部21は、あらかじめ決められた上限周波数(f_max)から下限周波数(f_min)の間で、室内機制御部20から受信した情報をもとに、圧縮機1の運転周波数を決定し運転する。室外機制御部21は、圧縮機1の運転周波数を、あらかじめ決められた電流制限値(A_lim)を超えないように制御する。例えば、f_maxは120Hzで、f_minは10Hzである。また、例えば、A_limは20Aである。
【0034】
このとき、室内機制御部20は、通信部35(
図1参照)がクラウドサーバ50からデマンド信号を受信すると、当該デマンド信号を取得し、室外機制御部21にデマンド信号によるデマンド要求の内容を示すデマンド要求情報を送信する。室外機制御部21は、デマンド要求情報を受信すると、このデマンド要求情報に応じて電流制限値の更新を行う。例えば、デマンド要求による電流制限の要求値が50%である場合、室外機制御部21は、電流制限値(A_lim)を20Aの50%である10Aに更新する。
【0035】
また、室外機制御部21は、デマンド要求情報を受信した際に、空気調和機30の製品の保証範囲内で運転するための保護制御動作中だった場合には、保護制御動作中である旨を記憶し、デマンド要求を達成するために圧縮機1の運転周波数の変更が可能であるか否かを判定する。室外機制御部21は、現在の保護制御の内容から圧縮機1の運転周波数の変更が不可能であると判定した場合には、デマンド要求に応じた動作を禁止することを示すデマンド動作禁止フラグを立て、これ以上電流値を下げられない保護制御動作中であることを示す情報を室内機制御部20へ送信する。室内機制御部20は、現在の空気調和機30の運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信し、フィードバックする。
【0036】
例えば、室外機制御部21は、現在の電流値(A)と、デマンド要求による電流制限の要求値との関係から圧縮機1の運転周波数の変化幅を算出し、運転周波数を変化させることにより現在の電流値(A)と電流制限の要求値との差が小さくなるよう制御する。このとき、電流制限の要求値が例えば10%などのように低い値である場合、室外機制御部21は、10%の電流値になるように運転周波数を変化させていくが、圧縮機1の運転周波数が下限周波数(f_min)を下回ることはない。また、その他、空気調和機30の運転状態を保護するための保護制御によって、電流制限の要求値に到達しない場合があるが、保護制御の方が優先される。
【0037】
室内機制御部20は、室外機制御部21と通信をしている情報のうち、現在の運転状態及び保護制御の有無など、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な情報及び通知設定をクラウドサーバ50にアップロードする。クラウドサーバ50上で実行されるアプリケーションは、クラウドサーバ50にアップロードされた情報及び通知設定に基づいて、端末60及び端末70で実行されるアプリケーションで確認可能なように通知(例えば、プッシュ通知)を行う。
【0038】
(デマンド要求時の動作モードについて)
加えて、電力会社サーバ40からデマンド信号が送信された後、対象エリアの電力削減が達成されていない場合がある。このような場合、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号による電流制限の要求値が現在の電流制限の要求値よりも低い値に更新されることがある。電流制限の要求値が低い値に制限され続けると、ユーザが所望する快適性を保てなくなる可能性がある。そのため、空気調和機30は、電流制限の要求値の更新情報をもとに、ユーザが動作モードの設定を変更するか否かを選択することができる。
【0039】
ここで、動作モードについて説明する。室外機制御部21は、デマンド要求に応じてデマンドレスポンス制御を行う動作モードとして、デマンド要求に応じた制御を行う通常モードと、間欠動作を行う間欠動作モード(ON/OFFモード)とを有する。通常モードは、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数を電流制限の要求値に到達するように制御する動作モードである。間欠動作モードは、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数を変更せずに、圧縮機1を運転させる動作状態と運転を停止させる停止状態とを繰り返すように制御する動作モードである。
【0040】
図3は、本実施形態に係る通常モードの制御の一例を示す図である。この図は、通常モードでの時間の経過に伴う圧縮機1の運転周波数と電流値の挙動を示している。室外機制御部21は、運転開始から徐々に圧縮機1の運転周波数を上げていき、それに伴い電流値も徐々に上昇する。時刻t1において、圧縮機1の運転周波数が上限周波数(f_max)に達したため、室外機制御部21は、以降は圧縮機1の運転周波数を上げないで維持する。このときの電流値は、電流制限値(A_lim)に相当する。
【0041】
その後、時刻t2において、電流制限の要求値が50%のデマンド信号を受信すると、室外機制御部21は、このデマンド要求に応じて電流制限値を50%に更新する。これにより、室外機制御部21は、圧縮機1の電流値が電流制限値(A_lim)の50%(A_50%)になるように運転周波数を下げる。
【0042】
さらに、時刻t3において、電流制限の要求値が20%のデマンド信号を受信すると、室外機制御部21は、このデマンド要求に応じて電流制限値を20%に更新する。これにより、室外機制御部21は、圧縮機1の電流値が電流制限値(A_lim)の20%(A_20%)になるように運転周波数を下げる。図示する例では、このときの運転周波数が下限周波数(f_min)となっている。一例として、室外機制御部21は、時刻t2のデマンド要求に応じて圧縮機1の電流値を50%に下げたときの運転周波数を55Hzとして、55Hzから下限周波数の22Hzまで下がる。
【0043】
この時刻t3においてデマンド信号を受信したときに、間欠動作モードに変更したときの制御の一例を
図4に示す。
【0044】
図4は、本実施形態に係る間欠動作モードの制御の一例を示す図である。時刻t3において電流制限の要求値が20%のデマンド信号を受信したときに間欠動作モードが選択されると、室外機制御部21は、圧縮機1の運転周波数は変更せずに、当該運転周波数で運転する動作状態と運転を停止して停止状態とを繰り返す制御を行う。一例として、室外機制御部21は、圧縮機1を55Hzで10分間運転し25分間停止するという間欠動作でサイクル運転を行う。これにより、単位時間当たりの積算電力量を減らすことができるため、電流制限の要求値を満たすのと同義の運転をさせることができる。
【0045】
例えば、電流制限の要求値が低い値に制限され続け、ユーザが所望する快適性を保てなくなる可能性があるときには、ユーザが動作モードの設定を通常モードから間欠動作モードに変更することができる。
【0046】
(デマンド要求時の室内機の運転追加について)
次に、マルチ形の空気調和機30における特有な状態として、停止している他の室内機Yをユーザが運転させることにより、室内機Yの運転台数が追加されるときの例について説明する。
【0047】
例えば、複数の室内機Y(例えば、室内機Ya~Yd)のうち冷房運転中の室内機Y以外に少なくとも1台が停止している場合、その停止している室内機Yをユーザがリモコン操作することによる冷房運転を開始させようとする状況がある。運転する室内機Yが追加される場合、室外機制御部21は、室内機制御部20からの運転追加情報と、現在のデマンド情報、現在の運転状態、及び保護制御の有無などに基づいて、室内機Yの運転台数の追加により現在運転中の室内機Yの吹き出し温度が変化するか否かを判定する。
【0048】
室外機制御部21は、吹き出し温度が変化する(例えば、冷房運転の吹き出し温度が上がる)と判定した場合には、吹き出し温度が変化する(例えば、冷房運転の吹き出し温度が上がる)旨を示す情報を室内機制御部20へ送信する。室内機制御部20は、室外機制御部21から送信された上記情報をクラウドサーバ50へ送信してアップロードする。クラウドサーバ50上で実行されるアプリケーションは、運転中の室内機Yのユーザが使用する端末60に対して、吹き出し温度が変化する(例えば、冷房運転の吹き出し温度が上がる)旨を通知する。
【0049】
このように、室内機Yの運転台数がユーザにより追加される際に運転中の室内機Yの吹き出し温度が変化する場合には、その旨がユーザに通知される。この通知により、ユーザは、運転中の室内機Yの吹き出し温度の変化について、その理由を知ることができる。また、この通知により、デマンド信号の受信中に、室内機Yの運転台数を追加するか否かをユーザに検討させることができる。
【0050】
次に、電力会社から電力要求に応じて空気調和機30が実行するデマンドレスポンス処理の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係るデマンドレスポンス処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、空気調和機30は、ユーザのリモコン操作などに応じて運転(例えば、冷房運転)を開始する(ステップS1)。ここで
図6を参照して、ステップS1の詳細について説明する。
図6は、
図5のステップS1の詳細例を示すフローチャートである。
【0052】
室内機制御部20は、ユーザのリモコン操作などにより運転開始指令を受信する(ステップS1-1)。室内機制御部20は、運転開始指令を受信すると、室内機制御部20が室内ファンモータ9の運転を開始させる(ステップS1-2)。また、室内機制御部20は、運転開始指令を室外機制御部21へ送信する。
【0053】
室外機制御部21は、室内機制御部20から運転開始指令を受信する(ステップS1-3)。これにより、室外機制御部21は、四方弁2の切り替え制御を行い、室外ファンモータ5の運転を開始させる(ステップS1-4)。また、室外機制御部21は、運転対象の室内機Yに対応する膨張弁6を所定開度に設定する(ステップS1-5)。
【0054】
続いて、室外機制御部21は、あらかじめ決められた上限周波数(f_max)から下限周波数(f_min)の間で、室内機制御部20から受信した情報をもとに、圧縮機1の運転周波数を決定し、圧縮機1を運転する(ステップS1-6)。このとき、室外機制御部21は、圧縮機1の運転周波数を、あらかじめ決められた電流制限値(A_lim)を超えないように制御する。そして、
図5のステップS2へ移行する。
【0055】
ステップS2において、室内機制御部20は、電力会社からデマンド要求を受けたか否かを判定する。室内機制御部20は、電力会社サーバ40から送信されたデマンド信号を受信した場合にデマンド要求を受けたと判定し、デマンド信号を受信していない場合にはデマンド要求を受けていないと判定する。室内機制御部20は、電力会社からデマンド要求を受けていないと判定した場合(NO)、再度ステップS2の処理を行う。一方、室内機制御部20は、電力会社からデマンド要求を受けたと判定した場合(YES)、デマンド要求の内容、即ち電流制限の要求値を認識する(ステップS3)。
【0056】
ここで
図7を参照して、ステップS3の詳細について説明する。
図7は、
図5のステップS3の詳細例を示すフローチャートである。室内機制御部20は、デマンド要求を受けた場合、室外機制御部21にデマンド要求情報を送信する(ステップS3-1)。室外機制御部21は、室内機制御部20から受信したデマンド要求情報をもとに電流制限の要求値を記憶する(ステップS3-2)。そして、
図5のステップS4へ移行する。
【0057】
ステップS4において、室外機制御部21は、保護制御動作中か否かを判定する保護判定処理を行う。ここで
図8を参照して、ステップS4の詳細について説明する。
図8は、
図5のステップS4の詳細例を示すフローチャートである。室外機制御部21は、室内機制御部20から随時に受信する室内機Yの運転情報と現在の室外機Xの運転情報とをもとに、保護制御動作中か否かを判定する。このとき、室外機制御部21は、保護制御動作中であると判定した場合、保護制御動作中である旨を記憶する(ステップS4-1)。また、室外機制御部21は、デマンド要求を達成するために圧縮機1の運転周波数の変更が可能か否かを判定する(ステップS4-2)。
【0058】
次に、室外機制御部21は、現在の保護制御の内容から、圧縮機1の運転周波数の変更が不可能であると判定した場合、デマンド動作禁止フラグを立てて、記憶する(ステップS4-3)。そして、
図5のステップS5へ移行する。
【0059】
ステップS5において、室外機制御部21は、デマンド要求に応じた動作が禁止されているか否かを判定する。室外機制御部21は、デマンド動作禁止フラグが立っていない場合(NO)、ステップS6へ移行する。一方、室外機制御部21は、デマンド動作禁止フラグが立っている場合(YES)、ステップS8へ移行する。
【0060】
ステップS6において、室外機制御部21は、通常モードによる制御を開始する。例えば、室外機制御部21は、電流制限の要求値情報と、デマンド動作可否の情報とをもとに電流制限値の変更を行い、記憶する。そして、ステップS7へ移行する。
【0061】
ステップS7において、室外機制御部21は、現在の電流値(A)が電流制限値(A_lim)を超えておりかつ圧縮機1の運転周波数(f)が下限周波数(f_min)を超えているか否かを判定する。室外機制御部21は、ステップS7においてYESの判定の場合には、保護状態によるものと判定してステップS8へ移行する。一方、室外機制御部21は、ステップS7においてNOの判定の場合には、ステップS9へ移行する。
【0062】
ステップS9において、室外機制御部21は、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数の補正を行う。ここで
図9を参照して、ステップS9の詳細について説明する。
図9は、
図5のステップS9の詳細例を示すフローチャートである。
【0063】
室外機制御部21は、現在の電流値(A)と電流制限の要求値との関係から、圧縮機1の周波数変化幅を算出する(ステップS9-1)。そして、室外機制御部21により算出された圧縮機1の周波数変化幅に基づいて、運転周波数を変化させ、現在の電流値(A)と電流制限の要求値との差を小さくするよう制御する(ステップS9-2)。そして、
図5のステップS10へ移行する。
【0064】
ステップS10において、室外機制御部21は、現在の電流値(A)が電流制限の要求値に到達したか否かを判定する。室外機制御部21は、現在の電流値(A)が電流制限の要求値に到達していないと判定した場合(NO)、ステップS3に戻る。一方、室外機制御部21は、現在の電流値(A)が電流制限の要求値に到達したと判定した場合(YES)、ステップS11へ移行する。
【0065】
なお、ステップS8へ移行した場合には、室外機制御部21は、保護制御の動作状態(保護状態)であるか否かを判定する。ここで
図10を参照して、ステップS8の詳細について説明する。
図10は、
図5のステップS8の詳細例を示すフローチャートである。
【0066】
室外機制御部21は、デマンド動作禁止状態であるか、デマンド要求による圧縮機1の運転周波数が変更不可能な状態であるかを判定し、そのいずれかの場合には保護制御が働いていることを示す情報を記憶する(ステップS8-1)。また、室外機制御部21は、室外機Xが保護状態であることを示す情報を室内機制御部20へ送信する(ステップS8-2)。そして、
図5のステップS11へ移行する。
【0067】
ステップS11において、室内機制御部20は、クラウドサーバ50へ情報をアップロードし、クラウドサーバ50からユーザ及び電力会社へ通知する。ここで
図11を参照して、ステップS11の詳細について説明する。
図11は、
図5のステップS11の詳細例を示すフローチャートである。
【0068】
室内機制御部20は、現在の運転状態及び保護制御の有無、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知設定などをクラウドサーバ50にアップロードする(ステップS11-1)。また、クラウドサーバ50上のアプリケーションは、クラウドサーバ50上にアップロードされた通知設定をもとに、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知を行う(ステップS11-2)。そして、
図5のステップS12へ移行する。
【0069】
ここで、室内機制御部20がクラウドサーバ50へアップロードする情報について例示する。
図12は、本実施形態に係るクラウドサーバ50へアップロードする情報の一例を示す図である。図示するように、アップロードする情報には、室内機Yの号機情報、運転モード情報(冷房、暖房、停止など)、室内ファン8の速度設定情報(ファン速設定情報)、設定温度情報などが含まれる。また、アップロードする情報には、保護制御の有無を示す保護情報、消費電力量情報、デマンド要求の有無を示すデマンド信号情報、電流制限値情報、間欠動作モード(ON/OFFモード)選択の有無の情報等が含まれてもよい。
【0070】
また、
図13は、ユーザが端末60で確認可能な通知(例えば、プッシュ通知)の一例を示す図である。例えば、端末60には、デマンド信号を受信したこと、空気調和機30の使用に関する情報の閲覧を勧めることなどが表示される。
【0071】
また、
図14は、ユーザが端末60で閲覧可能な表示情報の第1例を示す図である。例えば、端末60には、ユーザが確認可能な情報として、運転モード(Mode)、設定温度(Setting)、室内ファン8の速度(Fan speed)、保護情報(Protection)、デマンド要求時の動作モード(Demand)などが表示される。ここでは、デマンド要求時の動作モードは、通常モードであることが表示されている。また、端末60には、ユーザが確認可能な情報として、1日の消費電力量(Energy consumption)、1週間の消費電力量、1か月の消費電力量などの情報が表示される。
【0072】
また、端末60には、ユーザに通知する情報(Tips)として、デマンド信号を受信しているため、運転中の室内機Yを追加すると、室内機Yの吹き出し温度が上昇することがある旨が表示されている。
【0073】
これにより、室内機Yの運転台数を追加すると、冷房運転している室内機Yの吹き出し温度が上がる方向に変化するという情報がユーザに通知される。よって、デマンド信号の受信中に室内機Yを追加するかどうかを、吹き出し温度の変化を考慮してユーザに選択してもらうことができ、ユーザの不冷不暖のクレームの軽減につながる。
【0074】
図5に戻り、室内機制御部20は、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号のデマンド要求情報に基づいて、電流制限の要求値に更新があったか否かを判定する(ステップS12)。室内機制御部20は、電流制限の要求値に更新がないと判定した場合(NO)、ステップS18へ移行する。一方、室内機制御部20は、電流制限の要求値に更新があったと判定した場合(YES)、ステップS13へ移行する。
【0075】
ステップS13において、室内機制御部20は、ユーザのリモコン操作などに基づいて、動作モードの設定の変更(通常モードから間欠動作モードへの変更)が選択されたか否かを判定する。室内機制御部20は、動作モードの設定の変更が選択されたと判定した場合、ステップS15へ移行する。
【0076】
一方、室内機制御部20は、動作モードの設定の変更が選択されていないと判定した場合(NO)、ステップS14へ移行する。ステップS14において、室内機制御部20は、一定時間経過後もユーザにより動作モードの設定の変更が選択されていない状態であるか否かを判定する。室内機制御部20は、ユーザにより動作モードの設定の変更が選択されない状態で一定時間経過した場合(YES)、ステップS2へ戻る。一方、室内機制御部20は、一定時間経過するまでにユーザにより動作モードの設定の変更が選択された場合(NO)、ステップS15へ移行する。
【0077】
ステップS15において、室内機制御部20は、クラウドサーバ50へ情報をアップロードし、クラウドサーバ50からユーザ及び電力会社へ通知する。ここで
図15を参照して、ステップS15の詳細について説明する。
図15は、
図5のステップS15の詳細例を示すフローチャートである。
【0078】
室内機制御部20は、現在の運転状態及び保護制御の有無、電力会社からのデマンド更新要求に対してユーザが選択した動作モード(通常モードまたは間欠動作モード)の情報と、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知設定などをクラウドサーバ50にアップロードする(S15-1)。また、クラウドサーバ50上のアプリケーションは、クラウドサーバ50上にアップロードされた通知設定をもとに、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知を行う(S15-2)。そして、
図5のステップS16へ移行する。
【0079】
このときユーザが端末60で確認可能な通知(例えば、プッシュ通知)の例は、例えば前述した
図13に示す例である。また、このときユーザが端末60で閲覧可能な表示情報の例を、
図16に示す。
【0080】
図16は、ユーザが端末60で閲覧可能な表示情報の第2例を示す図である。この図に示す表示例は、基本的に表示項目は
図14と同様であるが、その内容の一部が異なる。例えば、デマンド要求時の動作モード(Demand)は、間欠動作モード(ON/OFFモード)が選択されていることが表示されている。
【0081】
また、ユーザに通知する情報(Tips)には、
図14に示す表示例と同様に、デマンド信号を受信しているため、運転中の室内機Yを追加すると、室内機Yの吹き出し温度が上昇することがある旨が表示されている。これにより、室内機Yの運転台数を追加すると、冷房運転している室内機Yの吹き出し温度が上がる方向に変化するという情報がユーザに通知される。よって、デマンド信号の受信中に室内機Yを追加するかどうかを、吹き出し温度の変化を考慮してユーザに選択してもらうことができ、ユーザの不冷不暖のクレームの軽減につながる。
【0082】
さらに、ユーザに通知する情報(Tips)には、通常モードの選択が可能であることが表示されている。これにより、デマンド信号を受信中に、間欠動作モードから通常モードに戻すかどうかをユーザに検討させて選択させることができ、ユーザの不冷不暖クレーム軽減につながる。
【0083】
図5に戻り、空気調和機30は、ユーザが選択した動作モード(例えば、間欠動作モード)による制御を行う(ステップS16)。ここで
図17を参照して、ステップS16の詳細について説明する。
図17は、
図5のステップS16の詳細例を示すフローチャートである。
【0084】
室内機制御部20は、電力会社からのデマンド更新要求に対してユーザが選択した動作モード(例えば、間欠動作モード)の情報を室外機制御部21へ送信する(S16-1)。室外機制御部21は、ユーザが選択した動作モード(例えば、間欠動作モード)に合わせて圧縮機1の運転周波数を制御する(S16-2)。また、室外機制御部21は、現在の運転状態を示す情報を室内機制御部20へ送信する(S16-3)。そして、
図5のステップS17へ移行する。
【0085】
ステップS17において、室内機制御部20は、間欠動作モードが継続しているか否かを判定する。例えば、室内機制御部20は、ユーザが通常モードを選択する操作を行った場合には間欠動作モードを終了し、それまでは間欠動作モードを継続する。室内機制御部20は、間欠動作モードが継続していると判定した場合(YES)、ステップS15へ戻る。一方、室内機制御部20は、間欠動作モードが終了したと判定した場合(NO)、ステップS18へ移行する。
【0086】
ステップS18において、室内機制御部20は、クラウドサーバ50へ情報をアップロードし、クラウドサーバ50からユーザ及び電力会社へ通知する。ここで
図18を参照して、ステップS18の詳細について説明する。
図18は、
図5のステップS18の詳細例を示すフローチャートである。
【0087】
室内機制御部20は、現在の運転状態及び保護制御の有無、電力会社からのデマンド更新要求に対してユーザが選択した動作モード(通常モードまたは間欠動作モード)の情報と、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知設定などをクラウドサーバ50にアップロードする(S18-1)。また、クラウドサーバ50上のアプリケーションは、クラウドサーバ50上にアップロードされた通知設定をもとに、ユーザの端末60及び電力会社側の端末70で実行されるアプリケーションで確認可能な通知を行う(S18-2)。そして、
図5のステップS19へ移行する。
【0088】
このときユーザが端末60で確認可能な通知(例えば、プッシュ通知)の例は、例えば前述した
図13に示す例である。また、このときユーザが端末60で確認可能な情報の表示例を、
図19に示す。
【0089】
図19は、ユーザが端末60で閲覧可能な表示情報の第3例を示す図である。この図に示す表示例は、基本的に表示項目は
図14及び
図16と同様であるが、その内容の一部が異なる。例えば、間欠動作モードから通常モードに切り替わったため、デマンド要求時の動作モード(Demand)は、
図16とは異なり、
図14と同様に通常モードが選択されていることが表示されている。
【0090】
また、ユーザに通知する情報(Tips)には、間欠動作モード(ON/OFFモード)の選択が可能であることが表示されている。これにより、デマンド信号を受信中に、通常モードから再び間欠動作モードにするかどうかをユーザに検討させて選択させることができ、ユーザの不冷不暖クレーム軽減につながる。
【0091】
図5に戻り、ステップS19において、室内機制御部20は、運転停止の処理が行うか否かを判定する。室内機制御部20は、例えば、ユーザのリモコン操作により運転停止の操作を受けると運転停止の処理を行う。室内機制御部20は、運転停止の処理を行わない場合(NO)、ステップS2へ戻って本処理を継続し、運転停止の処理を行う場合(YES)本処理を終了する。
【0092】
ここで、
図20及び
図21を参照して、ユーザ及び電力会社の両方で閲覧可能な表示情報について説明する。この表示情報がユーザの端末60及び電力会社側の端末70に表示可能なタイミングは、
図5のステップS11、S15、S18における情報のアップロードのいずれに応じたタイミングでもよい。
【0093】
図20は、ユーザ及び電力会社の両方で閲覧可能な表示情報の第1例を示す図である。図示する例では、運転モード(冷房、暖房、自動、その他)ごとの消費電力量の割合が円グラフで表示される。なお、円グラフは一例であって、棒グラフなどの他の形態で表示されてもよい。例えば、ユーザの端末60には、ユーザが使用する空気調和機30の運転モードごとの消費電力量の割合が表示される。一方、電力会社側の端末70には、各ユーザの空気調和機30の運転モードごとの消費電力量の割合が選択的に表示されてもよいし、電力会社が送電しているエリア全体で使用されている空気調和機30の運転モードごとの消費電力量の割合が表示されてもよい。
【0094】
図21は、ユーザ及び電力会社の両方で閲覧可能な表示情報の第2例を示す図である。図示する例では、横軸を時間(時刻)、縦軸を消費電力量として、1日の消費電力量の変化を示すグラフが表示される。例えば、ユーザの端末60には、ユーザが使用する空気調和機30の1日の消費電力量の変化を示すグラフが表示される。一方、電力会社側の端末70には、各ユーザの空気調和機30の1日の消費電力量の変化を示すグラフが選択的に表示されてもよいし、電力会社が送電しているエリア全体で使用されている空気調和機30の1日の消費電力量の変化を示すグラフが表示されてもよい。
【0095】
これにより、ユーザは、1日の消費電力量の変化、デマンド要求の前後での消費電力量の変化などを容易に確認することができる。また、電力会社は、1日の消費電力量の変化、デマンド要求の前後での消費電力量の変化、デマンド要求後の消費電力量が要求を満たす結果となっているかなどを容易に確認することができる。
【0096】
なお、
図21に示す例は、1日の消費電力量の変化を示すグラフであるが、1日に限定されるものではなく、例えば1週間の消費電力量の変化を示すグラフ、1か月の消費電力量の変化を示すグラフなどとしてもよい。
【0097】
以上説明してきたように、本実施形態に係るデマンドレスポンス機能を有する空気調和機30は、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバ50から送信されたデマンド信号を受信する。また、空気調和機30は、受信したデマンド信号によるデマンド要求(電力削減要求)に応じて空気調和機30の運転を制御し、当該制御による運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信する。そして、デマンド信号に関するデマンド情報と運転状態を示す情報とは、電力会社側の端末70及び空気調和機30のユーザの端末60のそれぞれに通知可能である。
【0098】
これにより、空気調和機30は、電力会社からのデマンド要求(電力削減要求)に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。よって、空気調和機30は、電力会社とユーザの双方の要求と運転状態などの状況の両方を共有した上で空気調和機30の運転状態を制御するため、不冷不暖等のクレームの発生を軽減することができる。
【0099】
例えば、デマンド情報には、デマンド信号を受信中であるか否かを示す情報、又はデマンド要求の内容を示す情報が含まれる。また、運転状態を示す情報には、消費電力に関する情報または吹き出し温度を示す情報が含まれる。
【0100】
これにより、空気調和機30は、デマンド信号を受信中であるか否かを示す情報、デマンド要求の内容を示す情報、消費電力に関する情報または吹き出し温度を示す情報を、電力会社とユーザの双方が閲覧可能にすることができる。
【0101】
また、空気調和機30は、圧縮機1を有する室外機Xと室外機Xに接続された室内機Yとを備えている。空気調和機30は、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数を制御し、デマンド要求に応じた圧縮機1の運転周波数が運転保証範囲を逸脱する場合には、運転保証範囲に収まるように圧縮機1の運転周波数を制御する保護制御を行う。
【0102】
これにより、空気調和機30は、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数を制御する際に、空気調和機30の使用制限を超えないようにすることができる。
【0103】
また、運転状態を示す情報には、運転保証範囲に収まるように圧縮機1の運転周波数を保護制御しているか否かを示す情報が含まれる。
【0104】
これにより、空気調和機30は、保護制御によりデマンド要求に応じた制御が満たされないときには、保護制御が働いていることをユーザが容易に確認することができる。
【0105】
また、空気調和機30は、デマンド信号が受信された場合、デマンド要求に応じて圧縮機1の運転周波数を制御する通常モード(第1モード)と、圧縮機1の運転周波数を変更せずに動作させる動作状態と停止状態とを繰り返す間欠動作に制御する間欠動作モード(第2モード)とをユーザに選択させる。
【0106】
これにより、空気調和機30は、吹き出し温度を変えることなく、単位時間当たりの積算電力量を減らすことができるため、デマンド要求による電力制限の要求値を満たすのと同義の運転をさせることができる。よって、ユーザによる不冷不暖等のクレームの発生を軽減することができる。
【0107】
また、空気調和機30は、ユーザにより間欠動作モードが選択された場合、単位時間当たりの積算電力量がデマンド要求を満たすように、圧縮機1を間欠動作させる。
【0108】
これにより、空気調和機30は、圧縮機1の運転周波数のピークを変更せずに、デマンド要求による電力制限の要求値を満たすのと同義の運転をさせることができる。
【0109】
例えば、運転状態を示す情報には、通常モードと間欠動作モードとのうち選択されている動作モードを示す情報が含まれる。
【0110】
これにより、空気調和機30は、通常モードで運転しているか間欠動作モードで運転しているかを、容易に確認可能にすることができる。
【0111】
また、空気調和機30は、1台の室外機Xに対して複数の室内機Yが接続されるマルチ形の空気調和機である。空気調和機30は、デマンド信号を受信中に室内機Yの運転台数を追加すると室内機Yの吹き出し温度が変化することをユーザに通知するための情報を、運転状態を示す情報としてクラウドサーバ50へ送信する。
【0112】
これにより、空気調和機30は、デマンド信号の受信中に室内機Yの運転台数が追加されると運転中の室内機Yの吹き出し温度が変化することをユーザに通知しておくことで、デマンド信号の受信中に室内機Yを追加するかどうかをユーザに選択してもらうことができ、ユーザの不冷不暖のクレームの軽減につながる。
【0113】
上記のような各種の情報をユーザに閲覧可能に通知することにより、消費電力を抑えなければならないデマンドレスポンス中の空気調和機30の使い方を、ユーザに選択してもらうことが可能となる。
【0114】
また、本実施形態に係る空調システムSYSは、デマンドレスポンス機能を有する空気調和機30と、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号を受信して空気調和機30へ送信するクラウドサーバ50とを備える。空気調和機30は、クラウドサーバ50から送信されたデマンド信号を受信する。また、空気調和機30は、受信したデマンド信号によるデマンド要求(電力削減要求)に応じて空気調和機30の運転を制御し、当該制御による運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信する。クラウドサーバ50は、デマンド信号に関するデマンド情報と運転状態を示す情報とに基づく情報を、電力会社側の端末70及び空気調和機30のユーザの端末60のそれぞれに通知する。
【0115】
これにより、空調システムSYSは、電力会社からのデマンド要求(電力削減要求)に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。よって空調システムSYSは、電力会社とユーザの双方の要求と運転状態などの状況の両方を共有した上で空気調和機30の運転状態を制御するため、不冷不暖等のクレームの発生を軽減することができる。
【0116】
また、本実施形態に係るデマンドレスポンス機能を有する空気調和機30における制御方法は、空気調和機30が、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバ50から送信されたデマンド信号を受信するステップと、受信したデマンド信号によるデマンド要求(電力削減要求)に応じて空気調和機30の運転を制御するステップと、当該運転の制御による運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信するステップと、を含む。そして、デマンド信号に関するデマンド情報と運転状態を示す情報とは、電力会社側の端末70及び空気調和機30のユーザの端末60のそれぞれに通知可能である。
【0117】
これにより、空気調和機30は、電力会社からのデマンド要求(電力削減要求)に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。よって、空気調和機30は、電力会社とユーザの双方の要求と運転状態などの状況の両方を共有した上で空気調和機30の運転状態を制御するため、不冷不暖等のクレームの発生を軽減することができる。
【0118】
また、本実施形態に係る空調システムSYSにおける制御方法は、空気調和機30が、電力会社サーバ40から送信されるデマンド信号を受信するクラウドサーバ50から送信されたデマンド信号を受信するステップと、受信したデマンド信号によるデマンド要求(電力削減要求)に応じて空気調和機30の運転を制御するステップと、当該運転の制御による運転状態を示す情報をクラウドサーバ50へ送信するステップと、クラウドサーバ30が、デマンド信号に関するデマンド情報と運転状態を示す情報とに基づく情報を、電力会社側の端末70及び空気調和機30のユーザの端末60のそれぞれに通知するステップと、を含む。
【0119】
これにより、空調システムSYSは、電力会社からのデマンド要求(電力削減要求)に応じた状況を電力会社とユーザの双方で確認可能にすることができる。よって空調システムSYSは、電力会社とユーザの双方の要求と運転状態などの状況の両方を共有した上で空気調和機30の運転状態を制御するため、不冷不暖等のクレームの発生を軽減することができる。
【0120】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0121】
なお、上記実施形態では、
図2に示すように、1台の室外機Xに接続される室内機Yの台数が4台のマルチ形の空気調和機30の例を示したが、4台に限られるものではなく、2台または3台、或いは5台以上の複数台の室内機Yが接続されてもよい。また、室内機Yの運転台数の追加に関する態様を除き、上記実施形態で説明したデマンドレスポンス処理は、1台の室外機Xに接続される室内機Yの台数が1台であっても同様に適用することができる。
【0122】
また、上記実施形態では、冷房運転時にデマンド信号を受信した場合の動作を例示したが、暖房運転時にデマンド信号を受信した場合でも同様に適用することができる。
【0123】
また、上記実施形態においては、電力会社からのデマンド要求にこたえた状態で空気調和機30の運転を継続すると、ユーザが空気調和機30の吹き出し温度に満足しない場合があるが、現在の運転状態が電力会社とユーザとの双方に通知される。これにより、現在の運転状態で運転を継続するか、一時的に運転を停止してデマンド要求にこたえ、改めて吹き出し温度の満足する状態での運転を行うかをユーザが選択することができる。
【0124】
また、上記実施形態においては、例えば空気調和機30の運転許容範囲を逸脱するのを防止するために保護制御を働かせることがあるが、保護制御動作中の状態で運転を継続する場合に電力会社からのデマンド要求にこたえられないことになる。そのため、空気調和機30は、運転を一時的に停止し、運転を再開するという間欠動作のサイクルで運転を行うことができ、その運転状態が電力会社とユーザとの双方に通知される。これにより、電力会社とユーザとの双方合意の上で運転状態の設定が可能となる。
【0125】
なお、各機器の制御部(例えば、室内機制御部20、室外機制御部21)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機器の制御部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0126】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記のプログラムを所定のサーバに記憶させておき、他の装置からの要求に応じて、当該プログラムを通信回線を介して配信(ダウンロード等)させるようにしてもよい。
【0127】
また、各機器の制御部(例えば、室内機制御部20、室外機制御部21)の機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0128】
SYS 空調システム
X 室外機
Y 室内機
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 室外ファン
5 室外ファンモータ
6 膨張弁
7 室内熱交換器
8 室内ファン
9 室内ファンモータ
20 室内機制御部
21 室外機制御部
30 空気調和機
35 通信部
40 電力会社サーバ
50 クラウドサーバ
60 端末
70 端末